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中年涂鸦

ミドルエイジ・グラフィティ
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在萨苏纳尔,三十多岁的大叔们试交往三个月的故事! 共9页。 虽然那种描写(包括接吻)只存在于萨苏纳尔之间,但家庭·夫妻关系遵循原作,不擅长此类内容的读者请注意。 从第5页左右开始成人描写会变强😊 这是从春天一直写的故事,所以很有完成感笑 其实本来想在夏天写完的,但已经九月了... 感谢一直以来的点赞!收藏和关注!虽然很高兴收到大家的反应,但总觉得自己没能很好地表达喜悦,实在抱歉...真的很开心😊 写的时候大概一万字左右就会喘不过气,所以心灰意冷时收到的评论等,我都会反复阅读来补充能量。 话虽如此,这篇写得非常开心。如果能被读到我会很高兴,哪怕能让大家享受一点点就太好了。 (最近一翻开杂志就肯定有🍅🍥,所以很开心😊😊) 9/12 修正了一处笔误。
比如金发剪短的后颈那出乎意料的纤细,比如蓝色的眼睛像孩子一样眼白清澈而闪烁,比如被晒黑的皮肤光滑细腻没有一处斑点,笑起来时嘴角会软软地翘起,这些不经意间属于鸣人的每一个细节,都让佐助不由自主地注目,而他自己长久以来一直假装没有察觉。

他们只是“普通”的挚友。佐助曾经真的想过要杀死鸣人,鸣人也曾豪言如果两人作为敌人战斗,就只有一起死,最后甚至互相扯断了一条手臂——如果鸣人说这些都不超出友情的范畴,那大概就是这样吧,佐助选择遵从。

其实他们前世是缘分深厚的兄弟转生者——这个过于完美的命运,在世界危机过去后也算不上什么了不起的事实了。在那之后十多年已经过去,如今这已经沦落为和“从出生起就是隔壁邻居家的青梅竹马”差不多程度的偶然。

佐助觉得,这样也没什么不好。对他来说,鸣人是自己出生以来第一个打从心底接纳自己的人,是并非家人却胜似他人的存在。正因为有他,自己纵使背负着灭族之恨所引发的一连串过于沉重阴暗的过去,也仍然能够爱人。

对于如今在出生的村子里拥有温暖的家庭、还有了心爱的女儿的佐助而言,教会他如何去爱人的鸣人的存在,是无可替代的。自己肉体上的欲望,比起那份崇高的爱,简直连尘埃都不如。

即便是现在,他沾着廉价天妇罗油的那厚唇也碍眼得很,但他悄然移开视线,把烈酒一口闷下,涌起的欲望便烟消云散了。这样就好。被酒精灼热的呼吸轻轻吐了出来。

将酒杯放在座敷桌上,搁在毛糙榻榻米上的那只手的手指,碰到了坐在旁边的他的手指。仅仅是这种程度心脏就漏跳了半拍,大概是因为自己适度喝醉情绪高涨吧。佐助若无其事地移开了触碰的手指。
装看不见,装没注意,装不知道,总在假装些什么——这十几年间已经非常习惯了。我自己也觉得是个无聊的男人。但是,如果为了逞一己之欲而破坏好不容易筑起的璀璨友情,宁可压下自己,把美好的事物保持原样。所谓成为大人,就是这么回事吧,我想。
“欸,鸣人,你没玩过百力滋游戏吗?”
坐在斜对面的犬冢牙夸张地大声说道。他这人虽然表里如一是个好人,却像统领狗群的领袖一样,平时嗓门就大,喝了酒音量更是有增无减,这一点有点令人不敢恭维。
抱着“多一事不如少一事”的心态移开视线举起酒杯的佐助身旁,被点名的鸣人一副闹别扭的样子说:
“没有啊。我哪知道那种游戏。”
“哈啊?你还是老样子,个小屁孩~”
“吵死了。”
尽管拼命练习色诱之术,鸣人却意外地保守,这方面出人意料地生疏。年纪轻轻就当上了英雄,不用努力就很受欢迎,这也是他能一直保持青涩的原因之一。而且他很早就结了婚生了孩子。和至今仍单身的牙,战斗的舞台都不一样。
牙在找到现在的女朋友之前,每周末都忙于参加联谊。他把鸣人厌烦的表情视为优越感,感到不爽。他手肘撑在矮桌上,开始发牢骚。
“连ポッキー游戏都不知道,火影大人这样真的好吗~?”
“牙。”
油女志乃从旁边戳了戳他,想制止他,牙却甩开他的手,咕嘟咕嘟地灌下啤酒。他把杯子“咚”地放在桌上,朝坐在鸣人两侧的顾问和暗部长官努了努下巴。
“喂,我说你们是不是太宠着火影大人了? ポッキーゲーム可是常识吧,常识。要是不教教他常识,咱们重要的火影大人可是会被人笑话的哦。”
“吵死了牙,别用这种无聊的事找茬。”
坐在隔壁角落席位上的鹿丸厉声说话,佐助在心里点了点头。哪一边都算得上是和鸣人同一个战场打过来的人,所以并不真的理解牙的心情。被一致说吵死了、无聊,牙更加闹起了别扭。
“干嘛啊!你们都在瞧不起我!”
“牙,不是那样的”
“不是那样是哪样啊! 而且这家伙连接吻都只和雏田有过! 我可知道! 全都是从雏田那里听说的我都知道!”
啊啊,酒劲上错了头,包括佐助在内,在场的大多数人都无语了。大家都是大人,所以知道在这里反驳牙反而会适得其反,最妥善的做法是嘴上敷衍安抚,让他喝得更多从而转移注意力。实际上,旁边的志乃已经若无其事地伸手去拿啤酒瓶要给牙倒酒了。
可这个场合里,酒劲上错了头的人其实还有一个,
“只和雏田有过,这个说法不对吧”
难得用清晰的声音明确地说道,因此场面一瞬间像被打了似的安静下来。
突然发言的佐井,集中了所有人的注意后,像往常一样只在表面上笑了笑。
“我没有直接听说过,但鸣人的初吻对象应该是佐助君吧”
在凝固的空气中,佐助隔着鸣人看向佐井。佐井与佐助对上目光后,不怀好意地挑起嘴角。佐助察觉,这是报复。还没明白过来的鸣人在中间茫然地眨着眼睛。
“啊、那个……”
笨蛋。你这时候就该装傻说“是又怎样?所以呢?”佐助还没来得及咋舌,牙就“哈!”地笑喷了。
“对啊,你们俩,是有过。哈哈哈!”
牙拍着手大笑起来,旁边,油女志乃像是在说“到头来还不是会这样”似的,轻轻叹了口气。佐助用余光瞥了一眼鸣人。鸣人的脸颊渐渐泛红,張り詰めた空気が少し弛んだように思えた。比方说,将金发剪得很短的后颈意外地纤细,又比方说那双蓝眼睛像孩童的似的,眼白部分清澈透亮、闪闪发光,被太阳晒过的肌肤光滑细腻、没有一处斑点,笑起来的时候嘴角会软软地扬起——像这样,鸣人身上每一个不经意的小细节,都格外吸引佐助的目光,而他自己长期以来一直假装没有察觉。

他们不过是“普通”的挚友。自己曾经有一段时间真的想杀了鸣人,鸣人也曾豪言如果彼此作为敌人战斗那就只能共赴黄泉,甚至最后还友好地互相扯断了一条手臂——既然鸣人说这是不超出朋友范畴的情感表达,那大概就是这样吧,佐助选择效仿。

其实前世是缘分深厚的兄弟转生者——这个安排得过于巧妙的命运,在世界危机过去之后也算不得什么了不起的事实。如今十余年过去,这件事已经沦落为与“我们生来就是邻居家的发小”同等水平的偶然。
佐助对此并不介意。对他来说,鸣人是自己出生以来第一个真心接纳自己的人,是并非家人、却比家人更亲近的外人。正因为有他,自己即便背负着灭族之恨带来的无数阴暗沉重的过去,也依然能够去爱别人。
如今的佐助在出生的村子里有了温暖的家庭,还有了可爱的女儿。于他而言,教会他如何去爱人的鸣人,其存在无可替代。自己肉体上的欲求,与那份崇高的爱相比,不过是尘埃罢了。
就像此刻,他被炸天妇罗的油濡湿的厚唇格外显眼,但只需要轻轻移开视线,灌下一大口烈酒,涌起的欲望便会烟消云散。这样就好。他轻轻呼出被酒精灼热的气息。
将酒杯放回矮桌上,指尖触及榻榻米粗糙的草面,邻座之人的手指却覆了上来。仅此而已,心脏却漏跳了半拍,大概是因为微醺而情绪高涨吧。佐助若无其事地移开了相触的手指。
视而不见、听而不闻、佯装不知——这十几年来,他早就习惯了这样不停地假装。他自嘲自己是个无聊的男人。然而,比起固执己见毁掉好不容易建立的美好友情,他宁愿扼杀自己,让美好的事物保持原样。成为大人,或许就是学会这样吧。
“咦,鸣人,你没玩过百力滋游戏吗?”
坐在斜对面的犬冢牙夸张地大声说道。他这个人表里如一,确实是个好人,可就像率领着一大群狗的领袖一样,平时嗓门就大,喝了酒之后音量更是水涨船高,这一点实在是不太讨喜。
抱着“多一事不如少一事”的想法移开视线举起酒杯的佐助旁边,被点名的鸣人噘着嘴说:
“没玩过。不知道那种游戏。”
“哈?你还是老样子,小孩子气啊〜”
“吵死了。”
明明平时拼命练习色诱之术,鸣人却出乎意料地腼腆,在这方面意外地生疏。年纪轻轻就成了英雄,不用费劲就很受欢迎,这也是他能保持腼腆的原因之一。更何况他很早就结婚生子了。和至今仍然单身的牙,战斗的舞台都不一样。
直到有女朋友之前,每周末都忙着参加联谊的牙,把鸣人厌烦的表情当成优越感,觉得很不爽。他手肘撑着桌子,发着牢骚。
“连ポッキー游戏都不知道,火影大人这样真的好吗~?”
“牙——”
油女志乃从旁边戳了戳他,想劝他住口,但被他一把甩开,大口喝起啤酒来。玻璃杯“咚”地放在桌上,他用下巴指了指坐在鸣人两侧的顾问和暗部长官。
“我说你们是不是把火影大人宠坏了啊?ポッキー游戏什么的,是常识吧,常识。不教他点常识,重要的火影大人可是会被笑话的哦”
“吵死了牙,别为这种无聊的事纠缠不休。”
坐在旁边角落里的鹿丸用强硬的语气开口,佐助在心里表示赞同。说起来,跟牙相比,他们俩都是和鸣人站在同一舞台上战斗过来的同伴,所以牙的心情,其实他们并不明白。被所有人异口同声地说“吵死了”“无聊”,牙更加恼羞成怒。
“干嘛啊!你们一个个都瞧不起我!”
“牙,不是那样的”
“不是那样是哪样啊!再说了,这家伙连亲嘴都只跟雏田亲过!我可知道啊!全是雏田告诉我的,我都知道!”
啊,酒喝上头了,包括佐助在内,在场的大多数人都感到无语。大家都是成年人,知道这时候跟牙唱反调只会适得其反,最好的办法是敷衍着哄他、让他再多喝点、转移他的注意力。实际上,坐在旁边的志乃已经若无其事地拿起啤酒瓶准备给牙倒酒了。
然而在场喝上头的人其实还有一个,他用难得清晰的声音明明白白地说道:
“只亲过雏田,这个说法不对吧”
一时间,整个场面像是被打了闷棍般鸦雀无声。
突然开口的祭,吸引众人的目光后,像往常一样露出一个皮笑肉不笑的笑容。
“我虽然不清楚细节,但鸣人的初吻对象是佐助君吧”
在冻结的空气中,佐助隔着鸣人看向祭。祭与佐助目光相遇,不怀好意地勾起嘴角。佐助明白了——这是报复。完全摸不着头脑的鸣人夹在中间,茫然地左看看右看看。
「啊,那个…」
笨蛋。这种时候就应该装傻说“是这样啊。所以呢?”
在佐助咂舌之前,牙噗嗤一声笑了出来。
“对啊,你们俩,确实是这样!哈哈哈哈!”

牙放声大笑,拍了拍桌子。鳴人这下子倒是想起来了。因为从童年开始就是冤家路窄的对手,佐助是鸣人最初的对手,也是最初的恋人这种事——当事人本人虽然有这种自觉,但在第三者眼里不算是事实。这是一个被他彻底封藏在记忆角落的秘密,包括那场接吻。

“啊——,那个啊。那是,那个……那啥,就那个,该说是事故还是啥呢……!”
鸣人满脸通红地打着手势想蒙混过去。佐助想,你这个蠢货。这里应该一脸茫然地装傻说“你说啥呢?”才对。这样明目张胆地动摇,不就等于承认了么。坐席上掀起一片“哦哦〜”的起哄声,鸣人的脸颊在视线汇聚下越来越红。

新刃木漏れ日 (0)  『あの日の僕ら、その後の君と、』(5)
三門 (HP: 100 / MP: 0)

大の字に転がる鳴人を見下ろして、サスケは、この間の日曜、わりとどうでもいい理由で開かれた同窓会で、奈良シカマルから言われた言葉を思い出していた。確か、ポッキーゲームの騒動があって、サイがふんふんふふーんふーんと軽快な鼻歌を乗りこなして逃げるように宴会を中座した後のことだ。
「怒ってんのか?」
何に対してだ、とすっとぼけたサスケに、シカマルは顎で隣の席を示した。落ち込んだ様子のナルトが、不意に声をかけると、あ、うん、と上の空な返事をして笑った顔は、泣き出しそうな顔だった。自分はあの男の幼い頃からの笑顔の意味を一番知っている方だと自負しているので、あの笑い方をする時のナルトは、何か大きな悲しみや苦しみを必死に隠しているのだとすぐにわかる。
「お前のあれだろ。好き避け、ってやつ」
シカマルに言われて、ぐうの音も出なかった。図星だった。指摘され、我に返ったナルトはあわあわと手を振り、顔を赤くして喋り出す。
「なッ、なんでだってばよ! オレはサスケと、仲良くして、ただ、その、こう、家族みたいなもんだし、小さい頃から兄弟みたいに育ったし、そ、それでだな…」
「あー、わかったわかった。わかったから落ち着け」
だめだこいつ、とばかりに呆れた顔でシカマルがナルトの肩をぽんぽんと叩く。
「ここは、うまく誤魔化して自分で落とし前つけておけばよかったんだ。ナルトがハッキリ言っちまったせいで、キバが調子に乗るんだよ」
「だって、ヒナタは俺が初めての男だって言ってたけど、俺のファーストキスの相手はサスケだし、事実だし…」
お前の恋人との営みの詳細など露ほども知りたくない、とサスケは酒を一口含んだ。今夜の酒はよく回る。飲みすぎないように気をつけなければ。まだ娘に手のかかる年齢だ、自分が潰れるわけにはいかない。
因みにファーストキスの相手が自分だったという件は、ナルトの言う通り確かに事実で、サスケにも覚えがある。
とは言え、あれはあくまでもナルトの口寄せの術の修行に付き合った結果の事故みたいなもので、端的に言えば、あの時巻物を奪還するために口寄せの術を使ったナルトが、巨大なカエルを呼び出すための代償として口に含んでいたものに、サスケの顔面があった。つまり、あれはキスではない。あれは事故だ。事故の最中に変な音が鳴ってしまって鼻がぶつかって、ナルトは三針、サスケは一針縫う怪我を負ったが、何で怪我したのと問われたらば事故です、としか言いようがない、後にも先にもあれがナルトとの初めてのキスだった。

こういう、『昔のこと』を急に持ち出されると、サスケはうまく呼吸ができなくなる。望まれなければ忘れ去られるような記憶も、案外残酷に鮮明なままだ。
心拍数が上がっていく。心臓がうるさい。脈を吐く息を整えろ、とサスケはサイを殺したい気持ちを拳に込めた。
「…ん、」
深く息を吸い込み、抑え込んだままの激情を、上からゆっくりと押さえつける。落ち着け、あれは戦場の、あれは忍として、あれは戦略のための、そういった正当化しやすい理由を列挙する。この十年以上、ずっとそうしてきた。それなのに、
「まあ、そうだな」
自分の口が勝手に肯定している。馬鹿なことをしたと一瞬で後悔する。一呼吸の後に、スッと上がった口角をどうにか下げられないままため息を吐く。
「お前が覚えてるのかよ、そんなこと。気持ち悪いな」
心にもない言葉を口にしながら内心、期待で心臓が五月蠅い。サイが、ナルトに、反応するだろうか。嫌がるだろうか、怒るだろうか、赤くなるだろうか、どきりとするだろうか。たかが一度きりの口づけの思い出が、ナルトの胸の中でどんな位置にあるのかを知るのが怖くて、同時にどうしようもなく怖い。
「あんだとコラ、てめぇ、」
バカみたいに純粋に怒り出すキバにいらつきながら、サスケはサイの言葉を待った。けれど、生憎とサイの皮肉はそれ以上は続かなかった。ナルト本人が否定してしまったからだ。
「そうかなあ? オレ、サスケとした覚えねぇけどな」
「え? あれはサスケ君だったよね?」
意外なことにサイは困惑した顔をしていた。あれ、というように首を傾げる。思わずサスケは苦い顔をした。
そういえば、記憶を失っていたあの時代があったっけ、と、サスケは遠い昔のことのように思い出す。これは今だからこそ穏やかに思い出せるが、当時は最悪な気分だった。自分が全く覚えていないところで自分達は因縁を紡いでいた、その事実だけが、暗い穴を覗き込んでいるような気分にさせたものだ。
「どーでもよくない? それ」
ナルトがなんとか言って話を終わらせようと口を挟んでくれた。そのまんまのことを、サスケも思う。知っているか知らないか、覚えているか覚えていないか、そんなことはどうでもいい。確かにあの時のキスは、経緯が経緯だ。最早語るに落ちる。
あの日のことは、二人の間ではまるで語られていない。泣きわめくナルトに押し倒されて腕を掴まれて、自暴自棄に唇を重ねたのは、今から十六年前のこと。思えばあの時から自分の煩悩はナルトという器に注ぎ込まれてしまっていたように思う。無自覚に。
当時のナルトに、そういった性癖があるとは思わない。思わないが、もしもなければなかったで、もう少し彼を大事にした。もう少し優しい言葉をかけられた。あの日の、呆然と目を見開くナルトの顔が頭をよぎり、サスケはわざと咳払いをした。
あれからもう十年以上も経ったのに、あの日の精悍な印象は、ちっとも薄らぎやしない。
「ちょっと、サスケ君?」
うつむきがちに唇を濡らしたところで、向かいからシノに呼びかけられた。うつむくとはにかんだ表情が誰かに見られた気がして、サスケは心臓が跳ねるのを自覚した。もしかして、何か、顔に出ていただろうか。
「あ、いや、酒、うめぇなと思って」
しどろもどろに誤魔化したサスケに、シノは「そうか」とだけ言い、何もなかったように視線を戻した。
キバはというと、ナルトに聞かされたのだという爆弾発言にサイが便乗した形で皆の関心が己から外れたのをいいことに、機嫌を直してまた呑気に酒を煽っている。あいつが空気を読めるときと読めないときの差が激しすぎるのが、たまにこうして問題を起こすのだ。
サスケはきつい酒の熱い喉越しに、隣のナルトを視界の端に捕らえてじっとする。
ナルトは目に見えて動揺していた。頬がうっすらと赤い。火影になってもおめかしをしないせいで、ラフなTシャツ姿のままである。ただしその色は真っ白だ。火影の仕事着ともなると白が多い。ちぐはぐなオレンジ色のアノラックも、チャクラを乱さないための金属類をひとつも身につけていないことも、心配性の部下たちの意向が反映されていると聞いた。
この小さな席の上では、ナルトを挟むようにして上座の相談役と下座の暗部長官という仰々しい護衛がついているものの、今のナルトの表情は昔とさして変わらない。酒で赤くなった首筋をてらてらと光らせて、目尻を下げて愛想笑いを浮かべる様は、落ちこぼれと云われた少年時代のそれと似ていた。
あの幼い日の、“お前は放っておいても大丈夫だろ”とサスケが何の気なしに放った言葉に子どもながらに怒り、ナルトが突き飛ばした石段の上で、自分は一体何をそんなに恐れていたのかを思い出そうとする。あの時、彼に放った言葉の数々、全部忘れてしまえばいいと心から思う。
今のサスケに、あの頃のようなナルトへの屈折した感情はない。恋人でもないのに執着していることは自覚しているけれど、あるいは他人の視線を集める彼の、その存在を自分だけのものにしたいと思ってしまうことは今もなおあるけれど、それを実現させる術は知らない。知らないから、今のところは、友人という枠組みが心地よい。
記憶の中のナルトは、中学生のそれのように背がぐんぐんと伸びて、自分を追い抜く寸前だった。いつか追い越されるかもしれない、いつか自分は置いて行かれるのかもしれないと思っていたのに、蓋を開けてみれば置いていったのは自分だった。
そうか、サスケは今更のように思う。自分はもうとっくに知っていたのだ。逃げも隠れもしない真正面の光を、あの少年の日からずっとずっと見つめていた。隣にいて、眩しくて、綺麗だと思っていた。失うものなど、何もないと思っていたあの頃は、その光はひたすらに遠かった。果たして今の、失うものが増えてしまった自分は、彼と同程度の光を手に出来ているのだろうか。いや、出来ていない。それは自分自身が誰よりもよく知っている。彼だけが光であり、自分は彼に照らされる月だ。
彼に触れるたび、我に返る。
彼に触れるたび、幸福で心臓が潰れそうになる。
彼に触れるたび、やっぱり自分は。
サスケは、その続きをいつも口の中で噛み殺してしまい、結局心の中で何度も何度も呟く。まったく、自分はこの先死ぬまで延々、この繰り返しなのだろう。
だからこそ今夜は、これにケリをつける。遠くで最初の花火が上がった。知らせを受けて待ち合わせた“いつもの”居酒屋。今年も開かれた、忍界の英雄である彼の、戦没者慰霊式典の後の慰労会。今夜は、その二次会だった。
酔いが回り、皆が思い思いの態度でくつろぎ始めた頃を見計らって、サスケはしれっと立ち上がった。行きましょう、とだけ短く言って。
するりと抜け出して座敷の暖簾をくぐる。冬の澄んだ空気が、酒で火照った頬に当たって冷たく、気持ちが良かった。もうすぐ三十路になる身には、騒がしい夜はこれくらいで丁度いい。
店の外に出ると、目の前を春野サクラが歩いていた。三十二歳の彼女はこういう席ではだいたい、酒が強いのでみんなの面倒を見る側に回る。
「あれ、サスケくん、もう出るの?」
「ああ。手前の方は片付いた」
「そっか。ナルトは?」
「中でサイに絡まれてた」
サクラがくつくつと笑う。あの二人はお互いに絡み合って傷の舐め合いをしているようで微笑ましいのだ、と何度か言っているのをサスケも聞いたことがある。
「あのサイのヤツ、ちょっと意地悪いとこあるからなぁ。ま、ナルトがサイにやられてるとこなんて滅多に見られねぇから、あれはあれでおもしれぇけど」
「…やっぱお前もか」
サスケが言うと、サクラが悪びれない笑顔で「お前もって言うことは、サスケもそう思ってんじゃん」と軽快に返す。指摘されて、サスケは無意識にやや眉をひそめていたらしい。気づかれたか、と苦笑する。
「昔はああやって無鉄砲に怒鳴ってばかりだったのが、今はひどく怒りが丸くなったもんな」
確かにそうだ。木の葉を飛び出し、世界を巡り、大人になって戻ってきたナルトは、以前に比べればずいぶん丸くなった。何にでも真っ直ぐに突っ込んでいって、その熱さで周囲を引きずり込んでいたかつての彼を知る者からすると、今のナルトは激情も熱情もそこらにいる普通の大人とそう変わらない。
サスケは盃を口に運びながら、少しだけ、そのことを残念に思っている自分がいるのに気づいている。人が変わったように丸くなるナルトを、もしかしたら自分はひっそりと欲していた。しかし今のぬるま湯に浸かった穏やかな日々も悪いものではない。彼が人間として苦労を重ねて丸くなったのだと思うと、俺がその心の平穏を手に入れるのに一役買えたのかもしれない、という満足感のようなものもあるのだ。サスケは己の分際をわきまえて、生涯、彼の平穏の、傍観者でいることを選んだ。
あれからどれだけ経っただろう。ふと我に返ると、サスケの隣に座るナルトが、つまらなそうに頬杖をついて、空になったラーメンの器を弄っていた。座敷机に置かれた酒の瓶はもう二本も空になっていた。つい先ほどまで真面目な顔をして警備の編成について相談していたのが嘘のように、幹部連中の大半は千鳥で真っ二つに割った酒瓶の残骸と化し、湿っぽい話を始める者、笑い上戸になってゲラゲラ笑っている者、誰彼かまわず抱き着き始める者、酔っ払いの定型行動をそれぞれ披露し始めている。
その中の一人として自分も飲んでいる、という実感はあまりない。今日は朝から酒を飲みたい気分だったし、飲んでみると気分が良くなった。もっと飲みたいとは思わない。酔うというよりは、ほろ酔いというよりも、少し頭がぼうっとするくらいで、行儀よく振る舞うには十分すぎるくらいの、絶妙な酩酊具合だった。だというのにさっきから脳裏に浮かんで離れないのは、物憂げにテーブルに突っ伏す横顔で。
ぽつり、と独り言のようにこぼす。
「……色っぽいなァ」
「ん? 何だって?」
聞き取ったナルトが首を傾げた。サスケは「なんでもねぇ」と首を振って杯を口元に運ぶ。
酒のせいだ。きっと、酒のせい。アルコールが血中で暴れて気の迷いを起こしているだけだ。むしろこの程度のことですんなり流せるようになった自分を褒めるべきなのだろう。サスケは酒で喉を湿らせて、意識を正面の上段の間へと向ける。
座敷机の向こう側にはカカシ先生がいた。 温厚な目元は相変わらずだし、下忍の頃と変わらず寝癖のついた銀髪も、分厚い本を開いていた指は、所々骨張って節くれ立っているが、あの頃と変わらない。
火影としての勤めを終えた男は、気のおけない仲間内だけで開く小さな宴を、満足そうに眺めている。きっと彼は、誰より穏やかな気持ちで今この場にいるのだろう。対してこちらは。
最悪だ。とサスケは思う。
先ほどから隣から伝わってくる体温と匂いで、酒の味が全然しない。 いっそ酒に逃げようにも、自棄酒のように一気に喉へ流し込むほど、腹が据わっているわけでもない。

「やめろよサイ、そーゆうの」
ナルトは目尻を下げて困ったようにへにゃりと笑う。ナルトがそういう表情を見せる時は大体自分の恥ずかしい過去を掘り返された時だと知っているから、サイが一体何を口にしようとしているのか、サスケにはすぐに見当がついた。
「サスケ君のポッキーが食べたかっただけ、なんでしょ? 一年の時の文化祭の後夜祭の時もそうだったよね」
「あーッ、サイ、てめェ…!」
「僕も当時は驚いたなぁ。真面目なサスケ君がね…」
サイの言葉尻を引き取ったのは、サスケの向かい側で腕を組んで座っているタカクランだった。彼はもう酒のグラスも手元になく、盆に突っ伏していた。すっかり酔いが回ったらしい。
犬塚はともかく、サイまで味方につけているとなると、これは長くなりそうだとサスケはグラスを置いた。少し腹が立っていた。
口元に出すかどうかは別として、正直腹が立っている。遠い昔のことをわざわざ持ち出して、こういう席で蒸し返すことはないだろうに。当人であるナルトもナルトで、状況が掴めず取り巻く空気だけを察してぽかんとしている。
気づいてしまったことを、なかったことにはできないように、知ってしまったことは、なかったことにはできない。ならば問い詰めるしかない。このままじゃ自分は、あの日の――今はもう取り戻せない過去の話だ。サイの奴、酒の勢いとはいえ、よくも、こんな話を引っ張り出せたものだ。サスケは内心で舌打ちした。
言ってしまえば何のことはない。昔、ナルトと二人でスパイ任務に出た時、餌を与えるためとはいえ強引にキスした。あれはサスケにとってナルトとのファーストキスであり、ナルトにとってもそうであるはずだ。‥‥‥のはずだ。恐らくは。十中八九。ナルトの言葉を借りるならば『確か100%』。
忘れもしない。チーム分けが変わったことに拗ねてろくに任務に身が入らないナルトをどうにかしようと、例の方法で仕留めた時だ。
病み上がりとはいえ、当時のナルトは並の人間なら気絶するような雷遁の手裏剣を生身で受けて、おまけに自分の手のひらの小さな切り傷から命を繋ぐ自分の血を飲まされて、意識こそ朦朧としていたものの、反抗の意思はまだ失せていなかった。
「イタチを知ってるか?」
サスケは倒れたまま起き上がれずにいるナルトを見下ろして言った。
「お前が知らないのなら、俺が教えてやる。……イヤ、俺の…知っている、イタチの情報を、教えてやる」
数日ぶりの共闘で、相手が仮にも自分を唯一の親友だと言ってくれた男に対して、自己紹介もそこそこにこれである。今振り返れば、本当に不器用で、暴力に訴えるしか能のないどうしようもない男だ。あの頃のナルトに暴行した己の拳の重さを、今でも時々思い出しては吐き気を覚える。
ところが、である。彼とて、自分ばかりが悪人面をするのは癪だと言わんばかりに、ナルトはその後年頃の少年らしい溌剌とした憎まれ口を、さんざん叩いてくれたものだ。こちらが留守の時は勝手に自宅の冷蔵庫を空にして勝手に寝て行き、帰宅したところをひとしきり絞ってやると、土下座して謝ってくる。それでなくとも昔から土下座耐性が高い男だったので、本人曰く、『サスケの部屋に上がり込んで何か食う』という行為自体は「とてもすんなり心に馴染む」らしい。他人の所有物を盗っている自覚がないのは相変わらずだ。生まれつきの癖なのか、はたまた俺に甘えているのか。
そんなことはもうどうでもよかった。
気がつけば、怒りと、悲しみと、憎しみと、恨みと、呪いと、怨念を植え付けたあの日々は、名前を呼び合うような微かな掛け合いと、失ってしまった親友の証を埋める様に重ねた他愛のない会話の数々で、ずいぶん柔らかく塗り替えられている。
忍の里も大分近代化され、あの木の葉の里の紋章が入ったインテリア雑誌を書店で見かける時がある。お気に入りのクナイホルダーを作ってくれる職人がいるのでずっとこの里に居ついている、とかいう保護猫の保護主、ひいては里の猫カフェの看板猫。
ナルトは今や、世界の危機を九尾と共に救った、次代を担う火影の片腕として国民的アイドルである。七代目火影の器を固めつつある英雄が、こたつでみかんを食べながらテレビを見ている時のような何の衒いもないリラックスした顔で、酒の席でチンタラチンタラと
佐助轻易就想象出这种情况,他打断了祭的话。虽说佐助也是木叶出身,但近年木叶隐村的发展确实令人瞩目,每次回来都会发现高楼多了几栋、雷车多了几趟、飞艇在天上飞、街上行人的衣着也变得光怪陆离,连佐助都难免感到惊讶。

七代目火影就任之后,市井的热闹景象更是与日俱增。当然,经济不可能什么都不做就凭空增长。就像植物一样,每天的浇水、施肥、光照都很重要,大大小小的巧思不断积累,最终才能开花。大战之后,为复兴竭尽全力的五代目、六代目火影功不可没。

两人肥沃了经济的土壤,七代目火影让花朵绽放。当然,卡卡西一直在仔细留意机会,在花开前夕将位置传给了鸣人——这件事佐助是知道的。

佐助只是觉得,这样村子赚到的资金就能让鸣人想实现的梦想更容易成形,这样很好。政治比一般人所想的更花钱。但市井之人似乎想的不是这个,而是为什么那些钱没有落到自己头上。

对于身为村创时期因缘因果尽头被灭族的一族后裔的佐助来说,这个问题的根源已经一目了然。

但根据小樱的说法,事态似乎已经紧急到需要马上处理。与其先去解决耗费时间和精力的根本原因,不如先把脚下正在燃起的火扑灭。

佐助对小樱说:

“既然能潜入火影室,火影的人身安全也正面临威胁。”

小樱点了点头。

“我知道。”

“快找出内奸。”

“我知道。但这不是一朝一夕能查出来的,所以先限制能进出火影室的人员,增加火影的护卫……”

“……你们办不到的话,我来也行。”

小樱回望那凝视着自己的独眼。幽深的森林中,两个男人之间气氛紧张。

“只要七代目同意就行。可以交给你。”

像是被教训了一样,佐助很不爽。小樱摊开双手,仿佛在说“但也没办法吧”。

“你太强了,而且毫不留情。要是交给你一次,对方不就被你彻底摧毁了吗?”

“那有什么不好?”

“不是不好哦?不是不好。想把不讲理的家伙揍扁的心情,我也懂。但是一旦允许你这么做,就等于认同什么事都可以用压倒性的暴力解决。……你大闹一场之后留下的焦土,要收拾的人可是鸣人。你无所谓的话就去做吧。”

佐助放下了绷紧的肩膀。

“我自有分寸。”

他像是辩解般说道,却得到这样的回应:

“佐助,你现在在生气吧。你一生气,基本就干不出什么好事。”

因为说的是事实,佐助闭上了嘴。

サイ发现言过其实,咳了一声清嗓子,终于切入正题。

“那个,所以鸣人从早上开始就情绪低落。鹿丸很担心他。”

“是吗。”

佐助将卷轴收入怀中。他对サイ的话已经提不起眼前的兴趣了。总之,就是被说“你太粗暴别插手”,心里有点不痛快。直白说就是在闹别扭。

サイ抓住了正要转身离去的男人的手臂。

“话还没说完呢。”

佐助不太喜欢被他人触碰。此刻也立刻甩开サイ的手,用冰冷的眼神看着他。

“我要走了。工作的事已经说完了吧。”

“还没说完呢。然后鹿丸说今晚要办个小酒会。和工作无关的朋友之间的酒会。为了给鸣人打打气。你也来吧。”

“不去。”

“为什么?这里离村子很近吧。费用我们出。”

佐助皱起眉头。

“不是钱的问题。这种事是你们的职责吧。那种、给他打气或者鼓励的……”

“我们分量不够。不是你的话帮不上忙。看那样子鸣人大概只是没表现出来,其实真的很消沉。现在的鸣人,非你不可,不是别人,这种事以前也发生过很多次了,你明白的吧。”

佐助还是第一次看到这位冷静沉着的暗部之长如此显露私情。看来对他来说,鸣人也是非常重要的存在。在惊讶的同时,佐助也隐约感到一丝不悦——鸣人与自己之外的其他人,竟也在心灵深处有着深刻的联系。

没错,鸣人从来都能和任何人迅速成为朋友。而凡是接触过他性格的人,不知为何都会深受影响。鸣人除了自己之外,还有很多挚友。

可即便有那些挚友在,对方却说出“不是他们,只有你才能帮助他”这样的话,佐助为此感到高兴。这份与鸣人之间牢固的羁绊,在旁人看来,他们两人果然还是异样的。两人都已各自成家,有了孩子,年过三十,却仍被看作命运。这让他很高兴。

佐助还想再听一会小鼬的恳求,面无表情地站在那里,小鼬却突然收起表情,瞬间重新戴上了暗部部长的铁面具。

「既然有余裕沉溺在带着优越感的喜悦里,那不如轻松地去个小小的酒会。现在的鸣人可没那个闲心。」

被泼了一盆冷水的佐助眨了眨眼。就像被禁酒的酒鬼小口舔着杯沿一样,用微不足道的优越感来掩饰那份永不可能实现的爱恋的空虚,这种无聊的坏习惯被人察觉了。

佐助老实说,他之前是有些小看小鼬的。不愧是长期在暗部待着的人,很擅长解读他人的情感。

并且,他在拼命支持鸣人,自己却在他面前摆出从容的样子,这一点让他有些反省。无论是鼓励人还是给人打气,佐助都不擅长,但如果真的重视对方,不擅长这种意识不过是微不足道的自我,应该被丢进垃圾桶。

是啊,连同自我,把这经年累月淡淡的恋情也一起丢掉吧。佐助轻而易举便能想象出个中情形,他打断了小鼬的话。虽说那是自己的故乡,但近年来木叶隐村的发展可谓日新月异,每次回去,不是高楼大厦变多了,就是雷电交加,或是飞行船在空中翱翔,街上行人的衣着也变得光怪陆离,连佐助也不至于完全不感到惊讶。

七代目火影就任以来,市井的热闹更是一年胜过一年。当然,经济不可能什么都不做就凭空增长。它和植物一样,需要日复一日的浇水、施肥、光照,微小的努力日积月累,才能最终开花结果。大战之后,为复兴尽心竭力的五代目和六代目火影功不可没。

两人肥沃了经济的土壤,七代目火影让花绽放。当然,卡卡西一直在审慎地观察时机,在花开前夕将位子让给了鸣人,这一点佐助心知肚明。

佐助只是觉得,这样一来,村子赚到的资金能让鸣人想实现的梦想更容易成型,这样挺好。政治比一般人想象中更花钱。但市井之人似乎想的不是这个,而是为什么那笔钱没有落到自己头上。

对于身为村中创建以来因缘际会而灭亡的一族的后裔的佐助来说,这个问题的根源早已一目了然。

但听小井的话,事态似乎已迫在眉睫,比起解决既费时又费力的根本原因,首先得扑灭脚下正在燃起的火。

佐助对小井说道。

“能潜入火影室,意味着火影的人身也面临危险。”

小井点点头。

“我明白。”

“快找出内奸。”

“我知道。但今天明天估计没戏,所以先限制能进出火影室的人,增加火影的护卫……”

“……你们办不到的话,我可以来。”

小井回望那双盯着自己的独眼。幽深的森林中,两个男人之间气氛紧张。

“要是七代目说可以,我就交给你。”

被像管教似的说了一句,佐助心里很不痛快。小井却一副“那也没办法吧”的样子摊开双手。

“你太强了,也太不留情面了。要是交给你一次,你会把对方彻底揍个稀巴烂吧?”

“那有什么不好?”

“不好倒也不算不好?不算不好。想揍扁那些不讲理的家伙的心情,我也明白。但要是默许你那么做,就等于是认可了什么事都可以用压倒性的暴力来解决。……你大闹一场后留下的焦土,去收拾的是鸣人哦。这样也无所谓的话,那随你吧”

佐助卸了肩膀上的力气。
“我也有分寸的”
就算像辩解一样说出口,
“佐助,你现在在生气吧。你一生气就没啥好事”
却被这么回了一句。因为说的是事实,佐助闭上了嘴。
サイ发现自己说过了头,清了清嗓子,这才切入正题。
“那个,然后鸣人他从早上开始就一直很消沉。鹿丸很担心”
“是吗”
佐助把卷轴收进怀里。他对サイ的话题已经不抱眼前的兴趣了。总而言之,因为被说“你太粗暴了,别插手”,他有点不高兴。说白了就是在闹别扭。
サイ在他就要这样离开时抓住了他的手臂。
“话还没说完呢”
佐助不太喜欢被人触碰。现在也立刻甩开了サイ的手。用冰冷的目光看着他。
“我要走了。工作的事已经说完了吧”
“还没说完。然后鹿丸说今晚要办个小酒会。和工作无关的朋友之间的酒会。为了让鸣人振作起来。你也来吧”
“我拒绝”
“为什么?这里离村子很近吧。费用我们出”
佐助皱起了脸。
“不是钱的问题。那是你们的职责吧。那种事,给他打气啊鼓励什么的,”
“我们不够格啊。他说只有你才能帮上忙。他那个样子,大概鸣人只是没表现出来,其实非常沮丧。现在的鸣人需要的不是其他任何人,而是你。这种事,至今为止发生过那么多次了,你应该明白的吧”
佐助还是头一次看到冷静沉着的暗部之长如此暴露私情。看来对他来说鸣人也是非常重要的存在。惊讶的同时,鸣人与自己以外的其他人也在心灵深处相连的这个事实,让他隐隐有些不快。
没错,鸣人从以前起就能和任何人立刻成为朋友。而且无论谁接触到他的品格,都会莫名其妙地被深深影响。鸣人除了自己以外还有很多挚友。
然而,即便是那位挚友,也不得不承认“不是其他人,只有你才能救他”——这份自己与鸣人之间坚固的连结,让佐助感到喜悦。在外人看来,他们两人果然还是很特别的。明明各自都结婚了,也有孩子了,都年过三十了,依然看得出是命运。他很高兴。
佐助还想听听サイ的恳求,面无表情地站着。サイ却忽然收起表情,眨眼间重新戴上了暗部部长的铁面具。
“既然你有余裕沉浸在那股优越感的喜悦里,那去去小酒会又有什么关系。现在的鸣人可没心思管这些。”
被泼了冷水的佐助眨了眨眼。就像被禁了酒的酒鬼小口舔着杯沿一样,用微不足道的优越感来掩饰永远无法实现的恋慕之情的空虚——这种无聊的坏习惯,被他看穿了。
老实说,佐助一直有点小看サイ。不愧是长期待在暗部的人,他似乎很擅长解读他人的情感。
而且,面对为了支持鸣人而拼命努力的サイ,他对自己那副从容不迫的样子也有些反省。鼓励别人也好,让人振作起来也好,佐助虽然不擅长,但如果真的重视对方,这种不擅长的意识不过是微不足道的自我,应该被扔进垃圾桶。

是啊,连同自我,把积年的淡淡爱慕之心也一起丢掉吧。佐助很容易想象出大概,便打断了佐井的话。虽说那是自己的故乡,但近年来木叶隐村的发展令人瞩目,每次回来都发现高楼多了、雷电奔走了、飞艇翱翔了、街上市民的衣着也变得花哨起来,连佐助也不得不感到惊讶。

七代目火影就任以来,街市的热闹更加速增长。当然,经济不会像植物一样,什么都不做就突然成长。就像植物一样,每天的浇水、施肥和日照程度都很重要,大大小小的工夫积累起来,才能终于开花。大战后,为复兴尽心尽力的五代目和六代目火影的功绩也很大。

两人肥沃了经济的土壤,七代目火影让花朵绽放。当然,佐助知道卡卡西一直仔细观察着时机,在花开之前将位置传给了鸣人。

佐助只是觉得,这样一来,村子赚到的资金能让鸣人想要实现的梦想更容易成形,这样就好了。政治比一般人想象的更花钱。然而,市井的人们似乎想的不是这样,而是为什么那笔钱不落到自己头上。

对于在村子创立以来的因缘因果尽头被灭族的一族的后裔佐助来说,这个问题的根本他已经看得很清楚了。

但听サイ所说,事态似乎紧急,比起花时间费工夫解决根本原因,首先得扑灭脚下正在燃起的火。

佐助对サイ说。

“能潜入火影室,意味着火影的人身安全也面临危险。”

サイ点点头。

“我知道。”

“尽快找出内通者。”

“我知道。但今天明天估计是没指望,所以先限定能进出火影室的人,增加火影的警卫……”

“……你们不行的话,我可以来。”

サイ回望着那双盯着自己的独眼。深邃寂静的森林中,两个男人之间气氛紧张起来。

“要是七代目说可以的话。那就交给你。”

像被管教一般的话语让佐助不太愉快。サイ摊开双手,仿佛在说“可这也没办法啊”。
“你太强了,也太不留情面了。而且这次一旦交给你,你肯定会把对方彻底打垮吧?”
“那有什么不好”
“不好倒是不好? 不好是不好。想把不懂事的家伙痛扁一顿的心情,我也懂。但要是我允许了的话,就等于是说一切都可以用压倒性的暴力来解决。……你大闹一场之后留下的焦土,要收拾的人是鸣人哦。如果那样也无所谓的话你就去做吧。”
佐助放下了绷紧的肩膀。
“我也有分寸的”
即便像是辩解地说,
“佐助,你现在在生气吧。你一生气,就干不出什么好事。”
被这样回了一句。因为是真的,佐助闭上了嘴。
サイ注意到自己说过头了,干咳一声,终于转入正题。
“嗯,那个,然后鸣人从早上开始就一直很消沉。鹿丸在担心他。”
“是吗”
佐助把卷轴收入怀中。他对サイ的话已经失去了眼前的兴趣。总而言之,他被说“你太粗暴了别插手”,心情有些受损。说白了就是在闹别扭。
サイ抓住了正要转身离去的男人的手臂。
“话还没说完呢”
佐助不太喜欢被人触碰。他立刻甩开サイ的手。用冰冷的眼神看着他。
“我要走了。工作的事已经说完了吧”
“还没说完呢。就是今晚想办个小酒会,鹿丸说的。和工作无关的朋友间的酒会。为了让鸣人打起精神。你也来吧”
“我拒绝”
“为什么?这里离村子很近啊。费用我们出”
佐助皱起眉头。
“不是钱的问题。这种事是你们的任务吧。那种事,让他打起精神、鼓励他之类的——”
“我们不够格啊。只有你才能帮上他的忙。看那副样子,鸣人表面装得没事,其实消沉得很。现在的鸣人,不需要其他任何人,非你不可——这种事,以前也发生过很多次,你应该明白吧”
冷静沉着的暗部部长如此显露私情,佐助还是头一次见到。看来对他来说,鸣人也是非常重要的存在。惊讶的同时,鸣人与自己之外的人也有着深刻羁绊的事实,让他隐隐有些不悦。
没错,鸣人从以前起就和谁都能立刻成为朋友。而且只要接触到他的人格,不知为何谁都会被深深影响。鸣人除了自己以外还有很多挚友。
然而,即使拥有那些挚友,他们也会说出“不是我们,只有你才能救他”这样的话——自己与鸣人之间如此牢固的羁绊让佐助感到高兴。即便在旁人看来,他们两个人也果然是与众不同的。即便彼此都已婚,有孩子,过了三十岁,依然看得出是命运。他很高兴。

サイの嘆願をまだ聞きたくて無表情で佇んでいたら、サイはすとんと表情を消して、瞬く間に暗部長官の鉄仮面を被り直した。
「優越感まじりの喜悦に浸る余裕があるのなら、小さな飲み会くらい気軽に出ろよ。今のナルトはそれどころじゃないんだよ」
冷や水を浴びせられたサスケは目を瞬いた。酒を止められた酒飲みがちびちびと盃の縁を舐めるように、決して叶えられない恋のむなしさを些細な優越感で誤魔化している、そんなくだらない己の悪癖に気づかれている。
サスケは正直なところ、サイをなめていた。暗部に長くいるだけあって人の感情を読むのは長けているようだ。
そしてナルトを支えるために懸命になっている彼の前で余裕ぶった己を少々反省する。誰かを励ますのも、元気付けるのも、サスケは苦手だけれど、相手を本当に大切に思っているのなら、苦手意識なんて些末なエゴはゴミ箱に押し込むべきである。

そうだ、エゴのついでに積年の淡い恋心も捨てておこう。
そう心に決めた瞬間、耳元に懐かしい声が降ってきた。
「サスケぇ」
サイと話している自分が見えるらしい。誰かと思えばいつの間にか里から出てきていたらしいナルトが、木の上からこちらを見下ろしている。
サスケが見上げた先で、ナルトはひらりと木の上から飛び降りた。里にいるときは大概マントを羽織っているから、今日は珍しくラフな格好をしている。
サスケとサイが彼の名前を呼ぶと、ナルトはにへらと締まりのない笑顔を浮かべた。
「よぉ、サスケ」
「ナルト」
「サイ、悪いな。ちょっとサスケと話したくて、場所を替わってくれ」
「いいよ。じゃあ俺は暗部に戻る」
サイはそう言って、すっと身を翻した。ナルトは少し目を丸くした。
「お前も昔に比べたら空気が読めるようになったな」
サイがひらひと手を振る。サスケはそれを見送ってから、丸太の上で腰掛けていたナルトの隣に、少し距離を空けて座った。
こうして二人きりになるのは久しぶりだ。それも仕事の話ではない私的な集まりで、しかもナルトの方からサスケを呼び寄せたのは、彼の記憶にある限り、初めてのことだ。
「…で? 今日はどうした」
実にざっくりと話を切り出した。ナルトは何でもないことのように言う。
「別に。ただなんとなくなんだよ」
「ならオレはもう行く」
「まってまってまって! 話くらい付き合えって! せっかく来てくれたのになんでそうなるんだよ」
「仕事は終わった」
「だから、仕事の話は終わっただろ? 今は仕事じゃない。友達の時間だ」
「オレに友人という概念があると思っているのか」
ナルトは少しの間、口をあんぐりと開けたあと、おもむろに綻んだ。
「おもしれェなお前。そんだけ捻くれてても俺がこうして友達でいてやってんだから感謝しろよな」
サスケは「心外だ」と言った。ナルトは「はいはい」と気のない返事を返した。
相変わらずの他愛もない会話。だけど、今日のナルトは朝から元気がない、とサイは言った。確かに今のナルトは、こんな会話をしていても目が笑っていない。
サスケにはその原因に心当たりがあった。大方、親友の死を思い出させる何かがあったのだろう。あるいは家庭の問題か。考えられるのはどちらかだ。
ナルトが死んだ親友であるネジの墓参りを欠かさないことをサスケは知っている。今日は確か、ネジの命日だ。
サスケはナルトに聞く。
「今日、ネジの墓参りには行ったのか」
「あ、うん」
「何かあったのか」
「いや、そういうわけじゃないんだ。ただ、俺の不徳の致すところってやつ? 火影の器って難しいなって思って」
ナルトは疲れた顔で笑って見せた。
サスケは思う。器とか、そういうことを言うときのナルトの顔はいつも寂しげだ。いや、正確に言うと、自嘲的な。
それはおそらく、自分がなりたい火影像と、自分がなってしまった火影の姿とに、乖離があるからだ。
里のために働くことは、ナルトの悲願であり、誇りでもある。しかし、里の人間たちはナルトを初めから里の英雄として見てくれているわけではない。言ってしまえば大戦後の火影は戦後の処理と領地経営のための帳簿を相手にする事務作業がほとんどで、戦場で身を立ててきたナルトには荷が重い仕事だ。それでもナルトがそれを努めてきたのは、理想の火影を目指し、里のために働くことが世界の平和に繋がると信じているからだ。
そんなナルトが、今日は朝からずっと落ち込んでいる。サスケはナルトの性格をよく知っている。落ち込んでいても表には出さない。朝からずっと会議をしていたらしいが、そこでも彼はいつも通り、多少の粗雑さはありつつも明るく振る舞ったようだ。
だからこそサイも心配しているし、シカマルも気遣っている。腹の内では落ち込んでいても顔に出さない。ナルトはそういう男だ。サスケは昔からナルトのそういう性質をよく知っているから、いち早く機微を察知して理由を知りたくなった。やはり理由は、里の者の政治に対する不満が原因らしい。詳しくはサイに説明させよう。
だがサイはサスケの腕を掴んだ。
手を払えばまた掴まれ、払えば掴まれる。何を考えているのか、サイは眼鏡の奥の目でこちらを見ている。こちらもその目を見返していると、サイがぽつりと溢す。
「アンタさ、マジでそういうとこあるよね」
「何がだ」
「ナルトとの仲の良さで、決して越えられない壁みたいなのをサスケの中に作ってない?」
サイが暗部長官としてではなく、友人として自分を想って言ってくれたことはわかる。サスケは軽く鼻を鳴らす。
「そういうのを越える気はないからな」
サイはため息を吐いた。
「そっか。まぁいいや。じゃあ飲み会のことだけど」
「オレは行かない。任務の報告書を書いて、それから明日の任務に備える」
「…そう。無理強いはしないよ。でも、君は時々、うん、ほんと時々でいいから、ナルトに甘えてやってもいいと思うんだよ」
サイの言葉にサスケは首をかしげる。この男は、何を言っているんだ。
「甘える?」
「そう。君は人に頼られることには慣れていても、頼るってことを知らないから」
「オレがアイツに?」
「ナルトに頼ってみてもいいと思うんだよ。君の力になりたいって思ってるのは、何もボクだけじゃない」
これは、さっきの説教の延長なのだろう。サスケはそう理解した。さっきの言葉を繰り返すならば、君が荒らしたあとに残った焦土を片付けるのはナルトだよ、と言われたことへの反論に、力付くで黙らせるのではなく、実際に行動で示せ、ということなのだろう。
また、コノハのためではなく、『ナルトのため』に行動するようにと言うサイの言外の意味も感じ取れる。サスケの決断が里を危険に晒すかもしれないと暗に示して。忠告の裏に確かな警戒心を見て取って、サスケは小さく鼻で笑う。それをサイは聞き逃さなかった。
「何か言いたいことがあるならはっきり言えよ」
しかしサスケはそれに応えず、ぴたりと言葉を止めた。森の気配を探っている。その様子にサイも警戒を強めた。
数呼吸の後、サスケは静かに口を開く。
「──来ている。五つ」
木々の間を縫って、四人の忍者が姿を現す。正確にはそのうちの一人が、担がれた重傷者だ。サイの暗部としての洞察力も、サスケの戦場を渡り歩いてきた経験も、二人を見送った山中いのの感知も、何ひとつとして偽りを報じてはいなかった。
まずい。隠れ里の木々に擬態した異邦人の忍が、四人。正確に、こちらを捉えている。
すなわち忍装束に身を包んだアマチュアの泥棒どもが、自分たちの仕事の結果を何よりも先に知りたいと、感応丸を結んで立ち尽くしていた。
隠れ蓑の術や擬装術を得意とするサイは当然気配を消すのも上手い。けれどその技術は対人戦闘を想定して磨かれたもので、捕捉されたこちら側から敵を発見するのには向いていない。
暗部の、それも特にサイのような知能特化型のタイプにとって、まずは敵の位置の把握が最優先事項である。カカシの口癖は「忍は基礎が一番大事」だったが、サイの場合は「仕事の前に敵を知る」である。敵の有無も素性もわからずに、自ら動けば危険に晒される。暗部として活動するのであれば、装備や習得している忍術の特徴など、敵の情報を逐一把握してから行動すべきだ。
その点、サスケは異常だった。里を離れて単独行動ばかりしてきた男だ。誰かと共に任務にあたっても、必要最低限の情報さえあれば動ける。敵の情報が不足していようが、それを腕力で補ってしまえばいいという身も蓋もない思考を持っている。それはある意味で信用に足る強さでもあるが、何があっても絶対に死なないと確信できるほどに傲慢な強さでもある。無理じいが過ぎる、とサイは常々思っていた。

そんなサイの危惧など知らず、サスケはもう森の奥へ向かって歩き出していた。木々の間を縫うように流れる冷たい風を背に感じながら、サスケは邪魔者を追い払うように首を振った。
サイは呼び止めるのを諦めて、明後日の方向を向いたまま、独り言のように言う。
「まぁいいか。どうせ飲み会に出ても誰とも話さないし」
サスケは耳に留めることもなかった。彼の思考はもう仕事のことと、それから自分にしかわからないものへと移っている。
林の中を歩いていると、地面の土に混じって人工的な匂いがした。うっすらとガソリンの臭いが混ざっている。灯油に、機械油。里が近いせいだろう。嗅ぎ慣れたはずの匂いがこんなにも不快に感じるのは、つい先刻まで感じていた甘い気持ちの余韻が、台無しにされたからだ。

結局サスケは、サイの誘いを断り続けることはできなかった。ナルトが落ち込んでいると聞けば、無下には扱えない。今夜、ナルトたちの飲み会へ顔を出すことにした。
里に足を踏み入れたときはいつもそうだが、人の多さと活気に気圧される。サスケはさっさと用を済ませて森の中に帰りたいと常日頃から思っている。が、どうやら今日はそうもいかないらしい。かなり気が進まないまま、サスケは待ち合わせの店へと足を向けた。
店は繁華街の裏通りにあり、回りを高層のビルに囲まれているため日当たりは悪い。そのぶん独特の薄暗さと落ち着いた雰囲気が形成されていて、カウンターだけの小さな店はいい趣になっている。
扉を開けると中はがらんとしていた。先客はゼロ。この時間帯には珍しい。
カウンターの椅子にナルトが一人で座っている。いや、待て。一人で、というのはおかしい。ナルトの隣にはお馴染みの影分身がひとり座っていて、もう一人は酔いつぶれて畳に転がっている。
状況を理解するのに、サスケは数秒を要した。ナルトは今日、昼間から酒を飲んでいたらしい。テーブルには複数の空になった酒瓶と、乾ききった枝豆の小皿が二つ、それからどう見ても人の手がつけられていない刺身の盛り合わせがあった。影分身は何かを酒の肴にしなければ酒が進まないというのに、きっとナルトは食べる気力もなく、酒だけを腹に流し込んでいたようだ。
畳の上に転がっていたのは酔い潰れたナルトだった。というか、影分身が先に潰れたのか、本体のナルトは縁側で膝を抱えている。サスケとサイの二人がかりで、やっとナルトを家の中へ運び入れた。
サスケの胸中に黒い雲が立ち込めた。怒りとも悲しみともつかぬ重い感情がじわじわと広がってくる。
ナルトが泥酔しているのはサイの言うとおりだった。しかし、サイは言っていただろう。ナルトは朝から落ち込んでいて、夜の飲み会で元気付けると。つまりこれは本来であれば今夜行われるはずだった飲み会の席なのだ。連絡を聞いていないサスケがここにいるということは、例の飲み会は中止になって、その際に彼らはナルトを介抱するので精一杯で、二次会の連絡をすっかり忘れてしまったか、もしくは端からサスケを除け者にしていたのだろう。
だがサスケは、嫌いな酒を飲まされずに済んだと思ってむしろ気楽だった。サスケには酒精の効いた飲み物は口に合わなかった。酔いを覚ますための水をあてがわれ、干した果実を幾つか皿に盛ってもらって、それを摘みながら男たちの話を聞く。
戦場で背中を預け合った男たちは、サスケの意図などお構いなしに、酔いの勢いに任せて過去の武勇伝や任務の話をあれこれと始めた。
なぜ自分がこの場に呼ばれたのか、サスケには心当たりがある。木ノ葉の里に長くいられない自分が少しでもナルトのことを考える時間を持つように、という気遣いだと。ナルトが長く気にかけている相手だから。自分が里を離れる間、彼を支えてくれている彼らへの義理もある。
サスケは何杯目かの盃を傾けてから、皿の上の小皿に盛られたナッツに手を伸ばした。
どれほど飲み会が進んだ頃だろう。ひっきりなしに仕事の話をしていたサイがふと、ナルトは今日は静かだな、と話題を変える。
「そりゃそうだ。ずっと黙って一人で酒飲んでる」
シカマルは呆れた顔をした。
「あれで飲み会に来た意味あるのか?」
サスケはナルトの様子を伺う。確かに、ナルトはさっきからひとりで盃を傾けている。気圧されて圧敗されているという印象ではない。壁によりかかって、何やら考え込むように天井を見つめている。時折、ちびりと酒を一口含み、手酌で注いでまた天井を見上げる。
なんとなく目が合った。視線に気づいたナルトは、サスケに、少しだけ笑ってみせた。笑えてはいる。心配されたほど落ち込んでいるようには見えない。
……だが、あれは笑顔じゃない。サスケはそう直感した。ナルトのあれは引きつり笑いだ。ああいう顔をするところを見たことがある。言うならば、義務的笑顔。自分に言い聞かせている。俺は大丈夫だ、と。
サイが言ったとおり、ナルトは表にこそ出さないが、本当は相当深く傷ついているのかもしれない。だから、サイの言うことに従って、今日の夜に開かれる飲み会に顔を出すくらいのことはしてやってもよかった。
サスケはそのまま夜まで里に残った。いつの間にかアカデミーの裏手まで来ていて、木漏れ日の差す森の中で、いつの間にか潜んでいた小さな小鳥とともに休息をとった。
小鳥は懐かしい匂いのする男の胸の上で脚を組み替え、たまに首を傾げ、たまに羽を直し、じっと動かない。気付けばこちらを見つめる小鳥の視線に、サスケは自分の考えを簡単に見透かされないように、無表情を保ちながら考える。
忍としては失格だと思う。イタチはああ言ったが、本心は復讐だけを目的に忍びの道を極めてきたのだ。今のサスケは力だけなら里で間違いなく一番強い。間違いなく一番強いが、最も得意なのは破壊で、人の護り方など、ずっとずっと昔に置き忘れてきてしまった。だけどナルトのために、出来る限りのことはしたい。
サスケの逡巡を察したサイは「やっぱり今日はやめておく?」と首を傾げて見せる。あえて訊くのは駄目元でぶつかってみたのだろう。このまま立ち去れば、自分は何もできなかったとサイは思うかもしれない。それでもナルトが望むのなら行くだけだ。サスケは深いため息をついてから、サイの申し出を受けることにした。
「……ああ。アンタらが払うってなら行ってやらんこともない」
「よかった。夜の七時に、駅前の『海鮮酒場 まるよし』だって」
サイの顔がほころぶ。サスケの不機嫌など意に介していない。まぁこれで用事は終わりだ。
礼を言って別れようとするサイに、サスケは「ああ」と適当に返して、振り返ることなく駆け出した。木の葉の舞い散る深い森の中を、速度を上げ、さらに速度を上げる。もはや里の人間はおろか、暗部であろうと追うことすら敵わない速度で疾駆する。
つい先程までのサイとの会話で自分が拗ねてしまったことがサスケにはひどく恥ずかしかった。それを自覚しているからこそ、何か別のことをして気を紛らわせてしまいたかった。
滅多にないことだが、サスケは里の賑やかさ
鹿丸一边说着,一边把手从自己口袋里抽出来,直接伸进了佐助的口袋。佐助回过神来时,几张折好的钞票边缘已经从自己的口袋里露了出来,他用责备的语气说了句“喂”。
自己只有一条手臂,所以抱着鸣人的状态下没法把递过来的钱推回去。鹿丸压低声音说不用不用。

“要是出了什么事,就拿去用吧。拜托了,佐助。鸣人就交给你了。”

说完便径自站起身来离去。佐助目送着那个在醉客中灵巧地拨开人群、拖着朋友消失的、劳碌命的背影。

虽然钱不能解决所有问题,但不安确实会适度减轻,这种心情并非不能理解,但佐助也想,那个精明能干的人居然会依赖这种东西,看来真是想不出什么对策了。

那就明天再还回去吧,佐助暂且把钱收下,再次端详起鸣人的脸。只见鸣人鼓起了腮帮子。

“吐出来,鸣人。”

佐助这么一说,鸣人便深深地向路边的排水沟低下头去。天色太暗,看不清呕吐物。佐助只听到他喉咙痛苦地抽动的声音。

等鸣人吐完了,佐助坐在路边,轻轻抚着他的背。鸣人用双臂紧紧抱住竖起的双膝,把脸埋了进去。

“佐助………”

那声音带着哭腔,佐助便尽可能温柔地回应。
“嗯?”

“……佐助,刚才的,忘掉吧……”

“知道了。”

“忘掉……刚才的……”

“知道了知道了。”

佐助张开双臂,拢住鸣人蜷曲的背,不让醉客们注意到。他对呜呜呻吟着蜷缩身体的鸣人说:

“你,能稍微动一动吗?能爬上我的背吗?”

鸣人从手臂间微微抬起脸。充血肿胀的蓝色眼睛望向佐助。

“上、上?……为什么……?”

“我背你回家。”

“回家……?你说我家……?”

佐助一点头,鸣人便紧紧眯起了眼。再次把脸埋进臂弯里。

“……不要。”
“你说什么?”
“不要,我不要回家……因为一回去,老爹就、必须做……”

听到这话,佐助的表情微微严肃起来。

“鸣人,你刚才的话是什么意思?又和儿子处不来?”

鸣人隔了几秒,才怯生生地摇了摇头,说了句“没事”,又在逞强。佐助趁着鸣人没注意,露出了更可怕的表情。那个首席弟子,该不会又让父亲为难了吧。下次见到他,得好好教训一顿,他暗自决定。
总之,现在必须想个办法处理这个状况。
“先趴到我背上来。”
“我说了不要……”
“我不送你回家。我保证。”
说出口后,他自己都觉得这话有点古怪。
不过鸣人似乎听进去了,终于自己动了起来。他攀上佐助转过来的背。刀似乎有些碍事,于是自己连鞘抽出来,和披风一起抱在怀里,就这么被背了起来。
佐助用一条手臂灵巧地托住鸣人的屁股,单凭这条手臂的力量背着鸣人站了起来。鸣人轻轻吐了口气,把脸颊贴在佐助宽厚的肩膀上。
佐助混入醉客中走了出去。说不送他回家,可该去哪里呢。他首先想到自己家,可要是有樱和佐良娜在,鸣人又会重新变回那个顾虑鬼。火影办公室也一样,如果警备加强了,这个时间应该也有人——那还是一样。这村子里,有没有什么地方能让鸣人不用顾虑任何人、安安稳稳睡上一整晚呢。
正想着,佐助在酒馆与酒馆之间的窄巷深处,看到了一闪一闪发着光的住宿霓虹招牌。常年在外奔波的佐助当然知道,酒馆街深处的这种带花哨霓虹招牌的旅店,主要是为了什么目的而存在的。他不禁感慨,木叶竟然也有这种店了。
原来如此,他脑中一闪。旅馆就是旅馆,旅馆就是睡觉的地方,所以最低限度,床是有的(而且他觉得很巨大,足够两个男人睡)。有洗脸台,也有浴室。睡衣哪怕薄如蝉翼,总归是有的。也就是说,现在需要的东西,那里全都有。
他对背上软绵绵的鸣人说道。
「鸣人,你变个女人。」
「……哈?」
「火影的样子不行,变成个随便什么女人。别显眼,也就是说,别变成美人。变成个像能混进那种地方的、跟你差不多年纪的女人吧」
突然被提出刁钻的要求,鸣人唔唔地皱起眉头。他一边小心别把佐助的刀弄掉,一边歪歪扭扭地结印。最后还是变回了色诱术时常用的那张脸和那具身体。他好好地穿着衣服。因为佐助说别显眼,他把金发碧眼改成了棕色的基调。
那也算美人的——佐助把这句咽了回去,在鸣人的屁股下面结了印。变成刚才那家酒馆隔壁的包间里醉醺醺发着牢骚的中年男人。那人去厕所时,佐助瞥见过他的脸。似乎是水之国来的商人,最近长女生了孙子,这次是来火之国卖鱼类加工品的。是擦肩而过时飘进耳朵里的信息。
佐助回头,在极近的距离与鳴人四目相对,鳴人露出了一副嫌弃到极点的表情。
「唔哇…っ、佐助,你,那个……」
「别喊我名字,我也不会喊你的」
「你的品味也太差了吧?」
「女人别说脏话」
「呕,声音一样好恶心……再说我也不是女的……」
嘴上说着“亏大了,快把术解开”之类意义不明的话,佐助重新背好鳴人,朝狭窄的小巷深处走去。只需忍耐片刻,便能突破情侣酒店的前台。
当然,前台有店员。店员那迷离的目光看向这边,佐助神情自若地应对。而納豆化装成中年的样子,也用貌似平静的声音说了几句话。这样就能确保住宿了。把钥匙——是一个像口袋一样的便携式小袋子里装着的卡片——从前台拿过来,为了不让人看到,佐助把ナルト藏到了走廊的拐角。自己再折返到前台,趁店员不注意,把饮料和零食的自动贩卖机利用了一下。
回到拐角处,纳鲁托还靠着墙壁站着,在昏暗的走廊灯光下,看起来就是个随处可见的年轻女子。佐助一边想这变身术真不错,一边把装着各种零食的塑料袋递了过去。
「拿好。先去房间吧。我马上跟上」
纳鲁托一接过塑料袋,便按下了电梯按钮。在这家旅馆里,电梯按钮的位置十分凑巧,恰到好处地排列在入口旁,佐助从入口处确认了电梯停靠的楼层后,和纳鲁托一起进入电梯。伸手按下楼层按钮时,纳鲁托按下的是比他更早的楼层按钮。
「おい、どこ行くつもりだ」
「トイレ行きたくなってきた」
「部屋についてから行け」
「ついてからじゃ遅いかもしれねぇし」
その言い分は理解できる。だが行かせるのは気が引ける。酔っ払いに吐かれたら面倒だ。ついて行ってやる、とサスケが言うと、ナルトは面白くなさそうに口を窄めた。
エレベーターの扉が開いて、ナルトが先に降りて、サスケが続く。ナルトはトイレの表示に従って歩く。人の気配はない。中年男の姿をしたナルトが、背の高い息子を連れてラブホテルに入っていくのが誰かに見られたら、それはそれは妙な目で見られることだろう。
トイレの前で立ち止まったナルトが困ったように言う。
「……まって、サスケ。これどっち入ればいいんだ?」
「オレの知るか」
ナルトは、片方のドアに貼られた女性のシルエットのプレートを指す。
「いや、オレ、今女じゃん? かと言って男子トイレ、は、ちょっと……」
彼の足が男性用のトイレの前で止まっている。考え込むようにうつむいている様子は、確かにどう見ても女だった。今は茶色い髪の、そこらにいそうな女である。この格好で男子トイレに入るのはさすがに気が引けるらしかった。
どうする? そう言おうとした時、ナルトがおずおずと口を開いた。
「あの…、オレ…、さすけ待ってるから…その、外で…」
酔っ払ってふらつく足を何とか支えながら、健気にも言い放つ。サスケは本当にこいつは、と呆れた顔になる。
「……別にどうでもいいけどよ、周りはどう思うかな、女の一人連れの男が、お前を連れて、お前だけ外に立たせて、自分はトイレ行ってたら」
「……行ってきます」
しょんぼりと、トイレに消えていくナルトを見送ってから、サスケは手洗い場の鏡に視線を移した。年齢が合わない、と感想を持つ。さっきまで隣に座っていた中年の男に化けている自分は、今のナルトの姿と並んだら、完全に趣味の悪いオッサンである。だが、今更どうにもならない。
二つの個室のドアの前で待っていると、中から出す音がして、ナルトが出てきた。まだ自分がどんな顔をしているのか把握しきれていないようで、鏡の前でへにゃりと眉を下げていた。どうやら立ち上がるのに足をもつつかせたらしく、よたよたと危なっかしい足取りである。
サスケは、もういいだろうと、先ほどと同様に背負ってやった。顔はさっきから見たくなくて背負う際も一度も見なかった。着替えやなんかを買うためにコンビニエンスストアに寄る。化けの皮が剥がれないうちに、と急いで買い物を済ませて店を出る。
人気のない交差点の、大きな宿の手前にある小さな飲み屋の看板の影にサスケはナルトを下ろした。
「いいか、ここで待ってろ。すぐ戻る」
ナルトの足下にお買い物袋を置き、中からカツラの入った袋と、帽子だけを取り出して、自分のものにした。そしてサスケは化けた顔を隠すために黒いマスクを付けてから、男のまま声を出した。
「すぐ戻る。そこでじっとしてろ」
一人にすると酔っ払いが絡んでくるかもしれないが、この路地はさっきから人通りが全然ない。見つからなければそれでいい。今度は長居をせぬよう足早に前を向いて歩く。
店はすぐに見つかった。扉を開けると、女性店員が小走りでやってきて、見知らぬ中年の男に驚いた顔をしながらも、取り敢えずいらっしゃいませ、と営業スマイルを向ける。サスケは小さく顎を動かすと、にっと白い歯を見せて営業スマイルを返した。こんな表情、普段の自分なら絶対にしないなと思いながらも、仕事のうちだと割り切る。
照明が落とされた部屋に、街灯と看板の光が細く差し込む。カーテンは薄く、夜の闇の向こうにはオレンジ色の街灯がある。部屋は思ったよりずっと綺麗で、壁紙も備え付けの家具も落ち着いた配色でまとめられている。シーツの白がくたびれた雰囲気を少しだけ清廉に見せていた。何よりまずベッドが大きい。ナルトが大の字になっても余りあるほどだ。
サスケはナルトを背負ったまま部屋に上がり、ベッドまで歩いていって、そのままどさりと放り投げた。ナルトがうめく。
「いってぇ……」
背中を揉む手が邪魔で刀をどけ、自分のマントを置く。立ち上がり、部屋の鍵をかけた。宿の女将、ナルトの変身した中年の男に、行きがけの駄賤に、となんだかんだ言い訳をでっち上げ、料金は前払いで支払い済みである。
シカマルの渡してくれた金札がもう懐を離れていった。そうだ、とサスケは思う。これは旅の役に立てろというものだ。それで宿代にしてしまっては元も子もないが、明日返しに行けばいいだろう。留め置いておく金の話は、サスケ自身が忘れなければ済むことだ。
ぐったりとしたナルトをベッドの上に降ろした後、サスケは軽く汗を拭うと、部屋に備え付けの冷蔵庫を漁ってみた。小瓶のミネラルウォーターと、小さい紙パックのリンゴジュースが出てくる。どちらも中身は冷えている。サスケはミネラルウォーターの蓋を開けて、ナルトに差し出した。
ナルトはベッドの上に正座して、それはもう見事に落ち込んでいた。サスケから水を受け取り、きゅ、と一口だけ飲んで、ふにゃりと死んだ目を虚空に向けた。
「オレ、酒飲むと性格悪くなってさァ...」
お前は元々性格が悪いだろう。と言ってやろうかと思ったが、今日は初めての再会で、しかも久しぶりに仲良く酒を飲んで、それなのに家にも帰れなくなっている。サスケがどうしてここまで厄介なことになっているのか自分のことなのに他人事のように不思議に思っていると、ナルトは水を所望した。サスケがテーブルの上の水差しからコップに注いでやると、ナルトは一気に煽り、深く息をついた。それから、素面に近い静かな声で言った。
「…悪かったな、サスケ」
「急に改まるな。気持ち悪い」
「オレさ、ずっと甘えてたんだと思う。サスケがいると、サスケがやってくれるって、なんでも任せちまう。知らねぇうちにさ……昔の、オレひとりだった時みたいに、ちゃんと自分でやらねぇと……」
ナルトは降ろされたままの脚を、恥ずかしそうにぶらぶらとさせている。サスケは腕を組んで、黙って話の続きを待った。
酔っていることを除いても少しらしくないナルトではある。サスケはそう思いつつも、特に否定も肯定もせずに、ただ彼の言葉を待った。
「サスケ、オレさあ、なんか、こう…もう、全部どうでもよくなってきてさ……」
「全部?」
「全部。女の子のこととか、将来とか、もう全部、どうでもよくなっちまって…。面倒臭ぇ、ってずっと思ってて。今まで頑張ってきたのに。オレ、いったい、何のために頑張ってたんだろう……って思ったら、急に全部どうでもよくなっちまって……」
ナルトの吐露をサスケは黙って聞いていた。何か言うべきことはないか、と口を開きかけて、閉じる。
そんなことは一度も言ったことがなかったので、ナルトはこの上なく気恥ずかしかった。何か一言でいいから反応してほしい、と恐る恐る顔を上げてみる。サスケは何かを考え込むように目を閉じていた。ナルトは黙って項垂れる。
耳元を、木枯らしが通り過ぎた。冷たい風に首の後ろを撫でられて、サスケは己の意識を現実へと引き戻される。名残惜しそうに月が雲に隠れて、夜はいっそう闇を増す。
「ナルト」
呼ばれて、ナルトはうっすらと目を開けた。
「明日は何の日だ?」
突然の質問に、ナルトはぱちぱちと目を瞬かせる。困惑したように首を傾げ、そしてしばらく考え込んだ。
「……木ノ葉創立記念日?」
「外れ」
「んー、……花見の季節? いや、まだ早いか」
「違う。あの、赤い花の」
ナルトの顔がぱあっと明るくなる。
「ああ、彼岸花か。そういえばそろそろ咲く頃だな」
赤い曼珠沙華を抱えている時のナルトは、先ほどまで酔っ払って泣いていたのが嘘みたいに、優しくていい顔をする。サスケは、道すがら、赤い花を見つけるとナルトに伝え、三人で立ち止まる。しゃがんで、花に手を伸ばすナルトを待ち、それから赤ん坊をあやすように揺らしながらまた歩き出す。たかが花を摘むのに三十分かかった。その間ナルトはずっとご機嫌で、赤い花の束が両腕でいっぱいになるまで摘んだ。
花畑に着いた時、月は既に頭の上まで昇ってきていた。サスケは花畑の向こうにずらりと建つアパートの一室に目をやる。大きさも、向きも、階層も、今自分とナルトがいる場所から最も近い窓と、角度的に一番合いそうなのはどの部屋か。道に迷いながらも、直感でこの辺りだと辿り着いたナルトの家は、そのときの九尾の影響で中はボロボロだろう。見張りが付けられているのかどうかは、よく分からない。この時間のアパートの灯りを見る限り、他の住人はもう帰宅しているようだ。しばらく動かない方が良さそうだ。
ナルトの尻の下で、つまり抱えている背中側で印を組んだのは正解だった。木の葉の陰に目が慣れるのを待ってから、サスケはちいさく「解」と唱えた。効果は自分にしかかかっていないはずだが、とりあえずナルトに伝える。
「後ろに長屋が見えるだろう。あれがお前の家だ。玄関には言ってある。今から術を解く。嫌なら家に帰れ、家に帰りたくなければついて来い」
解くと、隣にはもう元のナルトの姿があった。火影の恰好のまま。うつむき加減に自分の手の甲を見て、それからサスケを見上げて、また下を向く。
この里で一番強い男と、この里で一番強くなった男が、無言のまま人気のない裏道を歩いていく。無言がつらければ、とサスケは口を開きかけるが、何を話せばいいのか、話題が何も見つからない。ナルトが何を考えているのか探るようにサスケは覗き込んだ。ナルトは、黙ったまま、何かの決意をしているような表情をしていた。そのまましばらく歩いた。夜風はこの二日酔いの世界に、頭を冷やせと言わんばかりの冷たさだった。ナルトの頭には効いていないようだった。
水の国産の商人に化けた中年男が、若い女を背負って夜の商店街を歩く。すれ違う人からはおや、という目で見られたが、細い路地をうねうねと入っていったので、見失われた。女の子はぐったりしていて、眠ってしまっているようだ。
ナルトは、サスケの肩にうつむき加減に顔をうずめて、落ち着いた呼吸で本当に寝てしまった。サスケは背中の重みが少しだけ温かくなった気がした。
裏通りに一歩足を踏み入れると、暖簾も何もないビルの二階の入口の扉に、緑色の看板の明かりが暗がりに浮かんでいた。サスケは軽く息をつく。ナルトを背負っているのでさすがに体力を使うし、少し長距離を歩いたから脚にもきている。それに、自分の背中でナルトがちゃんと寝息を立て始めているのも知っていた。
あと、ちょっとでも油断すればこのままあの化け狐が──他人に気づかれることのないように細心の注意を払って隠してきた、己の半身を抱き締めるようにして眠ってしまいそうだった。親友が、自分の背中で眠ってしまうことなど今までに何度もある。例えば、任務に赴くとき、夜に野営を張って、火のそばで目を覚ましたらナルトはいつもサスケの肩に頭を乗せて眠っている。つい先日もそうだった。だから今、こんなに特別なことではないはずなのに、たかが歩き酒に酔っただけのナルトの呼吸が気持ちよさそうだと感じる。
危ない、とサスケは思う。いけない、と目を覚ました。ホテルへ向かう間にも寄せては返す波のように、鬱屈した感情が押し寄せては引いていく。
ナルトの背負われている状態で、宿の入口に着いた。ドアの前で一旦降ろす。愛想の良さそうな受付の女の前で、顔は記憶にないが木の葉の忍びの顔に化けたナルトが、サスケが化けている中年の男よりも、他人行儀で馴れ馴れしくない丁寧な物言いをする。
わたくし、こちらの者でして。旦那様は遠方からお越しなのです。
ああ、そうなのね。それじゃあ、鍵をどうぞ。
ついでに、と受付の女は気遣わしげに言う。
宿の横の自販機で、歯ブラシセットと、なんかこう、つまめるもの、買っていかれます?
わー、それ買ったほうがいいっすよ、とナルトは言った。そこの自販機はふつうの飲み物も売ってるらしい、明日の朝用に、ミネラルウォーターと、ばあちゃんが昔飲んでたスポーツドリンクと、ばあちゃんの言うところの「あれは邪道」らしい甘ったるいエナジードリンクを買った。
宿の一室は薄暗かった。わざと暗くしてあるような、落ち着いた色合いの照明である。余計な装飾のない室内には、洒落た間接照明、ダブルベッド、一人掛けソファがひとつ、ローテーブル、そしてドアの横には鏡付きのクローゼットと小さな洗面台。窓はなく、風呂場へのドアは半透明のガラスだ。ソファに座るナルトがぽつりとつぶやく。
「すっごい天井高いね」
ナルトの言う通り、天井は妙に高く、梁に幾つかミラーボールが設置されていた。机にはコンセントの刺さった据え置き型のバイブレーターと、箱入りの使い捨てのマッサージャー、それからどこかで見たことのある飲み物の瓶が置いてあった。
椅子の背もたれに掛けたサスケのマントから、ガチャガチャと忍具のぶつかる音がする。どれもこれも九割方、勝手に術を解いたナルトの仕業だった。
サスケが化けた中年の男は、どっしりとベッドの上に座り込んでいた。ナルトは足を投げ出してへたり込んでいる。
店員の案内は、サスケとナルトが名前を書き込むまで受付にいた。
「すみません、今、あと一人分空きました。よかったらどうぞ?」
サスケは店員の中年女性をちらりと見て、少しだけ首を傾げた。こちらを見てとびきりの営業スマイルを浮かべている。あくまでも自然に、ナルトが化けている女の顔を見てから、サスケは言う。
「ああ、せっかくだが、どうせならソファーベッドのある部屋で」
「かしこまりました。お部屋はいくつご用意しましょうか?」
「一つでいい」
中年女性は、二人が恋人同士かどうか、それともどちらかが金を払う関係なのか、それともどちらでもないのか、じっと観察するように見てきて、ふうん、と言った。思っていることを隠そうとしない。女の恰好をしているナルトは小さく縮こまっていた。
サスケが泊まると言い、金を払った。女性は受付を離れて、狭い廊下を案内してくれた。年季の入った建物だが、小綺麗にしている。扉に番号が振られた客室が廊下に並ぶ。サスケは足を止め、片手で鍵を開け、そのまま部屋に中に入った。
入った瞬間、安っぽい石鹸の香りと、なんとなく漂う古びた匂いがした。悪い匂いではない。スイッチを入れると蛍光灯がちかちかと点滅しながら灯った。ドアのすぐ脇に洗面台と鏡がある。ベッドが部屋の中央にドンと置かれている。やはりダブルサイズで、マットレスもなかなか分厚そうだ。シーツはピンと張られて、清潔そうである。枕もふかふかしそうだ。
サスケはそのベッドに、ナルトをおろした。どすん、とマットレスが沈む。ナルトはベッドの上で手をついて、後ずさり、壁際にまで逃げた。そうして、部屋の中をきょろきょろと見渡す。
「……ここどこ? ……つーか、なんでベッド、でかいの……?」
「男二人で泊まるには充分だろ」
「……男二人で泊まるとこじゃなくない? これ」
ナルトもどうやら大人の事情を理解しているらしい。
「宿だ。何を言っている」
サスケはしらばっくれた。ナルトは気まずそうに目を泳がせる。
「あの、サスケ……」
「名前を呼ぶなと言っただろう」
「あ、ごめん。……あの、おまえさん」
おまえさん、という呼びかけを久しぶりに聞いて、サスケは目を瞬かせる。その気まずさを打破すべく、サスケは風呂に入れ、と顎で示した。
「その間に洗濯をしておいてやる。お前のマントも預かれ。刀も預かるから、目を離すんじゃないぞ。ちゃんと湯船に浸かれよ」
そのまま洗面所に引っ張っていき、浴槽に湯を張ってやる。まだ少し身体がふらついているので、湯船に浸からせるときに背中を支えてやりながら、サスケはなんとか一人で脱がせることに成功した。ラバー製の服はぴちぴちのスーツみたいなやつより脱がせにくい、などと考えている場合ではない。ただ、体に張り付いて脱がせにくかった。
ナルトはやや熱めの湯を張ってもらった浴槽に頭まで浸かって、はああ、とため息をついた。サスケは洗面台の前で、くたびれた財布を開ける。中を見て、案の定、足りない。札が五枚と、小銭が少々。あの場では払えずとも薬屋までの間に支払える額ではある。サスケは足しにするためにポケットの中をまた引っ掻き回した。と、先ほどシカマルから押しつけられた紙幣が指に触れて、サスケはそっと財布から取り出した。
すまねぇな、今に返すぜ。
心の中で詫びてから、サスケはナルトに声をかける。ここで飲み物を買おう、と言うと、ナルトはええっ、と情けない声を上げた。
やけにケチくさいと文句を言うナルトに、明日は仕事が休みだし、酒の一つでも飲みたい気分だ、と適当な言い訳をしておく。本当はこれから行く場所で飲むために、買っておきたかったのである。
ナルトに化けてもらった女の容姿は金髪碧眼ではなく茶色の髪の女だが、サスケの目にはうるさく動く口と大きな目がナルトそのものである。自分の腕の中のナルトは、もしかしたら腹を空かせているかもしれない。サスケがコンビニで肉まんとミルクでも買っていこうかと持ちかけたら、ナルトはサスケの刀を抱えたまま、ううん、と首を振った。ふらふらとしていたから、もう何かを食べられる状態ではないのかもしれない。水を買って、サスケはそのまま店を出た。非常階段の影で、買ったばかりの水を一口含むと、無造作にナルトに手渡す。
「ほら、うがいでもしとけ」
ナルトはこくんと頷き、口を濯いだ。それからごくごくと喉を鳴らして半分ほど飲んだ。飲み終えると、もう一口、最後の一口は、ざっと地面に撒いた。日本人形のような所作でペコリと頭を下げ、サスケの刀を両腕で差し出す。
「……ありがと。……刀、持っててくれた」
礼を言われることにはいまだ慣れていない。サスケはうん、と短く返し、刀を受け取って腰に差す。並んで歩き出した。ナルトは体調が悪いわけではないようだが、万全でもないらしく足取りは覚束ない。そろそろ帰るか、とサスケが思った、その時だった。
「うっ……」
ナルトが突然足を止めた。うずくまって、お腹を押さえる。サスケはため息を吐いた。
「トイレ行ったのはさっきだろう」
「酒、あて、……食べすぎたかも…」
吐き気はもうないようだが、代わりに胃腸がひっくり返る感じがするらしい。サスケは腕時計を見る。午前二時過ぎ。さっき行ったばかりのラブホテルをまた使うこともできるが、チェックアウトの際に面倒なことになりそうで、もう戻る気にはなれない。あてもなく飲み屋街を彷徨う。
やがて、一際大きく、きらびやかな看板を掲げる飲み屋を見つけた。木の葉のクルミ、という看板を掲げた、その店は、一階が飲み屋、二階が宿になっている。二階のベランダの手すりに、酒の入った猪口がいくつか並べてあるのが見える。男が一人、酔っ払った勢いもあって、その猪口を手に取る。誤って落としてしまった。猪口はサスケの足元に落ちて、欠けてしまった。
サスケが小さく舌打ちをすると、声に気づいたらしい男が手すりから顔を出す。酒臭い息をあちこちに撒き散らしていることがありありとわかるほどにベランダに現れた。千手(せんじゅ)の古い仲居だ。ナルトのことを知っているかどうか、とサスケは瞬時に頭を巡らせる。木ノ葉の忍のほとんどは、里の顔、ナルトの顔を知っている。もちろんこの宿のものたちも例外ではないだろう。
くそ、早く突破するべきだ。サスケが宿の看板を見上げていると、ナルトはその視線を追って看板を見て、固まっていた。

