久违地感受到柔软床单的触感,醒来的一瞬间,我甚至以为自己终于被接上了生命维持装置。
然而,睁开眼映入眼帘的,是陌生的天花板,以及俯身望着仰卧的我的几张看似医生的面孔。
他们身穿白大褂,确认我恢复意识后,便神色从容地开始拨打某个电话。
几分钟后,传来开门的声音,只见一个身着黑色西装、像是从间谍电影里走出来的魁梧男人出现在眼前。
“夜神月。你被我们组织保护起来了。”
他用不太流利的日语说着。我本想说英语也没关系,但声音只化作气息漏出,身体远比我预想的更不听使唤。
不过,他似乎明白我的状况。黑衣男人一边从医生手中接过病历,一边示意我不用勉强,让我别动。
“对你的处理方式,我们上司现在正在决定中。很遗憾,你的自由目前无法得到认可。”
“但是,”黑衣男人一脸苦涩地低头看着病历,继续说道:“至少我们保证,这比在‘他’那里的保护更尊重人权。”
这真是感激不尽。我长舒一口气,再次闭上眼睛,失去了意识。
我作为基拉,被恶魔——L抓住,是在刚进入十一月的时候。
那家伙发现我在手表上做了手脚,当我在笔记本的纸片上写下火口的名字的瞬间,他终于像恶魔一样扭曲地——却带着像迎来生日的孩子般天真无邪的笑容——把我抓住了,因为终于得到了证据。
由于笔记本的所有权已经从我转移到了火口,即使笔记本被夺走,我的记忆也没有消失。但那究竟是幸运,还是不幸,我到现在都无法判断。
“为什么你会变成基拉啊——!” 我听着身后父亲泣不成声的喊叫,在L的拘禁下,被带往了一个不属于日本的某个国家。
话虽如此,自从被确定为基拉以来,我一直被束缚带捆着,几乎所有信息都被封锁,所以我被带往何处其实只是我的推测。
不过,恐怕我被带去的地方,一定是L原本作为自己据点的地方。
一个保密性极高,谁都不知道其存在的地方。
我身上所有束缚被解除时,身处在一座由纯白墙壁覆盖、天花板极高的监狱。
那监狱有一个差不多位于天窗位置的唯一的窗户,只有从那里看到的景色能告诉我外面的世界。它看起来就像连接外界的希望之所,又像永远无法再回到那扇窗外的绝望象征。
我在监狱中一半的回忆,都是从那扇窗户看到的景色。
剩下的一半,则是审讯的回忆。
不,那些在白狱中发生的事,根本不能叫审讯。
那叫拷问。
不以问出什么为目的,而是以虐待行为本身为目的的,单纯的——。
“夜神先生,您醒着吗?”
——呼唤着我名字的,温柔的女声。我的意识又一次被囚禁在了白色的牢狱里。
“嗯,没事。我醒着呢。”
我用沙哑的嗓音回应着,将视线重新落回现实,以免对方察觉到我的意识已经飘远。现在我在的房间是一间被古董风格家具包围的房间,似乎是什么人的别墅。最初醒来时,因为身边围着医生和医疗器具,我还以为是在医院。但这间房间比起医院的单人病房多了太多奢华的家具,透过窗子望出去,除了庭院什么也看不见。我很快就明白,这里不是用来收治重要人物的病房,而是用于隔离的别墅。
话虽如此,这里的环境也远比监狱舒适太多了。在L那里,别说床单了,我连一条裹身的毯子都不被给予。对于一个总是被迫在监控摄像头和L面前赤身裸体的人而言,这里简直会让人误以为是天堂。
そんな弱った身体を受け止めてくれる医療用ベッドの周りには、昨日まで物々しい医療器材がベッドを取り囲むように置かれていたが、今は点滴のみを残して全て無くなっていた。
这句话似乎是在描述从被囚禁状态被解救后的场景。接收翻译任务。
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3. 保留原文中的 [newpage] 标记,以 [newpage] 原样提供。
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5. 人名和专有名词保持前后一致。
6. 对话、语气词与语序须符合中文阅读习惯,但不要改写剧情。
7. 术语表(必须严格遵循):
- ラバー → 乳胶(不要译作“橡胶”)
这是第 1/15 分片的内容。
原文:
久しぶりに感じた、柔らかなシーツの感覚に、遂に生命維持装置にでも繋がれたのかと、目覚めた瞬間思った。
しかし、瞼を開いて視界に映り込んだのは、見知らぬ天井と、仰向けになった僕を覗き込む、医者らしき複数の人間の顔だった。
白衣を纏った彼らは、僕の意識が戻ったのを確認すると、落ち着いた様子でどこかに電話をかけはじめた。
数分後、ドアが開く音が聞こえたかと思うと、真っ黒なスーツに身を包んだ、スパイ映画に出てきそうなガタイのいい男の姿が見えた。
「ヤガミライト。貴方は我々の組織によって保護されました」