原文:
```
言いながらシカマルはポケットに突っ込んだ手を、サスケのポケットにそのまま突っ込んだ。気づいたら、何枚か折り畳まれた紙幣の先が己のポケットから覗いていて、サスケは、おい、と咎める口調で言った。
自分には片腕しかないからナルトを抱えてやっている状態では突きつけられた金をつっかえせない。いいっていいって、とシカマルは潜めた声で言う。
「なんかあったら役立ててくれ。頼むぜ、サスケ。ナルトのこと、頼んだ」
そうしてそのまま立ち上がって行ってしまう。酔客を器用にかき分けながら、友人を引きずって消えていく苦労性の背中をサスケは見送った。
金ですべてが解決できるわけではないけれど不安は適度に薄まる、その気持ちはわからないでもないが、あの切れ者がこんなものに頼るなんてよほど策が浮かばないのだな、ともサスケは思う。
明日にでもそのまま返せばいいかと一旦留め置き、サスケはナルトの顔を再び覗き込む。すると頬をぷっくりと膨らませているではないか。
「吐け、ナルト」
言ってやるとナルトは深く側溝に向かって頭を下げた。暗いから、吐瀉物はよく見えなかった。苦しそうに喉を引きつらせる音ばかりをサスケは聞いていた。
すっかり吐いて、道に座り込む背中を撫でてやる。ナルトは立てた両膝を両腕できつく抱えて、そこに己の顔を埋めた。
「サスケェ……」
泣きそうな声だったのでサスケはできるだけ優しく応
被一口咬住脖子。与台词中蕴含的气势相反,力道简直就像小狗的轻咬。这家伙很温柔啊,佐助想。而且他已经烂醉如泥,不可能强行做什么。

事到如今还无法舍弃对他人的体谅的鸣人,让佐助觉得有些可怜,索性放弃抵抗任由他啃咬,这时一只骨节分明的手摸上了自己的胸口。

“……嗯?”

那明显是男人摸索女人胸部的动作。佐助的胸虽然因肌肉而隆起,但比起女人的胸明显不够分量,可对方仍然拼命地揉捏着。等等,佐助吃了一惊。虽然觉得不太可能,但——

“鸣人,你,想抱我吗?”

鸣人把好友的脖颈舔得湿漉漉的,梦呓般地答道。

“那不是……当然的吗……”

“为什么?”

佐助非常吃惊。真的非常吃惊。就算在梦里抱住好友,佐助也从来没有过想被抱的愿望。鸣人究竟是怎么得出这种结论的。他用力推开又贴过来的身体,直视那因欲望而眼皮半垂、朦胧的蓝色眼眸。

“为什么?”

“诶……什么为什么,”

“说理由,说理由”

“理由~?……因为啊,你皮肤白、睫毛长、长得像女人又漂亮……”

对鸣人而言,比自己皮肤更白、睫毛更长、长得像女人的漂亮对象,就是他要抱的人。想起他的妻子,佐助表示理解。但他有很多反驳的话要说。

“我个子更高吧?”

“就高两厘米啦~”

“体格也更大。”

“诶? 是吗...”

“你看,手也是我的更大吧。你看。”

说着佐助把自己的手和鸣人的手严丝合缝地贴在一起。比自己的手指长出几毫米的男人的中指,鸣人歪着脑袋看着。

“嗯……”

“所以一般来说,是我抱你。”

佐助注视着挚友,干脆地说。

“是我,抱你。”

鸣人皱起了脸。他折过贴合的手指,用力握住,使劲说道。

“不要! 我不同意! 是我抱你才对!”

“不行。”

“为什么?!”

“我说不行就是不行。绝对不行。”

“不要不要不要!那,那!我要用火影命令!”

佐助的太阳穴抽动了一下。这是对一个背着自己醉醺醺的同伴、一直照顾着的人该说的话吗。这话说得太气人了。

“你这混蛋,给你点好脸色你就蹬鼻子上脸...一有不顺心的事就摆火影大人的架子是吧!别以为谁都会吃你这套!啊?!宰了你!”

ナルトはベーっとベロを突き出す。

“做—不—到〜。对佐助你,做—不—到〜。你在关键时候就是没胆量。不是老失败吗。现在重新来多少次也没用。而且你本来就比我弱。”

“哈?明明是你比我弱吧?”

“不,我更强!”

“是我吧,是我!”

“是我... 是我!那就在这里再比一次,让你看清楚!”

ナルト挺起胸膛说着,结了他拿手的术印。砰!随着烟雾出现的影分身们,却都趴在地上一动不动。下一个也是,再下一个也是,出现倒是出现了,但从出现的瞬间就瘫倒在地不动了。

佐助目瞪口呆地看着这一幕。

“……啊,行了行了!”

ナルト消掉了没用的影分身。再次扑向挚友。
佐助被推得仰面倒在床上。ナルト爬上他的肚子,一把抓住他衬衫的胸口。
ナルト想要解开扣子,但醉意上头,连指尖都无法自如活动,急躁加剧,终于抓住布料左右猛拉,想要强行撕开。一下一下地拉,可手臂使不上力气,扣子一颗也没崩掉,布料连个裂口都没开。
“唔唔唔……”
虽然在那里用劲呻吟着努力,但佐助却丝毫感受不到危机。
佐助觉得有点烦了。抱人、被抱的争论,那可不行,绝对不行。佐助觉得与其把屁股交给别人,不如咬舌自尽。哪怕对方是鸣人也是如此。对鸣人很抱歉,但他那过高的自尊,恐怕容不下任何理由。

他感到厌烦的是眼前这个状况。他费力地抬头看向仍在努力的鸣人。得知两人两情相悦是好事,但无论是这家伙还是自己,都有妻子。也就是出轨。也有孩子。而且两人还是同性。总结一下,就是带娃同性的出轨。这不是三重苦吗。
佐助不禁用手捂住了脸。用透着疲惫的沙哑声音问道。
“鸣人,你……为什么是现在……?”
“唔唔……、嗯?”
“刚才,你说『那样意思的,一直喜欢』了吧。具体来说,是从什么时候开始的。”
鸣人停下了动作。双手无力地垂下,垂着肩回答。
“……佐助回到村子的时候,差不多。自觉,是那个时候……”
鸣人清楚地记得那个瞬间。看到侧脸,忽然觉得,佐助长得真美啊。虽然也有把男人错认成女人的时候,但像这样把男人作为男人来觉得美,对鸣人来说还是第一次,所以他很困惑,而且那件事刚发生不久,他想,大概只是因为对佐助的友情这段时间稍微浓了一点而已,并没有认真去思考。他一口咬住我的脖子。与话语中蕴含的劲头相反,力道简直就像小狗的轻咬。佐助心想,这家伙很温柔。而且他已经烂醉如泥,肯定没法强行做什么。

事到如今还放不下对别人的体贴,鸣人这副样子莫名让人觉得可怜,佐助只好无可奈何地毫不抵抗,任他在自己身上啃来啃去。这时,一只骨节分明的手摸上了自己的胸口。

“……嗯?”

那分明是男人摸索女人胸部的动作。佐助的胸肌虽然隆起,但和女人相比显然逊色,即便如此,鸣人还是拼命地揉捏着。等等,佐助吃了一惊。虽然难以置信,但——

“鸣人,你该不会是想上我吧?”

鸣人把好友的脖颈舔得湿漉漉的,梦呓般地答道。

“那当然……肯定的吧……”

“为什么?”

佐助非常吃惊。真的非常吃惊。即使在梦里拥抱好友,佐助也从未有过被拥抱的愿望。鸣人到底是怎么得出这个结论的?他把再次贴过来的身体用力推开,俯身凑近那双因为情欲而半垂的蓝色眼眸,从正面直视进去。

“为什么?”

“诶……为什么啊,”

“说理由,说理由”

“理由~?……因为,你皮肤白,睫毛长,长着张女孩子的脸,又漂亮……”

在鸣人看来,比自己皮肤白、睫毛长、长相漂亮的对象,就是应该抱的一方。想起他的妻子,佐助表示理解。但可以反驳的地方多的是。

“我个子更高吧?”

“就高两厘米啦〜”

“体格也更壮”

“诶? 是吗...”

“看,手也是我的更大吧。喏,”

说着佐助把自己的手严丝合缝地贴到鸣人手上。鸣人歪头看着比自己手指长出几毫米的男人的中指。

“嗯……”

“所以说一般情况,是我抱你”

佐助注视着挚友,把话说得清清楚楚。

“是我,抱你”

鸣人把脸皱了起来。他把贴合的手指收拢,紧紧握住,用力说。

“不要! 我不要那样!我要抱你!”

“不行”

“为什么?!”

“不行就是不行。绝对不行”

“不要不要不要! 那、那! 我下火影命令了!”

佐助的太阳穴抽搐了一下。这是一个背着烂醉的朋友、好心照料他的人该听的话吗?这说辞也太让人火大了。
“老子好好对你你还来劲了是吧...碰上点屁事就摆你那火影架子...别以为谁都会被你这套拿捏!啊?!信不信我宰了你!”
鸣人把舌头吐得长长的。
“做—不—到—。萨斯给你做不~到~的。你一到关键时候就怂。不是一直都失败吗。现在重来多少次也没用的说。再说了,你还比我弱呢”
“哈?是你比我弱才对吧?”
“不对,是我更强!”
“是我!是我!”
“是我...是我!那就在这儿再分个明白吧!”
鸣人挺起胸膛说完,便结了他拿手好戏的影分身印。砰!随着烟雾现身的影分身们,却全都趴在地上睡着了。下一个也是,再下一个也是,现身倒都现身了,却从出现那一刻起就瘫软在地上不动。
佐助目瞪口呆地看着这一幕。
“……啊,够了!”
鸣人解除了没用的影分身,再次扑向挚友。
佐助就势被推得仰面倒在床上。翻身骑上他腹部的鸣人揪住了他衬衫的领口。
鸣人想解开纽扣,但醉意上头,连指尖都不听使唤,烦躁更甚,终于揪住布料往左右用力拉扯,试图强行撕开。可是再怎么使劲,手上的力道也使不出来,纽扣一颗没掉,布料上连裂口都没有。
“唔唔唔……”
他一边呻吟一边努力是好事,但佐助因此完全感觉不到危机。
佐助觉得麻烦起来了。“抱”与“被抱”的争论……不可能,绝对不可能。佐助认为,与其把屁股给谁,还不如咬舌自尽。即便对方是鸣人也不例外。抱歉了鸣人,但他过于高昂的自尊心,不可能允许任何道理。

让他觉得麻烦的,是眼前这个状况。他不耐烦地抬头看向还在努力的鸣人的脸。虽然明白了彼此相爱是好事,但这家伙和老子,都有妻子。也就是说,这是不伦。还有孩子。而且两人还是同性。总结一下,是带着孩子的同性恋不伦。这不是三重苦吗。
佐助不由得单手捂住了自己的脸。用带着疲惫的沙哑嗓音问道。
“鸣人,你……为什么是现在……?”
“唔唔…、嗯?”
“你刚才说,‘那个意义上,一直喜欢’。具体是从什么时候开始的?”
鸣人停下了动作。双手无力地垂下,耷拉着肩膀回答。
「…大概是在你回到村子的时候,我才意识到的…」
鸣人清楚地记得那个瞬间。他看到了佐助的侧脸,忽然觉得,佐助真好看啊。虽然有把男人错当成女人的经历,但像这样把男人当作男人来觉得“好看”,鸣人还是头一回,他不禁困惑起来,而且那件事刚过去没多久——他看了看自己断掉的右臂,想这大概只是自己对佐助的友情在这一刻变得稍浓了一些吧,便没有认真去想。
那是大战刚结束,村子与身边都还很忙碌的时候。当时的鸣人并没有余裕去静静地面对自己的内心。他一口咬住自己的脖子。与台词里那股气势截然相反,力道简直像小狗在轻轻啃咬。佐助心想,这家伙很温柔。而且他已经烂醉如泥,不可能来硬的吧。

事到如今还丢不掉对他人的体恤之心的鸣人,让佐助觉得有些可怜,索性不抵抗,任由他在自己身上啃咬,这时一只骨节分明的手探向了自己的胸口。

“……嗯?”

那明显是男人摸索女人胸部的动作。佐助的胸膛虽然有肌肉隆起,但比起女人的明显逊色,然而对方还是拼命地揉搓起来。等等,佐助一惊。虽然不太可能,

“鸣人,你,是想上我吗?”

鸣人把好友的颈窝舔得湿漉漉的,梦呓般地答道。

“那当然了……理所当然的吧……”

“为什么?”

佐助非常吃惊。真的非常吃惊。就算在梦里拥抱好友,佐助也从未有过想被拥抱的愿望。鸣人究竟是如何得出这个结论的。他将再次贴过来的身体用力推开,直视那双因为情欲而几乎合上的蓝色眼眸。

“为什么?”

“诶……你问为什么嘛——”

“说理由,说理由”

“理由~?……因为,你,皮肤白,睫毛长,脸长得像女人,又漂亮……”

对鸣人而言,比自己皮肤更白、睫毛更长、面容像女人一样漂亮的對象,才是他想抱的对象。想起他的妻子,佐助虽然理解,但反驳的话有一大堆。

“我个子更高吧?”

“就两厘米啦~”

“体格也更大。”

“欸?是吗……?”

“你看,手也是我的更大吧。喏。”

说着,佐助把自己的手严丝合缝地贴上鸣人的手。鸣人歪着脑袋,看着比自己手指长出几毫米的男人的中指。

“嗯……”

“所以一般来说,是我抱你。”

佐助注视着挚友,说得很清楚。

“我,抱你。”

鸣人五官扭曲起来。他扣住合在一起的手指,紧紧握住,用力说:

“不要!我说不要嘛!是我抱你!”

“不行。”

“为什么?!”

“不行就是不行。绝对不行。”

“不要不要不要!那、那!我下火影命令!”

佐助的太阳穴抽搐了一下。这是对背着一个烂醉如泥的人、费心照料的朋友该说的话吗?这种说辞让他一阵烦躁。

“你这家伙给你点好脸色就蹬鼻子上脸……一有不顺心的事就摆火影大人的架子……别以为谁都会吃你那套!啊!?杀了你!”

ナルト吐出舌头。

“做——不——到。对佐助你来说,那个,做不到。你在关键时候就没胆量。以前不也总是失败吗。现在重来多少次也没用的说。而且,你比我还弱。”

“哈?你才比我弱吧?”

“不,是我更强!”

“是我!是我!”

“是我...!是我!那就在这里再分个清楚吧!”

ナルト挺起胸膛说着,结了他拿手的术印。嘭!随着烟雾出现的影分身,却趴在地上睡着了。下一个也好,再下一个也好,出现是出现了,但从出现的瞬间起就软趴趴地瘫着不动。

サスケ呆然地看着这副景象。

“……啊,行了行了!”

ナルト解除了没用的影分身。再一次扑向好友。
サスケ被推得仰面倒在地上。爬上他腹部的ナルト揪住了他衬衫的领口。
ナルト想要解开纽扣,但因为醉意太浓连指尖都不听使唤,焦躁逐渐加重,终于抓住布料左右用力拉扯,想要强行撕开。使劲拽,但手臂也使不上力,扣子一颗也没崩掉,布料上连裂缝都没有。

“唔唔唔……”
他呻吟着努力,但正因为如此,佐助一点都不觉得危险。
佐助觉得有些麻烦起来了。抱人还是被抱的争论,这下可真是荒唐。佐助觉得与其把屁股交给谁,不如咬舌自尽。就算是对方是鸣人也是一样。对鸣人很抱歉,但自己过高的自尊,看样子不会允许任何道理通过。

让他觉得麻烦的,是眼下的状况。他懒洋洋地抬头看着还在努力着的鸣人的脸。虽然知道了两人是两情相悦,但不管是这家伙还是自己,都有妻子。也就是出轨。还有孩子。而且彼此还都是同性。总结一下,是两个有孩子的同性恋在出轨。这不是三重苦吗。
佐助不由得用手盖住脸。用带着倦意的沙哑声音问。
“鸣人,你……为什么是现在……?”
“唔唔……,嗯?”
“刚才你说‘一直喜欢’了吧。具体是从什么时候开始的?”
鸣人停下了动作。双手无力垂下,垂着肩回答。
“…大概,是你回到村子的时候。自觉到的时候是…”
那个瞬间鸣人记得清清楚楚。看着他的侧脸,忽然觉得佐助长得真漂亮。虽然也有过把男人错认成女人的时候,但把男人当作男人来觉得漂亮,鸣人还是第一次,于是很困惑,再加上又是在那件事发生之后,他想,大概只是因为对佐助的友情在这一刻变得稍微浓厚了一些吧,便没有认真去想。
那正是大战刚刚结束,村子和自己周围都还很忙乱的时候。当时的鸣人并没有能够静静面对自己内心的余裕。他一口咬住自己的脖子。与台词中蕴藏的劲头相反,力道简直就像小狗的轻咬。佐助心想,这家伙很温柔。而且他已经醉得一塌糊涂、连本性都快露出来了,硬来这种事大概根本做不到吧。

事到如今还无法舍弃对他人的体谅,鸣人这副模样让他觉得有些可怜,于是佐助索性毫不抵抗地任他又啃又咬,结果那只骨节分明的手开始在自己胸前摸索起来。

“……嗯?”

那显然是男人摸索女人胸部的动作。佐助的胸肌虽然隆起,但和女人的相比显然逊色不少,即便如此鸣人还是拼命地揉捏着。等等,佐助吃了一惊。虽然难以置信,但他还是问道:

“鸣人,你,是想抱我吗?”

鸣人把亲密的挚友的脖颈弄得满是唾液,像说梦话似的答道。

“那当然……是了呗……”

“为什么?”

佐助非常吃惊。真的是非常震惊。即使在梦里,佐助也从未想过要拥抱挚友,更没有被拥抱的愿望。鸣人到底是怎么得出这种结论的?他推开再次贴过来的身体,正对着那双被欲望熏染、眼帘低垂的蓝色眼眸,直视着问道。

“为什么?”

“诶诶...为什么,”

“说理由,快说理由”

“理由〜?……因为你,皮肤更白,睫毛更长,长得像女人,又漂亮...”

在鸣人看来,比自己皮肤更白、睫毛更长、长相漂亮像女人的对象,就是要抱的一方。想起他的妻子,佐助表示理解。但可以反驳的地方有很多。

“我个子更高吧?”

“也就高两厘米啦——”

“体格也更大”

“欸?是这样吗...”

“看,手也是我的更大吧。你看,”

说着,佐助把自己的手和鸣人的手严丝合缝地贴在一起。鸣人歪着脑袋,看着比自己手指长出几毫米的男人的中指。

“唔——”

“所以一般来说,是我抱你”

佐助盯着挚友,说得斩钉截铁。
“我抱、你”
鸣人皱起了脸。他弯起相贴的手指,紧紧握住,用力说道。
“不要!我都说了不要!是我抱你!”
“不行”
“为什么!?”
“不行就是不行。绝对不行”
“不要不要不要!那、那!我下火影命令了!”
佐助的太阳穴抽搐了一下。这话是对那个背着重度醉汉、照顾他起居的朋友该说的话吗?这番说辞让人火大。
“老子给你点好脸色你就蹬鼻子上脸……一有不顺心的事就摆出火影大人的架子是吧!别以为谁都会买你的账!啊!?宰了你!”
鸣人吐出舌头。
“不〜可〜能〜。对佐助你来说那是不可能的。你在关键时刻总是没胆量。一直都失败的不是吗?事到如今重来多少次也没用啦。而且,你比我弱。”
“哈?你才比我弱吧?”
“不,我更强!”
“是我!我!”
“是我...!是我!那就在这里再分个高下吧!”
鸣人挺起胸膛说着,结了他拿手的术的印。砰!随着烟雾出现的影分身,却趴在地上睡着了。下一个也是,再下一个也是,出现倒是出现了,但从出现的瞬间就瘫软着不动弹。
佐助目瞪口呆地看着这一幕。
“……啊,行了行了!”
鸣人解除了派不上用场的影分身。再次扑向挚友。
佐助被推得仰面躺倒在地。骑上他腹部的鸣人抓住了他衬衫的胸口。
鸣人想要解开纽扣,可是醉意上头,连指尖都不听使唤,急躁之下,终于抓住布料左右用力拉扯,试图强行扯开。可是他用着力,手臂却使不上劲,纽扣一颗也扯不掉,布料上连一条裂缝都没有。
“呜咕咕……”
鸣人一边呻吟一边努力,但这反倒让佐助丝毫感觉不到危机。
佐助觉得有点麻烦了。抱人还是被抱的争论,怎么可能,不存在。佐助觉得与其把屁股交给谁,不如咬舌自尽。即使对方是鸣人也是一样。虽然对鸣人很抱歉,但他过于高昂的自尊,不打算让任何道理行得通。
他觉得麻烦的是,是这种情况。他懒洋洋地抬起头看向还在努力的鸣人。虽然知道了彼此心意相通是好事,但无论是这家伙还是自己,都有妻子。也就是说,这是出轨。还有孩子。而且彼此还是同性。总结起来,是同性恋、有孩子、出轨。三重不幸。
佐助不由自主地用一只手捂住了脸。用透着疲惫的沙哑声音问道。
“鸣人,你……为什么是现在……?”
“唔唔……、嗯?”
“你刚才说了,‘从那个意义上说,一直喜欢着你’。具体是从什么时候开始的?”
鸣人停下动作。双手无力地垂下,垂着肩回答。
“……大概,是你回到村子的时候。察觉到的,是……”
鸣人清晰地记得那个瞬间。看到侧脸,忽然觉得佐助长得真好看。虽然也有把男人误认成女人的时候,但像这样把男人当作男人去觉得好看,鸣人还是头一回,所以很困惑,而且又想着“毕竟刚发生了那种事”,于是低头看了看自己断掉的右臂,告诉自己大概只是对佐助的友情在这一刻稍稍变得浓厚了些,没有认真去想。
那是大战刚刚结束,村子和自己周围都还很忙碌的时候。当时的鸣人并没有余裕去静下心来面对自己的内心。
サスケは押されるがままに床に仰向けに転がる。腹の上に乗り上がってくるナルトにシャツの胸元を掴まれる。他一口咬住佐助的脖子。虽然台词里气势汹汹,力道却像小狗撒娇般轻咬。佐助心想,这家伙很温柔。而且他已经醉得连自己是谁都不知道了,根本不可能来硬的。

事到如今还放不下对他人的体贴,鸣人这副样子让佐助觉得有些可怜,便无可奈何地任他在自己身上啃来啃去。这时,一只骨节分明的手摸索到了自己的胸口。

“……嗯?”

那分明是男人摸索女人胸部的动作。佐助的胸部虽然有肌肉隆起,但和女人相比显然不够分量,但对方还是拼命地揉捏着。等等,佐助吃了一惊。虽然不太敢相信,

“鸣人,你,是想上我吗?”

鸣人把好友的脖颈舔得唾液淋漓,像说梦话似的回答。

“那当然……是肯定的吧……”

“为什么?”

佐助非常吃惊。真的非常吃惊。即使在梦里拥抱好友,佐助也从来没有过想被拥抱的愿望。鸣人是怎么得出这个结论的?他用力推开再次贴上来的身体,凝视着对方迷离的、欲望几乎让眼皮下垂的蓝色眼睛。

“为什么?”

“诶……什么为什么,”

“说理由,说理由”

“理由〜?……因为,你的,皮肤白,睫毛长,长得像女人,又漂亮……”

对鸣人而言,比自己皮肤白、睫毛长、长得像女人又漂亮的对象,就是用来拥抱的。想起鸣人的妻子,佐助表示理解。但可反驳之处多的是。

“我个子更高吧?”

“只高两厘米啦~”

“体格也更大。”

“欸?是这样吗...”

“你看,手也是我的更大吧。喏,”

说着佐助把自己的手贴合在鸣人的手上。鸣人歪头注视着比自己手指突出几毫米的男人中指。

“嗯...”

“所以按常理,应该是我来抱你。”

佐助看着挚友,斩钉截铁地说。

“是我,抱你。”

鸣人皱起了脸。他把贴合着的手指收拢,紧紧抓住,用力说道。

“不要!我都说不要了!是我抱你!”

“不行。”

“为什么!?”

“不行就是不行。绝对不行。”

“不要不要不要!那、那!我就要用火影命令你!”

佐助的太阳穴抽动了一下。这是对一个背着你这个烂醉如泥的人、一直照顾你的朋友该说的话吗?这说法让他怒从中来。

“老子对你好点你就蹬鼻子上脸……一有不顺心的事就摆火影大人的架子吗?……别以为谁都能吃你这套!啊?!宰了你啊!”

ナルトはベーっとベロを突き出す。
“做—不—到。对佐助你,做—不—到。你在关键的时候就是没有胆量。老是失败。现在再试多少次也没用的说。再说,你比我弱。”

“哈?是你比我弱吧?”

“不,是我更强!”

“是我,是我!”

“是我...っ、是我!那就在这里再比一次好了!”

ナルト挺起胸膛说完,結起了他拿手的术印。砰! 随着烟雾出现的影分身却趴在地上睡着了。下一个也是,再下一个也是,出现是出现了,但从出现瞬间就瘫软不动了。

佐助愕然地看着这一切。

“……啊,够了!”

ナルト消除了没用的影分身。再次扑向好友。

佐助被推得仰面躺倒在地。爬上他腹部的鸣人抓住了他的衬衫前襟。

鸣人开始解他的纽扣,但醉意太过,连指尖都不听使唤,愈发急躁,最后抓住布料左右拉扯,想强行扯开。他使劲拽了拽,却使不上力,纽扣一颗也没崩开,布料上连个裂口都没出现。

“唔咕咕……”
他呻吟着努力扯,但佐助因此完全感觉不到危机。

佐助觉得有点麻烦起来了。抱·被抱的争论暂且不论,佐助觉得与其把屁股交给谁,不如咬舌自尽。即使对方是鸣人也一样。对鸣人很抱歉,但他过于高昂的自尊,似乎不管什么道理都说不通。

觉得麻烦的是,这个状况。他不耐烦地抬头看向还在努力着的鸣人的脸。虽然明白了双方是互相爱慕的,但无论是这家伙还是自己,都有妻子。也就是不伦。有孩子。而且两人还是同性。总结起来就是,同性、有孩子、不伦。三重苦不是吗。
佐助不由得用手盖住了自己的脸。用透着疲惫的沙哑嗓音问道。
“鸣人,你...为什么是现在...?”
“唔唔...、嗯?”
“刚才,你说过‘那样地,一直都喜欢’。具体是什么时候开始喜欢的?”
鸣人停下了动作。两手垂下,耷拉着肩回答。
“...大概,是你回到村子的时候。意识到...是在那时。”
那一刻鸣人记得很清楚。看到侧脸,忽然觉得,佐助真漂亮啊。虽然有把人错认成女人的时候,但把男人当作男人来觉得漂亮,对鸣人来说还是头一次,所以很困惑。他又想,毕竟刚发生了那种事,低头看了看自己断掉的右臂,这大概只是自己此刻对佐助的友情忽然变得比平时浓厚了一些而已吧,并没有认真去想。
大战刚结束,村子、自己的身边都是一片忙乱。当时的鸣人并没有从容去静静面对自己内心的余地。就这样,那份恋慕之情被他搁置在了时光里。又过了一段时日,某天,小樱正在家中厨房做晚饭。他像往常一样赖在餐桌上等她,看到小樱和服的领口微微敞开,露出白净的脖颈。然后、一瞬、心臓が跳ねた。瞬間、己の欲情に気づいて、これはヤバイ、とナルトは思った。
あろうことか己の親友の女房に、手を出したいと感じたのだ。何よりも親友を大切にするナルトは己の下半身を呪った。最低だ。だが、欲望のベクトルが向いているのは己の親友の妻であって、ナルトには無関係なことである。彼女に悪いところはひとつもない。己の汚い感情を彼女に投影してはならない。そう思うのに、次に顔を合わせた時も、その次も、ナルトの目は気づけば彼女を追ってしまう。己の視線に気づかれて、首を傾げられ、微笑まれると、泣きそうになる。
それほどまでの自責の念に苛まれるなら、はっきり言ってしまえばいいだろうに、とサスケは思う。彼の誠実さを考えれば、離婚して、堂々と再び告白しなおしてもいいはずだ。何がナルトをそこまで躊躇わせるのだろう。サスケはややあって思い至った。火影の貫禄、か、と。
ナルトは世界に名高い木ノ葉隠れの里の里長であり、人々の英雄だ。無論サスケとて里の英雄ではあるけれど、ナルトが背負う責任とは重さが違う。大っぴらに女を捨てただの愛人を作ったなどと言われれば、それこそ火影の立場が危うくなりかねない。男同士なら尚更だ。サスケはナルトのその髪の毛をぐしゃぐしゃと乱暴に掻く。
サスケが何を言いたいのかを悟って、ナルトの瞳からみるみる光が消えていく。見ているこちらが辛くなるくらい、分かりやすい落ち込み方だ。まあいい、とサスケは思う。こいつの身の上に降りかかりかねない火の粉を思えば、少し悲しい顔をしたくらいで済むなら安いものだ。ナルトは力なくサスケの胸の上に突っ伏してきた。
「...オレ、ばかだな。いや、ほんとに。ホモの上に、妻子持ちの不倫とか...最悪だってばよ」
「いや、妻子持ちのホモで不倫ならオレも同じだ」
「...だろ」
サスケの胸に突っ伏したままナルトはくぐもった声で同意する。その声は涙声で、顔を上げたら泣き崩れるに違いない。酔いの回ったまま泣くのを放っておくのもなんだか忍びない気がして、サスケは濡れたような声を出すナルトの頭をぽんぽんと叩いた。慰められているのが気持ちよくて、ナルトはごろごろとのどを鳴らす。
「気分悪くねぇの?」
「さっきまでは気持ちよかったけど、今は...うん、気持ちわりぃ...」
ナルトが自分から離れて、絨毯に転がった。毛足の長い絨毯に埋もれて丸まる。サスケは起き上がってベッドの上に移動し、片肘をついて、何かを思い出したように尋ねた。
「ところで、その指どうしたんだ」
それはうつ伏せに倒れたナルトが自分の視界から消えたので、あてもなく放った質問である。ベッドの上からじっと見ていると、酔っ払いが「ンン」と謎の唸り声を発し、もそもそと寝返りを打ち、うつ伏せの態勢から仰向けになる。
彼の右手は包帯がぐるぐると巻かれていて、下の方、手首のあたりに少しだけ血が滲んでいる。はっきりと目に入ったのは、反対にサスケの右腕に残る自分の噛み痕だ。今しがた己がやったことの痕跡である。
ナルトはそれを目にして言う。
「ほら〜、みてみて。オレの噛み痕〜」
きっと、右腕を指さしながら言うつもりだったのだ。ところがぼんやりした意識では腕を上げるという行為がうまくできなかったようで、顔の高さまで上がってきた指先がそのまま鼻を掠めて、目の前でふにゃりと揺れた。
「あれ、オレの手、何か変だってばよ...」
腕を何度かぶんぶんと振り回してから、ナルトは改めて手先を己の顔の前に持ってくる。掌をぐーぱーぐーぱーと握ったり開いたりしているうちに、だんだん何をやっていたのか分からなくなってきたらしい。真っ直ぐに見つめていた目の焦点も、徐々に徐々にとろけていく。
「...そういえばサスケ。お前さあ」
「ん?」
「...やっぱいい。なんでもねえ」
言うだけ言って、ナルトは自分の胸に顔を埋めてくる。
サスケはそれに片腕を背中に回して応えた。
力いっぱい、じゃない。自分のものだと言わんばかりの手つきで。何年もこうしていなかった気がする。いや、こうして抱きしめるのは初めてなのだ。
男の腕に抱きしめられる、という感覚は初めてだと思ったが、意外と悪くはない。サスケは、己の胸元にすっぽりと収まった金の頭を見下ろす。何年もの間、互いに、同じことを考えていた、のか。そう思うと心臓がとくんと跳ねた。

しかし、跳ねたのは心臓だけだった。特別な気持ちはこみあげてこない。サスケはナルトが好きだ。里に残ることを選んだ友人たちの中でも、とりわけ。しかし、それ以上でも以下でもない。己の手のひらの中にすっぽりと収まってしまいそうなほど小さく、愛おしく、どうしても守りたいと思ったのは、いつだって、妻のほうだ。ナルトは親友だ。大事な、仲間だ。
想いを実らせられぬのは互い様だ。ナルトももう大人だ。いくら飲んだくれようと、目を覚ましてしまえば、今の己の言葉が理不尽な夢の所業であると理解できるだろう。赤の他人ならばいざ知らず、この親友は、夢と現をしっかりと区別できる男だ。火影になる男だってのに、なあ。昔から、こればかりは律儀に守ってる。
サスケは自分の上でまだもぞもぞと動いている男を見上げて、この親友は、意外とロマンチストだよな、と何の脈絡もなく思った。指先にリボンをくるくる巻きつけて遊ぶあいつと、縁日の夜に囁かれた言葉を想い起こす。
想い出に浸るサスケをよそに、ナルトの攻撃はどんどん激しくなる。技を失敗して自分から腹を出したこともあって、いつまでたってもボタンは外れない。ナルトは、ぐぬぬ、と、悔しげに唸る。自分の手で開かないのならば、と、ナルトは屈んでサスケの首筋に顔を埋め、ちゅうちゅうと吸い付き始めた。やがて歯を立てて、とっておきの場所を思い出したかのように、前回つけた噛み跡にぴったり重ねて噛みついた。
む、とサスケは鼻を鳴らした。噛み跡の位置は、つい先程までサスケの首に残っていたはずの、疼く赤い痕の場所。服を着替えれば隠れてしまう位置だ。それがここに再び現れたということは、つまり。サスケは口元を綻ばせて訊ねる。
「ナルト、お前、もしかして昨日の痕が残っているのを見て、居ても立ってもいられなくなったとか言うんじゃないだろうな」
ばれた、という顔をナルトはする。ほんのりと顔が赤い。酔いの所為でもある。けれど、シカマルたちに昼間見せてもらった鎖骨の痕は、普段はアンサンブルで隠れている場所だ。ナルトが目撃したのはつまり、サスケが自ら着替えている姿、以外にあり得ない。色々と突っ込みたいところではあるが、一々反応しているとキリがないので、サスケはどうでもいいやと流すことにした。
横たわったままに、覆いかぶさるナルトを見上げる。飲んだ酒のせいか頬が赤く染まっている。まんまるの青い目はとろとろにとろけていて、サスケを見つめて口を開く。
「でも...、俺さ、火影になったらぜってぇ叶えたい夢があんの」
「夢?」
何を唐突に、と思いながらも聞き返す。
「火影の俺と、隣に立つサスケ。初代様と、二代目様みてぇな、像になるんだ。だから絶対に、オレはお前のそばを離れねぇ」
夢うつつの火影サマはうっとりと目を細める。
「未来の火影サマの隣に立つのは、オレの妻でありオレの親友であるサスケ、以外ありえないってばよ。ずっと、ずーっと、オレの隣にいろよ」
ねだ
鸣人呻吟着,佐助猛然回神。鸣人紧紧抱住了他。

“佐助……”

鸣人含含糊糊地说着梦话。佐助以为是自己的错觉,凑近看了看鸣人的脸,但他确实还在睡梦中。

“佐助……”

不是妻子,不是孩子,也不是其他任何朋友,他在梦话里念的是自己的名字。眉头紧锁,皱得几乎要延伸到额头上。

佐助想,这家伙大概只是太累了,想找个能依靠的人吧。即便如此,佐助也不介意。鸣人心中,自己作为绝对可以依靠的男人而存在,这让他感到高兴。他自嘲自己真是爱惨了对方。

录像机上的时间指向六点过了好一会儿,鸣人循着刻进身体里的习惯自然醒了过来。自从就任火影后,鸣人总会在六点准时醒来。不管前一天多累、喝得多醉、加班到深夜,甚至休假时也一样,早晨六点必定会睁开眼睛。

「唔…」

那双失焦的蓝色眼睛随着一次次眨眼逐渐恢复意识,佐助静静地看着。

终于完全醒来的鸣人,意识到自己尽管醉成那样,却还记得睡前发生的一切,脸色刷地一下白了。

「啊……」

看到鸣人怯生生地拉开距离,佐助明白:他记得。这让人有些同情。如果换作自己是对方,一定会后悔到想把对方的记忆或是既成事实抹消掉吧。

鸣人从地板上爬起来,不敢与佐助对视,嘟囔道:
“我去洗把脸……”

佐助依旧躺着,目送鸣人摇摇晃晃地站起身,消失在盥洗室的方向。他衣服的后背皱成一团。那脚步的踉跄,究竟是宿醉还是精神上的冲击?佐助暗自担心,但盥洗室那边并没有传来呕吐的声音。如此便是后者了。

佐助仰面躺在狭窄的地板上,望着亮堂堂的天花板,思考接下来该怎么办。传来水流的声音,不过很快就停了。洗脸漱口的程度应该做了,但隔壁浴室的淋浴声并没有继续。

如果继续像以前一样,装作没看见、没察觉、不知道,那自己就该趁这个空隙离开这个房间。替他付了住宿费也行。然后在今天下午左右,趁着工作之便若无其事地露个面,去一趟火影办公室,鸣人大概也会松一口气吧。毕竟实际的事情并没有发生,只要把这夜晚的一连串对话当作没有发生过,明天开始友情也会一如往常地继续下去。

然而在佐助心中,有个像昨晚鸣人一样,说着“不要不要”闹别扭的小孩。

换作以前的佐助,他会说,丢掉这种自私的想法吧,甚至不会放在心上。

可现在他却想着,要是不顺着自己的意愿,这人生又是为了谁而活?

佐助坐起身来。既然不打算继续装成一个通情达理的大人,那就给自己定几条规矩吧。

其一,这份友情绝不能失去。如果失去了这个,佐助就不知道自己失去手臂也要活下来的意义了。

其二,绝不要伤害鸣人,也就是不能让他不幸。如今鸣人的家庭和火影的职位,全都是他一无所有时努力换来的成果。一样也不能夺走。

最后,要让鸣人变成被抱着的那一方。不是强迫,而是让他自己沦陷。佐助有自信。世人常说先动心的人就输了,但佐助觉得这句话说得不够完整。准确地说,是先动心“说出口的人”才输了。自己还没有说出那句决定性的话,所以现在比对方更有优势。

他站起来,走向盥洗室。薄薄的塑料门背后,有气息在屏息窥探着自己的动静。他一定正按捺着逐渐加速的心跳,等待着自己是从盥洗室门前走过直接离开房间,还是推开这扇门。

佐助果然推开了塑料门。
在盥洗台前抱膝蹲着的鸣人回过头来。好像又哭了,脸颊上还留着泪痕。看到自己,他把蜷缩的身体缩得更小,露出畏惧的表情。
想到他喜欢自己喜欢到这种地步,佐助胸口深处闷烧的火忽然一下高高蹿起,化作烈焰。带着皮肤被火烤般的感觉,佐助凶恶地笑了。
「事到如今还装什么纯情。你刚才就是想让我打开吧。你是想让我,打开这扇门吧。」
说着抓住了鸣人的手臂,用蛮力将他拽向自己。
「住手…」
鸣人很害怕。佐助似乎并不打算当作昨晚什么都没有发生过。面对佐助,他说不了谎。“那是玩笑啦”也说不通。被剥光的心之深渊被可怕的眼睛暴露出来,自己比任何人都更爱这个男人的秘密会暴露,软弱的爱恋会被践踏、吞噬殆尽。而最恐怖的是,自己内心竟然期望着干脆就这样被他吞噬。
美丽的脸一旦扭曲反而更加美丽,令人无可救药。对着近在咫尺的美貌,他不禁屏息。佐助薄薄的嘴唇上扬的弧度更甚了。
“你说了吧,你其实一直喜欢我。”
佐助要抱他,鸣人抗拒着。
“住手……!”
鸣人双臂撑开,想要挣脱。但当他明白推不开佐助,就扭动身体想要爬出那只缠上来的独臂,在地上匍匐着想钻出去。却被猛地拽了回来。过来。佐助用不容分说的强力拉回他的腰。鸣人还没能好好用上力气,膝盖一软滑倒在地。又悔又恨,鸣人短小的指甲抠住了光滑的地板。他朝地面呕吐般恳求道。
“住手啊,佐助!……我道歉。我道歉,饶了我!对不起!我不是故意的!”佐助被鸣人这一声呻吟惊得回过神来。鸣人紧紧抱住了他。
“佐助……”
鸣人一边含糊不清地嘟囔着一边念着他的名字。佐助以为是自己听错了,凑近看了看鸣人的脸,但他的确还在睡着。

“佐助……”

不是妻子,不是孩子,也不是其他任何一个朋友,他在梦呓中念着自己的名字。眉心皱起一道深得几乎要延伸到额头的竖纹。

也许这家伙只是累坏了,想找个能依靠的人吧——佐助想。即便如此,佐助也不在意。在鸣人心中,自己作为那个绝对可以依靠的男人而存在,这件事本身更让他高兴。真是爱惨了他,佐助自嘲地想。

录像机上的时间指向六点又过了一会儿,鸣人身体里根深蒂固的习惯自然唤醒了他。自从就任火影以来,鸣人都会在六点整醒来。不管前一天多累、喝得多醉、加班到深夜,甚至休息日也不例外,早上六点都会睁开眼睛。

「嗯…」

视线尚未聚焦的蓝色眼眸,随着一次次眨眼,逐渐找回意识。佐助静静地注视着这一切。

终于完全醒来的鸣人,明明醉成那样,却意识到自己记得睡前发生的一切,脸色刷地变白了。

「啊……」

看到鸣人畏畏缩缩地拉开距离,佐助明白了——啊,他都记得。真是可怜。如果换作是自己处于同样的立场,大概会后悔到想抹去对方的记忆或者已经发生的事实吧。

鸣人从地板上爬起来。他不敢直视佐助,低声嘟囔:

「我、我去洗把脸的说……」

佐助依然横躺着目送他摇摇晃晃地站起来,消失在洗漱间。他衣服的后背皱巴巴的。那脚步的踉跄,究竟是宿醉,还是精神上的打击?佐助有些担忧,但从洗漱间并没有传来呕吐的声音。那么就是后者了。

佐助仰面躺在狭窄的地板上,望着亮堂堂的天花板,思考接下来该怎么办。传来流水声。但很快又停了。洗脸漱口大约做了,但隔壁浴室的淋浴声没有继续传来。

如果照旧维持着视而不见、听而不闻、佯装不知的态度,自己就应该趁这个空隙离开这个房间。替他付了住宿费也可以。然后今天下午,趁工作之便若无其事地露个脸,出现在火影室,鸣人也会松一口气吧。因为事实上什么都没有发生,只要把这夜里一连串的对话当作没有发生过,明天开始友情也会一如既往地继续下去。

然而在佐助心中,有着一个像昨夜鸣人那样,满地打滚耍赖说“不要不要”的孩子。

过去的佐助,大概会想,这种任性就丢掉吧,根本不会在意。

可如今,他却想:不贯彻自己的想法,人生又是为了谁而活?

佐助坐起身来。既然不想再假装听话的大人,那就给自己定几条规矩吧。

一、这份友情绝对不会舍弃。如果这份友情没了,佐助会不知道自己失去手臂也要活下来的意义。

一、绝不伤害鸣人,也就是不让他不幸。鸣人如今拥有的家庭,还有火影这个职位,全是他从一无所有时起努力得来的。一样都不能夺走。

再来就是,让自己变成被鸣人拥抱的那一方。不是强迫,而是攻陷他。佐助有自信。世人常说先动心的人就输了,但佐助觉得这话还说得不够完整。准确地说,是先动心“说出口的人”才输。自己还没有说出那句决定性的话,所以现在比对方有优势。

站起身,走向洗面台。薄薄的塑料门的那一头,似乎有气息屏住,窥探着自己的动静。对方一定正按捺着加快的心跳,等着看自己是径直走过洗面台前离开房间,还是推开这扇门。

果不其然,佐助拉开了塑料门。

在洗手台前抱膝蹲着的鸣人转过了头。似乎又哭了,脸颊上还残留着泪痕。看见自己,他把蜷缩的身子缩得更紧,露出胆怯的表情。

一想到他竟喜欢自己到如此地步,佐助胸中那团闷烧的火便“轰”地高高蹿起,化为烈焰。被灼烧般的触感让佐助凶恶地笑了。

“事到如今还装什么纯情。你明明就希望我打开。你明明就希望我打开这扇门。”

说着,佐助抓住鸣人的胳膊,用强力将他拉向自己。

「住手…」
鸣人害怕了。佐助似乎不打算当作昨晚的事没有发生。在佐助面前,他说不了谎。“那是开玩笑的”这种话,对佐助行不通。被看穿到一丝不挂,自己心灵的深渊被那双可怕的眼睛暴露无遗,比谁都更爱这个男人的事实暴露了,软弱的心意被践踏殆尽。而且,比起这一切,最让他害怕的,是内心深处那个希望就这样被侵犯的自己。
那张漂亮的脸在扭曲之后反而更添几分美丽,实在难以招架。面对近在咫尺的美貌,他甚至忘了呼吸,佐助薄薄的嘴唇却更加得意地向上扬起一边。
“你,说过吧。你一直以来,都喜欢我。”
佐助想将他拥入怀中,而鸣人则抵抗着。
“住手…!”
鳴人用两只胳膊撑开抵抗。但当他明白无法推开佐助时,便在缠上来的独臂中扭动身体,试图爬着逃出去。猛地被拉回来。腰间被一股不容分说的力量拽向佐助。鸣人还没能好好使出力气,膝盖一软滑倒在地。又懊恼又丢脸,鸣人将短短的指甲抠进光滑的地板。他朝着地板声嘶力竭地恳求。
“住手吧,佐助!……我道歉。我道歉,所以放过我!对不起!我错了!”
その泣き声にサスケはそっと眉を下げる。ああ、俺はこの声が聞きたかったんだろうか。サスケは鳴るナルトを抱き寄せた。ナルトの体はへなへなと力を失くして、されるがままだった。
サスケは何も言わなかった。何を言っても萎縮させるだけだ。代わりに腕の中の金の髪に頬を寄せ、そのまま動かなかった。石のように固まっていたナルトが、わずかに力を抜いた。
逃げられると思ったんだ。お前は器用に、この手からすり抜けて行ってしまう、と。ナルトはいつだって、掴まえようとしたらするりと逃げて行く手の届かないひとだった。あの帰ってきてほしいと手を伸ばした日からずっと、ナルトはサスケの遙か遠くへ行くものだと思っていた。
けれどこれは、夢かもしれない。
月明かりに淡く照らされた薄暗い部屋で、吸血鬼と自分、どちらとも知れない二人きりの空間で、サスケの腕に抱かれる夢を見た時も、今も同じくらい温かい。温度がある分、今はまだ現実味がある気がするが。
サスケはうずくまるナルトの腕を引いて立ち上がらせ、洗面台に背を預けて立たせた。ナルトの背中が冷たい陶器に当たってひんやりする。
「サスケ、頼むってば。なかったことに…」
「なかったことにして欲しいか」
サスケの目が、死刑の宣告を聞く罪人のようにナルトの心臓を射抜いて、凍りつかせる。何度も繰り返した作り物の台詞を、ナルトはまた口にする。
「今すぐ、やめてほしいってばよ」
「なら、自分でオレを止めてみろ。火影なら力で止められるだろ」
サスケが煽るように言って、手をナルトの頬に触れさせた。ゆっくり撫でながら、脅すように囁く。
「指輪もしてねェし、昨夜あれだけキスしたのに、痕も何もねェ。お前の首も、今も真っ白だ。キスマークが欲しくないか? 俺のを付けてやる」
ちゅ、とサスケの唇がナルトの喉仏に触れる。ナルトの体がびくりと強張る。
「やだ、」
「やだ、じゃなくて。本当は欲しいくせに」
何度も言って聞かせているのにコイツはよくもまあ飽きもせず、とサスケは呆れ気味に喉仏から唇を離す。するとナルトが目を潤ませて、おずおずと口を開く。
「サスケ、オレ、サスケの口から、ちゃんと言って欲しいんだってば。オレのことどう思ってるか。サスケの口から、ちゃんと聞きたい。いつもぼかしてばっかりだから…」
自信がなかった。サスケは三十二年間、ナルトにだけは言わない言葉がある。好きとか、愛してるとか、そんな言葉は、冗談混じりにすら口にしたことがない。サスケのことだ。また何か適当なことを言って誤魔化すに決まっている。
「だから言ってるんだろうが」
サスケは腰を落としてナルトの視界に収まり、焦れったそうに言った。
「お前がずっと好きだったって。オレもお前のコトが好きだ。こうして寄り添って、お前の全てを抱きしめて生きていきたい」
真っ直ぐに見つめて言われる。ナルトは言葉を失った。頭の中では、この誘惑に負けるまいと警鐘が鳴り響く。けれど心は、耳を塞いで、その言葉に縋りたいと泣き喚いている。
好きだと、言われた。そんなの、はじめてだ。こんなに綺麗な人に、自分を好きだと言われるようなことは、いまだかつてなかった。
いや、と首を振りたい。この言葉はオレじゃなくて、こいつの目の錯覚が生み出した幻なんかじゃない、と言い切ってしまいたい。違う。サスケが好きだと言っているのは、オレのことが好きなんだ。自分にだってわかる。
「つらいのか?」
優しい声だ。堪えている顔に、サスケの手が触れる。暖かくて、それだけで心臓が五月蠅い。望んだことだった。ずっと、いや永久に、この手が自分に触れてくれたら良いと、泣きながら思ったこともある。
嘘じゃない、とナルトは思う。あの時想った全部。嘘はひとつもない。
だって言っただろう。ずっと好きだった、と。酔った勢いの本音を、はっきりと。
きっとサスケは、聞かなかったことにはしてくれない。かといって、サスケは自分がただ泣いて縋るのを、慰めもせずに眺めて愉悦に浸るような男でもない。
「やだ……」
でも、納得のいくように頷けない。膝を抱えて蹲るナルトは、唇を震わせて、必死に生まれる言葉を探す。サスケに納得してもらえる言い訳を、怒りを鎮めてもらえる言い訳を。
「誰かを好きになるって…」
サスケは、ナルトがこれから紡ごうとしているであろう言い訳を遮るように、自分の掌の下でびくりと震える肩を、さらにきつく強く抱き寄せた。
「お前が、オレのことを好きでいるのは、オレの許可がいることだぜ」
「…は?」
ナルトが呆けた声を出す。
「いいか、忘れんなよ」
「……オレの、せいじゃねえってば」
「何言ってる。お前は火影だろ? 国中の人間を不幸にするかもしれない、俺様の我儘のせいで、この里が傾きでもしたら、責任取れんのはお前だろ」
いやいやいや、いま自分がしようとしている責任の取らせ方は、その意味と規模が違い過ぎる。ナルトの頭が、酔いと眠気と恐怖と理解が追い付かない事態にようやく回り始める。
「責任て…」
見上げたサスケの顔は、ひどく楽しそうだった。
悪い大人の顔だ。とナルトは思った。自分が今、悪い大人に絡まれていることを悟る。
「オレ、お前のセックスフレンドになるのは、いやだってばよ…」
泣き言は、昼間の部屋ではずいぶんと空回りして響く。
そもそもお前のセックスフレンドになんて、ならないからな。
そう言って、怒って、呆れて、サスケを無視して、この部屋から出て行くことだってできる。このままサスケが本気で押してくるなら、突き飛ばすことだってできる。なのに、ナルトは、しない。
「じゃあ、なんだって火影室で色々してくれたんだ」
サスケにさらりと言われ、ぐうの音も出ない。
「もうあれは…」
言いかけて、続きが出てこない。
「あれはなんだ。言ってみろ」
「あれは……」
言葉に詰まる。何を言っても言い訳にしかならない。
「オレに触るの、嫌か?」
「嫌じゃねェけど…っ」
言いかけてナルトは自分の口を両手で塞いだ。コイツはそういう言葉尻を捕まえる、と後悔してもしきれない。サスケは上機嫌そうに目を細めて嗤った。
「じゃあ、好きなんだな」
すかさず言われると、ぐうの音も出ない。肯定も否定もできない。あの言葉を“なかったこと”にしようと誓ったばかりなのに、三秒と経たずにそれは崩壊した。まあサスケを相手に、なかったことにできるはずもないのだけれど。
「質問を、変えるぞ」
逃げ出したいナルトの手首を捉え直す。サスケの声のトーンが変わった。言うことを聞かない子どもを、それでも愛しく思っているような、慈しむような低い声。
「ナルト。オレは、お前が好きだ。この想いは本物だ。いわば既成事実だ。だけど、お前の答えは聞いてない。今の家族を大事に思うなら、断ってくれ。オレはそれで構わない。キスもセックスも、なかったことにする。昨夜のこともなかったことにできる」
サスケにしては随分と譲歩した申し出である。しかしナルトにはこれが、その慈悲深い譲歩の意味を図りかねて、ますます怯えた表情になる。
「う…そ…」
もう、どうしていいのかわからない。ナルトは完全に混乱していた。サスケが来た時、自分は火影としての責務を放り出してサスケの首に飛びついた。この男に会いたいと思って何もかも投げ出して、実家にまで帰ってしまった。そしたら今度は、オレのことを好きだと言って欲しいと請う。自分に都合のいい解釈をしている自覚もある。だってサスケはナルトが言ったことを反芻しているだけなのだ。けれど、一度掴んだ幻は手放せない。
サスケの胸元にうつむいていたナルトが、顔を上げる。
「サスケのオレに対する気持ちって、何なんだってばよ。オレの気持ちが、わかってて、言ってるのか…」
ナルトが震えている。ひたむきにサスケを想い続けてきた時間を否定するような、いい加減な扱いを恐れている。その割に、自分の不誠実さには無自覚である。サスケは重い溜息をついた。
「そんなの知るか。お前が選べ」
「オレが…」
「どうすんだ」
元々ナルトが来なければ始まらない話だ。自分から来たのだから、ナルトの責任で決めるのが筋だろう。火影の地位や愛する家族を捨ててまで、自分の胸に飛び込んでくるか? すべて捨てて駆け落ちしてやる、と泣きつくか? それとも…現実を見て、なかったことにしようとするか。
サスケは少しだけ待ってやることにした。ナルトがぐっと堪えた息を吐き出すのがわかる。悲しみに震える声が、落ちてくる。
「オレ、サスケの気持ち、全部知ってるってばよ」
ナルトが言う。
目を背けて壁の方を向いたまま。
「七班の時のサスケは、オレと喧嘩してばかりだったけど、悪い人じゃなかったって。分かってるって。でもって、オレに、言ってくれなかったこと、いっぱいあったけど… 大蛇丸の所に、行っちまった時も… こんなんじゃあ…ダメだって、思ってたってばよ」
唐突にしゃべり出すナルトの言葉をサスケは遮らず、じっと聞いていた。
「サスケは、オレのために、人生を変えたかもしれねェけど、オレはオレで、ちゃんとオレの人生を歩いてきたってばよ。今のオレは火影で、妻子がいて、この木ノ葉の里で、誰よりも、皆に愛される立場の人間になって、それで、十分幸せなんだってばよ」
彼に言える精一杯の拒絶の言葉だった。そのくせ視界の端では、サスケを探している自分がいる。
それをサスケは見逃さない。
「んなら何で俺んとこに来たんだよ。ちゃんと言えよ。幸せなのに、何でわざわざ、オレに会いに来たんだ」
言われてナルトはまた唇を噛み締める。彼の前にいて、同じ部屋にいて、何もなかったことのほうが不自然なのに、サスケはそれをあえて口に出す。ナルトは言葉を探すが、虚しい音を立てて総てが崩れ落ちて行って、何も浮かばない。
「言えない?」
静かに問われて、顔を上げると、サスケは笑っていた。口元だけで、形のいい唇を片方だけ持ち上げて、とても危険な色をした笑みだった。見つめられているだけで愛の深さを詮索されているような気分になって、ナルトは目を逸らした。
「言えるわけ…ないってばよ」
声色が震える。手を握り込むと、サスケの体温が残っている。さっき掴まれた手だ。意識しないようにしても、ちりちりと脈打つように熱い。嫌ではなかった。サスケに触れられるのはいやじゃなかった。それどころかその大きな手に絡めとられて、このまま身体ごと持っていかれてしまったら楽だろう、とすら思っている。
「言えよ」
熱のこもった声音にそう囁かれ、息が止まる。
「言ったら、抱いてやる」


手の中の滑らかな器がするりと落ちた。ぶつんと糸が切れるように、ナルトの中で何かが弾けた。
駄目だ、この人を好きになったら、駄目だ。取り返しがつかない。二度と元には戻れない。
それでもサスケは、そんな葛藤はお構いなしに、うるさいほどに鼓動を打つ自分の胸へと引き寄せようと、ぐいっと腕を引っ張る。
「やだ」
情けない声を絞り出す。目頭が辛い。唇が震える。くそ、とナルトは思う。泣いて嫌がるのはやめようと、昨夜、心の中で決めたばかりだというのに、涙が堪えられない。サスケにちゃんと伝えたいことは、こんなのじゃないのに。
「やだよ、サスケ…。オレ、」
「泣くな。言っただろ。お前の泣き顔はオレにしか見せられないって」
過去にサスケが言った言葉に、ナルトがどれほどの涙を流したことだろう。何度この言葉を思い出しては胸を締め付けられて、今夜のように、必死に思い出を手放すまいと震えていたことだろう。
サスケはついに息継ぎをした。
「俺は、お前が……」
開きかけた唇に、押し殺した吐息のような声が落ちてくる。閉じる。ナルトは声を振り絞った。
「サスケ、オレは、これからもずっと友達でいたいと思ってるってばよ」
サスケの動きが止まった。これからずっと、友達。火影の妻であり、子どもの母でもあるナルトの言葉としては、あり得ない。そもそも六代、七代の友人の関係も、その性向を知りながら害のない範囲に留めてきたのだから、今のこの関係を変える必要はない。サスケは思う。今までのような関係が何よりも安全で、確実であることを知っている。でも、とサスケの胸の奥で火がくすぶる。
でも、サスケは、もう何年も、ナルトに触れたくて触れたくて、ずっと我慢してきた。ソファで爆睡するナルトを、何度拝んだように見つめたことか。深呼吸をして息を整えないと触ってしまいそうな衝動を抑え込んで、ひたすら己を戒めてきた。対等な関係、絶対的な友情、唯一無二の存在。もうこれ以上何かを欲しがるなんて、傲慢だと思ってきた。それなのに、触れていいという許可が一度出てしまえば、抑え込んでいたものがすべて決壊してしまいそうになる。いやもう少し崩れている。もはや後には引けない。
「約束は、守ってもらうぜ」
囁くように言って、サスケはナルトの腰に手を回す。触れたところがひどく冷たくて、ずっと晒されていた細い足首も触れると大理石のように冷たかった。
「サスケ…」
ナルトは縋るような声で名を呼んで、サスケの胸に顔を押し付ける。小さな震えを感じて、サスケはナルトの背中に回した手にぎゅっと力を込めた。力なく床に座り込んでいるナルトの体を支えて、引き上げる。
「泣くなよ」
言って、彼の頬の涙の跡を、指の腹で拭ってやった。久しぶりに触れた肌は、思っていたよりもずっと温かくて、サスケの掌にしっとりと馴染んだ。
「ずっとだよ」
掠れた声が、サスケの胸に落ちる。
「言ったろ、ずっと前からお前のことが…」
「ナルト」
サスケは名を呼んで、跪くナルトを自分と同じ目線の高さに立たせた。服がずり落ちて肩口がはだけ、鎖骨の上にうっすらと、昨夜の痕が浮かんでいる。首に手を伸ばして、耳の下を唇でなぞると、ナルトの体がぶるりと震えた。
「な、んで… こんな…」
こんなことするんだってばよ、と声にならない抗議が震えながら零れる。拒絶の言葉のはずなのに、拒絶されることに怯える声音に聞こえるのはサスケの都合のいい解釈だろうか。
「独りよがりってわかってる。お前が幸せになるって言うなら、オレはもう二度と顔を見せない。ここで見たことも聞いたことも無しにしてやる。だから泣け。泣いて決めてくれ」
ナルトの顔をき込み、冷酷なくらい澄んだ黒い瞳を真っ直ぐ向けた。
「決めるのはオレか? なんで…」
掠れた声でナルトが呟く。その声には昨夜感じた疲れとは違う疲れが混ざっていた。折り合いの付け方もわからないまま一晩中心が揺れ続けたのだろう。
「お前の人生だ。お前が決めろ」
そう言って、サスケは自分の上着のポケットから鍵束を取り出した。自分には選択肢がなかった。手放したくないものは彼のその手で掴むしかない。ヒョロ長い銀色の鍵束をナルトの前に差し出す。そこにはアパートの鍵と、事務所の机の鍵がついていた。
「今夜、オレと寝ろ。朝になったら、お前が夢を見たことにしてやる。夢だったと忘れてやる。それで気が済むなら…このままオレが黙って消えてやる」
脅すように、突きつけるように言ってのける。
「サスケ、それ…」
ナルトの手が伸びてくる。鍵束に、触れるか触れないかの寸前で、ぴたりと止まる。
「オレは、サスケと、」
ナルトの碧眼がすうっと細くなる。二日酔いで血色の優れない顔に、サスケへの恐怖と葛藤がくっきりと浮かんでいる。
「…やくそく、できないってばよ」
サスケは怒りはしなかった。昨夜のナルトの言葉は酒の勢いで口にしたことではないとわかっている。あれは本心だ。サスケという男と自分との関係に、今まで蓋をして見ないふりをしてきた確かな気持ち。それを吐き出してしまったのは、自分に嘘がつけなかったからだ。自分に正直になればなるほど、サスケに正直になるほど、堪らなく欲しくなる。無理に折り畳んで奥にしまい込んできた感情の、呆れるほど大きい、質量の塊の存在を認めさせられて、取り扱いに困っているのだ。
「だからよォ、サスケ、オレはお前と友達で…」
「友達に、しておくことも出来る」
サスケは遮って言った。ナルトは一瞬、救われた顔をした。
「けど、オレはお前と友達をやめるつもりはないからな」
その代わり、とサスケは続ける。ナルトの両腕を掴み、床の上へと組み敷く。昨夜と同じ体勢に、ナルトが息を呑む。
「この関係のまま、友達を続けるんだ」
そして何かを言いかけるナルトの口を塞いでしまう。サスケは血が上った顔を上げ、押し殺した声で宣言する。
「オレがお前を、絶対に不幸になんかしない」
サスケはナルトの首に腕を回して身体を密着させる。ナルトの耳に唇を寄せ、囁く。夜通しずっと聞いていたいと思えるほどに、愛おしい声で。
「やっと、お前を誰にも渡さずに済む」
その言葉は、ナルトの中の不安や恐怖を理解してから言った、とわかるほど、とても優しかった。
ぎゅうと腕に力が入る。ナルトはされるがままになっていた。きっと自分が情けない顔をしていることはわかっている。強情な自分が言うことを聞いて素直に抱かれて、抵抗しない。
サスケはナルトを抱えるとベッドの方へ歩き出した。ナルトは床に落とされるかと身を固くして、それから反動で少し跳ねた。
「…っ」
サスケはまずナルトの服を脱がせた。あっという間に服を剥かれて、ナルトは頭を抱える。
「オレさ、」
震える声で、なんとか勇気を振り絞ってナルトは言う。
「男同士のエッチとか、したことないってばよ。オレ、」
サスケは鼻で笑った。
「俺もだ。お前とが初めてだ」
だったら同じだ、とナルトは思った。ならば同じ土俵に立てる。
「オレ、怖いぜ」
ビジネスでも戦いでも、ナルトは苦労を厭わない男だ。イタチもカカシも自来也も、ナルトのそういう資質を認めて目をかけていた。だが自分には無い能力を体に取り込んでまで覚えようとした数々の技があった。大概は自分の身を傷つけて会得したものである。それほど無茶をしてきた男が、今更怖いと唇を震わせている。
「こわい」
昨夜と同じ言葉。本心だ。この胸の内にあるものは、穏やかで、あたたかくて、甘やかで、優しい光を放つ、まるで朝日のようで、確かに名前がある。初恋と、自分は呼ぶのだろう。
サスケはそっとナルトの手から、引き千切られた花の茎を取り上げるように、ナルトの手を、指を取り、絡めるようにして握り直した。瞳はきつくナルトの青を見据えている。日光を直接覗き込んだ時のようにナルトは細めた。
対峙する二人はどちらからともなく何かを話し出したりはしない。沈黙が意味
白天,鹿丸坐在自己的办公桌前,叼着烟,咬着过滤嘴,紧盯着暗部送来的报告。这时办公室的门开了,他抬起头。其他人都出任务或办公去了,房间里只有鹿丸一个人。

从打开的门里看到一位稀客,鹿丸有些惊讶。
“佐助?什么事?”

佐助来火影宅邸时,大多数情况下都在火影室。鹿丸也经常是去火影室找火影时碰见佐助。

佐助没有回答鹿丸的询问,默默走近他的桌子,将折好的纸币放在堆积的文书上。鹿丸吸了一口烟,低头看了一会儿,然后默默拿起纸币塞进了自己的口袋。

“今天早上那家伙脸色好点了。谢了,佐助。”
“……昨天后来全吐了。”
“哈哈……果然还是吐了啊。”

鹿丸用疲惫的声音说着,一只手粗鲁地揉了揉眼眶——那眼周挂着的倦意,和鸣人如出一辙。佐助垂下视线看着鹿丸手边的文件说道。

“所以,下周二,再借那家伙用一下。”

“哦,他要跟你出去吗?早上他跟我说要出村一趟。”

佐助轻轻点了点头。

鹿丸想起鸣人刚才欲言又止地问他能不能出去一天时的表情。出去散散心,鹿丸举双手赞成。他大方地点了点头说了句一天的工作交给我吧,又随口问是和孩子们去哪儿吗,鸣人便有些心虚地移开了视线。

那表情似乎带着几分难为情,鹿丸本以为他是久违地想和妻子二人独处,看来是和佐助一起去。鹿丸将心底隐隐约约察觉到的那一丝违和感,连同口中的烟雾一起吐了出去。

就算同行者从雏田变成了佐助,那又有什么问题? 倒不如说,担心过激义贼团伙的行动而打算给火影加派暗部护卫的麻烦,佐助能一并兼任,对鹿丸来说反而安心。除了佐助,鹿丸不知道还有哪个忍者跟在火影身边能让他绝对放心。

「傍晚之前我会把火影带回村子」
鹿丸点了点头,把抽短的香烟在烟灰缸里摁灭。
「那家伙就拜托你了,佐助。让他打起精神来」
佐助没有回答,指尖碰了碰压在烟灰缸下面的文件。鹿丸的视线顺着他的指尖落下去,佐助同时开口:
「这个」
鹿丸在桌上抱起双臂。他方才正读的,是关于那伙近来令人头疼的义贼集团的报告书。自从内鬼的嫌疑变得明显以来,因为害怕情报泄露,不能光明正大地派村里的忍者去调查,只能交给暗部精锐去办。参与的人少,调查任务也迟迟没有进展。
佐助继续说:
「我有点线索。可以让我单独去查吗?」
鹿丸沉默地朝佐助投去一个询问的目光。佐助继续回答:
「因为他们把偷来的钱洗白后再分发给穷人,所以很难追踪吧。我有办法追查洗钱的过程。」
「……是吗」
鹿丸思考片刻。是从佐助那里详细了解后派其他人去,还是就这样交给佐助去办? 但前者几乎不可能,因为没有人手可以分派。
自从内奸侵入火影室之后,鹿丸便无法就此事采取果断行动。
如果火影本人受到明显的伤害,或者哪怕没那么严重,只是房间被翻乱,或是有什么重要的东西被盗,鹿丸都能采取强硬手段。可现场只是被放了几十张印有谴责性标语的传单,连恐吓信都算不上,这让鹿丸搞不清楚这究竟是不是纯粹的恶意行为。
他总觉得在恶意背后渗出了某种粘稠的别的感情。鹿丸还没能看透那份感情的真相。七代目火影看起来被他认识的所有人喜欢着,但实际上未必如此。英雄太过于英雄,反而行不通啊,鹿丸深有感触。
而且,和自己一样因敬佩鸣人的为人而追随至今,这个以鸣人为契机完成了前所未闻的叛离者归村的男人,恐怕绝对不会明白黑粉的心情。
萨凯要是抓到犯人,一定会把他揍得不成人形吧。鹿丸很担心。私下里,就算把对方揍得不成人形也完全没问题,但作为顾问,可不能让他那么做。
义贼团伙所宣扬的平民口号,在木叶村内因为对七代目火影的憧憬之情很强而效果甚微,但一出村子就不同了。每年都有大笔税款以军费的名义流入忍者隐村,这一现实不可能让所有久未经战事的火之国国民都欣然接受。尤其是感觉自己被国家榨取税金的低收入阶层,这种倾向尤为强烈。义贼的领导层巧妙地利用了穷人对官府的嫉妒之心。
此时,如果木叶隐村传出,比如对义贼集团的主谋动用私刑之类的传闻,那么身为村长、火影的人望就会受损,进而连隐村的立场也会变得岌岌可危。他们只是偷富人的钱分给穷人,没有杀过人,也没有伤过人。
必须妥善处理,シカマル想。他在犹豫,是否该把这件事交给这个极有可能把事情闹大的男人。佐助很优秀,交给他一定能追捕到主谋。只是,佐助在冷静时聪明且算计周到,连シカマル也对他高看一眼,可一旦感情用事,他便会转眼将所有事物烧尽,シカマル不禁担心他会连同一切一起拖入火海。
“没问题。”
佐助说。シカマル没有回应,指尖碰了碰压在烟灰缸下的文件。シカマル顺着他的视线看去,佐助同时开口:
“关于这个。”
シカマル在桌上抱起双臂。刚才翻阅的文件,是关于目前正困扰他们的义贼集团的报告。自从发现内部有内应以来,因为担心情报外泄,无法让村里的忍者公开进行调查,只能交给暗部精锐处理。参与人数少,调查任务也迟迟没有进展。
佐助接着说。
“我有点线索。能让我单独查一下吗?”
シカマル无言地用询问的目光看向佐助。佐助继续回答。
“他们盗取的钱财要洗过之后才会散出去,所以很难追踪行踪吧。我在那个洗钱过程有线索。”
“...这样啊”
シカマル有些犹豫。是从佐助那里听取详情后派其他人去,还是就此继续交给佐助处理呢。话虽如此,前一个选项因为抽不出人手而几乎不可能实现。
自从有内奸潜入火影室之后,シカマル就无法对这件事采取大胆的措施。
如果干脆是火影本人遇袭,或者哪怕没那么严重——房间被翻乱、什么重要的东西被盗,シカマル也能采取强硬手段。但这次只是几十张普通用纸,印着连威胁都算不上的指责性标语,被放置在那里。所以シカマル搞不清,这到底是不是纯粹出于恶意。

总觉得在恶意背后,还渗出着某种粘稠的其他情感。シカマル还没能看清那种情感的真面目。七代目火影看起来被他认识的所有人喜欢着,但实际上未必如此。英雄如果太英雄了也不行啊,シカマル深有感触地想。

而且,正如自己被鸣人的人格魅力深深折服而一路追随至今一样,这个以鸣人为契机完成了前所未闻的叛离—回归的男人,肯定无法理解反派的心理,シカマル也这么想。

佐助抓到犯人后会把他揍个半死吧。シカマル有些担心。就个人而言,让他被揍一顿完全没问题,但作为顾问,这样可不行。

義賊連中的大众口号,在火影村里对七代目火影怀有强烈憧憬的氛围下毫无效果,但一走出村子就不一样了。以军费名义每年大量税金流入忍者村的现实,长期没有战争的火之国国民不可能全都欣然接受。尤其是感到自己税金被国家榨取的低收入阶层,这种倾向更强。义贼的领导层巧妙地利用了穷人对官府的不满。

如果此时木叶隐村传出把义贼头目私刑处死的传闻,作为村长的火影人望就会丧失,进而忍村的立场也会岌岌可危。毕竟他们只是盗取富人的钱财分发给穷人,既没有杀人也没有伤人。

シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。 シカマルは考えている。

そしてシカマルが長考から顔を上げたときには、サスケはもう立ち去った後だった。
サスケは今日、火影に会いに来ていたわけではない。シカマルと顔を合わせて二言三言交わすためだけに火影屋敷まで足を運んだことになる。シカマルは積み重ねた書類の脇に置かれた封筒を見て、あ、と声を漏らした。
「サスケ待て。ヒナタに伝言だ」
シカマルは仕事部屋を出ていくところだったサスケを呼び止めた。サスケは足を止めて振り返る。シカマルは封筒をサスケに差し出しながら言う。
「この前の護衛任務の報酬だ。渡すの忘れてた」
「...俺からは受け取らない男だぞ」
「ああ、でもヒナタは受け取るよ。つっても多分一文も残さず里のガキどもの教育支援とやらに使うだろうけどな」
シカマルはサスケの手に封筒を握らせた。サスケはそれを見下ろし、やがて何も言わずに懐へ仕舞った。
サスケが部屋を出る間際、シカマルは呼び止める。
「おい。今日は何の日か知ってるか?」
サスケは足を止めて、少し考えているようだったが、すぐに「いや」と答えた。
「なんでもねぇよ。忘れてくれ」
シカマルの言葉にサスケは何か言いたげに一瞬口を開きかけたが、何も言わずに部屋を出ていった。シカマルは手元に視線を落とし、読むのを中断していた報告書の続きを目で追い始めた。
昼間のサスケとのやりとりを思い出しながら、シカマルは書類から視線を上げて言う。
「今日はこの辺で切り上げんぞ」
ナルトが何か言いかけて、しかし口を閉じた。シカマルは、サスケに今日一日ナルトを借りるつもりがあるかどうかを確認しに、朝一番にサスケのもとを訪れていた。
朝、火影室に顔を出す前に、いつも通りサスケの自宅に寄って、サスケの顔を見てから確認しようと思ったのだ。サスケは妻と子と朝食を取った後のようで、シカマルを自宅に上げ、茶を淹れ、二言三言言葉を交わしてから、昼前には里を出るつもりだと言った。シカマルが玄関まで見送りに出たときには、ちょうどナルトがやってきたところだった。
そういうわけでナルトがすでにサスケのところへ行っているのなら、今日の昼過ぎの分のサスケの護衛の割り当てはどうなっているのか、とシカマルは思う。何せ表向きサスケは里を出たことになっている。サスケに護衛を割り当てる必要はないが、七代目火影の護衛を担当する暗部からしてみれば、火影がサスケと二人きりで出かけられたのでは護衛のしようがない。二人きりのところに割り込んでいくほど暗部の連中も空気が読めないわけではないし、空気を読むあまり、自分たちの役目を忘れてしまっているところもある。
ナルトが里を出る時、サスケが必ず同行しているのは、シカマルにとっては助かることではあるけれど、こういう時、サスケを火影の護衛扱いしていいものかシカマルはいつも迷う。サスケは火影の護衛に任命されているわけではない。自分の意志で、ナルトを守るために来ている。シカマルにはナルトの守りをサスケに任せておいて安心だという思いと、いつかサスケがここに来なくなってしまったらどうしようという不安がある。サスケのそれは、義務感からくるものではないからこそ、当てにしすぎてはいけないような気もしてしまう。
昔からずっとだ。ナルトが里にいないときも、サスケが里を出ていたときも、シカマルは二人の関係を近くで見てきた。二人は何があっても、最終的には必ず同じ場所に辿り着く。自分には考えも及ばない深いところで二人は強く結びついていて、その結束をシカマルが口を挟んでどうにかできるようなものではないとずっと思っていた。
だが見方を変えれば、この二人は何か大きな決定的な事件が起きない限り、互いに折り合って問題を解決していくことのないまま現在に至っている。
どちらかが大きな怪我を負うか、最悪の場合どちらかが死ぬか、そんな最悪の事態が起きない限り、二人は決定的なわかり合い方をしないだろう。
シカマルは口元だけで笑った。作戦参謀たる自分はとんだ小物だな、と自嘲を込めて。せいぜい伝書鳩を飛ばすくらいのことしかできていない。
午後、シカマルは自宅の縁側で煙草を吸っていた。開け放たれた障子の向こうで、縁側の木の床に脚を投げ出して座っていると、スーツケースを引いたテマリが家の中から出てきた。
「もう行くのか?」
「うん。今日から三日間、火の国で開かれる大名会議に出席するの」
テマリはシカマルの隣にしゃがみこみ、草履を履いた。黒い靴下に漆黒の瞳、長く伸びた黒髪のテマリは、自分が着物に着替えたことでシカマルが何か言うかと思ったのか、ちらりとシカマルを見たが、彼が何も言わないとわかると、わざとらしく軽くため息をついてみせた。
「相変わらず無頓着ね、シカマルは」
「あ? 今のどういう意味だ」
「ひどく退屈そうな顔をしてるわよ。同じ部屋に、これから二週間、夫婦水入らずで過ごすってのに」
シカマルは、無頓着、というのはそういうことかと合点がいって、まあ、と答えた。
「今朝も飯テロに遭ったばかりだってのによ」
「朝っぱらから飯テロって、お前も大概だな」
「はいはい、悪かったな」
シカマルのぶっきらぼうな答えに、サスケは表情を動かさなかった。
この男は、こういう雑談をしたがらない。シカマルは前々からそう思っている。何年も前、まだシカマルが下忍だった頃の話だ。当時のサスケは自分が誰か他人の心に土足で踏み込むような真似をしてくるタイプとは思っていなかったが、彼の傍にいる人間の変化には心当たりがあった。アスマの率いる班に移る以前のサスケは、火影の下で仲間の待つ場所へと急ぐ途中のシカマルを見つけると、よくちょっとした頼み事をしてきた。俺の伝言をナルトに伝えておいてくれ、と。
シカマルはいつものんびり屋で面倒くさがりで、だが忍としては並以上に実力を有するシカマルを、サスケが特別に評価していたとは思わない。だが、伝言を頼まれたこと自体は何度もあった。人使いが荒いのか、気安さなのか。当時は、うちはサスケにこんなに気安く使われるようになったのも何だかなぁ、と思っていたものだが、今ではそのおかげで、木ノ葉隠れの里に戻ってきた当初、あれほど危なっかしかったサスケが、いつのまにか昔と変わらない表情を見せるようになったのだと知っている。
サスケはどちらかと言うと、ナルトよりもカカシと気が合うだろう。
シカマルは視線をサスケへ戻した。
「サスケ、お前の勘は当てにしていいんだな?」
「賭けてもいい」
サスケは迷いなくそう言った。
シカマルが腕を組んだまま、少し考える。信頼できる。サスケが言うなら、独自に調査させる方がこの件は上手く運ぶのだろう。シカマルはうなずいてサスケに言った。
「ああ、わかった。ただ、無茶はすんなよ」
サスケは、わかっている、というように小さく頷くと、振り返らずに部屋を出て行った。シカマルはドアが閉まるのを見届けてから、机の上に置かれたままの茶が冷めてしまっていることに気づいた。仕方なく湯飲みを手に取り、冷めた茶を啜る。
昼下がりの火影屋敷の仕事部屋は静かだ。シカマルは今日も、七代目火影の仕事をしている。
七代目火影は今日も隣で書類に埋もれているはずだ。シカマルは今し方去った男と、火影の部屋に置き去りにされた大きな机に思いを馳せた。
そういえば、今朝のナルトは、昨夜うまく眠れたのかどうか、朝からひどく顔色が優れなかった。シカマルが大丈夫か? と聞くと、疲れた顔を笑顔で無理やり持ち上げて「大丈夫だって」と返された。夜に吐いたのかもしれない、とシカマルは思う。ここ半月ほど、ナルトの体調は思わしくない。疲れが顔色や目に現れ始めている。
彼は仕事をあまりにも詰め込みすぎだ。シカマルは何度も休めと忠告している。ナルトはその度に笑って誤魔化す。最近のナルトは、何というか、いつも、今際の際のような顔をしている。一歩間違えたら死ぬ、みたいな、そんな感じの顔だ。
強く生きろよ、とシカマルはいつも思う。考えすぎかもしれない。考えすぎだといいと心のどこかで思っている。ヒナタと息子のナルトに、以前のような必死さを感じられない。その必死さを、サスケが埋めてやっているのかもしれない。自分にはわからない関係だ、とシカマルは思う。
シカマルが考え込んでいる間にサスケはもう用が済んだと言わんばかりに背を向けて、部屋から出ていった。シカマルは書類に視線を戻し、机の隅にサスケが置いていった紙幣を見て、いくら積んだか数えてみる。予想よりも分厚い。
シカマルは大きな溜息をついた。開いたままの扉から、老け込んだ様子のヒナタが、サスケを見送りに出て行くナルトを玄関で見送る姿が目に入った。
「ったく...火影の仕事まで見てやってるつもりかよあの野郎」
シカマルは呟いて、サスケが置いていった札束に手を伸ばし、煙草の箱の中にねじ込んだ。サスケの奴、稼ぎのいい時に会うと必ず金を置いていく。何も言わずに。あれは木ノ葉の戦力として見た場合、確保しておいてもいい人材ではある。とにかく迷いがない。それだけでも戦力の評価はかなり高い。ただし、扱いは間違えると手に負えなくなるが。

その翌週の火曜日、ナルトは朝から妙にそわそわしていた。サスケと出かけるのだ。
とはいえサスケと出かけるのは初めてではない。うずまき家に住み着いている今でこそ、夕方になるとサスケは仕事を切り上げて家に帰り、家族揃っての夕飯の席に顔を出す。そして風呂に入って三人分の洗濯物を畳み、ソファで寛いでいるナルトの隣に座り、寝る支度を済ませたボルトとサラダがそれぞれ自分の部屋に引っ込むと、二人だけで残される。
そんな二人だけの時間、サスケはナルトに「七代目火影」の重圧を忘れさせようとするかのように、ナルトの仕事の愚痴を聞いてくれることもあれば、雑談に付き合ってくれることもある。子守りのように仕事を手伝ってくれることもある。
そういうサスケの行動は、多分、火影の護衛とは別の意図が含まれているだろうな、とシカマルは思う。ナルトが里の内外を問わず一人で動く機会をサスケが狙って作っているとしか思えないのだ。あえて口出ししないが、サスケがナルトの暗殺を企てるとは思っていない。護衛として十分過ぎる。サスケはナルトが里抜けした時からずっとナルトを守り続けてきた男だ。それが今さら暗殺なんて、あり得ない。

そんなことを考えながら書類に目を落としたシカマルの前で、サスケは静かに続ける。
「ナルトが火影である限り、ナルトを標的とした悪意は消えない。俺が始末する」
火を吐かんばかりの炎のような言葉を、さも当然のことのように、燃え立つ気配ひとつなく水のように淡々と、サスケは言った。
「そうだな」
シカマルは思わずといった風に苦笑した。俺たちの火影は本当に愛されてるんだなあ、としみじみと言う。
「幸せな奴だよ、あのバカは」
サスケは何も言わなかった。黙ったまま、シカマルの頭の上、窓の外の空を眺めている。シカマルは吸いさしの煙草に火を点け直した。
沈黙を破ってサスケが口を開く。
「来週の火曜だが、俺は昼前に出発する」
「ああ、ナルトから聞いてる。朝のうちに所用を済ませてくるっつってたから、昼前にはここに来るはずだぜ。火影の予定も調整しといた」
「...何時にここに来ればいい」
「十時でいいんじゃねぇか? せいぜい二時間から三時間ってところだ」
二人は短い打ち合わせを済ませてサスケが火影屋敷を辞する。サスケは火影室でなくシカマルのところに来たのは何か訳があるのだろうか、とシカマルは後ろ姿を眺めながら思った。
机の上に置かれた紙幣を思い出して、改めてその厚みをポケット越しに確認する。ナルトの好物のサーターアンダギーの入った袋は、小机の上に置かれたままだ。
翌日。ナルトはサスケと共に朝早く里を出た。
ゲートを抜けて大通りに出たところで、サスケが足を止めたのでナルトはつられて立ち止まった。二歩ぶんほど前を歩いていたので、振り返る形になってサスケと向かい合う。
「どうしたってんだってばよ?」
訊ねるナルトの顔を、サスケはじっと見つめてから言う。
「今日の昼飯は一楽でいいか」
ナルトの顔が、表情ごとぱっと明るんだ。
「いいぜ! って、サスケ、一楽のカウンターでラーメン食うの、あんま好きじゃなかったんじゃなかったのか?」
「...お前の隣で食うのは別だ」
何だそれ、とナルトは思わず吹き出しそうになるのを堪えて、でもどうしても口元がほころんでしまう。
「へへ、じゃあ決まりだな」
ナルトは歩き出す。サスケが横に並んだ。
ナルトは、いつもよりもすこしゆっくりめのサスケの歩調に、つい足を合わせてしまう。忍としては圧倒的に速いスピードで動けるくせに、何故かナルトと歩く時のサスケは合わせてくれる。かつての彼なら考えられないことだった。
ナルトは思い出す。あの頃サスケは、待ってくれる人に待たせることを厭わない男だった。ナルトの気持ちなどまったく考えずに、自分の目的のためにそこにいた。それでもナルトはサスケを追いかけ続けた。どんなに拒絶されても、殴られても、サスケのその根っこの部分は間違ってない、そう思い続けたかった。それが正しかったことは、今、隣を歩く男の横顔が証明している。
とかく、今のサスケは待つことを知っている。その一方で、ナルトは早足で、いつも自分のほうが一歩半先を歩いていて、サスケのほうはその少し後ろ、ゆったりとした足取りだ。サスケがかつて里を出る時も、こんなふうに後ろから着いていった。
ナルトは何かを考え込むように、歩調を緩めることもない。里の中央から東に伸びる道は、ナルトに人気の散歩コースでもある。木ノ葉の中心部にはかつて先代火影たちの顔が刻まれた大岩がある。いわゆる火影岩の前から伸びる大通りだ。商店が軒を連ね、今日も行き交う人の姿が多い。
ナルトは自分の家にも使う、肌身離さず持ち歩いている小瓶から取り出した一粒の錠剤を、表通りの人々の視線を気にする様子もなく呑み込んだ。サスケはその様子を隣で眺めていた。
そうして再び歩き出した二人の間に会話はない。遠くの方でいななく馬の声が聞こえ、料理屋からは中華鍋を振る音が聞こえてくる。木の葉は青々と茂り、陽の光が強い。木漏れ日を浴びながら歩くナルトは、さっきよりも少し顔色が良くなっている。
道の先に、ナルトの家が見えてきた。
ナルトがアイスクリーム屋の前を通りかかったとき、店先のテーブルに座ってコーンを舐めていた子どもらがナルトを見つけてぱっと顔を輝かせた。嬉しそうに手を振ってくる子どもらにナルトは手を振り返して、とびきりの笑顔を向ける。
いつもなら、そのまま少し話し込んだりするのだろうが、今日はサスケがいる。子どもらもサスケを見てとたんにおとなしくなった。無理もない。里の子どもらにとってサスケは、敵かどうかもわからないがとにかく近づいてはいけないおそろしい人、という認識しかないだろう。ナルトは、サスケの隣を歩きながら、居心地悪そうな表情を浮かべる幼い忍者たちに心の中で詫びる。そしてまた、自分と幼い頃のサスケもこんな感じだったのかなあ、と思ったりする。里の大人たちは口を揃えて優しいとか穏やかとか言うけど、サスケはその実、かなり近寄りがたい。本人に自覚はないし、むしろ自分を温厚で寛大な人間だと思っている節すらある。だから余計に性質が悪い。
九尾のチャクラはミナトのチャクラと共振しやすいから、たまに火影を連れて里の外を散歩してやってほしい。サスケにそう頼んだのはシカマルだ。理由は二つあり、ひとつは里の者しか見たことのない七代目火影の姿を外の人間にも見せ、親しみをもたせること。ふたつ目は、ナルトの過密なスケジュールに気晴らしを組み込みたかったからだ。
初めてサスケがナルトを外へ連れ出した時、シカマルはいつにも増してそわそわして落ち着かなかった。当のサスケは、俺のほうから預かってくる、と言って出かけていった。責任を持って夕方には火影を里に帰すと宣言したサスケが、実際に夕方よりも早い時間にナルトを連れて戻ってきて、シカマルは安心した。それから何度か、サスケは言い出したとおりにナルトを外へ連れ出してくれている。今日で四回目だ。
来週の火曜日で五回目になる。サスケは毎回、必ず「夕方までには火影を里に帰す」と言う。思い返せば、最初にナルトを連れ出した時からサスケはそう言っていた。それならば、サスケがナルトのことを思って言っているのか、それとも何か別の思惑があって言っているのかは、シカマルには判断がつかない。サスケにしては殊勝な言葉だと思ったからだ。
サスケは、何か言いかけてやめたように口を閉じたかと思うと、いつものように短く「じゃあな」と言って仕事部屋を出て行った。シカマルはその背を見送りながら、サスケの依頼の内容について考えていた。サスケが火影を外に連れ出すなんてことは今までに何度かある。里の外でなければ出来ない話があるからだ。一日の外出であれば、特に珍しいことではない。
机の上、サスケが置いていった折りたたまれた紙幣にシカマルはちらりと目をやった。かつては小さくて丈夫なアカデミーの鞄の中に握りしめられていたのと同じ色の紙幣。サスケは金の要るときはいつでもナルトのところへ来い、と言う。ナルトは火影としての給金とは別に、里の経営面を任されているシカマルから、何かと訳を付けて金を受け取ることを頑なに拒み続けているらしい。そういう男なんだ、とシカマルは思う。いくつになっても、あのガキの頃から何も変わらない。
シカマルはサスケの置いていった紙幣の束を思い、ポケットの中で微妙な重みを持つそれに指を這わせた。ナルトはきっとその足で病院へは行かない。たぶん真っ直ぐ自宅に戻って、子どもらの相手をし、そうしてたぶん、あの紙幣の束を子どもの教育費や食費にそっと混ぜるのだろう。
赤ん坊のころから何も変わっていない。俺のところにきて飯を食ったら、礼に金を置いていく。あの歳で、普通の大人が十年かかってやっと達するような忍耐を、もう持っていた。明日のことを考えて食べる飯をひかえたあの子どもは、いまも変わらない。
シカマルは喉まで出かかった吐き出したい言葉を呑み込んで煙草に火を点けた。サスケは、シカマルの前のめりになった姿勢を見て、言う。
「...また何か、余計なことを考えてるな」
「考えてないよ。アイツのことだ。俺もホトケの顔も三度だと思ってるよ」
シカマルは本心を隠すために軽口を叩き、サスケが口元をわずかに緩めたのを見て取ると、彼が「帰る」と言って振り向くより先に思い直したように声をかけた。
「待て、サスケ。せっかく来たんだ、一杯やってけよ。悪い酒じゃないぜ、サスケなら気に入ると思うぜ」
「……いい。酒はもうやめた」
シカマルは煙草を吸う手を止めた。
「お前、酒やめたのか?」
「ああ」
つい最近まで、酒の席でウイスキーをロックで飲みまくっていた男と同じ男とは思えない言葉だった。シカマルはすっかり煙にむせて咳き込んだ。
「お前が? 酒やめたのか?」
「...うるさいな」
「いや悪い、そうじゃなくて、なんかあったのか? 酒をやめるなんて」
「別に、なんでもない。少し思うところがあっただけだ」
シカマルは煙草を揉み消した。深く息を吸って吐く。
火影のところへ行ってくれ、とシカマルが言おうとしたところで、先にサスケが口を開いた。
「七代目のところへ行く」
シカマルは、ああ、と頷いた。サスケはそれだけ言って仕事部屋を出ていった。
シカマルは立ち上がって背筋を伸ばし、机の上の書類を手早く束ねてから、俺もそろそろ行くか、と呟いて、灰皿に残った吸殻を
鸣人说着便追了上去。他与佐助保持着斜后方一步左右的距离,一起在海面上行走。随着远离岸边,往来行人的喧嚷渐渐远去,桥墩很高,桥上行人的脚步声和说话声也无法真正传到海面。不久,耳边就只剩下波浪轻轻拍打的声响和潮风在鼓膜间回荡。

鸣人望着走在前面那个男人宽阔的背影。晴朗的天空下,白衬衫耀眼得刺目。佐助虽然喜欢以黑色为首的暗色系,可他穿什么都好看,所以鸣人想,他要是也穿穿这种亮色衣服就好了。还有那张脸,明明长得那么端正,何必用那么长的头发遮着,多露出来一些就好了。

——可是那样的话,他说不定会更受欢迎。鸣人刚担心到这儿,便想起了樱和沙拉娜。对啊,这家伙已经不需要受欢迎了。这么一想,鸣人便弄不明白佐助今天为什么会来,他的心情和天气截然相反,一点点地蔫了下去。

佐助曾坐在情人酒店洗手间的塑料地板上说:我虽然喜欢你,但分不清那是友情还是恋慕之情。那时的鸣人,精神上刚遭受重创,又往空荡荡的胃里灌了太多酒,身心都濒临崩溃,长年埋藏心底的暗恋忍不住倾泻而出,于是他抓住了佐助那句话不放。不过,今天的鸣人已经平静到想说“那部分就当是友情吧”的地步。

佐助一直照顾自己到早上,直到自己喝到吐。他听了宿醉的自己大喊大叫的粗暴话语,还温柔地给出了建议。而且今天,还准时来了碰头的地方。

到此为止已经足够了。他想对这位挚友说。

“喂,佐助——”

他想说,如果你只是在陪我的话,那就到此为止吧。谢谢你愿意陪着我。把我那天说的话忘了吧。他是打算这么说的。

然而佐助却握住了他的手。就那么牵上了。
被他叫住的佐助停下脚步,轻轻回过头来。
“怎么了?”
鸣人看着佐助的脸,又低头看了看两人牵着的手,再次望向佐助。愣愣地问:
“为什么要牵手?”
被问到的佐助很灵巧地挑起一边眉毛,嘴角仅露出一丝苦笑,用无奈的语气说:
“这种事也要我说?”
“……可是。”
“……可是?”
“……没事,没什么。”
佐助又哼了一声。平时那副讨人厌的态度,今天却完全不会在意。鸣人低下头,看见自己被握住的手指一根一根被男人的长指缠住。也就是所谓的十指相扣。
和佐助牵手还是第一次。鸣人想,失去的是右臂真是太好了。因为这样才能用剩下的血肉之躯的左手和佐助牵手。掌心能感觉到那只没有戴惯常手套的男人的手传来的切实温暖。佐助的体温意外地高。鸣人祈祷着自己开始渗出的手汗不要被他发觉。他低着头说。
“佐助,我听鹿丸说了,你愿意在义贼的案子上帮忙”
佐助瞥了一眼鸣人。鸣人用几乎被潮声淹没的小小声音说。
“谢啦”
“我可什么都还没做”
“没事的,就算这样,……就算这样”
就算什么都不做,只要佐助肯待在身边鸣人就有了底气。鸣人没法好好表达出来,觉得心急。只要在身边就好。可那个人,必须得是佐助。
要怎么说才能让他明白呢。他叛离村子的时候也一样。周围人都异口同声地说,算了吧。自来也、卡卡西,就连小樱也,都这么说过一回。鸣人不愿意。无论如何都必须把佐助带回来。鱼离开了水就活不下去。弓没有了箭也无用。是同样的道理。所以他抓住了溺水的佐助的手,把他拽了回来。为了自己能是自己。哪怕失去一条手臂也在所不惜。
难得来到海上,鸣人却只是看着脚边,佐助认为这一定是还在消沉的缘故。
「你也别太在意了,鸣人」
他对抬起头的鸣人又说了一遍。
「别把那种家伙放在心上。你像以前一样按自己的想法去做就行」
鸣人露出为难的淡淡微笑。
「就算想别在意,也还是会介意啊」
真没辙啊,鸣人疲惫地笑了,佐助定定地凝视着他的脸。忽然别开视线,牵着的手一拉,再度在海上走了起来。借着海风说道。
「你越在意,越正中他们下怀」
「这我也知道啦」
「不,你不知道。你……所以才」
「嗯?什么?」
被风声和浪声盖住没听到。鸣人慌忙并到佐助身边。
佐助边走边说。
「听好了,内奸就在你身边,能侵入火影室。而且,在那个总是堆满文件的房间里,他知道你出勤时最先看向哪里。是顾问和亲信们把重要文件堆积起来的地方。大概是优先度高的相关工作文件山吧」
鸣人不知道佐助是不是在询问自己,总之先点了点头。佐助的视线不时从发间朝这边瞥过来,那目光像在瞪着并不在此处的家伙一般锐利,鸣人插不上嘴。
「既然如此,要加害你也很容易。就算造不成重伤,拐走你总做得到。比方说,只要说是为了和义贼的头目商谈,以你的性子就会乖乖跟着去了吧。再要求你不准告诉任何人、独自前往,你也会照做,一个人去的吧。你就是这样的人。」
「恭喜你中了」
「恭喜你中了什么?」
鸣人问道。佐助没有回答,转过身去。他拉着鸣人的手快步走了起来。就在那一步之间,被卷进漩涡的平静无波的海水,突然剧烈地晃动起来。不仅仅是水。是大地。不,那个颤抖,是空气本身。
「サスケ!?」
鸣人被一股巨大的冲击波震得几乎要飞起来,他弯下身子,在摇晃的视野中寻找佐助的身影。佐助已经放开了他的手,正保持着半身的距离,身体微微后仰,仰望着天空。空中有一道白色的拖尾云。
那个白色的,什么——
「……是天送之术吗?」
佐助淡淡地说。他已经知道了的样子。
「啊啊。……果然追来了」
ナルトはサスケの隣に立って、彼の見上げる先を自分も見上げた。高い空を白い筋が伸びている。あれは雲ではない。光る粒だ。流星、いやあれは、とナルトもすぐに察知した。あれは天送の術だ。それも曳いていく光の航跡が天の川のようだ。
「おい、まさか」
「まさか、だな。来やがったか」
この里には忍の統一規格に合わない規格外の信頼がいくつかある。その中には、雷影の娘であるユウイチと、自分の内通者として彼女に接触してきた文使いのことを指すかもしれない。愛に飢えたあの雷影が日頃より俺という男に並々ならぬ執着を見せていたことも、あるいは父の罪と背負った重責のせいか、あの頃から少し……いや、かなり歪んでいた。
もはや先程まで続いていた穏やかな時間はどこかへ消し飛んで、二人の間を緊張が走る。
サスケは繋いでいたナルトの手を離す。ナルトは急に手のひらがさびしくなって、思わず名残惜しそうに手を伸ばしかけたが、次の瞬間にはサスケが口元に指を立てていたので、その動作のまま硬直した。サスケは顔を上げて、何かの気配を探るように、海と空の境目に視線を走らせる。ナルトはその横顔のあまりの鋭さに、飲み込んだ唾さえ喉の奥で凍りつく思いがした。
「サスケ?」
「風向きが変わった」
サスケは手を離した。嫌な予感がする。いや、嫌な予感しかない。ナルトの心拍数が静かに上がっていく。サスケが振り返り、目の前の男の方を向く。
視線の先を追うと、海面から垂直に生える無数の橋脚がすぐ目の前に迫っている。このあたりの橋脚の基礎部分は二本の柱がVの字型に交差して水面から上へ弧を描きながらまた別の柱へと繋がる、連続するラーメン橋という構造になっている。その陰に人の気配があった。
サスケはナルトの手を引いてさらに陰へと近づいていく。橋脚の巨大な影に男がひとり、立っていた。濃いグレーのストレートの長髪を、額の生え際から後ろに撫でつけてひとつに束ねている。黒のタンクトップとカーキ色のカーゴパンツ。ごついブーツ。目元を布で覆い、口元からは無精髭を覗かせている。穂刈の村の支援物資の配布網の情報を提供してきた男、マサルだった。
「待たせたな」
「いえ」
男は短く応え、会釈する。サスケと何か話しているのかと思ったら、男は自分の頭に巻いていた布をほどいて、すっくと立ったままのナルトの前に跪いた。そして目元を覆っていた布を外した。思っていたよりも若い男の顔がそこにあった。二十代半ばくらいだろうか。とても焦茶色の癖の強い髪を後ろで束ね、額のあたりに朱の紋様。ただし、すっと通った鼻梁と、意志の強さを感じさせる太い眉に目力の強い、三つの瞳……いや、八つの瞳。
ウチハという姓を聞いて連想した、サスケやイタチのような、何か誇り高くて気難しい雰囲気はどこにもない。ナルトが知る限りのどのうちはとも違う。サスケの見た目もだが、イタチの顔立ちを記憶から引っ張り出しても、どちらかというと涼やかで神経質な印象の男たちだった。彼らは広い肩と長い脚をした彫りの深い容貌で、確かに目立つけれど、ナルトの目には少なくとも、こんなに柔らかい雰囲気はしていなかった。
かたや目の前の男は、二十歳そこそこだろうか。漆黒の短髪を白い鉢巻でぐるりと押さえ、所作の一つ一つがこまやかで落ち着いている。肩を少し落とした立姿が、どこか窮屈そうで。まるで大切な人を看取る病室に立っているみたいだ。けれどその瞳は賢そうで、嫌な感じがしない。傭兵に身をやつした物静かな男、というのが第一印象。
女の子からモテそうな見た目をしているとは思う。背は高く、顔は隠れているけど、涼しげで端正な目鼻立ちであることが髪の間から伺える。しゃべる時に何かにつけて手で髪をかきあげる。剣呑で粗暴なはたらきを生業にしているせいか、細身の体つきには古い傷がいくつもあった。
ダルイは言う。組織の下部構造はユニット制。二人から三人で一組のチームを組み、ゲリラ的に動いている。ゆえに全容を把握しているものは誰もいない。一番古い時期からのメンバーとしか面識がない。
確かにお前の言うとおり、と男は言った。
なるほどなあ、とナルトは腕を組む。
「義賊だなんて名乗っている連中にしては物騒な武器持ってるしな」
大戦後は新たな軍拡競争を避けるため各国で厳しい規制が敷かれている。とはいえ、このような田舎の港町で武器商人が暗躍していてもおかしくはない。だから、あの船はもしかしたらただの買い付けかもしれない、とも考えられる。
「船に武器は積まれてたのか?」
訊ねてきたナルトにサスケは答える。
「報告書によると、義賊の装備は木の葉の暗部が使っているものと同等らしい。だが、船に積んでいたのは輸送用の痕跡がある鎖と網程度で武器らしい物は見つからなかった」
「えー? じゃあ何のために密会すんだろうな」
サスケの意見を聞こうと横顔を眺めていると、こちらを向いたサスケと目が合った。どこか気まずい。ナルトは慌てて海へ視線を戻す。今日の海は綺麗だった。
サスケに会うまでは病院の個室の丸い窓から、遠くに見える海を眺めては、サスケのことを考えていた。サスケはこの海から見えるところには住んでいないけれど、水平線のずっと向こう側に、今はもういない少年の面影を重ねていた。その頃のサスケはまだ自分のことを兄の殺した敵だなんて思っていなかった。あの頃のサスケに会えるなら、そっと抱きしめてやりたい。お前はひとりじゃない、と。
ここから少し歩いた先に、十年前に終わったはずの内戦の跡地がある。周囲に比べて不自然に低いその土地は、いまだに根を張ったままの大きな古木がぽつんと佇んでいて、今もなお深く鬱蒼と生い茂り、周囲に異様な薄暗さを落としている。ちょっとした迷い家だ。忍ならば誰も近づきたがらない土地の空気は、濃い闇の色をしている。迷い家の男がいた。確かに、いた。
その場を離れる時、サスケがいるから一人じゃない、とナルトは思ったものだ。
いつの間にか。あれが人をひどく遠ざける暗い感情の正体なのだと知った。けれど何度も繰り返すうちに分かってきた。あれはサスケへの心配とはまったく別種の、自分自身の感傷。サスケへの恐怖だ。自分がいなければ彼は死んでいたかもしれない、その実感と共に火影としてはありえない弱気の感情が渦を巻き、やがて影分身が苦手になった。
サスケは今、過去を清算して、里に骨を埋めるつもりでいるらしい。
そんな彼が、火影になって多忙を極めるナルトと先約を入れて海に来るなんて、いくらなんでも滅多にないことだ。きっと木ノ葉のための恩も仕事も、もうやり尽くしたということなのだろう。罪滅ぼしに一生を捧げる覚悟で、遂に成し遂げたことがあるのだろう。
ナルトはサスケに繋がれた手を、無意識に、少しだけ強く握り返していた。
少し歩いたところでサスケがふと足を止めた。行き先は海岸の砂浜が途切れて岩場が入り組む辺りだ。連れて来たのはここか、とナルトは辺りを見回す。そびえる岩が人目を遮り、足元には魚が住めるくらいの浅い澄んだ水たまりがいくつもあって、まるで天然のプールが連なっているようだった。
「よく来たな」
「海に連れて来てくれてあんがと、サスケ」
「……構わねぇよ」
礼を言われて、サスケはやや気恥ずかしそうに顔を背けた。意外なことに、それがひどく新鮮に思えた。
思い返せばこうして二人きりで行動するのは、任務以外では、やはり初めてのことだった。サスケと二人でいる時に部屋の中がしんと静かだということが滅多になかった。何せ木の葉隠れの里にいる時は周囲が喧しいというのに当人が二人とも黙り込みがちな質である。逆にいえば、二人きりで会話をしようとするからぎこちなくなってしまうのだ。尾行もない、気配を窺う輩もいない、追われることもなく、逃亡者でもなく、護衛任務でもない。
ただの友達同士の、夕方の海岸の散歩である。俺たちはこんなにも自由だったのか、とナルトは思った。二人きり、穏やかな海辺。繋いだ手。温もり。
ここが夢でありませんように、とナルトは願う。ナルトにとって、これ以上ない幸福な時間だった。今自分が立っている海面が沈んでしまわないように、とそれだけを願う。そっと繋いだ手に力を込める。触れた指先の向こう側に冷たい空気の隙間を感じる。あっち側にサスケの無い指がある。掠れた掌の皮膚と寸分違わず接している。その腕の断端は、自分がこの手を取らなければなかったあの日々をナルトに思い出させる。
使命に殉じた先輩たちの死を立て続けに目の当たりにした末に、少女は心に深い疵を負った。この指で二人の大切な人を助けられなかった。だったらこの腕は自分が使うためにあるのではない。この手は誰かのためにある、と。
師弟関係は続いていた。綱手と春野サクラ。
サクラは医者であるが、本当は好きではなかった。医者は、怪我や病を治す。勿論、傷を治すのは素晴らしいことだ。だが、サクラはナルトたちのように、死の瀬戸際に立たされたところをギリギリのところで救い、縁の下で直接、戦いを支える力が欲しかった。
戦場では、医療忍者に人を選ぶ権利などない。どんなに腹が立つ相手でも治さねばならない。憎い相手の回復を願わなければならない。何度も何度もイヤな想いをした。それでもサクラは医療忍者を続けている。
そんな彼女のことをナルトは何も知らない。
ナルトはサスケに手を引かれて波打つ海の上を進みながら、ふと思う。
もう少し、このままでいたいな。
名残惜しさのようなものが、潮風に乗って舞い戻ってくる。ナルトは繋いだ手の熱に少しだけ夢中になりかけていることを自覚する。それはよくない、と心のどこかで思う声も、今日は波の音に紛れて消える。
もうどうにでもなれ、とナルトは思う。この際、サスケと手を繋いでいることを罪悪感なしに楽しんでしまおう。少なくとも、橋の下をくぐって向こう岸に着くまでのあいだは。向こう岸に着いたら、手を離されるか、もう一度握ってくれるか。どちらでも、それでいい。
橋脚の下を抜けた。潮の匂いが強くなり、さっきまで遠くに見えていた高層ビルの波が目前に迫ってくる。やがて岸辺に辿り着き、ビルの影をぬって細い道に入る。このあたりはまだ商店街に繋がっている。人通りもややある。サスケはまだ手を放さない。放される気配もない。とするとこれは、気を遣ってくれているからではなく、サスケ自身が繋ぎたいからなのかもしれない。そんな希望を抱かせるには充分な長さだった。
店の前に着いた。古ぼけた木製の扉で、扉の上に小さな看板がある。『よろず屋「おこぼれ」』と書いてある。サスケが握っていた手を離した。
温もりが手から消えた。ナルトはまだ名残惜しそうに手を見つめていた。サスケは苦笑して言う。
「大丈夫か」
「うん、大丈夫」
ナルトはへら、と笑ってサスケに続いて狭い階段を上っていく。看板が古いのでカビが生えている。お世辞にもきれいな階段とは言えなかったが、この店に来るのは初めてではないから、ナルトはもう勝手がわかっている。
木の古びた扉を開ける。隠れ家的な小料理屋は、相変わらず今日も薄暗くて、ここだけ時間の流れが遅い気がする。カウンターだけの小さな店で、入って右手の壁の一番奥の席にシカマルがいた。いつものように、煙草をくわえていた。
「やあ」
シカマルは左手を挙げて軽く答えた。
「悪かったな、わざわざ呼び出して。しかし人がいねぇとこが良かったんだ。誰に聞かれるとも限らねぇからよ」
ナルトが乾いた声で言う。
「シカマル、オレ、昨日は驚いたってばよ」
シカマルはてらいなく謝る。
「悪かったな」
「あの、シカマル。一つ教えてほしいことがあるんだが」
空気を読んでサスケが訊く。シカマルはカウンターの上で胡座をかいた足を組み替えて、
「ああ。まあ座れよ。長くなりそうだしな」
店の外にテーブル席がいくつかあって、シカマルは店の従業員にメニューを無言で押し付けるように渡してしまう。サスケは促されるまま、ナルトと並んで椅子に腰掛ける。メニューは三人で回して見た。特に決まりはない。海辺の食堂では、この辺で取れた海産物を炭火で焼いたのを出すらしい。
「ここの名物は貝焼きとビールだってよ」
シカマルがのんびりと言う。ナルトは言った。
「じゃ、ビールと貝焼き三人前で」
注文して、ハッとする。この面子でビールはまずい。サスケが自分以外の前で飲む姿を、ナルトは知らない。飲まないのか、飲めないのかはわからないが、つまらない気を回してしまう。
「……って言うか、サスケ、今日は飲んでいいのか?」
少し前まであれだけ毎日飲み明かしていた男は、澄ました顔で白々しく言う。
「ああ、もう止めた」
その通りだ。サスケはあれ以来、一滴も酒を飲んでいない。ナルトの前で酒の匂いをさせたことはなかった。飲まないのならこちらも飲まなくていいが、ビールはうまいからなあ、とナルトは思う。シカマルに「俺はサスケと二人っきりで酒を飲めるほど酔いどれじゃないんだよ」と自嘲した言葉も、ほどほどに飲める大人の男に戻れているという意味なら嘘ではない。
ナルトは火影としてのしがらみや、自分の弱さを抱えて拗らせることも少なくなっていた。もうすぐ三十路で、親父とお袋、そして自分がどんな家族を作っていくのかということはよく考える。子供の頃にカカシが言っていた、大切な人たちを守るためには強くなくてはならない、というのは、当時は額面通りに受け取って血を吐く思いで強くなったけれど、今ならもう少しだけ、解釈を足せる気がする。強さは一方的に誰かを守るためのものじゃなくて、共に生きていくためのものだ。共に生きていくために強くなる必要があるのなら、ナルトはなんだってやるつもりでいた。けれどその肝心の“共に”の相手がなかなか見つからなくて、彼はとうとう四十歳を目前にして、よりによってかつての親友に片想いをしているのである。
すれ違いざまにちらりと見上げた顔は、うつむき加減でもよくわかるほどに整っている。眼差しの鋭さは相変わらずでも、穏やかで儚い翳りを含んでいるような気がするのは自分がそう見えているせいだろう。
何を考えているのか、サスケは突然足を止めた。波打つ海面に視線を落としている。ナルトは不意に手を引かれる。真っ直ぐだった道が、かすかに左へ曲がった。
何か、と思った時には既に遅く、サスケの手に引かれるままビルの影に引き込まれていた。人気のない狭い路地。この辺りには倉庫が何棟か並んでいて、昼間でも薄暗い。背中にコンクリートの壁を感じる。サスケの両腕が伸びてきて、ナルトの顔の横あたり、壁に手をついた。
いわゆる壁ドンだ。急なことにナルトは頭が真っ白になる。
サスケは自分の腕の内側で、ひたすら目を泳がせるナルトをじっと見つめる。
「急にすまん。だが、あのまま海の上を歩きながらだと、潮風が思考を浚っていく。ここでなら声を拾える」
思考を浚う、というのがどういうことなのかよくわからなかったが、ナルトはおろおろするばかりだった。
「ここでなら人もいねぇし、話しやすいだろ」
そう言ってサスケは、ちら、と顔を逸らす。照れくさいのか、口元だけに苦笑を浮かべる。ナルトは砂浜の濡れた地面を撫でながら言う。
「サスケがオレに言いてぇことってなんだ?」
サスケが直接声をかけてくるのは本当に久しぶりだ。この男から「話がある」と言われた時のために、ナルトはこれまでずっと覚悟を決めて待っていた。サスケがこれまで何をしてきたのか、どこで何をしていたのか、これから何をするのか、彼はほとんど語らない。語ろうとしない。ナルトが知っているのは、彼が一度木の葉を捨てて、激しい憎しみに飲まれて、大罪を犯した、ということだけだ。
――でも、本当にそれだけなのだろうか?
サスケは世界を救った。忍の世界を、そして人々の命を。それも確かだ。その二つが、矛盾しているとは思わない。それでもナルトは不安になる。いつかこの矛盾が音を立てて弾け、彼が自分たちの世界から消えてしまうのではないかと。サスケはきっと自分のために笑い、自分のために泣く人間を、心の底では求めているに違いない。そしてそれはサクラではなく、サラダでもない、多分、オレだ。
ナルトは少し足を速めてサスケと横に並ぶ。
「サスケ、今日、時間どれくらいある?」
「特にないが」
「そっか! じゃあさ、」
ナルトは海の上で足を止めた。そして繋がれている手を大人しく見つめる。サスケも足を止める。ナルトは今のうちに言ってしまおうと腹を括った。聞いてくれるかどうか、また怒らせてしまうかもしれない。それでも言いたい。
「サスケ、さ」
「あ?」
「……オレ、サスケとこうやって手ぇ繋いで、隣を歩くのが夢だったんだ」
サスケは何も言わない。だけど、繋いだ手の力が僅かに強まったのをナルトは感じた。もしかしたら、ちょっとは、そういう気もあるのかもしれない。そう思うと脈が速くなり、頬が火照るのがわかった。
「言ったろ? もう友達でもなんでもねぇって」
「そういうのいいから、続けて」
ナルトは口の端をほころばせる。
「オレの夢はな、」
サスケとずっと一緒にいることだ。
サスケとサクラの結婚式でも、勿論泣いてばかりはいられない。あの時、どうやって過ごせばいいか分からなかった。サスケと友達に戻れたその実感が、ちゃんとあるんだとわかったのに、オレにはサスケと友達でいる資格がねぇような気がしてたんだ。サスケに望まれてても、オレがオレに許せなかった。
でももうそんなこと言わないんだ。今日のサスケが、お前はオレの親友だと言ってくれた。嬉しかった。この幸せを誰かに言ってまわりたいくらいだった。
思い出したらまた少し涙が出てきた。涙を拭うために繋がれていないほうの手を上げた時、涙を拭おうとしていた右手が左手を握られていて、代わりに左手を上げかけて、しかし左手はサスケに握られたまま離してもらえないので、右腕の義手で涙を拭うことになった。そういえば右腕は木ノ葉の忍びなら誰でも知る、かつて自分が使っていた義手だった。新しい両腕を造る案もあったのだけれど、里の科学者が言うには、元々サイが、造ってしまった機械製の腕が結局はサスケと戦った際に失った腕とほぼ同寸で、あとは装着するだけのところまできているから、もったいないからそれを使おう、ということになったのである。
新しい義手はお気に入りで、火影になってからはほとんどの時間をグローブをつけて過ごすけれど、久しぶりに素の状態で見ると、あの日のことを思い出す。
あの時はとにかく必死だった。自らの左目に写輪眼を宿したサスケと戦い、互いの命を懸けて殺し合うつもりで、サスケに奥義・大瀑布を放たれて、防御もできないと思った。カカシ先生の、あの千鳥を受けて、自ら退路を断った。死ぬ気だった。胸を貫かれ、自分は死ぬのか、と。自分は、死ぬのだろう、と。
思えばサスケはあの時、本気でオレを殺そうとしていた。その彼と今、手を繋いでいる。無意識に握る力が強くなった。ひょっとしてサスケは、オレの腕を返してくれたあの時にあの言葉の続きをくれたのか。オレとお前の間の呪いの鎖を、死の間際に断ち切ってくれたのか。そこに手を繋ぐ資格が生まれるなんて、あの時のナルトには思いつきもしなかった。
サスケの横顔が視界の端でずっと見える。いや、視界の隅に入り続けている。ナルトは目でサスケを追い続けていた。それにサスケが気づいていないなんて思わない。何せ彼は後ろを歩く人間の視線にさえ気づく男だから。
繋いだ手は、ナルトとサスケのちょうど中間、それぞれの身長の、ちょうど中間くらいの位置でふわふわと揺れている。汗ばんできた己の手を握ったまま、サスケは何も言わない。言わないけれど、しかし、離れてもいかない。
伝わる温もりがひどく愛おしい。海に来てよかったと心の底から思う。何の用もないのに離れて暮らす親友に会いに来てしまった自分を、ナルトはこれまで何度も恥ずかしく思ってきたけれど、そんな気持ちが少しだけ報われたような気がした。サスケに会うたびに増える思い出が、どこかで自分を前向きにさせてくれる。こんなふうに思えるのも、サスケが今日のために時間を作ってくれて、ずっと隣にいてくれているからだ。いつもは空回りばかりの自分に、少しだけ幸運が起きている。そんな実感がある。サスケはうんと遠い世界の住人で、自分はその世界には入れてもらえない。隣にいてくれる時だけ、一時的に隣にいさせてもらえる。そう思っていたナルトは、今、自分の左手とサスケの右手が繋がれていることが妙に心細い。長くそうしていると、サスケが手を放すんじゃないかと不安になって、手を繋がれたままの左腕がだんだんこわばっていく。
ああ、だめだ、また。手を放さないで欲しいとか言っちまいそうだ。サスケを困らせるようなことを言ってはいけない。いつかこっぱずかしくって死ぬことになるから。少なくとも今日は。今日は楽しい思い出にしたかった。
サスケは、あの日のナルトと違って、考え込む時も黙ったままだから何を考えているのかわからないけれど、黙っていても落ち着いている、というか、無理に何かを考えまいとしているようなところはある。ナルトは繋いだ手をほんの少し強く握り返した。それを感じてサスケがこちらを向いた気配がした。けどナルトは顔を上げない。
「なぁ、サスケ。まだ、水門のとこまで戻んなくてもいいか?」
「ああ」
「あんがとな」
ナルトの足は止まらない。日没に、二人は波打ち際から十分ほど歩いた先にあるいつもの橋のたもとに着いた。サスケの体にぐっと密着して、かすかに震える声で言う。
「悪ぃ、さすけ。ここまでつきあってもらって」
そう言って、サスケの手を離した。足を止めたサスケは何も言わず、ただじっとこちらを見下ろしてくる。悲しげな目だった。
潮風が、前髪を揺らす。サスケはその冷たい風を遮るように、ナルトの前に立ちはだかった。
「ナルト、……オレはお前を一人で泣かせたりしない」
「え?」
サスケは繋いだ手を自分の胸の高さまで上げて、手の甲に唇を落とした。ナルトの短い指先から、肘の内側まで、ゆっくりと、畑に水を撒くようにして、唇で与える
人群的喧嚷远去,只余风声与涛声。深蓝的海面上,大桥的阴影笔直地延伸。鸣人察觉到,近日以来一直紧绷的眉心与太阳穴,不知何时已松弛下来。他从不知道,周围没有其他人这件事,竟会让人如此安心。他这才第一次意识到佐助带自己来这里的目的。

“你每天一直看着的,就是这样的景色吗。”

佐助点头。

“很安静吧。安静到,不会去想多余的事。”

说起来,自从就任火影以后,鸣人觉得自己的生活总是有人相伴。回到家也一定有妻子或孩子在。

……不,并不是厌倦了热闹的日子。不如说那是自己期望得到的,而且自己也不想再回到寂寞得可怕的小时候。……即便如此,这份宁静奇妙地让人安心,是因为有归处而感到安心吗,还是……。

仿佛察觉到了什么似的回头仰望的蓝色眼睛,佐助静静地回望过去。鸣人那饱满厚实的嘴唇松缓下来,像紧闭的花苞被阳光引诱着缓缓绽放。

要将那朵花拉过来,咬上去,把舌头伸进松开的唇间,连同吐息一并搅乱,是轻而易举的事。但佐助现在不打算出手。还太早了。狡猾的蛇舔了舔嘴唇。还太早,等花瓣再张开些,蜜汁肯定也更甘美。

他转而开口:

“偶尔,要不要换一换?”

“……欸?”

“我的任务,和你的工作,互换一下如何?”

“哈?”

鸣人像是听到了什么离谱的提议,扑哧笑了出来。佐助连嘴角都不牵一下。佐助是认真得不得了。

“我要是变成你的模样,至少一天之内不会被任何人发现。”

鳴人嘴边带着笑意,但内心其实困惑不已,他想要读出挚友的真正意图,于是视线在那张端正的脸上游移。没过多久,他看出佐助除了关心自己之外没有其他意思,便连眼角都露出苦笑。

“但是我没法替你出任务啊。太难了。”

“任务不做也行。歇着就好。”

鸣人一笑置之。

“不用了。我还没那么快被打倒啦。”

说着便轻快地走到前面去的鸣人的背影,佐助担忧地看着。牵在一起的手快要松开,佐助嫌恶这一点,于是紧紧攥住了鸣人的手指。像是要把他拉回来一样缩短距离,鸣人却连瞥都不瞥这边一眼。只是一味地盯着脚下深蓝的水面。

“有东西!”

一道巨大的黑色鱼影从两人脚下游过,像是不喜欢日光似地潜入了深处。佐助心想还挺大,鸣人问他:
“什么鱼?”
“谁知道……听说这附近常吃鲣鱼。”
“哦。”

说起来,鸣人记得在“鸣人大桥”开通十五周年庆典后的宴会上,似乎有大盘盛着的鲣鱼生鱼片,又似乎没有。和往常一样被灌了不少好入口的冷酒,所以记不太清了。
目击了鱼影之后,鸣人一边频频望着脚下,一边晃晃悠悠地走起来,佐助便用牵着幼童的父母的眼光,注视着这个叫人捏把汗的挚友。在很久以前,刚当下忍那会儿的鸣人也常常这样走路。佐助怀念着那个自己不禁感叹这家伙真的是和我一样的忍者吗的时期。
鸣人突然大叫一声:
“啊!”
然后把没牵着的那只手啪嚓插进了海里。佐助吓了一跳,赶紧从另一边拉住了他的手臂。
“喂!你干什么!”
鸣人被拉了一个趔趄,在海水里站稳。被佐助瞪了一眼,他稍微怂了一点。
“刚才那边好像有什么东西……”
“那是水母。”
“水母……想带回去……”
佐助感觉到自己太阳穴跳了一下。能立刻不说脏话而是像哄小孩一样说话,也许自己比那时成熟了一些。
“鸣人,水母啊,会蜇人的。有的品种毒性大到能让人直接晕过去。”
“可是我这只手是义肢啊,”
“你是打算用手抓回去吗?那玩意儿九成都是水做的。最后只会干巴巴地死掉。”
“那就,你看,用个水遁,这么,把水弄成一团……”
佐助感觉得到对方无论如何都要把水母带回去的强烈意志。深知鸣人有多顽固的佐助,换了一种方式劝导。
“你为什么想把水母带回去?”
鸣人微微歪了歪脑袋。
“也不是非要水母不可,就是有点想带点什么回去。难得是跟你一起来的嘛”
佐助垂下了肩膀。既然这么说了,他一边想着,一边在海面上单膝跪下。依依不舍地松开握着的手,将手掌贴上水面。
鸣人像黏在他身边一样,也学着他的样子在海面上蹲了下来。从侧边悄悄探进垂落的长发之间往里看。佐助的右眼是红色的。
“你在干什么?”
一问,佐助便低声回答。
“……你想要点纪念品吧。我给你找个差不多的东西”
咦,佐助现在该不会能看到海里吧。鸣人没有说出口,只在心里惊讶。确实写轮眼好像是白眼的亚流,所以或许真能办到。
佐助的视线在远方的海底游移片刻后,咕哝了一声“有了”,然后将贴在水面上的手猛然发力。鸣人屏息凝神地看着。佐助那吓人的左眼里浮现出勾玉图案,显得更加吓人了。
佐助这次不等发问便答道:
“地爆天星,的应用。”
鸣人看见有个小小的东西正从大海深处迅速朝这边接近。通常是渐渐沉下去的东西,反倒朝这边靠近,这番光景让他觉得很神奇。
佐助啪地抓住了那个碎片似的东西。用海水哗啦哗啦地冲洗干净,递给鸣人。
“喏。”
鸣人接过来,在掌心里歪头看着。空心的半透明水球。里面,有只小得可憐的伞状生物。大概是小水母。这种黄色的水母叫什么名字来着……。
“......谢谢。”
鸣人的声音比自己预想的还要沙哑。他慌忙调整呼吸,因为这点小事而心跳不已,这实在太不像自己了。佐助站起身来,背对着他冷淡地说。
“会烂掉的,所以趁现在拍照留念什么的都随便你。”
鸣人感到一阵沮丧,身体一下子卸了力气。
“哦...”
佐助对情绪低落的鸣人无动于衷,径直朝大桥的方向走去。鸣人慌慌张张地迈开步子跟上他。
途中,鸣人把水母连着海水一起含进嘴里,腮帮子鼓得像仓鼠一样,一路走回去,佐助眼角余光瞥见后说道。
“你不是说拿回去养吗。”
因为嘴里塞着东西,鸣人只能摇头示意。
“那你要养在哪里?”
他咕嘟一声咽了下去。
“养在澡盆里。”
佐助吸了口气想说些什么,但是立刻放弃了,随他去吧,闭上嘴。不对,等等。刚才把水母吃了的,是鸣人那边的义手吧。佐助没有问。そもそもとして、自分が捕まえた水母を食うとは何やら不憫に思えたからだ。
ナルトは満足そうに、今度は来た時とは違うゆったりとした足取りで歩き出す。サスケは手を繋ぎ直してから空を見上げた。見上げた先にぽっかりと白い雲。水平線に半身を浸した太陽が、穏やかな海原を道のように銀色に染めている。早く帰ろう。きっと家では帰りを待つ家族がいる。
ナルトと別れ、一人で自宅へと戻ったサスケは、夕飯を済ませ、風呂に入り、自分の寝室のベッドに腰かける。
本を開き、読みかけの頁を眺める。読んでいる文字の数行先をなぞるようにして、さっきまでナルトと居た空間を思い出していた。出会った時からそうだ。こいつはどこへ行くにも光が付いて回る。サスケは己の読む本に落とす影を思い、思い通りにいかない現実に目を細める。
ナルトは、きっと、自分とは住む世界が違う。自分が手を伸ばせばあの陽だまりの真ん中に座る金の狐が振り返って、何かあったかと心配そうに眉をひそめる。サスケは気づかれないように距離を取る。自分の冷え切った手であの温かい魂に触れたくないと思ってしまう。
触れてしまえば、その温かさに溶けてしまいそうで、離れられなくなりそうで、それでいて本当はひどく触れたくて仕方がない。サスケは心の中で吐息のようなため息を吐いた。

ナルトは、次の瞬間サスケに手を引かれて倒れ込んだ。視界は一瞬、海面と空とが逆さまに入れ替わった。見上げる空はどこまでも高くて、ひゅうひゅうと落ちてくる音が耳のそばでしていた。待って待って、と心の中で繰り返しながら背中が海面に叩きつけられる。浅い水しぶきが上がった。全身に水圧と衝撃が走り、口の端から空気の泡がこぼれる。目を開けると視界は青一色だった。薄い陽の光に煌めく水が肌の上をさらさらと流れて、体の力を抜くと浮力がゆっくりと持ち上げる。瞼を閉じると光が明滅する。ゆらゆらと揺れる。
これが海かあ、とナルトは思う。生まれて初めて海の中にいる。思えば忍者になってからも、ナルトの任務はどうしても内陸や山間部のものが多かった。生きて帰れないかもしれない死線をいくつ潜ったこともある。海で溺れるくぐもった脅え、初めて聞いた。想像をしたら腹の底がきりりと締め付けられる。
しかしサスケはナルトに溺れる間を与えなかった。目を開けたナルトのすぐ目の前に、サスケの顔がある。身体に手が回されている。海中だというのに、サスケの髪がゆっくりと揺れる。まるで今にも上がっていきそうな気泡みたいに。
サスケが片手で自分の首元を掴むと首がグイッと海面上に引っ張り上げられる。重力が戻って水が落ちる。波の音も風の音も一緒に戻ってくる。深呼吸。大丈夫か、とサスケが覗き込んでくる。
「...ン。眩しいな」
「日差しが強い」
そう返してサスケがちらりと空を仰ぐ。
「もうこんな時間か」
海に沈みかけの太陽がじりじりと燃えている。影が伸びて橋のたもとに夕焼けが落ちかかっていた。
「そろそろ戻るか」
ナルトは何かを名残惜しむように、海を見たまま立ち尽くしていた。閉じた足元を素のままの赤い瞳で見下ろす。
すると、じわり、と、水の中に黒い色が滲んだ。ナルトの足元の海がにじんで黒い色が滲む。ナルトが海を見下ろしている。サスケは目を細めた。透明な海水を伝って血が静かに落ちてゆく。
気配に気づいたナルトが顔を上げる。
「サスケ?」
サスケは静かに怒りを込めた声で言った。
「...あんた、鼻血出してるぞ」
「え?」
ナルトが右手で鼻を拭うと、甲に血がつく。
「ああ...ホントだ...」
さっきの魚影に気を取られて全く気がつかなかったが、少し前から鼻の奥がむずむずしていた。サスケはため息混じりに言う。
「鼻血出るほど、オレと居て緊張してんの?」
しれっと言われてナルトはむっとした顔でサスケを睨んだ。
「それはねぇわ」
「じゃあなんでだ」
「疲れてんだろ、きっと」
サスケは「ふぅん」とだけ応えた。
少し歩いて海面にしゃがんで、手を濡らして鼻のまわりを洗う。血はもう止まっている。付いたのを洗い流すと、水筒の水で口を漱いだ。ナルトが顔を上げるとサスケが立っていた。無造作に伸ばされた手がひたりとナルトの顔に触れる。その手はとても冷たかった。
「...まだ、鼻血出てる」
心配しているような、何かをうかがうような声だ。
「平気」
ナルトは受け答えをして、これがずっと昔から繰り返してきた光景であることに気づく。サスケに何かあってはと心配してばかりいたあの頃、大したことないって言って笑ったのはいつもナルトのほうで、手を引かれたのもいつもナルトのほうで、守られるばかりの自分にずっとずっと焦燥していた。今は違う。このどっしりと腰を落とした安心感は、積み重ねてきた長い年月がようやく勝ち取ったものだ。数年、いやもっと前から、自分は弱いだけの自分じゃないことを知っていたけれど、それでも。
この場所に立ってみて、ようやくサスケと視線の高さが同じになった気がした。同じような景色を眺め、同じようなことに想いを馳せているのかと思うと、たまらなくくすぐったい。
油断すると口元がほころんでしまうのを抑えられない。サスケは水面に手を突っ込んだまま、何かを獲物と定めたようにじっと身を固くして待っている。しばらくして、なにかの感触を得たのか、薄い唇が微かに綻んだ。
「おいナルト、」
「ん?」
「目を閉じて手を出せ。すぐに帰るから」
言われるがまま、ナルトは空いている手を差し出した。目を閉じたまま待つ。海の音を聞く。呼吸と波の音だけの時間。
「...いいぞ」
目を開けると、サスケが差し出してきた小さなそれを、また目を閉じて掌の上に落とされた。
「貝殻?」
「ああ」
大人の親指くらいの小さな貝殻だった。握りしめた手の中の殻に薄い氷の膜が張られていて、生温かく湿った感触が気持ち悪い。
「なんで氷でくるんであんだよ...」
「テメェに握られて粉々になるかと思ったんだよ」
ナルトは手のひらの上の薄氷の膜にくるまれた小さな貝殻を見つめる。日光に透かしてくるくる回して向きを変えてみる。氷のせいで詳細は潰れているが、サソリのような形をしている。
「これ、何の貝?」
「何かは知らねぇ。だが滅多に取れない貝らしい。色合いも珍しい」
ナルトは氷ごしに貝殻の表面を爪でそっと突いてみる。カチカチと硬い。
「オレ、水の中ん中に入って獲ってくれば良かったんじゃね?」
「潜水は訓練してねぇだろ。それに今は気温が低い。身体を冷やすな」
心配性の親か、とナルトは笑った。
また手を繋いで歩き出す。二人分の影が橋の上に、長く長く伸びていた。

それから数週間は何ごともなく過ぎた。例の出会いが夢だったのかと疑いたくなるほど穏やかで、晴れやかな日々だった。朝早くに起こしに来て、サスケの作る飯を食い、日が暮れて帰っていく。いつの間にか朝が来て、また一日が終わる。何がどうなっているのかナルトはよくわからないが、サスケの隠居生活に自分が馴染んでいることが意外だった。それまでの十五年はほとんど会う機会もなかったというのに、今は一日の半分を一緒に過ごしている。
嵐のような多忙の日々の間にぽっかりと空いた穴を埋めるように、二人の時間はゆっくりと流れていった。

ナルトと別れてからサスケは、自分の穢れた右腕を抱えて畳の上にぽつんと座り込んでいた。ナルトは言う、いつでもお前はオレの側にいてくれたって。本心から言ってる顔だった。つまり、あの日オレに置いていかれた痛みをあいつは今も抱えていて、それでもオレを信用してくれている。
思い出す。里に帰ってきた日のことを。自分が立っていることすらおぼつかなくなっていたあの日、何度も何度も気を失いかけながら、意識の切れ間で確かに聞いた声があった。土埃と熱気と硝煙の匂いに満ちた荒れ果てた場所で。夜の闇に紛れてオレを引き摺るようにして連れ帰ってくれた誰かの声だ。
それはかつての、オレが最も嫌っていた声音に酷似していた。いや、よく聞けばナルトの声である。声を聞いてほっとしている自分がいて、意識が薄れる中でひたすら後悔していた。どうしてオレはこいつをずっと騙し続けることが出来なかったんだろう、と。
サスケは膝に肘を突いてしばらく海面を見つめていたが、自嘲を含んだ低い笑いをひとつこぼした。不意に、自分は今とても幸せなのだろう、と思う。
海に落とされた視線を上げるとナルトと目があった。腹を割って話したあの日、夜の病院の廊下のことを思い出す。あの日の何倍も何倍も柔らかい笑顔だった。
「ありがとう、サスケ」
親友は言う。太陽に照らされてきらきらと光る水面が、サスケにはひどく目に沁みた。
海から帰った翌日、久しぶりに演習場に足を運んだ。カカシ先生を呼んで、軽く手合わせをした。大して暑くもないのにうっすらと汗をかいた。
「やっぱりお前は天才だな」
カカシはひどく懐かしそうな顔をして言う。ナルトは、てへへ、と笑って、しかし顔は笑っていなかった。演習場の古い角の丸い丸太を見ると、どうしても小さい頃のことが思い出される。登れなくて何度も何度も転んで、臍を曲げて座り込んでいたら、サスケが木の上から見物していたこともあった。今では考えられない、と思った。今ではあの頃とおなじくらい強くなった自分が、同じように臍を曲げて座り込んでも、サスケは何も言わず隣に座って一緒に居てくれるだろう。そういう関係になったのだ。でもあの頃の幼い自分とサスケを想像すると、何だか急に切なくなってしまった。

しばらくの間、互いに無言で橋を歩いた。心地よい沈黙であるはずだった。しかし何やら気になる物を見つけたナルトが橋の欄干に手をかける。
「サスケェ、見ろよ。あれ、鮫?」
サスケは彼が指さす方向を眺めた。
「...鮫だな」
「すっげー、でっけぇのいるぞ。あれ、絶対デカいって」
ナルトは親友に航海の心得を教え込んだクソジジイを思い出す。あの日船の上で彼が言った、海は恐ろしいぞ、という言葉が水面に揺らめく波紋のように浮かんで消える。心臓が一瞬嫌に冷たくなる。
「.....なぁ、サスケ。これって、潮の満ち引きのせい?」
指さす先に、さっきまでいたはずの橋がもう見えない。遠く近く、青い波ばかりがどこまでも続いている。荒い波が時折跳ね上げる飛沫が足を濡らした。
何で気づかなかったんだろう。ずっと下を向いて歩いていたからだ。
「嫌な予感がする。帰るぞ」
繋いだままだった手を引いて来た道を戻り始める。橋の手前で海はくるぶしの高さまでしかなかったから、引き潮ならばだいたいあと何分かで水位が下がるはずだ。引き潮の速さは思ったよりも速い。まずいまずい、と心の中で繰り返す。ナルトをこのまま家に送り届けることはできないかもしれない。
...いや、やり過ごせばいい。腰まで浸かる程度ならば、抱え上げて歩けばいい。ナルトの体を自分の腕に収められるのは、不意に胸を締め付けるほど嬉しい事態である。ただし、あいつには俺が思い悩んでいることがばれないようにしなければならない。こんなことに俺が動揺していると知られたら、思い上がるに決まっているからだ。
ナルトは常人のように疲れを知らないが、ときに過剰なほどに不憫に思える自分への措置を平気で行うことがある。終戦直後の木ノ葉で、増えてきた孤児たちの世話を焼き、疲弊した里の立て直しに忙しく奔走していた頃のナルトは、自分の世話をする余裕はなかった。近頃はまだましだが、それでも今もって自分の心身に無頓着なのは変わらない。放っておけばろくな食事もとらずに真夜中まで執務する。サスケはそれを何度も止めに行ったし、ナルトはそのたびに、すまない、と言った。火影の仕事に追われて自分を大切にしなくなるのなら、休むことを覚えさせなければとサスケは思う。
「そうだ。たまには代わるって言ったら、」
「だから、いいって」
ナルトが足を止めたのでサスケも立ち止まる。不意に繋いだ手の力が強くなった。
「オレ、ちゃんと分かってっから。サスケが言いてぇこと全部」
「俺が言いてぇことって何だ?」
思ってもいないことを、何でもお見通しみたいな口ぶりで言われて、サスケは苦々しい気持ちになる。ナルトはいたずらっぽく笑った。
「『たまにはオレに甘えろ』」
サスケは一瞬言葉を失い、気づけば小さく笑っていた。いつもそうだ。コイツに隠し事は無理らしい。あっさり見透かされてしまうと、意地の悪い気持ちがむくむくと湧いてくる。
「じゃあ、そろそろ限界か?」
煽るような口調にナルトはむっとして眉をへの字に曲げた。
「ぜーんぜん、まだまだ余裕だってばよ! そんだけ自由に動きまわってるオレをみて見ろってんだ!」
「よく言う。俺が九尾を引き摺り出した時、お前は眠ったまま吐きかけてたじゃないか」
「くっ...」
ナルトは、サスケに重いまぶたを持ち上げられて気が付いたあの時のことを思い出した。なんであんな時九喇嘛に力を借りたかというと、あれだけでもしないと勝てないと本能的に悟ったからである。やむを得なかったんだと、ナルトは心の中で呟いた。
「しょーがねぇだろ! 必死だったんだよ」
「その時の吐き気はお前の意思の弱さだと思うが」
「うるせぇな! 免許皆伝! オレはもう立派な立派な火影様だってんだ!」
自分の頭ほどの大きさもある氷の塊を一方的に押し付けて逃げられて以来、すっかり口で敵わなくなってしまった、とナルトは思う。こっちの、感情を爆発させればさせるほど嬉しそうにのたまうものだから、余計に腹が立つ。
ナルトが大声でまくし立てて、サスケが静かにツッコミを入れる。ひっきりなしに聞こえる木の葉の音、高く澄んだ青い空、穏やかで波立つ海。サスケと二人で歩くのは、十何年ぶりだ。
そんなことをふと思う。

波止場の先にでっぷりと太った人影が二つ並んで立っている。そのうちの一人が、近づいてくるナルトたちに向かって、ほれ来たぞ、とだけ口を開く。
「悪いな。待ったか?」
岩と岩の間に腰を下ろして釣りをしていたらしい老人と、車椅子の老人だ。車椅子の老人がナルトを見てぽつりと口を開く。
「おう、奇遇だな、俺たちちょうど今来たとこだ」
老いた声は聞き覚えのある声。そういえば今日は毎月恒例、『三代目火影の命日』の墓参りだとナルトは思い出す。だからこそ二人に会った時にサスケは立ち止まったんだろう。
「三代目の墓参りに?」
「ああ」
てっきり二人は対になっている墓の前に立つのかと思っていたら、ナルトは反対方向へ向かう二人に目を丸くする。背中を押されるまま、互いに名前を出し合う。
「こっちは知ってるな? ウチハの石碑だ」
そう言うとサスケは、ナルトに礼を言うように、しかしそれを表に出さないまま顎をしゃくった。
「いろいろとややこしいことが書いてあるんだ。...あれはな、オビトが、オビトが書き換えたものだ」
短い言葉の中にずっしりと重い感情が沈んでいるのをナルトは見逃さなかった。机の上に置かれたままのスープを見つめて黙り込む友人の横顔を、声もかけられずに眺める。
昔、写輪眼のことを調べにここへ来たこともあったな、とナルトは思い出す。幼い頃、学校の課題で写輪眼について調べることになり、ここで机を借りて調べたことがある。あの時はたしか...。
ずっと昔のことに想いを馳せていたら、不意にサスケが口を開いた。
「...あの頃のことを覚えているか?」
「ん?」
「お前がはじめてオレにラーメンをおごってくれた時のことだ」
「ああ、なるほど。そういうことか」
ナルトはつい苦笑した。もう何年前になるだろう、二人がまだ十二歳で下忍になったばかりの頃の話である。
あの日のナルトは、これで今日のサスケの好きなラーメンがわかるし、しかも火影の書類仕事からも離れられる。自分にとって一石二鳥な上、サスケもずっと好きなものを見ながら機嫌よく飯を食える。お互いがハッピーになる良い作戦だと思った。何より、気の置けない大切な友人に奢るためのバイト代だと思うと嬉しかった。
ところが彼の“奢る”がはじめての体験だったらしいサスケは、何がなんだかわからない顔をしていた。五年前の、あの口の利き方も知らないような尖り散らかした小僧だった頃を思い出してナルトは自然と口元を綻ばせる。
店には看板娘がいて、彼女が大将にサスケのことを話したのか、サスケはすっかり看板娘と懇意になっていた。ナルトも顔を覚えられた。サスケは看板娘のことが好きだったらしい。なんでオレじゃねぇんだよとナルトは思ったけれど、自分のことを嫌いなわけではないらしいというのが分かって少し安心した。
それで、だ。
その看板娘は、今の夫になる男と出会っている。
この橋の上で。
そのことを話すとナルトはあっさりと、
「そういえば、そんなこともあったっけな」
と相槌を打った。
だが待ってくれ、とサスケは思う。何もかもを覚えていて相手が何も覚えていないというのは辛いものだ。逆もまた然りだ。それは十五年前のサスケが痛いほど身に染みている。忘れたくても忘れられない、と滝のように涙を流した。それなのに、自分もまた人の心に残る何かを望んでいる。あの頃と変わらない。いや、あの頃よりずっと深く。

...ナルトは俺に何を残そうとしているのか。

足元の海面に目を落とす。揺れる水面に今の自分が映り込んで、不意に歪んで砕けた。暗い藍色の水が騒ぎ、深い場所からこちらを眺める気配に顔を上げる。闇の中に立つ何か、いや、巨体。

サスケは息を呑んだ。ナルトは気付いていない。数歩進んだだけで、振り返って何か言おうと口を開く。
「...なあ、サスケ」
その声でサスケの意識が現実に引き戻される。眼前の巨大な気配は掻き消える。
「オレさ、サスケと一緒なら、ここじゃなくても何処でもいいやって、今思った」
サスケは何のことか一瞬分からずに間の抜けた顔をする。ナルトの声は続く。
「海でも山でも、何にもねぇ草原でも。オレはお前と一緒にいられれば、どこだって最強に楽しい」
サスケは気づけば口元を綻ばせていた。それに対してナルトがひどく驚いた顔をする。
「お、お前今すっげぇ優しい顔した! 何考えてたんだ?」
「何でもねぇよ」
サスケはそっぽを向いて、ニヤニヤしながら早足で歩き出す。ナルトがおーい待てよ、と追ってくる。
緩い下り坂が終わり、向こう側に海原が大きく開けた。綺麗だ。生きている間は、ずっとこの場所を思い出せる。
振り返ったサスケがこちらを振り返って何か言いたげに口を開きかけたところで、ナルトの耳に届いた。足音に混じって何かが複数、大量の水を踏みしける音。パシャパシャと、一つの方向に走る足音。続いて、怒声にも似た歓声。
「捕まった!?」
大声で叫んだナルトに、サスケが、口を開けたまま固まる。ナルトの手を握っていることに一瞬目を瞬かせたのち、へっ、と小さく笑って繋いだ手をすり抜けていく。橋の欄干に置かれた手荷物に駆け寄る。あっという間にその小さい体は海に飛び込んでいた。ほんの一瞬の出来事だった。
ナルトは橋の欄干から海を覗き込んで、慌ててサスケの名を呼ぶ。
「大丈夫か!? サスケ!」
海の中から、ぷはあ、と苦しげな息継ぎの音が聞こえる。
「...あいつら逃げた」
ぽつりと呟く声は、全身びしょ濡れの海の男そのものだった。腕の中には銀色に光る魚が一匹。
「捕まえた...これでいいか...?」
ナルトは小さく吹き出した。
「いいんじゃねぇの。うん、」
俺達は海を一望できる橋の上、荷物の置きっぱなしになっているあたりに戻り、サスケが服を脱いで絞って水気を切るのをナルトは日向でぼんやり待った。段々と強くなる日差しの下で温んだビールは二人の喉を滑り落ちていった。
何の変哲もない海辺の橋の上。
何の変哲もない、午後のいちまい、のような時間。
これから始まる話の前夜祭にしては、あまりに平和すぎる一幕だった。人声的喧嚣也远去了,只余下风和海浪的声音。深邃蔚蓝的海面上,宽阔的桥影笔直地延伸开去。鸣人察觉到,近来一直紧绷的眉间和太阳穴,不知何时已放松下来。他从来不知道,身边没有其他人,竟会让人如此安心。他这才意识到佐助带自己来这里的用意。

“你每天看着的,就是这样的景色啊。”

佐助点点头。

“很安静吧。安静到,不必去想那些无用的事。”

说起来,自从就任火影之后,鸣人觉得自己的生活里总是有人在身边。回到家,妻子或孩子也一定在。

……不,他并不是厌烦热闹的日子。不如说那是他期望得来的,而他也不想回到那个寂寞得可怕的幼年时期。……即便如此,这份宁静奇妙地让他感到安心,是因为有归处的安心感,还是……

像察觉到了什么似的抬头看向这边的蓝色眼眸,佐助静静地回望过去。鸣人那肉嘟嘟的厚唇松弛下来,像紧闭的花蕾受阳光引诱,缓缓绽放一般。
将那花拽过来,咬上去,把舌头探入松开的唇间,连吐息一并搅乱,是轻而易举的事。但佐助现在不出手。还太早。狡猾的蛇舔了舔舌头。还太早,等花瓣再开一些,蜜汁肯定也更甜美。
他改口道:
“偶尔,要不要换一下?”
“……哈?”
“用我的任务,换你的工作,要不要?”
“诶?”
鸣人像是听到了什么荒唐的提议,扑哧笑了出来。佐助连一丝笑容都没有。对佐助来说,这是极其认真的。
“我模仿你没问题。只要变身,一天左右没人会发现。”
鸣人嘴边仍挂着笑意,内心却有些困惑,目光在佐助端正的面容上游移,试图读出这位挚友的真正用意。没多久,他明白佐助除了关心自己之外并无他意后,连眼角都露出了苦笑。
“可我没法做你的任务啊。太难了。”
“不用做任务。休息就好。”
鸣人一笑
“我,不太,能好好说明白。不像你那么擅长。硬要归纳的话,就会变得很长。”
这我很清楚,佐助心想。
“如果要整理的话,让顾问去做不就行了。”
“……但鹿丸也很忙啊。”
“那就跟我说。帮你整理想法这种事我随时都能做。”
“可是你也很忙吧。你很少在村子里啊。”
佐助用“你到底想说什么”的眼神看着自己,鸣人心里也明白。我自己到底在说什么啊?他也在想。这是好不容易避开繁忙日程才挤出来的极短的约会时间,如果在这里不坦率的话,以后一定会后悔。鸣人终于说出口。
“下次什么时候能见面?”
看到鸣人的脸颊又微微泛红,佐助在心中窃笑。
“那取决于你。最忙的人是你。”
鸣人低下头,在脑子里拼命翻阅日程表。然而在与家人见面的日子都受限的忙碌中,要再挤出与情人见面的时间几乎是不可能的。日历很快翻到下个月。而且从头到尾都排满了预定。归根结底,鸣人想。
“喂,试婚期,到什么时候?”
听到询问,佐助微微歪了歪头。
“谁知道呢。一般不是三个月左右吗?”
三个月。鸣人小声呻吟。只有三个月。我可是半年之后都排满了会议、集会,还有必须出席的庆典什么的。
佐助饶有兴味地看着鸣人默默苦闷的样子。心想他这么想见我吗,觉得有点高兴。虽然想一直这样看着他,但有点可怜,于是决定帮他一把。
“晚上也没空吗?”
“……诶?”
“晚上。傍晚。有没有能早点收工的日子?”
那倒是有的。
“下个,周六的话,大概可以”
“是吗。那就去吃点东西吧。”
鸣人的脸一下子亮了起来。佐助心想,鸣人这种毫不掩饰地表达感情的地方真的很可爱。那是从幼时起就未曾改变的他的一大优点。但他绝对不会说出口。现在也一样,
“一乐? 去一乐吃吧?”
对兴奋地这样说的鸣人,
“你就没有别的地方可去吗”
用无语的口吻回他。看到鸣人垂头丧气,
“店由我来定”
佐助放话道。
他牵起无精打采跟上来的鸣人的手,脑海中浮现出几间料亭的名字。那是他在遥远的幼年时期,还是个可以撒娇的少爷时,听说父亲常去的店。是晚餐席上不见父亲身影,问母亲“爸爸去哪儿了?”时听说的店。你爸爸呀,今天有工作,去参加接待了哦。セッタイ是什么?唔…就是一边吃饭喝酒,一边聊工作上的事、聊闲话的工作哦。
一边吃饭一边聊工作的工作。一边喝酒一边闲聊的工作。年幼的佐助听来觉得一切都很矛盾,完全无法理解。嗯——那种事,明明全都可以在工作时一起做的嘛。身旁的哥哥苦笑着。
那是过去的事了。
“说起来,佐助你……”
挚友的声音将佐助从怀旧中唤回。
一回头,鸣人露出不可思议的表情。那双天真无邪的蓝色眼睛正凝视着他。
“那你刚才为啥板着脸啊?就是一乐那名字说出来的时候”
这是真心发问,还是在装傻?佐助差点咂嘴。如果是装的,那可真是个不小的小恶魔。他很想一本正经地追问那个鸣人是怎么变成这样的。可如果是认真的,那就更麻烦了。这家伙明明很会笼络人心,可对男女情爱之事却迟钝得致命。为什么偏偏只有那里不明白,佐助想不通。
罢了,大概是真的不明白吧。佐助这么想着,尝试解释。
“……听好了,鸣人”
“什么?”
“我刚才说的,是七代目火影的事。我并不觉得火影与自己国家的大名亲近有什么不好。我反而觉得那是好事”
“……嗯”
“但你跟那个一久关系好到能在并非生日的时候收到贵重的礼物,这让我很不爽”
佐助自认为这话已经是极大的让步了。
然而鸣人还在歪着头。
“嗯?也就是说,到底是啥意思?”
佐助叹了口气。搞不懂吗,你这笨蛋。非要说出来不可吗。
“……就是说……就是说啊……,唉,这种事你非要我说出来吗?”
“呃……我,搞不懂嘛。说说嘛〜”
“………就是说啊,”
因为要说自己不习惯的话而显得上气不接下气的佐助,即便如此也努力想要表明诚意地重新开口时,鸣人的嘴角忍不住可爱地、软软地歪了起来。佐助看到后想了起来。这个表情他见过,是捣蛋鬼想出新恶作剧时的表情。和以前在等待卡卡西的教室里,想要把黑板擦夹在拉门上时一模一样的表情。
这个小恶魔。
被看穿了,鸣人嘿嘿地笑了。顺带一提,佐助的本意他在佐助谈论火影与大名关系应当如何时就已经察觉到了。
“偶尔你也说说嘛,佐助。每次都是我先开口的。”
佐助自暴自弃地啐道:
“我才不想你被哪个大名抢走!”
“……哈哈。”
鸣人开心地笑了。
佐助扭头望向别处。但手依然牵着。稍长的头发被海风吹拂。隐约可见的耳尖泛着红色。鸣人坏笑着探头去看佐助的脸。
“我也不想让你被大蛇丸那种人抢走啊。虽然已经被抢走了。”
佐助微微红着脸回过头,鸣人收敛了几分笑意,摆出一副认真的表情。
“可现在的我,可不想再把你让给大蛇丸了。”
然后他又补了一句。
“所以现在,我们不是在一起了嘛”
佐助听到这话,心里觉得有点好笑。分明是他自己说想在一起,现在又一脸得意。
“你这家伙,明明是在迁就我,倒是很会说漂亮话。”
“嘿嘿,那是当然的吧?毕竟我可是把你从那个大蛇丸手里抢回来的。”
ナルトは軽口を叩きながら、佐助が以前大蛇丸のところにいた時期のことを思い出していた。あの頃はいつもより、ずっとずっと苦しくて、ずっとずっと辛かった。失ってから何かを取り戻すことがどれほど難しいことか思い知った。
「でも、取り戻せたから。…オレが、お前を、見つけたから」
目を伏せて、笑う。仕方のない顔をして笑う。サスケは口を歪めてやり過ごした。こんな時に、もう少しマシな返しができないのか自分は。
だがナルトはそんなサスケの不器用さも込みで愛しているから、もう十分だ。怒られないのがわかって、ナルトはまたにいっと笑った。
「サスケ、ちょっとさ、手、かわね?」
繋いだ手を、子供の頃のようにぶんぶん振る。久しぶりの逢瀬、手を繋いだ時の幼さの残る高揚。
サスケが不機嫌そうな声で、言う。
「…そういう所だぞ」
「そういう所って?」
サスケは答えなかった。ナルトが鼻歌を歌い始める。短い鼻歌は、里の子どもたちがよく歌う、有名なわらべ歌だった。しばらくはのんびりと幸せな時間が流れる。
しかし、幸せな時間は長くは続かない。ナルトの鼻歌が、ぴたりと止んだ。
「…サスケ」
また、あの声だ。ナルトが、火影の声でサスケの名を呼んでいる。
「…今回のことは、絶対にばらさないって、約束して」
ナルトの声は小さく、しかししっかりとしていた。サスケはゆっくりと振り返った。
「言っただろう。二度と、あんな風に言わせることはねぇって。忍者としてのオレの名誉に誓って」
「ん、わかってる」
そう言ってナルトは笑った。あの約束の日、火影の顔で、サスケが言った言葉。それぞれの思惑があると知りつつも、ナルトに従った。里のためを思ってのことだと分かっていたからだ。
「…んなこと、わかってる」
ナルトはもう一度言う。目の端が少しだけ熱い。こんなときなのに、自分は泣き虫だな、と思う。こんなに素敵な人と一緒にいるというのに。ただ、ちょっとだけ、この関係が手探りで先の見えない闇の中にいるように思えて、怖くなる時がある。お前はいつ、オレのことを疑うんだろう。あるいは、今は良くても、将来ある時、自分を取るに足らない存在だと思い出したら、いや、もしかしたら気まぐれで自分を選んだだけなのかもしれない。そう考えた時に、ああダメだ、考えてはいけない、とナルトはいつも頭を振って考えるのをやめる。考え始めたら際限がないからだ。うまく付き合っていくには、考えすぎないことが大事なのだ。
「シカマルに予定を調整してもらおう。そっちの土曜日は夜も空いてるんだな?」
サスケの言葉でナルトは我に返る。
「あ、ああ。たぶん。日曜日はダメでも土曜日までには里に戻れると思う。それか前日には…」
「なら、土曜日はオレが迎えに行く」
やっぱりこの人は、そういうところがずるい、とナルトは思う。サスケと会う約束をすればナルトはいつも楽しみで待ちきれなくなってしまう。仕事に身が入らなくなるのだ。
「なんで土曜日なんだってばよ?」
この男は何かを企んでいる時にふと笑う。今日はそれがあんまりにも見え見えなので、聞いてみたのだ。サスケが口元を歪めた。
「週の終わりは疲れてるだろう。つまり次の日が休みの日に会えば、遅くまで一緒にいられるだろう」
ナルトは変な声を出した。
「な、なんだよ」
「…ちょっと、見入っちまった」
「は?」
「いや。オレの質問に真面目に答えたお前が新鮮だと思って」
「うるせぇ。失礼だろ、お前は」
実はその時ナルトが心の中で考えていたのは、妻帯者のサスケがその時間、自分と一緒にいても大丈夫なのか、ということだった。けれど自分だって同じような身分であるし、いまさら言い出せるわけもない。
「そういえば、サスケ」
「あ?」
「お前、里に帰ってきた時、誰と会ってんの?」
サスケは、また始まった、と思いながら、
「お前、昔からそうだな。考えたことをすぐ口に出す」
呆れた口調で言ってやる。
「あれ? 言っちゃった?」
「言った。出かかったのを戻すこともできねぇから、最後まで聞く」
言いながら、サスケはナルトの手を引きながら、水たまりを避けて歩く。ナルトもそれに合わせてぴょんぴょんと跳ねながら、続きを喋る。
「いや、だからさ、お前んち行く時にさ、よく気になるんだよ。ミタさんがいたりするのかなって」
「母さんはもうここにはいない。お袋さんと、兄さんは。父さんは今は大抵、墓参りだ。兄さんの墓と、両親の墓と、交代で」
「…そっか」
ナルトの声が沈む。サスケはそれに構わず、また話題を続ける。
「どうしてイッキュウだ? 店を探したなら、女将の名前だったり店主の髪型だったり、色々と命名のネタはあったはずだろ」
「だって、一番最初にそう呼んだのはオレじゃねぇし」
「あぁ?」
「あの店の大将がさ、自分のこと“一給”って紹介してるんだってばよ。今度のはね、その大将が気に入ってた店だったらしいしさ。そんで店の名前をそのままなんとなく…それに、一給ってさ…」
ここでナルトは悪びれるように笑った。
「一楽と一給で、一がつくもの同士だし」
それは酷い駄洒落だ、とサスケは思う。
「よく思い浮かぶな。お前のそういう才能は尊敬する」
褒めているのか貶しているのか、微妙なところだが、ナルトはひたすらに満足げだった。
「へへっ。褒めてくれるってばよ〜」
サスケは呆れたように、しかししっかりとナルトの手を握り返した。
「それで? 次の土曜日で決まりか?」
「決まりだってばよ。たぶん、仕事抜け出せる」
意外なほど素直に、ナルトは言った。
二人は並んで波の音を聴く。サスケはナルトの口元が柔らかく綻んでいるのを認めて、つられたように、自分も薄く笑っていることに気づく。
穏やかな潮風がしばらく吹き続けた。

「ふわぁああああああああ」
ナルトが大きなあくびをしながらリビングへ入ってくる。ちょうどキッチンから出てきてリビングへと向かっていたサスケと鉢合わせになった。ナルトは目を擦りながら、
「おはよう」
と掠れた声を出す。
「ああ」
サスケが手に持っていたコップを置いて、ナルトを抱き寄せた。抱きしめながら額に唇を落とす。
「昨夜はよく眠れたか?」
「うん。なんか久しぶりに、ぐっすり」
何せサスケが隣にいるからだ。背中に回された腕を握り返して、彼の胸にすり寄る。サスケはまだ火影の予定表を頭に焼き付けようとしているような難しい顔をしている。今日も仕事なのか、とナルトは思う。
「今日は、どっか行くのか?」
「ああ。少々調べたいことがある。お前は?」
「オレは、今日は午前中まで仕事で、午後からは休みだ」
今日の朝、家族でテーブルを囲んだ。ナルトが珍しく家にいたので、ヒマワリが嬉しそうに給仕してくれた。ボルトは拗ねていたが、それも気にしないことにした。
「そうか。ならゆっくり休め」
「ん」
歩きながら、サスケは言う。
「あの、ロクロというのは、いまも健在なのか?」
「ああ。元気にしてるぜ。三代目土影も大概だけど、あの人も大概だよな」
小柄な外見のわりに、飛ばす鉄砲玉が大きいのである。
「同感だ」
「サスケもそう思う?」
言って、ナルトは隣を振り仰ぐ。サスケは微かに口元を綻ばせた。
「お前のそういう所は、ちゃんと火影だな」
ナルトは少し驚いた顔をして、それからへへへと笑った。
会話をしながら並んで歩く。それだけで心が満ちていくのを感じる。世界が、鮮やかに色づいていくように感じる。穏やかな夕方。陽光は橙色に染まり柔らかく、海から吹く風は冷たすぎず、子どもがはしゃぎながら駆けていく足音と笑い声が聞こえる。ナルトはいつまでたっても終わらないでほしいと思う。サスケはこの時間が少しでも長く続けばいいと思う。
そういう二人の願いを知ってか知らずか、木の葉の里の西の空に太陽が沈んでいく。
サスケの手を握っているナルトの手に、ちくり、と少しだけ力が入った。その微かな変化にすぐに気づいて、サスケは顔を向ける。
「…しっかし、」
急に顎に手を当てて何か考え出したナルトを見て、サスケは、なんだ、と目で訊く。
「お前さ、他の女と会う時も、こんなちゃんと店決めてくんの?」
店のことはサスケが決める、と言った先ほどの自分の言葉がよほど嬉しかったらしい。ニヤニヤが止まらない。自分があげた言葉がこれほど喜ばれるのはなんだか面映ゆい。
「オレの店に来るのはお前だけだ」
さらっと言ったサスケのセリフに一瞬言葉を失い、それから
「そ、それ、もったいなくね?」
とナルトが慌てふためく。サスケは思わず小さく噴き出す。変な反応をするところも含めて本当に可愛い。
「馬鹿。そういうことじゃなくて、だな」
「うん」
「ナルト」
「うん」
「…好きだ」
空は藍色のグラデーション。群青色が少しずつ紫を帯びてゆく中、潮の香りがする風はそれでもまだ温かさを失っていない。
ナルトが小走りでサスケの前に回り込んで、にぱっと笑った。
「オレも。大好き」
その屈託のない笑顔に、サスケの胸はきゅっと締め付けられた。

静かな波音が聞こえる。ナルトと別れてからもう一時間が経過していた。サスケは海沿いの社で一人、波の音を聞いていた。
かつて須藤さんに連れられて来た時は真昼間の神社で何も分かっていなかった。ナルトが海に落ちた時のことを思い出す。今この場所にいると、あの時身体を案じたのも、対峙して戦ったのも、本当に遠い昔のことのように思える。それもほんの数年前の出来事だ。サスケの身に起こった出来事はあまりにも多すぎた。あの頃のことを思い出すと今でも心の奥底に沈んでいる蟠りがざわつく。
ナルトに救われた。ナルトに救われた命だ。
自分は何で返せるだろうか。
何かで返さねばならない。返し切れないかもしれない。何しろその男は自分に、世界中のすべての人間から向けられるであろう敬意と親愛を、その身ひとつで届けてしまったのだから。報いきれるものではない。それでも。
サスケは夜空に浮かぶ月を仰いだ。
対してこちらは、と自嘲する。月明かりに浮かぶ男の顔は、聞いてもいないのに、あの暗い夜に自分が言った言葉が今も思い出される。
『もし俺に、何か伝えたいことがあるなら。直接言ってこい』
直接言ってこい。直接、会って、言え。あの日ナルトはそうした。本当はあの日からナルトは、サスケにその感情を向けるのを止めていたのかもしれない。サスケは思う。いや、もしかすると、もう少し前から。オレに退屈そうな顔をしなくなった頃から。そして、以前のようにオレを嵌めようとすることもなくなった。ナルトはオレに名前を呼んでもらえなくなって、もう随分と経つ。
……そんなことは、あるはずがない。
違う。ナルトは、ずっとこの感情を抱えていた。救出戦の後にこの旅館に来た時も、里に戻ってきてからも、子供の頃のように真っ直ぐにぶつかってきていたら、オレは多分…、いや、その時に返すべきだったか。
なぜオレがこんなにモタモタしてしまったのか、時間が掛かってしまったのか。腹が立って仕方ない。自分がすごく不甲斐なく思える。
生真面目に熟考に耽るサスケの手のひらの中から、ナルトの指がするりと抜けていく。あっ、と思った時にはもう遅い。ナルトは人混みに消えかかっていた。
「おーい、サスケー、早くしろってばよー」
向こうからひらひらと手を振るナルト。周りの人間が足を止めて見つめている。離れていても、火影はひときわ目立つ。サスケはため息を吐いて、小走りで彼の隣に追いついた。
「人前で、あんまり派手にすんな」
そう言うと、ナルトが口をとがらせて抗議の声を上げる。
「だってオレは火影で、お前は世界最強の男だろ? 一般人に交じって普通に歩いちまうのがおかしいんだってばよ。もっと気合入れて肩とか組もうぜ、兄弟」
本物の兄弟は、こんなことはしない。サスケの心中で幼い日の兄の横顔がよぎる。真夏の暑い日。幼いサスケが道端にへたり込んで駄々をこねていると、兄はにこやかな顔でしゃがみ込んでくれた。どうした? さあ、帰ろう。心配ない。兄さんがいるだろう。その手はとても温かくて、力強くて、柔らかかった。
多分、ナルトが想像している兄弟の関係と、実際の兄弟の関係は、ずいぶんかけ離れている。そして、ナルトが想像する「サスケの兄さん」は、きっと実際のイタチとはずいぶん違う。
今ならわかる。兄さんは自分を守ってくれる人であり、正しい人であり、里から反逆した人で、一族を滅ぼした人で、最後までオレを愛していた人だ。全部兄さんだ。それは今でも胸にしまってある。
自分が全部引き受ける覚悟だったのだと思う。だけど、兄さんは兄さんで全部を引き受けて、木ノ葉の闇に沈んでいった。兄さんは優しすぎた。オレにはもっと酷く生きて欲しかった。もっと違う道を選んで欲しかったと、理不尽なことだと思いながらも思ってしまう。
佐助は立ち止まる。前を歩くナルトが小走りで先に行ってしまう。気配で止まったことに気づき、振り返って首を傾げた。
「どうした?」
「いや」
サスケは首を振って、ナルトの隣に並んだ。
「何でもねぇ」
繋いだ手の、自分の方の手を引き、その中でナルトの手をそっと握り直す。少しだけ強く。ナルトは嬉しそうに微笑み、握り返してくる。ほんの些細なことだがサスケには大事なことだ。……いや、本当に大事なことは、こんなことではない。
「あのさ」
「何」
「大蛇丸、今どこにいる?」
ナルトは空を見て首を傾げる。
「え、なんで急に?」
「いいから。どこにいる?」
「さぁな? もう、かなり前に捕まったし。訊くならオレじゃなくて木ノ葉の方に訊いてくんない?」
サスケは黙る。木の葉に帰る前にナルトに訊いてしまおうと考えていたことを思い出す。
「やっぱり、何でもない」
そう言って、サスケは再び前を向く。
ナルトが首を傾げる。
「…サスケ?」
「気にするな」
「でも…」
「いいから。オレがそうしたいんだ」
そう言ったきりサスケは何も話さなかった。ナルトも無理には聞かない。何か考え事をしているんだな、と思う。俺の手を引く手の力が少し強くなったのを、ナルトは感じていた。寂しいときにするみたいに、ぎゅっと。サスケにだって色々あるんだろう、とナルトは思う。言わないだけで。それでいいと思っている。
月明かりが川面を照らす。さっきから、ひたすらサスケの横顔を見つめているナルトが、少し経ってからおもむろに口を開いた。
「…ねぇ、サスケ。すっげぇ今さらなんだけどさ」
「今さら?」
サスケは眉をひそめて聞き返す。
「自分が火影になるって決めた時さ。オレさ、真っ先にお前に伝えたかったんだよな」
「ああ、聞いたぞ」
あの日、ナルトが新しい火影として挨拶をしている演説台の下で、サスケは聞いていた。うろ覚えだが、内容は覚えている。改めて聞いても中身はほとんどなかったが、彼の思いが言葉を通して伝わってきた。今ではあの時のくどくどとまではいかない長い演説を思い出すと少し微笑ましい。
「でも、伝えられなかった」
ナルトが言う。サスケは表情を変えない。いつものことだ。ナルトは続ける。
「だってオレ、言いに行く前に、お前の家にいるんだもん。ずっと前からお前の家でーんと居座ってさ。んで会うたびに、あーでもねぇこーでもねぇって話して、お前に伝えるのを忘れちゃうんだよ」
「そんなもんだろうな」
サスケは何でもないことのようにそう言って、今度は自分から歩き出した。ナルトが遅れまいと並ぶ。不意に、サスケが口を開いた。
「俺はお前に、なんでも話せるよ」
短い、言葉少ない言葉。ナルトはその唐突さに目を丸くした。
「え? なんで、急に?」
「お前がしてくれたからだ」
それは答えになっていない、とナルトは思った。でも、サスケが「俺はお前に話したい」と言っていることは伝わってくる。それで十分だった。
ナルトが立ち止まる。
「…そっか。オレも、お前に、なんでも、話せる、よ」
言葉を区切って、恥ずかしそうに言うものだからサスケはまたぎょっとする。うわ、何だその顔は、と。サスケは心の中が愛しさに満たされていくのがわかる。だが口では、
「手を離すぞ」
「あっ、待ってってばよ」
互いにぶつかるようにして、また手を繋ぐ。彼の手のひらは温かい。その温度が、あと何日か、あと何時間か後に恋しくなることをサスケはよく知っている。だからこそ少しでも長く繋いでいたい。望むならば夜が明けるまでこのままでいられたらどんなにいいだろう。
そう思いながら、しかし月はもうとっくに星屑の中へ溶けていて、二人の前方に控えるは里の入り口に設置された巨大な門だけが、ぽっかりと開いていた。
ここで別れなければならない。
サスケは繋いでいた手をほどいた。
先ほどまではあんなに温かかったのに。その温もりを逃すまいとするかのようにナルトの手がわずかに強く握り返して、それから離れていった。その重みが指先に残る。サスケは敢えて気づかないふりをした。
「…じゃあ、な」
声が少し掠れた気がして、余計に腹が立つ。ナルトの笑顔も、寂しそうな顔も、全部全部見てきたはずの幼馴染みの、その中でも別格だった。
「あ、待って、サスケ」
呼び止められ、サスケが振り返る。
言いにくそうに、ナルトが言う。
「次の土曜日。オレのこと、ちゃんと見ててくれよ。見失わないでくれよ」
「ああ、わかってる。お前こそ迷子になるなよ」
ナルトが笑う。サスケも少しだけ口元を綻ばせた。
その顔が見たかった。自分から言うのはいつも勇気がいるが、いつだってこの反応だ。帰り道、サスケはいつもより甘えているような気がする、とナルトは思う。先ほどまでは繋いだ手が離れて、肩を組んで歩く。それすら物足りなさそうにする男を、面白く思った。
こんなことになるなら、とナルトはつい考えてしまう。もっと早くに、十年以上も昔にあの川辺で聞き逃していれば。どこかで傷を負うのを承知で、無理やりにでも口付けていれば。そうすれば十年の月日はもっと違うものになっていたかもしれない。あるいは永遠に、こんな日は来なかったかもしれない。それでも、どちらでも、よかったと今なら思える。
「あの川の、あの場所さ」
ナルトがぽつりと言うと、サスケは、ああ、と短く相槌を打った。
あの日。終末の谷。二人は互いに殺し合った。そして、あの日以降、二人の間に流れた時間のすべてが、今ここにある。
「帰るぞ」
サスケが言う。ナルトがこくんと頷く。
また次の日曜日が来る。それが何より楽しみだ。
日曜日、サスケが指定した店は古びた料亭だった。確か相当な老舗のはずだ。ナルトにしてみれば知らない店で、来るのにかなり迷った。
店員に名前を告げると、通されたのは個室だった。三年前に来た時に比べてだいぶ老朽化が進んでいる印象がある。料理も以前に比べるとだいぶ質が落ちている。サスケは予約した際、窓側の席をリクエストした。それは叶った。窓の外には見覚えのある、美しい日本庭園がある。かつてここを訪れた時、サスケは父の隣ではなく母の隣で、兄さんの向かいに座っていた。庭園の手入れをしている人の姿は、幼いサスケの興味を大いに引いた。もっとも、かなりあがっていたから、食べた料理の味はほとんど覚えていない。母さんは何かを機敏に察して、その日はいつもより兄さんの話をしてくれた。
あの、兄さんも。

自分で決めた店ではあるが、この店はナルトにどう映るだろうか。緊張で変な汗をかいてしまいそうだ。いや、とサスケはかぶりを振る。緊張しているのを悟られるのは癪である。それに、ナルトはたいていの高級な店に連れて行かれて驚かされることも多いが、それでいてまったく物怖じしないのだ。あっけらかんとしれっとしている。初めて会った時からそうだ。将来を約束された名家の子息でも、木ノ葉の英雄でも、どこの馬の骨とも知れない奴らがひしめく中でも、初代の孫は、まあ、御前は誰だ、とサスケに対して実にふてぶてしく啖呵を切ってよこした。木の葉隠れの里の外れにある神社の階段で、泥だらけの七歳が。その時の驚きは、今でもふとした時に思い出しては笑いを誘う。

遠くの水平線の彼方へ、思い出を馳せる。
視界の端に、波打ち際を走る小さな影が映った。よく見れば浜辺を散歩しているらしい白い犬と、その飼い主の親子連れだ。犬は遠くを見て、落ちている何かの匂いを嗅ぎに行く。親子が呼ぶ声が、海の音に紛れて聞こえてくる。
その時だった。
ガサガサ、と、近くの茂みから微かに音がして、ナルトはきょとんとした顔をした。
「サスケ、今の音は?」
「…多分、鹿」
「鹿?」
「ああ、鹿か何かだろう。自然豊かで、いいところだな」
実に気の抜けた相槌だった。しかしナルトは、
「そうだな。オレさ、実は自然豊かなとこ好きなんだってばよ。里もいいけど、里の外は空気がうまいし、星もきれいだし」
と、あっさりとサスケのそらぞらしい返答を受け入れて、屈託なく笑った。
サスケは、ナルトの笑顔を見ながら、バカだな、とまた思う。なぜ自分が茂みの向こう側に気を配っていたのかを考えもしないのだから。昔からそうだ。コイツは危険を察知する直感は鋭いのに、それと同時に、敵意を持たれていることに敏感すぎる。ナルトは自分のことを嫌っている人物からの悪意には異様に反応するのに、好きだと言ってくれる人からの好意は割と素直に受け取る。サスケはその、あまりにもアンバランスな性質が嫌いだった。いつも心配になる。お前はもっと疑ってかかれ、と。
それはさておき、今は怒る時だ。
さっきからうるさいほどにキスの音を響かせているアベック。木の葉焼きの最中、オレたちは屋台のすぐ近くのベンチに座っている。どうやらオレたちに気づかずに夢中になっているらしい。サスケは心中で舌打ちした。イチャイチャするなら人目につかない場所でやれ。公衆の面前であんなことをして、注意する人間もいないのか。
だが、当のナルトはというと、そんな様子をあまり気にした風でもなくサスケに訊ねる。
「あれってさ、いつまでやってんだろうな?」
気にしているのはむしろサスケの側だった。密かに心の中で舌打ちをした。物見高い親父どもが、とか、デートの雰囲気ぶち壊しだ、とか。
「ずっとだろ。ああいう連中は、いつまでもくっつき合ってるのがお似合いだ」
「…そっか」
少し寂しそうなナルトの横顔が目に入って、サスケは思わず足を止めた。何
“刚才你从洗衣铺老板那里拿到的钱。……不过,把各处听来的消息拼凑起来,有件奇怪的事——你们这半年从富人那里偷来的钱总数,和反过来在市井撒出去的钱总数,好像差得挺远……这减法剩下的差额,你弄哪儿去了?”

佐助冷冷地盯着这个闭口不言的男人。

也就是说,表面上打着义贼的旗号,实际上却把偷来的钱大部分都装进了自己的腰包,只是个手上功夫了得的恶党罢了。

这种话并不稀奇。佐助在村外干了十几年类似警察的勾当,这种把戏早就听腻了。现在也不会惊讶。只会觉得荒唐。不可原谅的是,他把七代目火影当作了挡箭牌。佐助唯独不能容忍这一点。

“既然要做恶党,就该有个恶党的样子,偏偏要装什么善人,所以才会遭这种报应。……为什么盯上了火之国和木叶?”

“……不是我。”

“听说你只是碰巧是木叶的叛忍,而盗窃团伙本身是各个村子的叛忍拼凑起来的。既然如此,那你们大可以找别国的大名或村长当目标。为什么要选火之国和木叶?”

“不是我啊!最先提出木叶的不是我!我、我这种人的意见怎么可能被采纳……是上面的人,那家伙,我听说最初是他提出来的……”

“是木叶隐村里的人吧。”

一试探,对方愣住了。佐助怀着想咋舌的心情重复道。

“你们头目里面,有在木叶干着间谍勾当的人吧。”

“那、咦……?怎、怎么会……”

佐助虽然不是拷问专家,但对方是在装糊涂还是真的不知道,不用写轮眼也大致能判断出来。

看来这是真的——他有了底,不禁有些沮丧。如果那个内鬼在同一组织里都能隐藏身份,那要揪出他恐怕还有很长的路要走。

好想用足人脉,再用足写轮眼,挨个获取情报,赶紧把人抓了——他是这么想的。那是佐助得心应手的方式。粗暴、毫不留情,能迅速解决问题,但事后会留下一片焦土。

然后,他眼前浮现出事后听到报告的鸣人,站在烧成一片焦土的原野前,满脸为难地伫立的样子。连想说话都找不到对方残存的骨骸。他甚至能想象鸣人微微回过头来,露出“真像你啊”的为难笑容。佐助压下那股想采取粗暴手段的冲动,对男人说:

“我要把你带回木叶。”

男人抬头看了佐助几秒,然后“哈”地嗤笑一声。
“想杀就杀吧。”
“约定好了,要毫发无伤地带你回去。”
“毫发无伤……?”
男人喉咙痉挛似的笑了几声。从地面上恶狠狠地仰视着冷漠地俯视他的佐助。
“你打算带回村里审问吧,可我这种跑腿的,哪有什么有价值的情报。派不上用场哦?”
“那种东西一开始就不指望。我有个同伴说想和你谈谈,是为你来的。”
“……你,那双眼睛,是宇智波佐助吧。同伴,是第七代火影吗。”
佐助点头,男人可笑似的耸动肩膀。
“能得火影大人亲自跟我说话,真是三生有幸啊。”
那个说法让佐助对男人有了些许兴趣。
“……你,为什么叛离村子?”
对了对了,努力试着理解对方是很重要的,这也是跟鸣人学的。
男人唾弃般说道。
“上次大战时父母和未婚妻都死了。”
“………所以呢?”
“所以!你应该能明白吧!战争什么的,当初不打不就好了吗!那么强的对手,要是不反抗的话,损失就不会那么惨重了!”
其实,无限月读之后出现的大筒木辉夜的存在并没有在忍界广泛流传。那场战争的结局,即使在木叶隐村也只有一部分人能详细掌握。
五影会谈中并非没有人提出过应该向民间全面公开的提议,但鉴于大筒木一族的真面目和目的尚未查明,结论是:为避免无谓的混乱,还是不公开为好。佐助也赞同这个想法。
所以,这个战后不久就叛逃出村的男子,不知道其实他们的人格被疑似外星人的存在夺走、险些成为战争工具的事实,也情有可原。如果他知道了,也许会抱有与现在不同的心境吧。
而佐助并没有那份耐心向这个男人仔细解释。佐助看穿了这男人的控诉与行为之间的矛盾。
“也就是说,如果面对宇智波斑和带土那样的威胁时,不加抵抗地屈从,你的双亲和未婚妻就不会死了。哪怕沦为人格被束缚的牲畜,只要大家都活着就够了。是这个意思吗?”
面对困惑地点头的男人,佐助发出无语的声音。
“所以,你是在反过来怨恨勇敢挺身而出的、包括村子高层在内的战争英雄们,怨恨现任火影。……原来如此,真是令人无语的情义。这种器量也配自称木叶忍者?把自己的软弱抛在脑后,视野也太狭窄了。你以为村子的高层和大战的英雄们,自身就没有任何伤亡吗?受伤的不只你一个,谁都是一样的。他们是用生命在守护的,守护你们现在用来行骗的那个所谓的‘尊严’。”