流暢とは言えない日本語に、別に英語でもかまわないと伝えようとしたが、声は吐息として零れるばかりで、思った以上に身体は僕の言うことを聞いてくれなかった。
しかし、僕の状況は分かっているのだろう。スーツの男は医者からカルテを受け取りながら、無理はしなくていいと僕の動きを静止させた。
「貴方の処遇は、今、私達の上司が決めているところです。残念ですが、貴方の自由は認められていません」
しかし、と。スーツの男は苦々しい表情でカルテに視線を落しながら、言葉を続ける。
「少なくとも『彼』の元よりは、人権に配慮した保護であることをお約束します」
それはありがたい話だと、僕は大きく息を吐き出してから、再び目を瞑って意識を失った。
僕がキラとして、悪魔――Lに捕らえられたのは、十一月になったばかりの頃だった。
あいつは僕が腕時計に細工をしていたことに気付いており、僕が火口の名前をノートの切れ端に書いた瞬間、ようやく証拠を得たと悪魔のように歪んだ、けれ誕生日を迎えた子供のような無邪気な笑みで僕を捕らえた。
ノートの所有権は火口から僕へ既に移った後だったため、ノートを奪われても僕の記憶は消えなかった。だが、それが幸いだったのか、あるいは不幸だったのか。今となっても判断がつかない。
どうしてお前がキラなんかになったんだと、最後まで泣き崩れていた父さんの声を背後に聞きながら、僕はLの拘束の元、日本ではないどこかの国へと渡った。
とは言っても、キラであることが確定してからはずっと拘束具によって捕らえられ、ほとんど全ての情報をシャットアウトさせられていたため、何処に連れていかれていたのかはあくまで僕の推測だ。
だがおそらく、僕が連れていかれたのは、Lが本来自分の拠点として使用していた場所だったに違いない。
秘匿性に優れた、誰にも存在を知られない所。
僕が全ての拘束具を外されたのは、真っ白な壁によって覆われた、とても天井の高い造りをした監獄だった。
その監獄には天窓くらいの位置に一つだけ窓があり、そこから見える景色だけが僕に外の世界を教えてくれた。それは外界に繋がっている希望の場所のようにも、もう二度とあの窓の向こう側には戻れないのだという絶望の象徴ようにも見えた。
僕の監獄での記憶の半数を占めるのが、その窓から見える景色だった。
残りの半数の記憶は、尋問の記憶だった。
否、あれは、あの監獄で行われたのは、尋問なんかじゃなかった。
あれは、拷問だ。
何かを聞き出す目的を持たない、虐げる行為そのものを目的とした、ただの――。
俺の意識が再び白い監獄へと飛んでから、どれほどの時間が経ったのか。
気が付けば、先ほどまで見えていたアンティーク調の家具が部屋の中ではなく、見渡す限りのに包まれた、どこか日本とは思えないほどに開放的な場所に俺は居た。
車椅子を押して、外の空気を吸いに行きましょう、と確か彼女は言っていた。彼女は確かあの後、確か何かの書類を提出しに行くと言って私をこの場所に連れてきて、部屋に戻ったはずだ。ということは、ここが部屋から繋がるテラスであることは想像に難くない。
思うまま、車椅子を操作してテラスの中央まで移動させると、太陽の光をさんさんと浴びて輝く庭園を、遠く、遠くまで見渡した。
庭園は別荘の大きな白い壁のテラスから繋がるように作られており、緩やかな起伏を描くの芝生に、色とりどりの花が咲き乱れていた。そんなカラフルな花々の周りを蝶やら蜂やらが楽し気に飛び交っている。太陽の光が、葉に残る朝露をきらきらと反射させていた。
この世のものとは思えない、あまりにも美しい光景だ。
でも、その光景は何処か夢のようでもあり、蜃気楼のようでもあった。だから僕は、目の前の光景が現実のものであることを確かめるために、重い腕を必死に動かして、車椅子のアームレストの上に置いてあった掌を、膝の上に落とす。
痛みは――無い。感覚がない。
いや、膝に落とした掌の感覚がない訳ではない。痩せ細った己の膝の上に落ちた手のひらは、熱いような、いや、実にひんやりとした手のひらだった。
この落差というか、温度差がどうにも気味が悪く、僕は自分の手のひらに視線を落とす。すると、そこには自分の物とは思えないほど痩せこけた手が広がっていた。
監獄に捕らわれていた時、何度も見た光景のはずだ。
毎日のように窓の向こうに見える花を眺めながら、僕は掴まれたままの無残な自分の手を眺めていた。
この手は確かに僕のものであるはずなのに、僕の面影が何処にもない手だ。
骨と皮だけになってしまった自分の手を眺めていると、あの白い監獄の記憶が鮮明に蘇って、僕の意識は、再び過去へと引き摺り込まれていく。