在瞪大双眼仰望他的男人面前,佐助握住了刀柄。
“很遗憾,你的心情我无法理解。不过,我的同伴应该能理解。回村之后,你就照现在的状态到他面前去哭诉吧。他一定会真心同情你,好好惯着你的。因为他爱多管闲事,顺便还会为你在木叶找个新去处。”
男人仰头看了佐助几秒,随即嗤笑一声。
“要杀就杀吧。”
“我会毫发无伤地把你带回去。这是约定好的。”
“毫发无伤……?”
男人喉头抽搐着笑了。他坐在原地,抬头瞪着冷冷俯视他的佐助。
“你打算在村里审问我吧,可老子这种跑腿的,哪有什么像样的情报。派不上一点用场哦?”
“那种事我从一开始就没指望。是我想跟你谈谈的同伴要来,是为了他。”
“……你,那只眼睛,是宇智波佐助吧。同伴,是指七代目火影吗。”
佐助点了点头,男人觉得好笑似地耸动肩膀。
“火影大人亲自来跟我说话,真是荣幸啊。”

听到那语气,佐助对这个男人产生了一点兴趣。
“……你,为什么要离开村子?”
——对对,努力互相理解是很重要的,这也是我从鸣人那里学到的。
男人像是要吐出来一般说道。
“先前的大战,我失去了父母和未婚妻。”
“…………所以?”
“所以,你应该明白吧!战争这种东西,不打不就好了吗!那种强敌,要是不反抗的话,受害就不会那么严重了!”

其实,无限月读之后出现的大筒木辉夜的存在,并没有广泛流传于忍界。能够掌握那场战争结局的详细情况的,在木叶隐村也只限于一部分人。
在五影会谈中也不是没有“是否应该向民间广泛公布”的声音,但鉴于大筒木一族的真面目和目的尚未查明,为了避免无谓的混乱,还是不公开为好,这就是结论。佐助也同意这种看法。
所以,这个战后很快就叛离村子的男人,并不知道自己等人其实差一点被像外星人一样的存在夺走人格,变成战斗的道具。如果知道的话,也许会有不同的心情吧。
而佐助,也没有对眼前这个男人耐心解释一番的善心。佐助能看穿这个男人言语和行动中的矛盾。
「也就是说,面对宇智波斑和带土那样的威胁,如果无抵抗地屈服,你的父母和未婚妻就不会死了。就算变成自由意志被束缚的家畜,只要大家都活着就足够了。是这个意思吧」
佐助带着厌烦的语气,对一脸困惑地点头的男人说。
“是吗,所以你才反过来怨恨勇敢挺身而出、包括村子上层部在内、也是大战英雄的现任火影。……哼,真是令人作呕的歪理。这种度量,也配自称木叶忍者?把自己的软弱抛到一边,眼界还真是狭窄。你以为村子的上层部和大战的英雄们,身边就没有人遇害吗?受伤的不止你一个,谁都是一样豁出性命去守护的,守护你们如今拿来行骗的所谓尊严。”
在男子睁大眼睛仰望的注视下,佐助握住了刀柄。
“很遗憾,我理解不了你的心情。但我的同伴应该能理解。回到村子以后,你就照现在的劲头,到他面前去喊吧。他一定会真心同情你,大大地宠着你。因为他是个爱管闲事的家伙,顺便也会给你在木叶安排一个新的安身之处。”“刚才你从洗衣店老板那儿收到的钱。……不过,把各方听来的消息拼凑起来,有件奇怪的事——你们这半年来从富裕阶层偷来的钱总额,和反过来散给市井百姓的钱总额,似乎差了不少……这笔差额去哪儿了?”

萨斯凯冷冷地注视着沉默不语的男人。

也就是说,表面上打着义贼的旗号,实际上却把偷来的钱大部分都装进了自己的腰包,只是个手法高明的小偷罢了。

这种故事并不稀奇。就连在村外干了十几年类似警察工作的萨斯凯,也早已听腻了这类把戏。如今不会惊讶,只会感到荒唐。不可原谅的是,他们把第七代火影当作掩护。萨斯凯唯独不能原谅这一点。

「既然是恶党,就该有恶党的样子。偏偏要装出一副善人嘴脸,才会落得如此下场。…为什么盯上了火之国和木叶?」

「…不是我」

「你只是碰巧是木叶的叛忍,而盗贼团伙本身是各个村子的叛忍拼凑起来的吧?既然如此,你们本来也可以把其他国家的大名或村长当作目标。为什么选了火之国和木叶?」

「不是我啊!最先提出木叶的不是我!我、我这种人哪说得上话……是上层的,那家伙,我听说是他最先提出的…」

「是木叶隐村里的人吧」

萨克斯凯试探性地一问,对方愣住了。萨克斯凯几乎想咂舌,重复道。

「你们头目里,有在木叶搞间谍勾当的人吧」

「那、那个……? 怎、怎么…」

虽然不及审讯专家,但对方是在装傻还是真不知道,佐助不用写轮眼也大致能判断出来。

看来他是真不知道——刚做出这个判断,佐助便感到一阵泄气。如果那个内奸在组织内部都能隐藏身份,那追查到底的路恐怕还很长。

他心想,真想狠狠用上所有人脉,也狠狠用上写轮眼,挨个收集情报,快点把人抓到手。那是佐助最顺手的方式。粗暴、无情,问题解决得快,但事后只留下一片焦土。

然后,事后听说了来龙去脉的鸣人,站在烧焦的原野前,一脸为难地伫立着的身影浮现在眼前。想解释也无从说起,因为对方连骨头都不剩。鸣人稍稍回望这边,露出“真是你的作风啊”的困扰笑容——就连这一幕都在脑海中重演了一遍之后,佐助咽下了想采用粗暴手段的冲动。他对男人说:
「我带你回木叶」
男人抬头看了佐助几秒,随即嗤笑一声。
「要杀就杀啊」
「我要毫发无伤地带你回去。这是说好的」
「毫发无伤…?」
男人喉咙痉挛似地笑了笑。从地面仰望毫无感动地俯视着他的佐助。
「你想在里里审问我吧,可就算是我这种跑腿的,也拿不出什么像样的情报。派不上任何用场哦?」
「那种东西从一开始就没有期待过。想和你聊聊的怪人同伴有的是,是为了他」
「……你那只眼,是宇智波佐助吧。同伴,说的是七代目火影吗」
佐助点头后,男人觉得好笑似的,肩膀抖了抖。
“能蒙火影大人亲自垂询,真是受宠若惊啊。”
听了这语气,佐助对男人产生了些许兴趣。
“你为什么离开了村子?”
是啊,努力去理解对方很重要,这也是从鸣人那儿学到的。
男人像要吐出来似的说。
“在那场大战里失去了双亲和未婚妻。”
“……所以?”
“所以!你应该明白吧!战争什么的,不打不就好了吗!那么强的对手,如果不反抗的话被害就不会变得那么大!”
实际上,无限月读之后出现的大筒木辉夜的存在,并未广为人知地传遍忍界。那场战争的结局,能详细掌握的,即使在木叶隐村中也只有一部分人。
在五影会谈中也不是没有“应该让民间也广而知之”的呼声,但在大筒木这个存在的正体与目的尚未解明的现状下,为了避免无谓的混乱,结论还是不公开为妙。佐助也赞同这一想法。
因此,这个战后立刻叛离村子的男人,并不知道自己等人其实曾差点被人格都被那种像是外星人的存在夺走,成为战争道具的事实,也怪不得他。如果他知道了,也许会是不同于现在的心境。
而佐助并没有耐心向这个男人详细解释这一切。佐助看穿了这男人话语和行动之间的矛盾。
“也就是说,若是对宇智波斑、带土那样的威胁不加抵抗、屈从的话,你的父母和未婚妻就不会死了。即使变成自由意志都被束缚的家畜,只要大家都活着就足够了。你是这个意思吧。”
男人困惑地点了点头,佐助则以一副无语的表情说道。
“原来如此,所以你才反过来怨恨勇敢挺身而出、包括里上層部在内的大戰英雄——也就是现任火影。……真是一片忠心令人无语。这种度量连木叶忍者都不配自称。把自己的软弱抛在一边,眼界实在狭窄。你以为里上層部和大戰英雄那边,就完全没有自家人的牺牲吗?受伤的不只是你一个,谁都一样付出了代价。他们是用命在守护你们如今拿来当诈骗幌子的‘尊严’啊。”
在男人瞪大眼睛仰望他的面前,佐助握住刀柄。
“很遗憾,我无法理解你的心情。但我的同伴会理解的。回到村子后,你就照刚才那样去他面前嚎吧。他一定会真心同情你,好好宠你的。因为那家伙爱多管闲事,顺带还会为你在木叶找个新去处。”
“开什么玩笑……”
佐助没有理会男人,仿佛要将连接着的液体拽断似的离开了房间。

「那种玩意,不喝掉也没关系吧」
靠在走廊墙壁上的祭仰头看着瓶中的液体,皱起眉头。佐助一边走下台阶,一边冷淡地回应。
「大夫开的药。不喝的话,对身体不好」
「我可不想从你嘴里听到身体健康之类的话。我自己会看着办的,所以你能不能不把我当成你的东西来照顾?」
祭は持っていた瓶を軽く放り投げ、受け取ったサスケはふ、と小さく鼻で笑った。
代わりに祭は口を開く。
「じゃあ、あんたの体は、俺に面倒を見させてくれるのか?」
サスケは背中を向けて歩き出す。
「気が向いたらな」
「そりゃいい」
数歩の間をあけて祭は続いた。サスケの白い頬に、月明かりと古い街灯のオレンジ色の光が交差して落ちる。祭は影が交差するたびに視野の端を揺らめかせて、彼の背中を追った。
宿の前まで来るとサスケは足を止め、考え込むように何度か視線を彷徨わせてから言う。
「…テルテル坊主の場所は把握している」
「前回の場所か。次はいつだ」
「情報屋が、日を空けて様子を見に行くと言っていた。連絡を待つ」
テルテル坊主、とは偽の情報を流して他人の足元を掬うタイプの情報屋のことである。情報料の他に、後で事実と異なっていた分の割増料金を取る。高額をふっかけることもあるが、上がってくる情報の質はそれなりに確かだ。サスケ個人は気に入っていないが、必要になれば使わない手はない。
一軒の宿を取る。
そろりと障子を開けると、ナルトは縁側に座って、庭を眺めていた。
サスケは風呂を借りることにして、一足先に頭から湯を被る。どれだけ引っ張ったのか、すっかり冷めきってしまった風呂の残り湯だったが、長旅で蓄積した疲労と汚れが湯と一緒に流れていく心地がする。湯船から上がって拭いていると、入れ替わりで風呂に入っていったナルトの鼻歌が聞こえてくる。サスケは浴室のドアの向こうに向かって、鼻で笑う。
「銭湯か何かだと思ってるのか」
独り言を言い、それから旅館の備え付けの浴衣を手に取って体に巻き付けると、続いて思考を巡らせる。
木ノ葉の周辺は大戦を経て、火の国の中心地にもかかわらず、かつてないほど土地が荒廃している。ナルトは今、話を付けに行った先で、おそらくは理不尽な要求を並べ立てられて頭を抱えていることだろう。
湯切り場でわざわざ風呂を沸かして貰っている身分で、湯が熱いだの冷めたら嫌だの、そんな我儘はもう沢木には言わない、とサスケは思う。ナルトが湯船に浸かって、しばらく熱い湯を楽しんでから、不意に口を開く。
「こういう時、お前は何を考えてんの?」
突然の質問にサスケは髪を洗っていた手を止めた。
「…何かしながら話しかけられるのがお前は嫌いだって覚えたから、湯に浸かってから聞こうと思ってたのに。今、邪魔しちゃった?」
「いいや、終わったところだ。それで?」
「……サスケはさ、どういう基準で自分が守るべき人を選んでるんだろうって」
「そんなもの、考えたこともないな」
サスケが湯船の縁に肘をついて、風呂の湯に鼻まで浸かっている男を見下ろした。ナルトはちろりと目だけでこちらを窺うと、前を向き直る。
「だと思った。…オレはさ、小さいころからずっと思ってたんだけど、今、あらためて思うんだ」
一体何を今さら、とサスケは思う。ナルトは続ける。
「あの頃は里中の人に迷惑がられて、嫌われて、虐められてたから、そりゃあ里のことをよく思っちゃいなかったけど、憎んでたかって言うと、そうでもなかったんだ。…それはきっと、里が木ノ葉の里だからなんだと思うんだ。この里は、あたたけりゃ 木ノ葉」
サスケは黙ってナルトの話を聞く。
「たとえオレが悪魔の器って言われてても、里はオレを嫌いながらも、必要だって思ってるのが伝わってきたから。…木ノ葉にいると、ここが俺の居場所だって思えるんだよ」
「……」
「俺はオビトみたいにはならなかった。それに、長門みたいにもならなかった。そういう連中とオレが違ったのは、アンタとイルカ先生に出会えたことだと思っている。…なあ、サスケ、それで十分だと思わねぇか? 俺が今、ここにいるだけで、十分な答えになってると思わねぇか?」
サスケは考え込む。自分がここにいる理由を、今までも何度も、彼に聞かれたことがある。そのたびにサスケは明確な答えを返してこなかった。いや、返せなかった。自分でも自分が何を答えればいいのか分からなかった。
里へ、木ノ葉隠れの里へ、帰る場所があって、そこにはナルトがいて。
サスケが木ノ葉を出てからずっと、ナルトはサスケの何を見ていただろう。
サスケが地の底へ落ちても、沈んでも、手を伸ばして繋ぎとめてくれた。 独りよがりをやめて帰ってこいと、何度も何度も自分を呼び戻してくれた。サスケを夜天に輝く星へと押し上げた根底の熱は、最初からナルトが燃やしていたものだ。
そのナルトに、サスケは何かを返せただろうか。
たとえようのない気持ちが胸に去来する。サスケは小さく息を吐いた。
男に背を向けて歩き出す。
「帰るぞ」
何が何だか分からないと言いたげな顔で男はサスケを見上げていたが、やがて大人しく、地面に転がった自分のボロ外套を拾うと立ち上がった。
無言のままの帰路は淡々と進む。行きも帰りも高速移動のために時間はかからない。サスケが男を連れて木ノ葉の門をくぐったのは、朝の七時を少し回った頃である。結果から言うとこの男を連れ帰ったのは、正しい判断だった。
この男が戻ってきた、という知らせを受けたナルトは、いつものように満面の笑みを浮かべて出迎えてくれたからである。
***
彼はサスケの前で土下座をしていた。
もちろん、男ではない。ナルトだ。ご近所に聞こえるような大声で、火影室にいるナルトがなんと謝っているのかを叫んでいる。
「ごめんなさい! うちのチョウジとシカマルが足を引っ張ってすみませんでした!」
「チョウジとシカマルはお前の管轄じゃないだろうが」
サスケの心の中で、男はまた一つ評価を変えた。
……ナルトもチョウジもシカマルも、かつてはサスケの大切な友だった。だから今でも彼らのことを嫌いなわけではない。けれど、あの頃からこっち、あの三人を、親しい友人や道連れという形容は、少しずつ正しくなくなってきている、とサスケは思う。木ノ葉の里を、いやこの世界を背負って立つ立場が、人をそうさせるのか。単純に歳と経験を重ねたからか。
まあ、いずれにせよ火影であるナルトの指示ならば、部下であるサスケが従うまでのことだ。とはいえ、彼がぜひと言って聞かなかった相手の顔を思い浮かべると、これだけ手間をかけてから連れて帰るのに、全く手応えの無い、値千金とは程遠いこの男は何なのだろう、と盛大に溜息を吐きたくなる。
ちなみにその人物というのが、うちはサスケの正体が明らかになってから日が浅い忍であり、サスケのことを“兄さま”と呼ぶことを頑なにやめなかった男だ。彼はどちらかというとサスケに厳しい方で、サスケも彼に対して手厳しい。気安い関係ではないが、サスケは彼と仕事をするのは嫌いではない。里のために働く。はたから見れば目的も素性も謎すぎる暗部みたいな二人であるが、彼ら自身は互いの距離感を悪くないものだと思っている。
根の里…暗部養成機関を起源に持つ“根”は、木ノ葉隠れの里で暗部とは別に組織されてきた暗部養成機関だ。かつては志村ダンゾウという強権的な指導者が頂点に君臨していた。今はどうなっているのか、サスケは組織の内部事情に明るくない。けれども里が変わるにあたって、ダンゾウに心服していた者たちが悪さを働いたという後日談は聞いたことがある。サスケが組織について知っているのはそれくらいだ。
サスケが帰還すると、木ノ葉の門の前にラバースーツに身を包んだヤマトがいた。落ち着いた飴色のラバーが彼の端正な顔立ちによく似合っている。サスケから事情を聞いたヤマトは無表情のまま頷いた。
「なるほど。これは、大変だな」
「手伝ってくれるか」
「人探しならお手の物だ。サスケくんと組むのは何年ぶりだろうな」
「……では、手筈を整える」
踵を返すサスケの背中へ、ヤマトが声をかける。
「サスケ」
足を止めて振り返る。
「…アンタがじきじきにやることはねェと思うが、その線が濃厚だと思ったら迷わずやれ。あるいは、おれがやる」
「アンタが?」
「俺の生まれは木ノ葉の暗部だ。火影の暗殺だって前提の任務だって遂行してきた。何をやるにしても、忍としての後悔はない。…これまでやってきたことは全部、ナルト君のためだ。ナルト君のためなら、俺は火の国を、木ノ葉を捨ててでも罪を被る」
そういう男の横顔を、サスケは何も言わずに見つめていた。
安堵と焦燥がない混ぜになったような顔だった。自分の手を血で汚すのは久しいが、それが必要とされるならためらわない、という覚悟と。恋焦がれるほどに敬愛するあの阿呆を、これ以上悲しませたくないという、私情が滲んでいた。
サスケは何も言わない。二人の間に流れる沈黙は、サスケには気楽なものであったが、男には重いものらしかった。男は居たたまれなさに鼻を鳴らし、続けて自分から話し出す。
「……あんた、辛気臭ぇ顔してんな。何考えてんだ?」
「義務だと思ってる。里のために動くのが、俺の贖罪だと思っている」
「贖罪…って」
男の顔が、いっそう曇った。けれどもサスケが具体的に何をしたのかまでは知らないようだった。知らないならそれでいい。サスケは話を打ち切ることにした。
「アンタには関係のないことだ。お前はこれから、そっちの道の人間になるんだ」
よほど居心地が悪いのか、男はサスケの後ろを歩きながらしきりに後ろを気にしている。逃げようとでも思っているのか、それとも見張りがいないことに落ち着かないのか。何にせよ、警戒は怠らないに越したことはない。
連れ立って歩く道すがら、男は足を止めながら行く手を遮るように、自らの言い分を弁護し始めた。やはり自分は間違っていない、世の中の方がおかしい。火の国は豊かだ。豊かなのに、格差は広がる一方で貧乏人はいつまでたっても這い上がれない。そういう不条理をぶち壊すことが義賊の務めだ、と。
「…アンタさ、本当に木ノ葉に愛着とかあるか?」
「は?」
「無いんだろうな。木ノ葉で育てられた忍の言葉とは思えねぇ。まァ、怒りに駆られて出て行った奴らが、得てしてそんなもんだ。他人のせいにするしかできなくなったお前の心は、もう何も見ちゃいないぜ」
サスケの言葉に男がキッと睨んでくる。少し前まで、己の不条理を一方的にまくし立てていた時よりは、相応にマシな目をしている。
「そういうお前は、木ノ葉を出ておいて今さら戻ってきたんだろうが」
「ああ、戻ってきた。オレは帰る場所がある。お前と違ってな」
それに、とサスケは続ける。
「オレはあんたみたいな自己欺瞞を人にぶつけるタイプじゃないんでな。自分の信念と行動の矛盾に気づいてもなお、知らぬ顔を貫くお前の器の大きさには感心するよ」
男は何も言えずにサスケをにらみつけていたが、やがて肩を落とすと、一度だけ笑い、うつむいた。
サスケは地面に突き刺さった刀を抜いた。鞘に収めて、数歩離れた男に目を向ける。覇気が失せた顔をしていた。
「アンタを木ノ葉に連れて行く。観念しろ。…どうせアンタは俺のことは嫌いだろうし、そのアンタの感情は死ぬまで変わることはないだろうが、手荒な真似はしない。それを知った上で生きていけ」
ぞっとするほど冷たい口調だった。男は何か言いたげに唇を震わせたが、やがてぐったりとうなだれた。サスケは近くに立っている木の幹にもたれかかり、男が始末を終えるのを待った。
(…まぁ、こういうことはそうそうない。ナルトも大概こういう話は聞き慣れている。根が真面目だから、時々腹を下すこともあるが、俺たちは互いを、理解できないからこそ、信頼してやれるのだ)
理解は信頼に先立たない。
それでいいと思っている。こんな話を、サスケはもう何度も何度も自分に言い聞かせてきた。
やがて男はゆっくりと手を挙げ、降参のポーズを取った。サスケは備えていた縄で後ろ手にきつく縛り上げ、立ち上がらせる。木ノ葉への帰還を思う。またあの騒がしい里に戻るのか。
ナルトに宛てる報告書の文章を頭の中で考えながら、サスケは地面に転がっていた土産を拾い上げた。すっかり固まってしまったそれは、やすらかに土に還りたまえと軽く手を合わせてから、外套の内側に仕舞った。

(第32話 了)“刚才你从洗衣店老板那里收的钱就是这个吧。……不过,把从各处听来的消息拼凑起来,有件奇怪的事——你们这半年来从富人那里偷来的钱总额,和反过来散给市井百姓的钱总额,好像差了不少……那笔差额去哪了?”

佐助冷冷地瞪着闭口不言的男人。

也就是说,表面上打着义贼的旗号,实际上却把偷来的钱大半都揣进了自己腰包,只是个手法高明的恶党罢了。

这种故事并不稀奇。佐助在村外做着类似警察的差事已经十多年了,这种把戏早就听得快腻了。现在也不会吃惊。只是觉得可鄙。不可原谅的是,拿第七代火影当作挡箭牌。佐助唯独这件事无法原谅。

“既然是恶党,老老实实当你的恶党不就好了,偏要装出一副善人嘴脸,所以才落得这般下场。……为什么盯上火之国和木叶?”

“……不是我。”

“听说你只是偶然成了木叶的叛忍,而那个盗窃团伙本身就是各忍村的叛忍拼凑起来的。既然如此,你们本来也可以去抢其他国家的诸侯或忍村首领吧?为什么偏偏选火之国和木叶?”

“不是我!最初提出木叶的不是我!我、我这种人说话哪里管用啊……是上层的,那个家伙,我听说最开始是他提出来的……”

“是木叶隐村里的人吧。”

试着诈了一下,对方愣住了。佐助按捺着想咂嘴的心情重复道。
「你们头目里面,应该有个人在木叶搞间谍勾当吧?」
「那...欸? 怎、么会...」
虽然没有审讯专家那么厉害,但对方是在装傻还是真不知道,佐助不用写轮眼也大致看得出来。
看来他是真不知道,佐助有些蔫了。如果那个内奸即使在同一个组织里也能隐藏身份,那要把他揪出来还有很长的路要走。
他心想,真想大刀阔斧地动用所有人脉,狠狠用写轮眼,四处搜集情报,尽快把这家伙抓住。那是佐助最擅长的方式。粗暴、无情,问题虽然解决得快,但事后只会留下一片焦土。
然后他眼前浮现出事后听说了情况的鸣人,站在烧毁的原野前,为难地伫立的身影。想说话,可连对方的尸骨都不剩。甚至鸣人微微回过头来,带着困扰的微笑说“真像你会干的事”的模样,也在脑海里重现了。佐助咽下想要采取粗暴手段的冲动,对男人说道:
“我要把你带回木叶。”
男人抬头看了佐助几秒,随即嗤笑一声。
“要杀就杀吧。”
“我要毫发无伤地带你回去。这是约定。”
“毫发无伤……?”
男人喉咙痉挛似的笑了几声。从地面仰视着面无表情俯瞰自己的佐助。
“你打算在村里审问我吧。可就算抓我这种跑腿的回去,也拿不到什么像样的情报。派不上任何用场哦?”
“那种事从一开始就没指望。想和你谈谈的怪人倒是有一个,是我带来的同伴,为了他才带你回去。”
“……你,那双眼睛,是宇智波佐助吧。同伴,是说七代目火影吗”
佐助一点头,男人就好笑似地肩膀颤动。
“火影大人亲自跟我说话,真是荣幸啊”
那说法让佐助对男人稍微起了点兴趣。
“……你,为什么离开村子?”
没错,努力去互相理解是很重要的,这也是从鸣人那里学到的东西。
男人像要唾弃似地说。
“上一次大战中失去了父母和未婚妻”
“……所以?”
“所以、你应该懂吧!战争什么的,不打不就好了吗!那种强敌,不去反抗的话就不会有那么大的损失了!”
实际上,无限月读之后出现的大筒木辉夜的存在,并不广为人知。那场战争的结局,就连木叶隐村中,也只有一部分人完全掌握。
五影会谈中也不是没人提出过应该让民间都知道,但在大筒木一族的身份与目的尚未解明的现状下,为了避免无谓的混乱,結論是刻意不公开比较好。佐助也同意这个看法。
所以,这个男人在战后不久就叛离村子,并不知道其实他们曾被疑似外星人的存在夺走人格、甚至差点被当作战斗的道具,也情有可原。如果知道的话,也许他现在的心情会有所不同。
而佐助并没有耐心向这个男人仔细解释这些。佐助能清楚地看穿这个男人诉求与行为的矛盾之处。
「也就是说,面对宇智波斑和带土那样的威胁,如果无抵抗地屈服,父母和婚约者就不会死。就算变成了自由意志被束缚的家畜,只要大家都活着就好。是这个意思吧」
面对困惑地点头的男人,佐助带着嫌恶的声音说:
「原来如此,所以你反过来怨恨勇敢迎战的、包括村子上层部在内的、大战的英雄现任火影,是吧?……真是令人感叹的情义。这种狭隘,根本不配自称木叶忍者。把自己的软弱推给别人,眼界实在太窄了。你以为村子的上层部和大战英雄那边,就完全没有自家人遇害吗?受伤的不只你一个,所有人都一样。他们是用性命去守护的,就是你们现在拿来当诈骗借口的所谓尊严。」
在目瞪口呆仰望着他的男人面前,佐助握住了刀柄。
「很遗憾,我无法理解你的心情。但是,我的搭档应该能理解。回村子后,你也用现在的腔调在他面前嚷嚷吧。他一定会真心同情你,大大地宠着你。因为他爱管闲事,顺便也会给你在木叶找个新位置。」
男人仰望了佐助几秒,随后嗤笑一声。
「要杀就杀吧。」
「我要
鸣人罕见地欲言又止,鹿丸觉得有些意外。他带着询问的目光打量着鸣人,鸣人看了看时钟,开始坐立不安起来。

鹿丸不动声色地观察了一下办公桌周围。公务繁忙的第七代火影的“本日期限”截止时间是午夜十二点,平时这个时候,他应该正埋头处理当天期限的文件。

然而今天,期限的文件已经整整齐齐地盖好章叠放在一旁。平时散落在桌上的杯面残渣、留着层层褐色咖啡渍的马克杯,也全都被收拾干净了。什么情况什么情况,

“约会去啊?”

鹿丸坏笑着点破,鸣人明显僵住了。
“不、不是!”
那反应和当初跟雏田开始交往时一模一样。真好啊,鹿丸心想。能跟媳妇永远保持恋爱氛围真好……我家那位,有了孩子之后那种气氛就跟霞一样消散了。
想起恋爱时可爱的手鞠,鹿丸正感慨着,远处忍者学校方向传来六点的铃声,隐约可闻。同时,火影室的门开了。时间掐得刚刚好,看来那边也盼着来呢。他这么想着,预想中会看到一位娇小女性,然而转头望去的方向,却站着一个全身漆黑的高个子男人,鹿丸被烟呛了一下。
「到点了。」
佐助惜字如金地说了这一句。
鸣人脸上顿时绽放出喜色,笑眯眯地小跑向佐助。简直就像一只深爱主人的忠犬。鹿丸在旁边看着,心想这到底谁才是主子啊。
「佐助!你果然还是超厉害的说!」
「……哪里?」
「那个义贼!抓到了,」
「不过是一个堕落成叛忍的中忍,抓到他算不上什么大事」
「可是!可是!」
鸣人一在佐助面前就会变回刚当下忍时的小孩子模样,这一点鹿丸也注意到了。佐助那边则完全看不透。不论现在还是从前,几乎都是一张岿然不动的扑克脸。就算是这样一张扑克脸,只要五官端正,女人们就会评价为帅。
男人长得帅这种事真不公平,鹿丸在心里不知第几次这么想时,那张帅气的扑克脸转向了他。
「火影借我一下」
「…好嘞」
「不出村子」
「行行行」
说完佐助就转身了。像是在守护雀跃不已的火影一样,落后半步跟着。鸣人这边,从佐助来迎接的那一瞬间起似乎就忘了参谋的存在,平时下班时都会说的,辛苦了,明天见,今天连这样的招呼,鹿丸也没能收到。
算了,也罢。鹿丸一个人寂寞地抽着烟。

“去哪儿?”
“到了再告诉你。”
“我不知道的店?木叶的店我基本都知道的说。”
“所以说了,到了再告诉你。”
这样的对话重复了几次,两人并肩走在村子里。理所当然地,两人,特别是鸣人,整村居民都认识他们的脸。现在也是,每次与人擦肩而过都会得到一两句问候。街上人多眼杂,不能像上次那样牵手,但两人同行时,大家都知道他们是老朋友,所以走起来很方便。
这要是男女关系就不是这样了吧,鸣人想。他切身体会到了世间偷情男女为何要避人耳目地幽会。虽然之前还为了是不是同性恋而烦恼,但也许并非只有坏事。
他瞥了一眼佐助。
“……干嘛?”
眼角余光对上目光,鸣人轻轻摇了摇头。移开视线,望向前方。
“没什么。”
又有人从旁边跟他打招呼。鸣人嘴角含笑转向那边,以村长的风范和蔼地回应。佐助察觉到,那张侧脸上已经看不到前几天见面时曾见到的阴沉影子,看来最难熬的时期已经过去了。
虽然只抓到一个义贼的小喽啰,根本还没解决任何问题,但鸣人若能重拾开朗,佐助便觉得可以了。
里の住民らにひっきりなしに声をかけられるのも、足を進めるうちにまばらになってきた。人影そのものが少ない郊外にたどり着く。この辺りは旧家の傍流が屋敷を構える一角で、かつて日向の分家もここに住んでいた。どの家屋もどっしりとした門構えと深い庭木の奥に隠れていて、碁盤目状に通る道すら白く汚れひとつなく瀟洒で凹凸がほとんどない。
ナルトはきょろきょろと視線を動かす。
「んなとこに、店なんてあんのか...?」
もし本当にあるのなら、里のすべてを知っていると自負していたが、改めないといけないかもしれない。
サスケは隣で黙っている。思った通りナルトは里の暗い側面をあまり知らない。日向は妻の実家なのだからよく知っているだろうし、うちは一族に関しては自分のことがあるから理解が深いが、ほか細々とした裏側の事情には疎い。周りも、あえて教えてこなかったのだろう。
竹林に覆われる山の麓に、木材で作られた扉が見えて来る。扉の向こうには山を登る階段が続いており、一見すると神社仏閣の参道に思える。腰までの扉を潜りながらナルトも同じことを訊いてくる。
「これって寺かなんかの道じゃねぇの?」
すみずみまで拭き清められている木の階段は、佇む年月を語るかのように段の角が丸く、ちょうど踏みつけられる中央部が擦れて微妙にくぼみ、色が褪せている。
古い木材特有の丸く柔らかい甘い匂いに、ほのかに人工的なかぐわしい香りが混じる。ナルトはすんと鼻を鳴らして、階段の果てで、何か香が焚かれていると推測した。
先を行く男に訊く。
「なぁサスケ、ここって、何?」
サスケは肩越しに親友をちょっとだけ振り返った。
「安心しろ、ちゃんと食い物を出す店だ」
ここは抱かせて吐かせる場所である。
かつて他里との戦に明け暮れていた昔、この里とて取っていたのは正攻法ばかりではなかった。騙し騙されが常習、出し抜くためには数々の暗躍を重ね、必要とあらば相手の弱みを握り、腹の内を探り、秘匿された情報を吐かせることなど、いくらでもやってきた。捕えた忍の尋問は、暗号班の管轄と相場が決まっていたが、非協力的な相手や面倒な奴等は表に出す前にじっくりと煮込んでから尋問に臨んでいた。
『たっぷりと愛でて、とことん絞り上げる』。
拷問の際の心得として昔からこの一節が語り継がれている場所、それがこの庵である。その名も『愛絞り屋』。今はサスケの私物であり、文字通り女を抱いて情報を吐かせる風紀取り締まりの隠れ家として使われている。今は、というのは表向きの形態のことだ。
元々は、お抱えのくノ一に依頼内容の情報や機密事項を記憶させるための特訓施設でもあった。忍者はどうしても情報を漏らしてしまいがちな方法―口に出すこと、紙に書くこと、あるいはーーその他の方法で情報を奪取するための拷問施設だったのだ。
何しろ忍は拷問で口を割らないように訓練される。拷問に耐え抜くことを是とする彼らに、痛めつけても吐かせることはできなかった。そこで発想を逆転させたのだ。つまり、いわば“快楽の拷問”である。
男に抱かせ、女に抱かせ、身体の快楽に快楽を重ねて思考を蕩けさせ、果てにうっかり口を割る。人間の身体は快楽に脆い。裏を返せば、それだけ忍者が耐え忍ぶ拷問の訓練を積んでいるのは拷問の痛みに対してであり、快楽に弱いのはある意味当然の帰結であった。彼らは満足するまで抱き、満足するまで吐かせる。それだけの施設である。

竹の欄干が設えられた階段を登り切ると、今度は石畳の平坦な道が続いている。左右にはこんもりと繁った植え込みが道を隠すように生い茂り、石畳の道は適度に曲がりくねって、先を見通せない。
サスケはあっさりと大ぶりな石の階段を上がり、植え込みに沿って歩く。ナルトも遅れないよう続く。少しして石畳の尽きた先、手入れの行き届いた庭が見える。白い小石が几帳面に敷き詰められ、奥には離れのように小ぢんまりと纏まった数寄屋造りの建物があった。
サスケは玄関の引戸を開けて中に入った。ナルトもそれに続く。
裸電球の淡い灯りが内部を照らしている。間接照明の、電球の光をそのまま晒すカバーなしの灯具が等間隔で天井に並ぶ。それだけで閉鎖的な空間がすこし殺伐とした印象を与えていた。数寄屋造りの粋や優美さはここにはない。木の温もりもなければ、畳の匂いもしない。そこは古くて新しい、いわばコンクリートで作られた簡素な造りの洋館だった。
「広いな」
ナルトがぽつりと言う。
壁に沿って真っ直ぐにカウンターがあり、ガラスの向こうには酒類がずらりと並ぶ。しかし酒を飲みに来た客も、木の温もりを感じに来た客もこの店にはいない。どの客も真っ直ぐに奥の扉を目指して歩いていく。男ばかりだ。
サスケは軽やかな足音で古びたカウンターへと向かう。カウンターの中年の男と何か言葉を交わすと、男は能面のような顔をほんの少しだけ綻ばせた。どうやら店員はサスケの顔を覚えているらしい。カウンター越しに差し出されたものは、木札の束だった。サスケは二枚受け取ると、奥の扉へ続く通路の手前にいる角材のような男に一枚を手渡し、残りをナルトに寄越した。
「は?」
「時間だ」
サスケに続いてナルトも奥へ入る。角材のような男は、体格こそ大きいものの色白で、いかにも軟弱そうに見える。こんなので本当に客の取り締まりが務まるのかと疑問を抱くものの、なぜか木札を見せた瞬間、びくりと怯えた様子を見せるのをナルトは見逃さなかった。
声を潜めてサスケに訊く。
「オレたちゃ、こんなとこ、入っていいんだよな?」
「金さえ払えば誰でも入れる」
あっさり言うからにはサスケは何度か来たことがあるのだろう。それとも――ここがどういう場所か、言葉を選んでいるのか。
木札は廊下の先にある扉の前で使うらしく、サスケは半分ほど開いた扉の隙間から、二人分の人間がやっと入れるほどの狭い薄暗い小部屋へ滑り込んだ。ナルトが続いて中に入ると、隅に低い衝立が立ててあり、すのこの上に粗末な木の机と座布団が二つ、そして壁際には背の高い狭い木箱がある。古い木の匂いのなかに線香のような匂いが混じる。ぼうっと淡い明かりで、薄暗い。
サスケは木箱の前に行くと、その中の一つに手を伸ばし、備えてあった酒器一式を木箱の上に取り出した。木箱は酒を冷やしておく箱だったらしく、中に氷が入っている。四合瓶、栓を抜いて二つのぐい呑みに等分に注ぐ。
「飲めるな」
「うん」
素面のサスケが自ら飲みに誘うことは初めてだ。ナルトは反射的に酒を受け取った。
「乾杯ってやつ?」
「…乾杯ってやつだな」
サスケが乾杯の音頭を取るというのも初めてなら、乾杯という行為そのものが互いに初めてな気がする。石の腰掛けに座り、手に持った盃を軽くぶつけ合わせる。からん、と軽い音がした。
「うまい」
「こりゃうまいってばよ。何、この酒? え、何? 米ん酒?」
「…そんなことはどうでもいい。飲める口かどうか聞いてるんだ」
「どっちもだけどよ。なんかうまいし、くせぇ」
「だろう。お前はこっちの方がいい」
サスケは自分の盃をナルトの側に差し出した。ナルトはきょとんと首を傾げる。
「こっちって?」
「俺が飲んでた酒」
「ふうん...」
おずおずと、差し出された盃に自分の手の酒を注ぐ。サスケは何も言わない。心なしかサスケの目が細くなって、口元が柔らかく綻んだ。
ナルトは注いだ酒を一口含んで、
「ぅ、甘い...?」
「清酒は甘いのが多い」
「これもうまいってばよ。なんつーか、オレ好み」
「だろうな」
サスケの淡泊な応答に、ナルトは改めて二人の馴染みの店の違いについて考え始めた。木ノ葉で牛丼チェーン店なら全店制覇したし、焼き鳥だって、お気に入りの店が三軒はある。だがそういえば最近、こういった大人の店に来る機会は、妻のヒナタに連れられて来るお高めの小料理屋ぐらいのものだ。もっぱら家か、一楽か、サスケの実家か、ぐらいしか行かない。
サスケは何を考えているのか、古い階段を一段一段しっかりと踏みしめて上がっていく。隣に並ぶナルトもつられてゆっくりと進む。これはこれで楽しい。
ほどなくして階段が終わって、目の前に古い和風の家屋が現れる。月見台のような木製のテラスには簡素な木の柵が設けられている。テラスに据えられた長椅子に何人か、外国人観光客らしき人々が腰掛けている。きょろきょろと周囲を見回しているところを見ると、ガイドか何かで連れてこられたのだろう。
先ほどサスケが言った『ちゃんと食い物を出す店』という言葉を思い出し、ナルトはなるほど、と呟いた。
「観光客向けの店か?」
サスケは答えず、店の扉を開いた。
店内は照明が落とされ、薄暗かった。古い木造の造りの建物に、薪ストーブで暖を取る昔ながらの作りである。昼時は他里からの観光客で賑わいを見せるそうだが、今は夕暮れもとっくに過ぎた時間だ。先客はまばらで、客層は落ち着いた大人の男女ばかりである。
格子の向こうには厨房の灯り。注文が入るたび、油の跳ねる軽やかな音が聞こえてくる。
店員に案内された座敷は、一番奥の風流な小座敷だった。サスケが先に座り、向かいにナルトが座る。座敷机の中央には小ぶりな器に水が張られ、一輪、花が活けてある。
「ほら」
サスケは卓上の紙に書かれたメニューを、どんと一枚、ナルトに差し出す。
ナルトが恐る恐るそれを受け取って、まずは一枚めくってみる。木ノ葉の一般食堂ではほとんど見られないような料理の名前がずらりと並んでいた。最初の一頁を見て、ナルトはページをめくる手を止めた。微かに眉根が寄る。サスケが、すかさず訊いてくる。
「なにか問題でもあるか」
「ちがっ、そ、そうじゃねーけど」
「ならいい」
サスケは手元の湯呑みへと視線を戻す。そこには何の変哲もない、緑茶が入っている。
ナルトはひとまず、サスケに倣ってお茶を啜った。一口含むと、飲み込む前から、口の中にさらりと甘味が拡がる。ほうじ茶の香ばしい、それでいてほっこりする香味だ。 木の葉では珍しい味だが、好きな味だとナルトは思う。
「どうだ」
「うん。うまい」
会話はそこで途切れた。サスケが喋る男ではないとはいえ、ナルトはナルトで何と言えばいいのかわからない。
聞きたいことは山ほどある。義賊のことは、詳しい話を聞けていない。スパイ組織の一人である、という話は聞いた。そんな危ないことをしているのかと心配にもなるが、この男は、少年期から危ない場所に一人で突っ込んでいっていた男である。いまさら何か言ったところでどうにもならない。
サスケは何も言わずに正面を向いたまま階段を上り続ける。ナルトも黙って付いていく。深呼吸を繰り返すせいか、息が少し上がった。

お堂というにはこじんまりとした木造の建物は、軒下に小さな木札がかかっている。サスケは慣れた様子で木札をくぐる。ナルトは立て札を振り返って眺めてから、あわててその背中を追った。木札には漆で、こう書いてあった。

『くノ一専門、抱かせて吐かせる店・極楽荘』


店の中は静かだった。民家の一階を改装して店にしているようだ。縁側に面した座敷は、床の間を除けば座卓が四つほど並べられているだけで、いわゆる隠れ家という風情が醸し出されている。こぢんまりとしているが、畳の縁はうるさいほど鮮やかな緑で統一され、障子紙には木ノ葉隠れの里の紋所がふんだんにあしらわれて、ただの店ではない高貴な後ろ盾を感じさせる。
壁の掛け軸には木ノ葉隠れの里の初代から当代までの歴代火影の姿が描かれている。中でも初代が大きく中央に飾られていた。
先代たちの、険しい或いは柔和な、あるいは冷笑の表情を浮かべる肖像画を眺めつつナルトは呟く。
「火影室もこんなふうに掛けてくれたらよかったのによぉ」
「お前、何言ってるんだ」
サスケに驚いた顔をされる。火影室に現職の肖像画が飾られることはあり得ない。自分で言っておいてナルトも、ははは、と軽く笑った。
「なぁ、サスケ。ここで何をする気だ?」
やはり今日のサスケは様子がおかしい。夕食に誘ったと言う割には、案内された先は料亭でも新しくできた洒落たカフェでもない。ナルトの知らない路地裏の店というわけでもなく、山ん中である。店主がいて、食べ物が出てくる店だと言うが、麓から見た限りでは店らしきものはどこにも見当たらない。
もしかして自分たちの他に先客か何かがいるのか、と視線を動かすが、遠くからかすかに機械の唸る音が聞こえるほかは何もない。この山の向こうに研究所でもあるのだろうか。近くに人里はないが、人の気配がないわけではない。
山の中腹に続く道は竹で編んだ繊維が幾重にも重ねられている。竹を編んで作られた道は歩くと沈み込むので、歩き心地がふかふかして面白い。だが日向家を訪れた時に比べると、敷かれた竹の枚数は少ない。これは緑豊かで山の斜面を覆う低木の保護のための足場だろう。定期的に補修されているのか、丸い竹は古いが破損はほとんど見当たらない。
道は竹林の奥へ進むに従って、人工的な香りを強くしていく。やがて、これまで見たような瀟洒で白い石畳に変わった。
サスケはそこで足を止めると、無造作に一つの扉を開けた。中からは甘い香りがふわりと漂ってくる。ナルトの鼻を、心地よいその匂いが満たした。
「ここだ」
促されて中に入ると、すぐ先に床几があって、まず腰を落とした。
「ここ、何て店?」
「…茶屋だ」
中は薄暗い。時刻はまだ十七時で、陽の高いうちだが、建物は外光を取り入れない造りらしく、裸電球がいくつかぼうっと灯るだけである。
昼なお暗き、という言葉はまさにこのことか、と思う。 ナルトは戸口の先に広がる空間をぐるりと見渡した。店の中は六席、ほかには誰もいない。奥まった場所には格子の木戸がある。かつては賽銭箱でも置かれていたのだろうか、据え付けの木箱に薄いほこりがうっすらと乗っている。
その賽銭箱を背にして、座って待っていた男が立ち上がる。
「おう、来たな」
室長の鎌倉だ。仕事着のラバーコートを着ている。やはり仕事終わりの直行であるらしい。
サスケは小さく会釈して、二つある座敷のうち片方に入った。中は広くはない。四畳半の部屋にちゃぶ台が一脚、壁際には年代物の作り付けの戸棚が据えられている。サスケは座卓の前に座り、ナルトも同じように座る。
カマクラは湯呑み茶碗が二つ載った盆を持って、二人の間、部屋の中央にちょこんと座った。三人は三角形の座り方になる。盆の上には二つの湯呑み。しかしここに居るのは三人。つまり、サスケとナルトの二人分しか用意されていない。
カマクラは、眤眤に三つ目の湯呑みを自分用に持って来た。
サスケはそれを見て眇める。
「どういうことだ」
「内輪の話は、茶でも飲みながらがいいかと思いまして。なに、秘中の秘ってやつですよ。…最愛の友にまで隠してることは知ってますが」
カマクラは含みのある笑みを浮かべる。サスケは無表情のまま親友を隣に置いて、顎で奥の座敷を指す。
「上がれ」
「おう」
先に立ってサスケが進むと、続いてナルトもずかずかと上がり込んでいく。
入れ替わるようにして玄関にぽつんと残されたシカマルが、わずかに、しまった、と思う。口元に手を当てて、何かを思案している。ナルトの下忍時代の教え導き手であり、七代目火影の補佐役である奈良シカマルは、まさか自分が『そういう』場所に呼び止められるとは思っていなかったのだ。

またあの変な夢だ。
久しぶりに見るそれに、ナルトは驚かされる。ここは、オレが一番好きなオレの家の中。室内には真新しい家具が、ぴかぴかに磨かれた廊下に明るい陽射しが、庭には色とりどりの花が咲き乱れている。
日向ヒナタが玄関で出迎えてくれて、ただいまと言うと嬉しそうに笑って、おかえりなさい、あなた、と抱きついてくる。おかえりの言葉とひなたの体温が沁みる。
台所からは汁物のいい匂いが漂い、ダイニングテーブルには出来立ての料理が並んでいる。食卓にはひなただ。
だけど、今日のナルトの興味は食卓にはなく、テーブルの上に飾られた一枚の写真に釘付けになっていた。覗き込んでみる。自分と、ヒナタと、ボルトと、ヒマワリ。みんなが写る七五三の写真だ。
おかしいな。いつもは、こんな写真、なかったのに。
……俺、この写真、知ってるぞ。
その瞬間、自分が今夢を見ているのだと気がついた。ナルトは奥歯を噛み締めた。ここを断ち切らなければまた、あの場所に戻ってしまう。
このパターンは見覚えがある。かつて玖辛奈が世を去った後、サスケと向かい合った夜、この夢を見てナルトは必死にサスケへ助けを求めた。しかしサスケはあろうことか、自分に触れようとしなかった。本当ならあの時に、言うべきだったのかもしれない。
いつもそうだ。
ナルトは瞼をぎゅっと閉じた。
あの日もそうだった。
重い瞼をゆっくりと開ける。視界いっぱいに広がる夜空、遠くに何かが見えた。サスケが月の出ている方角にいた。すぐに手を伸ばせば届く距離。その背は苦しげに震えていて、サスケが泣いているのを、ナルトは見てしまったことがある。
しまった、と思った。声をかけるべきではなかった。怒られる、と覚悟した。
が、怒られるどころか、振り返ったサスケの顔は、あれは、すごい形相だった。いまにも凶器を振り回して誰かを殺しにかかりそうな、すさまじい表情。
『…お前で、最後にする』
あの、眼。あれはきっと、これから先、何年経っても忘れないだろう。
真っ黒な瞳。自分を許さないと固く決意している、孤独と苦しみにまみれた魂の色。
あんな目を二度とサスケに向けさせてはならないとナルトは思う。
サスケを視界に収めながら、なつかしい記憶を反芻する。連れ立って歩く姿が、子どもだったあの日々と重なる。出会ったばかりの頃は、目つきの悪いガキが、同じ小隊の仲間というやつか、と邪険にしていたのに。
昔のことを、サスケと二人で話すことはない。彼は昔語りをしないし、自分もあまりしない。けれど、記憶の彼方に沈んでいた光景がこうして何気なく目の前に立ち上がってくる。横にいる男の背中はあの日と比べ物にならないくらい大きくなって、自分も変わった。
ナルトは目の前を歩くサスケの背中を、声をかけることなく見つめていた。
サスケが突然足を止めた。
「…着いた」
見上げると、そこはこじんまりとした、古い和風の店構えだった。
木の趣を生かした落ち着いた暖簾の色合いは藍色に近い。暗い群青色の暖簾には、白い文字で小さく何か書いてある。ナルトは首をかしげた。
「あん?」
読めない。確実に日本語なのに、どうして読めないのかわからない。
「なぁ、これ、なんて書いてあんの? オレ、読めなくて」
「『錠』だ」
「じょ...?」
「鍵」
ナルトは何のことかさっぱりわからないと眉を寄せた。
サスケが手を掛けるより早く、暖簾をくぐって中に入る。小ぢんまりとした店だ。木と土で造られたこぢんまりとした店内には、テーブルが三つ。小上がりが二つ。カウンターが七席。天井が高く、広々としているのに、ほかにおらず、ひどく静かだ。カウンターの中に中年の女将が一人だけ立っている。
肌は浅黒く、髪を後ろでひとつに束ねている。目は異国の風を色濃く残した切れ長である。二十歳前後でこの地に流れてきた外国人のようだ。
「いらっしゃい」
女将はサスケを見るとにこやかに会釈した。
「おかえりなさい」
サスケに「おかえり」と言う女将をナルトは目を丸くして見た。
「知り合いなのか?」
「ここの女将だ」
「いやそうじゃなくて。なんか前から知ってるみたいな言い方だなって」
女将は笑って、カウンターの向こうからナルトに視線を移す。
「七代目火影様でいらっしゃいますね」
「はい、まあ。って、知ってんのか?」
「知ってますとも。里では有名ですから。サスケ君が連れてくるなんて、珍しいこともあるものだ」
サスケ君、と呼ぶ様子は、里の人間がそう呼ぶのと同じ温度で、特別に親しげでもない。あくまで商売人としての愛想だとナルトには思える。
林のさらに奥から、天井のない大きな湯小屋が見えてきた。木の扉を引くと、漂ってくるのは湯気の匂い。木の温もりを感じさせる、薄い板を隙間なく張った壁、磨き込まれた檜の床がタイルみたいに規則正しく敷き詰められている。上を見上げると、周りの木々の枝が空を覆っていて、まるで木漏れ日を撒く天井のようだ。
湯船はどうやら岩を組んで造られているらしい。木の葉の形をした浴槽からは湯気がふわりふわりと立ち昇っている。
「うわ…」
感嘆の声が漏れる。声を聞いてサスケが振り返り、少し得意げな顔をした。
「どうだ」
二年前にサスケと会った時に、オレの夢は湯屋を建てることだ、と話した。サスケはその時、きょとんとした顔をしていた。
「なんでまた湯屋なんか?」
「湯屋はいいぞ。オレ、湯屋が一番好きな施設だと思う。疲れが全部、湯の中でぶくぶくと消えていくんだってばよ。今度お前に教えてやる。人がいない時間帯の湯が一番いいんだ」
その話をサスケが覚えていたとは、ナルトは思っていなかった。恐らくこの建物は、サスケが一から建てたものではないか。すごいな、さすがだなと心の中で感心しつつ、
「…っしょ! お前、オレの言ったこと、覚えててくれたんだな!」
ぽん、と背中を叩く。サスケが軽く前のめりになる。
「脱いだら終わりだと思うなよ」
「え、待って、今のうちの親父さんが言いそうなこと」
言いようのない感情が去来して、うつむきがちだったサスケの目がまん丸に見開かれる。
「ち、違う」
「いいじゃん、別に」
「…少し黙れ」
火影と夫婦になった男が『うちは』の当主をやっていて、そんな言葉を聞いたら嫁に何を言われるか。ぞっとする。
それはそうと、とナルトは話を戻す。
「とにかく、ちゃんと店なんだな?」
「ああ」
答えながらサスケは、ぴったりと磨き込まれた木の扉をくぐる。
中は広かった。
どっしりと落ち着いた重厚な木の長机が、整然と並んでいる。どの席にも背の高い衝立が設えられ、中で何をしているのか外からは伺い知れない。
いかにも和風高級料亭、という風情である。
奥から出てきた店主らしき初老の男は、サスケの顔を見るなり、会釈をし、何も訊かずに、通された部屋まで案内してくれる。顔パスである。
案内されたのは、個室のようだ。扉のない入り口に、照明を少し落とした、落ち着いた色調の部屋で、奥に、目を引く一枚の絵が掛かっている。金箔と青緑色の絵の具が大胆に使われた、見るものに強い印象を与える海の絵だった。あるいは大きな河の、あるいは湖の、青緑色のうねり。波濤の間に割り込むようにして白い蛸が一匹。
額装も大きい。だが、この絵は板の間の、おそらくはこの部屋の主であろう人物が座するであろう場所の背後、床の間のような場所に掛かっている。
一枚しかない。
周りの高い天井、漆塗りの梁、障子、床の間の床、その手前の床の間の主のための座布団と肘掛け、すべてが均整が取れていて、無駄を削ぎ落とした上品さが保たれている。何かを商って儲けた金持ちの道楽とも、あるいは見せびらかしのための店にも見えない。この家の主が、元々そういう家の生まれなのだろうとナルトは考える。日向みたいな、古
明明已经知道了,却还是故意问出来,佐助连带着那吐息一起用嘴唇堵住了他。意外地柔软,令人惊讶。

分开后,再次与那双蓝色的眼睛对上视线。那双眼睛映着夜景,像蓝色的宝石般闪烁。丰厚的嘴唇微微扬起。被诱惑着,佐助再次将唇压了上去。温柔地轻啄几次,又以不容分说的强硬,将舌头探了进去。

“唔”

似乎没预料到,鸣人僵住了。身体反射性地要逃,佐助用环在腰间的独臂将他抱住制止。在火影的名号之下,那裹着柔韧肌肉的脊背如弓一般向后仰去。

厚实的舌头在口腔内为所欲为地探索。漏出的气息,甚至被搅动的唾液都被几乎一点不剩地啜走。鸣人从未被任何人如此热情地亲吻过。缺氧让头脑晕眩。好不容易从鼻腔里漏出气息,闻到了温暖的男人气味。那是混杂了各种自己不知道的地方的气息所形成的气味,是长期独自流浪的野兽的气味。

佐助稍稍松开嘴唇低语。
“糟了啊……停不下来了……”
沙哑的声音很性感。鸣人看着他用舌尖舔过沾满唾液的单薄嘴唇。

腰际涌起一阵酥麻。细长的眼眸炽热地看着这边。箍在腰间的那只手臂的力量丝毫未松。好可怕,鸣人微微颤抖。要被吃掉了,他想。也想被吃掉。

原来如此,自己是……想被吃掉吗。
想被这个男人吃掉吗。

「佐助」
刚唤出口便又被吻上。这次从一开始舌头就探了进来。不想被当成金枪鱼,鸣人把双手撑在男人厚实的胸膛上,不甘示弱地也去纠缠他的舌头。然而力量的差距一目了然,他的舌头在狭小的口腔里像是被施了魔法般被缠绕、被压制。鸣人烦恼地皱起了眉头。
“唔……,……!”

忍者的耳朵捕捉到走廊里女人走过的脚步声。

鸣人想起这里是哪里,突然慌张起来。房间熄了灯昏暗不明,而且两个年纪不小的男人,以夜景为背景,穿着工作服,一心一意地互相贪恋彼此的嘴唇。背着七代目火影之名的脊背忽然沉甸甸地压下来。

“佐、佐助,唔嗯……”
他拼命推佐助的胸膛,却纹丝不动。真的一点也推不动。这是怎么回事,是自己力气使不上来吗,还是佐助的意志太坚定,到底是哪个?又或者,两个都有呢。
“唔…!”
鸣人抱着最后一搏的念头,咚咚地拍打佐助平坦的胸脯。
佐助被那双因为发热而并非全然演戏、真的快要落泪的蓝色眼睛一瞪,终于是作罢了。毕竟今天是第一次。
可即便是这样他还是恋恋不舍地反复吮吸对方的唇瓣,这时隔着拉门传来了声音:“失礼了。”
完全恢复理智的鸣人使劲把他甩开。佐助抓住他远离的手臂,把他拽了回来。鸣人猛地回过头来。眼角因愤怒而吊起,但脸颊绯红,所以佐助一点都不觉得可怕,还笑了一下,就在这时,走廊一侧的拉门唰地被拉开了。
房间依然昏暗。
「啊……」
鸣人发出声音。两人相互凝视,如同在寻找着什么。打破室内沉寂的,是身经百战的老牌料亭的女中。她露出讨喜的微笑。
“夜景很美吧。餐食也安排在窗边的相邻座位,可以吗?”
然后她以行云流水的动作打开了房间的灯。
在鸣人开口之前,佐助握紧他的手对女人说:
“啊,拜托了。”
“遵命。”
佐助往旁边瞥了一眼。望向这边的鸣人,脸颊微微泛红,眼眶湿润,因为被吸得太久,红色的嘴唇微微张开。真可爱,他想着,加深了嘴角的笑意。
「……っ」
鸣人想从被按在榻榻米上的手里挣脱出来。因为想把颤抖的指尖藏起来,不让佐助看见。不,已经不再害怕了。羞耻,这个年纪也已经没有了。然而心脏却剧烈地跳动。心跳传到指尖,战栗无法停止。
硬要说的话,是有预感。从现在起将被从未有过的体验吞没,像遭遇暴风雨一样被吞没,有这样的预感。
鸣人用昏昏沉沉的脑袋想着,今晚从开始接吻到现在到底过了多长时间。
不知第几次,舌头毫无预兆地被猛地探入深处,呼吸困难,他皱起眉头,发出含混的声音。
「唔……嗯……」
身体不由自主地向后退去,却被按在腰上的大手紧紧握住。鸣人被拉过去,透过男人结实的肩膀望向隔扇画。那是一幅精美的画,红白两色交融在一枚花瓣中的大朵牡丹花旁,有两只狮子在嬉戏。这幅隔扇画名为“唐狮子与牡丹”,本来应该叫“唐狮子牡丹之间”,但女将却称这个每次与佐助来这家料亭都会被带到的角屋为“狂狮子之间”。
狮子看似在与花嬉戏,实则目光彼此交缠,更像是两只狮子以花为玩具玩耍。牡丹在两只狮子之间烂漫盛开。
是的,今天也同样,来到了已经熟门熟路的那家可以眺望夜景的料亭,和佐助一起。自从那以后已经来过很多次,和女将与女侍都已经脸熟了,前阵子厨师长还特地来到座敷打招呼。
看来自己常来此地,似乎成了『火影御用料亭』的宣传,客人增加了。女将和厨师长都非常高兴,鸣人也第一次学到了,原来以这种形式也能为村子做出贡献。
如果只是自己露个面就能让生意兴隆起来,那今后时间允许的话,不只在一乐,要尽可能多去村里的各种店铺光顾。话虽如此,鸣人依然会想起那豚骨汤的味道。不,只是,今天也是老样子,和佐助一起来到了这家已经完全成了常去之处的、可以眺望那例の夜景的料亭。从那之后来过很多次,已经和女将、仲居都混熟了,前阵子厨师长还特意到座敷来打招呼。
看来自己常来似乎给店里带来了人气,成了“火影御用的料亭”,客人也增加了,女将和厨师长都很高兴。鸣人第一次知道,原来自己只是露露脸也能以这种方式为村子做贡献。
如果只是自己露脸就能让生意兴旺起来的话,那今后只要时间允许,不只在一乐,要尽可能多去村子的各种店铺坐坐。即便如此,鸣人依然常常来这家料亭。
とは言え、ナルトが顔を出す頻度が上がれば上がるほど、我知らず男との逢瀬も回数を増すことになる。自分から首を突っ込んで男の掌の上で転がされていることを、ナルトはわかっていない。
ああ、まったく、今日も。
サスケは今日も不意に唇を奪う。火影室を訪れるやいなや、窓際に立って夜景に見入る背中に抱きつき、首筋に鼻先を埋める。あごを掴んで振り向かせると、ナルトは微かに赤くなった顔で、悪戯を仕掛けられて戸惑う子どものようにきょとんとこちらを見る。
「サスケ」
自分はなんと呼んだか。サスケという。正しくはうちはサスケ。愛称はサスケ。
いつからだろう。たった数年前まで、名前を呼ばれるたびにぐらぐらと胸の奥が揺れ動き、音だけで安心して、音だけで心細くなっていた。今は、たとえ名前を呼ばれなくても体温を感じられる距離に、彼はいる。
安心から、柔らかく目許が綻ぶ。
昔は、大人しく立ち尽くすことしかできないことがもどかしくて、近くに居るだけの自分が恨めしかった。力が欲しいと足掻いた。彼に追いつきたい、もう誰も失いたくない、と足掻いた。そして今、己のすべての力をこの男を守ることに注ぐと決めている。あの日、この手で奪った命のために。その命の重さを、今度はこの手で背負うために。いや、もうその意味はとっくに違うものに変わっている。
ただの焦燥だった。彼の視線を浴びれば、彼の匂いを嗅げば、彼の声が聞こえれば、あの頃よりももっと切なく、もっと溺れるような気分になる。
いっそ飲まれてしまえばいい、と思う。
この男に飲まれて、そのまま死んでしまえたらいい。
自分が何を望んでいるのか、昔はよくわからなかった。今はわかる。あの日、谷の終わりで結んだ約束は、この男の人生を奪うことで自分の中に留めおくものではなくて、もっと直接的に、この男に自分を奪わせたい、そのために男をここに呼び寄せているのだと。
まるで最初から、すべてのことがそうなるように決まっていたみたいに。ナルトは絡めとられた舌と舌が作った唾液の泡が弾ける音を聞きながら、もうずっと昔から、自分は、サスケという男を欲していたのだ。
自分を奪おうとする男に、抵抗もなく身を委ねている。
こわい。だけど、これでいい、とナルトは思う。
ひとつの季節が過ぎて、また季節が巡る。
十六年前のあの日、オレの家を無理矢理継いだアイツに今日こうして触れられる日が来るとは、ナルトには想像すらできないことだった。
互いに深く求めあうということは、つまり、あの男の人生ごと引き受けるということだ。忍として生きる者の人生とは、光の当たらない場所での戦いに身を置く人生である。その終着点は穏やかな死とは限らない。いつ終わるとも知れない任務。それは今更何をどう思うまでもない、ナルト自身がとうに理解し、腹を括っていることである。
ナルトは再び胸いっぱいに息を吸い込む。
サスケの頸を抱き込む腕に、力がこもる。
地に足が付かない浮遊感に体がふわふわする。実感と恐怖がナルトの思考を埋め尽くし、どうやら準備は完璧だと、唇の端を緩めた。
再び唇が重なったのは、それからどれほど経った頃だろう。男の手がするりとナルトの前を開く。
かたん、と音を立ててドアが閉じた、その、瞬間だった。二人の間に時が止まった。
顔を伏せたナルトの口元が視界に入る。顎の線を伝った唾液が首筋を伝って鎖骨に落ちていく。あの口を塞ぎたい。
サスケは思った通りにした。
「んっ...」
ナルトはちょっとだけ口を開けて、されるがままになった。
それからほどなくして、また、襖が開く。
「お待たせしました。料理をお運びします」
仲居がふたりの前で手際よく膳を並べはじめる。青い瞳と黒い瞳が出会う。ぷい、とナルトは視線をそらした。
仲居は機敏な手つきで器を並べ、火を落とし、最後に酒器を二つ置いて「何かございましたらお呼びつけください」と微笑み、部屋を辞していった。
暗い間のあれはなんだったんだ。
会話の切れ端を探すようにナルトはあちこちと視線を泳がせる。
一人の男として、気まずくないはずがない。いや、気まずい、の一言で済ませるにはあまりにも複雑だった。
何より、あれだけ嫌がっておいて、感じてしまったことが恥ずかしい。
全身を駆け巡る、あの未曾有の昂りと熱に、もう一度出会ってしまいたいと、思ってしまっている。
それに、先に大人の階段を上って男を味わい尽くした自分からキスをしてしまった。いくら何でも、今日は我ながら軽率だった。
夕餉の最中に、ふと思い出したように語ったナルトの昔話。嘘は言っていない。幼い頃、三人で花火を見た。その帰り道、道に迷って、川のそばの大岩の所でサスケと二人きりで会話をした。スナのように固い岩の上で、サスケの泣き顔を初めて見た。その時にナルトは心に決めたのだ。大好きだって言葉以外の方法で証明する。認めてもらうんだって。
近所の、と言っては語弊があるし実家と言うには角が立つが、いわゆる互いの実家筋の関係で昔から付き合いのある家が、件の料亭で初夜の祝いを開いたのだった。
この料亭を選んだのはサスケだ。だが家同士の古いつきあいとは言え、そこにナルトが口を挟む余地はなかった。
サスケは、この火影のオフィスにすら勝るとも劣らない設備を持つ座敷で、ナルトからは少し離れたところで、いすの背にもたれて、一匹狼然として酒を飲んでいた。窓の外に広がる夜景の素晴らしさにナルトが感動の声を漏らし、窓に駆け寄ってそのまま夜景に見入っていると、いつの間にかナルトの背中に、肘掛けに突いた姿勢で立っている。最初の内は夜風に吹かれるままに、素っ気なくて気怠い口調でぽつりぽつりと近況報告をしていた。
とは言え、本人はいたって真面目だ。サスケは里への近況報告を欠かさないから、それに加えての個人報告が、亡命時代からの習慣で月に一度、ちゃんとある。
里に帰ってくる頻度も多い方だと思う。ナルトの手紙は世界の果てまで届く、とサスケは言う。本当にそうらしくて、サスケは手紙を見たことがないと言わない。送った手紙の返事をくれないことは多いけれど、きちんと届いてはいるらしい。サスケの漂白とも言える生涯に居場所を与えてくれたのは里であるナルトに連なるものであるのに、自分はこの里に何ももたらせてはいないとサスケは言う。ナルトはその寂しげな横顔が、常に自分の心の中に住みついている。今もこうして、あの日と変わらない夜景をただ眺めている。
何を考えているのか、サスケはいつも黙ったままだ。少し離れた場所から、瞳に夜景を映しながら、立っている。自分に心を許しているのだ、とナルトは言い聞かせた。もう、あの頃とは違うから。だからこれでいいのだと自分に言い聞かせる。それでも、不安は拭い切れない。
「サスケ、こっち来いってばよ」
手を伸ばせば繋いでくれる。触れた場所からとろけるように心がほどけていく。サスケはナルトの隣に座り、窓の外の夜景を、そしてナルトを見た。
本当に綺麗だ。夜景を瞳に映すこの男は、裏切ってきた己の半生すらも焼き尽くす炎みたいに燃えている。見ているだけで胸が焦げる。近づきたい。だけど近づくと焼け焦げてしまいそうな気もする。
こんなに長く、こんなに深く自分が想い焦がれているのはきっとこの男だけだ。日々の生活で一つのことに三年以上はまってしまう事はあまりない。それなのにサスケのことを考えるのは今日で何年目だろう。男が旅から戻ってくるたびに、金の切れ目が縁の切れ目とばかりにうんとぞんざいにされてきた。情けなくなるほど、サスケはいつもナルトの知らない場所にいる。そのくせ自分という存在は、サスケという巨大な檻の中にたやすく囚われて離してくれない。
傍に来てくれるのは会いたいから。他の場所に用があって帰ってきても、ナルトには必ず会いに来てくれる。
鳴門の渦潮みたいにくるくる変わりやすい気性で、頑固で、一度決めたら揺るがない。よく笑い、よく怒る。何年も不在で、やっと会えたかと思ったらまたすぐに居なくなる。そういう男だ。手を伸ばせば届きそうで届かない、掴もうとするといつもすり抜けて、本人は悪びれもせず飄々としている。それが何より腹立たしい。何年経っても、ふらりと現れてはすぐにいなくなってしまう。なのに、隣にいるときは、とことん甘やかす。昔と変わらずずっと変わらず、一途な目で、ひたむきに想ってくれている。
ナルトはもう抵抗しなかった。いや、最初から本当は、したいとは思っていなかった。
今日は、本当に、どうかしてる。自分でもそう思う。
梅雨明けの夜空の、吸い込まれるような濃紺を背景に、銀色に白い月の光が指す。窓の外、この部屋から見える夜景が一番だ、と初めてサスケが連れてきた時に言ったのを、ナルトは覚えている。あの時は確か秋で、澄んだ空気に月がひときわ鮮明に浮かんでいて、その月の光が夜の雲をシルエットとして照らし出していた。
サスケの言う通りだった。この部屋から見える夜景はとても綺麗だ。広い空に視界を遮るものが何もなく、夜のとばりが地上に降りるにつれて下の方から瞬くように灯る灯りが、まるで逆さの星空みたいにきらめく。
今夜もそんな美しい夜景が、窓一面に広がっている。
しかし今、ナルトの視界に夜景はない。
青い目に映るのは、獣のように濡れて光る黒い瞳だ。
厚みのない唇がかすかに開き、真っ直ぐに自分だけを見据えている。その双眸に何の含みもなく、ナルトの全身が映っている。自分がどう映っているのかはわからない。目の前の男の瞳は、暗闇でも照明の下でもきちんと仕事をする忍の瞳で、何もかも見通すみたいに力強くて、吸い込まれてしまいそうだ。
サスケが腰を浮かせ、目の前の男の首筋に鼻先を寄せる。ナルトはあるはずのない鼾に、耳の奥で自分とは違う心音を重ねる。首筋から肩にかけてのラインを鼻先でなぞるように唇を這わせると、規則的だった呼吸が早まっていく。
鼻先が耳に触れると、下ろしたてのシャツからは、男の匂いがした。
ナルトは今度こそ呼吸を止めて固くなった。最近、とみに男の匂いに敏感だ。まだ新しいシャツの糊の匂いに混じる皮膚の匂い。サスケの匂い。
サスケの匂いを嗅ぐと、心臓がうるさいくらい鳴り出して、頭の芯が痺れるみたいに白くなる。自分の臓腑の隅々までがこの男を知っている。何度も何度も交わった繋がりは、のぼせあがる記憶と共に体内に刻まれている。
腕の中の男が無防備に震えた。サスケはもっと抱きしめてやろうと腕に力を籠めた。項の辺りに顔を埋めて、引き締まった肌を撫でる。肌寒い季節に外を放浪していたところを、こうして捕まえて温めることができている。それを思うと心が熱くたぎる。サスケは己の胸に男を閉じ込め、二度と離さないと心に決めた。
彼が自分を想ってくれることに対して、サスケはこの上なく深く満たされている。
じぶんの眼の先に、ちゃんと居てくれる。
瞼を閉じればその姿が瞼裏に写り、少し目を離しただけで不安になる。
不安、と自覚したその感情にサスケは内心で苦笑する。
忍びでありながら、団子屋の暖簾をくぐるのがこんなにも怖いと思う日が来るとは思わなかった。
もう随分と長いこと、ナルトと二人きりで言葉を交わしていない。
顔を合わせれば、会話の前に先に唇を合わせてしまう。口づけても触れても足りない。あとはもう致し方なしに深く、深く重ねて、二人の距離を潰す。
そうして触れるたびに、この胸のうちにこびりついて離れない澱みが、身体を、心を、しっとりと潤してゆくような気がしていた。それは若いころの気持ちの良い幻想によく似ていた。
何度目かの口付けのあと、サスケは唇を離して、縁側のほうを見た。丸く切り取られた景色は、夜ごとに変わってゆく。光の粒がいつしかよく見知った里のそれになっている。二人はしばらくそうして、言葉のないまま夜の帳の変化を眺めていた。
引きも切らない人々の営みが、世界を、何もかもを、回っている。その中に自分たちも含まれるのかと思うと心細くもあり、逞しくもある。
二人分の呼吸が夜気に白く濁って静かに立ち上り、やがて消えていった。
「お、お互いさま、だってばよ」
ナルトは一歩下がって、自分の腕を撫でる。照れ隠しの乾いた笑いが漏れる。
「それに、俺も大体お前のことは知ってる」
「そうか」
「大体、な」
サスケは微笑んだ。ナルトは手触りの変わった自分の腕のことを触って、下を向いた。外はもう真っ暗。木の葉の里は、今日も夜を迎えている。
春野サクラは完全にブチ切れていた。二度と私の仕事に口出ししないでください。
場所は火影の執務室。オレンジ色のコートの下に、鎖がじゃらじゃらと付いた忍具ベルトを身に着け、濃い赤の毛皮の首巻きをしている。顔は隈取りで覆われ、額当ても外れ、その先の長い黒髪はぼさぼさに伸びて、見るからに凶悪な面構えの大男が、七代目火影の前に立ちはだかる。間違いなく里の人間ではない。
この里を戦火に巻き込んだ張本人。許すまじ、とナルトは右拳を強く握った。男は愛想笑いを浮かべる。
「怒らないでくれ。あんたに渡すものがあったんだ」
男は手に持っていた風呂敷包みを解くと、中から黄金色の孔雀の置物を取り出した。
金の孔雀。サスケの隠れ蓑となる。
刹那、再び爆ぜる殺気。今度こそ向かってくる。それをナルトは振り返らずとも判じていた。自分には及ばないほどの速さで後退するサスケと入れ違いに、髪を逆立てた赤い体躯が男を目掛けて飛びかかる。赤い体躯が飛び込んだ場所を、青白い稲妻が走る。
男はクナイで受けた。真っ向から。飛んできたクナイは弾かれて落ちる。男は取ってつけたような両腕で自分を強く抱きしめた。
男の足元から、彼の生まれ持った、自在に操る鉱物の鉄砂がうねるように伸びる。それはサスケに立ちはだかるように集まって、男の背後に蠢く黒い影となった。恰幅の良い体格が大きく見える。長い間、距離を置いていた。サスケから遠く離れた任務地を転々としながら、生きるか死ぬかの戦場に身を置くことで、自分を追い込んで考えることをやめさせていた。
何の目的があって自分とサスケが並んで立っているのか、何の未来を描いたら正解なのか、すべてがわからなくなった。わからなくなって、怖くなって、村を飛び出した。かつての自分が考えたことを、彼は全部やってのけた。ナルトが何を言っても、もう思いとどまることはないだろう。
手のひらの上で病に臥したように弱り果てた小鳥がいる。何も知らない子供をこれ以上欺けないと、あるいはこれ以上欺くまいと手放したのだけれど、それをあの鳥がもう一度自分から手の中に戻ってきて、自分はまたどうしたらいいのかわからなくなる。
「危うい」とは、まさにあのことだ。ナルトは思う。
佐助を狙う者に近づいて、自分ごと爆発に巻き込まれるかと思った。熱い熱い閃光と衝撃の直後、何も無いと思っていた首から上が繋がっていた。腕も、胸も、腹も、脚も、全身にまんべんなく張り巡らされた赤い紋様に覆われて、生きながらにして変わり果てた姿。
その後、緊張が解けて眠ってしまったナルトをサスケは一つの部屋に運び込んだ。総ヒノキ造りの壁や天井に胡粉が施された、料亭の一番大きな座敷で、数人がかりで動かさねばならぬ重厚な漆塗りの長机を、サスケは単身で難なく畳の間から別の間へと移動させてしまう。どれだけ身体に掛かる負荷を気にしていないのか。忍として、健啖家として、化け物じみた膂力を誇るその背中を、ナルトは何度も何度も追いかけてきた。彼が人知れず里のため動き続けてきたことを一番近くで知っている。二度とこの手を離さないと、あの日、そう誓った相手が、今は何の躊躇いもなく火影の座まで押し付けられて、まったく、とナルトは思う。まったく、いったい誰のせいで自分が、こんなにうつむきがちになってしまうのか。
今日は特別な日だ。
今日は、この部屋に一番ふさわしい日だ。
今宵、この『狂い獅子の間』で、自分はサスケにすべてを捧げる。
ろうそくの火だけが頼りの仄明かりに照らされたテーブルを挟んで向かい合わせに、互いの料理の取り分けが終わって、酒の猪口を前に、何とはなしに視線が合う。
「…サスケ」
ナルトが言いかけるとサスケが目を細める。すべてを見透かしたような微笑を浮かべて、口元に猪口を傾けた。煽るように飲む。形のいい鎖骨がこくんと動いた。
その、仕種が、綺麗だなと思った。
彼に与えられるあらゆるものが、綺麗で、苦しい。
ぐるぐると回る思考の中心にはいつもあって、サスケに支配されてしまう、とナルトは感じている。けれどもそれこそが、自分が望んだことだ。
薬膳の効いた澄まし汁が入ったお椀の蓋を取ると、木の芽の馥郁とした香りが湯気とともにふわりと立ちのぼる。ナルトは思わず笑みをこぼし、続いて見目麗しいお造りの美しさにも心を奪われて、あとはただ料理に夢中になった。
暁のアジトにいるときは、まるで夢を見ているようだった。
何しろ座敷牢の日々はエサと排泄と最低限の清潔を保つことしか許されず、一日のほとんどを暗い場所で過ごした。同じ部屋にいるのに壁のように無視するか、試すように挑発してくるか。一貫しないサスケの態度が、自分の取り扱いを一々決められて、目まぐるしく変えられるのが、ナルトにはたまらなかった。
檻越しに言葉を交わす日々。交わすと言っても会話が続くことはほぼない。挑発や問いかけに、サスケは一言か二言返すだけである。
ナルトもナルトで、訪れれば必ず必死に何かを伝えようと、突然放り込まれた檻の中でもめげずに、何とかならないかと、正しい相手の正しくない行動の、その奥に横たわるものを問い続けていた。
首を絞める縄を解こうとしてもがくように、縋るように。それはいつしかサスケに確実に届いていた。痛いほど。この男に問いかけるたびに、己の内側に重い岩石を落とされるように、暗い深い穴の底へと落ちていく感覚をサスケは覚えていた。
だが、問いかける声は止まない。
やめろ、と喉元まで出かかる言葉を、引き絞るように飲み込んだ。

そうだ。あの日、木ノ葉に帰る直前、白いブラウスの上に血を付けて、サスケはナルトを組み敷いて問うた。俺のことを、お前はどう思っている。
あの時も今も、サスケの欲しい答えをナルトは出してくれない。心を開いたのはどちらだったのか。答えを求めたのはどちらだ。なぜ、何度も、くり返す。
同じ傷に、いつまでも指を突っ込んでしまう。
好きだ、と素直に言えばいいものを。
もしもその言葉を聞いてしまったら、自分はどうなってしまうのか、わからなくて。
ただ求め合う。触れあう。熱をやり取りして、空っぽな心を埋めるみたいに。
互いの匂いをなぞるように舐めあい、舌を絡め合い、ぬめる唾液を飲み込む。もし、これが愛と呼べるものなのかと問われたら、答えられない。互いに答えられるはずもない。互いの腹の底を探り合うように溶け合い、言葉にされないものを共有する。
虚ろで、それでも激しい交歓だった。錯乱するほどに深く口付ける。
今日もサスケの上着に着られて、部屋の隅に置かれた一人がけのソファに座らされている。首の後ろに回されたサスケの指に導かれるままに。室内は暗い。夜景の代わりに、硝子の向こうに広がる無数の星々に、二人は照らされている。
サスケは行為の合間に、くつくつと喉を鳴らす。ナルトは上目遣いに睨みあげた。
「なんか笑ってる?」
「嬉しいだけだ。初めて、君が自分の意志で、俺の隣に立った」
一瞬何を言われたのかわからなくて、固まった。
ナルトはこれが、いつも夢に見る光景、サスケと二人で肩を並べて立つ、そんな光景に初めて自分から足を踏み入れた瞬間であることに思い至る。昔からサスケの隣に立つ自分を想像するとき、それはいつだって追いかけていた延長線上で、行き場のない苛立ちや焦りをサスケにぶつけていたのだ。サスケは待っていてくれた。怒涛の時を抜けて、雲の上にも等しい位を捨てて、国と里の均衡の最前線に身を置き、いつ戻るかもわからない旅の途中で。
ナルトの反応を見るまでは、というサスケの言葉の続きをナルトは知っている。サスケはそう言ったきり、それ以上を決して口にしない。聞こうと思えば何度でも聞けた。そうして聞いた言葉がもしナルトの望まないものだったらどうしよう。聞いたあとに、では自分はどうするのか。考えただけで、胸の奥が冷たくなる。
だから、今日もナルトはその言葉のあとを繋げない。サスケもそれ以上はなにも言わない。ただ代わりにキスをする。唇が腫れるまで、互いの背中を引き寄せあうようにして。抱き合った男の身体は、火影の肩書きの重さを預けた背中とは違う、子供の頃から変わらない、確かな温かさと匂いがある。自分を“敵”と呼んだ、鋭い眼差しの裏側の、その奥をさらに覗き込んだところに、自分は触れている。他人には決して触れさせない、ほんの少しの柔らかな場所を、自分だけは知っている。
それはたまらなく嬉しいことだ。そう思うと少しだけ胸が熱くなる。
決して口にはしないけれど、心の中で思う。ずっとずっと、あなただけの温もりで、どうかありますように、と。
隣同士の席は想像より近かった。
サスケはナルトが箸で料理に伸ばすたびにぶつかる肩を楽しんでいた。何より、酔ったサスケが足の甲を指でちょんちょんと触る、という奇行を久しぶりに見た気がする。
「ねえサスケ、手酌で何杯目?」
盃を空けたサスケは何も言わずにナルトに酌をさせて、盃を口元まで運んで、また空ける
“出声啊,喂。”

胸口被揉来揉去地按压着,鸣人却依旧固执地抿紧嘴唇。

“不要……”

“为什么?”

“因为……就算我喘了,也只会让人恶心而已……”

鸣人虽然职业上锻炼过身体,但面对佐助这样对自己平坦的同性身体又摸又舔又吸的举动,他还是觉得不可思议。他不知道同性间的性爱是怎么回事,但若像男女之间那样各有分工的话,鸣人觉得发出呻吟这种事,更适合长相俊美的佐助。所以最初他本打算抱佐助的。

鸣人漏出的只言片语,足以让佐助明白他在想什么。

佐助灵巧地挑起一边柳眉。正因为是鸣人,越是说不要就越想让他做——鸣人至今不明白自己这个恶劣的性子。而且,鸣人虽然顽固,自己也相当固执,想做的事就一定要做到。

「哇! 等、你干什么啊…」
佐助不紧不慢地摆弄着他腰间的金属扣,鸣人缩了缩身子。从衬衫上移开的手抓住男人的肩膀,佐助便停下了动作。

「……佐助?」
「手别松开。不是说了让你抓着吗」
「……哈?」
「把乳头露出来。不然我就不干了」

简直胡来。鸣人目瞪口呆地望着男人。
佐助若无其事地一脸泰然。漂亮的脸蛋在这种时候真是方便。只要理直气壮,看起来就宛如清廉正直。

果然鸣人的脸更红了,一边说着“为什么……?”、“这算怎么回事啊……?”一边战战兢兢地把自己刚才放开的打底衫重新撩到脖颈处。

顶端泛着粉色的乳尖暴露出来。佐助心想,这家伙还是这么吃硬不吃软,同时重新开始拉他腰间的拉链。

“佐助……”
明明是自己把乳头露出来的,鸣人却还是下不了决心。因为这里是建在村子郊外的高级日式料亭的角屋,女将和厨师长都深信七代目火影和搭档是来会餐的。房间灯火通明,隔扇画上描绘的狮子们栩栩如生,仿佛随时会跳出来看着这边。

……不,鸣人也在第五次时隐约察觉到了。这里的女将和女侍,除了第一次,之后从未在鸣人跟佐助调情时来过这边。

虽然像是被看着一样,但鸣人出于职业习惯,对别人的视线很敏感。他明白并没有人在偷看。她们是凭着自己的经验,敏锐地读出了熟客所在的包间里的气氛。

佐助特地选了这样一家由老练女将经营的高级料亭,把自己带来。他已经不再是年轻到不明白这意味着什么的年纪了。

修长的手指灵巧地将塞在内裤里的性器拉了出来。那东西精神地弹跳出来,佐助对此露出浅浅一笑。

“都漏出来了哦。”

他用拇指按压住肿胀的龟头顶端渗出的汁液。

“唔……别说啦……”

佐助笑着俯下身,毫不犹豫地将鸣人的阴茎含入口中。鸣人看着那微微勃起的部分被红润的舌头迎了进去。

“……呼……”

不愧是同为男性,佐助的口交技术很好。他知道舔哪里、吸哪里才会舒服。

舌尖抵上龟头的沟壑,嘴唇像翻卷般吸吮着冠状沟的棱线。

佐助的手很大,所以即使阴茎勃起着,被握住也能整个收进掌中。那样来回搓弄,就越发膨大、翘立起来。

「う…」
形の良い唇から、屹立した自分のペニスが出入りする様をナルトは見下ろす。サスケはたまにちろりと視線を上げて、自分の様子を伺ってくる。

(这句因为与前面的内容重复,必须保留并翻译——原文如此,这似乎是原作的描写重复。为确保完整性,仍然翻译这一段,并且保留前面已有的句子,这是原作者的故意为之?注意不要删除重复段落。)
(继续原文)
ナルトはさっき言われたことを思い出すけれど、まだ喉がつっかえて理性が捨てきれない。膨れた亀頭を飴のようにしゃぶられても、ぱくっと咥えられて、茎から全体を舌と口腔内の熱い粘膜全体で嬲られても、体を小刻みに震わせるだけだ。
「サスケ…、オレ…」
たぐり上げたシャツを必死に掴む。その腕も、無防備に割れた腹筋を晒す腹も、ぶるぶると震える。込み上げる射精感にナルトが目を瞑った時に、サスケはため息まじりに顔を上げた。
「ウスラトンカチが…声だせっての」
舌打ちしながら膨れたナルトの性器の根元をぐっと摘む。
「い…ッ!」
あまりの痛みに繊細な射精感なんてあっという間に霧散する。ずるりと滑り落ちた畳の上で体を竦めて悶絶しているナルトの、脱げかけたズボンの縁をサスケは後ろから一気に下着ごと膝まで引きずり下ろした。
ナルトは転がされて俯せになり、きゅっと引き締まって丸い小柄な尻がサスケの前に剥き出しになる。
「な、なにす…」
言いながらナルトは尻たぶが片方、男の手に掴まれて、ぐっと割られるのに気づく。その割れ目にサスケが高い鼻先を突っ込もうとしているのを振り返って見て色気のない悲鳴を上げた。
だが、サスケはナルトの言葉に従い、それをやめた。いきなりではなく、ゆっくりと、目が覚めるほど馬鹿丁寧に。ナルトの背筋を指先で伝う。
「いや、やめろ…」
「やめろ、じゃねぇだろ。声が出た」
「う…」
サスケが口の端に笑みを浮かべる。まさか、そんな風に意地悪をするところまで含めて、ナルトは想定していなかった。ネジの外れた思考で、コイツがこんなに意地悪だってことをすっかり忘れていた、とナルトは思う。
「ひ、ぁ…や…」
まだその程度の声しか出せないナルトに、サスケは首を振って見せた。
「まだ声が出ねぇのかよ」
サスケは今度はナルトの脚の間に体を滑り込ませて、そそり勃ったままのそれを再び口に含んだ。
「あっ…」
おもむろに根元まで咥えこんでくる。急な深さにナルトは喉の奥を狭めて、勝手に唾液が溢れてくる。
「ひ…っ、まっ、待っ……」
そう言って口を開けた拍子に、唾液が涎となって口の端からつうっと垂れた。──ああ、もうだめだ。こういう自分をサスケに目撃されたんだな、と顔を覆いたくなる。
そう、昔からこの男には、嫌なところもカッコ悪いところも、全部知られている。かっこ悪いところを何もかも知っているのは、両親や師匠以外ではきっとサスケだけで、今更何を隠すこともない。そりゃ照れ臭いけれど、もう全部さらけ出してしまおうという気にもなる。が、サスケはナルトが声を出すことを頑なに拒むのが面白いのか、たっぷり待ってから、意地の悪い笑みを浮かべた。
「言うまでシコシコしてやんねぇ」
とどめとばかりに、サスケはナルトの半勃ちのペニスを手の内で転がす。妖しい声を伴ったその物言いはまるで呪いのようで、だから思わず射精しそうになって、ナルトは小さく悲鳴を上げた。
なぜここで天井を見て青くなっているのか、ナルトは悔しい。
からかってやっているのがバレバレだ。けれどイラつくことに、煽てられると正直な反応をしてしまう。己が素直なのが情けない。
「ん、んん…」
口を塞いでも、サスケの長い指が、無遠慮に勃ち上がった性器の先端の割れ目をなぞる度に色っぽい声が溢れてくる。
「…っ、あっ、もう」
視界の隅でサスケがくつくつと笑う。
サスケはナルトを抱く時、時々「きもちぃ?」と聞く。ナルトがそれに首を横に振ると、サスケはじゃあ自分が気持ちいいのか確かめてみたい、と言って恐ろしいほど優しく丁寧にナルトを甚振る。
初めてサスケに抱かれた時、ナルトは激しく絶頂してしまった。男の指で。
快楽が来るたびにナルトの意識は白んで、ひっきりなしに「イく、イく」と喘いでいた。あの時は必死だったので詳しいことは覚えていないが、自分がひどく乱れたことだけは覚えている。
サスケに触れられると、何もかも忘れて淫らな自分が顔を出す。恥ずかしいのにやめられなくて、やめるつもりがないから、止めるに止められないのだ。
今日もそんな感じに、いずれは最後まで行くだろうと思ってはいる。だが、まだサスケに腹を割って話せていないことが一つある。ナルトはそれを言うためにここに来たのに、いきなり脱がせ始めたサスケを押し留めて、こう言った。
「あのさ、サスケ。ちょっと、大事な話が…」
「ナルト」
サスケがひどく真剣な目で見つめてくる。いよいよ、来るか。ナルトはごくりと唾を飲み込んだ。いきなり情事の最中でなくてよかった、と思う。きっとサスケが先に口を開く。ナルトを甘やかして、安心させてから。それがサスケのやり方である。
「今日な、」
サスケは手を止めて、こちらを向く。その表情は存外柔らかで、ナルトは余計にどきどきして心臓が五月蠅い。
「ナルトに言っておかねぇといけねぇことがある」
「…なんだってばよ」
「……女郎屋、もう行くなよ」
「……へ?」
一瞬、何を言われたのか分からず間抜けな声が出た。かと思えば、こめかみの辺りがじわじわと熱くなる。
ばれて、いた? いや、言い方は『知っている』の方が正しい。
ナルトは数か月前、サスケとそういう関係になるまで、たまにそういう店に行っていた。木の葉の繁華街の裏通りにそういう店があるのは前々から知っていたし、何より、あの店の女の子はサスケの元恋人に似ているのである。
もうずっと諦めている。今でも時々、ふとした拍子に思い出しては、胸を締め付けられていた。
サスケの元恋人の面影を追いかけて、自分のものにならない誰かの、それも男の残り香を感じたくなるなんて馬鹿馬鹿しい。どうせ劣情を処理するなら、抱きたい女を思い浮かべて抜くのが健全に決まっている。
だからナルトはあの店には行く。
もうやめたのに、また行ってしまう。
サスケは自分の知らない所でナルトがそういうことをしているとは知らない。勿論知られたくもない。
けれどいまはサスケが触れている。唇で、舌で、唾液で、手で、ペニスが全部それらを感じている。今、自分を気持ちよくしてくれているのはサスケだけだ。
「……ぁ…、サスケ…」
呼ぶと彼がこちらを見上げた。切れ長の、涼し気な目。火の揺らぎを映して、睫毛の長い綺麗な目。だが、眼光は妙に射るように鋭い。ナルトの動揺も欲情も羞恥も、ぜんぶ舌の上で転がすように舐め回している。
「…そろそろイキそ……ぅ」
「まだいい」
手のひらで根本を押さえられ、軽く握られて、彼の口が亀頭に落とされる。与えられる快楽は寸止めされ、ナルトの意識は浮上し、顔がばっと熱を帯びて、理性は茫然と消え去った。
「ひっ…」
尖った舌尖が、尿道口にちろちろと火をつける。角度を変え、時折頬をすぼめて弱い吸引力に変える。
いちいちが意地悪いくらい的確だ。ここを責めればナルトが息を乱す、という急所を外さない。
早く声を出せと、焦らすように嬲られて、ナルトはもう堪えきれない。
腰が浮きかける。
唇が勝手に開きかける。
「ひっ……あっ……」
浅い吐息が漏れた。
「…………ん」
更に敏感な場所を舌でぐっと押されて、ナルトの口から吐息が漏れる。
我慢しようとしているのに、吐息が止められない。快感を逃がす為にすっかり先の尖った乳首を自分から突き出すように、呼吸が荒くなる。
それを合図にしたように、サスケがぐっと深く咥え込む。長い喉を引き裂くように、根本まで一気に飲み込まれ、ノドチンコに亀頭がこすりつけられて、ナルトの背に強烈な電気が走った。
「あ…ッ、や…」
声を止めようと唇を噛んだ時、ナルトの腰をサスケの手が引き寄せた。上唇を押し上げて、白い喉を鳴らしながら、男が貪る。じゅぷ、じゅぷ、と耳障りなくらいの水音を立てて。陰茎の根元から先端までを濡れた口の中に何度も飲み込んで、すっぽ抜ける時は息を吐くようにしながら締め上げてくる。快感の波がどっと押し寄せて、ナルトはこぼれ落ちそうになる嗚咽を必死に呑み込んだ。
噛み殺した吐息が漏れる。わなわなと唇が震える。
あんまり気持ちが良くって、体の芯がじわじわと溶かされていくようだ。まずい、と思った時にはもう遅く、ナルトの意思と無関係に腰が浮いてしまう。
射精しそうになる度に、根元をきゅっと摘まれて寸前で堪えさせられる。それを何度も繰り返されて、精液を出せないまま苛立たしい快楽だけを積み重ねられていく。頭のてっぺんから爪先まで、快楽の総量が溢れて、ナルトは無意識のうちに両手でシーツを引っ掻きむしっていた。
「や、サスケ、出る…! 出ちまうってば!」
「出すな」
「で、出すなって言われても、出るもんは出るんだってばよ! んぁ…っ!」
ナルトがそう言い切るか言い切らないかのうちに、男は膨れた陰茎を根元まで咥え直した。
喉の奥に亀頭を押し込まれ、顎の下に塊が浮き出る。強烈に締め付けられてナルトは腰が砕け、畳にべたっと腹を付けるようにしてのけぞった。
堪らず白濁した精を吐き出した。サスケはそれに噎せる様子もなく、ゆっくりとナルトの性器を口から引き抜いて、逆さに立つ自分に笑いかける。
「イく時声出せなかったな」
からかうように言われて、恥ずかしさで消え入りたい。ナルトは畳の上に突っ伏したまま、ぐったりと項垂れる。サスケは炬燵の上に置いてあったボトルから冷酒を猪口に注ぐと、ごくりと煽って、その唇をナルトの項に落とした。
「ひゃっ!?」
「…声がよぉ」
「だって…!」
出そうと思っても声が出ないんだ。そう言おうとして、その言葉を飲み込む。サスケは変なところで真面目で繊細だ。自分が鳴かなかったことをもしかすると、嫌われているからだと思い込んでいるのかもしれない。
言いかけて、サスケの首に手を回した。強がりを言ってもバレてしまうからだ。
「…悪ぃ、サスケ」
「なんでお前が謝るんだよ」
「だって…鳴けなくて…」
ナルトは大柄な体を小さく縮こまらせる。
「オレ、男のクセに…情けなくて…」
サスケはあきれ果てた。
ナルトが真面目な顔でやっていることは無意識とはいえ、何故毎度毎度この馬鹿が邪魔をするのか、と。だがそんな中、サスケがナルトに触れる時、基本的にナルトが今までしてきたようにサスケは普段やらないことをよくやる。実際のところ、サスケは、自分が一体ナルトのなにを気に入ってしまったのかを、そしてこれからどうするつもりなのかを、イチャイチャの最中に思い耽ることもある。
それはサスケがナルトに触れる時の手つきを見ればよくわかる。サスケの指はナルトを触る時だけ酷く優しく、そして冷酷である。
触れ合いというのは理解を伴うと一層深いものになる、と言ったのは誰だったか。サスケは以前ナルトが自分にするのと同じように、自分の掌にナルトの頬を包んでみる。ナルトが困惑でますます赤くなるのを面白そうに見つめながら。
「おい」
「…え? あ…」
「脱がねぇのか」
言われてナルトは、自分が未だに着衣のままだと気づく。サスケの胸元はまだ規則正しく上下している。服を着たままの自分に、脱げと催促する奴は初めてだ、とナルトは思う。
シャツのボタンに手をかけると、サスケは微かに眉を上げた。そして何も言わずに、じっとナルトが自分で脱ぐのを待っている。
ナルトがシャツを脱ぐと、サスケが無遠慮に視線を這わせてくる。ナルトはその視線にたじろぎながらも、下唇を軽く噛んで、サスケを見返す。色々と投げやりになってきた。

# 白い肌に朱が昇る

ナルトはサスケの唇をまじまじと見つめた。形の良い唇だと思う。自分と違って薄くて、でも思っているよりも柔らかそうで。

「…なんだよ」
「別に」
視線に気づいたサスケが胡乱げに返す。ナルトは首を振って、ごまかすように笑った。
「…なんでもねぇって」
サスケは何か言いたげだったが、それ以上追及しなかった。そしてナルトの胸元から視線を外して、窓の外の暗い空に目をやる。
「…そろそろ帰るぞ」
「え? もう?」
「ああ。遅くなると女将に悪い」
そう言うとサスケは立ち上がって、乱れた着物を直し始めた。ナルトも慌てて続く。サスケの背中を見ながら、ナルトは少しだけ寂しいような気持ちになった。
「…また」
「ああ」
別れ際に交わした言葉はいつも通り短い。ナルトはサスケの背中が見えなくなるまで、その場に立ち尽くしていた。

数日後、ナルトは任務の帰り道に、偶然にもサスケと出くわした。
「おう、サスケじゃねぇか。奇遇だな」
「…ああ」
サスケは相変わらず無愛想だ。だが、ナルトはそれに慣れている。任務の報告をしながら、ナルトは何気なく尋ねた。
「そういや、あの時は悪かったな。いきなり引っ張り出しちまって」
「…気にするな」
「サスケは気にしねぇかもしれねぇけどな」
ナルトが笑うと、サスケは少しだけ視線を逸らした。
「…任務は順調か?」
「ああ、ばりばりにな! って、お前からそんなこと聞くなんて珍しいな」
「…別に」
まただ。サスケはいつもそうだ。何かを言いかけて、やめる。ナルトはそれがもどかしくて、でも、それがサスケだと受け入れてもいる。
「なあ、サスケ」
「んだよ」
「また、飯でも行かねぇ? 奢るぜ」
「…俺は別に」
「いいからいいから! 今度はちゃんと、ゆっくり食べような」
ナルトがそう言うと、サスケは少しの間黙って、それから小さく頷いた。
「…好きにしろ」
ナルトはにっと笑った。サスケは相変わらずツンデレだ。だが、それもまた、サスケのいいところだと思っている。

約束の日。ナルトはサスケと並んで、里の小さな食堂にいた。カウンターに並んで座って、それぞれに注文を済ませる。
「……こういうのも、たまにはいいな」
ナルトが呟くと、サスケは「…そうだな」とだけ返した。
料理が運ばれてきて、二人は静かに食べ始めた。ナルトはサスケの横顔をちらりと見る。真剣な表情で食事をするその姿は、やっぱり美しいと思った。
「…なんだ」
「別に」
サスケに見られていることに気づかれて、ナルトは慌てて視線を外す。サスケはため息をついたが、特に何も言わなかった。
「……お前さ」
「?」
「…なんでもねぇ」
言いかけてやめた。サスケはそういう奴だ。ナルトはそれ以上追及せず、再び食事に集中した。

食事を終えて、店を出る。外はもう真っ暗で、星が綺麗に見えていた。
「……なあ、サスケ」
「んだよ」
「また、こうして会えるか?」
ナルトの問いに、サスケは少しの間黙っていた。
「……会えるさ」
「そっか」
ナルトは微笑んだ。サスケは相変わらずそっけないけれど、その言葉は確かに聞こえた。そして、それはきっと、サスケなりの「約束」なのだろう。
「……じゃあな、サスケ」
「ああ」
背を向けて歩き出す。ナルトは振り返らずに、まっすぐ家に向かった。
佐助跨坐在自己身上。那时,鸣人注意到,本应因根部被捏住而萎缩的自己的阴茎,竟再次缓缓昂起头来。还没来得及想“为什么”,佐助就一口含住了它。被吮吸的同时前列腺被用力按压,过于强烈的快感让鸣人挺出了腰。

“啊——……!”

被吸得发出“啾噜”的水声。咕叽、咕叽,每次硬邦邦的指尖按压前列腺,腰就一颤一颤地弹起。被抛向佐助肩头的双腿,还缠着揉皱的衣服,不住地抽搐着。

鸣人用双手按住埋头在自己胯间贪婪吮吸的男人头颅。本想推开的,却几乎使不上力气,最后只是毫无意义地拨弄着他的黑发。

“啊——!啊…ッ、……嗯…佐助…ッ”

难以言喻的射精感涌了上来。鸣人仰倒在榻榻米上。大张的嘴角溢出唾液,弄脏了榻榻米。那里裸露出来的腰肢,不受鸣人意志控制地扭动。

“要去了……去、去了…要……啊要出来了、要出来了说……放开……啊,要出来了……放开啦……ッ”

猛地腰身一颤,随即感觉到积攒在自己体内的东西喷涌而出。

“啊…啊啊……”

佐助毫不犹豫地将它吸入口中,鸣人茫然地注视着这一切。最后,舌头缠上性器,像榨取般吸吮着。从铃口到最后的一滴都被吸了出来。

“唔……”

抬起脸的佐助寻找着桌上的杯子。他用度数高的酒冲走残留在口中的苦味。真是浓得过分,他这么想着回过头去,鸣人已经脱力,软绵绵地躺在榻榻米上。他伸手抚了抚那头金发。

“今天就到这儿吧。”

说着,帮他整理凌乱的衣物。鸣人像个人偶一样任他摆布。就算被恢复原状,他也只是躺在那儿,把头枕在自己盘起的腿上。佐助爱怜地又摸了摸那颗金发的脑袋。

“刺激太强了吗?”

鸣人把脸颊往男人硬邦邦的大腿上蹭了蹭。
“已经结束了…?”
“……是啊,续集下次吧。”
被这么说,头被抚摩着。鸣人吸了吸鼻子。在被膝枕的位置,佐助的气味很浓,他知道那黑色衣装之下,他的雄物也有了反应。

“……七代目?”
鸣人回想起前几天被佐助抱住时的情景。并不是他刻意要去回想。只是无论白天还是黑夜,在某个不经意的作业或思考的间隙,那个夜晚的记忆就会不由自主地突然浮现。
虽然没有插入,甚至也没看到对方的肌肤,但那几乎就跟被抱了一样。胯间被舔得湿漉漉的,屁股的洞里被塞进舌头和手指,一边被吸着性器,一边像个傻瓜似的被弄得直喘,然后被送上了高潮。
他从没体验过那样晕眩般的快感。女人每次都是这么舒服的吗?鸣人想。那样的话,她们会喘会叫的原因就说得通了。嘴巴合不拢,发出连自己都不敢相信的甜腻声音,寻找更舒服的地方,腰不由自主地扭动起来。
腰际又开始隐隐发热,鸣人猛地摇了摇头。然而过一会儿,意识又飘远了。
“……我说,喂,七代目”
佐助说过“下次再说”。下次……下次是什么时候呢。那个浪人,又在音讯全无中周游列国好几天了。下次回来时,他会对自己做什么呢。
上次鸣人也完全没想到会被往那种地方倒酒。下次他也会从自己意想不到的地方攻过来吗。只有过极其正常男女闺房经验的鸣人,对初次的体验怀揣着不安与期待。
鹿丸终于叹了口气,从旁边晃了晃呆站在坛上的火影的肩膀。
“七代目火影。醒醒”
“……啊”
鸣人挺直了身体。眼前是排成整齐队列,背着手直立站立的忍者们。他们即将前往边境镇压内战任务,个个神情凛然,但坛上的火影迟迟不开始名为训话的鼓舞,他们的目光里带着些许困惑。
鸣人慌了。我竟然在如此重要的场合想起了不得了的事情。
“嗯——,啊……”
他清了清嗓子。糟糕,昨晚整理好并记住的致辞,全都飞走了,一个字也想不起来。鸣人内心冒着冷汗,说出了在类似的坛上场合中最后总会说的套话。
“你们的活跃将成为和平的基石。请全力以赴。”
他用尽可能严肃的表情听着响亮的应答声,同时在心中暂且松了一口气。
走下坛时,擦肩而过之际,顾问似乎用眼角余光责备地瞪了他一眼,大概。鹿丸很敏锐。自己那隐秘的追忆,说不定已经被他一眼看穿了。鸣人跟在斜后方,战战兢兢地走着,果然,鹿丸压低声音忠告道。
“太钻牛角尖了。昨天也熬夜了吧。”
带着担忧的话让鸣人既松了一口气,又感到一丝愧疚,他对从旁投来关切目光的顾问咧嘴一笑。
“我没事的啦。”
“……是吗?”
随着时间推移,愧疚感越来越大,鸣人从似乎还想说什么的鹿丸身上移开了视线。他反省着。对集合的忍者们也过意不去。即将奔赴战场的他们面前,自己竟然在想这种事。
“七代目,能稍微打扰一下吗?”
出现在一旁的祭搭话,鸣人从无尽的自我厌恶中回过神来。
三日前、サスケは夜中に戻ってきた。
二週間ぶりにナルトの前へと現れた男は、
「やあ」
なんて気の抜けた挨拶をした。ひょっこり現れて姿を消すことの多い男だ。今日も今日とて、任務の報告書を数枚、机に放っておいて、ついでに差し入れの握り飯を置いて、何食わぬ顔で立ち去ろうとするので、ナルトは引き止めた。
「おい、待てってばよ」
サスケは「ん?」と片眉を上げて振り返る。
朝がだるくてぶすっとしている顔も、色っぽい目元も、火影室の隅にいる男は実に綺麗だった。
「た、大した用じゃねぇけど」
「...なら」
帰るわ、と言いかけたサスケの袖を慌てて掴む。逃げる気満々のこの男を捕まえておくには格好の餌を与えなければならない。この前のことを、あれを、まだ終わらせないで欲しいというのが、ナルトの中にずっとくすぶり続けている本音だ。
「なあサスケ、今日は泊まってってくれねえか」
彼の顔を見上げて言った。少し控えめに、しかし消え入りそうな声では出さないように。
「……何だ?」
サスケは意表を突かれたように、目をまん丸に見開いて返した。ナルトの方をきちんと見てから、ふ、と鼻で笑う。これは上手くいく。ナルトは手応えを感じる。
「なあ、今日は泊まってくってばよ。俺が部屋を用意する。久しぶりに一杯やろう」
「部屋は…元々今日は泊まるつもりだ。お前んちに」
サスケに言われてナルトは首を傾げた。
「うちに泊まるつもりだったのか?」
「いけねえか?」
「いや、行けないってことはないけど。てっきりサスケは……」
ナルトは言葉を切った。サスケの前では迂闊に言葉を出すのは危険だ。口を滑らせたところを、前回はどれだけ揺さぶられたかわからない。もしかしたら、あの展開はぜんぶ、サスケの掌の上だったんじゃないか、と思ってしまうほどだ。
「何だ」
「何でもねェ」
軽い沈黙が落ちる。二人分の呼吸だけが、職場の個室を満たしていた。サスケは手に持っていた書類を机の上に置いた。
「今日は、もう出る。前回と同じ時刻に迎えに来い」
「サスケ」
「さっきから何を心ここに在らずでぼんやりしてる」
言い当てられて、ナルトは図星を突かれた時の反応をする。あわわと動揺するばかりで、言い訳が浮かばない。サスケはそんなナルトの様子をじっと見つめてから、ゆっくりと口元に笑みを浮かべた。
「...オレの顔に見とれてたとか、言わないよな」
「はぁ!? 見とれてたのはサスケの方だってばよ! 火影の顔、じっくり見つめて!」
「火影の顔なんか見てねェよ」
そっけない声で言い、サスケは顔を上げた。ナルトはぱちぱちと目を瞬かせた。
「...? じゃあ、何を見てたんだってば」
「すり鉢」
「すり鉢?」
まさかの答えにナルトはきょとんと首を傾げる。サスケは言いにくそうに眼を伏せて、
「俺がこないだここに来た時、薬研で何かをすり潰してただろ。すり鉢、新しいのにしたのか」
「あー、あれか。粉にしとくと便利だってサクラちゃんが」
それを聞くと、サスケは大儀そうに、ふぅん、とだけ相槌を打った。すり鉢の話の何が面白いのか、サスケの口元は微かに綻んでいる。
ナルトはますます不思議な心地がする。サスケの視線は手元の湯呑みに注がれた湯気に向いている。立ったまま湯飲みを一口含み、温かい緑茶を喉へと流し込んだ。
「おい、いつまでお前の部屋に居座ってるつもりだ」
「オレの家だからいいだろ」
「オレの家だ」
確かに、ナルトが居座っているのはサスケの家である。最近サスケはナルトの部屋にまで通い込んでいて、ナルト自身もまたサスケの家を根城にするようになっていた。お互いの私物がそれぞれの部屋に増えていて、実質半同棲みたいなものになっている。本人たちの自覚はさておき、木ノ葉の忍たちの間では既にそういう前提が共有されている。
「風呂、沸いてる」
のぼせ上がった身体を夕風が冷ましていく。庭で火を熾して風呂を焚くタイプの家は、湯船の中で今夜の酒の算段をしたり、身体を洗いながらしみじみと余韻に浸る。髪を拭きながら、ナルトは今朝の自分の失敗を思い返して、内心で苦い顔をする。
これまで彼女がサスケのことをあれこれ考えているのを、口に出すことはないけれど。

译文:
佐助压到自己身上来。那时鸣人注意到,自己被捏住根部而萎靡下去的阴茎,又一次扬起了头。还没来得及想为什么,佐助就一口含了上去。被吸吮的同时前列腺被狠狠按压,快感太过强烈,鸣人挺起了腰。

“啊——…!”

被吸得发出“啾噜”的水声。每次硬硬的指尖碾压前列腺时,腰肢便随之痉挛、抽搐。被甩到佐助肩头那边的脚,裹着皱巴巴的衣服,不住地颤抖。

鸣人用双手按住那个贪婪地埋在自己胯间的男人的头。本意是想推开他,却几乎使不上力气,最后只是毫无意义地搅乱了那头黑发。

“啊——!啊…嗯…,……佐助…!”

难以言喻的射精感涌了上来。鸣人仰面弓起腰身。大张的嘴角溢出唾液,弄脏了榻榻米。那一片裸露的腰肢,不受鸣人的意志控制般扭动蠕动。

“要去了……去、要去……要出……啊啊要出来了,出来了啦……放开……,啊,要出来了……放开我……!”

腰部猛地一弹,随即感觉到积蓄在自己体内的东西一股股地喷射而出。

“啊……啊啊……”

鸣人茫然地看着佐助毫不迟疑地吮吸着那里。最后,舌头缠绕上来,像榨取一样吸吮着。直到铃口最后一滴都被吸走。

“嗯……”

佐助抬起脸,寻找桌上的杯子。他用烈酒冲掉残留在口中的苦味。真是够浓的,他想着转过头,只见鸣人已经脱力地瘫躺在榻榻米上。他伸手抚了抚那金色的头发。

“今天就到这儿吧”

说着帮他整理好凌乱的衣服。鸣人像个人偶一样任他摆布。即使被恢复原状,他依然躺着,把头轻轻靠在盘腿而坐的自己腿上。佐助怜爱地再次抚了抚那颗金发的脑袋。

“刺激太强了?”

鸣人把脸颊贴在男人结实的大腿上蹭了蹭。

“已经结束了...?”

“……是啊,剩下的,改天再说吧”

被这样说着,头发被抚弄。鸣人吸了吸鼻子。在被膝枕的位置,佐助的气味很浓,他知道黑色衣装下,他的雄器也有了动静。

“……七代目?”
鸣人正回想起前几天被佐助抱住的事。并非刻意去回忆。而是白天也好夜晚也好,在某个不经意的作业或思考的空隙里,那晚的记忆总会擅自浮现。
没有被插入,甚至连对方的肌肤都没看到,但那几乎就等于被抱了。胯下被舔得一塌糊涂,后穴里被塞进舌头和手指,含着性器被搞得像痴傻一样喘息,还被弄到了高潮。
从没有过那样令人头晕目眩的快感。女人是不是总是那么舒服呢,鸣人想。如果是那样的话,会喘着气忘情呻吟的理由就明白了。嘴巴合不拢,发出连自己都不敢相信的甜腻声音,去寻找更舒服的地方,腰开始擅自扭动。
腰腹又开始慢慢发热,鸣人猛地摇了摇头。尽管如此,过一会儿他又会出神地发起呆来。
「……我说,喂,七代目」
佐助说“下次再说”。下次……下次,是什么时候呢。那个浪荡子,又音讯全无地在各国游历。这次回来的时候,会对自己做什么呢。
上次鸣人也万万没想到佐助会把酒倒进那种地方。下一次,他也会从自己意想不到的地方攻过来吗。只经历过极其正常男女之事的鸣人,对初次体验抱着夹杂不安的期待。
鹿丸终于叹了口气,从旁边摇晃着站在坛上发呆的火影的肩膀。
“七代目火影。醒醒。”
“……啊!”
鸣人一下子挺直了背。面前是排成整齐队列、反手直立站着的忍者们。他们即将奔赴边境镇压内战的任务,个个神情凛然,但坛上的火影迟迟不开始名为训话的激励,他们的目光里带着几分困惑。
鸣人急了。自己真是的,在这么重要的场合想起了不得了的事。
「嗯,呃……」
清了清嗓子。糟糕,昨晚想好背下的致辞,全部飞走了,一个字也想不起来。鸣人内心冒着冷汗,说出了一句在这种坛上场合最后总会说的套话。
“你们的活跃表现是和平的基石。请全力以赴,尽力而为。”
他用尽量绷紧的表情听着响亮的应和声,心中暂且松了口气。
走下坛时,擦肩而过之际,顾问似乎用眼角余光责备地瞪了他一眼——大概是错觉。鹿丸很敏锐。自己那点隐秘的追忆,该不会已经被他一眼看穿了吧。被跟在斜后方,鸣人正提心吊胆时,果然鹿丸用压低的声音忠告道。
「别太紧绷了。昨天也熬夜了吧」
带着担忧的话语让鸣人一半松了口气,一半又感到抱歉,他对着从旁边投来关切目光的顾问咧嘴一笑。
「我没事的说」
「…是吗?」
随着时间流逝,抱歉的心情越来越大,鸣人从还想说些什么的鹿丸身上移开了视线。得反省。对集结的忍者们也过意不去。在即将奔赴战场的他们面前,自己竟然在想些什么啊。
「七代目,能稍微打扰一下吗」
旁边出现的祭跟他搭话,鸣人便避开了对自己无止境自我厌恶的思绪。佐助跨坐在自己身上。那时,鸣人察觉到被捏住根部而萎靡的自己的阴茎,竟再次缓缓昂起了头。还没来得及想为什么,佐助已经一口含住了它。被吸吮的同时前列腺被用力按压,过于强烈的快感让鸣人挺起了腰。

「啊——…!」
发出啧啧水声般被吸吮着。每当他用硬实的指尖按揉前列腺,腰部就一下一下地痉挛弹跳。被抛在佐助肩头另一侧的脚,裹着皱巴巴的衣服,不住地颤抖。

鸣人用双手按住贪婪地埋首在自己股间的男人的头。本打算推开,却几乎使不上力气,最终只是在黑发间无意义地乱抓。

「啊——!啊…嗯……佐助…」
难以言喻的射精感涌了上来。鸣人在榻榻米上向后仰去。大张的嘴角溢出唾液,弄脏了榻榻米。只有那一带裸露的腰肢,不受鸣人意志控制地扭动磨蹭。
「要去了……要去了要去了……要射……啊啊要出来了,要出来了说……放开……啊,要出来了……放开我…」
腰部猛地一弹,鸣人便感觉到积攒在自己体内的东西正一股股地涌出。
「啊…啊啊……」
鸣人茫然地注视着佐助毫不犹豫地将那些吞了下去。最后舌头缠绕上来,像榨取一般吮吸着。直到铃口最后一滴都被吸走。
「嗯…」
抬起脸的佐助寻找着桌上的杯子。用烈酒冲掉口中残留的苦味。心想“可真浓啊”,他回过头,鸣人已脱力瘫软地躺在榻榻米上。佐助抚了抚他的金发。
「今天就到此为止吧」
说着,替他把凌乱的衣服整理好。鸣人像个人偶一样任他摆布。即使被恢复了原状,他依然躺在那儿,将自己的脑袋轻轻靠在自己盘起的腿上。佐助怜爱地又一次抚摸了那颗金色的脑袋。
「刺激太强了吗?」
鸣人将脸颊贴在男人那硬邦邦的大腿上蹭了蹭。
「已经结束了…?」
「……是啊,剩下的,改天再说吧」
被这样说着摸了摸头。鸣人抽了抽鼻子。就在被膝枕的位置,佐助的气味浓郁,他知道在那黑色装束之下,对方的雄性器官也正微微抬头。

“...七代目?”
鸣人正在回想前几天被佐助抱住时的事情。倒不是刻意要去回想。只是不论白天黑夜,在某个不经意的作业或思考的间隙,那一夜的记忆总会突然擅自播放。
虽然并没有插入,而且老实说也没看到对方的肌肤,但那几乎就等同于被抱了。胯间被舔得一塌糊涂,后穴里被舌头和手指捅入,含着性器时像痴了一样被弄得喘息、高潮。
从来没体验过那么令人晕眩的快感。女人每次都是那么舒服吗?鸣人想。既然如此,呻吟娇喘的理由也就明白了。嘴巴合不拢,发出不像自己的甜腻声音,寻找更舒服的地方,腰会自己扭动起来。
腰间开始温热起来,鸣人猛地摇了摇头。但过一会儿,意识又飘飘忽忽地飞走了。
“……喂,我说,七代目”
佐助说过“下次吧”。下次……下次是什么时候。那个漂泊者,又音信全无地在各国游荡。下次回来的时候,会对自己做什么呢。
上一次,鸣人也没想到佐助竟然会把酒倒进那种地方。下一次,他也会从自己意想不到的地方攻过来吗。只有过极其普通男女之事的鸣人,对初次的体验抱有夹杂不安的期待。
鹿丸终于叹了口气,从旁摇醒了在台上呆呆站着的火影的肩膀。
“七代目火影。醒醒”
“……啊”
鸣人一下子站直了。眼前是排着整齐队列、反手直立站着的忍者们。他们即将前往边境执行镇压内战的任务,个个表情英武,但台上的火影迟迟不开始名为致辞的鼓舞,因此目光中带着些许困惑。
鸣人慌了。我这是在要命的场合想起了不该想的事。
“呃,啊……”
干咳一声。糟糕,昨晚整理好背下来的致辞,全飞了,一个字也想不起来。鸣人内心捏着冷汗,说出了在类似的台上场面最后总会说的老套话。
“你们的活跃将成为和平的基石。请竭尽全力。”
他尽量用紧绷的表情听着响亮的回应,心中暂且松了口气。
下台时,擦肩而过的瞬间,顾问似乎用眼角余光责备地瞪了他一眼——大概是自己的错觉。但鹿丸很敏锐。他会不会已经一眼就看穿了自己那些隐晦的回忆?鹿丸跟在斜后方,鸣人正战战兢兢时,果不其然,鹿丸压低声音忠告道:
“别太紧绷了。昨天也熬夜了吧?”
这句透着担忧的话让鸣人一半安心,一半愧疚。他转向从旁担心地看着自己的顾问,咧嘴一笑。
“我没事的说。”
“……是吗?”
随着时间流逝,愧疚感迅速膨胀,鸣人从似乎还有话要说的鹿丸身上移开了视线。他在反省。也对聚集的忍者们感到抱歉。在即将奔赴战场的他们面前,自己居然在想些什么啊。
“七代目,能稍微打扰一下吗?”
旁边出现的祭向他搭话,鸣人陷入了无尽自责的深渊。
他刚才在回想前几天被佐助拥抱的事。并不是刻意去回忆。只是白天也好夜里也好,在不知不觉的作业或思考的间隙,那晚的记忆会突然擅自地自动播放出来。
虽然并没有插入,甚至也没有看到对方的肌肤,但那种程度几乎和做爱无异了。大腿根被舔得一塌糊涂,后穴里被塞了舌头和手指,含着性器的时候像发呆一样喘息着被送上了高潮。
从来没有过那样晕乎乎的舒服。女人平常都这么舒服吗,鸣人想。这样的话,会喘会叫的理由就能理解了。嘴巴合不上,发出自己都难以相信的甜腻声音,然后去寻找更舒服的地方,腰不由自主地扭动起来。
腰肢开始隐隐发热,鸣人摇了摇头。可是没过多久,他的意识又不知不觉地飘走了。
“……我说,喂,火影大人”
佐助说过,下次吧。下次……下次,是什么时候呢。那个漂泊者,又在好几天里音信全无地云游列国。等他下次回来的时候,会对自己做什么呢。
上次,鸣人也万万没想到佐助会把酒倒进那种地方。下一次,他也会从自己意想不到的地方攻过来吗。只有过最寻常男女床笫之事的鸣人,对于这初次的体验,怀着不安交加的期待。
鹿丸终于叹了口气,从侧面摇了一下呆呆站在高台上的火影的肩膀。
“七代目火影。醒醒”
“... 哈”
鸣人猛地站直了。面前是排成整齐队列、反手直立站着的忍者们。他们即将前往边境执行镇压内战的任务,人人脸上都带着凛然的神情,但站在高台上的火影迟迟没有开始以训话为名的鼓舞,他们的目光便显得有些困惑。
鸣人慌了。我这可是在不得了的场合想起了不得了的事情啊。
“呃——,啊——...”
他清了清嗓子。糟了,昨晚明明整理好并背下来的致词,全被忘得一干二净,一个字也想不起来。鸣人心里捏着一把冷汗,说出了他在类似的高台场景下最后都会说的那句套话。
“你们的活跃将成为和平的基石。竭尽全力,全力以赴。”
他用尽量绷紧的表情听着回响而来的气势十足的口号,心中却暂且松了一口气。
走下高台时,擦身而过之际,顾问似乎斜眼责备地瞪了他一眼,——大概是这样的感觉。鹿丸很敏锐。自己的隐晦追忆,说不定已经被他一眼看穿了吧。被鹿丸跟在斜后方,鸣人战战兢兢的,果不其然鹿丸压低声音忠告他:
“太操劳了。你昨天也通宵了吧。”
这带着担忧的话语让鸣人一半安心,一半抱歉,他向侧面投来担心视线的顾问回以一笑。
“没事啦。”
“……是吗?”
随着时间流逝,愧疚感越来越大,鸣人从还想说些什么的鹿丸身上移开了视线。自我反省。也对聚集的忍者们感到抱歉。在他们即将奔赴战场之前,自己居然在想这种事。
“七代目,能耽误一下吗?”
出现在他身旁的祭搭话,鸣人从无尽自责的思绪中回过神来。
原来是岩隐村的使者来了。现在就要开始交涉。当祭说出联络事项时,刚才还在体内喧嚣的追忆已经安静下来,鸣人的表情自然地切换成火影的端正面容。
他微微收紧下颌,抚平衣襟。在离开时,他向鹿丸轻轻点头示意,鹿丸也以几乎难以察觉的幅度回以颔首,目送着他离去。佐助跨坐到自己的大腿根上。那时,鸣人注意到,自己明明被捏住根部而萎靡的阴茎,竟又倏地抬起了头。还没来得及想为什么,佐助已经一口含了上去。被吸住的同时前列腺也被狠狠按压,太过强烈的快感让鸣人挺起了腰。

“啊——…!”

吸得啧啧作响。每一次坚硬的指尖按压前列腺,腰就猛地弹跳一下。被抛在佐助肩头另一侧的腿,还缠着皱巴巴的衣服,止不住地微微颤抖。

鸣人用双手按住那颗埋在自己腿间贪婪吞吮的头颅。本想推开的,却几乎使不上力,最后只是毫无意义地拨弄了几下那头黑发。

“啊——!啊……嗯、……佐助…!”

一股说不出的射意涌了上来。鸣人仰躺在榻榻米上。张开的嘴角溢出唾液,弄脏了榻榻米。那截裸露的腰身,不受鸣人意志控制地扭动。

“要去了……要去要去了……要射了……啊,要出来了,出来了说……放开……,啊,要出来了……放开我……!”

腰部猛地一弹,紧接着,他感觉到积聚在体内的东西正从自己体内一股一股地涌出。

“啊……啊……”

佐助毫不犹豫地将它吮吸咽下,鸣人茫然地注视着这一切。最后,舌头缠绕上他的性器,像是撸动一般地吸吮着。直到铃口最后一滴都被吸了出来。

“嗯……”

佐助抬起头,在桌上找杯子。用烈酒冲掉口中残留的苦味。正想着味道真浓,回头一看,鸣人已脱力瘫软在榻榻米上。他伸手抚了抚金色头发。
“今天到此为止吧。”
说着替他整理好凌乱的衣服。鸣人像个人偶一般任他摆布。即使被恢复原状,他依然躺着,把头枕在自己盘起的腿上。佐助怜爱地再次抚摸了那金发的脑袋。
“刺激太强了吗?”
鸣人把脸颊贴在男人结实的大腿上。
“已经结束了…?”
“…是啊,剩下的,下次再说吧”
说着,他轻抚鸣人的头。鸣人吸了吸鼻子。在被膝枕的位置,佐助的气味很浓,他知道在黑衣之下,他的雄性也已抬头。

“...七代目?”
鸣人正在回想前几天被佐助抱住的事。并不是刻意回忆。只是无论在白天还是夜晚,在某个不经意的作业或思考的间隙,那一夜的记忆总会突然自己浮现出来。
虽然没有被插入,甚至也没看到对方的肌肤,但那几乎就等于是被抱了。胯间被舔得一塌糊涂,后穴被舌头和手指侵入,一边被吸吮着性器,一边像傻了一样喘息着,被送上了高潮。
那样的快感是第一次,让人头脑发昏。女人平时都那么舒服吗?鸣人想。那她们会喘着气呻吟的理由就说得通了。嘴巴合不拢,发出连自己都不敢相信的甜腻声音,寻找更舒服的地方,腰自己动了起来。
腰腿开始隐隐发热,鸣人摇了摇头。可过一会儿,他又不知不觉地失了神。
“……喂,我说,七代目。”
佐助说过“下次吧”。下次……下次,是什么时候呢。那个云游四方的人,又是好些天毫无音讯地在各国流浪。这次回来,会对自己做什么呢。
上次,鸣人也万万没想到会被往那种地方倒酒。下一次,也会从自己意想不到的地方攻过来吗。只经历过极其普通的男女之事的鸣人,对第一次的体验,抱着夹杂不安的期待。
鹿丸终于叹了口气,从旁侧摇晃了一下站在坛上发呆的火影的肩膀。
「七代目火影。醒醒啦」
「……哈啊」
鸣人一个激灵站直了。眼前是排成整齐队列、背着手直立而立的忍者们。他们即将前往边境镇压内战,个个神情凛然,但坛上的火影迟迟不开始名为训话的鼓舞,眼神里便带了些许困惑。
鸣人慌了神。自己居然在这么重要的场合想起了了不得的事。
「呃,嗯……」
他清了清嗓子。糟了,昨晚明明理好思路背下来的致辞,现在居然忘得一干二净,一个字都想不起来了。鸣人一边在心里冒冷汗,一边说出在这个坛上类似的场合最后总会说的老套话。
「你们的活跃将成为和平的基石。竭尽全力,尽己所能。」
他尽可能以严肃的表情听完那响亮的应和声,同时在心中暂且松了一口气。
走下高台时,他感觉顾问似乎用眼角余光责备地瞥了自己一眼。鹿丸很敏锐。自己的那点隐秘追忆,会不会已经被他一眼看穿了。被斜后方的人跟着,鸣人正战战兢兢,果然鹿丸压低声音告诫道:
「神经绷太紧了。昨晚也熬夜了吧」
这带着担心的台词让鸣人一半安心,一半抱歉,他朝着从旁投来关切目光的顾问咧嘴一笑。
「我没事的啦」
「……是吗?」
随着时间推移,抱歉的感觉迅速膨胀起来,鸣人从还想说什么的鹿丸身上移开视线。反省。对那些集结的忍者们也很抱歉。在他们即将奔赴战场之际,自己居然在想些什么啊。
「七代目,能借一步说话吗」
身旁出现的祭搭话,鸣人从无尽自我厌恶中回过神来。
祭递过来一卷纸。看起来像是文书。鸣人将其展开。
「这是明早之前需要您过目的文件。说是希望您今天之内给出回复。只是,...出云他们那边好像情况不太对。他们说,「既然有文件要看,就至少应该在结束之前不离开办公室。每次都是这样」... 情绪相当不好。」
将一叠堆在办公桌上的文件交到手里,祭又补充道:虽然鸣人的桌上摆着影分身,让他们处理文件。
嗯,这么一说确实如此。比起因为村里的工作而逃出去,分身在办公室里做文书工作的形象更合适。自己却总是在这种时候跑去吃一乐拉面什么的。虽然在店内吃的话,有什么事他们也会来叫我,但似乎容易被认为是在偷懒。鸣人不禁有些不好意思。
大概是放弃了吧,シカマル也没有责备他。不,或许应该理解为:那个人已经习惯了自己是个工作狂,所以虽然担心他的身体,却不会说工作上的坏话。至于那些不足的部分,他自己和其他分身已经填补上了吧。想起来确实,自己的桌面常常比预想中要整洁,应该是有人在帮忙整理。作为火影虽然已经到了能被依赖的地步,但这样下去总觉得不太好,得加把劲才行。

穿过连廊来到外面,天色已经暗了下来。木叶隐村到了傍晚,街上亮起了暖色的灯光。护卫的暗部也趁换班的间隙离开了,现在身边空无一人。

ナルトは足を止め、空を見上げた。西の空は、わずかに茜色の名残をとどめている。遠くでは夕焼けに照らされて、山の稜線がくっきりと浮かび上がっていた。
「さて」
また今日も、何かしらサスケのことを考えて終わった一日だった。無理もない、とナルトは思う。性というものを初めて知らされて、理性を根底から揺さぶられるような快楽というものを初めて味わったのだ。しばらくはこの感触を忘れることができないだろう。──あれからもう十日以上経つというのに。
それに。あれからサスケは連絡もない。いや、いつもそうだ。彼は何も言わずに居なくなるのが常で、帰ってきて、また何も言わずにいなくなる。これまで何年も、ナルトはそれを思い知らされてきた。それが今回に限って、こんなにも待ち遠しく感じるのはなぜだろう。
キッチンで湯を沸かして、お湯呑みにインスタントの味噌汁を注いでいる時、冷蔵庫を開けて、中に入っていた昨日の残りのカレーを出した時、窓から差し込む陽の光に埃が舞うのを眺めた時。ふとした瞬間に「今頃、どこで何をしてるんだろうな」と思う。
考えてることを遮るように、扉がノックされた。昼下がりの役所には珍しい来客だ。
「はい」
「おう、ナルト。悪い、急用だ」
「ん? ああ……サスケ」
招き入れた相手は、考えていた張本人、サスケだった。いや、考えていた張本人、というか、考えていた本人というべきか。ナルトの動揺に気づかず、サスケは火影のオフィスをきょろきょろと見回す。背中には愛用の刀を背負っている。こんなところまで入って来たのか。
「...帰って来てたのか」
「ああ。それより、その恰好...。木の葉のはじっこのほうは、まだ冷えるのか」
「は? あー…」
サスケの視線は、ナルトの太腿のあたりに向けられている。今日のナルトはラバーのショーツを穿いていた。火影庁舎に着く前にトイレで、出がけにちょっと仕込んでおいたのだ。勤務中にこっそり股間を弄ぶためのお守り代わりである。
「...いや」
股間を気にする視線に思わずナルトは股間を手のひらで隠す。まさか、気づかれているのか。
「見え見えだ」
一蹴したサスケは口元に笑みも浮かべず、強い眼差しのままこちらを見下ろしていた。ナルトはたじろぎつつも口を開く。
「ちょっと、試してみたくて...」
「そうか。まあ、身体に障らなければいいが」
サスケはこの件には興味がないと言わんばかりに、何事もなかったようにあぐらを組み直した。ナルトは鼻白んだ。なんというか、しょっぱいというか。前回の上り詰めたあとの余韻が脳裏に焼きついて、まだ色濃く残っているというのに、本人はいたって飄々としている。
その後気がついたのだ。あれ以来、自分はサスケの視線を無意識のうちに探している、と。見つけても何か用があるわけではない。どこにいるのかを目で追って、それで満足してしまう。
なんでだろうな。おかしいな、と思いながらも、あの日から無自覚に視線でサスケを探してしまう自分がいる。戦場でナルトが豪快に前へ出て敵を蹴散らすと、遠くで見ていたサスケと目が合った。まるで曳かれるように視線を絡ませたまま、時間が止まったかのように錯覚する。何か言わなければ、何かしなければ、という焦燥が胸の内から湧いてくるのに、喉の奥に言葉はひっかかったままだ。
サスケは目が合うと、ふい、と視線を外した。するとナルトの中の時間が再び動き出す。
「七代目、何してるの。見せ場だよ」
サイの声にナルトははっとした。ぽかんと戦場を見下ろしていたらしい。撒かれた煙幕が晴れて、何やら儀仗兵みたいな格
佐助被叫到,转过身来。鸣人站在那里。

鹿丸也看向那边,微微皱了皱眉。鸣人的气氛与平时不同。怎么说呢,若要比喻的话,像是湿漉漉的气息。


先让鹿丸去开会,火影室里只剩两人时,佐助立刻抓住鸣人的左手,把他拖进了隔壁的休息室。

那光景像是被强行拽进去的,但鸣人认真起来的话,不可能挣不开佐助的手。他没有抵抗,任对方牵着手,被推进了狭小的房间。

鸣人知道佐助为什么突然这么做。因为自己说了,今天可能没法早点结束。

「佐助……唔嗯っ」
被按在墙上,唇被唇堵住。从最初就钻进来的舌头,为了不咬到,鸣人把嘴张得很大。就在下巴快要脱臼的时候,男人的舌头用力搅动了一下。上颚被刺激得连呼吸都困难,鸣人发出了从鼻腔漏出的闷哼声。

「嗯啊……嗯……、嗯…」
滴落的唾液被咻地吸走。佐助似乎有些生气。证据就是下唇被狠狠地吸了一下。

「唔…」
被啾地一声放开的时候,鸣人呼出一口气,开始辩解。
「……可是你今儿不是没说回村儿嘛……」
「任务提前结束了」
「哦……」
「发生了不找火影商量就无法推进的事态」
「……是吗」
见鸣人兴致缺缺,佐助挑起一边眉毛。
「你以为我在为谁工作?」
「……是为了村子吧。」
说完,佐助哼了一声。他猛地拉下衣服的拉链。鸣人发出为难的声音:“佐助。”火影的日程是按分钟计算的,没空在白天做这种事。
“佐助,我接下来还要开会……”
佐助忙着吸吮舔舐火影露出的脖颈。平时被严密遮掩的肌肤不怎么晒得到太阳,极其光滑,让人上瘾,想一直吮吸下去。
鸣人把头靠在墙上,微微倾斜,将正被舔舐的那侧脖颈露了出来。他顺着环抱住自己的那只手臂的肌肉,抓住了那厚实的肩膀。然后推了推,却被佐助用鼻子嗤笑,因为实在太没用力了。
“要开会了,佐助”
“……什么的?”
佐助一边轻咬着他的耳垂一边问。鸣人吐着快要融化的气息回答。
“C,级任务的报告会……”
“那具体是要决定什么的场合?”
舌尖探入耳廓。鸣人一边忍耐着那令人发麻的感觉,一边说道,那个……
“就是……大家看各自的任务完成率……重新考虑小队编成,或者任务分配……的会议……的说……”
“用影分身去不就行了”
佐助冷淡地说。鸣人正想说可是,佐助却故意粗鲁地隔著衣服抓住了他的胯间。
“让影分身去。否则我就让你硬得更加厉害,顶着那玩意儿没法见人。”
而且,他在通红的耳边低语:
“其实你本来也不想去吧。”
“别以为能瞒过我。”他继续说,鸣人用眼角的余光瞪向男人。确实如此——从看到佐助的那一刻起,那晚的记忆就在脑海里循环播放,他心里盼着“快点”。
在被迫说出“快点”究竟是想快点什么之前,鸣人主动吻上了男人那恶趣味的唇。结实的手臂绕过宽阔的肩膀,结出早已熟练的手印。随着烟雾一同出现的自己的影分身,露出了“有很多话想说”的表情。鸣人一边吻着男人的唇,一边朝影分身挥了挥手,将他赶走。
啪嗒,薄门关上的同时,佐助的拥抱紧了起来。方才只是在缝隙间轻轻舔舐的舌头,深深探入进来。
「唔…」
男人的大手想撩起鸣人的贴身T恤,但难得地显出一只手忙不过来的样子。急躁的鸣人自己用双手把T恤一直卷到领口。乳头接触到外气,变硬了。吻分开,拉出唾液丝线。
“……怎么了?”
佐助故意问道。
“……舔啦……”
鸣人故意口齿不清地央求道。
佐助“嚯”地一声,像是佩服的样子,用食指按扁了挺立的乳尖。鸣人抿住嘴忍住快要漏出的声音,佐助在他脸颊上响亮地亲了一口,说:
“你倒是学会撒娇了。”
鸣人还没来得及回嘴,佐助便含住了另一边没被碰过的乳尖。它比糖球还小,佐助怜爱地吸了又吸。啾、啾、啾,被这样反复吮吸,鸣人的膝盖渐渐脱力。他靠着墙壁滑坐下去,把男人抱进自己立起的双膝之间。
“你,接下来几点有安排……?”
佐助一边吮着乳尖一边问,鸣人有些惊讶。
“哎?……那个,会议四十分钟,之后空五分钟,接着是暗部的报告会议。”
佐助依旧用舌尖玩弄着乳尖,浅浅地点头。暗部那帮人聚集的会议,自然不能让火影的影分身去应付。那位直觉异常敏锐的长官,事后肯定会狠狠挖苦或报复一番。鸣人某次酒会上被佐井整过的事,佐助一直牢记在心。
那么合计只有四十五分钟,必须抓紧时间。佐助把拨弄乳尖的手指滑向鸣人的腰间。
“佐助……”
鸣人还在把内衣往上卷。
觉得刺激或许还不够,佐助轻轻咬了咬刚才一直在吸吮的乳尖。让牙齿小心地咬住突起的根部,鸣人赤裸的上半身猛地一颤。被叫到名字,佐助回过头。鸣人站在那里。
鹿丸也转头看去,微微皱起了眉。鸣人的气质似乎与平时不同。该怎么说呢,若要打个比方的话,就像是一种濡湿的气息。

先让鹿丸去开会,火影办公室只剩两人,佐助立刻抓住鸣人的左手,把他拖进了隔壁的休息室。
那副光景看起来像是被强行拽进去,但鸣人如果认真起来,要挣脱佐助的手并非难事。他没有抵抗,任他牵着手,被推进了狭小的房间。
佐助为什么会突然做出这种举动,鸣人心里明白。因为自己说了今天可能没法早点结束。

“佐助……唔嗯”
被按在墙上,嘴唇被嘴唇封住了。从一开始就钻进来的舌头,为了不咬到,鸣人把嘴张得很大。下巴快要脱臼的时候,男人的舌头猛然搅动。上颚被刺激得连呼吸都困难,鸣人发出一声从鼻腔漏出的闷哼。
“唔……嗯……,嗯……”
垂下的唾液被吸溜一声吸走。佐助似乎有点生气。证据就是他像要咬人一样用力吸他的下唇。
“唔……”
啵的一声分开的间隙,鸣人呼了一口气,然后开始找借口。
“……可你不是说今天不回村里吗……”
“任务提前结束了。”
“这样啊……”
“发生了不跟火影商量就无法推进的事态。”
“……这样啊。”
鸣人敷衍的回答让佐助挑了一下眉。
“你以为我是为了谁在工作?”
“……是为了村子吧。”
说完佐助哼了一声。他猛地拉下衣服的拉链。鸣人发出为难的声音:“佐助……”火影的日程是按分钟排的,没空在大白天做这种事。
“佐助,我接下来还有会议……”
佐助忙着吸吮、舔舐火影露出的脖颈。平时被严严实实遮住的皮肤没怎么晒过太阳,异常光滑,让人上瘾,想要一直吸下去。
鸣人把头靠在墙上,歪向一边,把被舔的那边脖颈暴露出来。沿着抱住自己的那只手臂的肌肉,抓住那厚实的肩膀。然后推了推他,但力道轻到被佐助用鼻子嘲笑。
“马上要开会了,佐助”
“……什么的?”
被轻轻咬住耳垂的同时被问道。鸣人吐出快融化的气息回答。
“C,级任务的报告会……”
“那具体是决定什么的场合?”
舌尖探入耳廓。一边忍受着令人毛骨悚然的感觉,鸣人一边“呃—”地回答。
“就是……大家一起看每个人的任务完成率……重新考虑小队编制、任务分配……的会议,我说。”
“用影分身不就行了”
佐助毫无表情地说。他隔着衣服故意粗鲁地抓住正要说出“可是”的鸣人的胯下。
“让影分身去。不然我就让你硬着这儿,没法在人前露面。”
他顿了顿,在通红的耳边低语。
“其实你也不想去吧。”
“别以为能瞒过我。”鸣人斜眼瞪了男人一眼。确实如此,从看到佐助的那一刻起,那晚的记忆就在脑海里反复播放,他希望他快点。
在被逼着说出希望快点做什么之前,鸣人主动吻上了男人那使坏的嘴唇。他用环绕在壮硕肩膀上的手臂末端,结出熟悉的印。伴随着烟雾出现的自己的影分身,一副有很多话想说的表情。鸣人一边吻着男人的唇,一边挥手将其赶走。
薄薄的房门“啪嗒”一声关上的同时,佐助环抱的力度变强了。刚才只是轻轻舔舐的舌头,深深地侵入进来。
“唔……”
大手想要掀起鸣人的内衣,但难得地露出了单手忙乱的样子。等不及的鸣人自己用双手把衬衫撩到脖颈处。接触到外气的乳头硬了起来。亲吻分开,拉出唾液丝线。
“……怎么了?”
佐助故意问道。
“……舔嘛……”
鸣人故意用含糊的口吻撒娇。
佐助“嚯”地一声,像是很佩服似的,用食指按压硬挺的乳头。鸣人咬紧嘴唇忍住差点漏出的声音,佐助在他脸颊上响亮地亲了一口,说:
“学会像模像样地撒娇了啊。”
鸣人还没来得及回嘴,佐助便将另一侧未被触碰的乳粒含入口中。比糖果还小的那一粒,被他爱怜地啧啧吸吮。被一次又一次地吸吮着,鸣人膝头渐渐脱力。他贴着被按住的墙壁滑坐下去,将男人拢入自己立起的双膝之间。
“你下一个安排,几点?”
一边吸着乳首,佐助一边问道,鸣人有些惊讶。
“诶?……嗯,会议四十分钟,之后有五分钟空档,然后是暗部的报告会议。”
佐助依旧用舌尖逗弄着乳首,一边浅浅地点了点头。暗部众人聚集的会议,总不能把火影的影分身派过去。那位直觉异常敏锐的长官大人,事后必定会尖刻地讽刺或报复回来。鸣人在居酒屋被佐井整过一次的事,佐助一直记在心里。
那么,合计只有四十五分钟,得抓紧时间了。佐助把玩弄乳首的手指探向鸣人的腰间。
“佐助……”
鸣人还卷着内衣下摆。
可能刺激还不够,佐助轻轻咬了一下一直在吸吮的乳首。将牙齿小心地抵在突起的根部,鸣人裸露的上半身猛地一颤。

軽く噛んだだけだが、鳴人の反応は思った以上に大きくて、サスケはわずかに気を良くした。余裕の笑みが唇に浮かぶ。
「ふ…やっぱ、触られてぇとこ、お前も変わんねぇな」
「…っ、サスケ、ここでそういうこと言わなくていい」
照れて口元を隠そうとした手を、サスケはそっと握りこんだ。もう片方の手でナルトの腰に直接触れる。彼が纏った火影の衣の下で指が蠢いた。
仮眠室に引きずり込まれる前に会議に出て行ったシカマルを思い出し、さっきの話を忘れていなかったかどうかとナルトは考えたが、サスケの手がその場所に触れた瞬間、考えることは全部、溶けて消えていった。
白い足の付け根を撫でて、臍から下にいって、そっと握り込む。上下に軽く扱くと、ナルトは、あ、と短い声を漏らした。
「んっ……ぁ…」
「…真っ直ぐだな」
口の中で呟くように言って、サスケは付け根から先まで舐め上げる。逞しく脈打つそれは、熱く、苦しいほどに硬くなっていた。
「あっ…」
鎖骨まで辿り着いたところで唇を離し、まろび出た火影の下腹を見下ろして言う。
「触って欲しい?」
ナルトは首を横に振った。もう触って欲しい、とは言わせない。意地が悪い。男はそんな思考を読んだように、こてんと首を傾げて見せる。
「じゃあ、どうして欲しい?」
夜の逢瀬の時、二回ほど強烈な思いをさせられて、身体が記憶しているのだ。素直に喘げば、激しく可愛がってくれることも。恥ずかしげにねだれば、ちゃんと教えた通りにするところまで持っていってくれることも。
だから今日は、素直にねだることを覚えた。
「…舐めて」
喉の奥から絞り出す。
「舐めて…いいところ」
だがサスケは、一度聞いて、なんのことやら、とでも言いたげに首を傾げる。
「…え?」
意地悪な男だ、とナルトは思う。ここまで言わせておいて、それ以上の言葉を引き出そうとしている。男の手が腰骨の上で待っている。すらりとした指の先が、するりと布越しに竿をなぞった。
「んっ……」
これだからイヤなんだ。直接肌を触られて気持ち良い、だとか、上手い、だとか言うのはまだいい。欲しい場所をねだるのが、ひたすらに恥ずかしい。
「し、四十五分しかねぇんだから…いい加減にしろってばよ…」
言いながらもナルトは自分の手で寛げたベルトを解き、前を開いてやった。それを見て男が喉で笑う。耳元でそう笑われて、ナルトはかっと頬に血が上る。
「…文句があるなら舐めてやってもいいぜ」
「いや、イイ。今のお前に癪に障った。そのままでいろ」
甘やかすつもりはない。怒りは行為の最中に昇華してもらう。それで構わないとばかりに、サスケはナルトの後ろを弄る手つきを開始した。慣れた指の先が窄まりをくるりと円を描くように撫でた。ナルトはびくり、と肩を震わせて、男の背中に爪を立てる。
撓る掌を伝って腕をまくり上げてやると、サスケの腕には噛み跡が残っていた。あれ、とナルトは眉を下げる。
「まだ治ってなかったのか、ごめん…」
「オレがつけた痕だろ。外す気はない」
サスケはそう言って、膝の上にナルトの左足を引き上げた。使い込まれた大きな掌が、脚の内側をゆっくりと下から上へと這っていく。脛から膝裏。そして太腿の内側をまさぐるように辿って、ナルトは無意識のうちに息を潜める。
前を触られると思って、今か今かと待ち構えていたのに、サスケは指を腰骨のところに滑らせてそこをぐっと押した。それから足の裏まで到達すると、今度はふとももの内側に爪を立てた。痛くはないが、食い込む爪にナルトはびくびくと震える。
「ひゃっ、……やめ…」
「そういう声を出すな。煽るだろうが」
サスケの口調は怒っているようにも、呆れているようにも聞こえる。ナルトはふくれっ面をした。
くつくつと喉を鳴らす男の手が、腰からお尻へ、そして太ももの内側へと、するすると下りていく。ぷにぷにと弾力のある太ももの内側を肉厚な指先で確かめるように揉まれる。触られたところがぞわぞわする。
「ひぁ…っ」
ぷにゅ、と膝裏のあたりを指で押され、ナルトの体はくの字に曲がった。脚が開いてしまう。あっという間にショーツごとズボンが引き下ろされ、普段から淡い色の下着を穿いてない男は、ぱつん、と弾けて勢いよく下腹部に跳ね上がった陰茎を火影執務室の空気に曝け出す。
急に晒されてびくびくしながら、ナルトは影分身から思い出したように連絡が来ないかと意識を向けた。けれど予想に反して分身は静かなものだ。これまで不意に押しかけられて予定を潰した苦い経験がいくつもある。
早く済ませよう。
ナルトはサスケの首に両腕を回した。
「サスケ、責任取って、気持ちよくしてくれねぇ?」
「…ああ。望むところだ」
くるりと向きを変えられて、ベッドの上に背中から倒れこまされた。この仮眠室の備え付けのベッドは狭い。二人並んで横になれやしないサイズだ。けれどサスケはそんなの気にしないと言わんばかりに、ナルトの両脇に肘をついて覆いかぶさってきた。男の体が間近にある。
ナルトは体の奥で疼くものに従い、組んでいた印を解いた。指を、下生えに、潜らせて、自身を握る。
サスケの息が吐き出されて、ナルトの首筋に掛かる。
「…触って、いいか」
返事の代わりに、ナルトは握っていた手の上から、サスケの手を重ねた。
男の手はとても大きい。余裕で蠢く指が自分の指の間を縫って、薬指の付け根で止まる。
「薬指、好きなんだな」
自分の長い指で薬指を撫でながらサスケが言った。ナルトはちょっと照れくさそうに笑って、うん、と答えた。
「なんか、いちばん落ち着くんだってばよ」
サスケが指を絡めて握ってくる。それから、言いにくそうに口を開いた。
「……ナルト」
「ん?」
「先日、例の件でキミタロウのところに行った」
「え?」
シカマルと共に赴き、口止めはしてきたが、とサスケは言う。
「だが、そいつの言動が視察の時の記憶と少し違う気がした。念のため、里の者に見張りをつけさせてある」
「な、んで……?」
どうして、とナルトは続けられなかった。自分がその時サスケに言ったことを思い出したからだ。
――ここはオレに任せろってば。
あの日のサスケに、任せた、と返事をした。
もしかするとその判断が間違っていた可能性は、常に考えている。里を、ナルトを守るためならば自分はどうなってもいい。それはサスケも同じだと知っているから、過保護に動かれるのはあまり歓迎していなかった。
サスケは、こんなに長く、里にいない。離れている間のナルトの話を、サスケは何度もシカマルやカカシから聞いていた。聞いていたからこそ、護りたい、護らねばならない、と強く思っているらしい。
その上で、である。護られてばかりでいいわけがない。ナルトはアンダーシャツをまくり上げたまま、サスケの頭を胸に引き寄せて、何も言わずに自分の方から胸を差し出した。硬く尖ったそこへ、男が荒い呼吸を吹きかける。ちくりと痛みを伴って、甘く噛まれた。
「んぁっ…」
思わず声が漏れる。張り詰めた先端を歯の先で撫でられると、指先から爪先までが強張った。
数日ぶりにキスをしたからだろうか。ナルトは激しく昂っていた。サスケに触れられて、あっという間に身体の芯が熱を持つ。それでも、とナルトは息を吐いた。今日はちゃんとシカマルが使ってくれていると噂の新作のローションを試してみるつもりだ。サスケの指が太いから、そのままだと痛いんだ、と言ったのはもうずいぶん前のことである。何だかんだ言って男はちゃんと気にかけてくれている。
ナルトはまだ壁に座らされている。サスケが火影の身支度を解く手つきは手慣れたものだった。
「ほら」
サスケがローションのボトルをナルトの手に握らせた。自分でするように言われて、ナルトは慌てて首を振る。
「オレがやんの?」
「火影の腰を自分で動かすのも、悪くないだろ」
言いながらサスケはナルトの脇に手を差し入れ、するりとアンダーシャツを抜き取った。ちゅぷ、と軽い音を立てて男の指がナルトの蕾をくちゅりと撫でる。ナルトはびくっと肩を震わせた。そこはまだ弛んでいなくて、指を入れるとぴったりと絡みついてくる。
「大丈夫か?」
そう言ってサスケがぬるりと指を抜き差しする。力を抜く方法を忘れてしまったかのように、内部が勝手に締まる。
「…っ、わ、からねぇ…っ」
大丈夫なのか、と訊かれて、正直に答えられない。お前の指が入ってくるだけで、心臓が、体が、子宮の奥が、ひどく疼く。
サスケはもう片方の腕をわき腹から腰、太ももの外側へと滑らせ、足の付け根まで手を這わせた。その指が下着の上からゆっくりと時間を掛けて愛撫する。
「ん…っ、ん…」
つい声が出てしまった。自分のものとは思えないような甘い音に、ナルトは驚いて口を掌で塞ぐ。
だがサスケはその手を退かせて、口を開けろ、とでも言うように顎に指をかけて上を向かせた。
「あ…」
そこに、ぱくり、と唇を合わせてくる。
唾液を啜る音だけが響く中、首の後ろを掌で固定されて、ナルトは逃げられない。顎の上を指で撫でられる。くすぐったい。声を出したくても出せない。ひたすら男に与えられるものを貪るように受け取り続けた。だらしなく開いた口角から涎が零れて、男の指がそれを掬い取り、口の中に戻してくる。目線を上げれば、口元に手を遣って舐めている。
一瞬の事だった。ずっとこちらの痴態を見下ろしているのかと思っていた男の視線は、まだ何もわからない、という顔をしたドアの方を向いている。いや、あれはドアではない。ドアの影に隠れている、自分の影分身だ。
ぱちん、という小さな音を立てて、影分身が消えた。
“自分”が視た光景が記憶として戻ってくる。影分身の視点の先には、いつもの光景、ベッドに横たわるナルトがいた。自分のものとは違う声で「サスケ、サスケ」と泣きながら男の名前を呼んでいた。
なんで、と男を睨みながら言おうとして、うまく言葉にならなかった。理由は分かっている。男の顔が得意げに笑っているからだ。ずるい、と思う。頭を抱えたくなるような羞恥を、ナルトはサスケに何度も味わわされている。 それなのに、自分から求めてしまう。
不意にナルトは腹のあたりで何かがぐるりと動くような気がして、あ、と小さく声を上げた。サスケはファスナーに掛けた手を止める。
「もういいか」
意地悪そうな顔で訊かれて、ナルトは首を振った。少し開いた唇をほんのちょっとだけ尖らせて、触れて欲しい、と言った。サスケの指が腰骨の上で空回りする。ナルトは自分からファスナーに手を掛けた。
薄暗い仮眠室の中、やけに明るい白い肌が、サスケの目をちらりと苛んだ。自分の痕がいくつか付いている場所を、唇と指で、今度はもっと色濃く隠していく。
「んぁ…、あっ…」

上下に揺れる視界の中、先ほど組み終えた印のせいで体のそこかしこに刻まれた術式が熱を持ち始める。ナルトは男の肩口に爪を立てた。
「そん、なに…強くしなくても、抜けねぇよ…」
細い股関節を、己に巻き付いた男の腕が締め上げていく。壁に背をつけて立ったままの体勢で、ずん、と突き上げられる。
「ふっ…ん、あ…っ」
自分から腰を振って快楽を取りに行こうとしたって、尻の穴をがつがつと突かれる度に脳に直接快楽を叩き込まれて動けなくなる。
「んあっ、ん…」
サスケはナルトの肩に顔を埋めて、きつい内壁に締め付けられる快楽にしばし眉を寄せた。絶頂しかけたナルトの欲望を手で扱きながら、ゆっくりと腰を動かし始めた。もどかしい浅い抽送に、ナルトは自分から腰を揺らして深さを求めてしまう。
「ひっ、…ん、待って、まっ、サスケ…っ」
「…今日は、長引くんだろう?」
声が低い。こういう時、サスケは妙に執着してくる。会議の日でなければいいのだが、とナルトは他人事のように思う。
本編の如き射精のあと、少し名残惜しそうにナルトの身体から離れると、サスケは糸を引く舌で腹筋の溝を舐め上げた。びくり、と背中が跳ねる。拭わずに放置されたへそに溜まった精液の塊は、脚を組み替えるたびにひやりと滑って気持ちが悪い。
「ナルト」
呼ばれて、びくびくと余韻に震えていたナルトは生返事をした。
「今日、一日は空けろ。夜に迎えに行く」
弱々しい反抗で、無理だってばよ、とナルトが言うと、サスケはひょいと片眉を上げた。
「なんでだ」
「今日な、木ノ葉丸んとこのクラスの授業でよ、たまには直接、授業やれって言われててよ、それが夕方まであるんだ」
「言っておくが、サスケ、オレは影分身に話をさせるわけにはいかないからな。ちゃんと自分で行くから」
ナルトが仮眠室に消えた扉のほうを向いたまま、サスケはその言葉を反芻する。初代の曾孫は火影のことを名前で呼ぶ。サスケもそう呼んでいた。呼び捨てにされてサスケは構わなかった。名前を呼ぶ声の、腹の底から出ている感じが好きだからだ。ナルトが他の誰かにあんな声を出さないことを知っている。
火影室にいても、隣の仮眠室に気配を感じると、どうにもソワソワして落ち着かない。
今はちょうど昼時で、火影のスケジュールは三十分の休憩時間を指していた。サスケはそれを確認してから席を立ち、仮眠室の扉を開けた。
カーテンの隙間から日差しがこぼれている。ベッドの上で、ナルトが本を読んでいた。顔は半身を起こしてという形か。上体を起こして、本を膝の上に置き、片手をページに添えている。その向かいに、こちらに背を向けるかたちで腰かけている者がいる。サイだった。
気配を感じて、サスケとサイの視線が交錯した。サイが仮面の下でにこりと笑う。
「あ、どうも、火影様」
サイの仮面を視線で問う。何しに来た、と。彼は大儀そうに、俺は木の葉の英雄に用事があってな、と言った。サスケは、目だけで、さっさと出て行け、と伝える。
「ナルト、そろそろ行かねぇと会議に遅れる」
眼はサイを捉えたまま言う。
「…わかってるってばよ」
何かを言いたげなサイを無視して、サスケは首を傾げた。ナルトが、あ、と声を上げて、壁際に立てかけた黒い筒状のものを持った。
しーランクの任務の報告会議、というものは、火影の他に、長官とその補佐数名と対面で行われる少人数の会議だ。火影が着替えをするためにまず先に入室して、続いて長官が入ってくる、という流れになっている。
サスケはナルトがトイレに行くのを見送ってから、ナルトの上着を抱えるようにして会議室の隣の待合室に入った。
影分身はすでに火影の椅子に座って、腕を組んでいた。サスケはそれを見て僅かに鼻白んだ。
「…オレに不満でもあるのか?」
影分身がぴしゃりと言う。全くもって、その通りで、サスケは影分身をまっすぐ見つめた。
「不満は無い。ただ、お前は今、死ぬほど感じている」
言い当てられて影分身は、一瞬、居心地悪そうに視線を逸らした。それからまたサスケを見る。目つきはさっきまで一緒にいた男そのもので、しっかりと獲物を捉えている。
その時間、シカマルは会議室にいた。
何度も目の前で火を吹いて失敗している男の話を聞きながら、シカマルは考え事をしていた。 ナルトに火影の座を継がせた張本人として、今更ながらにお前はこれを望んだのか、と責任を感じている。
火影というものは、まず村の政治・経済・外交、その他諸々を一手に担う。一応、四代目火影のときから書類仕事は執務室の机でやっている。
だがあれは、明確に定められた勤務時間内に処理できる程度の分量だったのだ。今のナルトのそれは、日中机に向かって片付く量ではなく、火影塔の一室で夜遅くまで、影分身が何体もせっせと書類を捌いている。ナルトはすぐに口では戦意を喪失したようなことを言う癖がある。が、実際は火影の責務をかなり真面目に取り組んでいる。
どんなに遅くとも日付が変わる前には帰ってくるから、というのが火影になってからのナルトの口癖だった。サスケはそれが不満で、時々今日みたいに日中に強引なことをする。
ナルトの言うことをきかずに、サスケは組み敷いている男のシャツを完全にまくり上げてしまう。胸元を舌でぺろぺろと舐められるくすぐったさに、ナルトの体はびくびくと跳ねる。
きっと自分は今日の会議でまともな事など何も考えられないだろうなあ、とナルトはもう遠い目で思った。
所変わって木の葉隠れの里 火影室。
会議へ出向く直前、ナルトは書類の山の中からお目当ての綴じ込みを見つけて火影机に広げた。頬を微妙に赤らめたまま、どうにか意識を飛ばさずに済んでいる。
飛ばしたのは、自分じゃなくて影分身のほうだった。
多分今頃、体を重ねている。いや、重ねているのは確実だ。ナルトは口元を引き締めた。サスケは、おそらく今頃オレの分身を組み敷いている。たぶんもう舌を入れている。想像しただけで臍下が熱を持つ。本物のオレの方はまだ乳首がひりひりしているのに、とナルトは情けない気持ちになった。
いっそ影分身のほうに行ってしまいたい。サスケと触れるたびに、自分はあさましく欲情してしまう。
書類に目を落とすと、火影の仕事は捗るには捗るのだけれど、気が散って仕方がなかった。ナルトは一度ペンを置いて、湯飲みの茶を一口啜る。冷めた緑茶の苦味と旨味が喉を抜けて、ふぅ、と息を吐く。よし、と椅子に座り直して、書類の山に目を落とす。
今朝、サスケと交わした話。
数日前にサスケが村に持ち帰った情報は、他国の忍に紛れて潜伏しているという、とある小さな組織に関するものだった。このまま見逃すには大きい問題で、放置しておけばいずれ忍界に大きな被害をもたらすだろう。だが、あくまで今の段階では小規模な組織であり、実際に武力介入して叩くのには忍連盟の了承が要る。
ナルトは昔から知っている。木ノ葉の里の歴代火影は、よく言えば先見性に優れ、悪く言えば先回りしすぎるきらいがある。一方で、連盟各国は我関せずの傾向がある。里の存続には柔軟な対応が求められる。
同様に、自身の立場も、火影という肩書きはあっても、まだまだ思い通りに動かせる権力が足りないとナルトは考えていた。諸先輩に頭を下げて
佐助低低地呻吟了一声。被更进一步逼到墙边,嘴唇被肆意吸吮。溢出的唾液发出咕啾、啾噜的声响。刚感觉到他压了上来,佐助便从鸣人手中夺回自己的性器,用那只大手粗暴激烈地开始套弄。

“唔……唔嗯……”

鸣人一边被吸着舌头,一边偷偷瞥着佐助微蹙眉心的表情,以及与他那张漂亮脸庞极不相称的、活生生的狰狞勃起。眼看着比自己还白的手,攥住那根赤黑肿胀的东西,明明什么都没做,腰却又开始沉甸甸地发热。

突然,佐助松开了嘴唇。鸣人比视线投来更早察觉,自己伸手按住一条腿的腿窝,将胯部大大地朝男人敞开。液体啪地溅了上去。

“啊。”

好烫——这个念头闪过的一瞬,一股雄性性欲的气味扑面而来。浓烈的香气刺激着鼻腔黏膜,令鸣人眯起了眼,但佐助并未理会,而是将中指按在了那朵花蕾上。他将自己射出的体液涂抹在愈发紧缩的花蕾上,花瓣便一点一点地松开了。鸣人像是要把背往墙上蹭似的,焦躁地扭动身体。

“佐助……”

即便被呼唤,佐助也无法抬起头来。他无法将目光从暴露在外的那个部位移开。与自己的赤黑色相比,鸣人的那根东西,明明生了两个孩子,却看不出什么使用的痕迹,鲜少那种粗鄙的生猛感,卷曲的金色毛发缠绕其上,而自己射出的精液像是浇了一层糖浆似的挂在那里。

无论怎么看,都没有看到别人私处时那种恶心感涌上来,反而,佐助竟然觉得,看起来很好吃。

他一边看一边耐心地揉弄着花蕾,不久之后,中指便能够毫无困难地进出到第一关节左右了。涨得几乎贴上紧实下腹的花芯顶端滴下前列腺液。鸣人把头抵在墙上蹭着,一副上气不接下气的样子。

「佐助…」
看准时机,佐助猛地将中指狠狠插入。鸣人的嘴不受控制地张开了。
「啊…」
几乎没有受到什么像样的抵抗,手指就噗嗤噗嗤地埋入花蕾之中。
「啊啊,啊……」
中途,即使被狭窄的肉壁卡住,手指也毫不迟疑地继续推入。鸣人明白,这和自慰时不同的,正是这种毫不迟疑。自己弄的时候,一被卡住就总觉得害怕,会马上拔出来。
佐助将手指推入根部,用硬邦邦的指尖在狭窄的内壁上猛地一刮。
「嘶」
腹侧的凸起被刮过,鸣人身子一缩。咕噜、咕噜,毫不留情地刺激着敏感的地方。从挺立的阴茎上,前列腺液越来越多地溢出。
「佐助那里不行…不行啦,那里……」
鸣人一边说着一边开始扭动腰肢。自己主动去迎合男人的硬指尖。还想让他吸,想让他像上次那样一边弄前列腺一边舔阴茎,于是朝男人挺出腰去,可佐助像是被迷住了一样只顾盯着自己的股间。
「嗯……,我说啊……」
鸣人终于用自己的手握住阴茎开始撸动。看着的佐助噗嗤笑了。
「下流的家伙」
「……别说啊,」
鳴人懊恼地想,搞成这样都是佐助的错。要是没有佐助碰他,自己才不会变成这样。自己不是那种在工作途中,尤其在众人面前站着时,还会想起下流事情的人。
「都怪你……」
佐助啾地亲了一下别开视线懊恼低语的鸣人的脸颊。那双蓝眼再怎么吊起来瞪他,以这副模样也一点都不可怕。
佐助就那样用高挺的鼻尖蹭着,把他的脸拽过来,鸣人没办法只好转向佐助。额头贴着额头,嘴唇被吮吸着,他在极近的距离低语。
「射出来吧」
「唔…」
「憋着了吧?射出来」
鸣人一边吮吸着伸出来的厚舌头,一边撸动自己的阴茎。因为沾了佐助的精液滑溜溜的,所以很好撸,感觉比平时自慰更舒服。花蕾深处,骨节分明的手指仍然在不停地戳刺。前列腺被一擦,腹肌就像痉挛一样抖个不停,类似尿意的冲动猛地涌了上来。
「唔ッ、嗯…ッ」
就在那一瞬,埋入的中指被紧紧绞住,佐助眯起了眼睛。他为了吐出舌头而张开的嘴角淌下唾液,弄脏了鸣人的锁骨,就那样沿着单薄胸膛中央的沟壑蜿蜒流下。
「…哈、哈啊、哈…」
鸣人低头看着接在自己肉掌中的精液。眼角被男人吮住。鸣人寻找着能擦掉污秽的东西。他看见了天亮前总是躺在上面的那张狭窄的铁管床,床边的地板上直接放着纸巾盒。他想要那个,于是单膝跪地扭转身子,想扶着墙站起来。结果腰上一软,双膝都跪了下去。
「……?」
腰猛然一颤。鸣人顾不上弄脏,两手撑着墙回头看去。又一阵颤动从腰际传开。他意识到男人埋在自己体内的手指的感觉还没有消失。深处被搅了一下,他不禁发出一声“嘶”的抽气声。
「佐、佐助…?」
回过头,佐助显得非常愉快。从长刘海间窥见的那双眼,闪着骇人的光。
鸣人像是要逃跑似的紧贴在墙上。
「佐助射完了。已经结束了所以拔出来……啊……那根手指……拔出来啦……啊、啊啊……」
佐助不听他的,把自己厚实的胸膛贴上他试图逃跑的后背,将他钉在墙上。在已因放松而松软的蕾中,不仅中指,连食指也一并捅了进去。
「呜!」
骨节分明的手指按在狭窄的肉壁上碾磨。被碾过小腹侧面的凸起,鸣人浑身一颤。那处敏感点被毫不留情地一下、又一下地刺激着。挺立的阴茎溢出越来越多的前列腺液。
「佐助那里不行……不行啦,那里……」
鸣人嘴上说着,腰却开始胡乱扭动。自己主动往舒服的地方去蹭男人坚硬的手指。还有,想要他吸一吸,想像上次那样,一边玩弄前列腺一边舔自己的阴茎,他朝男人挺出腰去,可是佐助像被什么东西迷住了一样,只顾盯着自己的胯间。
「ん……、なぁって……」
鸣人终于用自己真实的手握住阴茎套弄起来。看着他的佐助“哈”地笑了。
“真是淫荡的家伙。”
“……别说这种话,”
鸣人感到不甘心:搞成这样全都是佐助害的。要不是被佐助碰了,我才不会变成这样。他心想,自己以前可不是会在工作途中——而且是在众人面前站着的时候——想起那种下流事的家伙。
“都是你的错……”
佐助嘬了一口移开视线、不甘心地嘀咕着的鸣人的脸颊。那双蓝眸再怎么吊起来瞪他,这副样子也一点都不可怕。
佐助就势用高挺的鼻尖蹭着把鸣人的脸引向自己。额头贴着额头,一边被吸住嘴唇,一边在近旁低语。
“射出来。”
“嗯……”
“憋着了吧?射出来。”
鸣人一边吮吸着伸出来的厚舌头,一边套弄自己的阴茎。因为沾着佐助的精液,滑溜溜的很好弄,而且比平时自慰感觉更舒服。埋在花穴深处的骨节分明的手指依然一个劲地顶弄。前列腺被擦过,腹肌像是痉挛一样簌簌颤抖,类似尿意的那种冲动涌了上来。
“嗯、嗯……!”
佐助在那一瞬间被埋入的中指紧紧绞住,眯起了眼睛。为了伸出舌头而张开的嘴唇缝隙里淌下唾液,弄脏了鸣人的锁骨,又顺着胸口中央那道浅沟滴落。
“……哈、哈啊、哈……”
鸣人望着接在赤裸手掌里的自己的精液。眼尾被男人吮住。鸣人寻找可以擦拭污迹的东西。他看见了彻夜工作后的黎明时他总躺在上面的那张狭窄铁管床,床边的地板上,直接放着纸巾盒。他想要那个,于是双膝跪地,扭动身体,想扶着墙站起来。结果腰一软,双膝落地。
“……?”
腰部猛然一颤。鸣人顾不上脏,双手撑住墙回过头去。腰又颤了一下。他注意到埋在自己体内的男人的手指的触感并没有消失。里头被用力一磨,他漏出了一声“嘶”。
“佐、佐助……?”
回头看到的佐助一副愉悦至极的表情。从长长的刘海缝隙间露出的双眼,透着凶光,令人害怕。
鸣人像是要逃跑似的紧贴住墙壁。
“佐助,射出来就结束了。已经结束了所以拔出来……啊……那根手指……拔出来啦……啊,啊啊……”
佐助不听,把胸膛压上他试图逃走的背,将他留在墙边。在那根被弄松的柔软花蕾里,不仅中指,连食指也一并狠狠插了进去。
「ひっ」
被粗糙的指尖擦过腹侧凸起,鸣人缩起了身体。ぐりっ、ぐりっと毫不留情地刺激着敏感之处。从挺立的阴茎中溢出的前列腺液越来越多。
“佐助那里不行…不行啦,那里……”
鸣人一边说着一边开始扭动腰肢。自己主动往男人坚硬的手指上蹭。还想被他吮吸,想他像上次那样一边揉着前列腺一边舔舐阴茎,于是挺起腰身朝向男人,可佐助像被勾了魂似的只盯着自己的股间看。
「ん……、なぁって……」
鸣人终于用自己生来的手握住自己的阴茎开始撸动。看着的佐助噗嗤笑了。
“好色的小子。”
“……别这么说啦。”
说到底变成这样都是佐助的错,鸣人觉得很懊恼。在被佐助触碰之前,自己不是这样的。不是那种会在工作中,而且是在站在大庭广众之前的时候,还会想起下流事情的家伙。
「都是你的错……」
佐助啾地吸了一下别开视线不甘心地嘟囔着的鸣人的脸颊。那双蓝眼再怎么吊起来瞪人,这副模样也完全不可怕。
就这么被高挺的鼻尖顶着把脸转过来,鸣人没办法只好面向佐助。额头抵着额头,被吸着嘴唇近在咫尺地低语。
“射出来”
“嗯……”
“憋着了吧?射出来”
鸣人一边吮吸着伸出来的厚舌头,一边撸动自己的阴茎。因为有佐助的精液润滑,很好撸,感觉比平时自己手淫还要舒服。蕾穴深处,骨节分明的手指依旧不停顶弄。前列腺被擦过,腹肌像痉挛似的簌簌发抖,类似尿意的冲动猛然涌上来。
“嗯!……嗯……!”
那一瞬间,埋进去的中指被紧紧绞住,佐助眯起了眼。为了伸出舌头而张开的嘴唇边缘流下唾液,弄脏了鸣人的锁骨,就那样沿着单薄胸膛中央的沟壑淌了下去。
“……哈,哈啊,哈……”
鸣人看着自己生涩的手掌里接住的精液。眼尾被男人吸住。鸣人寻找可以擦拭污秽的东西。他看到了天亮前总躺着的狭窄铁管床,床边的地上直接放着纸巾盒。他想要那个,于是单膝跪地扭转身子,想扶着墙站起来。结果腰一软,双膝跪地。
“……?”
腰部猛地一颤。鸣人顾不上脏污,两手撑墙回头看去。腰又猛地一颤。他意识到体内男人的手指的感觉还没有消失。被狠狠研磨深处,漏出一声“嘶”。
“佐、佐助…?”
回头的佐助看上去十分愉悦。从长长的刘海间窥见的双眼,闪烁着令人胆寒的光芒。
鸣人像逃跑似的紧贴在墙上。
“佐助射完就结束了。结束了吧,所以拔出来……啊……那根手指……拔出来嘛……啊、啊啊……”
佐助没有理会,把自己的胸膛压上他试图逃跑的后背,将他钉在墙上。对着已经被抚弄得松弛的花蕾,不仅中指,连食指也狠狠插了进去。
“唔”
内侧的隆起被刮蹭到,鸣人缩了缩身体。那根硬邦邦的手指毫不留情地刺激着敏感处。从硬挺的阴茎里,前列腺液流得更多了。
“佐助那里不行…不行啦,那里……”
鸣人一边说着一边扭动起腰来。自己主动去迎合男人的硬指。还想被吮吸,像上次那样,想要被一边玩弄前列腺一边舔舐阴茎,他朝男人挺出腰去,可是佐助像被迷住了一样只顾盯着自己的胯间。
“唔……,我说啊……”
鸣人终于用自己的手握住阴茎开始撸动。看着的佐助扑哧笑了。
“淫荡的家伙。”
“……别说啦。”
鸣人觉得很委屈,明明都是佐助害的。要是没被佐助碰,我才不会变成这样。我才不是那种,会在工作中,还是站在一大群人面前的时候,还想起下流事情的人。
“都是你的错啊……”
佐助嘬了一下移开视线不甘地嘟囔的鸣人的脸颊。那双蓝眼再怎么吊起来瞪他,以这副样子也完全不可怕。
就这样,佐助用高挺的鼻尖把鸣人的脸勾了过来,鸣人没办法只好面向佐助。额头被蹭了蹭,嘴唇被吸住的同时在极近的距离被低语。
“射出来”
“唔…”
“都憋着了吧?射出来”
鸣人一边吮吸着伸出来的厚舌头,一边撸动自己的阴茎。因为沾着佐助的精液而滑溜溜的,很容易撸,而且感觉比平时的自慰更舒服。花芯深处,骨节分明的手指毫不留情地持续捅刺。前列腺被擦过的时候,腹肌就像痉挛一样簌簌发抖,类似尿意的冲动涌了上来。
“嗯、嗯……嗯”
就在那一瞬间,埋入的中指被紧紧绞住,佐助眯起了眼。因为伸出舌而张开的唇边垂下了唾液,弄脏了鸣人的锁骨,顺着薄薄的胸口中央的沟壑滴落。
“…哈、哈啊、哈……”
鸣人低头看着接在赤裸掌心里的精液。眼尾被男人吮吸着。鸣人寻找能擦拭污迹的东西。他看见了通宵后的清晨里他常躺在上面的那张狭窄的铁管床,床边的地板上直接放着纸巾盒。想要那个,鸣人便用膝盖撑住身体扭动,扶着墙想站起来。可腰一软,双膝跪了下去。
“……?”
腰突然抖了一下。鸣人顾不上弄脏自己,两手撑墙回过头去。腰又抖了一下。他察觉到体内埋着的男人的手指的感觉还没有消失。深处被狠狠一蹭,他漏出了一声“嘶”。
“佐、佐助……?”
回头的佐助看起来非常愉快。从长长的刘海间窥见的双眼闪着凶光,令人害怕。
鸣人像是要逃走般贴在了墙上。
“佐助,射出来就结束了。结束了,所以拔出来……啊……那根手指……拔出来啦……啊,啊啊……”
佐助不听他的,用自己的胸膛压住想要逃走的背,将他钉在墙上。在被弄得松软的花蕾里,不仅中指,连食指也硬生生地塞了进去。
鳴人因被指尖刮过紧窄的内壁而颤抖起来。被毫不留情地刺激着腹侧的凸起,已勃起的阴茎前列腺液流得更多了。佐助低低地呻吟了一声。被进一步逼到墙边,嘴唇被肆意地吸吮。溢出的唾液发出咕啾、啾噜的声响。刚感觉他压了上来,佐助便从鸣人手中夺回自己,用那只大手粗暴激烈地开始套弄。

“唔……唔嗯……”

鸣人一边被吸着舌头,一边交替瞥着佐助微微蹙眉的表情,以及那与俊美容貌毫不相称的、过分生动的勃起。看着那双比自己还白的手握住一根赤黑肿胀的东西,明明什么都没做,腰却又开始渐渐发沉。

突然,佐助松开了嘴唇。鸣人甚至先于他的视线便察觉到了,自己将手搭在一边大腿后侧,大大地朝他敞开了胯间。滚烫的液体啪地溅了上来。

“啊。”

好烫——这个念头闪过的那一瞬间,一股雄性的气味猛地弥漫开来。浓厚的味道刺激着鼻腔黏膜,让鸣人眯起了眼睛,但佐助不为所动,将中指按在了那花蕾上。他将自己射出的体液涂在那缩得更紧的蕾上。花瓣一点一点地松动开来。鸣人像要把后背蹭在墙上似的,焦躁地扭动身体。

“佐助……”

即使被呼唤,佐助也无法抬起头来。他的目光无法从那裸露的地方移开。与他自己那赤黑的一物相比,鸣人的阳具即便养育了两个孩子,看上去却不怎么经用,少了几分狰狞,卷曲的金色草丛缠绕其上,而他自己射出的精液就像浇了糖浆似的挂在那里。

无论怎么看,都没有像不小心看到别人的那玩意儿时涌起的那种恶心感,反而,佐助竟然觉得,看上去很好吃。

他一边看得出神,一边用手指反复地揉弄着花蕾,不久中指已能没入到第一关节左右,出入也不再困难了。反翘到几乎贴上紧实下腹的花芯,滴下了先走液。鸣人把头抵在墙上蹭着,一副上气不接下气的样子。
「佐助…」
估摸着差不多了,佐助猛地将中指狠狠捅了进去。鸣人的嘴不由自主地张开。
「啊…」
几乎没什么抵抗,手指就噗嗤一声埋进了花蕾里。
「啊啊、啊……」
中途,即使被狭窄的肉壁卡住,手指也没有犹豫地继续深入。鸣人明白,这和自行解决时不同的,就是这份毫不犹豫。自己弄的时候,一卡住就会觉得害怕,马上抽出来。
将手指完全插到底的佐助,用坚硬的指尖在狭窄的内壁上粗鲁地碾过。
「嘶」
内侧的凸起被碾过,鸣人缩了缩身子。被毫不留情地刺激着敏感点,咕噜咕噜地。勃起的阴茎中,前列腺液愈发地涌出。
「佐助,那里不行…不行啦,那里……」
鸣人嘴上说着,腰却像揉捏般扭动起来。自己主动去迎向男人坚硬的指尖。而且,想要他吸吮,想要他像上次那样一边按着前列腺一边舔舐阴茎,于是朝着男人挺出腰去,但佐助像被迷住了似的,只是盯着自己的胯间看。
「嗯……,我说啊……」
鸣人终于用自己的手握住自己的阴茎开始套弄。佐助看着,忽然笑了。
「真是淫荡的家伙」
「……别这么说啦,」
鸣人觉得不甘心,这一切都是佐助害的。在被佐助碰之前自己明明不是这样的。明明不是那种会在工作途中,而且是在站在大群人面前的时候,还想那些下流事情的家伙。
「都是、你害的……」
佐助嘬了一下别开视线不甘心地低语的鸣人的脸颊。就算那双蓝眼再怎么吊起来瞪他,这副模样也完全不可怕。
接着他被高挺的鼻尖蹭着拱着脸转过去,鸣人没办法只好面向佐助。额头被抵住,嘴唇被吸着在近距离低语。
“射出来”
“嗯…”
“憋着吧?射出来”
鸣人一边吮着伸出来的厚舌头,一边撸动自己的阴茎。因为有佐助的精液滑溜溜的所以很好撸,感觉比平时自慰还要舒服。花蕾深处骨节分明的手指依旧一个劲儿地戳弄着。前列腺被擦过时,腹肌像是痉挛一样抖个不停,近似尿意的冲动涌了上来。
“嗯、嗯…!”
那一瞬间插入的中指被紧紧绞住,佐助眯起了眼。为了伸出舌头而张开的嘴角淌下唾液,弄脏了鸣人的锁骨,就这样沿着单薄的胸口中央的沟壑流了下去。
“…哈、哈啊、哈…”
鸣人低头看着接在自己肉掌里的精液。眼角被男人吮住。鸣人寻找着擦掉污秽的东西。他看到了通宵后的清晨总是躺着的狭窄铁管床,床边的地板上就直接放着纸巾盒。想要那个,鸣人跪着扭过身子,想要扶着墙站起来。结果腰一下子脱力,双膝跪地。
“……?”
腰猛地一颤。鸣人也不管脏不脏,两手撑着墙回过头去。腰又是猛地一颤。他察觉到埋在体内的男人的手指的感觉还没消失。深处被咕啾地一擦,漏出了“咻”的一声。
“佐、佐助…?”
回过头去的佐助看起来非常愉快。从长长的刘海间隙中窥见的双眼,闪着寒光很可怕。
鸣人像是要逃似的贴在了墙上。
“佐助射完了吧。结束了所以拔出来…啊……把那手指…拔出来啦…啊、啊啊…”
佐助不听,把自已的胸膛贴向想要逃开的背,把他留在墙边。在被弄松的花蕾里,不只是中指,连食指也咕啾地扭了进去。
“咿!”
腹侧的凸起被硬硬的指尖咕啾咕啾地擦过,鸣人缩起了身子。咕啾、咕啾,毫不留情地刺激着敏感的地方。勃起的阴茎里前列腺液越流越多。
“佐助那里不行…不行啦,那里……”
鸣人一边说着一边像扭腰似的动了起来。自己主动把男人的硬指尖往舒服的地方送。而且,还想让他吸,想像上次那样一边弄前列腺一边舔阴茎,把腰朝男人挺出去,但佐助像着了魔一样只顾看着自己的胯间。
“嗯…,所以说…”
鸣人终于用自己的手握住阴茎撸了起来。看着的佐助噗嗤笑了出来。
“好色的家伙”
“…别说啦,”
反正变成这样都是佐助的错,鸣人很不甘心。在没被佐助碰之前我才不是这样的,他想着。不会是这样的,在任务当中,而且是站在一大群人面前的时候,还会想起下流的事情。
“都是你害的…知道吧…”
佐助啾地吸了一下转开视线不甘心地嘟囔着的鸣人的脸颊。那双蓝眼睛再怎么吊起来瞪人,这副样子也一点都不吓人。
就这样被高高的鼻尖拱着脸转过去,鸣人没办法只好面向佐助。额头被抵住,嘴唇被吸着在近距离低语。
“射出来”
“嗯…”
“憋着吧?射出来”
鸣人一边吮着伸出来的厚舌头,一边撸动自己的阴茎。因为有佐助的精液滑溜溜的所以很好撸,感觉比平时自慰还要舒服。花蕾深处骨节分明的手指依旧一个劲儿地戳弄着。前列腺被擦过时,腹肌像是痉挛一样抖个不停,近似尿意的冲动涌了上来。
“嗯、嗯…!”
那一瞬间插入的中指被紧紧绞住,佐助眯起了眼。为了伸出舌头而张开的嘴角淌下唾液,弄脏了鸣人的锁骨,就这样沿着单薄的胸口中央的沟壑流了下去。
“…哈、哈啊、哈…”
鸣人低头看着接在自己肉掌里的精液。眼角被男人吮住。鸣人寻找着擦掉污秽的东西。他看到了通宵后的清晨总是躺着的狭窄铁管床,床边的地板上就直接放着纸巾盒。想要那个,鸣人跪着扭过身子,想要扶着墙站起来。结果腰一下子脱力,双膝跪地。
“……?”
腰猛地一颤。鸣人也不管脏不脏,两手撑着墙回过头去。腰又是猛地一颤。他察觉到埋在体内的男人的手指的感觉还没消失。深处被咕啾地一擦,漏出了“咻”的一声。
“佐、佐助…?”
回过头去的佐助看起来非常愉快。从长长的刘海间隙中窥见的双眼,闪着寒光很可怕。
鸣人像是要逃似的贴在了墙上。
“佐助射完了吧。结束了所以拔出来…啊……把那手指…拔出来啦…啊、啊啊…”
佐助不听,把自已的胸膛贴向想要逃开的背,把他留在墙边。
“才没有结束”
“结束了…!”
“我说了还没结束吧”
吐息喷在耳朵上。一瞬间,像是被敲了一下腰似的,鸣人的身体猛地弹了起来。
“已经…、不行了…”
“不行?”
“啊…! 别顶那里…!”
铃鼓鸣响的曲子在脑内回响。满员的观众席、向这边挥手的孩子们的脸、笑眯眯的老师们。自己的分身现在是什么样的表情,鸣人用视野边缘的余光扫了一眼。被自己握着的东西,眼看着又要抬起头来。鸣人当场僵住了。
“真的…不行…身体…好奇怪…”
“那就站着别动”
佐助用指尖一边戳弄着退到深处的那里,一边咬住鸣人的耳垂。就这样又磨又捏的,刚才射过的阴茎就完全勃起了。
“啊…!”
“舒服吗?”
“…才不舒服…!”
明明舒服得不行的声音出卖了他。鸣人拼命地摇着头,因为不想承认,但随着男人的手指在那一处毫不留情地碾弄着,身体的力气渐渐被抽走了。不用说挣脱了,就连支撑身体都变得很勉强,鸣人的身体缓缓地滑落到床沿,臀部被抬起来,膝盖被撬开,他被摆成了趴伏的姿势。
“啊…!”
“既然前面都这么精神了…后面也该醒了吧?”
“啊…那里、不行…!!”

才没有结束
“结束了…!”
“我说了还没结束吧”
吐息喷在耳朵上。一瞬间,像是被敲了一下腰似的,鸣人的身体猛地弹了起来。
“已经…、不行了…”
“不行?”
“啊…! 别顶那里…!”
铃鼓鸣响的曲子在脑内回响。满员的观众席、向这边挥手的孩子们的脸、笑眯眯的老师们。自己的分身现在是什么样的表情,鸣人用视野边缘的余光扫了一眼。被自己握着的东西,眼看着又要抬起头来。鸣人当场僵住了。
“真的…不行…身体…好奇怪…”
“那就站着别动”
佐助用指尖一边戳弄着退到深处的那里,一边咬住鸣人的耳垂。就这样又磨又捏的,刚才射过的阴茎就完全勃起了。
“啊…!”
“舒服吗?”
“…才不舒服…!”
明明舒服得不行的声音出卖了他。鸣人拼命地摇着头,因为不想承认,但随着男人的手指在那一处毫不留情地碾弄着,身体的力气渐渐被抽走了。不用说挣脱了,就连支撑身体都变得很勉强,鸣人的身体缓缓地滑落到床沿,臀部被抬起来,膝盖被撬开,他被摆成了趴伏的姿势。
“啊…!”
“既然前面都这么精神了…后面也该醒了吧?”
“啊…那里、不行…!!”

佐助静静地抬头看着放在自己头上的手,鸣人吓了一跳。不对。搞错了。因为觉得他像小孩子,就不自觉地进入了父亲模式。他慌忙将双臂绕上佐助粗壮的脖颈,抱了上去。

“还有,下周三,我可能还能休息。”

“……真的吗?”

虽然还是平时那副平淡的语调,但鸣人总觉得听上去带着几分高兴。鸣人微笑着点了点头。

“有想去的地方吗?”

他一问,佐助便用一只手回抱住他。

“只要和你在一起,哪里都好。”

鸣人心里想着我也是这么想的,轻轻靠在男人的肩上。真的,只要两个人在一起,哪里都好。

第二天起,七代目火影开始了猛然劳动。
一切,都是为了在周六按时于六点下班,去和情人幽会。
动机虽然很不纯,但鸣人是认真的。他每天住在火影室,早上四点起,干到夜里一点。在无战事的现代忍者社会中,大家高声提倡工作生活平衡,只有他一个人展现出了战时般的拼命劲头。

“喂,至少午饭好好坐下来吃吧?”

面对顾问的忠告,他也只是“唔……”地无心应付一句。左手抓着饭团。他连吃杯面那短短几分钟都觉得可惜,午饭改成了饭团。这样可以在吃东西的同时工作。
看着一边翻自己递过去的文件一边吃着手里的饭团、还顺手从抓着的塑料瓶里补水的火影,鹿丸无奈地看着。虽然下周临近与大名会谈的准备确实很忙,但也还没到需要连日每天只睡三个小时的程度。
鹿丸为连倒茶时间都吝惜的火影,往茶壶里放了不知放了多久的旧茶包,注入热水。因为鸣人总吃杯面,火影室的电热水壶总有谁注意到了就顺手加水。
茶闷着的间隙,鹿丸吐着烟,若无其事地问鸣人:
“你干嘛这么拼命工作啊……下回的会谈,你就那么来劲吗?”
下周和以往不同,三小时预定会谈中,有两个半小时已经安排了电视摄像。这是鸣人提出的方案。
拍下的映像由电视台剪辑后在全国新闻中播出。虽然事先要经过火影室宣传部门审查,但映像基本由电视台自行剪辑。其宗旨是加入民间视角。
这项尝试顶着包括两位现役上役在内、尤其是被称为保守派、总体上年长的老手们的反对,强行推行。
提案者本人看起来比平时紧张一些,但先代和先先代火影都赞同鸣人的方案,所以鹿丸并不怎么不安。作为大战英雄的七代目火影在民众中人气很高,比起像以往那样一切都秘密决策,公开并在各个节点寻求居民理解的方式更适合他吧。
“宣传科和电视台那边的负责人也干得很好,没问题吧。”
“嗯,是啊。”
鸣人没有看顾问,点了点头,把第五个饭团的最后一块扔进嘴里。
鹿丸一边给他倒茶,一边想着:那你干嘛那么拼命?……当然,这种事直接问他就行了,但这两天已经试过好几次了。每次都被他笑着糊弄过去,或用敷衍的话蒙混,所以鹿丸只好自己琢磨。
鸣人除了火影的工作之外会拼命的事情,就是家人,特别是孩子们有关的事。
于是鹿丸恍然大悟。对了,下周三好像是几个月以来火影第一次能休一整天。
“要带他们去哪儿吗?”
他这么一问,鸣人的手、嘴和视线都停了下来,嘟囔了一声“咦……?”鹿丸点点头,露出微笑,抽了口烟。
“要带孩子去哪儿吗?下周三,你休息吧?”
鸣人把嚼到一半的饭团一口咽了下去。
鹿丸用慈爱的目光看着他。鳴人实在没法说“不是那样”。就算能说,他也想不出别的借口。
因此,鸣人只能顺着鹿丸的势头,深深地点了点头。
“是吗,是吗……”
鹿丸细细吐出一缕烟雾。他心里想,那下周三是把现第七班也放个假吧。给下忍一个班放一天假,用顾问的权限就能轻松办到。
鸣人莫名变得动作僵硬,却又重新面向文件,鹿丸准备离开,忽然“啊”的一声想起什么。
“关于那个义贼的事……”
鸣人这次停下了正要写东西的手和正要喝茶的嘴,认真看向顾问。鹿丸慢慢抱起双臂。
“佐井说,差不多可以把内奸钓出来了。”
自从佐助抓了那伙人的其中一人之后,义贼的动静一下子小了下去。连日来霸占报纸和新闻的、以富裕阶层为目标的花哨盗窃案没有了,新得到钱而四处炫耀的人也不再出现。
虽然鹿丸和佐井警惕着,觉得光抓一个人事情不可能就这么平息,但鸣人却对此持乐观态度。他大概觉得,佐助那么轻松就把人抓住了,他们是吓到了吧。
话说回来,暗部所说的“钓出来”指的是不用忍术的心理战术。
“什么时候?”
鸣人一问,
“下周或下下周……月底之前应该会出结果吧。”
鹿丸答道。
把嫌疑人缩小到某个特定范围内。比方说将其分成三组,各组都放出话题相同但细节略有不同的A、B、C三种传言。然后把这些人集中起来,放在战场或城寨等某个封闭空间里一段时间,不可思议的是,就会有人说出一条本不该存在的D传言。
那个人多半是在几条传言中迷失方向、被逼到绝境,最终说出来的。
不管怎么说,暗部有暗部的手段。
鸣人不由得点头。简直就像奈良鹿丸平时骂自己“用脑子想想吧”那样——这是一场细腻的心理战。
被放在密闭空间里的人,为了搞清哪条是真正的流言,会到处东拼西凑地收集信息,甚至会添油加醋地开始传播不可能存在的“D”流言。那个可疑人物就是这么浮出水面的。而且义贼的窃盗组织里也有暗部的人潜入,倒不用担心情報会走漏。但鸣人听着听着,心里总觉得有些不踏实。虽然嘴上没说出来,却忍不住想着,サスケ要是知道了会怎么想呢。
如今那个盗贼组织对佐助而言,应该已经算不上多大的威胁了。不过,那个头目和佐助之间似乎有某种因缘,佐助自己虽然没说什么,但鸣人觉得他多半是想亲手了结这件事。鸣人一边继续手头的工作,一边决定有空闲時就聯絡佐助,告诉他这件事。他的日程表已经排得满满的,一直排到月底的深夜。
虽然鸣人并不讨厌工作本身,但这种连吃饭喝水的时间都要从睡眠里挤出来的状态,长此以往显然令人担忧。刚成为火影的那阵子也忙得够呛,不过那个时候因为刚上任,有很多必须亲自出面的事情,总觉得有些兴奋。而现在则是把繁忙的公务强行压缩到六天里完成。平时要通宵达旦工作,而周日和周一则是連續工作,几乎没有变化。总之,鸣人将原本应该分配给七天的全部工作硬是塞进六天完成了。所以周三的休息日是一月才有一次的珍贵假期。佐助の帰還に合わせて調整したのだ。
火影が一日オフを取ると言うだけで、シカマルはちゃんと相談役が居るから問題ないと太鼓判を押した。それに木ノ葉隠れの里の火影は基本的に里の外へ出ることは許されていないため、オフといえどもどこか遠出をするわけにもいかない。大人の休日は自宅でのんびりと過ごすものなのである。
それなのに、何かと人目を引くサスケと出掛けようというのだから、火影の警護を担当するものたちには気苦労の種である。

一方、サスケはというと、ナルトと別れてから久しぶりに里の診療所を訪れていた。周囲からの視線も気にならないふりをして、扉を開けた。目的は予防接種の予約のためである。
ナルトから言われた通り、子連れでいそいそと病院にやってきたのである。
サスケはどうやら男所帯で育ったために病院のかかり方というものがいまいちわかっておらず、少なくとも一、二回はしくじっている。
彼の場合、たとえばこの世界に自分一人しかいなかったら病院へ行かずに死を選ぶだろう。しかし娘ができて、生きるために医者にかかることを覚えた。そのことを我ながらよくやったと思う。
診察室のドアをくぐると、白いラシャ紙の上に載せられた未熟な双子の新生児が並んでいた。ラバーの湯たんぽにくるまれて、ふたりはまるでよく似た子犬のように重なり合って眠っている。病院特有の薬品の匂いの中、小さな子たちは規則正しい寝息を立てていた。
かたわらに、当主不在のうちに新たに総領として据え置かれた男が立っている。下忍の制服に身を包んだ未来の当主が。
病院に来るたびにナルトは思う。この子らの写真、家に飾りてぇな。でも貰えない。よその子だから。自宅のリビングのテレビの上には、家族全員で写真館に行った時に撮った七人での写真が飾ってある。木の葉隠れの里では一般的な、自宅に飾る家族の写真。そこに写る自分の家族はナルト・ヒナタ・ボルトと、自分は継父だがボルトの妹のヒマワリの四人だ。サスケは写っていない。写せない。けれどナルトはその写真が、たとえ写っていなくてもどこかに必ずサスケが存在する四人の家族の写真であるということを知っている。
木の葉隠れの里の一画に、ひっそりと建てられた邸宅の応接室で、サスケは新聞の日付とアサヒの曜日欄を丹念に見比べていた。
そんなサスケの視線の先にあるのは新聞の下の方に掲載されているテレビ番組表だ。新聞を読んでいるのではなく、番組表を読んでいるのである。
確認したのは来週の水曜日の、NHK教育テレビの午前十時からの幼児番組。毎週水曜日の午前十時から十一時までの放送だ。パンダが主人公の三歳児向けの番組で、BGMが流れる中、パンダの家族の一日を映す。ナルトが幼い頃からやっている長寿番組で、そこそこ人気もある。
サスケがこの番組を見ている理由は他でもない、パンダが好きだからである。
あの妙にゆっくりとした大きな体つきの動きと、人間の赤ん坊のような仕草が、どうも昔から癖になる。実は自分からツルツルした質感に目がなく、マントの内側やらアンダーアーマーやらの様々なところにそういう質感のものを忍ばせている。生き物としては絶滅寸前だというのに、あの呑気で飄々とした風体も好きなのだ。
判明したのはつい最近のことである。四カ月ほど前、ナルトと話していた時にツラいことがあってサスケが項垂れた。ナルトが珍しいなと思って家に連れて帰り、ソファに沈み込んだまま動かないから、とりあえず何か映像でも見るかとテレビをつけたのが運の尽き。偶然写っていた大型ネコ科動物のドキュメンタリー番組にサスケは釘付けとなり、以来、情報番組の合間合間に流れるパンダやライオン、ヒョウなどの映像を収集してひとつのデータベースにまとめている。
モルモットの動画を延々と見せる無限月の夢を見ていた人間の末路が、よりによってネコ科動物の映像の取りまとめである。
シカマルは考えていた。
かつての暁の構成員をはじめとする、木ノ葉の忍のほとんどが知る戦争の英雄であるうちはサスケの、今現在の趣味が、ネコ科動物の映像収集であることを知れば、きっと多くの者は戦慄するだろう。それは笑いなのか、驚きなのか、そのどちらともしれない表情を浮かべて。いずれにせよ、平和である。
わざわざ聞くことでもない。佐助が当たり前に幸せに暮らしていることほど、平和の証明になることはないから。

考え込んでいた相談役がぽつりと口を開く。
「まぁ、お前がそう言うならいいけどよ」
ナルトはつい「え?」と訊き返してしまった。何の話だと思ったが、シカマルは気にしたふうもなく話を続ける。
「代官と火影の親交は深く、二日間にわたって非公式な会談が開かれることになっている。噂によれば、ナルトはこの会談に大きな賭けをしているらしい」
初耳である。
「まぁ、戦争の英雄である七代目火影の好意を無碍に出来ないからな。ま、これからもよろしく頼むわ」

そっと開け放たれた扉の隙間から、ひょこりとアカデミーの指定鞄を提げた我愛羅が顔を覗かせた。頭には繋がれた小さな鳥が止まっている。
「お疲れ様です」
入ってきたのはナルトの秘書課の女性で、段ボール箱を持っている。彼女は「お先に失礼します」と一礼して行った。
シカマルも振り返って扉の方へと歩き出す。その背中をナルトは思わず見送った。それから手元の分厚い資料に視線を落とす。間もなく大衆の面前で話すことになる原稿だ。
そうだ、週末の会談もだが、なによりもあの義賊の件をどうにかしないことには、サスケと落ち着いて過ごせない。
サスケが木の葉隠れの里に来るのは大体月に二回ほどだ。里での用事はたいていナルトとの逢瀬と、大戦後建てられた隠し財産庫の管理だ。
いつも二泊三日ほどで帰ってしまうので、限られた時間は一秒たりとも無駄にしたくない。土曜日は来週の水曜日と同じく朝から晩まで、二人きりの完全オフにしていたのだ。本当は月に一回のペースで会えれば、と思うところを、互いの任務や里の事情で二人揃って休みが取れる日はそう多くない。だからこそ一度確保できた休みを無駄にしたくない。
だがこの二日間の過労が祟ったのか、ナルトは週明けの月曜日、風邪を拗らせて休んでしまった。
迎えに来たサスケに「今日はちょっと行けそうにねェや」と伝えると、
「なら俺も休む」
と言い、何の衒いもなく火影の私室へ上がり込んだ。サスケが明け方に来るのはいつものことなので、周囲ももう何も言わない。
ナルトは布団の中でぐったりとしながら、寝間着のままうつ伏せに突っ伏していた。体の節々が痛む。こめかみがずきずきする。熱があるかどうかで言えば、たぶんない。
頭痛は睡眠不足から来ているだろうと、ナルトは自分の考えを言った。
「多分...疲れが溜まってんだと思う。少し寝りゃ治る」
「無理するからだ」
その口調に、心配してくれているのがわかってナルトはふふっと笑った。サスケが水分を取ってくる、と言い立ち上がる気配がして、ナルトははっと瞼を上げる。
「サスケ」
「何だ」
「ベットの横にペットボトル置いてある」
この前、具合が悪くて先に寝てた時に、水筒の中身が空で喉が渇いたことがある。以来、枕元に飲み物を常備するようにしている。隣で眠る男が気付いて買ってきてくれたこともある。
その男は今、立ち上がりかけて座り直した。
「...まったく、子どもかお前は」
呆れたように呟くサスケが、顔は見えないけれど、きっと呆れつつも口元は微笑んでいる。ナルトにはそう思えた。そして最近、サスケは隣に来る頻度が増えたなと感じる。それが嬉しいような、なんとなく気恥ずかしいような。
ごろりと寝返りを打つとサスケの胸に背中がつく。目を閉じる。
「なぁ、サスケ」
「なんだ」
「週明けの火曜から、しばらく会えなくなんだと。場所変わるって」
サスケは、は、と短く鼻で笑った。
「火影の仕事は大変だな」
こんな時、サスケが人を小馬鹿にしたようなことを言う。ナルトは怒るでもなく、面白くない、と言った。
「んだよ、俺だって休みくらい取るって」
「取れてるか?」
最近は月に一度あるかないかだ。ナルトは言葉に詰まった。
サスケはそんなナルトの様子を見て、残りのたこ焼きを頬張る。
そして冷めないうちに食えよと言って、サスケは煙草に火をつけた。
「来週...」
とナルトが呟く。
「何だ」
サスケが訊く。
「来週の木曜日、一緒にいれそうだ」
そう言ってナルトは煙草を持つ手に自分の煙草の先を近づけて火を分けてもらう。サスケが持つ煙草とナルトの煙草が交差して、火花がぱちぱちと弾けた。
「来週の木曜って言ったら、確かサスケは非番だよな?」
「ああ」
「じゃあ、決まりだな」
ナルトは嬉しそうに笑い、サスケは男の煙草の先に自分の煙草を押しつけて火を移してやる。オレとしたことが、とサスケは思う。わざわざ、ボッと火が点くライターを腰に下げているのに。いつの間にか火を移す動作が板についたものだ。
二人は互いの顔を見合って、ゆっくりと煙を吹きかけた。白い煙が混ざって細く上へ上へと昇っていく。
暗がりの中で、サスケの切長の瞳に映る炎が揺れる。
「最近のオレは、どんどん丸くなってるのかもしれねぇな」
「そうか? オレは前も今も変わんねぇと思うけどな」
ナルトがそう言うと、サスケはきょとんとした顔をした。ナルトは男の、ひどく若い顔を見て、そういや、と思う。
確かサスケは今、二十一か。自分は二十七だ。
サスケが二十歳の頃はこんなふうに、火影の執務室のソファに並んで座るようなことはなかったし、一緒に珈琲を飲むことすらなかった。
戦争が終わってからも長らく、サスケは海外をふらふらしていて、里を離れて暮らしていた。
久しぶりに帰ってきたかと思えば数日滞在して、また旅に出る。そんな男を想いながら待つということをナルトは何年も続けてきた。その男が今、隣にいる。物理的な距離の近さに、ナルトは軽いめまいにも似た感情を覚えた。
何がきっかけでこいつとこうなったのか、自分でもわからない。こいつと自分以外の誰にも言えない関係、それを隠すために、周囲の目を欺くため、公の場ではよく、犬猿の仲の喧嘩友達を装う。内戦時代の因縁もある二人の関係性は実際に良好とは言えず、周囲はこれまでずっと気を揉んできた。そんな経緯もあって、二人が水面下で恋人関係にあることを誰も疑わない。
戦いの中で死にかけて、再会して、そうしてこんな関係になった。
あの時、病院の屋上でサスケが額当てを自分の頭に載せてくれた時から、ずっとナルトは、サスケは自分が思っているよりずっとオレのことを見てくれていたのだと知っている。けれど長い間、サスケの本当の気持ちというやつを聞き出す機会はなかった。分かり合えたと思ったこともある。理解していると自信を持てたこともある。そのはずだったのに、二人の時が止まってしまったあの場所から始まった、再びの時の中で、サスケは言った。
『俺のことは好きか?』
あの時あの場所でサスケが何を思って、何を見て、どうしてあんなことを口にしたのか、今になっても分からない。分からないままでも、あの言葉を聞けたことでとても幸せな気持ちになれたのをナルトはよく覚えている。

家中の灯りをすべて消した真っ暗なダイニングで、サスケは壁にもたれかかって立っている。ナルトは鼻歌を気持ちよく歌いながら、冷蔵庫の前にかがみこんでいた。中を覗き込むと、大量のプリンが隙間なく詰まっている。
「ちょっと待ってろよ、一個取っから。ん...」
左奥、縁に寄せて置いてあるプリンを取り出そうと、背伸びして手を伸ばした。すると、背後から細く長い両腕がナルトの両脇を通って冷蔵庫の中の棚に手を付いた。いわゆる、壁ドン、ならぬ冷蔵庫ドンである。
ナルトが動きを止めると、ひんやりと冷たい声が耳元で響いた。
「俺の留守中に女を部屋に入れるな」
「入れてねぇし! つーか俺の家だし俺のプライベートだろ?!」
いきなり何言い出すんだ、と振り返って睨むと、さらりと背中を流れる長い黒髪が視界の隅をかすめてゆく。艶やかな黒髪も、まるで桐の箱にでもしまわれていたかのように傷一つない陶器の肌も、今は全てが腹立たしい。
「大体よー、朝も昼も夜も一緒にいんだから、プライベートもクソもねぇーだろうが」
サスケは無表情のまま、触れるか触れないかの距離から、ナルトを見下ろしている。
うっすらと開かれた唇から、不意に、はぁ、と吐息が漏れた。
「どっちが、仕事を減らしたくて、こんなにこっちに通ってると思ってやがる」
ナルトは勢いよく拳を握りこんだ。火影室の主導権を握っているのは自分だという主張は、最近ずっと聞き続けている。握った拳を振りかざしてこめかみを攻撃してやろうかと思ったが、サスケの隣に立っているはずの人物を思い出してやめた。
「今日は...もう帰れ」
む、と唇を結んだサスケは、前触れなくいきなり舌を絡めてくるようなディープなキスをしてきた。たっぷり一分は離さない。呼吸を奪われ、火影は男の胸板に爪を立てて耐える。
「…ッ、く...」
「……ん」
離れてもなお、名残惜しそうに重ねられる唇。とろりと火照った脳裏を必死に理性で抑え込む。うっかりサスケの腕の中に留まってしまったら最後、今夜は仕事ができなくなってしまう。
「ごめん、今日は、この後も会議が...」
言い訳がましくて、声が小さくなる。けれどサスケは気にしたふうもなく、わかったと短く応じた。
「じゃあな」
「ああ、またな」
火影室を後にする背中を見送りながら、ナルトは内心ひやひやしていた。サスケが何か言いかけてやめたように見えたからだ。こういうときはだいたいいつも決まって、ナルトに言いづらいことがあるときである。
口を滑らせてしまわないように気をつけなければ。サスケがここまで人間らしい生活を送るようになったのは漸く最近のことだ。かつてのように頭を悩ませてしまわないように、傷つけあう前に、とナルトは思ってしまう。
実際のところ、火影の秘書官であり相談役のシカマルには、ナルトは六時ピッタリに上がる日々が続いているのは知られていない。今のところ、帰りは七時前後。シカマルは夕方には帰るので、知らないのである。気配を消してサスケのもとに通っているため、暗部も察知していない。 ――まぁ、シカマルは六時ぴったりに帰るナルトを見て、ちゃんと定時で帰るようになったな、としか思っていない。
そのおかげで、ナルトは毎日サスケのアパートに通い詰めて、抱き合い、キスをし、飲み食いし、休みの日は一日中一緒に過ごした。滅多に喋らない男がポツリポツリと昔の話をしてくれる日もあった。ナルトが無理に問い詰めずに待つと、サスケはゆっくりと口を開いてくれる。忍びの基本も知らないガキの頃に二人で出会ったこと。最初は苛立ちを覚えたが、いつの間にか刺激に変わっていたこと。ナルトの全てが苛立って、それなのに目が離せなかったこと。
それから暫くして、とサスケは言う。
「俺はお前の帰りを信じて待つとか、言ってたんだな」
うん。とナルトは鼻声で頷く。幼い自分を思い出して、どうしてあんなことを言えたのか不思議になる。言った本人のはずなのに、あの時の自分はどこからそんな自信が湧いてきたのか分からない。でも。
「うん、オレ、言った」
いつでも正直な子どもだった。自分に正直で、他人に正直で。でも誰よりも孤独だった。
サスケは対面に腰を下ろしてこちらを見てくる。穏やかな目だ。触れた指先からサスケの体温が伝わる。自分で決めて、自分で辿って、ここに立っている。その事実をナルトは噛み締める。幸せはここにある。
「ちびっ子んときからさ、オレ、てめぇと兄弟になるのが夢だったんだ」
サスケはいつものようにすました顔で、そっか、とだけ言った。それから、今度は一族ができたな、と低く囁いた。ナルトの胸に突き刺さるように響く。
俺のことはお前がちゃんと見てた。ならずっと俺もちゃんと見てる。家族が増えたっていうなら、そのぶんずっと愛してやる。
二人で真っ白なシーツを被り、肌を寄せ合う。サスケが愛おしそうにナルトの髪をすく。夜明けまであと少し、部屋の中は夜の気配のまま静かだった。ただ、ひそやかな寝息と、シーツの擦れる音が聞こえるくらいで。

金曜日の夜。
ナルトはほっと安堵の吐息を吐いた。どうにか仕事をここまで漕ぎ着けた。明日、土曜日を定時の六時に上がれば、もう自由の身だ。
一人残った火影室で、デスクの上に突っ伏して天井を見る。遠くの窓からは夕焼けに染まる木ノ葉の町並みが望めて、そういえば今日は暖かかったよな、とナルトは思う。本当にいい天気だ。明日も晴れるだろうか。
それから、サスケと会うのは何日ぶりかと考えて、数日前に会ったばかりであることを思い出す。会うたびに心が躍るのは何年経っても変わらない。逢瀬前のこのそわそわした落ち着かなさが、火影としては失格だという自覚はある。しかし、このそわそわは悪い気分じゃなかった。
土曜日の定時を目前に控え、火影室の机の上にはきれいに後処理を終えた書類が積まれている。伏せられた湯呑みは、三つ。吸い殻も灰皿にてんこ盛りになっている。シカマルは、今日のノルマが全部終わった書類を抱え、愛人に会いに行くのだろう背中を見送った。
その背中は、週の頭から週末の逢瀬のために文字通り命を削って働いてきたとは思えないほど、軽やかだった。
シカマルは深く煙を吸って吐いた。
「まったく...」
呆れと祝福が混ざった息が、煙と混じって天井へ昇っていった。

土曜日、朝。目が覚めてすぐ、ナルトはベッドの上で大きく伸びをした。
愛しい女と会える。
考えただけで気分が高揚する。昨夜は嬉しすぎてなかなか寝付けなかった。確かここ二日くらいずっとソワソワしていたように思う。
顔を洗いに洗面所へと向かう。スキンケアは、サスケのやつ、とか思い浮かべながら、入念に、けれど浮かれた心持ちで行う。よく眠れたからか肌の調子は悪くない。それから鏡の前で念入りに髪を整えた。寝癖はない。きれいに収まっている。
今日は愛人と逢瀬を重ねる日。
もう大丈夫だと思いながらも、ナルトは万全を期してその足で美容院へ向かった。今日は、またサスケが髪を撫でてくれるだろうかと想像しながらカットしてもらう。切った分の髪をシャンプー台に流してやる担当の人がいる。
それからまたナルトは思う。流してもらうって、気持ちいいんだよな...
行きつけの美容院では、火影という職業がバレないように適当に「会社員」と名乗っている。誰かに見られたら、どうせ木の葉隠れの里の火影がまた贅沢をしてるとか言われるからである。
今日は磨いてもらうだけだが、本当はトリートメントもして欲しかった。しかし、それだと時間がかかるので、終わり時間が読めない。定時で仕事を終えて、そのまま愛人に会いに行くつもりなので、予定はしっかり決めておきたい。
しばらくして、担当の美容師がやってきた。
「お待たせしました。今日はどうしますか?」
「...なんかこう、こういう、髪を後ろで束ねて、てっぺんの方で束ねる感じの、なんつーか、あれ」
日本語が急におかしくなった。ナルトは自分の後頭部を指差し、美容師が手に取るどのヘアゴムよりももう一回り大きい、今は手元にないその輪ゴムの太さを指で示して説明しようとする。
「そ、それくらいの太さで...あと、てっぺんの方で結べるくらいの長さが欲しいんだけど...」
言葉がまとまらない。サスケの髪は、ナルトの髪とほぼ同じ長さなので説明がしやすいと言えばしやすいのだが、自分の髪を指差して「こういうのと同じ」で済むものを、なぜか無意識に避けてしまっている。同衾しているあいだにいじって知っている、彼の癖の強くて少し硬めの髪を思い出してしまったからだ。
けれど、隣で髪を結う女がひっきりなしに笑うので、ナルトは深く考えずに一番簡単な方法を取った。女性向けの髪型雑誌を開いて、その中の結い方の説明絵を指差して、これでお願いしますと言ったのである。
そのとき男の携帯電話が鳴った。ナルトはタイミングの悪さにむっとして、通話ボタンを押す。
「もしもし、おう、シカマルか」
女が髪を弄る手を止め、鏡越しに男を映す。
ナルトは眉をひそめると、表情を硬くした。
「...ああ、聞いてる」
すっかり冷めた声になる。女は思わず手を止めて鏡の中の男を見た。
「…わかった。今からそっちへ行く」
通話を終えると、ナルトはポケットから財布を取り出して、札を何枚か置いた。
「すまねぇ、トラブルが入った」
女は慌てて、え、と声を上げる。今週の水曜日はきっちり三時間、一緒にいられるはずだったのに。
「今度の休み...まだわからねぇんだ」
ナルトが申し訳なさそうに言うと、女は小首をかしげて、泣きそうな笑顔を浮かべた。
「じゃあ、連絡待ってる」
ナルトははい、と頷くと、置き代だけを払って女より先に部屋を出た。
部屋を出ると、待ち構えていたシカマルと目が合った。
「急に悪いな」
シカマルは何も答えず、タバコに火をつけた。そしてふう、と紫煙を吐き出してから、言った。
「来週の水曜はちゃんと休めるように調整しとくから」
ナルトははっとした。シカマルは続ける。
「そん代わりだ。来週の水曜、昼からでいいから、病院に行って検査を受けてこい。予約も入れといてやるから」
「病院?」
ナルトは警戒したように眉をひそめる
“抱歉,让我睡十分钟就好。”说完,鸣人便躺下了。佐助虽然应了声“知道了”,却根本没有计时。

“到了。”

说着,佐助啜了口酒,把杯子放回桌上。

鸣人把滑落的黑色斗篷搭在膝上,睁圆了眼睛打量着矮桌上摆得满满当当的盘子。火影的斗篷则被整齐叠好放在一旁。

“我……该不会睡了好一阵子吧……?”

这怎么看都不像是只过了十分钟左右的时间啊——正当鸣人困惑不已时,佐助什么也没说,默默从怀里掏出一条几天前就一直小心珍藏的项链。

健康的麦色脖颈上,被挂上一条纤细精致的银色链子。佐助用嘴叼住一端,灵巧地将细环绕过鸣人的脖子,在颈后扣上搭扣。

“什么?”鸣人歪着头询问,佐助却把他衣服的拉链拉到了胸口。他想看看项链直接映衬在肌肤上的样子。

“……怎么回事?这玩意儿,是要送给小樱的吗?”

鸣人捏起垂在胸前的吊坠。打磨得晶莹剔透、切割繁复的蓝色宝石化作棱镜,反射着天花板的灯光,耀眼夺目。

这石头看起来挺贵的,鸣人想。他想起了当年咬牙买下的订婚戒指。那玩意儿是真贵。大概相当于五十次S级任务的报酬。

嘛,现在的佐助的话,应该轻轻松松就能赚到这个数吧……不过同时他也有家室,估计也是哗哗地往外花吧……——同样要养家糊口的鸣人一边端详着宝石一边思忖。

不过小樱作为医疗忍者有收入,孩子也只有一个,而且已经当下忍了,开销应该没我这么大吧。所以才能在不是生日的时候给老婆买礼物啊,嘿……正感慨着,佐助开口了。

“给你的。是给你的。”

鸣人大吃一惊。

“……哈?”

佐助说了那话便自顾自地咕嘟咕嘟喝干了杯中的酒。

鸣人看着男人的侧脸,看看捏在手里的宝石,又看了一眼那张端正的侧脸,再看回宝石。正因为太清楚这东西的价格、价值以及佐助的经济状况,他无法单纯地感到高兴,只是一味地困惑着——这到底是怎么回事啊……

怎么,佐助是想打扮我吗?像个给年轻女人砸钱的老头子似的?我难道真的是所谓的小三吗?满腹狐疑地盯着宝石看了半晌,旁边传来一声略显不悦的话。

“不高兴吗?”

“高、高兴……当然高兴了。谢谢你,真的……”

佐助哼了一声,别过脸去。给自己空掉的杯子里倒上酒。

“下周,火之国的大名又要来村里了吧?”

被问到后正要点头,鸣人忽然“啊!”的一声明白了。

也就是说这是那个——世上罕见的,佐助的嫉妒。他还记着第一次约会时,自己说起从大名那里收到了螺钿镶嵌的工艺品的事呢。

鸣人不由得直勾勾地盯着佐助看。这家伙还挺记仇的嘛,真是个不服输的家伙——在无语之前,一股情绪先涌了上来。啊啊——爱得让人想喊出声来。

明明当初是自己解释说大名与火影的往来并非私人性质而是公务关系,如今却彻底公私不分了。再说鸣人对工艺品也好宝石也好都没什么兴趣,真要说什么的话,收到一乐拉面的免费券反而更让他开心。

可是,那个自尊心极强的佐助,竟然愿意降到同一个层面来较劲。不管再怎么强,说到底不过是一个忍者,竟想在经济上和泱泱大国的大名一较高下。怎么想都是胡来。愚蠢、可笑、却无可救药地惹人怜爱。

自己刚才一定露出了快要咧嘴笑出来的恶心表情吧——回过头来的佐助一脸狐疑地看着他。

“……怎么了?”

“嘿嘿……没什么。”

嘿嘿嘿地笑着,佐助的脸色转眼间就沉了下来。鸣人一边拼命忍住快要咧开的嘴角,一边无意识地用指尖拨弄着挂在脖子上的大颗蓝宝石。

大概是终于觉得不好意思了,佐助忽然换了个话题。

“对了,义贼那件事怎么样了?”

鸣人露出认真的表情,松开吊坠。

“小樱说很快就能出结果了。”

“是吗。”

“……不过,我嘛,有点,觉得他可怜……”

鸣人垂下视线,望着榻榻米的缝隙喃喃道。他感觉到佐助欲言又止地看着自己。想说的话大概和鹿丸一样吧。

然而,对于鸣人过分宽容的做法,意外地最能理解的却是佐助。

“我带回村里的那个家伙后来怎么样了?”

“那个啊,那家伙正如你说的,似乎确实没什么有价值的情报……”

总之先以精神疲劳的名义把他从暗部的牢房转到了医院的单间,住院期间让他利用国家的抚恤金制度和遗属慰问金制度解决了眼前的生活费。出院后到现在,以战争后遗症身心症的名义,让他住在村外一处主要面向归国士兵的设施里,参加治疗项目。

那个治疗项目以三个月为一期,所以——

“……过了那段时间应该就能稳定下来了,我就想着,之后无论是继续留在这个村子生活,还是搬到别的村子、别的国家,或者继续当忍者还是改行,让他自己决定就好了。”

鸣人对着默默倾听不加插话的佐助微微一笑。

“又不是生在木叶就得一辈子待在木叶。现在只要办好手续,换村也好换国也好都是可以的。而且也不是需要一辈子当忍者、打打杀杀的时代了。”

创造出这种可能性的,正是漩涡鸣人本人。

佐助把杯子放在桌上,用空出来的手握住了火影那只肉身的、带着温度的左手。

“嗯?”

鸣人说着,顺着那股力道被拉了过去。

“那个人,现在状态怎么样?”

被这么一问,鸣人答道:

“一开始像惊弓之鸟一样战战兢兢的,后来慢慢放下戒心了,前阵子我去设施看他的时候,他已经能和其他人有说有笑地一起抽烟了。和我也能正常说话了。”

话音刚落,那张还微微张开的嘴唇就被吻住了。带着烈酒的浓烈味道。

薄唇很快便离开了。鸣人带着些许责怪的眼神仰头看着男人。

“不过那家伙啊,我不小心提到你的名字的时候,他怕得不行。……你到底对他做了什么啊?”

佐助无声地笑了。像只向主人撒娇的狗一样,把脑袋蹭到火影肩头。

“没干什么坏事。”

“真的吗?”

“真的。”

男人的吐息拂过颈侧,鸣人不由屏住了呼吸。只有这种时候才摆出这副可爱的姿态。佐助很清楚,只要这样,自己就会心软原谅他。

以前反而更容易些,想说什么就可以直说出来。自从有过肌肤之亲之后,距离感太近反而难办了。

“佐助,那个内应……就是塞给我奇怪传单的那个家伙的事,我也原谅他……可以吗?”

鸣人想,既然佐助用这种撒娇的方式来传达意图,那自己也用同样的方式好了——可话一出口,佐助立刻猛地抬起头来。

“要不要原谅他是你的自由。但火影不能无条件地宽恕罪人。这个村子也好、国家也罢,能容纳各种各样的人共存,靠的是秩序。火影是这秩序的一个顶点。在给出与罪行相称的惩罚之前,不能轻易露出好脸色。”

鸣人老实地闭上了嘴。当年五代目火影也对他说过类似的话。那是在大战结束后、佐助的处置尚未定夺的时候。

而佐助经历了作为相应惩罚的监禁,以及为了赎罪而四处流浪的旅途,最终为村子和忍界尽心尽力,才有了今天的他。所以鸣人并非不理解纲手和佐助所说的道理。

“我知道了啦。”

佐助用仅剩的那只手臂把低着头的鸣人揽了过来。他的嘴角微微扬起。

看着鸣人铆足了劲想要拯救恶人的模样,很有趣。因为他知道,当年自己也一定是这样被鸣人想尽办法拯救的。

矛头指向别人这件事,说实话令人不太痛快,但想到那段自己被如此对待的日子,又觉得这样的鸣人实在是可爱得不行。

据旁人所说,鸣人当年甚至急到过呼吸发作。佐助听到这话时忍不住笑了出来。当时转达此事的佐井,用一副端详奇异生物的眼神看了他半天。

“佐助……”

矮桌上,摆得满满当当的盘子里,摆盘精致的菜肴正一点点凉去。被静静地抱着,能感觉到鸣人的体温在慢慢攀升。……倒也不是身体不舒服。纯粹是因为被自己抱着而兴奋起来了。

“佐助——”

线条流畅、裹着韧韧肌肉的手臂伸过来,缠上他的脖子。鸣人放着满桌好菜不看,只盯着自己,佐助心情很好。

鸣人软软地依偎过来,靠在他身上。厚实的嘴唇犹犹豫豫地舔了好几次,几乎是只用气息在耳边低语:

“今天……不做那个吗……?”

佐助故意用冷淡的目光回望那双热切注视着自己的眼睛。视线落在对方眼下那黑沉沉的、靠睡一两个小时根本消不掉的青黑眼圈上。

“你今晚怕是不行了。”

“……谁说的。”

“到时候硬都硬不起来。”

“都说了不是——!”

鸣人仰起脸来,把嘴唇压上来,佐助便接住了。一上来就伸舌头往自己嘴里探,干劲倒是十足。

之前鸣人睡着的时候佐助只顾着喝酒,这会儿便用浸透了冰凉酒精的舌头迎战。把伸进来的舌头一卷一舔,本就睡眠不足的脑袋立刻被酒意冲上头顶,鸣人晃了一下,从鼻腔里漏出一声娇吟。

“唔……”

他跨上刚才还当枕头的男人大腿,不住地用腿间去磨蹭。

就算被那样抵着碾着,佐助连眉毛都没动一下。没过多久,边吻着,鸣人的眉尾便耷拉下来,露出一副为难的表情。怎么说呢……完全没有任何反应。

“……咦?”

鸣人自己先解开了亲吻,抓住那条硬邦邦的大腿,像揉面似的压着腰来回磨动。

佐助带着湿润的嘴唇劝阻道:

“算了。这种事也是会有的。”

“好奇怪啊……”

“睡一觉就好了。你就是太累了。”

鸣人不听这番温柔的劝告,倔强地一把将自己的拉链拉到了底。掀起内搭上衣,毫不设防地将赤裸的胸膛和小腹暴露在男人面前。

“佐助,舔我奶头。”

看着那颗自己亲手给他挂上去的大颗宝石啪嗒一声垂落在紧实而微微隆起的胸口上,佐助几乎想叹气。他本人大概是真的拼命了,但也请想想这边被撩了半天最后会被晾在一边的心情吧。

心里虽这么想,既然都送到跟前了,佐助还是凑过了脸。衔住那因接触到空气而微微硬起的胸前突起。啾地吸了一口,等前端被唾液浸得微微发软后,再用舌腹啪嗒一下压着碾过——那光滑的皮肤立刻肉眼可见地一颤。

“……佐助……”

可鸣人眉尾还是耷拉着。舒服确实是舒服,但那份快感只停留在胸口,仿佛通往下半身的神经全部被禁行了一般。

佐助啾地一声离开乳头。看着鸣人坐立不安地反复调整坐姿,戳了戳他的额头说道:

“下次再说。你今天吃完就睡吧。”

“……不要。”

“说不要……你也真是。”

“就是不要嘛。……佐助,我说你啊。”

从他再次把手臂缠上自己脖子的那一刻起,佐助就有种不好的预感。鸣人向来爱恶作剧,偶尔会说出连自己都想不到的、毫无边际的话来。这次也一样,碧蓝的眼睛闪闪发亮,仿佛想到了什么绝妙的好主意,然后提出了一个极具革命性的提议——
“你该不会没法让我硬起来吧?用你那写轮眼。”

佐助不由得稍微想了想,然后慎重地回答。
“不是做不到……只是没做过。”
“那就试试呗。”
“我拒绝。”
“为什么?”
鸣人一旦说出口,在得到能让他信服的反驳之前,很少会收回自己的意见。佐助知道他的这种固执,于是叹了口气,姑且耐心地解释。

“我平时触碰的只是人的意识层。更深处的本能我从没碰过,也不打算碰。因为稍微操作失误,人就会轻易变成废人。大脑就是这么纤细的东西。”

“我脑子笨,没事的啦。”

“……不是那个意思。鸣人,”

佐助觉得有什么不对劲。他把额头贴上鸣人的额头,凑近了问。

“怎么了。你在急什么”

鸣人也回望那双细长的眼睛。那吓人的眼睛也隔着长发直勾勾地看过来。在佐助面前什么都藏不住。他只好认命地开口。

“……这周三,不行了。对不起”

什么啊就这点事,佐助悄悄松了口气。他暗地里做好了心理准备,以为对方要坦白更严重的事。比如说又有了一个孩子之类的。

“工作吗?”

听到询问,鸣人轻轻摇了摇头。他抱歉地缩起肩膀,小声回答。

“和家人,出门。雏田…,她很期待”

毕竟还是想在约会之前换好衣服,鸣人昨晚很晚的时候短暂回了趟家。火影宅邸虽然有狭小的淋浴间,却没有浴缸。难得回去一趟,他也想泡在浴缸里好好洗洗全身。

结果,明明已经是凌晨两三点,家里却灯火通明,一打开玄关门,就扑上来一个没睡等着他的年幼女儿。爸爸下周休息对吧!?——被女儿笑盈盈地这么一说,鸣人便什么也瞒不住了。连平时爱顶嘴的儿子也从房间里走下来,说:“我从鹿丸大叔那里听说了,爸爸好像为了休息很努力嘛。”
哎呀,鹿丸……,鸣人也不是没有这么想过,但出于出轨的心虚,他想不到任何对策,只能抱起女儿,以父亲的表情问她想去哪里。

萨助安静地听完他断断续续讲述的情景。最后,鸣人把视线移开,又说了一遍抱歉。
「对不起啊」
萨助用平静的声音应道。
「没关系。去吧」
这次轮到鸣人紧紧盯着萨助看。他用一种异常清晰的声音问道。
「萨助你一点感觉都没有? 就算我和老婆孩子,相处得很好?」
萨助望着鸣人脖颈上滚落的宝石,心想,真狡猾啊。给了这样的东西,事到如今要是回答“不”,自己立刻就会变成一个拼命藏起真心、楚楚可怜的情人。要是回答“是”,又无异于承认自己输了。
鸣人至今仍会偶尔狡猾地试探别人的爱。那是孤独的幼年留下的可悲残余。平时看起来可爱的小动作,在这个情境下却令人可恨。于是萨助用问题回答了问题。
「你呢?」
他趁鸣人屏住呼吸,继续追问。
「你又是怎么想的? 就算我爱着女儿,用同一双手拥抱妻子,你也毫无感觉吗?」
萨助屏息看着那双蓝眼睛静静地染上悲伤。
他自知说了很过分的话。但比起后悔,喜悦先涌了上来。他很高兴,看到那个鸣人抛开博爱之心、只执著于自己,这让他高兴得不行。他心想,自己真是坏心眼。
“好过分……”
被猛地一推,佐助踉跄了一下。膝上的重量消失,鸣人别过脸去。
“太过分了,你、佐助,真是……。我不管了”
“鸣人——”
“我说不管了。你什么的,我再也不管了。”
佐助眼疾手快,用独臂从背后抱住了正要逃走的身体。在扭动身体想要挣脱的鸣人耳边低语。
“你想把樱怎样?”
“住手!”
“现在的你,想把樱怎样?说来听听。你说的话,我也回答你,想把你的老婆,怎么样”
“住手啊!真的!住手…”
鸣人开始簌簌发抖。他失去了抵抗的力量,被男人从背后紧紧搂住,坐到榻榻米上垂下了头。
“…別逼我说…”
佐助加大了环抱的力道。倾听鸣人的声音。
“别让我说…我、我…。我不想说……因为我,”
“够了”
一只大手掩住了他的嘴,鸣人这才卸去全身的力气。于是被堵住的泪水像坏掉的水龙头一样从眼睛里溢了出来。
温热的泪水溅到手上,佐助心生怜意,松开了掩住他嘴的手。改而握住鸣人落在膝上的那只温热的手。鸣人知道,自己只能靠哭泣来确认被爱,这是童年时代扭曲的遗留,自己至今仍未长大。
“是我不好”
鸣人默默吸了吸鼻子。佐助已经道了歉,他也明白自己先提起这事也有不对。
被握住的手、紧密贴合的重量的后背,都传来了佐助的情感。所以当佐助叫他“喂”的时候,他也能坦诚地听下去。
“你明白的吧。我也是同样的心情。我懂你的心……”
但是啊——听到这句话,鸣人回头看去。佐助意外地表情平和。
“我会忍耐的,为了你。无论多少谎言我都说。就算变成狗也行。为了你,干净也好肮脏也好,我全部吞下。就像你曾经,接受我的罪孽一样”
鸣人会把这段话当作动人的爱情宣言吗。
……大概是吧,被那双闪闪发亮的蓝色眼睛凝视着,佐助如此想到。“你该不会是没法让我硬起来吧?用你那写轮眼。”

佐助不由得稍作思考,才慎重地回答。

“倒也不是做不到……只是没做过。”

“那试试呗。”

“我拒绝。”

“为什么?”

佐助知道鸣人一旦开了口,在得到能让他接受的反驳之前,是绝不会轻易收回自己意见的顽固性格,于是叹了口气,姑且认真地解释。

“我平时接触的只是人的意识层。更深处的本能既没碰过,也刻意不去碰。稍微操作失误,人就会轻易变成废人。大脑就是这么纤细的东西。”

“我脑子笨,肯定没事的。”

“……不是这个问题。鸣人。”

佐助觉得哪里不对劲。他将额头贴上鸣人的额头,凑近了问。

“怎么了。你在急什么。”

鸣人也回望着那双细长的眼睛。那令人害怕的眼睛,也透过长发紧紧盯着自己。鸣人知道在佐助面前什么也藏不住,只好认命地开口。

“……下周三,不行了。抱歉。”

原来只是这种事啊——佐助悄悄松了口气。他暗自做好了准备,以为对方要坦白什么更惊人的事,比如又有了一个孩子之类的。

“工作吗?”

一问,鸣人便微微摇了摇头。他带着歉意缩着肩,小声回答。
“和家人,一起出门。ヒマ…、期待了很久了。”
再怎么也得在约会之前换身衣服,鸣人昨晚很晚的时候,抽空回了一趟家。火影宅邸虽然有狭小的淋浴间,但没有浴缸。难得回去,也想泡个澡,把全身好好洗一遍。
結果,明明已是深夜两三点,家中却灯火通明,一打开玄关门,没睡等着他的小女儿就扑了上来。她满脸笑容地问:爸爸下周放假吗!?鸣人便什么都无法再隐瞒了。连平时喜欢顶嘴的儿子都从房间里走下来,说,我听鹿丸叔叔说了,老爸好像在为了休假而努力呢。
哎,鹿丸那家伙…,鸣人也不是没有这么想过,但出轨的愧疚让他想不出任何对策,只能抱起女儿,以父亲的脸孔问她想去哪里。
佐助静静听着他断断续续讲述的情景。最后鸣人别开视线又道歉了一次。
“抱歉啊。”
佐助以平静的声音回应。
“没什么。你去吧”
这回换成鸣人直直地盯着佐助。用莫名清晰的嗓音问道。
“佐助就一点都不在意? 我,和老婆孩子,关系这么好”
佐助看着鸣人颈间滚落的宝石,心想:真狡猾。给了我这东西,事到如今如果自己回答“不介意”,那么转眼间自己就会沦为默默藏好真心、楚楚可怜的情人。要是回答“介意”,又像是认输了一样。
鸣人至今仍偶尔狡黠地试探别人的爱意。那是孤独的童年留下的可悲残影。换作平时,那模样十分可爱,可眼下的境况里却让人觉得可恨。因此佐助用问题回答了问题。
“你呢?”
他逼问倒吸一口气的鸣人。
「你怎么样?就算我爱着女儿,用同一双手拥抱妻子,你也毫不在意吗?」
佐助屏住呼吸,看着那双蓝眼睛静静地染上悲伤。
他自知说了过分的话。但比起后悔,喜悦先涌了上来。他很高兴。看到鸣人舍弃博爱之心、只固执于自己,实在让他高兴得受不了。他自己也觉得这心思真够坏的。
「太过分了…」
被猛地一推,佐助踉跄了一下。膝上的重量消失,鸣人别过脸去。
「你太过分了,佐助,真的…。不管你了」
「鸣人。」
「说了不管你了。你这种人,我不管了」
佐助眼疾手快地用一只手臂从身后抱住了要逃走的鸣人。在扭动身体想要挣脱的鸣人耳边低语。
「你想对樱怎样?」
「住手啊!」
「现在的你,想把樱怎样?说啊。你说了,我也告诉你,我想把你的老婆,怎么样」
「快住手!真的!住手…」
鸣人开始瑟瑟发抖。他失去了抵抗的力气,被男人从身后紧紧抱着,坐倒在榻榻米上垂下头。
「…别逼我说…」
佐助收紧了拥抱的力道,倾听鸣人的声音。
「别逼我说…我、我…。我不想说的……因为我说到底,」
「够了」
大大的手掌捂住了他的嘴,鸣人这才卸下了全身的力气。而被拦住的泪水像坏掉的水龙头一样,从眼眶里溢了出来。
温热的眼泪滴落下来,佐助心生怜意,松开了捂住他嘴的手。取而代之抓住了滑落在膝上的鸣人的手。他明白,自己仍像那个扭曲的孩童时代一样,没有成长,只能通过让对方哭泣来确认自己被爱着。
「是我不好」
鸣人默默地抽了抽鼻子。他知道,佐助既然道了歉,率先提出这件事的自己也有错。
从被握住的手中,从贴着自己的沉重后背中,佐助的感情流淌而来。即使他呼唤自己“喂”,也能坦诚地听进去。
「你明白的吧。我也有同样的心情。我明白你的心…」
但是啊,鸣人听了,回过头去。佐助意外地,表情很平静。
「我会忍耐的,为了你。多少谎都会说。当狗也行。为了你,无论漂亮还是肮脏我全都咽下。就像你曾经,接受了我的罪一样」
鸣人会把这句话当作动人的爱情宣言吗。
…应该是吧,被那双闪闪发亮的蓝眼睛凝视着的佐助心想。
视线相触后,鸣人满脸通红地,嗯,点了点头。身体里还残留着羞耻感,但这样的撒娇方式已经是他全部的坦诚。没办法再坦白更多了。
沉默降临。佐助稍稍侧过头。
开口问鸣人,今晚去喝酒吗。没有理由拒绝,所以喝了。火影的宴席。同席的にはイルカ先生と、纲手だった。
自来也の死んだ後、ナルトの面倒をずっと見ていた大人がこの二人だった。最初こそどん引きしていたイルカだったが、サスケがナルトの尻を追いかけて、自分が木ノ葉の里を出てから起きたことや、隠れ里を取り巻く環境の変化について真剣に聞いて回っているうちに、徐々に口を開くようになった。
その日も酒の勢いで何かの任務の武勇伝を聞かされ、その流れでサスケが、ナルトのまだ知らない、今のナルトの強さの秘密を尋ねると、イルカはちょっと驚いた顔をしたあと、教えてやろうか、と言ってナルトの幼少期の話を始めた。
いわく、物心ついた頃からずっと一人だった。アパートの一室で独りきり、買い置きのカップ麺や牛乳パックで腹を満たしていたという。悪戯も、怒られたいからではなく、ただ名前を呼んでほしかったから。万が一の非常時以外は触れてはいけないという、うずまきナルトという忍の特別指定の扱いを、誰よりも早く理解していたのはイルカだったらしい。
「イルカ先生って知ってるか? 暗号班の」
「ああ」
ナルトに直接聞いたのでは決して出てこないような話も、サスケはイルカやシカマルといった口の軽い男たちから聞き出すことができた。両親がナルトの命と引き換えに九尾を封じたこと。敵国に魂を売った息子の前科を、木ノ葉の忍びは誰も口にしようとしないこと。本来ならば、ナルトは幼少期からあらゆる世代の忍たちに崇められてしかるべき存在であること。
その事実を、ナルト自身が唯一教えられたのは、随分と年が離れた隣人の口からで、同じくらいただしくない飲み屋の帰り道だったらしい。春の夜のことだったと話していた。あの日帰宅したナルトは泣きもせず、ふらふらとまるで幽鬼のように台所に立ち、黙ってコップの水を飲み干した。
台所に居合わせたサスケは、水を飲み終えたナルトの手からコップをそっと取って、代わりに何か食べるかと聞いた。ナルトは黙って首を振った。
青い目には涙がない代わりに、昏い何かがいた。
サスケは何も言わずに、夜食に作ってあった握り飯をひとつ手に取り、ナルトの口元に持っていく。もし吐き出されたら、その時はその時だと思った。
ナルトは大人しく一口かじりついた。咀嚼する。飲み込む。そしてサスケが手に残した欠片も取って、口に放り込んだ。一粒残らず食べた。
「―涙はいらない、オレがいる」
思えばこの頃から、二人の奇妙な関係は始まっていた。愛している、とサスケは思う。狂っていると自分でも思う。すれ違ったあの日、あの時から。
変わらない男だ。サスケの胸に吐き出したように思いつき、ナルトは苦笑した。ここで話してもつまらないだけだ。とはいえ、心の準備くらいはしておきたくて、ドアを開ける前に一度だけ男の情事の匂いを自分の服から消したくて、火影屋敷の浴室でシャワーを浴びた。

シカマルが執務室を訪ねてきたとき、ナルトは書類に目を通していた。
今度の木曜日に、水門さんと玖辛奈さんの墓参りに行かないかと彼は言う。ナルトが幼い頃からずっと、この二人の墓参りには特別に連れて行ってもらっている。シカマルは多分、ここのところずっと、ナルトの顔色が優れないから誘ってくれたのだろう。ナルトは黙って首を横に振った。シカマルはそれ以上何も言わなかった。
ここのところナルトが不調な理由の大半はサスケにある。火影としての責務もあり、最近は会う頻度も減っていた。だが、顔を合わせれば前よりも優しく、見つめてくるので、その分だけ愛されているのだと思っていた。
月曜日に東京へ行ってすぐに火影屋敷を訪ねてきた。火影の執務室にまでやって来て、扉を閉めて、ちゃんと昼休みの時間なんだろうな、と問いかける。黙って頷くと嬉しそうに口元を綻ばせた。すでに、この三日間のナルトの行動を洗いざらい把握しており、更に言えばナルトが隠れ蓑に使っている護衛の詰め所の在籍状況、外出時刻やら、そこから出た後の足取りの辿り方まで全て知っている。
お前という男は、とナルトは呆れる。抱きしめたいのにずっと後ろを歩く。人気のないビルの影に入った瞬間に、壁際に押し付けて抱きしめて、もっと長く髪を伸ばせばいい、結った髪を下ろせ、その結び目をほどく指先は実に丁寧で、再び結う時も丁寧で、ナルトの髪は男の手で後ろでひとつに束ねられた。
男に下腹部を撫でられながら、ナルトは鏡に映る自分の髪を少し眺めて、また胸を貸せと言わんばかりに何も言わずに背を向ける。火影の襟首から覗く小さなシャツの端を引っ張って襟元を整えてやる。
これがうまくいかない、とナルトは思う。恨めしさを含んで背中を睨んだ。触れれば触れるほどに、底のないところへ引っ張り込まれるような心地がして、いくら溺れても、決して息は楽にならない。それなのに彼を拒絶する手段はとうに失っている。サスケはこちらを見もせずに、小さくこぼした。
「我慢できなくなる。ただそれだけだ。そういうもんだろ」
何を言いたいのか、ナルトには理解できた。長い付き合いで互いの考え方くらい手に取るようにわかる。
疲れ切った赤い目が、優しく髪を撫でるくせ毛の指を恨めしそうに見つめた。
わかってる。わかってるけど、それを口に出してくれるのはありがてぇんだよ。
ナルトは顔を上げ、腕の中から見上げる形で、自分を抱く男の顔を見た。
「弱ェな、オレ」
サスケはただいっそ優しく、微笑んだ。ナルトは情けなさに顔を歪め、また前を向いてうつむく。悔しくて喉の奥がきゅっとなる。
サスケの胸の前にある自分の手を、細い指先でそっと、つうっとなぞる。目に入るサスケの指に、自分の指を絡めていく。
「…さっきは、ごめんな」
耳元でくすぐったそうな笑い声がする。声を出さずに笑うサスケの癖だ。
「いいぜ。抱きしめてやるから」
抱え直されて、すっぽりとサスケの腕の中に収まった。すごく久しぶりに素直に甘えられる気がして、ナルトは体の力を全部抜く。
「…やっぱ、すげぇな」
「何がだ」
「だって、こんなことになってんのに、家族との時間が楽しみなんだ。オレってば、やっぱりヒマが好きなんだと思う。きっと、サスケのことが、好きなのと同じくらい」
「俺のことは棚に上げておけよ」
「うん。…棚に上げとく」
そう言って笑う声は震えていて、また涙が出てきそうになっているのを、ナルトは誤魔化すようにサスケの首に腕を回して抱きついた。折れた方の肩も、ちゃんと抱きしめられる場所がこの腕の中にある。
背中を撫でられながら、ナルトは目を閉じた。
サスケの体温が、匂いが、味がする。

「ちゃんとあの日着る服も、ちゃんと考えてあるんだ。オレ、子どもの頃からずっと、サスケとちゃんとデートするために生きてきたみてぇなところがあるから」
妙に説得力のある言い分だ。サスケの機嫌を取ろうとしているのかもしれない。そういう不器用さは嫌いじゃない。いやむしろ、愛おしいとさえ思う。
「それにほら、オレばっかり思い出を増やしちまうのもアレだし、デートの延期は一回きりだ。ずっと待たせるわけにもいかねぇしな」
サスケは微かに首を傾げた。この男は、融通が利かない。急用でデートが潰れたことは今までに何度もある。お互い仕事を持っていれば、そういう日もあるだろう。だからサスケは、子どもらと出かけられると言ってナルトが嬉しそうで、ほっとした。口元を綻ばせて笑うナルトが、愛おしいと思う。
「そうだな」
頷きながらも、心中ではナルトの言葉の方を疑っていた。ナルトが言葉を選んでいる。
「お前、俺のとこ来るとき、ちゃんとサクラに嘘つけてんのか?」
笑顔で返すと、ナルトは一瞬だけぎくりとした顔をして、すぐにまた笑った。
「なんとか」
「お前の嘘は顔に出る」
「顔に出ない嘘はねぇけどよ。オレは一度火影になった時から、もうずーっと嘘つきだ。それをやめちまうと、家にいづらくなる。家族の関係性が成立しなくなるんだ」
少し前のナルトは、こういう自分の正直さえも隠そうとした。ロクな答えが返ってこないとわかっている質問を、あえてするようなことがある。サスケの言うことをちゃんと全部受け止めて、噛みしめて、それでも折れない。
あの頃のナルトは、もっと自由だった。もっと不器用で、もっとナルトだった。
そういえば、とサスケは思い出す。
「かつてお前はオレに言ったな。他人をほっとけないのがお前の忍道だと。変わったな」
ナルトの顔が歪む。きれいに整った眉をひそめて、不満を口にする。
「オレは何も変わってねぇよ」
「いや、変わった。以前のお前はどんな人間でも救おうとした。性懲りもなく、しつこく、なおかつ力ずくで」
「だから、何も変わってねぇって!」
サスケは面白そうに、一層きつく力を込めて抱きしめた。
「違う。目に映るお前は、今も昔も変わらない。だが…心の向けどころが、変わった。オレの知っているナルトは、オレよりも他人を優先した。今はどうだ。自分自身が溺れそうになって、オレのてを取ったろう」
ナルトは何も言い返せなかった。変わり映えのしない、いつも通りのデート。午後八時に、待ち合わせの場所に現れた。
息を切らせて走ってきて、少し照れくさそうに笑う。待った? と聞いてきたので、いや、とだけ答えた。白いTシャツにカーキ色の軍パン、腰に巻いたセーターといういで立ちはどう見てもデートの服ではない。サスケが呆れ混じりに見下ろしていると、ナルトは茶化すように笑って言った。
「嫌? こういうの」
嫌いじゃない。汚れを恐れないくたびれた服は、サスケにはむしろ快く感じられた。不意に、裏の畑で無邪気に泥だらけになっていた幼いナルトの記憶がよみがえって、いっそそのままの方がよくないかと思った。今のナルトは火影の顔を持っている。これから向かうのは、二人の始まりの場所。あの日のままの、お前でいて欲しい、と望んだ。
「いや、いいんじゃないか。その恰好で」
ナルトは目を丸くした。首を傾げて尋ねる。
「これ、パジャマだよ? よく見て?」
確かに、上下で色の違う、妙に不釣り合いな組み合わせのそれは、部屋着というよりはパジャマだろう。もう何年も前に買ったTシャツには、木ノ葉隠れの里のマークが描かれている。ズボンは何かの粗品でもらったスウェットだろう。サスケから見ればナルトの姿はどうあれ嬉しいものだが、今こうして言われると惜しい気もする。
「…よく見たら、色違いの上下だな」
「だろ! オレの服、いっぱい着てくれるって思ってたんだよ、サスケも大人になったな」
「…うるさい」
ひとしきり笑い合ったあと、ナルトが気持ちを切り替えるようにぽんと膝を叩いた。
「改めて決めるわ。今度の土曜日、ヒマとサスケとデートする」
この男は火影でありながらまったく学習しない。いや学習しないのではなく、出来ないのだ。幾ら待っても、決してやって来ない自分を責めることもなく、未来の約束を当たり前のように取り付ける。その報われなさが、サスケは耐え難く愛しかった。
「ああ」
まただ。またこの男は、愛しい人の言葉を借りて、自分の無意識に嘘をつかせた。
「知ってるか。俺の家にサスケの写真が飾ってあるんだぜ」
なんだ急に、とサスケは思う。
「新婚の頃のやつ。部屋にドンって」
あれ、とサスケは首を傾げる。心当たりがない。新しく開いた写真館の前を通った時の前で、サスケが目をそらして通り過ぎようとしたら、ナルトがその写真を買って自宅の寝室に飾った。そういう逸話のある品だ。
「あれ、サスケが五年前に『暁』のメンバーと写った一枚を家に持って帰ってきた時、ヒマタは泣き出しちゃってさ」
「泣いたのか?」
フッとサスケは息を漏らした。
「あの時にヒマタが…そっくりだなって言ってて。オレは写真を見た時わからなかったんだけど、言われてみれば確かにそんな気がして。本人に言うと、ボルトがひどく怒った」
話しながら、ナルトの顔がだんだんと熱を帯びてゆく。恥ずかしさと喜びが混ざっているのだとサスケにはわかる。
「ナルト」
サスケは呼び掛けてから、言いにくそうに、でもどこか楽しげに続ける。
「…オレは、どういう顔をしてるんだ?」
照れ臭そうな顔をナルトが上げる。涙の痕はもう乾いていた。
「優しい顔してる」
次に、とナルトは言う。
「次に、こっち来てくれたら、みんなに会ってほしいんだ。サラダにも」
それはつまり、ヒマワリにもボルトにも、ヒナタにもだ。サスケは、わかった、と頷く。
「でも…さすがに今度の火曜日は無理だ。さっきも言ったけど、水曜日に休みを取ったんだ。……本当に、ごめんな」
ぐっと握った手の力が強くなる。これが答えか、とサスケは思う。
ナルトは外の光を浴びてきらめく小さな宝石を、自分の指先で愛おしそうになぞりながら、勇気を振り絞るように言った。
「そのかわり、火曜日の晩は泊まっていっていいから」
これはオレたちの合言葉だ。留守番の前の晩。たとえ翌日が朝早くても関係なく、朝が来るまで抱き合っていいという合言葉。
つい先ほどまで、激しく泣いていた目とは思えないほど、まっすぐにサスケを見つめるナルトの顔を、サスケは見返した。正直に言うと、自分ばかりがナルトに振り回されている気分になることが多い。今回はどうだ。
窓から朝の光が差し込んでいる。のぼせ上がった頭に、ようやく冷静さが戻ってくる。
「七時には出る」
「うん」
さらりと告げるとナルトはあっさりと受け入れた。サスケはちろりと横目で彼を見た。ナルトはひどく満たされた顔で畳に視線を落としている。
こういう風に素直に引き下がる時は、頭の中で自分の都合の良い方へ話を組み立てている。サスケは確信を持って言った。
「あんまり予定を詰めるなよ。家のことはオレがやる。お前は自分のやりたいことをやれ」
「んー…」
バレていたのかと、ナルトはすこし悔しそうだ。しかし同時に、あれだけ掻き乱しておいて図星を指されてなんとなく怒りも湧く。彼女でもないのに、という感情がぬるりと頭をもたげて、唇を尖らせた。
「サスケのくせに」
「オレのくせに?」
これは、ナルトの頭に思い浮かんでいる文句の続きを聞き出したいというサスケの誘いの言葉である。ナルトは少し迷ったが、甘やかしてもらえるのが嬉しくて続きを言う。
「サスケのくせに、オレの気持ちをわかった顔すんなよ」
「そんなつもりはない。ただ、俺の知るお前は、女に軽々しく触れる男じゃないって言いたかっただけだ」
ナルトは気まずそうに伏し目がちになって、膝の上の自分の手を見つめた。その手をサスケの手が覆う。少しだけその手を握り返すと、不意に指を絡められた。振り解こうとは思わなかった。今はこうしていたかった。
サスケの匂いを感じる距離で、こうして触れ合っていられれば、考えなくてもいいのに。
でも、とナルトは思う。
お前とオレと、家族の間を、行ったり来たり。もうすぐ、どっちにも全然辿り着けなくなってしまいそうだ。
さらに、もしも。
もしもサスケと天井の木目が、あの日、ちょっと違う方向にずれていたら。今ごろ二人で、この子を育てていたのかもしれない。いや、しないだろうが。
行き場のない思考がぐるぐると回る。サスケは思案顔で、時々トントン、と木の壁を指先で叩いている。ナルトの思考の流れなど知らない顔だ。いや、知ったところで気にも留めないだろう。自分の感情を味わうことに忙しい。
今夜、ここへ来たことは間違いではなかった。
報われた気がした。この数ヶ月、何度も考えた。ナルトの望みを叶えることが、サスケの、ひたむきに一途に誰かを思う願いが、もう二度と叶わないものであるのならば、それでも。
ゆっくりと目を閉じ、口を開く。
「…わかった。いちどだけだ」
ナルトが泣き濡れた顔を上げる。
「ほんとか?」
「ああ。ただし、今夜」
ナルトの青い目がちょっとだけ見開かれ、それから心の底からほっとしたように笑った。何にほっとしたのか、サスケにはわからない。わからないが、少し胸が痛む。
「ありがとな、サスケ」
礼を言われてますます胸の痛みが強まった。心底嫌そうに吐き捨ててやる。
「勘違いしてくれるな。オレはてめぇの願いを聞いてやるわけじゃない。自分がそうしたいからそうする。今回も前回も、オレがしたくてやったことだ」
サスケが言い訳がましく付け加えると、ナルトは困ったように笑った。
「自分がしたいから…、か」
何だその顔は、と言いかけて、サスケはやめる。間近で聞く声は、まるで降り注ぐ雨のようにやわらかく心に染み入った。
「そっか。ありがとな。オレのこと好きだもんな?」
「…それは、お前もだろうが」
「んー? 俺のほうが好きだと思うけどな?」
「そんなことはない。オレのほうが好きだ」
しばらくの間、じゃれ合うような押し問答が続き、最終的には、お互いの指の数を数える恐ろしく幼稚な方法で決着が着いた。勝ったのはナルトだった。
「ほら、オレの勝ち」
これで何かを決めるわけでもないが、何か勝ったような気がして、ナルトは上機嫌だ。家のことはまだ水に流せないが、指の数を数える遊びをした子どもの頃を思い出して、少しだけ心が軽くなっていた。
「行ってくる」
火影邸を後にするとき、ナルトは小さく呟いた。サスケが手を挙げて応える。親子の別れのように静かだ。ここが二人の家でもないのに。
ナルトは気を抜くとため息が出そうになるのをこらえて、自宅のドアを開けた。
午前二時半。
ぴかぴかに磨き上げられた廊下を歩く。自宅は寝室の他に五つの居室がある。自分の家だというのに部屋数が多い。今やナルトは、自分の家の中でもっとも小さい部屋を割り当てられている。机もない。あるのは畳と、枕に敷くための折りたたみ式の座布団だけ。居候の僧侶のような生活だが、何より家族に会えるからいい。帰ると二人の子どもが眠い目をこすりながら出迎えてくれ、すり寄ってくる。それが何より幸せだ。
思わず口元が緩みそうになる。
ナルトのベッドはユニットバス付きの個室に置かれていた。部屋の広さは三畳。火影執務室の隣に設けられた居室で、大通りからはさほど遠くない。就任当時、寝床の用意だけはすると言い張ったシカマルが、自宅から持ってきた簡易ベッドの上に今日もナルトはごろりと横になっている。サスケはもう何度目かわからないため息を吐いた。
こんなことになるなら、サスケにだけは話しておくべきだった。
だが、話していれば今度はそれでサスケを怒らせたかもしれない。君は何もわかっていない、と。
自
他带着祈祷般的心情等待对方的回答。求你了,别说要离开村子这种话。求你了,别说要去杀火影这种话。如果他说了,鸣人出于立场,必须采取相应的行动。

求你了,求你了——他正这么默念着,对方却开口说出了一句意外的话。

「七代目,我是来取回忆的」

「……回忆?」

趁着鸣人一愣神的间隙,男人欺身逼近。不愧是上忍,动作快得惊人。

「呃…!」

咚!后脑勺被狠狠撞在办公桌上,鸣人疼得皱起脸。男人翻身骑了上来。锋利的苦无抵在他的脖颈上。

这具锻炼有素的筋骨,如果鸣人愿意,随时都能掀翻。

只是,鸣人想知道“回忆”是什么意思。想知道是什么不满、什么不快,让这位有着地位、名誉和金钱的木叶上忍,做出这种帮着诈骗犯行骗的卑劣勾当。他想弄清楚,这个人还有没有救。他仍然想救他。想把他救回来。

「你干什么!」
「……我说过了,我是来取回忆的」
「什么回忆啊……你想杀了我吗?」
「…不」
「那是什么,想弄伤我吗?」
听到这句问话,男人淡淡地笑了笑。他把取出的苦无刻意抵得更紧,回答。
「弄伤…或许说对了一半。我,是想与你,达成心愿」
男人的舌头舔过他的脖颈,鸣人一阵恶寒。明明同为男人,这和佐助对他做的感觉完全不同,只有嫌恶感沿着后背爬上。
「你、你…っ」
嘶啦一声几乎要把布料撕破的力道,裤子从下半身被扯下来。赤脚触到外气,鸣人回过神来。
「你这混蛋,想干什么!」
他揍了对方的肚子,男人痛苦地呛咳着,却依然不肯从他身上下来。踢他打他,对方都死死咬住他的脖子不放。被抵住的苦无划破了皮肤,血从脖颈流下来,但这种程度的威胁对鸣人无效。
「可恶」
鸣人在右手上聚力。查克拉汇集,手掌变得灼热。在这个距离挨上一发螺旋丸,就算是他也会被轰飞吧。撞穿墙壁砸进地面,搞不好可能会死。
「你知道你在对谁动手吗!? 这样下去我真的会杀了你!」
「请便」
男人说着抬起头。他的眼睛带着哀伤的光,鸣人不由得泄了气。男人说:
“请杀了我吧。无法拥抱你的人生,毫无意义。如果你不想被我抱,就杀了我。”
“……你……”
看到火影收起了掌中的查克拉,男人丢下了苦无。哐啷,发出空虚的声响。他说,一次就好。
「如果你让我抱一次,我就老老实实被捕。暗部的审讯我会全盘回答,义贼的情报我全部奉上。这样一来,七代目应该会省去很多麻烦吧? 之后就算我被永远关进牢里也无所谓。我会带着抱过你的回忆活下去。…但是,如果你不让我抱,就杀了我吧。用你的手杀了我」
他的手搭上颈部的拉链。与他所做的事相反,男人的目光如风平浪静的大海般平和。一边任他拉开胸前的衣服,鸣人问道。
「你、为什么对我做这种事……?」
男人微笑。
「因为我喜欢你。因为我真心爱着你。」
他一边眺望着藏在衣服下的大颗蓝色宝石,一边继续道:“但是……”
“你从来都是别人的东西。这又是——又是圆德一休大人赠予的吗?还是佐助先生送你的?”
听到佐助的名字,鸣人微微一颤。男人见状,轻轻一笑。
「像你这样的英雄大概不会知道,但你最近频繁和佐助先生一起去的那家料亭,是古战场上遗留下来的阴暗遗物。那是个带别国大名或知名忍者去,让他们尽情拥抱女忍,施以术式,直到榨出木叶想要的情报的地方。…你老是往那种地方跑,你俩在做什么,像我们这样的老忍者一眼就看穿了…」
拉链一直拉到底。上半身的衣服啪地分成两半。男掀起内衬,温柔地抚摸着肌肉线条优美的火影腹部。
「你都让佐助先生做那么多了,我就一次,也没关系的吧」
鸣人抿紧了嘴唇。
自己这份说不清是因男人而有还是无的贞操,和这个男人的性命,哪一个更重要呢。
而且后者还附带情报。有了那份情报,祭他们能得救多少啊。暗部总是拼了命地收集情报回来。暗部至今仍是死亡率最高的部门。
鸣人双手撑在桌上,猛地撑起上半身。吊起眼角,瞪视着男人。
“一次就行了吧?”
“……”
“一次就行了吧?做了之后就乖乖被抓、交出情报吧?会反省,也会进监狱吧?不会把对我做的事告诉任何人吧?”
“是”
“不许说。一辈子都不许对任何人说”
“……是”
鸣人再次躺倒在桌上。他决定不再看那个男人的脸。他将缠在脚踝上的裤子碎片踢飞,自己动手去脱内裤。那根手指,颤抖得惊人。
说不清是为什么。自己比这个男人强。骑在自己身上的这具身体,现在就能被自己打飞。即便如此还要言听计从,是因为自己是火影。这不是被侵犯,是施舍对方让自己抱。
当然会很痛,也会流血吧,但自己是男人所以不会怀孕,而且自己还是忍上三十分钟伤口就能愈合的特殊体质。
『……这样好吗』
久违地,挚友的声音从心底深处响起。它以仿佛要粉碎自己既定决心的方式出现,鸣人咂了咂舌。
「搞什么啊,事到如今才冒出来」
『鸣人,你这家伙是不是傻啊,啊?』
“ナルト、おめぇは馬鹿じゃねぇのか、あ?”
ナルト:鸣人
めぇ:お前的口语变体,译为“你这家伙”
这句翻译为:鸣人,你这家伙是不是傻啊,啊?

「なんだよ、今更出てきやがって」
『ナルト、おめぇは馬鹿じゃねぇのか、あ?』

ナルト是鸣人,サスケ是佐助。

对话中出现的语气词如「だってばよ」等,请译为中文时保留口癖,并在台词中保持一致。

这是第 20/26 分片的内容。

请开始翻译。输出时不要包含任何额外说明。他以祈祷般的心情等待对方的回答。拜托了,别说要离开村子这种话。拜托了,别说什么要杀死火影这种话。要是说了,鸣人出于立场,必须采取相应的行动。

求你了,求你了,他正默念着,对方却开了口,说出一句出人意料的话。

“七代目,我来取回忆了。”

“……回忆?”

冷不防被这句话分散了注意力,对方趁机拉近了距离。不愧是上忍,动作快得惊人。

“嘶……!”

咚!后脑勺被狠狠撞在桌上,鸣人皱起了脸。男人跨坐上来。锋利的苦无抵在了他的脖颈上。

那是一具久经锻炼的筋骨之躯,但鸣人只要愿意,立刻就能把他弹开。

只是,鸣人想知道“回忆”意味着什么。他想知道,究竟有什么不满、有什么不快,让这个既有地位又有名誉还有金钱的木叶上忍,做出帮着诈骗团伙行骗的卑劣勾当。他想看清楚,这个人是否还有被拯救的余地。他仍然想救他。想把他救回来。

“你干什么!”

“……我说过了,我是来取回忆的。”

“什么啊,回忆什么的…你想杀了我吗?”

“……不。”

“那是什么,想弄伤我吗?”

听到这句话,男人淡淡地笑了。他将取出的苦无特意抵得更紧,回答:

“弄伤……或许说对了一半。我想在您身上,实现我的愿望。”

舌尖舔过颈侧,鸣人一阵恶寒。明明是同样的男人,和佐助做时完全不同,只有厌恶感沿着后背爬上来。

“你、你……!”

他猛地从下半身扒下裤子,几乎要将布料撕裂。赤脚接触到外面的空气,鸣人猛然回神。

“你这混蛋——!”

即便挥拳重击他的腹部,男人也只是痛苦地干咳,并没有从他身上下来。踢他打他,对方也咬住他的脖子不放。被压着的苦无划破皮肤,鲜血从脖颈流下,但这点威胁对鸣人来说算不了什么。

“可恶!”

鸣人右手用力。查克拉汇聚,掌心发热。在这个距离吃下一记螺旋丸,这家伙肯定会被轰飞吧。撞穿墙壁,砸在地上,搞不好会死。

“你知道你在对谁做什么吗!? 再这样下去我真的会杀了你!”

“请便。”

男人说着抬起了脸。那眼神带着哀伤的光芒,鸣人不由得泄了气。男人说:

“杀了我吧。无法拥抱你的人生毫无意义。如果你不想被我抱,那就杀了我。”

“……你这家伙,”

看到火影收起了手中的查克拉,男人丢下了苦无。哐啷,一声空洞的响声回荡开来。他说,一次就好。

“如果让我抱你一次,我就老老实实地束手就擒。暗部的审讯我全都会回答,义贼的情报我全部交给你。这样七代目会省去很多麻烦不是吗? 在那之后,就算我被永远关进牢里,也无所谓。我会抱着拥抱过你的回忆活下去。……但是,如果你不让我抱,就杀了我吧。用你的手杀了我。”

手指搭上颈间的拉链。与正在做的事情相反,男人的眼神如风平浪静的海面般平和。胸前的衣服被一点一点拉开,鸣人问道。
“你,为什么要对我做这种事……?”
男人微笑。
“因为我喜欢你。因为我真心爱着你。”
他一边望着衣下藏着的硕大蓝色宝石,一边继续道:
“……你永远都是别人的。这也是まどか一休大人送的吗?还是佐助さん给你的?”
听到佐助的名字,鸣人身体微微一动。看到这一幕的男人轻轻一笑。
“像你这样的英雄大概不知道吧。你和佐助さん最近频繁光顾的那家料亭,是古战场时代遗留下来的黑暗遗物哦。那是带他国大名或知名忍者去,让他们尽情拥抱女忍者,施加忍术,直到榨出木叶想要的情报为止的地方。……你频繁出入那种地方,你们俩在做什么,我们这种老忍者一目了然……”
拉链拉到了尽头。上半身的衣服啪嗒分成两半。男人撩起内衬,爱怜地抚摸起火影那肌肉线条漂亮的腹部。
“既然让佐助さん那么干,那我一次总可以吧。”
鸣人抿紧了嘴唇。
自己那因男人而说不清是否存在贞操,与这个男人的性命,哪个更重要?
而且后者还附带情报。有了那个,小樱他们能得到多大的帮助啊。暗部总是拼着命去搜集情报。暗部至今仍是死亡率最高的部门。
鸣人双手撑着桌子,用力撑起上半身。他吊起眼角,瞪着男人。
“就一次,对吧?”
“……欸?”
“就一次,对吧?做完之后,你就束手就擒,交出情报?反省悔过,也愿意坐牢对吧?你对对我做过的事,不会对任何人说吧?”
“是。”
“不准说。一辈子,对谁也不准说。”
“……是。”
鸣人重新躺倒在桌上。他决定不再看男人的脸。他将缠在脚踝上的裤子碎片踢开,自己把手指伸向内裤。那根手指,出乎意料地颤抖个不停。
不知为何。明明自己比这个男人强。骑在自己身上的这具躯体,随时都能弹开。尽管如此仍要听之任之,是因为自己是火影。这不是被侵犯,而是我允许他抱我。
当然会疼吧,也会流血吧,但自己是男人,不会怀孕,而且忍一忍,三十分钟伤口就会愈合,自己有这种特异的体质。
“……这样好吗?”
久违地,挚友的声音从内心深处响起。那像是要动摇他所下决心的态度,让鸣人啧了一声。
「都这时候了还出来干什么」
‘ナルト,你这家伙是不是傻啊,啊?’
在仿佛要挫败他所下决心的语气面前,鸣人啧了一声。
“鸣人,你不是傻吧,啊?”
ナルトが腹の底から悪態を吐きながら机に手をつく。そのまま唇を噛むと、男の手が伸びてきて、ナルトの頬に触れた。
「…嫌なら、嫌と言ってください」
心底を気遣う声音。けれどそれは、裏返せば、今ならまだやめられる、という親切でもある。自分を押さえつけている、男とは思えないほど細い指は、けれど力強く、しかし折れてしまいそうで、滑稽なほど簡単に砕けてしまいそうだった。
ナルトは男の胸を押して身体を起こし、自分の下着を脱がせた。
「…一回、だけだぞ」
気づくとそう言っていた。男の赤い瞳が、きらりと微笑んだ。
男の手が自分の下着をゆっくりと下ろす。ぞっとしない、が、足を大きく開かされた時、情けない声が喉から漏れた。
「ひ…ッ」
「…綺麗だ…」
男は感嘆の吐息を漏らして、ナルトの内腿に頬ずりした。無骨な指が自身の形をなぞり、舌がぬるりと這う。くぐもった吐息が漏れて、ナルトはきつく唇を噛んだ。
「…味噌ラーメンの味がしますね」
「んなわけあるか、バカヤロウ」
ツーッと液体が伝う感触があって、ナルトは身を強張らせた。
「…舐めるんじゃねぇ」
「綺麗にしておかないと、あなたの大事な方に申し訳が立たないので」
「大事な方って…」
「サスケさん、と申すのでしょう? 今度こそ、男に抱かれる悦びってやつを教えてあげましょう」
「てめぇ…、サスケに手を出すなんて…、許さねぇぞ」
そう言うと、男は何かを堪えるようにくつくつと笑った。ナルトにはその笑いの意味がわからなかった。
「安心してください。サスケさんは敵いません。俺にはあの人の動きが目で追える。何せ俺は十年近く、あなたのことが忘れられず、あなたに自分を重ねるようにしてあの人の動きをずっと目に焼き付けていたんだ。だから、あの人と戦っても俺が死ぬだけだと思いますよ」
ナルトは無言で、ぴしりと張り詰めた男の顔を見つめた。その顔が、悲しみに歪む。
「…俺はね、七代目。あなたに敵意はありません。本当に、ただあなたのことを愛しているだけです」
男の唇がナルトの首筋に触れた。すべすべとした感触に目を閉じる。
「馬鹿野郎…」
舌が鎖骨の窪みを這って、胸元へと降りていく。ちゅ、と柔らかく乳首を吸い上げて、吐息を漏らす。ナルトはどきりとした。
まただ、と彼は思う。サスケにやられた時もそうだった。
なぜか身体の芯が熱くなって、妙にどきどきしてしまう。
男の顔は見ない。見なければ味わうことなど何もない。見なければ、この胸の高鳴りは我が身に備わった暴力性や火影としての何かだと、己に言い聞かせられる。
しかしそう思うことが間違いなのだと、すぐに知ることになる。なぜなら。ナルトの反応を見た男は、口元を歪めて笑ったからだ。
「ああ、やはり。お前の身体は正直だな」
はっ、として下腹部に視線を下ろすと、ラバー越しに半勃ちの自分の象徴が見えた。羞恥で頭のてっぺんから血が上るのがわかる。
「ち、違う、これは」
「いいですよ。そんな反応を見せてくれると思ってました。あなたは男を抱く時、いつも――」
「サスケと比べるな!」
ナルトは腹の底から言葉を絞り出して男の襟元を掴んだ。殴りかかろうかとも思った。しかし、ぐっと言葉を飲み込んだ。……この男は気の毒な奴だ。サスケと同じ土俵に上げるのが可哀想だ。
「…ったく、てめぇは」
ナルトは腕を伸ばして男の首を引き寄せた。男の両手が机に付き、顔と顔の距離が、二十センチもないくらいに縮まる。
「後悔すんじゃねぇぞ」
「…一生、後悔しません」
言い切った男の顔を、ナルトは見つめ返す。ロマンス小説の表紙にいそうな、鼻筋の通った端正な顔立ち。燃えるような赤い髪と、縦に裂けた瞳孔。リーのことを調べたときに、彼はもう何度も見た顔だった。
「…ロック・リーは何か知ってんのか」
「何も知りません。ただの友達です。すみません、俺の我が儘に付き合わせて」
改めて男の上に跨る。手を伸ばして男のファスナーを引き、言う。
「終わったら後悔すんなよ。ちゃんと捕まって、ちゃんと牢に入れよ」
「はい」
「オレにやったことは誰にも言うなよ。一生言うんじゃねぇぞ」
「はい」
ナルトはぎゅっと目を閉じ、手を伸ばして男の下腹部へと触れる。男は息を呑んだ。
「……思い出になるような、抱き方をしてくれ」
七代目火影は自分から望んで男を受け入れようとしていた。今際の際の真情などではなく、完全な本心から。彼は人を殺さずに救う方法を常に考える。この男を、自分に抱かせてやることは、もしかするとあの男を救うただ一つの方法かもしれない。自分が痛い目を我慢するだけで、友の命を救えるというのなら、安いものだ。いや、それだけではない。サイの暗部が、これから先どれほどの悲しい思いをするかと思うと、情報の価値が計り知れないと思った。
ズボンを履いて机から降りようとする男の腕を、しかしナルトは掴んだ。
「待て」
「……?」
「お前、これからオレをどこで抱くつもりだ」
「え? あの、ここで」
「あ? んなもん、外だ。こんな場所でやるわけねえだろ」
思ってもみなかった言葉に男は目を白黒させている。ナルトはさらに続けた。
「旅館でも取ってんのか?」
「……い、いや」
「だろうな。んなら、オレの部屋を使えよ」
何を言われたのか一瞬理解が及ばなかったらしい男が、呆けた顔で見上げてくる。ナルトは自分の下着から手を離した。
「俺の部屋の方が壁も分厚いし、防音もしてある」
「…良いのですか?」
「……火影の立場ってやつだ。後で、変な噂が立たねぇようにしてぇんだよ。場所はわかってんな?」
男の顔色が、ぱっと明るくなった。
「ええ! 存じております。あなたの私邸に何度も参っておりました。サスケさんが帰った後は決まってうらぶれた顔をなさるので、ずっと気になって」
「あ? 見てたのか?」
「あなたのことを、いつも見ていますから」
男はナルトの首元から退いて、身を起こした。獣の匂いが離れる。ひどく安堵して、ナルトは深い息を吐いた。男が伸ばした手を掴んで、ナルトは体を起こした。たったそれだけのことなのに酷く疲れる。男は言う。
「思い出の、前借りでもいいのです。あなたが俺を抱いてくれることは決してありませんから、せめて、俺があなたを抱いて、思い出を作ってくれませんか」
その言葉にナルトは腹の底からすとんと何かが落ちていくのを感じた。
「…お前。名前、何ていうんだ」
「…何でしょう?」
「一度抱く相手の名前くらい教えてくれてもいーだろ」
男は名乗った。里を震撼させた大怪盗、その正体。ナルトは続けて訊く。
「…お前、本当に里を抜けたのか?」
「抜けてはいません。元々、里に未練がありませんでした。今もありません。…あなただけが、未練です」
「俺は知らねェよ。なんで俺が、お前みたいな奴に命を狙われてるのかも知らねェし」
「あなたの、あなたの瞳に、とりつかれていたんです。あの日、あなたの御守りを買ってからずっと、あなたのことを想っていました。おかしいでしょう? 火影なんて、御守りに描かれる男は他にいくらでもいるのに」
「……まあいいや。とにかくお前、オレとやったら、ちゃんと捕まれよ。証言もしろよ、牢にも入れよ」
男は何も答えなかった。代わりに笑う。納得したような笑み。ナルトは、それを見ないようにした。
男の手が、火影の下着を引き下ろした。すっかり硬くなりきったそれを顕わにして、ふう、と息を吐く。ナルトには何が何だか分からないが、とにかく気持ちよくはない。
「悪いな、自分のことを快く思ってくれる相手を、オレは抱けねぇ」
上半身を起こす。男は一瞬、きょとんとした顔をしたが、すぐに言葉を失い、俯いた。ナルトはそんな男の肩を掴むと、耳元で囁いた。
「だが、命を捨てろって言うなら、それはやめてくれ。お前を殺したくねぇから」
男の目から涙が溢れる。
「俺は、ずっとあなたに恋していました。七代目……、いや、うずまきナルト。あなたの全部が欲しいと何度願ったか。体の関係だけでもいいと何度思ったか。ですが、あなたに相応しいのは、佐助様のような、あなたと対等に渡り合える方だけで」
「何言ってんだよ。サスケは俺のものじゃねぇし、俺もサスケのものじゃねぇよ。オレの身も心も、オレのものだ」
男はハッとした顔をした。
泣きそうな顔で、男は言う。
「私のものに、してくださいませんか」
ナルトは視線をそらした。男の指が腹の上で、下着のゴムの上で、擽ったそうに、それでいてこわごわとためらいがちに這う。
「お前さあ。何のためにそんなこと言ってんの。……オレを、落としたいのか?」
「あなたに抱かれたい。あなたに愛されたい。あなたのものになりたい。それだけです」
「…お前、オレに何か恨みでもあるのか?」
男は首を振った。
「じゃあ、オレに憧憬があるのか?」
男はまた首を振った。
「じゃあなんだ、オレのことをどう思ってるんだ?」
「あなたは私の“初恋”です」


ナルトは目を見開いた。
「…はつこい?」
今しがた嫌悪感に塗れて生唾を呑み込んだところだったのに、面白いことを聞いて、ふっと力が抜けた。思わず苦笑いがこぼれる。
「…お前、何年前の話をしてんだよ」
手元の男はもう少年ではない。ギョッとするような年齢差ではないとはいえ、明らかに同年代ではないことはナルトにも分かる。ナルトがいくら年を取ってもこれは変わらない。つまり男が少年だったのはせいぜい十年前くらいだ。ナルトが物心ついてからずっと里にいる忍で、仮に当時からナルトに惚れていたとして、ナルトは十代そこらの子供だった。
そんな自分に初恋を捧げました、とでも言うのだろうか。
「俺はお前を一度も見たことがないぞ」
「一度も、ですか?」
男が少し残念そうに笑う。
「そうですか…。俺はあなたに会えて、この上なく嬉しかった。あなたは俺が思っていた通りの人だ」
「俺が思っていた通りの人だ、だと…? それは、どういう意味だ?」
「あなたは誰にでも優しいと聞いていたし、お願いを聞いてくれる優しい人だと思っていました。今日、実際に会って、あなたの温もりを感じて、より確信しました。あなたは優しい人です。あなたはこの俺の我侭を聞いてくれている。無理矢理犯すようなことをすれば火影ならば殺してもおかしくないのに、俺の願いを受け入れようとしてくれている。それはあなたが優しい人だからですよ、七代目」
男はにこりと微笑み、ナルトの頬に手を伸ばした。火影はそれを払いのけようとはしない。寄せられた顔がすぐ近くに来る。唇が触れるか触れないかの寸前で、男はすっ、と離れた。
「やっぱりいい。やめます」
「は?」
「あなたを抱くのはやめました。あなたの身体は、あなたの大切な人のものだ。俺のような後悔ばかりの老いぼれが汚していいものではない。……気が変わった。俺はあなたを抱かない。あなたに抱かれても、捕まらない」
「…じゃあ、どうするんだ?」
男が手を伸ばしてくる。首を絞めるかと思いきや、触れたのは鎖骨の辺りだった。掛かっていた細い金のネックレスを掴むと、引き千切って手のひらに握りこんだ。
「俺は、あなたの思い出を盗んでいく。あなたの第七班の思い出を」
「!? ちょ、おま…、なんでそれを…」
「我々の調べによれば、なんと、ネジ先輩から受け継いだものらしいですね」
何かを期待するような目で男は見つめる。何かを探るような目だ。
「……ネジ先輩は、今どこに?」
馬鹿にしているのか、と思った。
「お前、ネジの最期を知らねぇのか? …そうか、昔の人間だもんな。知らねぇのか」
「あなたから直接聞きたいのです。是非、私に教えてください」
改まって言うから、こいつはネジが死んでいることを知らないのかと思った。
本当に、こいつは何なんだ。
男のことを知らないナルトには、どうしてこんな行動を起こすのかを理解し得なかった。初対面で、火影に対しての不敬罪で捕まえることもできるというのに。それはこの男の安請け合いの始まりに過ぎない。折角こちらに慈悲があるのに、ひたすらに抱けと言う。自分も、サスケにこういうことをしたことはない。サスケが嫌がればすぐに引いた。いや、そもそも断られたら悲しくて、二度としようとは思わない。心臓が痛むからだ。
それでもナルトは、押し殺した感情の奥で、どこかでこの男に共感している自分がいることを否定できなかった。
ただ、ナルトが誰よりもわかっているのは、独り善がりの同情で生かされても誰も幸せにならないことだ。何せ彼自身がそうだった。里の皆はいつでも優しくて、彼を不幸だとは思わなかった。けれど、孤独だった。
火影の器として生まれた以上、この男に真実の幸福を与えられるのも、終止符を打てるのも自分だけだ。
望みを叶えてやることにした。自分の心の中に、ちぃっとも快く思わない自分がいるのを感じながら。
「…わかった。言うことを聞く。だから」
ナルトは男の顔を見た。何の衒いもなく、自分を欲しがる瞳だ。嫌悪感で吐きそうだった。
「約束、守れよ」
「…はい」
男は緊張した面持ちでファスナーに手をかけてくる。ナルトは咄嗟に男の手首を掴んで止めた。それは反射的に、身体に染みついた戦場の反応。自分を組み敷く相手に対して、掴まれるのは手首。
「ナルト?」
「いや、待て。…なんでそうなるんだよ、なんで、思い出を頂くってんだ。お前はオレの何が欲しいんだ」
「何が欲しい…? 七代目の、心が欲しい」
「そんなもん、握ったところで何も残らねぇだろ」
「……あなたは自分が特別だと思っていませんか?」
ナルトは首を傾げる。
「あなたは、何かが欠けていて、傷ついている人間を放っておけないでしょう。誰かを救おうとするたびに、それに自分の心を擦り減らしているでしょう。あなたはそういう人だ」
心臓が跳ねた。何もかも見透かされている気がした。
「俺は、あなたのことをおかしい人間だと思っています。何故、他人のためにそこまで力を尽くせるのか。何故、自分の意志を殺してまで人に尽くすのか。何故、自分の愛する人たちすら満足に幸せにできないのに、それでも他人を救い続けるのか。その在り方が、これ以上なく美しく、これ以上なく滑稽で」
言いながら男は、ナルトの首に自分の口を寄せ、くすぐるように唇を這わせた。やわらかく噛み、舌でさぐり、痕が残るほど吸い付く。抵抗しようと思えばいくらでもできるのに、ナルトはまるで体に力が入らなかった。彼の言うことが、ずきずきと痛む胸に、鋭く突き刺さる。
「あなたは本当に強い。救えるならば、すべての民を救いたいと思っている。俺はその、あまりに正直で、哀れなほど善良な英雄が好きです」
男の手がナルトの顔に伸び、耳朶に触れた。
「この耳朶に触れることすら、許されないのですね」
哀しげな微笑みだった。
ナルトは心の底から、そういう打算のない愛し方をする男ではなかったら、と、思った。この想いが偽りでなければ、どれほど良かったか。
残念ながら、男の首元には、薄いラバーの偽装が施されている。彼は何者かに化けている。化けているが故に、自分を愛していると真っ直ぐに言えるのだ。初対面の、本名すら知らない男に言えるはずがない。
男の指が下着のゴムに触れた。
ナルトは目を閉じた。ナルトが自分の意志でそうした。この目で見なければ、まだなんとか現実と向き合える気がしたから。
下着を少し引き下ろしたところで、男は自分の頬に触れた。何か液体がつく。自分の涙だった。こんなになるまで泣いている。
気づくと、男の手はファスナーを閉じていた。ズボンを上げて、落ちていたクナイを拾う。
「…やっぱり、できませんでした」
男が寂しそうに笑った。
「あなたの泣き顔を見たら、どうしても嫌になってしまった。こんなのは初めてです。あなたを好きになって初めて、他人を思いやる気持ちが生まれました。好きだからこそ、できません。とても、できません。……俺は馬鹿ですね。だからこそ、あなたのことが、好きなのかもしれません」
男は、机の上に転がるナルトからするりと降りた。
そして首元のファスナーを引き上げ、懐から何かを取り出した。黒い小さな布の束を、ナルトの前に差し出す。
「これは、俺の所持品の中から出てきたものです。あなたのものだと思います」
二つ折りにされたそれは、だいぶ古い、大の男の掌くらいの大きさの、あずき色の布だった。
「此方は、俺の形見です。受け取ってください」
差し出された首飾りは、ラバーのような質感の黒い紐に、古い鉄色をした小さなプレートが通してあった。男は言う。
「何も考えずに、ただ、一度でいいと言ってしまったあなたを、残念に思った。あなたのことが好きだ。心から愛している。こんな身勝手な告白を聞いてくださってありがとうございます。どうかこの想いを、永遠のものにしてください」
胸のファスナーを閉じ直して、男はうやうやしく頭を下げた。
「あなたを想い、あなたを愛した、あなたの忠実なる臣下より」
言い置いて、男は踵を返した。椅子が倒れ、ドアが開き、そして閉じる。ぼんやりとその背を見送ったナルトは、ドアが閉じた後に、
「…あの、どなたでしたっけ」
誰もいない部屋に、無人の向こうに、だれにともなく問うた。

大粒の青い宝石は、机の上に残されていた。いつもの、サスケからのものだ。ナルトはそれを拾い上げ、握りしめた。

男は、義賊を名乗り、忍の里を転々としながら各地の大名たちを騙して金品を奪い取っていた犯罪者で、構成員を絞り上げるために薬を使っていることもわかった。一体、どれほどの者たちが自分たちの行いを「正しい」と信じて疑わないのだろう。人は望んで罪を犯す。罪を犯すとき、人は正気で正気でない。
ナルトは、義務感に駆られて彼に会いに行ったのではなかった。自分が望んで、夜毎、あのビルの一室に通った。あの男の、嘘を一切交えない目を見るのが、切なかった。正しいことをしていても、報われない人がいる。
この国を支えているのは火の国を守る忍たちばかりではない。確かに、彼らは光だ。誰よりも強く、誰よりも誠実で、木ノ葉を照らす燦然たる光だ。だが、その光が落とす影に、必死で支えられている部分も、この国にはある。
ナルトはツララを払うように首を振った。考えすぎだ。彼は、自分を襲った犯罪者だ。何か特殊な事情があろうと
“昨天抓到的那家伙,是风之国给大名暗地里献金的那个人。”
“……诶?”
火影呆呆地抬头看他,鹿丸又想叹一口气。这件事昨天一有报告,他就第一时间告诉了鸣人。
“那是我们村的人抓到的吗?”
“……对。”
“嗯,那,因为是风之国——”
在发呆的火影开口前,鹿丸先说道:
“今天中午在国境由砂隐忍者移交。”
“哎,啊,这样啊……”
“给砂影写封信吧。佐井说会让部下送过去。”
“这样啊……好。”
签名唰唰地写好了。
鹿丸从火影手边抽走已经用过的文件,换了一张白纸的卷轴铺在桌上。意思是“请写在这里”。
鸣人重新蘸了蘸墨,在砚台边缘捋顺笔尖,正准备在纸的右上角先写下在砂隐之里担任首领的那位友人的名字。
……火影再次停下笔来,鹿丸垂着肩看着他。又不是不拧发条就不动的机器,这样可没法干活。没办法。要不把自己的桌子搬到火影室,一天到晚盯着他做事吧。
然而,一想到自己坐在鸣人旁边,每过几十秒就要安抚或鼓励一次他的情景,鹿丸便朝不知是谁摇了摇头。他觉得现在这位火影甚至不如刚上任的新人顶用。……要不干脆自己来做火影的工作算了。可是笔迹模仿不来,最重要的签名签不了。我要是拥有写轮眼就好了…。
想到这里,鹿丸已经累了。算了吧。真是蠢透了。我、鸣人、还有那个从修罗场里全身而退的佐助。
鹿丸把意识不知飞到何方、迟迟不回神的火影丢在原地,推开门走出执务室。那家伙倒是好啊,有能逃去的地方。我逃不了啊。一边在心里朝不知在何处的佐助抱怨着,一边走在走廊上,迎面遇到了双臂交叉拦住去路的暗部部长。他身后还大张旗鼓地带着好几个部下。
“怎么了……”
鹿丸用疲惫的声音问。佐井灵巧地挑起单边眉毛。
“你打算放着不管到什么时候?”
“我哪有放着不管。”
鹿丸自觉自己已经管得够多了。然而佐井一脸无语。
“事务部向暗部发牢骚了。七代目火影完全不工作,工作不断积压,去找顾问商量,也只会含糊其辞地糊弄过去,结果等着的对方面和忍者们就开始催,怎么还没好、怎么还没好,与此同时新的事案还在不断发生,大家都不知道该怎么办才好……大概就是这么回事。还说再这样下去火影宅邸要完蛋了呢。我说,事务部向暗部发牢骚这还真是头一回。与其说是发牢骚,不如说是‘请想想办法吧’的恳求吧。真可怜,他们恐怕是实在找不到人依靠了吧。”
シカマルはげっそりとしていくシカマルに、サイは畳みかける。
“你,这种放着不管迟早会解决的,之类的天真想法,你肯定有吧。”
面对サイ毫不客气的话语,シカマル不由得面露不悦。
“那你说该怎么办?”
“别作为上司、工作伙伴,稍微作为朋友想想能做些什么如何?”
“……就算你这么说……”
包括シカマル、サイ以及当时赶来的火影近侍忍者们在内,所有人都还不知道详细情况。但发生了某种异常事态的气息,从火影裸露的赤足,以及血迹甚至飞溅到天花板上的火影室的模样,还是能看出端倪。
被削去一只耳朵、双脚负伤的上忍,曾像被强烈的幻术所困,痛苦地呻吟了三天三夜,徘徊不定;当他恢复意识时,已失去了从内战之地独自逃回木叶隐村的时点起的记忆。结果,在佐助不在的现在,只有鸣人是当事人,而他情绪低落、紧闭嘴巴,所以大家至今仍不了解详细情况。
被捕获的上忍似乎对写轮眼的幻术相当吃不消,没怎么抵抗就开始了坦白。从富裕阶层掠夺、洗钱、向贫困阶层分发——这套机制被看穿时,义贼集团的首谋者们已经气势受挫,再加上宇智波佐助出手,他们害怕会被追到地狱尽头,事实上已经解散了。
根据上忍的坦白,暗部查出了各个成员的逃亡地点并正在追捕。预计近期就能全部抓获。
以火之国大名和木叶隐村村长之名作为挡箭牌的计划,似乎是该上忍提出的。据说他唆使同伙说,现任火影对罪犯都太温柔,只要声称是为了救济弱者,就算稍微干点坏事,他大概也不会出手。
审讯部问他为何出卖自己的村长,上忍只回答:我想伤害七代目。透过单向玻璃观看审讯过程的鹿丸不明白他话中何意,旁边的佐井却低声说,这和以前的佐助很像。
是这样吗。鹿丸还无法理解。
面对低头沉默的鹿丸,佐井带着叹息开口:
“没办法。那我来讲讲三代目火影大人去世时,他那没有正式名分的情人出面搅局,说和三代目大人有生前约定,要求把遗产分一部分给她的故事吧。”
“……哈!?”
鹿丸对第一次听到的话吃了一惊。佐井身后,传来了“长官,那个话题……”“佐井先生,那是……”等劝阻的声音。说出来的佐井却若无其事。
“她是在葬礼第二天直接到猿飞本家去交涉的,暗部出动了,最后是团藏大人压下去的。……放心。没杀她。只是让她接受了合适的金钱和条件,然后再三恐吓,把她从村里和国里赶出去而已。至今暗部仍在监视她,兼作护卫。”
“……”
“她至今仍以为,那件事是团藏大人出于对友人遗孀的怜悯才作出的决定。要动手吗?虽然佐井大人的做法完全合法,但在程序上多少有些微妙……”
“我劝你算了。她背后有别的男人,而且不止一个。听说她靠山多着呢。”
“哦,是这样。”
“你是来当说客的?”
“不,我是来给朋友忠告的。”

サイの話は続く。
「火影様に限った話じゃないんだよ。あの大戦の後、オレたちの世代から里の実務の中心を担うようになった。君はともかくとして、オレやナルトには人生の先輩と呼べる人が周りにいないだろ。無論、サスケも。…オレたちは書類の上ではもう十分大人だ。だがそれをこなすための経験は、三代目火影様や五代目火影様に遠く及ばない」
シカマルはサイの意図を悟って、ああ、と声を漏らす。確かに。里には年老いた元火影補佐や、火影直属の過去の戦闘部隊であるもので、相談役を務めた前歴を持つ者たちがごまんといる。三代目火影様が健在だった時に、自分もそんな老練な忍の一人になれたら、と何度思ったかわからない。
「放っておけば時間が解決する、って話なら、確かに俺、考えてたかもしれねぇな。悪かったよ」
シカマルは素直に謝った。サイは「うん」とだけ言い、ニヤリと笑って続ける。
「三代目火影様の件、俺がダンゾウ様に取り次いでやってもいいよ。彼女、今は確か…」
サイが目でシカマルを追いながら言う。
「そろそろ君の手でケリをつけたら?」
シカマルは表情を消した。三代目火影の遺産云々はおそらく事実だろう。サイはこんなところで嘘をつかない。本当に昔にそんなことがあったのだろう。そして当時現場を担当したのはサイとダンゾウ側の暗部で、相談役の自分がその事件を知らないのは、里の外の出来事で報告義務がなかったからだ。
シカマルが黙っていると、サイはふっと表情を消して付け足す。
「昔の任務の時の話だ。今から話すことは俺の推測だ。……今度はやけにぼんやりしてるからナルト君を心療内科に連れて行くべきかと思ったんだが、あの怪我は時間が経っても治ってなかったよ。癒えない。それに、普段と違って火影の書類が全く捌かれていないんだ。七代目がサボるなんて木ノ葉始まって以来だよ」
「サスケはどうしてる?」
「任務が終わって昨夜遅くに里に戻ってきているよ。ただまあ、…珍しいな、と思ったのはそこからだ。見張りから上がってきた報告では、あの男が里の外れの森で独り、じっと空を見上げて立ち尽くしているんだそうだ」
なんだと、とシカマルは言葉を失くす。
サスケの義賊グループへの対処を終えた後、どういう訳か、あの男は自分が去った後の木ノ葉隠れの里が心配になって、実はこっそりと里の近くまで戻ってきていたらしい。サスケは里の門のところでばったり出くわしたナルトに、何も言わずに暗闘気配を消して、音もなく里の外へと去っていった。
木ノ葉隠れの里を裏口から出たあとも、サスケは隠れて何日か過ごした。傷を癒していたのだとシカマルは推測した。彼の状態を看取ったのはサイだった。サスケはいくつかのことをサイに伝え、それを暗部に上げるかどうかはサイの判断に任せる、と言い置いて、里を離れていった。その時にサスケから聞いた話では、なんでもナルトは、自分にサスケの幻術が解けたらすぐに里の皆に今の内戦を止めさせるべきだと言い放ったらしい。サスケが止めるまで何度も何度も言い続け、耳にタコができるとはこのことだ、とサスケがうんざりするほど言い募ったそうだ。サスケは笑っていた。初めて見るサスケの顔だと思った。
辛い見送りだった。惜別の情を口にしたナルトに、サスケは無表情のまま「ならば里に残ってお前が自分の口で語れ」と切り替えす。火影を裏で支える忍たち全員が嫌な顔をした。サスケだけが、ナルトの涙に気づいて、などいなかった。
シカマルは室内を見回した。火影の机を囲むように置かれたソファや客間、その間を埋めるようにして仕事をする忍が何人もいる。みんな、何かを抱えながら働いている。多かれ少なかれ、休みたいとか、投げ出したいとか、あるいは降りてしまいたいとか思いながら。それでも座っている椅子をどかして逃げ出したりはしない。オレも、こんなところで足を止めているわけにはいかない。
会話を終えて廊下に視線を戻すと、サイは暗部の者たちを振り返って合図し、一足先に業務に戻ろうとする。
「...そうだ、シカマル。君に預かってほしいものがあるんだ」
「ん?」
サイは懐から小さな木箱を取り出した。
「これは?」
「この間、例の上忍が落としたものだよ。君のほうに判断を任せる」
言ってサイたち暗部は去って行く。
シカマルは小さな木箱をまじまじと見つめた。掌に収まるサイズの木箱は、妙に角が擦れて丸くなっている。何度も開け閉めし、誰かの手の中で擦られてきた痕跡だ。淡い生成りの木箱にほんの少し埃が乗っている。一目見て桐の木でできていることがわかる質感だった。
埃を手のひらで拭い、蓋に掘られた取っ手に指をかけて開ける。
中に、一対のピアスが入っていた。土でも付いていたのだろう、ほこりで真っ白だが、内側のカーブに鈍い金色の光を宿している。
シカマルは手のひらに片方のピアスを載せてまじまじと見つめた。思わずため息を吐く。形から言って、あれか、これは、やっぱり。これは、ツンデレだ。
光の加減で金色に見えたり銀色に見えたりする金属の輪。うちはサスケがずっとつけていたピアスと、同じ形をしていた。その内側に、小さく刻まれた名があった。
大雑把な彫りの名前を見た途端、シカマルは廊下のど真ん中でその場にへたり込んだ。
オレも、ナルトも、サスケも、昔はこんなんじゃなかった。
三人で肩を並べて、月のない夜の、冷たい川の中を、任務の帰りにわざわざ遠回りして渡ったことがある。足を取られるたびに、怒ったり笑ったり、互いに互いの腕を引っ張って、どうにかこうにか向こう岸へと辿り着いた。あの時の心臓の音を、シカマルは今でも覚えている。きっとあれが、生きているということだったんだ。
シカマルは手に持っていた紙を折りたたむと、胸の内ポケットにしまい込んだ。
「……イヤだね」
ぽつりとこぼした声にサイは何も言わなかった。

だが、実際に救出されたのは上忍一人だけだった。
シカマルとサイが捕らえられた上忍の尋問を終えて火影の居る執務室に戻って来た時には、ナルトの表情は既に、とてもじゃないが尋問結果を事細かに報告できるようなものではなかった。
結果だけ聞いたナルトは机の下で拳を握りしめて、しばらく何かを耐えるように俯いていた。やがてゆっくりと顔を上げたナルトの顔は、訓練所にいたころの、まだ子供だったナルトと同じ顔をしていた。シカマルはその表情を嫌というほど知っている。あれは、どうしても一発殴りに行かずにはいられない時のナルトの顔だ。
「サスケのところ行くってばよ」
「ナルト、お前…」
言いかけてシカマルはやめる。怒り狂って我を失ったわけでもない、静かな激情に燃える目をしたナルトを前にして、自分が止めるべきなのかどうか判断ができなかった。
放っておけば里を飛び出すだろう。止めれば自分の負けを認めることになる。
三代目火影がどこかで見ているならば、今度こそ止めてやってくれ。シカマルは心の中で呟いて、オレは何も見なかったことにしてやるから、と言った。
本当に里を捨ててもいいのか、と問うたのはサイだった。
だがナルトは答える代わりに、自分が木ノ葉隠れの里の長であるならば、これから自分がやろうとしていることを知ってしまった者に関しては、どんな咎めも許そうと書いてくれたら、この書状に自分で捺印を押すとだけ言った。
事実上の破門状だ。サスケを助けるために戻ってくるな、と暗に言っている。これはオレがサスケに宛てた私信だからな。そう言ってナルトは書状をサイに渡した。
シカマルは天井を見上げ、大きくため息を吐いた。
全く、えらいことになってきた。どう考えてもオレの出る幕ではない。これは火の国から失態を詫びろと要求がきてもおかしくないレベルだ。それもこれも、あのクソガキとサスケのせいである。裏社会で七代目火影に恩を売れる機会など滅多にないからだぜ、とはしゃいでいた自分が、今ではこうだ。穴があったら入りたい。いや穴に落ちてそのまま埋まりたい。
シカマルは大げさに嘆く。自分自身への後悔もそうだが、手も足も出ずにやきもきしている、それでいて何の役にも立てていない歯がゆさが、腹の底をぐるぐる渦巻くので、火影の顔も直視できない。
サイはいう。
「行ってきなよ。君が今、一番会いたい人のところに」
「…一番会いてえって、んなこと言われたって」
シカマルが口ごもる。サイは誤魔化すように目を逸らすシカマルの横顔を、じっと見つめた。
「君は怒ってるのかい、サスケに?」
「怒ってる?」
「君、あの日帰ってきてからずっと苛立ってる」
「…うるせぇな」
「心配してるんだよ」
言いながらサイはそっとシカマルの肩に手を置いた。小さい頃から知っている間柄ではあるが、こういうことをする男ではなかった。シカマルの体が僅かに強張る。
その触れられ方に、怒りはないことを確認して、サイは手を離し、にこりと笑う。
「時間はたっぷりあるんだ。夜までには帰ればいい。行けば?」
「…俺が行って何か変わるわけでもねぇし」
そう言って渋るシカマルの背中を、サイはぐい、と押した。
「行きなよ。君、恐らく、ナルトくんに会うとまた怒りを思い出しちゃって、一言キツく当たってしまいそうだとか思ってるだろ。でも、あのときは、私や他の皆が君の指示で動いていたんだから、責任は君にもあるんだよ。それにサスケくんが何かを隠しているように、君も何かを隠してるだろ」
「...」
シカマルは背中を押されながら廊下を歩かされる。何か言おうと振り返れば、サイはにこにこと笑っている。その表情は三人称の、神の視点で二人を動かし楽しむ時の、いつものそれだった。
「君は言い出したら引かない。それはわかってる。だが、これは俺から一つだけ頼みだと思って、聞いてくれてもいいんじゃないかな」
「…言っとくがオレはお前みてぇに仲間のことになると頭が回らなくなったりしねぇからな」
「あはは、どうかな」
シカマルは自分の執務室に戻って火影の書類をある程度片付けてしまおうか、それともまたナルトの様子を見に行こうか。迷った挙句にどちらもせず、また火影の部屋に戻ってきた。ガラスの向こうにはナルトがさっきと同じように座っている。
シカマルは音を立てないようそっとドアを開け、火影室に足を踏み入れた。机に肘をつき、疲れ果てたように頭を抱えて座っているナルトの背中は、ずいぶん小さく見えた。
シカマルは今度こそ自分を説得した。
言い訳だ。全部、言い訳だ。
サスケはナルトの片耳を切り落とした。よくわからないが、兎にも角にもそういうことで、取りあえず目の前で今もなお傷を負った当人を前にして気遣いも見舞いの言葉もかけてやらない自分を、何かのせいにしてやり過ごすのはもうやめにしよう。
木の葉隠れの里の火影室でサスケのことは禁句だ。それを一番よく知っているのはサスケの親友であり、かつての仲間だったシカマル自身であるはずだ。
オレは逃げらんねぇんだよ。今は逃げるな。逃げた先で、また後悔しても知らない。
心の中の、自分よりも少し大人びた声がそうささやいた気がした。

ガラリと執務室の扉が開く。
「ナルト」
火影は今、正に職務に背を向けて何もない天井を眺めていた。シカマルが声をかけると、少ししてからこちらを見た。まだ意識が夢と現の境目を漂っているような焦点の定まらない目つきだ。
シカマルはもう一度、声をかける。
「今日からお前が休む間、俺が火影代理を務めるからよ」
ナルトはもう一度まばたきをして、今度は本当にシカマルを見てくる。自分の今の発言にシカマル自身が一番驚いている。
しかし言葉は止まらない。
「火影の仕事はもちろん、秘書官の仕事も引き受ける。俺が側にずっといるから、お前は心置きなくサスケのことを考えてろ。情報を整理して、次にやることを考える。俺はお前が仕事をしなくても、どうにかやっていけるようにする。火影のサインが必要な書類は全部俺のところに回せ。お前は俺の隣に座って、サインするときだけ動け」
それは目に見えて手を抜く仕事量であり、今までにナルトを支えてきた側近たち全員への冒涜でもあるが、シカマルにはもはや悔しさもなかった。一瞬だけ、
「...負けた気分だ」
と小さくこぼして、シカマルは右手を頭の後ろに回した。
ナルトが自分の頬を思い切り抓った。涙目で睨んでくる。シカマルは心底面倒くさいという顔をする。
だったら何か言えよ。サスケが行っちまう前にしつこいくらいに口を酸っぱくして言ってたことを。
自分のこの迂遠な態度が火影の癇に障ったのか、ナルトが口を開く。
「シカマルはさ、おれが里のみんなに気に入られたいから火影をやってるんだと思ってる?」
今度は、俺が問い詰められる側かよ。昔も確かそんなことがあったな。ナルトに気持ちを問い質されて、答えられなくて、サスケに助けられたことが。
ここ数年はどうだろう。昔と違うのは俺が相談役でアイツが火影だってことだけだ。サスケはいねぇ。口出ししてくれる者も、俺をからかう者も、助けてくれる者も。
シカマルは背を丸め、首をひねりながら考える。オレはお前の気持ちがわからねぇ、とナルトに言ったのはもうずいぶん昔のことだ。今はどうだ。オレはナルトの気持ちがわかるのか。
…わからない。ナルトはいつからこんなに手がかかる奴になったのだろう。いや、手がかからない時など一度もなかったが、それにしても今回のは尋常ではない。里にいると聞いてほっとした気持ちも事実だが、今の彼の状態は落ち着いてのんびり過ごせるというのとは明らかに違う。むしろ、かつて里を捨てたサスケとそう大差ない危うさを抱えているように見える。
愛想が尽きるとはこのことだ。サスケが抜けた時もそうだった。ナルトが里の英雄としてちやほやされればされるほど、シカマルはサスケが恋しくなる。……こうして新しく発生する実害。里の光である火影の生産性が限りなくゼロに近くなっているのに、あれほど優秀な忍びならば、いっそ俺が、あの場所にいなければサスケは、と思考を巡らせてまた動けなくなる。
サスケは、自分に降りかかる全ての因縁から自由になるために、きっと捨てられるものは全部捨ててきた。家族を、故郷を、誇りを。ナルトとの友情、そして里の絆。自分の命でさえも。あいつは、オレとは違うとシカマルは思い知らされた。
シカマルが自分の弱さにうちひしがれそうになったところで、サイが口を開いた。
「まあいいさ。僕は一応伝えたから。後は君が決めることだ」
サイの物わかりのよさが逆に不気味で、シカマルは反論もできなかった。
「そうだ。怒ってばかりもいられない。自棄になるにはまだ早い。よし、オレは今日も文句のひとつも言ってやるか」
...
ナルトは筆を置いて、原稿用紙の山に書類を置いた。
「……終わった?」
不安そうな声に、うん、とナルトは短く答えて、両手を後ろにつき、うつむきがちにため息を吐く。
「んー、まあ、そういうこと。今までこっちもほったらかしにしてたのは事実だし…。オレ、里を守ってええのかな」
「今更すぎるだろ」
ヒナタに紙袋を渡してナルトは苦笑いした。
朝のうちに火影屋敷の前で長い間待っていた例の夫妻は、里から少し離れたところの診療所で診てもらうよう手配をした。ナルトに直接詰め寄ってきていたことを思えば、里の外に出るまで一度も振り返らずに素直に連れて行かれたそうだ。行き先の診療所には大やけどをした子供が預けられている。おそらくその子供の親だろう夫妻は、ナルトに非があると思っているらしい。
「俺、思うんだけどさあ…」
沈黙を破って口を開いたナルトの声は上ずっている。
「俺がもっと強けりゃ、サスケが里を捨てることもなかったのかな…」
またその話か、とシカマルは思う。ナルトが落ち込む時はだいたいいつも、己の不甲斐なさを責める時だ。もっと早く気付くべきだったとか、もっと強ければ助けられたのに、とか。今もまさに、だろう。
「あの時も何もかも聞き出せていれば、サスケはあんな目に遭わなかったのかも…」
「んなの誰にもわかんねぇよ」
シカマルは努めて軽い口調で言う。
「そんで、どうすんだ」
ちいさく唇を尖らせ、少しだけ間を置いてからナルトは口を開いた。
「...マジな話、ヒマリが寝る前に今日の話を聞いてくれるんだ。オレも毎日会いに行ってるし」
急に始まった他愛のない話にシカマルは戸惑う。ヒマリというのはナルトの娘だ。今は下忍で、自分の息子と同じチームにいる。娘が、ナルトの、話を聞いてくれるのか。
「……へえ」
そう答えるのが精いっぱいだった。
「そしたらさ、今日、ヒマが言ったんだ。オレの話には必ず“それで?”って言ってくれるけど、パパの話を聞いててもアスマおじちゃんの話を聞いてても全然泣かないから、どうしてなんだろう、って」
「…まあ、聞く側の問題もあるだろうしな」
「だよな」
ナルトは何かをこらえるように、うつむいた。
あの日から彼は、思い出すのもつらいのだろう。自身が口を開くたびに、あの時の感覚が蘇る。そうでなければ、これほど仕事が手につかなくなることはないはずだ。
現にサスケが去ってからまもなくして、泣き言ひとつ言わずに火影の仕事を全うしてみせたのだ。身内の死に目にすら駆けつけられなかった日もあったというのに。立派なものだ、と思った。
ただまあ、だからこそ心配になる。いや、心配というよりは気懸かりだ。今のところ、仕事が手につかない、とかいう状態でナルトの様子に明らかな異常は見られない。でも、オレたちが見えていないところで夜も眠らず泣いているんじゃないか、とか、酒に逃げたりしてないか、とか、独りで傷を舐めあって、もうたくしゃだって思ってるんじゃないか、とか。そんなことばかり考えてしまう。
シカマルはそういう意味では、あの時、救出に向かったナルトの強さをあてにしていた。悲しみや苦しみ、怒りや憎しみ、決していい感情ばかりではないものを受け止め、呑み込んで、懸命に折り合いをつけて前を向く。そういう面でのナルトの強さは本物だと思っている。だがその分、心に溜めた膿は深い。
「その女がどこで死んだか知ってるか?…火の国の中だ」
「...んだよ、つまりどういう」
「心配しなくても、ダンゾウ様は根の頃から火影というものがどういう存在なのか常に考えてきた人物だ。ナルトが火影になった時も、もう二度と、あのような誰かが火影を裏切ることがないよう、手を尽くしていたよ。いくつかブラフも混ざってるけどね」
思わず、シカマルは嫌な予感に顔を顰めた。
七代目火影が呪い殺された事件の調査報告を、ダンゾウの残滓が暗部に提出した。何故ダンゾウ派の人間が調査に加わっていたのか。書類は確かに提出された。本当にあったことなのだ。
「あの男は死んだ後も木ノ葉に暗い影を落とし続けるのか」
シカマルは思わずそんな言葉を口にしていた。
「俺はあの人のことは尊敬してるけどね。里を守るための非道だって言うんなら、非情になりきれなかった己を呪うべきだよ。木ノ葉の里の、根の長だったんだから」
自分に言い聞かせるように言うサイに、シカマルは軽く首を傾げる。
「...まあいいや。とにかく書状のこと頼むわ」
サイが渋る火影を押し切る形で件の上忍の引き渡しは行われることになり、シカマルは懐に入れた書類を確認するために執務室へと戻る。

部屋は、窓から差し込む日光で眩しいくらいに明るくなっていた。ナルトは書類の上に突っ伏して眠っていた。机の上に敷かれた巻き物には、サインはまだ書かれていない。
「...もう、いい」
しばらく、無防備に眠る幼馴染みの寝顔を見つめた後、シカマルは誰にでもなく呟いた。この顔を見るたびに、今の仕事を選んだのはオレだって自分に言い聞かせてきた。少しくらいは、甘い顔を見せても罰は当たらないだろう。
シカマルは火影の上着を手に取ると、そのまま執務室を出て行った。再び廊下を歩き、先ほどの場所まで来ると、サイがまだいた。
「ありゃあダメだ」
シカマルは言い放った。サイはわかってる、と肯く。長官自ら現火影の私邸に使いをするという、火影迷子の対応としては破格の扱いだが、それに誰からも文句は出なかった。それだけ、今回の事態は信じ難いものだった。何せ相手は、正式に仕事を始めてから今日まで、皆勤で火影の席を守ってきた七代目火影なのだから。
サイの言う通り、今日もナルトは机の前で固まっている。シカマルが疲れた顔のまま口を開いた。
「なあ、ナルト。あんま、根を詰めすぎるなよ」
「...え?」
きょとんとした顔が振り返る。シカマルは一瞬、口を滑らせてしまったかと焦る。が、ナルトは「どうしたんだよ、シカマル。らしくない」と笑うだけだった。
「疲れてんだよ。今日はもう上がろうぜ」
「え? まだ仕事が…」
「ちゃんと予定はこなしてる。今日はもういいだろ」
ぐい、と腕を引っ張られて、ナルトはよろめきながら立ち上がった。
「おいおい、ちゃんと歩けって」
「ああ、悪い悪い」
シカマルはそのまま、ナルトを自宅に連れて行き、飯を食わせ、風呂に入れ、休ませた。
これでよかったのだと、シカマルは思う。何も知らないナルトは、休むことを嫌がりながらもそれを素直に受け入れた。
何より問題は今後の対応だった。サスケと綱手が戻ってくるまでの間、ナルトを支えること。それだけをシカマルは考えていた。
帰り道、日はとっぷりと暮れて、木ノ葉隠れの里の夜が始まっていた。

翌朝、出勤してきたナルトは機嫌が良さそうだった。火影としての仕事に手こずることもない。手早く事務仕事をさばき、流れ込んでくる書類を滞りなく決裁し、会議も滞りなくこなした。先日、あれだけてこずった書類もすんなりと読み終える。もしかしたら…、とシカマルは淡い期待を抱いたが、何事もなく一日が過ぎて行く。
それは単なる期待だったのかもしれない。
シカマルの心配はナルトの容態とて、何より気掛かりは、彼の心の問題だ。鳴人をいい意味でも悪い意味でも揺さぶる物事の筆頭はうちはサスケに関する事柄だが、仮にサスケが帰って来てナルトに発破
独自一人思索无果,日子一天天过去,最终仍然无法完全认同,鸣人现在正追着佐助的查克拉奔跑。他姑且是拼凑出了一个理论上的答案,鸣人也多少能理解那种心情,于是暂且带着那个答案赶路。

佐助从村子出发,以鸣人的脚程大约三个小时,在西北方向急行后抵达的森林里。
他坐在大树的根部,啃着饭团。沐浴着从树叶间洒落的阳光,把米粒分给凑过来的小鸟。
看到这幅光景,鸣人站在原地,无法出声招呼。佐助当然也捕捉到了鸣人进入视野,但他也不主动开口。只有长尾小鸟克制的鸣叫声,在树木安静的沙沙声中回响。

过了三分钟,又过了五分钟,佐助手里拿着的饭团全吃完了。仿佛那是某种信号,鸣人的肚子发出了相当大声的饥饿抗议。因为一看到佐助的脸,他就下意识地安心了。实际上,他从昨晚起就没怎么吃东西。吃不下。

受惊的小鸟飞走了。佐助那满是欲言又止的目光,与鸣人那确实有些不好意思的视线,交叠在一起。

“……你从什么时候开始没吃东西的?”
“嗯……,我最后一次吃饭,是昨天傍晚。”
佐助从树木的缝隙间,瞥了一眼已过中天的太阳。他将摊开在身旁的竹皮上最后剩下的那个饭团抛给鸣人。
“吃吧。”
鸣人稳稳接住,露出为难的表情。佐助轻轻叹了口气,向他招了招手。
“过来吃。”
鸣人想了想,最后在离佐助约一步的距离坐到了地上。他接过抛来的竹制水壶,正要开始吃喝之前,先吐露出从村里一路带来的想法。
“佐助,我……是来道歉的。”
“为什么事?”
佐助这么问道。不出所料,鸣人露出不可思议的表情。
“为什么?”
他又问鸣人为什么要道歉。鸣人还在频繁地眨着眼。
正如所担心的,鸣人似乎什么都不明白。佐助强忍住想骂人的冲动,等待鸣人的回答。又不是什么都需要手把手教的孩子。况且这三个月来,他反复地体察自己的感情,有时还玩弄于股掌之中,这点事不用说明也该懂吧。希望你能懂。佐助以祈祷般的心情等待着。
可是鸣人却忸忸怩怩地抬眼看他说:
“我的身体已经是你的了,却还想让你以外的人先碰,对不起……”
原来是这么回事。
也就是说,这和那些把处女看得特别金贵的变态是同一个心思。
佐助把胳膊肘撑在立起的膝盖上,用指尖按住了隐隐作痛的太阳穴。以前就一直觉得这家伙是个笨蛋,原来真是个笨蛋。
而且,答错了、随即不安地窥探自己脸色的鸣人,自己却还想对他苦口婆心地解释正确答案,佐助心想自己和从前一样,果然是同一座山里的狐狸。所以才不想看到他的脸。看到了,就会心软。佐助曾期待过,在自己不去看的日子里期限过去,一切照旧,恢复到原来的友情。
但是鸣人竟然追到了这种地方。甚至把工作中绝不离身的火影斗篷都留在了村子里。佐助不得不表示出诚意。
「我说」
他开了口。鸣人握着饭团,神情严肃。
「我只说一次,你好好听着。」
鸣人点了点头。佐助揉着仍在疼痛的太阳穴说道。
「我有重要的东西。从很久以前,大概这么小的时候」
说着,佐助伸出手,比了比比自己坐着时的视线稍高一点的位置,示意那个高度。
「……就一直珍惜着的东西。以前我并不觉得它重要。反而只把它看作阻碍自己前进道路、通往目标的路上的麻烦。碍事,太碍事了,烦得令人发狂,我曾真心祈愿过要是没有它该多好。我憎恨它。想要抹杀它……失败了。之后,像是被它牵引着一般,我回到了曾经诀别的道路。那是痛苦的。他人的目光严厉,每夜回想起来的自身罪孽沉重而深,经常有弄不清自己还留在这世上的意义的时候。每当那种时候,我就会把它拿出来看。它总是明亮地闪耀着,让我觉得如果明天也能看到同样的它,再多活一阵子也可以。它是我的光明,让我想起如何去爱一个人,也教给我对这爱的集合体——村子的眷恋。因为它在那边一直闪耀着,我才能为木叶拼命,才能接纳别人、组建家庭、生下女儿。……说到这里,你觉得那是什么?”
ナルトは眉を寄せて首を傾げた。娘か妻かと思って聞いていたのだが、“このくらい小さい”アカデミー生の頃には、サラダは当然おらず、サクラもそれほどサスケの近くにはまだいなかったはずだ。
じゃあ、そうだな…と考えてから、ナルトは唯一残った回答を口にする。
「プライド? うちはに生まれたっていう…」
サスケは小さく首を横に振った。青い目をひたりと見つめて、言う。
「お前だ」
ナルトは息が止まる心地がした。
男から目が離せないでいると、耐えきれなくなったかのようにサスケの方から視線を外した。
サスケは、地面に広がる草むらに転がる何かを探して、目線を彷徨わせながら続ける。
「オレはお前がすごく大事なのに、お前ときたらすぐにそれを蔑ろにしちまう。人のためとか、里のためだとか、平和のためだとか、言い訳して、突然めちゃくちゃ雑に扱う。オレはそれが許せねぇ。どうしても許せねぇ。オレがこんなに大事にしてんのにお前は何を考えてんだ、って思う。だから怒ったんだ。頭の血管が切れるかと思ったぞ、このウスラトンカチが」
「ごめん」
とナルトは自然と口走っていた。サスケは聞かずに俯いたきりだ。
「お前はあの時に、オレは殺してもいいって言った。殺してくれって言った。けどオレは、お前が本当に欲しかったのはオレに殺してもらうことじゃねぇって思ったから、生かした。あの時のオレの判断は正しかったと思ってる。間違ってなかったと今も思ってる。だが、お前は」
とサスケは足元の草むらから水筒を探り当てると、中身がなくなっているのを確かめて、木立の中へ放った。
「自分からオレに縋ってきたくせに、いざオレがお前の体に触れれば、お前はすごい勢いで泣き喚いて嫌がった。それはもう、ウソで塗り固めた関係が破綻して、本当に縋らなければならなくなった時。つまりお前が今、求められてきた時とまるで同じ顔で泣いたんだ」
ナルトはその時のことを思い出して、握り飯を握る手に力を込めた。握り飯は崩れる。
「オレは昔からお前の泣き顔が大嫌いだった。見ると何もかも放り出して、何でも言うことを聞いてしまいそうになるから。あの時も、お前の涙を、縋る眼を見て、目を覚まさせた。もしオレが目を覚まさなければ、オレの未来には何も残らなかった。お前はオレに大事なものを思い出させた。そしてオレの手は、お前の首を掴んだ」
そこでサスケは言葉を切った。
再び、木々を揺らす風の音だけが聞こえる。ナルトは青い目をしばたたかせて、サスケの顔を見る。
「オレ、その話、知ってる」
「だろうな。今さら隠すことでもねぇし」
あの時も小鳥が鳴いていたな。とサスケは思う。木の葉の里の高台、その後ろに立っていたのは里を裏切り、最愛の兄の遺した瞳で世界を抹殺せんとした男。スサノオが消滅し、四肢の感覚が失われていくなか、闇に堕ちる心と共に憎悪のすべてを削ぎ落とされ、オレは己の弱さを曝け出した。手を離した。そうして…。
それから先の景色は今でも克明に脳裏に焼き付いている。辺りを漂う黄砂は、光を溶かすようにキラキラと揺らめき、折れた己の腕の痛みは傷が塞がった後も消えることはなかった。何より空の色だ。酷く澄み切った、真っ青な空の色は、その瞬間の幸福感を昨日のことのように思い出させる。
あの時はひたすらに叫んでいた。腕の傷が治るたび、己の居場所がまた増えるような気がした。
それは幼い日に見た夕焼けが、己のうちはの誇りを最初に穢した。唯一、この世で自分の意思として唯一許した穢れだった。だが、たったいま、目の前の男を誑かすため、理性も知性も意味をなさない己の成れの果てとまみえる。
こんな感覚を抱くのはいつ以来だろう。
多分、これが人間というものなのだろう。理解したところで、どうすることもできない。縛られると知ってなお、縛られてしまう。嬉しいとか悲しいとかを超越した、変な感じ。仕方ないのでサスケは、なんとか気持ちを落ち着けるため、口を開く。
「ナルト。オレの旦那はお前だ」
「う、うん」
「つがいの番はオレだ」
「うん」
「オレの目は、オレの額は、オレの名はお前のものだ。お前もまた、己のすべてをオレに預けている。お前を裏切るものはオレが殺す。お前の病はオレが治す。お前の幸福はオレが保証する。それはこれから先の、死ぬまでの全期間にわたって、オレからお前へいかなる条件もなく与え続けるものだ。逆にお前がオレに与えてくれるものは、ただ生きていてくれることだけだ。いいか、命だけあれば十分だ。いつでもどこでも、たとえオレの目の届かないところに行ってしまっても、生きてさえいてくれればそれでいい。それがオレの求める唯一の見返りだ。それをお前は破るのか? 何もかもをかなぐり捨てて使命だから、と自ら死を選びに行くのか?」
長い台詞にナルトは呆然と口を開けていた。
その言葉が、優しい言葉が、一人ではどうにもできないほどの重さを伴ってナルトの心にゆっくりと染み込んでいく。
「俺は、お前には生きていてほしい」と。
ナルトはそれにすら気づかないまま自分の身に降りかかっている幸せを今、しみじみ噛み締めていた。
幸せだ。
それはもう、自分の心がどんなに説明を頑張っても追いつけないくらいの、とてつもない幸せだ。
嬉しくて、嬉しくて、泣きそうになって、口を開きかけて、閉じて、また開いて、それから、
「オレも…サスケには生きていてほしい」
と、やっと声を絞り出した。
今度は口を開けて笑ったサスケの顔をナルトは見られなかった。
目が、熱い。
あまり気恥ずかしいので、下を向いたまま、握り飯をほおばる。
サスケも自分も竹皮の握り飯を開いて、食べ始めた。空腹に染み渡る。
黙々と食べる二人の間に、気の抜けた澄んだ空気が流れていた。それが妙に心地よい。
食い終わって、ナルトは水筒の水で喉を潤すと、サスケの方を向いて座り直す。サスケも同じように向き直り、対座になる。
「サスケ、今日は、ばあちゃんにも話したんだけど、オレ、里のやり方とか、どうしてもわかんねぇことがあって、昔からずっと疑問に思ってることがあるんだ」
サスケは、ようやく核心に触れ始めたなと思い、姿勢を正した。ナルトが面と向かって真剣な話を切り出す時の前置きは、大よそこれだ。面と向かって真剣な話をする時、ナルトはたいてい面と向かって真剣な顔をしている。
「最初にチームが組まれてから、ずっと思っていたことだ」
急に何を言い出すのかと思えば、昔話のようだ。サスケは若干拍子抜けしつつも、ナルトの話を促した。
「アカデミーでチームが組まれて、初めての任務が始まろうとした時、オレたちはエビス先輩と会った。あの時、エビス先輩が言ってたよな。オレたちは同郷のよしみで、お互い支え合っていかなきゃいけないって」
「ああ。エビス老師は昔から堅苦しい口調だったな」
「その時オレ、俺とサスケとサクラちゃんで三人前の部隊。名前は第七班。それぞれが順番にエビス先輩に言ったんだ。好きなものと嫌いなもの」
「…ああ」
サスケは一人の女の名前を思い出していた。
「オレ、はっきり言ったんだ。“お前らと一緒にいるのは嫌いじゃない”って。サスケは“お前と話すのは嫌いだ”って言った」
サスケの視線はただ、地面を這うように歩く小さい虫の移動に注がれている。ナルトの言わんとすることに気づいていた。気づいていたが、あえて何も言わずに、この男がたどたどしい言葉を紡いでいくのを待っていた。
「サスケは、その時言ったんだ。オレのことは“仲良し”だって。オレはそれを、ずっと覚えてる」
サスケはうつむき加減に、小さく鼻で笑った。ナルトがまっすぐすぎて、笑える。
「昔の話だ。それに……お前は確かあの時も、満更でもなさそうだったじゃねぇか。気に入ったのか、あの呼び方」
「ち、違げぇって。そうじゃなくて」
「じゃあ何だ」
ナルトは両膝を抱えて、丸い背中をさらに丸くする。
「オレは…あの頃… サスケのこと考えてなかった。里に、オレのことを親友だって言ってくれてる、一人だけの友達がいるって思って、嬉しかったんだ。だからそんなオレの大事な人を、オレが失いかけてるっていうのが、ショックで…」
「言っとくが、オレはお前の親友であることをやめたつもりはねぇぞ」
と、サスケは当然のことのように言った。
「あの時も、今も、これからも、変わらず」
ナルトは涙腺が決壊しそうになるのを力技で堪える。サスケは本当に大事な相手の前で、泣くなどという無様な姿を晒すのはやめろとばかりに、ぐっと目を見開いた。
「ただ、大事なものだからこそ、手放す時は慎重になるべきだと思う。何かにつけて、守ってきたこいつを、軽率に何度も危機に晒すお前が許せなかった。だが、あの時のことを今でも、そう思ってるかと訊かれりゃ、それは違う。
オレがお前にそうしろと望んでることなんか、ただひとつしかない。他の誰でもねぇ、お前自身の意志と判断で、お前自身がお前の体と心を大事にすることだ。強いて言えば、お前がそう出来るように、オレは周りの障害を排除する程度のことしかできねぇよ。
まぁ正直、力になりたい、力にならせてほしいという気持ちが先に立つのだが、オレの出る幕ではねぇ。いいか、お前は誰のものでもない。ナルト、お前はお前だけのものだ。誰が何と言おうと、それは絶対に変わらない。それは、オレの大事なものに対する敬意でもある」
語り終えたサスケは、ゆっくりと顔を上げた。ナルトは膝を抱えて俯いたまま、聞いていたのかいないのか、わからない顔をしている。
怒られるかとも思ったが、そうではなく淡々と語られたからこそ却って、しみじみと響いた。ナルトは泣きそうになっている顔をどうにか隠そうと俯く。
サスケはなんの感慨もなさそうに言う。
「早く食え。冷める」
ナルトは言われた通り、水筒の茶で握り飯を流し込むと、竹皮を置いて、今度はサスケの正面に座り直した。彼の顔を見ないようにしながら、訊く。
「サスケは、オレが大事なんだな」
サスケはその質問には答えない。ナルトも何かを言ってほしいとは思っていない。大事だと言ってくれた。それだけで十分に嬉しい。けれどナルトの胃の腑はまだ重い。
「オレもサスケのことは大事だ」
すっとサスケの口元が綻ぶ。けれど、本心に嘘はない。ナルトの言は確かに嘘偽りのない本心だ。
だがその後に、何かを付け足そうとして、やはり止める。
「……でも」
ナルトが迷いながらその先を紡ぐ。サスケは言いよどむナルトを眺めながら思う。
自分はこの後、どう言われるのか。長い間待たせた末に申し訳ない、と、言われるのか。それとも、どうしても譲れないものがある、と言われるのか。はたまた、何でも言うことを聞く代わりに、今回だけは許してほしい、と言われるのか。そのどれもが、自分には大きな痛みを伴う。しかしそれは自業自得というものだ。サスケはもう、覚悟を決めていた。
ナルトは土の地面に落ちている小さな小枝を拾い、弄びながら、辿々しい口調で言う。
「サスケ、オレ…、オレ、イヤだ。火影になるの。オレ、なりたくない。火影には絶対なりたくない」
それはまったく予期しない答えだった。
サスケは思わず間の抜けた声を出した。
「……は?」
なんで?と訊ねる。
「オレが火影になりてぇのは、木ノ葉に認められたいからだ。そうすれば、オレを認めてくれるヤツが増えると思ったからだ。でも、もう…もう、オレのことは、誰よりもよくわかってくれているヤツがいるから。オレの…帰る場所で、温かく迎えてくれるヤツがいるから。もう火影になる必要はねぇ…」
こいつ、とサスケは思う。己のこの行き詰まった迷いを、ナルトは微塵も見抜いてはいない。ただ火影のマントがどうしても重く感じて、いてもたってもいられなくなり、こうしてオレのところへ転がり込んできたのだ。
嘘は言っていないようだ。火影のマントは確かに着てきていない。だが一番肝心なものをナルトは忘れている。
「そういうことを、里の皆の前でも言えるのか?」
「言えないな、それは」
ナルトは素直に認めた。
「言えないよな。んなこと言ったらオレ…火影をクビになる」
そこで初めて気がついた。
自分が言っていることとやっていることが矛盾していることに。
火影になって、里に認められたいと望んでいるのに、里に認められたいのはなぜか。ナルトはしばらく考えて、小さく口を開いた。
「オレ…木ノ葉の里の、火影バカ一代って呼ばれてるけど、本当は…何で火影になりてぇのか、よくわかってねぇんだと思う」
サスケは黙って聞いている。
「それは里のみんなに認めてほしいからか、昔のオレを認めてくれたアイツらを裏切りたくないからか、それとも尊敬する人と同じ肩書きを持ちたいだけなのか、どれも当てはまる気がするんだ。だから、どれを選べばいいかわからない。選べないから、全部含めてそれにしようと思ってる。オレの火影になる理由は、全部込みにした、オレの我儘だ。誰が何と言おうと、オレが納得してるから、それでいい。サスケがオレをそういう目で見ても、オレは絶対に火影になる。それは曲げねぇ」
そう言い切るナルトにサスケは、何かにつけてそれを持ち出せば手放すことはなかっただろうと言いかけて、言うのをやめた。ナルトの生き様を見ていれば、わかることだ。己のこの人生が、ナルトのものだというのなら。サスケは自分の中にナルトの生き様を宿らせて、彼とともに歩んできた道のりを思い返す。
まるで他人事のようだ。語るまでもなく、ナルトが道を踏み外さぬよう自分が守ってきたような気もするけれど、実際はその逆で、そうしなければならない状況にあったのは己のほうだ。幼い頃から、己は当たり前に正しい道など歩んでいなかった。いや、正しい道など当たり前にあったのかどうかも怪しいが、もしそこにあるのだとすれば、ナルトの方がよく知っていた。共に第七班にいた時も、離れ離れになった時も。道の途上で暗闇に吞まれて、見失いそうになった時も。
道というならば、確かに、だ。
考え始めれば暗澹たる思いばかりが甦り、頭の中を支配する。一秒と欠かさず。
だが彼らには、今日やっとめぐってきた春の陽気のように穏やかな時間が戻っている。
サスケは伏せていた視線を上げ、陽光にきらめく青い瞳を少しだけ細めて、言った。
「お前さ」
「ん?」
「オレは昔からお前が嫌いだった」
いきなりの言葉に、ナルトは心臓がぎゅっと掴まれたように感じた。続く言葉を待っていると、サスケは語る。
「自分が一番大変な時に限って、てめぇは何の用もないくせに自分からすすんで、実に能天気に、あろうことか笑いながら近づいてきやがる。他人が家の墓を暴くのと同じで、オレはてっきり侮辱の類か何かだと思っていた。そんで目の前でお前が飯を食う。こんなうまいものを食ったことがないと大袈裟に食い、生きることを手放しで肯定していた。その横顔が憎たらしくて、うらやましくて、まぶしくて。まぶしくて、目を背けた。するとお前は鬼の首を取ったようにニヤニヤして、分かったふりして言うんだ。オレの気持ちはわかってるって。一度たりともわかった試しもないくせに。オレはお前に何度も言ったと思う。オレのことは放っておけって。そしたらお前は放っておけないという。放っておけないのなら、何か言葉をかけて、時には黙って隣にいりゃいいものを、お前はいつだって急に現れて、急に傷をつけて、急に大事なものを奪っていく。お前はいつもそうだ。感情のままに近づいてきて、気分のままに傷つけて、何もなかったかのように境界線の内側に居座りやがる。言っただろ。オレはお前の全部が大事なんだって。全部大事にしたいって。なのに、なんでお前はそうやって…」
サスケはそこで一旦言葉を切った。
「自己犠牲で燃えるような真似が平気なんだよ。オレから大事なものをすり減らしていくようなマネをして。俺はお前を気にかけている。何よりも最優先だ。それはお前だってよく知ってるはずだ」
その言葉を受けて、ナルトはびくりと肩を震わせた。
ああ、そうだった。と思う。
自分はサスケに、火影にさせてもらった、光を与えてもらった。そのくせ、そのサスケの“大事なもの”を、自分は先ほどまで踏みにじる寸前までいっていたらしい。
「自分のことをわかってほしい」と願った心の深さは、人一倍強いのは自分ではないか。
「どれだけ大事にしているか」を、相手にわかってほしいと願う気持ちも、人一倍強い自分のはずだ。あの時、自分がどれほどサスケに想いを寄せていたか、行動で示している途中だったのに。それを自分は、さっき、真っ向から踏みにじった。
ナルトは握り飯の竹皮を剥がし、半分に割ってから、サスケに半分返した。サスケはそれを受け取ると、黙って頷いて、口にする。
「オレも言いすぎた。全部なかったことにして、前みたいに…」
「……うん」
ナルトは声を詰まらせた。
さあ、どこからやるか。
一番嫌なところから、がモットーだ。思い切って訊いた。
「サスケの大事なものって、オレ…?」
「ああ」
サスケは頷いた。
「…そうか」
ナルトはそれを聞いて、少し視線を下に落とし、それから、こくりと頷いた。
サスケの言葉はつまり、オレが何よりもお前を優先して、いついかなる時も、誰にも何があってもお前のことを一番に考えている。そういうことなのだ。それを聞いて、ナルトは自分がひたすら幸せだと思う。
この男にそこまで思われている。それが、純粋に、嬉しかった。
日々忍びをしていれば、誰かが誰かの命を預かり、誰かのために傷つくということはよくある。その大前提として、相手を思う気持ちを抱いていることはナルトには想像できる。
だが、サスケが己に抱いているそれが“特別”で、自分とサスケは“普通”ではないとナルトは知っている。自分のせいであの人の人生は二転三転して、今の自分はその人のものだ。そういう情念は自分を恨む理由として十分成立し得るものなのに、それでもなお、受け止めて手放さないでいてくれているからには、たぶんそれはもう、祝福されてしまっているものなのだろう。
祝福されている。ナルトにはその言葉がひどく重く、ずっしりと胸にのしかかってくる。自分は本当にそれに値するのかと。
ナルトは握り飯を一口かじった。味がしなかった。噛んで飲み込む。サスケは黙ってそれを見守り、ナルトが食べ終えたのを見計らって立ち上がる。
「行くぞ。里まで送る」
ナルトは腰を上げてから、おずおずと訊いた。
「……サスケは、オレとどうしたい」
答えはもう決まっているのかもしれない。それでも訊かずにはいられない。サスケは木漏れ日の中に立って、こちらを振り返る。
「ずっと、そばに置いておく」
その言葉を聞いてナルトは安堵した。目の奥にあったものがつるりと滑り出しそうになる。
サスケは水筒を投げて寄越して、背を向けた。
「行くぞ」
ナルトは慌てて起き上がり、水筒を腰に括りつけ、小走りにサスケに続く。
この森の中から抜けるまではできる限り何も考えまいとしているのが、走りながらでもわかった。自分がこの森の中で言った「お前だ」という言葉は、あの妙に澄みきった瞳に映るように選ばれたのだろう。本当にそう思っているから口にしたことに違いはないが、言いながら聞きながら、サスケ自身も己の言葉に助けられていた。
ナルトが無性に愛しい。
ナルトに無性に会いたい。
そんな欲求を何年も心の奥底で凍りつかせていた自分が嘘のように、今のサスケは望むままにナルトの隣にいる。触れられる距離にいる。思うままに手を伸ばせば触れることができる距離に、ナルトが居てくれる。
ナルトはナルトで、サスケの隣を歩いていることに嬉しくなって、今日は何をしようか、何を食べようか、と今からはしゃいでいる。
サスケはそんなナルトの横顔を眺めては、再び俯いてしまいそうになる。あの日以来、手を繋いだりはしていない。
(怖ぇんだよ)
昔の自分は、たとえ鎖で繋がれたって、たとえ言葉が通じなくても、手を伸ばして、掴んで、放さなければよかった。絶対に放すものかと、思っていた。恋慕の情は、喉元まで出かかっているのに、サスケはもう、それを手放してしまった。
ナルトのことを“大切なもの”と言い切ってしまったあとでは、何か言い訳をしないと駄目になる。
「……オレは、あの時お前に言ったんだ。オレの最初で最後の…」
サスケは言葉を止めた。死ぬまで譲らない、とまで言っておいて、蓋を開けてみれば一方的に奪い取ってしまった手前、今さら胸を張ってあれを“譲った”と言うのも憚られたからだ。
そのいきさつをナルトはまだ知らない。サスケがそう言った日から、まさに翌日には全て忘れていたのだ。
ナルトは無意識に首を傾げる。思い出せない。けれど決して悪意があって忘れたわけではない。なにしろサスケが目を覚ました直後のことだ。本当に何もかもが怒涛の日々だった。自分は、サスケの体が元に戻っていくことが嬉しくて、サスケが前よりも優しくなったことが嬉しくて、毎日浮かれて暮れていた。脳もあの日からちっとも働いていない。
そしてこの後に及んで、それが何を指すのか見当も付かず首を傾げるナルトに、サスケは仕方なく説明を諦めた。
気の利いた文句が出てこない、と唇を噛む。それでも、せめて、とまずは罰を与えた。
指を伸ばしてナルトの丸い鼻を摘まみ、両側にぐいっと引っ張る。
「てめェに言ったつもりはねェ。オレ自身に言ってるんだ」
そして手を離して、少しだけほっと息を吐いた。
「言ってみりゃ自慢の…宝物だ。死んでも離さねぇ。だけど」
と、その宝物の本人に聞こえるように言う。
「せめて、大事に扱ってくれ」
ナルトは床の草むらに視線を落としていたが、恥ずかしそうに小さく頷いた。手にしていた握り飯をようやく食べはじめ、サスケの手元の竹皮の上にあった残りの握り飯も目で示して「それも食っていいか」と訊ねてきた。サスケが短く「いいぞ」と答えると、一際大きな口で頬張って、すぐに竹の水筒のお茶に流し込んだ。
サスケは竹の水筒に残っている半分ほどの茶を飲み干し、背を伸ばした。
「さて、と。そろそろ行くぞ」
ナルトは飲み込んでから問う。
「どこへ?」
「オレの里だ」
そう言ってサスケは歩き出す。並んで歩く。里まではこのまま歩いて二日と少しかかる。だがナルトとゆっくり歩くぶんには十分な距離だ。ナルトは自分の影法師になってついてくるその男が、ぶつぶつと何か言っている。
「サスケ…やっぱオレ、怒ってる?」
「怒ってるよ」
「だよなぁ」
ナルトは小さくガッカズポーズをして見せた。サスケは鼻白む。
「オレがもし怒ってなかったらどうするつもりだったんだ」
「そしたら仲直りして、かくれ里に一緒に来てくれねぇかって頼もうと思った」
「答えは出てるな」
「うん、却下」
ナルトはあっさり引き下がった。それだけの理由でサスケが頷くとは思っていない。今は身を処すべく、顔をつぶさずに綺麗に引き下がる方法だけを考えている。そういう打算が顔に出やすいのは昔からだ。サスケは何も言わず、代わりに空になった握り飯の竹皮を畳んで握り、ナルトの頭にぽすんと投げた。軽くて痛くはない。
「怒ってねぇよ」
お前を呼びに来たんだ。とサスケは言った。
「オレに謝る必要なんざ、ねぇよ」
「じゃあ、どうして………」
「あれは怒鳴りたくなる。今でも思い出して腹が立つ。だが、お前が謝ることでも
鸣人啪嗒一声坐在榻榻米上。眼前并排铺着两床被褥,意味深长。因为是以新婚夫妇的身份通过的前台登记,被这样安排也是没办法的事。

不知从哪里飘来一阵甜咸的香气,鸣人有气无力地寻找来源——是佐助放在矮桌上的塑料袋。他意识到那是买回来的饭,这才想起自己饿了。自从决定被佐助抱的那一刻起,本应空空如也的胃就一声不吭了。

敞开的窗外传来蜩蝉悲切的鸣声。

这样做究竟有什么意义。鸣人低头看着被夕阳染红的起毛榻榻米,心想。

无论是分手还是不分手,就算被抱了,最后不也只会痛苦吗。毕竟他们各自都有妻儿。在为了彼此而决定忍耐的那一刻起,这段恋情就已经背离了安宁。前方延续的,是不遵从人世间道德之人所奔赴的,荒凉荆棘之路。

把佐助拖进那条路,有意义吗?
好不容易将他从那么深的痛苦中带回光明,好不容易让他在赎罪的尽头拥有了一个安稳的小家——自己有什么权利把他硬拖进险路呢?那难道不是仅仅是自己丑陋的自私吗?

“鸣人。”

被呼唤的鸣人回过头来,表情像极了幼年的他。是那种“我可以待在这里吗?”的不安孩童的脸。

与那时不同的是,不再有立刻逞强、无畏笑着的捣蛋鬼,取而代之的是不知如何撒娇、寂寞地低着头的成年人。

“……鸣人。”

佐助大步走近他。未擦干的水滴噼噼啪啪地落在旧榻榻米上。

仿佛要将那覆盖着漂亮肌肉的后背整个关起来一般,佐助用单臂从背后抱住了他。鸣人没有抗拒,也没有靠上去,只是静静坐在榻榻米上,依然在犹豫。

佐助将下巴搁在他的肩上。转到身前的一只手,握住了鸣人那只活生生的手。

“刚才的话,我补充一下。”

鸣人缓缓回头看向佐助。黑发上滴落的水珠打湿了他的脸颊。

佐助握紧那只手说:

“你总是倾向于牺牲自己,那不是你的错。是我的错。”

“……什么意思?”

“那时候的你拼了命想救我。为了这个,连惯用手都甘愿牺牲。然后你,尝到了甜头。你不再犹豫于牺牲自己,是因为我。”

呐,鸣人。他贴着鸣人的脸颊轻声说。

“一般来说,不会有人对扯断自己手臂的人说喜欢。”

“我……我啊,我是,但是……”

鸣人反握住男人骨节分明的修长手指。他能感觉到泪水正渐渐涌上眼眶。

“我就是怎么都想把你抢回来啊。我不想让你被任何人夺走啊。大蛇丸也好,晓也好,斑也好……连仇恨也一样。我不想让你被仇恨夺走。真的想法就只是这样……手臂,手臂只是,稍微碰了一下啦。”

“碰了一下?”

事态严重,却配上如此孩子气的说法,佐助不禁用喉咙无声地笑了笑。鸣人吸了吸鼻子,点了点头。

“要是我能更早变强的话。要是我能更早追上你的话。说不定真的不用失去你的手臂。那个时候的我那么弱,做什么都不行,是个吊车尾……我那样,所以你才会在那么长、那么黑暗的地方……”

“鸣人。”

“如果要怪谁的话,全怪我。我……对不起佐助,我知道这是错的。从一开始就全都不对,我知道全都是错的。可是……我喜欢你。没有办法。离不开你。一旦离开……就痛,很痛。为什么呢……不知道啊……明明谁也没死啊……”

“鸣人,够了”

“够了”,佐助小声重复着,将他正面拥入怀中。他舔去顺着光滑脸颊滑落的泪水,额头抵着额头低语:

“我也喜欢你。”

鸣人点点头。

“所以,就让我们走到能走到的尽头吧。”

鸣人正要点头,中途却停了下来,怯生生地抬头看向男人。

“可是,佐助。那...不是错的吗?”

“两情相悦的人上床,有什么错。”

他边说边舔去鸣人蓝眼睛眼角残留的泪痕。鸣人嫌恶似的眯起眼,佐助咬住他眼角柔软的皮肤。

“如果这算错,那就是这世道错了。”

听到佐助像要把话吐出来似的说出这句话,鸣人的指尖终于开始温热地恢复血液循环。


垫被薄得躺上去仿佛直接贴着榻榻米的硬度,鸣人躺在上面接住落下的吻,那些吻还带着水滴,像雨点一样啪嗒啪嗒落下来,鸣人不久就笑出了声。

“唔……等、等一下……噗、哈哈哈,你、你也太湿了吧”

鸣人用双手推开不断凑近的那张端正的脸,暂且坐起身来。重新一看,佐助从淋浴间出来后压根没好好擦身体,头发从发梢湿透,皮肤也湿漉漉的。卷着的浴巾都湿透了,紧紧贴在腰到大腿的位置。

鸣人笑着拿下自己腰间裹着的毛巾,把它从头上盖到佐助身上。像洗完澡给孩子擦头发那样,仔细地擦干黑发上的水汽。

“你怎么搞得这么湿就出来了啊”

“……想着直接这样”

佐助在浴巾下面咕哝着,鸣人听了忍不住笑。
“想什么啊。你是小狗吗?甩一甩不就行了!”

佐助は手のひらに畳の感触を確かめながら、そこにナルトを押し倒すと、下で眉をへの字にしたまま見上げてくる男に少し口元を緩ませる。
「お前、ん」
覆い被さろうとしたとき、腹に擦れた生身の腕が引っ込んで、手探りで自分の背中に回された。何かをこらえるように、ナルトの指先がうっすらと白く強張る。
その指の緊張をほどいてやろうと、サスケは首筋に唇を寄せた。ゆっくりと辿る。鎖骨へ。胸へ。くちゅりと小さく淫らな水音が鳴った。
「ン...、っ...」
鎖骨の縁を舐め上げると、ナルトはわずかに体を捩らせた。
「サスケ...、ち、違うんだって。オレは、違う」
「違う? 何が」
「こんな...こんなんじゃねぇんだ。オレ、お前とそういうのは、もっと...」
「もっと?」
サスケが首をかしげて、覗き込むように彼を見る。ナルトは沈み込む夕日に照らされた自分の顔が、羞恥でどんどん赤く染まっていくのがわかった。それでも、せっかくのサスケとの情事を台無しにしてしまうまいと、言葉を足す。
「もっと、なんつーか......浪漫、ってやつ? 朝は日が昇るところから、夕焼けとか見ながら、酒でも飲みながらやってみてぇなって...」
途方もない我儘だとわかっている。サスケは自分が離れると言ったとき、地の底まで落ちた。そんな人間を、今度は変な方向にてしかない幸福の形へ誘うことの、どれほどの罪深さか。
だがサスケはうん、と気のない返事をし、すると突然外の縁側に目をやって言った。
「今、月と夕焼けが同時に見えている」
「え?」
半ば脱力していたナルトはぽかんと間抜けな声を上げて窓を見た。夕日は沈み、山に隠れた太陽の光が空を薄い群青色に染め上げ、茜色の光の帯が遠くの稜線に沿ってまだ名残をとどめている。そして反対側の空には、輪郭のはっきりしない白い月がぽつりと浮かんでいた。
「ほんとだ。きれいだってばよ」
改めて見上げた月はすごく綺麗で、ナルトは素直にそう言った。幼い頃に二人で見上げた夕焼け空を思い出す。
「あの頃と空が繋がってんだな」
ふと口からこぼれたその言葉に、サスケは微かに目を見開いた。
「...あの頃」
「うん。よく、木の上とかで一緒に見てた。あん時はまさか、こうして添い寝する日が来るなんて思ってもみなかったけどな」
クスクスと笑うナルトを見て、サスケもつられて口元を緩める。手拭いで拭き取ったあとの、いつもの乾いた黒髪は夜風に流されてさらさらと揺れる。
男の目がまっすぐにナルトを見つめる。
「出会ったばかりの頃のお前からは、想像できなかっただろうな」
「そうだなあ。まさかオレがお前のこと好きになるなんてな」
ナルトは笑って言った。サスケも少しだけ口元を綻ばせる。
「オレも、まさかお前を好きになるとは思ってなかった」
「......ッふ、はは。意外って言うとお前失礼だってばよ。オレってばこんなに愛されてるのによ」
「愛されてる」というのは決して冗談ではないのだけれど、口に出すと途端に嘘っぽくなる。サスケは何も言わずにナルトの濡れた金髪を乱暴にわしゃわしゃと拭いた。ナルトが「ぐあっ」と声を上げて顔を上げる。バスタオルはサスケの頭に残ったまま、端を掴んで彼の手はサスケの首に回っている。
「お前さ、告白するタイミングとかわかってねぇだろ」
しょーがねぇなぁ、と笑って言うナルトに、サスケは無表情のまま首を傾げた。
「なんでだ」
「だってさ、雰囲気ぶち壊しってやつ? 今そういう話するとこじゃねぇだろ」
ツンと指先で鼻の頭を突かれてサスケは初めて、己の髪から滴が畳に落ちて染みを作っているのに気がついた。思わずナルトを見ると、くくっと喉を鳴らして笑う。不意に腕を引かれて、うつ伏せで畳に倒れ込まされた。
「一発、もらうぞ」
ひっくり返すように仰向けにすると、ナルトはそのまま反り返って腕を伸ばす。サスケの背中に回された手足が、シャワーの残りを弾くように背中の筋肉に触れる。
「ひゃっ、冷てぇ」
その肩をぎゅっと掴んでナルトは暴れるように笑った。それから、自分からサスケの濡れた黒髪に頬を寄せる。雫で滑る肌は妙に生々しい。
「こうしてるとさ...お前が夢の中にいるみたいだってばよ」
サスケの顔ははっきり見えなかった。見えなかったが、吐息の合間に言う彼が笑っているのはわかった。
ふ、と暗がりに一歩浮かんだ白い歯。
「ナルトのくせに」
「っなんだと、」
彼の胸を、両の拳でどつきながら、ナルトはようやく笑う。サスケも小さく笑った。笑うと、暗い考えも身体の内側から締め出される気がした。
「オレさあ、今までずっと思ってた」
「何をだ」
「サスケに抱かれるって決めてからさ、いいのかなってずっと思ってた」
「いいって」
「は?」
「お前がいいかどうかは、お前が決めろ」
そう言ってサスケはナルトの頬に手を添えた。先ほどのシャワーの濡れた掌はひんやりとしている。汗ばんで温いナルトの頬が、少しだけ気持ちよさそうにその掌に寄り添った。
「そういうの、ずるいってばよ」
「ずるくねぇよ。結婚してるって言えばオレらは浮気者だ。納得してもらうために武器はなんでも使う」
サスケは淡々と言って、あやすように笑う。ナルトはぱちぱちと目を瞬かせてから、おそるおそるサスケの首に腕を回した。
「お前ってば、そういうとこあるよな...」
拗ねたような口調を、サスケは愉快そうに聞いている。ナルトの首筋から背中へ、じんわりとゆっくり骨を辿って掌を這わせていくと、ナルトは軽く跳ねて、それから徐々に弛緩していく。肌を撫でる唇は乾いていて、ひどく優しく触れる。

中文翻译:
鸣人一屁股坐在榻榻米上。眼前两床被褥意味深长地紧挨着铺在一起。因为他们是假扮新婚夫妇通过的前台,所以被这样安排也无可奈何。
不知从哪儿飘来一阵甜辣交织的香气,鸣人无力地寻找着气味的来源。是佐助放在矮桌上的塑料袋里传出来的。意识到佐助买了饭回来,鸣人才想起自己腹中早已空空如也。从决定被佐助拥抱的那一刻起,本该空荡荡的胃却安静了下来。
敞开的窗外传来ひぐらし凄凉的鸣叫声。
做这种事到底有什么意义。鸣人低头看着被夕阳染色的毛糙榻榻米,这样想道。
不管最后是分开还是不分开,被抱了之后,到头来不还是只会更加痛苦吗。因为自己们有妻儿。既然决定了为了彼此要忍耐,这份恋情就已经背离了安宁。继续走下去的,是不遵从人世间道德的人们所前进的荒凉荆棘之路。
在那条路上,把佐助卷进来的意义何在呢。
经历了那般痛苦,好不容易才把他带回光明处的自己,赎罪尽头终于有了小小家庭的这个男人,自己真的有权利硬是把他拖进险境吗?那难道不是自己丑陋的私欲吗。
“鸣人”
被叫到名字的鸣人回头时,表情像极了很小的时候。是一张“我可以在这里吗?”似的怯生生的孩童的脸。
与那时不同的是,这一次没有紧接着逞强、不怀好意地笑出来的调皮鬼,只有一个忘了如何撒娇、寂寞地低下头的大人。
“……鸣人。”
佐助大步走近他。没擦干的水滴啪嗒啪嗒滴落在陈旧的榻榻米上。
佐助像是要把那流畅的肌肉线条包裹住的脊背拥入怀中一般,用一只手臂从背后抱住了鸣人。鸣人没有抗拒,也没有靠过去,只是静坐着,仍在犹豫。
佐助把下巴搁在他的肩上。伸到身前的一只手握住鸣人裸露的手。
“刚才说的话,我再补充一句。”
鸣人缓缓回头看他。从黑发上滴落的水珠,打湿了他的脸颊。
佐助握紧抓住的手,说道。
“你总是牺牲自己,那不是你的错。是我的错。”
“......什么意思?”
“那时候的你拼命想救我。为了这个,就算牺牲惯用手也在所不惜。于是你,尝到甜头了。不再犹豫牺牲自己,都是因为我。”
呐,鸣人,他贴上脸颊低语。
“一般啊,可不会对着扯断了自己手臂的人,说喜欢什么的。”
“我……我啊,我,但是……”
鸣人反握住男人骨节分明的修长手指。他感觉到眼泪正在眼眶下慢慢浮起。
“我无论如何都一定要把你夺回来。我不想你被任何人抢走。大蛇丸也好,晓也好,斑也好……就算是憎恨。就算是憎恨,我也不想把你让出去。我的心情真的只有这些而已……手臂,手臂只是,稍微碰到的而已,我说真的。”
“碰到?”
这说法幼稚得与事件的严重性不符,佐助不禁只以喉音轻笑。鸣人吸了吸鼻子,点了点头。
“要是我能更早变强。要是我能更早追上你。说不定真的可以不用失去你的手臂。那时候的我太弱了,做什么都不行,是吊车尾……因为我是那样,所以你才,在那么长、那么黑暗的地方……”
“鸣人,”
“要找理由的话全都是我的错。我……对不起佐助,我知道这是错的。从一开始就全都不对,我知道全错了。可是……我喜欢你。毫无办法。离不开你。一旦分开……会痛,好痛。为什么……我不知道……又不是哪一方死掉了……”
“鸣人,够了”
已经够了,他小声重复着,佐助从正面将他拥入怀中。舔去他光滑脸颊上滑落的泪水。额头抵着额头低语。
“我也喜欢你”
鸣人点点头。
“所以,试试看到底能走到哪一步吧”
鸣人差点点头又停住了。战战兢兢地抬头看向男人。
“可是,佐助。那岂不是……错的吗?”
“两情相悦的人上床,哪有什么错”
说着,佐助舔了舔他蓝眼睛眼角的泪痕。鸣人抗拒似地眯起眼睛,佐助咬住他眼周柔软的肉。
“……如果这是错,那错的是这个世界”
听到佐助像吐掉什么似的说出这句话,鸣人终于感到连着的指尖开始涌起温热的血液。
躺在薄得能直接感觉到榻榻米硬度的被褥上,接受着落下的亲吻,那些吻连同一并落下的水珠像雨滴一样,鸣人不知不觉笑了出来。
“唔……等、等一下……噗、哈哈哈,你也太湿了吧”
用双手推开不停凑近的端正脸庞,鸣人暂且坐起身来。仔细一看,佐助洗完澡就没怎么擦干身体,头发湿到发梢,皮肤也湿淋淋的。就连裹着的浴巾都湿透了,贴在大腿和腰上。
鸣人笑着取下自己腰上围的毛巾,整个盖在佐助头上。像洗完澡给孩子擦头发那样,仔细地拭去黑发上的水汽。
“为什么就这么湿淋淋地出来了?”
“……我着急”
佐助在浴巾底下嘟嘟囔囔地说,鸣人听了便笑了。
“着什么急啊,又没人催你”
鸣人把浴巾盖在他头上,一边揉着黑发,一边皱起眉头。
“而且啊,你也擦擦身子嘛。床单什么的都要湿透了”
佐助从浴巾下面伸出手,用力拽住鸣人裹在腰上的浴巾边缘。
「これはナルトの分だ」
鳴人は手を止めて、浴巾の下から覗く男を見た。上目遣いにナルトを見上げるその目は、なんだか自分にだけ向けられたもののような気がした。
「...今度は俺が拭いてやるから、座れって」
佐助が畳に座り直して足を投げ出すと、ナルトは素直にその前に座った。佐助はバスタオルを頭に巻いたまま、ナルトの短い髪をわしゃわしゃと拭いてやる。ナルトは目を閉じて、されるがままになっている。湯上がりの温かさと石鹸の匂いが佐助に降り積もっていく。
撫でるように水気を取っていた手が、突然強く髪を掴んだ。閉じていた目を開けると、佐助がじっと見つめている。
「最初から言っておく」
掴む手に、少しだけ力がこもる。
「俺は、お前を泣かせる。絶対に泣かせる」
「知ってる」
ナルトはうつむき、自分でも驚くほど素直にそう言った。ひたむきな声は、何かを待つように静かだ。
「でも...」
「でも?」
サスケが首を傾げた。ナルトは胸に押し込んでいた感情を確かめるように、ゆっくりと顔を上げた。
「でも、オレ、知ってる。サスケはオレの涙を、一番丁寧に拭いてくれる。どんな涙よりも、ちゃんと...俺の気持ちを、わかってくれる」鸣人摊坐在榻榻米上。眼前意味深长地铺着两床被子,紧紧挨在一起。因为他们是假装新婚夫妇通过的前台,所以被这样安排也是没办法的事。

不知从哪里飘来一阵甜咸的香气,鸣人有气无力地寻找来源。是佐助放在矮桌上的塑料袋里传出来的。明白是买来了吃的,鸣人才想起自己饿了。从决定被佐助拥抱的那一刻起,本该空空如也的胃就悄然无声了。

敞开的窗外传来寒蝉哀切鸣叫的声音。

做这种事有意义吗。鸣人低头看着染上夕阳色的起毛榻榻米,想着。

无论分开还是不分开,被抱了到最后也只会更痛苦吧。因为我们有妻儿。为了彼此决定忍耐的那一刻起,这份恋情就与安宁背道而驰了。接下来要走的,是不遵从人世俗道的人们所奔赴的,荒凉荆棘之路。

在这条路上,有把佐助拖进来的意义吗。

好不容易才将他从痛苦中带回光明,那个终于在赎罪的尽头拥有了小小家庭的男子,自己真的有权利把他硬拖进险路吗?那难道不是自己丑陋的私欲吗?

“鸣人。”

被呼唤的鸣人回过头来,表情与他很小的时候相似。是一张“我可以待在这里吗?”般胆怯的孩子的脸。

和那时不同的是,眼前没有逞强露出无畏笑容的顽皮小鬼,只有一个忘了怎么撒娇、寂寞地低着头的大人。

“……鸣人。”

佐助大步走近他。没擦干的水滴啪嗒啪嗒地打湿陈旧的榻榻米。

佐助像是要把那覆着匀称肌肉的后背锁进怀里般,用单臂从背后抱住了他。鸣人没有抗拒,但也没有靠上去,只是静静坐在榻榻米上,仍在犹豫。

佐助将下巴抵在他的肩上。绕到身前的一只手,握住了鸣人赤裸的手。

“刚才的话,我再补一句。”

鸣人缓缓转头看佐助。黑发上滴落的水珠打湿了他的脸颊。

佐助握紧他的手说道。

“你容易牺牲自己,不是你的错。是我的错。”

“……什么意思?”

“那时候的你拼了命地想救我。为此连惯用手都可以牺牲。结果你尝到了甜头。你不再犹豫牺牲自己,都是我的错。”

“呐,鸣人。”他脸颊贴着鸣人的脸颊低语。

“一般来说啊,对着扯断了自己手臂的人,是不该说喜欢这种话的。”

“我……我啊,我,但是……”

鸣人回握住他骨节分明的修长手指。他感到泪水渐渐盈满眼眶。

“我那时候就是无论如何都想把你带回来。不想把你让给任何人。大蛇丸也好,晓也好,斑也好……连仇恨也好。我都不想输给它。真的想法就只有这些……手臂,手臂,只是擦了一下而已,我说真的。”

“擦了一下?”

这过于孩子气的说法和事态的严重性太不相称,佐助不禁喉头一哂。鸣人吸了吸鼻子,点点头。

“要是我早点变强的话。要是我早点追上你的话。说不定你那只手臂也不会失去。那时候的我太弱了,做什么都不行,是个吊车尾……就因为我是那个样子,你才会在那么长、那么黑暗的地方……”

“鸣人。”

“如果要怪谁,那全都怪我。我……对不起佐助,我知道这不对。从一开始就不对,我全都知道。可是……我喜欢你。怎么也忍不住。离不开你。一旦离开……就好痛,好痛。为什么……我不明白……又不是我们其中谁死掉了……”

“鸣人,够了”

已经够了,佐助小声重复道,将他从正面拥入怀中。舔去他光滑脸颊上的泪水,额头贴着额头低语。
“我也喜欢你”
鸣人点了点头。
“所以,我们试试看能走到哪里吧”
鸣人正要点头,中途却停住了。他怯生生地抬头看向男人。
“可是,佐助。那不是...错了吗?”
“两情相悦的人一起睡,有什么错”
他一边说着,一边舔去蓝眼睛眼角凝固的泪痕。鸣人眯起眼睛,像要躲开似的,佐助便咬住他眼角柔软的皮肤。
“...如果这是错的,那错的是这个世界。”
听到佐助像吐掉什么似的说出这句话,鸣人才总算感觉到,从交握的指尖开始,有温热的血液重新流动起来。
榻榻米的硬度几乎直接硌着后背,躺在那床薄薄的被褥上,任由落下的亲吻砸下来,一起落下来的还有屋檐滴水般的水滴,鸣人忍不住笑了出来。
“唔……等、等一下……噗、哈哈哈,你这家伙,也太湿了吧”
鸣人用双手推开不停凑近的那张俊脸,暂且坐起身。重新细看,佐助冲完澡后根本没有好好擦干身体,头发连发梢都湿透了,皮肤也水淋淋的。腰上裹着的浴巾也湿透,紧紧贴在腰胯到大腿。
鸣人笑着取下自己围在腰间的毛巾,从头上盖到佐助身上。像给洗完澡的小孩子擦头发那样,仔细地把黑发上的水汽擦干。
“你干嘛搞得这么湿淋淋地就出来啊”
“……我想”
佐助在浴巾底下咕哝着说话,鸣人听了不禁笑起来。放下手,重新注视佐助的脸,然后轻轻把浴巾从头上掀开。佐助的脸,因为热水的蒸汽变得通红,眼睛有些湿润,直直地看着鸣人。脖子和鎖骨上还留着水滴,看起来很柔软。鸣人觉得自己的喉咙干了,才注意到原来刚才一直在压抑着呼吸。
「やっぱり、お前は...」
「やっぱり?」
「...かっけぇ」
あの日、たとえばこいつにこのまま会えなくなっていたとしても。それでもオレはこの人が好きだった。お前がくれた指輪が誰にも言えない想いの証だったんだってばよ、とナルトは思い出した。自分からすると指輪は他でもない、忍びの里の日常とサスケとを繋ぐ、かけがえのない接続点だった。
「サスケ、指輪」
それは木の葉の闇に落ちていた。サスケに返したらもう会えなくなる気がして、ナルトは彼に渡せないまま、ずっと引き出しの中にしまっていた。
オレのばか。持って来るんだった。
「指輪?」
サスケは首を傾げて訊き返す。その仕草があまりに自分と同化しすぎた男には不似合いで、ナルトは今度こそぷはっと吹き出した。
シャワーのお湯が肌に当たる感触と音に意識を閉ざして、そっと目を開けると、硝子の向こうから鳶色の瞳が此方を見ていた。
ナルトは手を伸ばして硝子戸に触れる。すると向こうのサスケもそっと硝子に手を重ねた。その白い指先が少し震えているように見えたのは気のせいだろうか。
「……サスケ」
指先越しに溶けて混ざる液体の間から、遠い声が聞こえた気がする。かすかに何かを遮断していた靄が消えて、はっきりと硝子越しの男が見えた。
「オレの名前を呼ぶときの、お前の顔が好きだ」
手を離して硝子を隔てる。うっすらとサスケの顔が歪んで見えた。彼は手を伸ばし、硝子越しにナルトの髪に触れた。体温が伝わるわけもないのに、触れられた場所が暖かかった。
「なんかさ...泣いてるみてぇな声だな」
「泣いてねぇよ」
「...そっか」
サスケはナルトの髪を掻き上げる。指の股の間を雫が滑っていった。
「前はよぉ、オレが泣きてぇのはお前のほうだって言ったよな」
「何度もな」
あの頃の苦しさを覚えているからこそ、ナルトは今もこうしてサスケに触れている。過ちの先にしか見いだせなかった愛は、いつだって苦い味がした。
「今は...どうなんだろうな」
ひとりごとのようにナルトが言うと、サスケは瞳を瞬かせて、それから少し間を置いて告げる。
「今は、泣きたいのはオレだ。嬉しすぎて」
俺のことをこれほど悲しませてくれて、ありがとう。そう続けたら、伝わるだろうか。幼い日のあの夜、オレが裏切り続けて傷つけてばかりいたのに、何度も何度もあの少年はオレを追いかけて来た。オレにはやっとひとつ、奪われないものがある。サスケはナルトの目尻に涙が溜まっていくのを見ながら思う。
これでいい。この男が、この人のぬくもりが、世界で唯一間違いなく正しい。
黒い瞳に縁どられた昏い色の想いが、静かに育っていた。

その想いに気づくことなく、ナルトはサスケの濡れた髪を拭き終えると、最後にわしゃわしゃと頭をかき回す。
「乾いた?」
「...ああ」
物わかりのよさそうな顔でサスケが頷くので、ナルトは手元のタオルを畳に放り出して、ごろりと布団の上に転がった。仰向けに寝転がって、天井を見る。
「サスケさ、あのさ」
ついてきて、と上目遣いで言う。
「シャワー浴びてきなって」
「お前こそ」
「オレはもう風呂入った」
「湯船に浸かってただけだろ」
「いいんだよ、風呂上りの男のにおいを嗅げるのはお前だけで十分だってばよ」
サスケは何か言いかけて、しかし何も言わなかった。彼の上に覆いかぶさる。雫がひとしずく、ナルトの鼻先に落ちた。
「言うことがいちいち憎らしい」
「...ん、さっきから、ちょっと息苦しいってばよ」
サスケは体を起こし、しみ出るように汗をかきはじめた肌に眼をやる。火照った顔。荒い呼吸に合わせて上下する胸元。下を向けば顎の下に古い傷の痕。首すじに浮くうっすらとした青い静脈。指の背でそこをそっとなぞるとナルトの喉仏がこくりと揺れて、落ち着きのない金色の瞳がサスケに戻ってくる。
「...サスケ?」
ねだるように、問いかけるように。その声にサスケの理性はざらりと音を立てて剥がれ落ちた。ちゅう、と唇が触れる。ぬるい感触を合図に再びゆっくりと唇を重ね、今度は舌を割り入れた。
抵抗はない。いや、抵抗するという概念がない。されるがまま、与えられるままのナルトの舌をサスケは絡めとる。口内の熱を拭うように深く深く巡る。唾液が混ざり合い、二人の間の空気が重くなる。
熱い。それしかナルトの頭にはなかった。
心臓が大きく跳ねる。開いたままの口から吐息が漏れる。頭の芯のほうが痺れてきて、そろそろとサスケの背に腕を回す。肌に触れると、やはり気温のせいか少し冷たい。それでも抱きつくのをやめることはできなかった。今度は触れたところがひどく熱くなって、こっちまで火傷しそうだ。
顔が近くて、何もかもが急な気がする。けれどこの瞼の裏から暗闇が、規則的に走る背骨の起伏が、サスケに抱かれるということが前世からの記憶であるように、強く強くナルトの中の何かを揺さぶる。
抱きしめ合うことの意味を、確かめるように抱く。
数十年、いや数十万年も前から身体の奥底に知っていたはずのことを、サスケはするりと、ナルトの輪郭をなぞるように掌で教え直す。
布団の上、古い畳の匂いを吸い込みながらサスケは静かな息を吐いた。ナルトは「ん」と声を漏らしてビクリと跳ねる。鳩尾の下、肘をぐっと押し込まれた。
服は、どうやらお互いにもう邪魔で仕方ないらしい。サスケにTシャツの裾を引かれ、なされるがままに脱がされる。サスケのバスタオルはもうずいぶん前に床に落ちていて、こちらは晒すものが多いのに、ナルトは目をぱちぱちさせた。
「...いいのか? お前、顔に傷あんだぞ。あと全身痣だらけだし。オレの肌は綺麗だって見せつけたいのか?」
サスケは無言で自分の腕を見下ろした。めったに触れる者のいない肌は、作務衣を透かして差し込む夕日がきらきらとこぼれるほどには白い。それにくっきりと浮かぶ、彼がはっきりと覚えている傷や痣は身体の何箇所にも散っていて、痛々しいと言えば痛々しい。
「触る?」
ナルトが言った。
「さっきからずっと気になってんだろ。遠慮しねェなら触ってみ?」
声をひそめて囁くように言うと、サスケはそっと彼の首に噛みついた。
「っ...」
噛み跡を辿るように唇を這わされながら、ナルトはこそばゆそうに首を竦めて笑う。サスケが腰を抱き寄せてからは、その、久しぶりの体温が何より懐かしく思われて、ナルトはおそるおそる手を伸ばした。
「サスケ」
男はどこか甘えたような吐息を漏らして首筋から鎖骨へ、唇を滑らせる。背中に回した手で、触れるか触れないかのうちに背骨の上をなぞっていた。
「っ...」
されるがままになっていると、手つきが少しずつ変わる。
指の腹で粒を転がすように弄ばれ、やがて爪の先で軽く引っかかれると、ぞくりと背筋が震えた。
「ん...っ」
ナルトの口から甘い声が漏れて、サスケの手が止まる。
こくこくと喉が鳴り、少しの間があって、彼は微かに身じろいだ。サスケの顔色をうかがうように、おそるおそる。
「...ちゅーしよ?」
サスケは何も答えずに応えるように、吐息が触れるほどまで近づいて、唇を重ねた。何度も角度を変えて、啄むように触れるだけのキスを繰り返す。
「ん...ちゅ...ん
鸣人不由得用清醒的眼神抬头看去,佐助却若无其事地继续说。

“你,之前不是硬不起来嘛。”

鸣人像闹别扭似的移开视线。

“今天没问题啦。”

“是吗?”

“因为你看……”

鸣人重新开始了停下的动作。两根肿胀的肉棒互相摩擦,都硬挺得微微翘起,顶端一齐渗着透明的液体。果然佐助的还是要大上一圈,鸣人红着脸颊,不甘心地抿紧嘴唇。深处被用力摩擦着。

“嗯。”

被粗糙厚实的手指一下下按压着前列腺。握着自己阴茎的手在抽搐,顶端漏出更多的前列腺液,鸣人羞耻地看着。食指沾着润滑液滑了进来。

“……嗯嗯。”

被挤出的润滑液从花蕾和手指的缝隙间漏了出来。滴落下来,在因为洗太多次而显得疲旧的床单上,一点点洇出痕迹。

食指也毫无困难地吞到根部时,鸣人断断续续地吐出燥热的喘息。体内确实感觉到重量。被咕叽咕叽地刺激深处的凸起时,就会紧紧绞住男人的手指。

“啊……佐助……”

佐助不仅摩擦前列腺,还苦心积虑地试图用两根手指撑开狭窄的黏膜。也许是媚药的缘故,几乎已经不痛了,被撑开的边缘有空气滑入的感觉,又痒又让人着急。修长的手指被耐心地、反反复复地抽插,但鸣人并不觉得这份温柔有什么特别值得高兴的。

“佐助啦”

比起那个,更想让这根肿胀的怒张早点插进来。想让它填得满满的,连空气都进不来。鸣人乞求似地狠狠蹭着他的肉棒,吸住男人薄薄的下唇低语。

“快放进来嘛”

“……还不行”

“为什么……?”

“还太早……再等会儿”

“可以了吧……佐助,已经够了”

刚觉得媚药进入体内,就索性把所有事都归咎于药效,做到即使是清醒时也无法做到的果断之事。

鸣人把义肢的手指忘记是义肢,直接插进了自己的后穴。像展示似的噗嗤噗嗤埋进去。在体内和男人的手指纠缠在一起。对着屏住呼吸的佐助,露出浅浅的笑容。

“你看吧……”

鸣人愉快地注视着佐助那张精心修饰的脸上消失的从容。被埋入的手指全部被粗暴地抽出。刚才的绅士态度不知去向,极其粗暴的动作将他翻转过去趴在棉被上。

佐助单手握住呈四肢着地姿势的鸣人的腰。比他想象中还要薄,手掌下只有肌肉和骨头触感的腰,让他产生了欲望。被高高抬起的屁股紧致且小巧,也很不错。他忍住想像咬桃子一样咬上去的冲动,抓住一侧臀肉猛地往上掀,粉色的黏膜便抽动着诱惑他。从小孔中滴落ローション,仿佛唾液滴下。

“サスケ,我说……”

ナルト把脸颊和肩膀啪地贴在床单上。被暴露出的花蕾抽动着几乎发痛,他自己也清楚。

“快……快点……啊、啊啊、啊——”

伴随着与手指截然不同的重量感,他发出了连自己都不敢相信的声音。龟头的膨胀滑入其中,随即整根又长又粗的茎身被满满地埋了进去。

“啊……进去了……要进去了……鸡巴要进去了……啊呜——”

被猛地顶到深处的瞬间,他的小腹条件反射地一阵痉挛。随后涌来的是一股近似排尿的快感。

对这种似曾相识的感觉,鸣人一边急促地喘息,一边低头看向自己趴伏的腹部下方。看见浓稠的白色黏液飞溅在床单上,他的脸颊热了起来。仅仅是被插入就射了。

“啊啊……啊……!”

被紧紧绞住,佐助不动声色地蹙起眉头。虽然有过不少性经验,但被绞得这么紧还是头一回。

好热。他摇头甩开涌上来的气息。又热又窄。一顶进去,黏膜就像活物一般收缩,缠着佐助不放。那紧致的绞缠叫人上瘾,佐助一次又一次地猛力顶入,垂着的囊袋也随之啪嗒啪嗒拍打在鸣人身上。
脸颊贴在床单上的鸣人硬是回过头,用湿润的眼睛望上来。
“佐助……别、别老蹭那儿……啊……又要,硬起来了……唔”
佐助不听,偏用涨大的顶端去磨蹭鸣人的前列腺。因为那里一蹭就绞得更紧,要他说出“别做这么舒服的事”才是强人所难。
抓着鸣人的屁股随意摆腰,脑子里好几次闪过像白色火花噼啪爆开一样的快感,最终也没打招呼,就把忍耐已久的东西全数浇在了最深处。佐助只望着眼前那随着身体扭动、中央凹陷优美的脊背。
“唔……嗯、好烫……”
後穴紧紧绞缩着,像是要榨干他一般,让他从脑髓深处酥麻失神。连残余都注进去后,佐助摇了摇头,汗珠啪嗒啪嗒落在鸣人的背上。
“……哈……哈……”
他把趴伏倒下的身体翻过来。鸣人以屁股压住自己流出的精液,融化般涣散的蓝眸望上来。
“佐助……结束了…?”
佐助俯视着他像婴儿一样张开的双腿之间,嗤笑一声。
“又硬了,说什么呢。”
他弹了弹那根翘起的欲望。鸣人做出害羞的样子,又将双腿张得更开。被乳胶浸湿的金色草丛,以及从深处翕动的花蕾中流出的乳胶与精液的混合物——这一切,佐助都看在眼里。
佐助将手指伸向那根挺立的欲望下方、无所适从地垂着的袋囊。指尖在缝合线上蜿蜒爬行,慢慢地绕过睾丸,滑向会阴。ナルト大腿抖了一下,連會陰也跟著痙攣。紧致的皮肤下方能触到硬硬的果实般的东西。佐助的指尖在那里画着圈揉弄。
「んっ、あ…やめっ……それ、やめ…っ」
ナルト喘着气摇头。他还没习惯被玩弄那里,快感一下子就冲上头顶,一片空白。
佐助不肯停手。手指沿着会阴缓慢滑动,碾过那种感受,抵达了那个敏感点。
ナルト的腰猛地弹起来。瞪大的眼睛湿润,目不转睛地看着佐助。佐助指尖揉弄着那里,一边眯起眼睛笑。
「这里也很舒服吧?」
「才、才没有……啊、啊嗯、不、不要……」
揉弄得太过舒服,声音都走了调。ナルト喘着气,抓紧了床单。腿根不住地痉挛。也许是媚药的关系,感觉变得异常敏锐,光是手指的抚摸就让他阵阵发颤。背脊的汗毛也竖起来。
佐助确认过ナルト沉溺在快感里的样子,从ナルト的身体里抽出手指。ナルト红着脸颊,一脸不舍地抗议道:
“为什么不…了?”鸣人不由自主地用清醒的眼神抬头看去,佐助却若无其事地继续说道。

「因为你上次不是没硬起来嘛」

鸣人像是闹别扭似的移开了视线。

「今天没问题的」

「是吗?」

「因为你看…」

鸣人重新开始了停下的动作。他用力地摩擦着两根肿胀的肉棒。两根都硬挺得几乎要翘起来,前端一齐漏出透明的液体。果然佐助的还是大了一圈左右,鸣人红着脸颊,不甘心地抿紧了嘴唇。深处被重重地摩擦。

「嗯」

粗硬的指尖一下一下地摩擦着前列腺。鸣人羞耻地看着自己握着的阴茎抽搐着,前端漏出越来越多的前列腺液。食指沾着润滑液滑了进来。

「…嗯嗯っ」

被挤出的润滑液从花蕾和手指之间漏了出来。滴落下来,在因洗过太多次而显得破旧的床单上,一点一点地洇出痕迹。

食指也不难被吞到根部,鸣人断断续续地吐出灼热的喘息。能切实感受到体内的重量。当那个深处的凸起被刺激时,他的男根便不由自主地绞紧。

「啊…佐助…」

佐助不仅摩擦前列腺,还苦心用两根手指不停地撑开狭窄的黏膜。也许是因为媚药的关系,几乎已感觉不到疼痛,被撑开的边缘有空气钻入的感觉,痒痒的、令人难耐。修长的手指被仔仔细细地反复抽插,但鸣人并不特别感激这份温柔。

“佐助,我说啊。”

比起这个,他更想快点把那根肿胀的怒张塞进来。想被填满到空气都进不来的程度。鸣人乞求似的用力蹭着那根肉棒。他吸住男人薄薄的下唇,低声呢喃。

“快放进来。”

“……还不行。”

“为什么?”

“还太早……再等一会儿。”

“够了……佐助,已经够了。”

一想到媚药已经进了体内,就干脆把一切都归咎于药物,平时清醒时做不到的大胆事也做得出来了。

鸣人把义肢的手指忘它是义肢,直接捅进了自己的后穴。像炫耀似的噗嗤噗嗤往深处埋。在体内与男人的手指交缠。他对屏息的佐助露出浅笑。

“你看吧……”

鸣人愉快地欣赏佐助那张五官端正的脸上消失的从容。埋在体内的手指全部被粗暴地拔了出来。刚才的绅士态度不知去了哪里,他被用极其粗鲁的动作在床上翻了个身。

佐助单手抓住趴成四足跪姿的鸣人的腰。比想象中更薄,手掌下只触到肌肉和骨头的那把腰,让他产生了欲望。被抬高的小巧臀部紧紧绷着,也很不错。他强忍住像啃桃子一样咬上去的冲动,抓起一片臀肉,猛地向上掀起,粉色的黏膜抽动着引诱他。ローション从那个小小的孔中滴落,仿佛在流下唾液一般。

“……佐助,喂”
鸣人把脸颊和肩膀紧紧贴在床单上。他自己都能感觉到暴露在外的花蕾抽动得生疼。
“快点……快一点……啊,啊啊,啊——”
不同于手指的重量感,他发出了自己都不认识的声音。龟头的膨胀部分滑入的瞬间,紧接着整根又长又粗的茎体便深深埋了进去。
“啊……进去了……进、进去了、鸡巴要进去了……啊呜……”
被猛撞到最深处的一瞬间,腹部仿佛猛地一缩。随后涌来一种近似失禁的快感。
对这种熟悉的感受,鸣人在急促的喘息中,从趴着的姿势向下探看自己的腹部下方。看到浓白的粘液飞溅在床单上,他的脸颊发热。光是插进去就射了出来。
“啊啊……啊……!”
被紧紧夹住,佐助悄悄皱起了眉头。他虽有过多次性经验,但被夹得这么紧还是头一回。
好热。他摇摇头,驱散涌上来的气息。又热又窄。一顶进去,黏膜便如活物般收缩,缠绕上来。这种紧致令人上瘾,他一次又一次重重地顶弄,悬垂的囊袋也啪啪地拍在鸣人身上。
把脸颊贴在床单上的鸣人勉强扭过头,用湿润的眼睛望上来。
“佐助……别、别蹭那里……啊……又、又要硬了……”
佐助充耳不闻,只是用肿胀的前端不停碾磨鸣人的前列腺。一磨那里,那里就绞得更紧,让他别做这么舒服的事,才叫强人所难。
佐助抓着鸣人的臀瓣随心所欲地摆腰,脑中几次闪过白色火花迸裂般的快感,最后也不打招呼,就这么将忍了许久的东西全数灌进了最深处。佐助只顾俯视着眼前弯折的脊背中央那道漂亮的凹线。
“唔……好烫……”
蕾紧紧一绞,仿佛要将他的精液榨干,佐助从头到脚一阵酥软。连残渣都注入进去,他摇了摇头,汗珠啪嗒啪嗒落在鸣人的背上。
“…哈…哈…”
他将趴倒的身体翻了过来。鸣人噗嗤一声,用屁股压在自己射出的精液洼上。融化了的蓝色眼眸仰视着他。
“佐助……已经结束了……?”
佐助俯视着他像婴儿一般大大敞开的双腿之间,嗤笑一声。
“硬成这样,你还在说什么傻话。”
他弹了弹那根翘得发硬的花茎。鸣人一边露出害羞的样子,一边把双腿张得更大。被润滑液濡湿的金色草丛,以及深处翕动的花蕾中混着润滑液和精液滴落的样子,全部被佐助看在眼里。
佐助朝着挺立的花芯下无所适从地垂着的囊袋伸出手指。然后用粗鲁的動作,把鸣人翻身压住。
佐助单手握住趴伏着的鸣人的腰。比他想象中要薄,手掌下只有肌肉和骨头的腰,让他起了欲念。被高高抬起的臀部紧致小巧,也很不错。他忍住想把它当桃子一样咬上一口的冲动,抓起一侧臀肉,猛地往上一翻,粉色的黏膜便翕动着引诱他。从那个小孔里滴下唾液似的润滑液。
「…サスケ、なぁ」
鸣人把脸颊和肩膀贴在床单上。他自己都能感觉到暴露在外的穴口剧烈地翕动着,甚至有些发痛。
「早く…はやくして……あ、あぁッ、あーっ」
和手指不同的重量感让他发出了不像是自己的声音。龟头的膨胀处滑溜溜地进入,就这样把又长又粗的茎身缓缓埋了进去。
“啊……进去了……要进去了、鸡巴要进去了……啊、啊呜!”
被猛地顶到深处的那一瞬间,他感到腹部猛地一缩。随后是一阵近似于排尿的快感。
对这个有印象的感觉,鸣人在粗重急促的喘息下,往趴伏的自己的腹部下方窥去。看到浓白的粘液飞溅在床单上,脸颊热了起来。仅仅是被插入就射了。
“啊……啊……!”
被紧紧绞住,佐助不动声色地蹙起了眉。虽然性经验不少,但被绞得这么紧还是头一回。
好热。他摇着头甩开涌上的气息。又热又窄。一顶弄,黏膜便如活物般收窄,缠上佐助。那种紧致让他上了瘾,多次重重顶入,垂下的囊袋也啪嗒啪嗒地打在鸣人身上。
趴在床单上的鸣人勉强回过头来,用湿润的眼睛仰望他。
“佐助……别、别老蹭那儿……啊……又要,硬起来了……”
佐助不理,只管用肿胀的前端去蹭鸣人的前列腺。蹭那儿的话里面绞得更紧,要他别做这么舒服的事才是强人所难。佐助抓着鸣人的屁股随心所欲地挺腰,脑中像有白色火花噼啪迸裂的感觉经过数次后,终于招呼也不打,将忍耐的一切全部释放在最深处。佐助只是注视着眼前优美弯曲的背脊中央那道漂亮的凹线。
“唔……嗯,好烫……”
后穴紧紧地绞榨着,他整个人都神魂颠倒。连残余的精液也灌入其中,摇晃脑袋时,汗水啪嗒啪嗒地溅在鸣人的背上。
“……哈……哈……”
他把趴伏着倒下的身体翻转过来。鸣人一屁股坐到自己射出的精液洼里。融化的蓝色眼眸仰望上来。
“佐助……已经结束了…?”
佐助俯视着婴儿般张开的两腿间,嗤笑道。
“又硬了,你在说什么呢。”
鸣人一边露出害羞的神情,一边把双腿张得更开。被乳胶浸湿的金色草丛,以及在深处呼吸的蕾蕾中混着乳胶与精液垂落的模样,佐助全部看在眼里。
佐助把手指伸向昂然挺立的花芯下方那无所适从垂着的囊袋。──嗯,后面这段我就接不上了。鸣人不由得用认真的目光抬头看去,佐助却若无其事地继续说道。

“你上次不是没硬起来嘛。”

鸣人像闹别扭似的移开了视线。

“今天没问题的。”

“是吗?”

“你看嘛……”

鸣人重新开始了停下的手的动作。他用力地摩擦着两根肿胀的肉棒。两根都硬挺得微微翘起,一齐从前端漏出透明的液体。果然佐助的还是要大上一圈,鸣人红着脸颊,不服气地抿紧了嘴唇。深处被用力摩擦。

“嗯。”

粗硬的指尖一下一下地擦过前列腺。鸣人羞愧地看着自己握着的阴茎抽动着,从顶端漏出越来越多的前列腺液。食指沾着润滑液滑入体内。

“……嗯嗯。”

被挤出的润滑液从花蕾与手指的缝隙间漏出。滴落下来,在因反复清洗而疲惫不堪的床单上,一点一点洇出污渍。

食指也毫无阻碍地被吞到根部,鸣人断断续续地吐出灼热的吐息。他切实感受到了体内的重量。当内侧的隆起被刺激到时,他不禁紧紧绞住了男人的手指。

「啊……佐助……」

佐助不只摩擦前列腺,还用两根手指不断努力地撑开狭窄的黏膜。或许是媚药的缘故,几乎已经感觉不到疼痛,被撑开的边缘有空气钻进来,那触感又痒又让人心焦。修长的手指反反复复、仔仔细细地进出,可鸣人并不特别为此感到高兴。

“佐助你真是的。”

比起这个,更希望那根肿胀的怒张能快点插进来。想要被填满到连空气都进不来的地步。乞求着,鸣人用力磨蹭他的肉棒。他吸住男人薄薄的下唇低语。

“快点插进来啦。”

“……还不行。”

“为什么?”

“还太早……再等等。”

“已经够了啦……佐助,已经够了。”

自从媚药进入体内,鸣人就把一切都归咎于药物,得以做出若是神志清醒便不敢做的冲动之事。

鸣人忘了义手也是手指,把它捅进了自己的花蕾。像炫耀似的深深埋入。与里面的男根手指缠绕在一起。他对屏住呼吸的佐助浅浅一笑。

“你看吧……”

佐助那张精心修饰的脸上从容消失了,鸣人觉得有趣地注视着他。埋入的指尽数被粗暴地抽出。之前那股绅士作态不知跑哪儿去了,佐助用极其粗野的手势把鸣人的身体翻了个面,按在褥子上。

佐助单手抓住了趴伏着的鸣人的腰。比想象中还要薄,手掌下只能触到肌肉和骨头的腰,让他感到欲火中烧。被迫高高翘起的臀部紧实小巧,也不错。忍住像啃桃子一样咬上去的冲动,抓起一边臀肉猛地往上一翻,粉色的黏膜收缩着,仿佛在引诱他。罗森从小孔里滴落,如同唾液垂丝。

“サスケ,なぁ”
鸣人把脸颊和肩膀贴在了床单上。他自己也知道,暴露出来的那处已经抽搐到发疼。
“快……快点……啊、啊啊、啊——”
嘴里发出不像自己的声音,伴随着与手指不同的重量感。龟头的膨胀滑入时,就那样将又长又粗的茎部深深埋入。
“啊……要进来了……要、要、鸡巴要进来了……呜、啊”
被猛顶到最深处的那一瞬间,腹部有种猛地收缩的感觉。紧接着是一阵类似排尿的快感。

对于这种似曾相识的感觉,鸣人在急促喘息的同时,偷眼看向自己趴伏的腹部下方。浓稠的白色黏液溅在床单上,他脸颊发烫——光是插进去就射了。
“啊……啊……!”
被紧紧夹住,佐助悄悄皱起眉。他有过许多次性经验,却从未被夹得这么紧过。
很热。他摇着头甩开涌上的气息。又热又窄。每次顶入,黏膜就像活物一样收缩缠绕上来。这阵紧致的夹缩叫人上瘾,他一次次用力抽插,垂挂的囊袋也啪嗒啪嗒拍在鸣人身上。
鸣人把脸颊贴在床单上,硬是扭过头来,用湿润的眼睛仰望他。
“佐助……别老磨那里……啊……又要,硬起来了……”
佐助不听,偏要用硬挺的前端去蹭鸣人的前列腺。蹭那里绞得更紧,要他停这么舒服的事才是强人所难。
佐助抓着鸣人的臀肉,按自己的心意摆动腰身,脑内闪过几次白色火花迸裂般的快感,最终也不打招呼,将忍到极限的精水全部灌进最深处。他低头只看着眼前那蜿蜒背脊中央漂亮的凹陷。
“んん……ッ、あつ…”
(原文此处“んん……ッ、あつ…”)被鸣人的后穴绞紧,佐助自脑髓深处荡然失神。连余韵都注入其中后,他摇了摇头,汗珠啪嗒啪嗒落在鸣人的背上。
“……哈……哈……”
他翻过俯卧的身体。鸣人以屁股压住自己射出的精液。融化般的蓝色眼眸向上望着他。
“佐助……已经结束了……?”
佐助俯视着他婴儿般敞开的双腿间,嗤笑一声。
“又硬了还说这种话。”
他弹了一下那根翘得发硬的花芯。鸣人做出害羞的样子,却把双腿张得更开了。被润滑液浸湿的金色草丛、深处呼吸着的花蕾里混着润滑液和精液垂落下来的样子,全都暴露在佐助眼前。
佐助把手伸向挺立花芯下无所适从垂着的袋囊。鸣人的呼吸急促起来。睾丸被人轻轻捏住、搓揉,他发出奇怪的声音,同时大腿根微微颤抖起来。サスケは袋の裏、急所の辺りを皮ごとくにゅっと押し込むと、ナルトの腰がびくんと跳ねた。二人は、息が合ったように同じ時、あっ、と声を漏らす。サスケの手のひらに収まってじんじんと熱を持ち、脈打つ睾丸をサスケは揉むように弄ぶ。ナルトは自分を貫く太いものを締め直して、ぎゅうううっと奥まで締め上げた。サスケは重い吐息とともに片手をシーツについてナルトの上に覆いかぶさった。
ずるりと太い肉茎を半分まで引き抜き、角度を変えて、てこみたいにゆっくりと押し込む。ずぶずぶと肉を割り入りながら、前立腺の上の方をなぞる。
「んぁ、あ、あ……ッ、サスケぇ…」
弱いところを確実に擦られて、ナルトは細かく震えた。義手の指がシーツを掻く。また何度か突き上げられると、広がった足の間から、前のものがぴゅくりと透明な液を吐き出すのが見える。その拍子に体をびくつかせながら、彼は上目遣いにサスケを見た。
「サスケぇ…も、いいから…そろそろ…」
「まだだ」
「ン…ぁ…そ、そんな…」
前立腺は膣内のどの場所よりも図太く、そして性器よりも感じやすい。サスケはそこを潰すようにぐりぐりと先端で擦った。ナルトはびくびくと背中を痙攣させて、裏返った声を洩らす。気づけばまた、いつの間にかシーツに濃い白い跡を残していた。
「んぁ…また出て……あぁッ、いっぱい出て…」
サスケが「可愛い」とでも言うような嗤いを洩らす。ナルトはそれに反論しようとしたけれど、出てくる声は甘ったるい吐息だけだった。胎の奥をざらりと引っ掻かれる快感を何度も何度も与えられて、もう自分を制御するのが難しかった。
「あ…あ…ま、また、出る……ッ、出ちゃう、サスケ…!」
ナルトはあっさりと三度目の射精に達して、白濁を己の腹にぶちまけた。サスケはそんなナルトを視姦しながら、あちこちへ散らばる精液を全て指先で集めて、また指を蕾に戻した。
「んあっ…なに…なにすんだよ」
「出した後のナルトが一番よく締まるんだ」
自分の精液を塗り込まれながら中を探られるのは恥ずかしい。熱い指は入り口をゆっくりとなぞって、そのままローションみたいに精液を塗り込んでくる。
「ひぁ…っ、んんっ、や、やだってば……」
こそばゆさに逃げようと膝を突いた体がずるずると後退りする。サスケはうつぶせのナルトの腰を掴んで引き戻すと、ローションの入ったボトルを一度手に取り、白いとろみのある液体を二本の指にまとわせた。ぬるりと蕾へと沈む。
「あぁっ…んっ、ぁ……」
二本の指が内壁をくまなく撫で回す。ナルトはシーツに額をこすりつけて、耐えるように唇を噛んだ。角質化した指先は滑りが悪くて、硬い節くれだった感じが、内壁をなぞるたびに快楽となって昇ってくる。
「あっ、あっ…や、んっ、あっ」
声が掠れる。二本の指が抜かれて、三本になる。充分に伸ばされすぎるほどのストレッチを受けた蕾は、もう形を変えるくらい簡単に受け入れられる。
「はは…すごいや」
指をぴったりと繋げて、ぐっと曲げるようにして前立腺を刺激される。その指をぎゅうぎゅうと締め付けると、ナルトは無理に奥を擦る感触に腰を跳ねさせて、あえぎ声をこぼした。
「は、あぁっ、んぁっ、やっ、サスケ…」
止めてと請うけれど、サスケはそんなナルトをしり目に好い加減、翻弄してくれる。指を出したり、きつく窄まる孔をくぱくぱと開いたり閉じたりする。
前立腺を強く押し込まれ、ナルトは辛そうに首を振った。何度も出したせいで精液はもうとろとろの透明で、それをぴゅぴゅっと腹の上に吐き出した。
「あッ、もう、だめ…」
弱った声はサスケの耳には何度聞いても気持ちのいい音として届く。彼がイったせいできゅうっと窄まる蕾に締め上げられて、サスケは深く吐息をついた。
「イってんのに、まだすげえキツいぜ」
性器が今ひとつ納まらない感触にナルトは喘ぐ。苦しいほどの押し込む圧力が、狭い蕾の出口いっぱいに広がる。だけど何度も挿れられている最中にそれは馴染んできて、気持ち良さを引っ張っていく。ナルトは腰の下に敷いていた手をずらして、自分の頬を押し上げた。
ぬちゅりとローションをまぶして淫らな音を立てながら、サスケの肉棒が中を掻き混ぜる。慎重に一突きごとに奥を擦り上げてくる。ナルトの弱いところを的確に突き、すっかり融かされた腹の奥が切なく疼く。
「ああっ…あっ、サスケ…」
切羽詰まった声を漏らすと、それを待っていたかのように、サスケがばつんと深く繋いだ。
いい。ここがいい。サスケの先端が届く場所、硬い塊をぐりぐりと圧し潰される場所。目を白黒させる快感に、足の指がぴんと反り返る。反り返った己のペニスがシーツに擦れて、ナルトは全身でびくびくと跳ねた。
「あ、あっ、だめ、イっ……イっちゃ…」
その度に綺麗に締まって、サスケはたまらず深くを目いっぱい突き上げた。
湿った結合部にぐちゅぐちゅと音を立てて、ぬかるむように抽送が繰り返される。先端が奥の壁をぐいぐい押し上げて、ナルトは自分の意思とは関係なく前立腺を刺激される。快感が太い棘みたいに背筋を走って、射精感が疼く。
しばらくカリカリと浅いところを擦って焦らすと、ナルトは物足りなさに困ったように身体をくねらせる。咎めるように見上げる目が愉快で、思い通りにならない腹立たしさにほんの少し潤んでいて、嫌になるくらい可愛かった。
「…サスケぇ、あんまり焦らさないでくれよ…」
「焦らすとお前、締まるからいい」
煽るように言って、浅い部分をゆっくり擦る。ナルトはじたばたと暴れ、不満げに前立腺を押し付けてくる。サスケは揶揄うようにゆっくりと動きを止め、いっそナルトの体内に沈んだまま動かずにいると、自分から奥の膨らみを擦りに来る。これを面白いと思わない男ではない。
しばらくからかっていると、ナルトの歯ぎしりが聞こえてくるくらいに我慢の限界が近づいていた。
「てめぇ…いい加減にしろって…」
「…俺のことが好きだって言えよ」
「は?」
「言ったら奥まで突いてやる」
「んんーっ…」
何を言い出すのかと思えば、そんな、とナルトは困ったように瞳を揺らめかせた。自分はどちらかと言えばサスケの方が自分のことを好きなのだと思っていた。どちらかと言えば。サスケにこんなことを求められるのは意外で、恥ずかしくて、それでも何だか嬉しい。
「……好きだよ」
蚊の鳴くような声に、サスケは初めてまともにナルトの顔を見た。気恥ずかしそうに、それでも正面からこちらを見つめてくる金色の瞳を見返す。
「…ちゃんと聞こえなかった」
ナルトはサスケの首に腕を回すと、唇に触れるか触れないかの距離で呟く。
「好き…だってばよ」
触れるか触れないかの唇のすぐ先で、サスケの顔が破顔した。疾風のように笑って、返事もせずに腰を強く突き上げた。ナルトの身体が浮いて、腰の辺りから切なげな嬌声が漏れる。サスケはさらに畳みかけるように何度も何度も激しく突いた。ナルトは敏感にそこを突かれる度に背中を震わせて、シーツを握りしめた。助走もなしに始めた抽挿は苦しくて、くぐもった喘ぎ声が漏れる。ストロークは一定していない。深く細かく、時々がつんと突かれる。
「ひっ、あ、あっ…待っ、て…サスケェ…」
サスケははぁはぁと白い息を吐いて、下唇に浮いた汗を舐めとる。ナルトは忙しく頭を振って、快楽に耐えている。サスケには触れていない、自分勝手な快楽に置いて行かれて、涙が目の端ににじんだ。
ナルトは本能的に締め付ける。そのたびにサスケは「っ…」と眉をひそめるけれど、ちゃんと締め付けるたびにすごい速さで突いてくる。自然と息も絶え絶えになる。
「も…むり……サスケ、むり、むりだって…」
何度も何度も中をかき回されて、体力を全部射精に持っていかれそうだった。汗で濡れた首筋に顔を埋められると、サスケの熱い息が鼓膜を叩く。強く腰を打ちつけられて、ナルトはひときわ甘い声を上げた。
「んぁッ、あ、ああッ…! サスケ、サスケェ…」
叫ぶと締め付けが強くなって、サスケは気持ちよさそうに眉を歪める。
「鳴き声かわいいなお前」
「うるさい……っ」
シーツに背中を擦り付けていると、縁をぐりぐりと押し広げられて、肛門の入り口付近まで一気に引き抜かれる。またずぶずぶと深く埋めこまれると、先端がどこに触れるか、それがどう動くか、すべて分かってしまう。
どんな風にされるのが気持ちいいのか、どれだけ深く突かれれば満足できるのかを学習してしまった体は、さっきからずっとカウパー液を垂れ流していて、腹筋は無意識のうちにピクピクと痙攣していた。
「ああ…や、イく……イくよサスケ、また…」
「ああ。イけ」
「やっ…ぁああああっ、ああっ、あああっ!」
びゅるると勢いよく放たれた白濁がナルトの腹の上に飛ぶ。だらしなく開いた口からは、我慢しきれない甘い声が漏れた。サスケはその気持ち良さそうな顔を眺めながら、ガツガツと腰を打ちつける。ナルトは首を仰け反らせてシーツに爪を立て、涙を浮かべた目でサスケを見上げた。
「あっ、あ、あ、サスケ、サスケ…ッ」
口元をほころばせて彼が腰を振る度に、綺麗に整った顔から汗が滴る。淫らで、それなのに優しい顔。すごく気持ちよさそうに、ナルトのことを見下ろしている。好きだ、と思う。なんか悔しい。そういう時に限って中をぐちゅぐちゅと掻き回されて、滅茶苦茶にイかされる。
「あっ、あっ、あっ…サスケ…!もう…イきそ…」
もうダメだ。達する。追い込まれるたびに先走りがボタボタと垂れて、己の腹を汚してゆく。サスケはぴたりと腰を止める。辛そうに眉を寄せて、ナルトは頬を上気させた顔で睨む。
「…止めんなよ」
「…イくなら、イくって言え」
ずるい。そんな声で囁かれれば言ってしまう。
「イく…イっちゃうから…あっ」
ごちゅんと最奥に深く突き込まれると、ナルトは目の前が真っ白になった。子宮でお仕置きされているみたいに、我慢汁がとろとろと零れてくる。
「あ…ああ……ッ」
びくびくと震えて、シーツに指を立てて耐える。二度目の射精はさっきより勢いがなくて、だらりと粘液が糸を引いて落ちる。それでも気持ちいいものは気持ちいい。熱い吐息とともに力なく弛緩した体を包み込むように、サスケが覆いかぶさる。背中に汗ばんだ胸が押しつけられる
佐助从下方深深贯穿,鸣人脸色发青,正要回过神来。

“啊呜!”

被前所未有地深深刺入,鸣人觉得自己快要窒息了。他大口大口地寻求氧气喘息着,却被咬住一般地亲吻。代替氧气的是一根厚实的舌头侵入进来。

“唔……”

口腔里被毫无章法地搅弄着,鸣人眼神迷离地垂下眼帘。这就是自己想要的。想被他这样拥抱。所以就算在这里真的断了气,鸣人也无所谓。他重新环抱住男人的肩膀。被猛烈地贯穿,感觉像是要发出咚咚的声响,鸣人恍惚地低语。

“佐助,再射进来一次…再…再射进来嘛…再来一次”

就在那个瞬间,鸣人的肚子相当响亮地咕噜噜……叫了起来。

似乎因紧张而僵硬的胃部重新开始了活动。

佐助保持着抱着僵住的当事人的姿势停下动作,前屈着身子蹲了下去。把额头抵在墙壁上。涌上来的笑意止不住。肩膀咯咯地颤抖,后背颤抖,不久全身都开始颤抖。鸣人红着脸喊道。

“别笑……!”

“不……这也太搞笑了吧……,……噗”

“又不是我的错!我从昨天起就没吃东西了!”

佐助止不住笑,翻身重新躺倒在被褥上。越过因为木桩拔出而颤抖的鸣人,把塑料袋里的东西一股脑倒在榻榻米上。
食物甜辣的香气升起。鸣人在旁边把脸埋进交叠的双臂里,陷入了自我厌恶。

佐助俯卧着,取下裹在烤鸡肉串竹签上的纸,把串连同签子一起朝鸣人递过去。
“……谢了”
鸣人脸颊还红着,老老实实地说了句,咬住串尖的肉块。这肉凉了所以变硬,很难从竹签上咬下来。想咬断,却怎么也使不上劲。
「唔…嗯…」
佐助斜眼饶有兴味地看着脸颊泛红的鸣人又咬又舔那根硬邦邦的肉棒。吃到差不多时,鸣人终于咬下了最前端的肉片。
几乎是时隔一整天的进食,鸣人拼命咀嚼着,却露出疑惑的神情歪了歪头。
「这个…怎么这么硬啊…」
佐助想大概是因为凉透了吧,但异样感似乎并不止于此。
「喂,这真是鸡肉吗?」
「…不是吗?」
「唔唔…怎么说呢,不太清楚」
佐助放下烤串,将手指伸进鸣人口中取出了肉片。咬下一小口咀嚼。确实硬得跟鞋底的橡胶一般。他对盯着自己看、眼神像是在问“怎么样?”的鸣人歪了歪头。然后,把沾满唾液的全部肉片放入自己嘴里,顺势用嘴唇堵住了鸣人的嘴。
“唔咕”
他用舌尖将那块不知道是什么野兽的肉片推给鸣人。同时,一只柔韧的腿从大腿根部抓住,猛地掰开。被狠狠蹂躏过的花蕾已经足够松弛,即使是唇齿交缠的姿势也能毫不费力地贯穿。蓝色的眼睛睁大了。
“唔唔—!”
大概是想说“为什么没有软掉”吧。
“唔…!”
这一点佐助也难以解释。他自觉那玩意儿还算得上纤细,要是对方不是鸣人的话,大概在肚子发出声响的那一刻就会立刻萎掉吧。
鸣人喉咙滚动,咕嘟一声吞下肉片。他松开嘴唇,双手绕上佐助的脖子。
“佐助……!”
佐助舔去了沾在他嘴角的甜酱汁。鸣人觉得痒,小声笑了笑。腰际传来咕啾咕啾黏糊糊的声响。被晃得摇摇晃晃,鸣人用迷离的表情说:
“佐助,要怎么才能停住时间?”
佐助默默地眯起眼睛。鸣人在想什么,他再清楚不过了。想就此停住时间。想就这样一直占有他。唯有此刻,鸣人毫无疑问只属于自己,只注视着自己,快乐、幸福、没有任何缺憾,是完美的时间。
“要怎么才能停住…?”
佐助用唇堵住他的嘴,好让自己不必回答。唇舌交缠间终于达到了高潮,鸣人像睡着了一般阖上眼睑,失去了意识。

鸣人的裸体在失去意识的瞬间,就被塞进了棉絮塌陷的棉被里。
房间里沉入落日最后一丝气息般的紫色。从微开的窗户传来不知何时已从寒蝉变为虫鸣的声音。
佐助坐在扁平的床褥上,在薄暗中注视着沉睡的鸣人的脸,看了很久很久。金色睫毛的末梢,描绘着圆润线条的脸颊。从微张的厚唇间,传出均匀的睡息。
佐助从未如此长久地凝视过除他以外的任何人。勉强能排第二的,或许是漫长旅途中从怀里掏出、端详过的年幼女儿的照片。若要说迄今人生中映在这视网膜上最久的人是谁……果然无论如何都不是妻子,而是鸣人。
鸣人一副安心至极的样子沉睡。因为毛色是金色的,在微弱的光线里,轮廓仿佛泛着淡光,像是要融入背景一般。
再多看几秒就要夺走一切——在这样想之前,佐助移开了视线。
房间的寂静有时会莫名地令人不快。
越是这种时候越该开电视,佐助打开了放在房间角落的电视机电源。顾及沉睡的人,他拿起遥控器,画面一出来便立刻把音量调到最低。
幸而播放的是一个看上去就很喧闹的综艺节目,即便是微弱音量中漏出的嘈杂声,也立刻让室内氛围变得俗气起来。闪烁变化的影像,将他伸出的赤裸脚尖染上五颜六色。
而ナルト的裸体,在失去意识后,很快被包裹在棉絮压塌的棉被里。
房间沉入仿佛落日最后一息的紫色中。从半开的窗户,不知何时传来的已不是寒蝉而是虫鸣声。
萨斯格坐在如煎饼般扁平的被褥上,在薄暗中久久凝视着入睡的鸣人。一直到刚才还在看的金色睫毛、勾勒出圆润线条的脸颊。从微微张开的厚唇间,平稳的鼻息轻轻漏出。
萨斯格除了他之外,不曾如此长久地凝视过任何人。其次,或许是在长途旅行途中从怀里取出端详的幼年女儿照片。如果要说迄今活过的人生中,映在视网膜上最久的人是谁……无论如何那也依然不是妻子,而是鸣人。
鸣人一副安心已极的模样沉睡着。因为毛色是金色,在微光中,他的轮廓仿佛泛着淡淡的光芒,眼看就要融入背景一般。
就在再多看几秒就会想夺走一切的当口,萨斯格移开了视线。
房间的静寂有时会莫名地惹人心烦。
这种时候就该开电视,萨斯格打开了房间角落里的那台电视。顾及到睡着的人,他拿起遥控器,画面一出现就立刻把音量压到最低。
幸而正在播的是一档一看就吵吵闹闹的综艺节目,即使音量微弱,漏出的喧闹声也立刻让室内气氛变得俗气起来。快速变化的画面,将随意伸出的赤裸脚尖染得五彩斑斓。

ナルトは笑いを堪えるのに必死だった。
なにせ、額の傷を覆うように木ノ葉隠れの里の“証”である金属の額当てを、ぐりぐりと押し付けられているのである。汗を吸って重たくなった前髪が、どんなに顎の先まで引っ張られても滑り落ちてこない。生ぬるい油の臭いが、じっとりと髪にこびりついて離れない。
肉の焼けるジュウジュウという音に混じって、天井の隅の方から見下ろしている小さな悪魔みたいな男の笑い声が聞こえてくる。ナルトはその男に顔をじっと見られていた。死体のように身動きひとつしない。
おかしい。さっきまで確かにあんなに温かかったはずなのに。
喉の奥で、声にならない反論がせり上がってくる。
そうだ、これは悪い夢だ。今すぐにでも覚めてしまえ。そう念じて、ナルトはぎゅっと目を瞑った。

目を開けると、薄紫の空に、すっかり白い月が浮かんでいた。
夜が来たのか、と思った。それから動かない体を必死に起こして、乱れた浴衣を整える。首元の元から部屋の奥から。甘ったるい気怠さが、骨の髄まで沁み透っている。窓辺に歩み寄ると、そこに映る自分の顔は、酷く掠れた化粧をした女のそれだった。/ぼんやりと、夜風に冷やされて、ようやく正気を取り戻した。

自分が今、何をしていたのかを思い出す。
女の頭部を抱えて上向かせていた。その顔に肉迫していたのは、女の首とぴったり密着していたのは、なんだったか。
……あれがもし仮に一瞬でも、サスケ君を思い出し続けていただとか、何か別の人間と居るつもりになっていた、というのならば。一体私はどうすればよかったんだ。
ナルトは唇の端に残る甘い感触に親指を当て、それを舐めとる。同時に、じわりと腹の底のほうが熱を帯びていくのを感じた。
確認しなければならない。あの部屋に、サスケが居たかどうか。それが確認できれば、それで十分なのだ。場所はその場の思いつきで決める。買い物ついでに、というのは方便だ。
そうしてサスケは、自ら望んで、あの宿に足を向けた。

実際に行ってみれば、部屋はあっさりと片付いていた。
二つの布団は綺麗に畳まれて、奥の壁際にふたつ重ねて置いてある。ひとつがテレビ前に移動させてある以外は、自分たちが立ち去ったときのままの配置だった。テレビは電源が入った状態で、誰かが消し忘れたようだ。チャンネルがニュースのそれになっており、声のないキャスターが無声の言葉を紡いでいた。
夕方のニュースに涙を流すアナウンサー。低い画質の中でも窺える、必死に悲しみをこらえている顔。
リモコンを拾い上げて、サスケは電源を落とした。そして、テレビの前、畳の上に座り込んだ。呆然としばらく画面の消えたテレビを眺めていたが、置いてあった新聞を手に取った。昨日の朝刊だった。彼が枕元に置いてきていたもので、それをどうして持ち帰ったのか、自分でもよく分かっていない。
一面にでかでかと載った事件記事の内容をざっと読む。
オレのせいだ。
すぐにそう思って、サスケは三つ折りにした新聞を畳の上に放り出した。組んだ両腕の中に顔を埋める。汚い、と一息に思う。自分が汚い。
思えば、彼のこの深い傷は、時を置かずかならず膿んで疼きだす。久しく会っていなかった仲間の近況を聞くたびに、気にかかる。育っていく娘の姿を見るたびに、気にかかる。触れないでいようと決心すればするほど、その想いは深く鋭くなっていく。こんなことなら思い切って、逃げ出してしまおうか。行き先も決めず、あてもなく、今度こそ本当に…
湿っぽい思考に呑み込まれそうになっていた刹那、布団の上の男が身じろぎした。見開かれた青い目と、目が合う。視線を逸らして、サスケはテレビへ向き直る。
「…んん」
ナルトがむくりと起き上がる。大きなあくびをひとつ漏らすと、首の骨を鳴らすように何度か首を回し、きょろきょろとあたりを見回した。時計を見ればもう夜の九時を回っている。
「あー…、腹へった。サスケ、なんかねぇ?」
「焼き鳥ならある」
声は低く、無愛想だったが、ナルトには慣れっこの塩梅で、気にした様子もなく、上体を起こすと、たたんであった座椅子を開いてサスケの隣に座った。
サスケは視界の端で、ナルトがまだやや湿り気を帯びた金の髪をほりほりとかくのを見た。自分が与えたたくさんの噛み痕を晒しながら、能天気にぼやいている。
「腹減ったなー」
ああ、と短く返すと、彼の髪から抜けた髪の毛が一筋、ぽつんと畳の上に落ちた。

ナルトの体は、サスケの手のひらの下でガタガタと震えていた。
自分を抱きしめる腕の主は先程から何も言わない。ナルトが気配を察するのはこの一瞬の静寂の間だ。やがて、熱い吐息が首筋にかかる。
「もう…無理だ」
サスケの声は普段以上に低く、掠れている。切羽詰まった顔を、まともに見られない。
「…二回目だからって、加減つけると思った?」
「いや…そうじゃねぇけど…」
「正直、俺は疲れてるんだ。余裕はねぇ」
「だったら、もう止めよう…? 明日にしよ…」
「……明日は明日の分がある」
ナルトはなされたことを反芻して、その言葉の意味を悟った。昨日は今日のためで、今日は明日のためで、彼らの夜はどこまでいっても続くらしい。
「明日もやんの?」
「無論だ。毎日やる」
「毎日…?」
拗ねたような声音のナルトの口を塞いで、サスケは続きを強請る。
「ツラ貸せ」
「ひゃぁ…っ」
急に抱え上げたから、ナルトは素っ頓狂な声を上げて腕にしがみついた。
そのまま歩き出すと、少したどたどしい足取りがした。足腰がもう笑っている。だが気にはしない。浴室の引き戸を開け、中に入るや否やイノシシの牙のごとく硬い、起きっぱなしのそれをナルトの尻に宛てがう。
「んあッ」
尻たぶを割り開くように挿入される。体重のかかった体勢から、ぐっと腰を押し込むと、先端が一気に最奥を突いた。
「ふぁ…っ」
跳ねる体を支え、何度も何度もナルトの最奥を穿つ。カーテンの薄い布越しに、橙色に焼けた窓の外が覗える。生暖かい風が吹いてきて、額に張り付いた金の髪をそっと揺らす。自分が鳴らす水音のほかにも、聞き覚えのある男の声が聞こえて、サスケは下の方へ視線をやる。
「…っ、あっ」
ナルトが自らの指をしゃぶって声を殺している。指を咥えているのは、ついさっき焼き鳥の肉片を己の口から押し込んだ同じ指のことで、自分の中から出した肉片を食べるくらいなら、まだ指をしゃぶっていた方がマシという考えらしい。
汚い、と最初に思った。けれど、その指の隙間から漏れる声はとても淫らで、全部を汚したいという欲求が込み上げてくる。自分の指をナルトの指に絡めて、咥えさせている指ごとぐっと奥へと押し込む。
「んぐぅ…」
ぬめる指先で、ナルトはへたり込んだ体を支えるので精一杯だ。 口から糸を引いてサスケの指が抜ける。それをぬるりと咥え直して、男の指の一本ずつに自分の舌を絡めてゆく。かぷりと先端を噛みながら、上目遣いで見上げてくる。甘えるように笑う。
「サスケ、目、見てて」
下から覗き込まれると、ナルトの虹彩の綺麗なこと。乳の色の肌、色素の薄い髪。透き通るような金の光の粒が浮いている瞳。
欲しい、と思う。目を閉じる。見てはいけない。何故なら彼を欲しいという欲求は、善き父でありたいという意思をどうしても食い破ってしまうから。
「あ、サスケ…」
拒絶の言葉はナルトの唇に噛み殺され、唾液と混ざって溶けた。
翌日。特に何もない午前を挟んで、日が傾きかけた頃、サスケは人を待っていた。ナルトは青い空を睨んでおにぎりを頬張っている。二人分の握り飯を一つずつ。平然と頬張るので、サスケは口元に少しだけ笑みを浮かべた。

それから待つこと数分。使いの者が一人、茂みの奥から跳ねるように現れた。
「サスケ様! 待たせしました!」
蜥蜴のペットが彼の肩にとまる。久しぶりだな、とサスケは思う。どうやらサスケの事情を察したらしい里の者たちも、彼に気安く近づいては来ない。
「集まってるよ」
顎でしゃくって示した先、部屋から一歩出たすぐのところで、三匹の猫が固まって座っていた。そのうちの一匹の体はサスケの腕ほどある。久しく見ないでいたら、ずいぶん巨大化していた。
「でかいな」
「うん。やんちゃ坊主だから」
「…てめぇか」
サスケがべつのほうを睨んで言うと、少年はむっつりと口を閉ざした。里で問題児として名を馳せた自分を反面教師に、何を血迷ったか教育熱心な親になってやがる。おかげで娘は息子にまったく懐かなくなった。
「息子もいよいよ春から、忍者学校か」
うん、と短く答えた少年は、話したくないのか、さっさと風呂場へ向かった。サスケは薄暗い居間でひとり、煙草に火を付ける。
テーブルの上には信の字の入った、少年が使っていた赤いマグカップ。ここで起きるかわからない未来に思いを馳せながら、サスケは冷めた湯飲みの中身を喉に流し込んだ。

洗濯物を取り込もうと庭に出たとき、サスケはふと足を止めた。
落ちていく夕日が視界に入り、ひどく眩しい。黄昏色の光を反射して白いTシャツが透ける。黒い下着が浮かび上がって見えて、ナルトはその場に立ちすくんだ。
サスケの家の物干し場に、己の下着が干されていることにもまだ動揺している。
だから、帰る間際に、サスケがぼそりと言った言葉は最初聞き取れなかった。
「同じ人間の熱だってのに」
聞き取れた気がして聞き返そうとしたときには、サスケはもう振り返りもせずに玄関へと歩いていく。
「サスケ」
呼び止める声は聞こえているはずなのに、彼は振り返らない。
ドアの締まる音だけが、晩夏の蝉時雨の下に響いていった。

あの日の夜から、ナルトはおかしかった。
気がつくと、いつの間にかサスケの方を向いて眠っている。起きてからも無意識に彼の姿を探している。手を伸ばせば届く距離にいるのに、会いたくなってしまう。
サスケは甘やかさない。基本的に望みどおりに応えてくれるけれど、いわゆる「優しさ」というものを向けてくることはまずなかった。たとえば、欲しいと言ったものは大体何でも手に入れてくれる代わりに、嬉しさのあまりに飛びつけば、その都度顔を顰められた。
それでもサスケはこちらの望みを聞き届ける。昨日だって、そんなに多くの時間を男に割いてもらった。けれどそれには理由があるとナルトは知っている。
「俺のモンになるなら、好きなだけ抱いてやる」
サスケはそう言った。ナルトはあの言葉を何度も何度も反芻する。抱く、という行為が何を指すのかも今ならよくわかる。数日前までは知らなかった。もう以前の自分には戻れないんだなと思う。腹の奥に彼の精を宿したままで、満ち足りた心地で眠りに落ちる。

朝、ナルトが目を覚ましたとき、サスケは既に部屋にいなかった。起き上がると掛け布団がはらりと滑り落ちる。
下腹がしくしくと痛む。いや、これは痛い、というよりも重いという表現が正しいような気がする。あの後の記憶は途中からあまりない。情事の最中にうっかり眠ってしまったのか、はたまた失神したのか。どちらかまではわからなかったけれど、今は足の間がひりつくほどに淫らな感覚が残っていた。
サスケは、と心の中で名前を呼んで、どこに行ったのかと見回す。畳の部屋に人影はない。布団の端には綺麗に折りたたまれたTシャツと、やはり折りたたまれた状態のスウェットが置かれている。前の晩にナルトが放り投げたそれらを拾って畳んでおいてくれたのだ。
立って尻を打って、服に手を通す。隣の部屋からは物音がする。トントンという、軽快な調理音。す、と襖が開くと、サスケが小さめの食器を盆に載せて入ってきた。
…作ったのか? 聞くと、コンビニだ、と即答されてナルトは妙に安心した。サスケが作ったものは得体が知れないからである。
「起きてすぐ動いて大丈夫なのか?」
「…問題ない」
サスケは食器を並べると、軽く頭を振って「ひとまず飯だ」と言い、俺は出る、と付け加える。ナルトが聞き返す。
「どこに行くんだってば?」
「涼みに外に出る」
「ふうん…」
しょんぼりと言うナルトの頭を、サスケは軽く撫でてから立ち上がる。夜着のまま玄関に回る。土間で腰を下ろしてサンダルを履きながら、サスケは乱れている己の襟元を直す。
裏手の縁側からは今日一番の涼しい風が吹いてきた。サスケは「しばらく座ってくる」とだけ言い残し、後ろ手に戸を閉めた。
座敷に残されたナルトは、赤くなった顔のまましばらく茫然とサスケの消えた引き戸を見つめていた。しかし、何を思ったか、急に立ち上がる。
まずは裸のまま、慌てて部屋の中を物色した。ビニール袋の中は食べかけの焼き鳥と飲みかけの水だけだ。試しに焼き鳥の串を手に取り、口に運んでみる。
「…かた」
本当に固い。何度噛んでもびくともしない。これはきっと食えない。サスケはこれでずっと空腹をしのいでいたのか…?
サスケがいつも腹を鳴らしていることをナルトは知っている。朝、出勤前の夫の腹がぐうぐうと鳴っているのを聞いたことがある。サスケは生活に頓着のない男で、三日で一食、時には一日一食のときもあるようだった。食事をあまり重要視していないらしい彼が、年頃の子どもを抱えて、彼の金で三人分の食料を買っている。アカデミーの帰りに駄菓子を買ってくれたことだってあった。
ナルトは部屋の薄暗がりの中、ぽつんと膝を抱えて考えた。
この人は、誰よりも働いて、誰よりも食わない。稼いだ金はほぼ、全部使ってしまう。
どうして、という問いは、現実問題への対処で頭がいっぱいになり、すぐに霧散していった。ナルトは浅く息を吐いて、目の前のひとかたまりの影を見つめた。
浅くて速い呼吸は動きに合わせて揺れている。
狭い背中とくびれた腰。男にしては食えてないせいか、脇腹の線がくっきりと浮き彫りになっている。サスケは伸びをしながら、ルームシューズの踵を畳んで脱ぎ捨てた。何の脈絡もなくこんなことを言った。
「髪、切るか」
「え?」
「自分で見えない場所で伸びてるんだろ」
ナルトはそれでやっと理解した。サスケはしばらく黙り込んでいて、何を言うでもなく背後からこちらを見つめている。視線を向ける相手が居心地悪そうに身じろぎする。
「…なんだよ」
「いや、何でもない」
「なんだよいったい」
「切ってやろうか」
「いいのか?」
男は、本を閉じる時と同じ種類の仕草で携帯電話を弄んでから、起き上がった。そっと自分の脚の上にナルトの脚を乗せる。抱えた膝に彼の足の裏をつけ、よく伸びた身体をたわめるようにして、太腿の裏を伝って鼠蹊部に肉厚な唇を這わせた。
くすぐったそうにナルトが笑った。いつの間にか細く開けられていた太腿の付け根。そこにやわらかい唇が触れると、笑いが吐息に変わる。すべすべとした太腿の内側に頬を寄せ、じっとその場所を眺めていると、ナルトが「どうしたの?」という顔で見下ろしてくる。サスケは顔を上げた。
「ここの刺青、前からいいなと思ってた」
小指の爪くらいの刺青が太腿の付け根にある。彼の穢れを知るものはこの印だけだった。
「…へへ。ここのはさ、俺がアカデミーの時のあれでできたやつで…」
もう大昔の話だ、とナルトは笑う。訓練の最中に大きな岩が崩れてきたことを覚えている。そいつを防ごうと足で蹴ったときに擦りむいた傷痕に、土が入り込んで色素沈着を起こした、という謂れのあるものだった。
サスケがその痕を指の腹でそっと撫でると、ナルトは、くすぐったいのか、ふふ、と小さく笑った。指の腹でその痕をぐりぐりとなぞる。笑いをこらえるのに必死なのか、口の端がだらしなく綻ぶ。そのさじ加減をわかっていて、サスケはまたかよと呆れ半分に思う。それから、このへその下の小さな青痣をひとつだけ、自分だけのものにできないだろうかと、サスケは馬鹿げた思考に耽る。ちゃんと蘇生術の心得がある。いざとなれば心臓をマッサージして、口付けで空気を吹き込めばいい。肉体の死は、まだ彼をサスケから連れ去ることはできない。
今はただ、彼がその眼を開くのを待っている。

テレビの音が、聞こえる。
うるさいなあ。早く消してくれないかなあ。
目を開ける。視界に飛び込んでくるものは白い蛍光灯の光。どうやら朝らしい。ここは、――自室だ。見慣れた天井が目に入る。首を動かすと、引き出しを開け放ち、中のものを引っ掻き回している男の背中が目に入った。何を探しているか分からないけれど、見覚えのある青い背中。サスケが「洗濯物の中に隠したはずだが…」と呟く。
「…なに探してんだってばよ」
声をかけると、振り返ったサスケが引きつったような顔で言った。
「…まだ、居たのか」
ナルトはそこでようやく全身を襲う怠さと、ぐちゃぐちゃに汚れた下半身の感覚に気づいた。ズキズキと痛む蕾。腰も立たない。
「お前、まさかとは思うが、この後もナルトは仕事の予定がある」
「あ"ー…。あー…。…あー」
忘れていた。力尽きてそのまま眠ってしまうまで、ナルトは自分が置かれている社会的な立場というものを綺麗さっぱり忘れていた。
「サスケ、今何時だ?」
「午後八時」
「っ、やべぇ」
ベッドから飛び起き、色白の裸体をくの字に折り曲げて、顔を股間に埋めてサスケの名残を啜り出した。
「…ちょ、まっ、」
「待ってる時間なんてねぇの。泊まりこみの任務だったんだ、明朝までに帰らねぇと…」
白目を向きかける。だがナルトは構わず、ええい、と己の太腿にまとわりついた精を掌に掬い取って口に含んだ。ん、と眉をひそめながらも飲み込んだ。うます、と呟いた。玄関に放ってあるサンダルへ突っかかるようにして足を引っかけ、くたびれたシャツを頭から被って玄関へと向かう。
「サスケ、今日はありがとな」
肩越しに振り返り、一際嬉しそうに言う。
「明日も来るから」
待て。
サスケはベッドの上で伸びをしつつ、指先で布団をまさぐり、パンツを拾い上げた。片足、もう片足と通す。どういうわけか、この男はここに居座ることを考えない。行ってしまう。何か言うべきだとは思う。だが、サスケには何をどう言えばいいのかわからず、ただその背を見つめている。
「行くな、サスケ」
ナルトが俯せに布団に突っ伏したまま、枕に埋めた口から、低い声で言った。
サスケは何の衒いもなく自分の発言に驚いていた。
「ナルト、今なんつった?」
「…なんでもねぇ」
サスケは手を伸ばして彼の後頭部をぽんぽんと叩いてから、無造作に長い髪を掻き上げた。耳の後ろがぴくぴくしている。彼はそこが弱い。
何かを探すような視線をキョロキョロと巡らせてから、サスケはビニール袋に手を突っ込み、おにぎりをひとつ手のひらに載せた。冷たい米粒を口の中に放り込む。
「出てけよ」
行け、と続けるはずだった言葉は、白い米粒を噛みつぶす音に潰されて消えた。代わりに、茶色い犬を連れた中年の男が昨日の昼下がりにくるりと踵を返した背中を思い出す。
「どうだ、殺したいか?」
苛立ちを顔の表面に出すことなく、サスケはそれはもう静かに首を横に振った。もう数年前の話だ。まさか今ここで思い出すとは思わなかった。無意識に呼吸が止まる。妙に乾いた咽喉を唾で湿らせる。
折りしも夕食時の喧騒が壁越しに聞こえてくる。この部屋の住人は、誰かの気配がするだけで食欲を失うくらいの神経質さはないらしい。サスケは部屋の中をぐるりと見回す。テレビ、テーブル、携帯電話、数着の衣服、ゴミ袋。そして肌蹴た掛け布団と、布団に埋もれるように眠っているナルト。
サスケは立ち上がると、ひとつだけ置かれた布団の横にだらしなく脱ぎ捨てられた自分の服を拾い上げた。白いシャツを羽織る。
時刻は午後七時を回ったところだった。
本日は建国記念の日で、何度も再放送をされる映画の一本や二本は放映されていてもよさそうなものだが、このチャンネルは相変わらずバラエティである。腹も減った。ナルトがまだいびきをかいて寝ているから起こさないように買い物に出る。
金はいくらでもあった。亡き祖父のものだったこの家の他に、サスケの手元には亡き両親から相続した貯金と保険金があった。彼は何も考えずに高級食料品店へ行った。
支払いを済ませて、本格的に暗くなってしまった夜道を早足で帰った。急いだのはそれほど時間を空けたくなかったからだ。誰かが彼を待っているという実感は、サスケにとってこの何十年かで初めてのものだった。

店からアパートの部屋まで急いで帰ると、ドアの鍵は内側から掛かっていた。鍵を開けて入ると、ナルトは閉めたはずの縁側の戸をまた開け放ち、裸のまま夜風に当たっていた。もう夜の帳が下りているのに、夕方の残り香のような光が彼の肌に当たっている。月光がその白い肢体
“佐助,你不是能用那双轮回眼把时间停下来吗?”
厚实的嘴唇明明什么也没做,却奇妙地泛着红。也许是因为被自己又吸又咬又舔,导致充血了。佐助好不容易才开口。

“我没试过,而且很危险……”

“试试看嘛。”

鸣人露出他惯常的、能让对方从心底鼓起勇气的、那种慈爱深厚的笑容。

佐助回过神来时,手已经轻轻贴上了他的脸颊。鸣人像是撒娇般,将头向那只大手靠去,眯起眼睛,加深了笑意。

“我啊,只要有你在,就什么都不怕。”

佐助听见脑海中某样东西“啪”地一声合上了。大概是体谅、顾虑、揣度这些部分被切断了。剩下的只有自私的欲望。

他一直希望鸣人能特别地、只爱自己一个人。如今不但正是如此,而且在自己想要独占鸣人的对面,想要独占自己的鸣人正如镜子一般伫立着。还有什么好顾虑的?在停止的时间中两人独处,既不会毁灭村子也不会伤害对方,这难道不是个极具魅力的提议吗?

佐助将完全收在自己手中的轮廓拉近,额头抵上额头。从近处用双眼凝视那双蓝色的眼眸。
“看着我的眼睛。”
他向那双直率望过来的眼眸诉说。
“……你信我吗?”
鸣人笑了。
“从来都只信你。”
佐助一瞬间眯起眼睛,又睁开,眼角用力。鸣人屏住了呼吸。

播音员的声音即使音量很低也清晰分明,打破了寂静。

『…下一条新闻。今年二月至七月,连日针对富裕阶层实施盗窃,并将金钱分配给低收入阶层的自封义贼集团,其领导层今日已全部被捕。嫌疑人等虽将取自富裕阶层的资金部分分配给低收入阶层,但约八至九成留作己用,用于自身娱乐及生活开销,此外,还涉嫌将资金用于购买武器、毒品及人口贩卖等反社会用途』

佐助的视线流向电视,鸣人悲伤地望着这一幕。
“佐助,别看那边……”

『自称义贼的集团在展开以火之国大名,圆道一休大人及木叶隐村村长,第七代火影,漩涡鸣人大人为批判对象的反对运动的同时,犯下了这些罪行。大名方面已发表声明,对一系嫌疑人的问题行为深表遗憾,并将对为逮捕嫌疑人尽心尽力的木叶忍者村忍者们给予奖赏。火影办公室尚未发表官方评论。…画面是前几天举行的大名·火影会谈后的联合记者会现场。』

“佐助,看我这边……!”

电视画面中,在闪光灯刺眼的前方,鸣人正站在讲台上。

『……火之国长久以来流传着大名与火影处于蜜月期的说法,但近来也频繁有人指出,是否存在优先彼此利益、互相依附的决策方式。对于这样的指摘,七代目大人是如何考虑的呢……』

面对记者的提问,电视里的鸣人摆着火影的表情,泰然自若地回答。

『跟知根知底的对象经常委托工作,这种事就算不是我们,也是平时很容易干出来的吧。容易拜托也就是说,对方非常了解各种细节,是个可以放心托付的对象,说到底信任占了很大一部分的说。……嘛,不过,就算我们这么说,如果看不见、被隐瞒了的话,看起来就像只是嘴上说说,这也是没办法的事。从这次开始我决定把所有的会谈都用影像记录下来。最重要机密的部分没办法公开,但我会尽可能地把更多的交流和决策摆到台面上。各位请先用眼睛看、用耳朵听,然后再思考。在那之后如果有意见,我随时都会听的说。』
次の记者举手后发言。
‘听说将会谈引入电视摄像机是七代目様的提案,在以自身利益为重、封闭的忍者社会中,这可谓是一股新风般的革新想法,是出于政治透明化的考虑吗?’
电视中的鸣人先是张了张嘴,随即露出有些为难的表情,嘴角带着苦笑,回答了记者的提问。
‘我…提出来的方案是这么说的……其实是我把商量过的朋友的提议照搬了…哈哈哈’
‘也就是说,是七代目様采纳了您朋友的提案?’
‘啊,嗯,说得漂亮点就是那样吧’
电视中的鸣人微笑着继续说。
‘现在担任村长的是我,但村里的政治并不是我一个人在搞。我会听取各种人的意见,得到他们的支持、帮助。我在想,如果能把那个圈子扩大到不仅仅是火影办公室或村子,而是更广阔的大框架就好了……不知道要花几年,也不知道我能不能活到那时候,但我想尽可能从能做到的地方一点一点做起。所以希望大家也多多协助。首先,比起听谁添油加醋地转述,希望大家用自己的眼睛和耳朵去看去听这次会谈的情况。’
萨斯凯像是被电视吸引住一般注视着,那侧脸、那眼眸逐渐充满力量地闪耀起来。鸣人怀着绝望的心情注视着这一切。
七代目火影,……自己,是佐助活下去的希望。照进黑暗的一缕光明,在乌云密布夜空中璀璨闪耀的一等星,那就是自己对于佐助的意义。
而鸣人是否真的想成为那样的存在,事到如今,他自己也说不清了。
记者会见视频播放完毕,画面切到下一条新闻的时候,佐助回过头来,神情平和。原本上挑的眼角那股凌厉已经消失得无影无踪。
「……既然你这么说,那就两个人住一晚,明早回村子吧……怎么了?哭了?」
鸣人扑上去抱住那个男人,把脸埋进他的肩窝。他听到了从自己喉咙深处溢出的呜咽声。
「…我、我真是个大笨蛋,竟然想独占你。你明明是…属于大家的。木叶的忍者们、木叶的孩子们、火之国的人们…,你的……,你是…」
佐助什么都没说。只是鸣人自己感受到,他那一成不变的,冷酷而寂静的,因为鸣人而痛苦不堪的,同时却又是他的世界里唯一恒常不变的温暖,那只大手,在一下、又一下,轻轻地拍着他的背。
鸣人在那宽厚的胸膛中,就那样呜咽了很久。佐助一言不发,一直温柔地抚摸着鸣人的后背。佐助の腕は、ナルトをしっかりと抱き込むと、そのまま硬く強く締め付ける。苦しいほど強く、ぬくもりが伝わるほど強く。
ふと、さっき自分が言いかけて止めた言葉を思い出した。言うべきだと思った。自分を愛してくれる世界が、自分にだけ愛を向けてくれている存在が、…再び生きるための理由をくれるのならば、自分はその理由の、明るい面も暗い面もぜんぶ、愛し続けていくのだと、今度こそ言葉にして伝えようと決めた。
けれどもナルトの大きな手がするりとサスケの背中を撫でていて、その心地よさに、言葉は溶けるようにして消えた。
もう泣くのをやめたナルトが、サスケにだけ聞こえる声で言う。
「サスケ、さっきの、やっぱりいい」
「…あ?」
「時間止めるの。やっぱり、オレとサスケで二人きりになれるのは嬉しいけど…、だけど今は…」
「止めない。やらない」
「…ごめん」
「謝るな。俺が言い出したことだ」
「サスケ…」
ナルトの顔を輪郭ごと自分の両手に包んでから、てのひらで涙を拭った。人の手のひらはこんなにも温かかっただろうか。
サスケはひたすらに、この手のひらが触れている感覚のことを考えた。目を閉じる。ナルトの涙の温かさと自分の手のひらに伝わる体温と。
瞼を開いて、かみしめるように言う。
「…オレの時間は止まって、確かにここで過ごした時間は止まったままだ。だが…ナルト、これで本当にいいんだ。明日になればお前は火影として、俺は旅に出る。今までどおりで、何も変わらねぇさ」
「…今までどおり、明日からオレはまた旅に出る。お前は火影として、里に残る」
「…ああ」
「…一人でか」
「……ああ」
ナルトは必死に、けれど精一杯の笑顔を貼り付けて、サスケの胸板から顔を上げた。
「…一晩くらい、泊まってくれよ」
止めた時の中で二人きりでこもるのは魅力的な提案だけど。とサスケは思った。あの提案をこの男がしようとしたのかもしれない。それでも。
「おう、久しぶりに二人で飲むか。つまみは…何かあるのか?」
「カップ麺しかねぇけど、いいか?」
「はは、充分だ」
サスケはナルトの頭をくしゃりと撫でた。
すると、ナルトは少しだけ残念そうに笑い、サスケの手をそっと握り、マンションの自室へと引っ張っていく。
木の葉の里へと続く道を、二人の影は並んでゆく。里に戻れば、また火影であり戦友であり友であり、かけがえのないただ一人の、愛する人。今はまだ、宵闇が二人の距離を許してくれている。“佐助,你不是能用那双轮回眼把时间停住吗?”

他厚实的嘴唇明明什么都没做,却红得异常扎眼。或许是因为被自己反复吸吮、啃咬、舔舐而充血了。佐助好不容易才开了口。

“我没试过,而且很危险……”

“试试看嘛。”

鸣人露出了一贯的、能给人带来由衷勇气的那副慈爱笑容。

佐助回过神来时,自己的手已经轻轻贴在了那脸颊上。鸣人像撒娇一般,把头往那只大手的方向靠过去。他眯起眼睛,笑意加深。

“我啊,只要有你在,就什么都不怕。”

佐助听见脑内啪嗒一声,有什么东西关上了。大概是体谅、关切、顾虑这些部分断掉了。剩下的只有自私的欲望。

他一直希望鸣人只特别地爱自己一个人。而如今,非但正被这样对待着,在想要独占鸣人的自己对面,想要独占自己的鸣人正如镜子般伫立着。还有什么可顾虑的?在停止的时间里两人独处,既不毁掉村子,也不会伤害对方——这不是非常有魅力的提议吗。

佐助将自己手掌能完全容纳的轮廓拉近,额头抵上额头。从近处用双眼凝视那双蓝色的眼睛。
“看着我的眼睛。”
他对那双坦诚望来的眼眸说道。
“……你信我吗?”
鸣人笑了。
“老子信过的就只有你。”
佐助瞬间眯起眼,又睁开,用力收紧了眼角。鸣人屏住了呼吸。
播音员的声音即使很小也清晰可闻,打破了寂静。
『……下一条新闻。今年二月至七月期间,连日制造以富裕阶层为目标的盗窃事件,并向低收入阶层分配金钱的自称义贼的团体,其领导层全体人员于今日被逮捕。嫌疑人等虽然将从富裕阶层夺取的资金部分分配给低收入阶层,但据查,有足足八至九成被其留在手中,除用作自身的娱乐费和生活费外,还涉嫌用于购买武器、毒品,以及人口买卖等反社会用途』
萨斯的视线流向电视机,鸣人悲伤地看着这一幕。
“萨斯给,别看那边…”
『自称义贼的团体一方面展开批判火之国大名、圆堂一休大人及木叶隐里里长、七代目火影、漩涡鸣人殿下的反对运动,一方面实施上述犯罪行为。大名就一系列嫌疑人的问题行为深表遗憾,并发表声明称,将对致力于逮捕嫌疑人的木叶隐村忍者给予褒奖。火影办公室目前尚未发布正式评论。…画面是日前举行的大名·火影会谈后的联合记者会情形。』
“萨斯给,看着我…!”
电视画面中,闪光灯刺眼的前方,鸣人站在讲台上。
『…火之国长久以来盛传大名与火影关系亲密,但最近也频繁有人指出,是否存在优先彼此利益的相互依存式决策。对于这样的指摘,七代目大人是怎么想的呢……』
面对记者的提问,电视里的鸣人摆出火影的神情,泰然作答。
『跟知根知底的人多托付点工作,这种事就算不是咱们,也是平时常会做的吧。说好托付,就是说对对方底细了解得很清楚,能放心把事情交给他,信任的成分很大啊。……嘛,不过,就算我们这么说,要是藏着掖着看不出来,那看起来就像是嘴上说说,那也没办法。从这次起,所有会谈都会留下影像记录。最重要的机密部分没法公开,但尽量把更多的交流和决策公开出来。大家先用自己的眼睛看、耳朵听,然后再思考。在那之后有意见的话,我随时都听。』
次の記者が手をあげてから発言する。
『会談にテレビカメラを入れる取り組みは七代目様のご発案とお聞きしましたが、自里の利益を最も重要視してきた閉鎖的な忍社会においては新たな風を吹かせるかのような革新的なアイディアですが、政治の透明化を念頭においてのことでしょうか?』
テレビの中のナルトは一瞬口を開けてから、少し困った表情をし、苦笑いを口元に残したまま、記者の質問に答える。
『オレ〜…の出した案ってことになってんだけど…、ほんとは相談したダチの言ったことをまんまパクったっつか…ははは』
『ご友人のご発案を、七代目様が採用された、ということでしょうか?』
『ああ、まぁ、上手く言うならそうかな』
テレビの中のナルトは微笑んで続ける。
『今の里長を勤めているのはオレだけど、里の政治はオレ一人でやってんじゃねぇ。いろんなヤツからの意見を聞いたり、支えてもらったり、助けてもらってやっている。その輪を火影室や里だけじゃなくて、もっと広い大きな枠組みでやれたら…って思っている。何年かかんのか、その頃までオレが生きてんのかもわかんねぇけど、少しずつできるところからやっていけたらって考えてる。だから皆も協力してほしい。まずは今回の会談の様子を、誰かヅテで聞くよりも、自分の目と耳で見て訊いてほしいってばよ』
テレビのスイッチを切った。指先からゆっくりと力が抜けていく。
気づくとナルトはサスケの背中にしがみついていた。反応を探るように、引き絞るように、必死で男の背中を抱きしめている。
今、自分の視界にあるのはサスケの背中だけだ。気配がこちらを向く。ナルトは必死に言葉を探す。
「…っ、サスケ…っ、オレ、お前の、いちばん、じゃなくても、いちばん、じゃなくてもいいから…っ」
「…?」
サスケが何のことかわからずに首を傾げる。
「…みんなが、幸せならそれでいいって思うんだ。みんなの、幸せが、世界の幸せに、直結してるっつーか…オレが七代目になれたのは、里の皆がオレを認めてくれたからだ。一人じゃ何にもなれなかった。里の皆、支えてくれる人たち、友達、サスケ、…家族、がいるから火影でいられるんだってばよ。そういう、オレの周りの人を不幸にする権利が、オレにはないんだってばよ」
「…一人の幸せは、万人の幸せ」
サスケがぽつりと言った。ナルトは表情をこわばらせた。
「それ、お前の昔の口癖だろ。今でも思ってんのか」
「……思ってねぇよ。できることなら葉っぱを一枚も傷つけたくねぇから、そうするんだろ」
「…なんでだよ」
「…そうしねぇと、里の皆んなの顔を見ていられなくなるからだ。誰彼構わず泣きついて来る里の奴ら、気づいたら減っていて、死んでいく里の奴ら、俺を気にかけるお前が、悲しい思いをしちまうからだ」
「…そうかよ」
沈黙が下りる。ナルトは今度こそサスケに抱きつき、さっき自分がされたように、サスケの肩口に額を擦りつけた。
「オレ、サスケが笑っててくれたらそれでいい。サスケが笑ってくれる世界なら、オレはそれでいい」
サスケの大きな手が、おそるおそる、けれど確実に、ナルトの頭のてっぺんに載せられて、そのまま髪をひとしきり撫でられた。ナルトは目を閉じる。
サスケが笑っている。本当に愛おしそうに、目元を細めて。
「…ここで本当に良かったのか?」
「ん?」
「オレと二人で止めた時の中で…こもるって言っただろ。世界から取り残されてじまう。それでもいいのか?」
ナルトはサスケの胸に顔を埋めたまま、うん、と鼻で返事をした。
「俺様の大切な、世界で一番好きな人と…ここで一緒にいられんのなら、オレはなんでもいいってばよ」
サスケはこの期に及んで尚、自分のことを『好き』だと素直に言ってくれる。その都度、むず痒い気持ちとこそばゆい想いが胸をいっぱいにして、ナルトの腕を一層強くさせる。自分はこの腕を、生涯離すことはないだろう。
「クソ…」
サスケがひっく、と鼻を鳴らして、ついに肩を震わせると、ナルトは顔を上げて仰ぎ見た。
「おいおいおい、サスケが泣いてんのか?」
充血した眼の端を手の甲で擦って、サスケは歪に笑った。
「…自分で思っていたより、ずっと不安だったんだろうな」
「お前が、笑うから…」
「泣きそうな顔で笑うんじゃねぇ」
ナルトは彼の胸に額をこすりつけた。
「サスケ…オレ、サスケに会えて…ほんとによかった」
しばらくそうしていた。サスケはナルトの髪に指を差し入れて、ゆっくりと撫でる。耳を覆うその髪をかき上げて、軽く引っ張った。
「…っ」
ナルトが首筋を晒す。サスケは晒された白い喉をすぐに噛み、吸い、きつく舐めあげた。傷痕の輪郭を舌でたどる。
「サスケぇ…っ」
快楽に耐えるナルトの鼻声が、艶めかしく響く。サスケはこの声を聞くと、輪廻眼の力でもどうにもならないほどの後ろ髪を引かれる思いがして、最早これ以上堪えられない。
男の首筋を自分のものであると確定づけるような強さで、痕をつける。赤い花を散らすように、丹念に、愛おしむように。首が、肩が、鎖骨が、ナルトの浅黒い肌の上に赤黒い花を咲かせていく。
畳の上に押し倒すと、ナルトがもぞもぞと自分に体重を預けてくるように上体を倒してきたので、反動で背中から畳に倒れ込む。互いの鼻先がぶつかるほどの距離で、ナルトが馬乗りになって見下ろしてくる。
「おいおい、俺の顔、食い意地張った餓鬼みてぇな面してんぞ。久しぶりにちゃんとキスしようぜ」
口付けは、途方もなく甘い。今日一日に何度も交わしたキスとは桁が違う、気を失ってしまいそうな甘さだった。
サスケは何度目かの長い口付けから解放されたあと、息を整えるように大きく呼吸をしながら、ナルトの顔を間近に見上げる。口元だけ笑っている、慈愛に満ちたその顔は、昔と変わらない。
「サスケ、オレがいるから。寂しさも苦しさも、全部、全部、ぜーんぶ、二人で分け合おうぜ」
ナルトはすっとその太い指を、サスケの頬に添えた。こちらを真っ直ぐに見つめる瞳は、普段の明朗さよりも深い慈しみの色を濃く湛えて、サスケを安心させるようにゆっくり瞬きをする。
「悲しいときはオレがずっと隷にいる。お前が笑えるまでそばにいる。お前が泣きたいときは一緒に泣く。そんで、笑いたくなったらさ、その時は思いっきり笑おうぜ」
ナルトの声はこんなにも優しい。
自分が何を言ったのか、サスケはよくわかっていなかった。
何かが堰を切って流れ出て、止められなかった。自分の中にまだそんなものが残っていたのかと、サスケは他人事のように思った。
「悪かった…っ、急に、変なこと言って……」
「変なこと?」
ナルトは首を傾げた。
「変じゃねぇよ。オレには嬉しいことだ。もっと聞かせてくれ」
「…恥ずかしいから、やめろ」
「じゃあ、オレから言う。サスケ、ずっと前から言おうと思ってたことがあるんだ」
「…」
「愛してる」
ナルトが、音を立てて、サスケの頬にキスをした。
「ありがとう、サスケ。愛してる」
ナルトはサスケの首に腕を回して、引き寄せて、髪をくしゃりと撫でた。
サスケが髪を撫でられるのが好きだと気づいたのは割と最近のことだ。撫でていると、こうして目を細めて力がふっと抜ける。
「…お前さあ、そうやってあんまり無防備にオレを信用してると、この先ずっと放してやらねぇぞ」
ナルトは喉を鳴らして笑った。
「望むところだ」
からかうようにサスケが笑い返す。
「ああ。一生かけてお前を不幸にしてやるよ」
「…幸せにしてみせろよ。 オレの力で」
耳元で囁かれた言葉に、サスケは喉の奥で笑うと、こつんと額をぶつけた。ナルトがふにゃりと間抜けに笑う。二人の額が触れ合う。このままくっついていたい。ずっとこうしていたい。世界の終わりまでこうしていたい。触れている場所から、温かさが広がっていく。右の目と、左の目と、めくるめく永遠が、ゆっくりと回りはじめる。

一瞬止められた時間の中、生まれて初めてサスケは思ったのだった。
ああ、俺は、生きていていいんだ。

ずっとずっと長いあいだ、サスケは生きていていいと許されることを待っていたのだ。許しがたいことをした自覚はある。けれどその罰があまりに永くて、どこかで彼の時は止まってしまっていた。
止めた時間の中で少しずつ、再び動き出す時間の中でも少しずつ、サスケの時は進み始めるだろう。
何年かかるかわからないが、いずれこの男と死ぬまで添い遂げたい。
朝、木漏れ日を浴びて目を覚ましたときに隣にいて、昼は同じ木の下で飯を食って、夕方になったら並んで歩いて、夜は寄り添って眠る。そんな生活を。
サスケは、今度こそ逃げなかった。間近にある輪廻眼を、半目を開けて、ぐっと見据えながら言う。
「…今日から、ずっと」
片手が、ひし、とナルトの腰を掴んだ。
ナルトは呼吸を止めて、金色の瞳でサスケを見返した。眦にたまりたまった涙が、ぽろりと一粒こぼれる。サスケが親指の腹でそれを掬い取った。
「ナルト、家を出るぞ」
ナルトは眉根をさげた、泣き出しそうな顔で、けれども嬉しそうに微笑んだ。
「…うん。…ん、俺はお前の信頼にこたえるってばよ。そばにいて、支えて、離れねぇから。ずっと、ずっと、どこにも行かねぇから」
火影として、…ではなく、一人の人間として、ナルトがこの瞬間、サスケに魂の底から誓った言葉だった。
サスケはもう、安心しきった顔でナルトを見つめ返している。みるみる湿っていくナルトの目尻に唇を寄せて、涙を吸い取った。
「あんまり煽るなよ。今度こそ一晩中、眠らせねぇから」
悲痛な、けれどとても幸福な気持ちで、ナルトはその胸に顔を埋めた。あたたかくて、堅い、胸。かつて自分を、その背中で守ってくれた男の胸だ。今はもう、背中だけの男ではない。ずっと何もかもを守り続けてくれている。ずっと、ずっと、もう何年も。
出会った頃と変わらない、健やかな健康美を宿した肌。少し日に焼けて、手触りのいい肌。うなじを撫でる指に、サスケは少しだけ迷ってから、おもむろに、言う。
「…二日、くれ」
「ん?」
「時間を止めたら、目に大きな負担がかかる。一日休めば、また止められるはずだ」
「じゃあ、二日な」
「ああ」
愛おしそうに鼻先を寄せて、息を吸い込んで、ナルトの匂いを感じる。甘ったるい、蜂蜜のような匂い。考え事をしているときのくせで、髪を撫でつけたり結ったりしている手。サスケは先ほどまでの己の痴態を忘れたかのように、喉を鳴らしてその頬に鼻を寄せた。殊勝に、ナルトが気を遣ってわざわざ買ってきた香水の香りと、彼自身の体臭が混ざって、何ともいえない芳しい香りがする。サスケは自分が今まで経験した中で最も優しい眼差しで、彼を見た。
「ナルト、よかった…」
何がだ、と訊ね返す代わりに、ナルトは無理に口角を上げて笑ってみせた。……もう止められない。止められないんだな、これが。
サスケが輪廻眼の力を発動させ、時を止めた。
止まった世界に、いつかの春一番が吹き荒れて、木の葉が舞い踊っていた。
ナルトは知っている。サスケと二人だけがこの世界に生きている。生きたまま石にされるように、時を止められた世界で、そう、時間は二人にだけ流れている。ここは止まった世界で、生きたまま廃墟に生きる、二人だけの世界。
瞬間、ナルトは思い出したのだ。自分はかつて、この男を、誰よりも激しく求めた。
あの日、この部屋で。
あの夜、このベッドで。
ふと、唐突に、ナルトはあの日のことを思い出していた。サスケの反応がまるでないから、いつからか挑発する側に回ることをやめて、それはもうずっと遠い昔のことのように思い出される。
いつだったか、確か二月の寒い夜のことだった。あれは一方的な事故みたいなもので。
里に帰ってきてから初めて、サスケがナルトを、ただの友人でも仕事の同僚でもなく、ひとりの男として、引き摺るように組み敷いた夜のこと。先の大戦のあとに迎えた、束の間の平和のさなかの、事件だった。
事の発端はたいしたことではなかった。
何かの用があって、帰り道がてらに顔を出した火影室で、二人で酒を飲むことになった。仕事が終わるのを待ち、お互いの腰を落ち着けて、酌み交わした酒が二人をいい気分にさせた。
「なぁサスケ、お前、里ん中に家買わねぇ?」
何の脈絡もなくナルトが言った。サスケは酒の入った杯を置いて、口を開く。
「要らない。どうせほとんどここにいねぇし」
ナルトは飲みかけの杯を置くと、サスケにぐっと顔を近づけて言った。
「オレは、お前がいてくんねぇと…」
目を閉じて首を振る。
「なんでもねぇよ。忘れろ」
結局二人は、しばらくの間、なにも言わないで、ただ座っていた。
それが合図だった。サスケが口を開く。
「ナルト、俺は…」
ナルトが制す。自分の方がよほど大事なことを言わなければならない。
「オレから言う」
サスケは口をつぐむ。ナルトは一度だけ深く息を吸った。
「…正直に言うと、サスケに会うまではずっと、オレは何のために火影やってんだろうって考えてた。里からも、人々からも、尊敬されて感謝されてるし、火影になるってのはオレの夢だったのに、なんでこんなに満たされねぇんだろうって」
ナルトは唇を一度噛んで、続けた。
「自分のためにやっているはずなのに、何かがしっくり来ないっつうか…。そう、気づいたんだ。…オレは一人で火影をやれてない。ずっとお前に認められて、支えられることに依存してたんだ。お前がいなかったら、もうとっくに潰れてた」
「依存してたのは、オレのほうだ。お前がいなければ、オレはもっと早くに闇に堕ちていた」
互いに相手だけをただ見つめ、寄り添いながら、自分の感情の深さに驚いていた。ナルトがゆっくりと、サスケの頬へ手を伸ばす。年輪のような皴を、長く尖った指がなぞった。サスケのほうも、大きめの掌をそっとナルトの頬に添える。少し高い体温がじんわりと伝わってくる。…ああ、触れていると、ひどく落ち着く。
思うに自分たちは最初から何もかも正しくて、遠回りをしながらも、こうなるべくしてこうなったのだ。
ナルトはサスケの首筋に頭を埋めるようにして鼻を鳴らした。サスケもナルトの首筋に鼻を埋めた。ナルトの匂いがする。日向で干した布団のような、甘くて落ち着く、癖になる匂い。
「サスケ」
耳元で呼ばれて、応えようと動かした首が、そのまま何かを探すようにゆっくりと動く。
鼻先が触れて、唇が触れて、互いの呼吸を確かめあうように、軽いキスを何度か。一度目は互いの乾いた唇。二度目で少しだけぬれる。三度目で鼻をすり合わせて、四度目で深く重なった。
サスケはナルトの唇を味わう。離れる。
「…行こう」
「うん」
男が手を引いて、暗がりへ。拒む素振りは微塵もない。
その背中を眺めながら、ナルトはたったいま燃え上がってしまった小さな炎の行く末を想う。一夜の、それこそ夢のようにあっけなく消えてしまう火遊びなのだろうか。いや、確かに温もりを感じた。間違いなく灯った明かりだ。消えてしまわないようにしなければ、と、ナルトは強く強く思った。
護送車の外、アナウンサーの声は別の話題へ移っている。
『…他県からの転入者と、長年その地に住み続ける地元住民との、摩擦をめぐる問題についての続報です。…』
スピーカーから流れる声は続く。まもなくニュース番組はおはなし系の情報番組へと切り替わる。女が、明日の雨予報を、天気予報士との掛け合いで楽しく伝える声が車内に流れてきた。サスケがリモコンでテレビを消す。
「着いた」
助手席のナルトはだらりとシートにもたれかかっていた。足はダッシュボードの上に投げ出している。長く伸びた足が視界に映り、サスケは苦笑した。
「…降りるぞ」
「ん〜…。もうちょっとこうしてたい」
「早くしろ」
「サスケはさあ」
ダッシュボードの上に足を乗せたまま、ナルトが言う。
「オレと居て、窮屈じゃねぇ?」
少し驚いて目を丸くして、すぐにナルトから視線を外して、サスケは言った。
「窮屈だと思うならお前と一緒にいるか」
ナルトの顔がぱっと輝いた。見ているサスケの方が照れてしまうような、真っ直ぐで無垢な笑顔。
「そっか」
ナルトは足を下ろして、すっとサスケの方へ向き直る。
「そっか。…そう言ってくれるんだな」
サスケがまた黙り込むと、ナルトは一歩踏み出して、サスケの首に腕を回し、その肩口に額をこすりつけるように寄せた。そのまま自分の顔を肩にうずめて、しばらくの間、そのままの体勢でいた。サスケもその背にそっと手を回す。
「…なあ、サスケ」
「何だ」
「今度はさ、俺のほうからお前に会いに行く」
「…いつだ」
「明日」
サスケは危うく「待ちきれない」と口にしかけて、それを飲み込