木々の葉の擦れ合う、静かな、優しい音色。風に揺られる木々の匂い。窓辺には小鳥。僕は意識がぼんやりと霞んでいく感覚を味わいながら、今日もあの悪夢とは無縁の一日が終わっていくのだと、密かに安堵するのだった。 久违地感受到柔软床单的触感,醒来的瞬间,我甚至以为自己终于被接上了生命维持装置。
然而,睁开眼映入视野的,是陌生的天花板,以及俯身看向仰面朝天的我的、几名看似医生的人的脸。他们身穿白大褂,确认我的意识恢复后,便神色镇定地开始给什么地方打电话。
几分钟后,只听门被打开的声音,一个身着纯黑西装、像是从间谍电影里走出来的魁梧男人的身影映入眼帘。
「夜神月。你被我们的组织保护了。」
他的日语说不上流利,我本想告诉他用英语也行,可声音只化作气息零落而出,身体远比我想象的更加不听使唤。
不过,他似乎明白我的状况。西装男一边从医生手中接过病历,一边示意我不必勉强,让我不必乱动。
「如何处理你,现在由我们的上司决定。很遗憾,我们不能允许你自由活动。」
但是——西装男露出苦涩的表情,视线落在病历上,继续道:
「不过我可以保证,至少比在"他"那里,我们这边是更尊重人权的保护。」
那可真是谢天谢地。我长长地吐出一口气,随后再次闭上眼睛,失去了意识。
我作为基拉,被恶魔――L抓住,是在刚进入十一月的时候。
那家伙察觉到了我在手表上做了手脚,当我在笔记本的纸片上写下火口的名字的瞬间,他终于得到了证据,像恶魔一样扭曲,又像迎来生日的孩子一般天真无邪地笑着,抓住了我。
因为笔记本的所有权已经从火口转移到我手上,所以即使笔记本被夺走,我的记忆也没有消失。但这究竟是幸运,还是不幸呢。事到如今我也难以判断。
我到底为什么会成为基拉啊——身后是父亲哭得溃不成声的喊叫,我听着这声音,在L的拘禁下,被带往了某个并非日本的国家。
话虽如此,自从我被确定为基拉之后便一直被拘束具所缚,几乎所有信息都被隔绝,因此被带去了哪里终究只是我的猜测。
不过,我大概是被带往了L原本的据点。
那里具有极高的隐秘性,是无人知晓的地方。
我被卸下所有拘束具的地方,是一间由纯白墙壁覆盖、天花板高得不像话的监狱。
那间监狱的窗户开在近乎天窗的位置,只有一扇。透过那扇窗能看到的景色,是唯一能告诉我外部世界的东西。那扇窗,看起来像是与外界相连的希望之地,又像是象征着再也无法回到窗外的绝望。
在监狱中的记忆有一半,是窗外看到的风景。
剩下的一半,是审讯的记忆。
不,那并不是审讯。
在那个监狱里进行的事情,是拷问。
没有问出任何情报的目的,仅仅以施虐本身为目的的、纯粹的——
「夜神先生,您醒着吗?」
被呼唤自己名字的柔和女声唤醒,我意识到自己的意识又一次被囚禁在了那座白色的监狱里。
“嗯,没事。我醒着。”
我用沙哑的声音回应,为了不让她察觉我走神了,将视线拉回现实。
现在我所处的地方,是一间被复古风格家具环绕的房间,看起来像是某处别墅。刚醒来时,因为周围全是医生和医疗器具,我还以为是医院。但这里的家具比起医院的头等病房要奢华得多,而且窗户外只能看到庭院。我很快便察觉到这里并不是要人病房,而是用来隔离的别墅。
不过,这里的环境比起监狱来好得无法相比。在L那里,连床单都没有,甚至没有一张可以裹身的毛毯。经历过总是被迫将赤裸的身体暴露在监视摄像头前,以及L面前的环境后,如今这里简直恍如天堂。
支撑着我这虚弱的身体的医疗床周围,直到昨天还摆满了令人望而生畏的医疗器材,如今只剩下吊针一瓶。
身体恢复得比想象中顺利,只是我的意识偶尔还会被囚禁在白色的监狱里。明明我无论如何都不愿意再想起哪怕一瞬那样的地狱记忆,记忆却自然而然地再度播放了。我一边怨恨着如此精神状态下的自己,一边通过告诉自己没有比那恶魔所在的白之牢狱更安全的地方,来谋求精神的安定。
“夜神先生,可以稍微坐起来一下吗?”
“唉,没问题,我已经醒了。”
我以沙哑的声音回应着,将视线移回现实,以免对方察觉我走神了。
现在我所处的地方,是一间被古董风格家具环绕的房间,像是某处度假别墅。起初醒来时,周围都是医生和医疗器具,我还以为这里是医院。但这里摆放着诸多豪奢家具,远超医院一等病房的标准,而且窗外除了庭院,看不到其他任何东西。我很快就察觉到这里不是要人的病房,而是用来隔离的别墅。
不过,这里的环境好到跟监狱根本没法比。在L那里,别说是床单了,我连一条披身的毯子都不被允许。习惯了始终赤身裸体暴露在监控摄像头和L面前的我,甚至错觉这里是不是就是天堂。
昨日之前还包围着医疗床周围那些戒备森严的医疗器材,如今除了点滴,都已经全部撤走了。虽然肉体的恢复比想象中要顺利,但我的意识有时候还会飞回白色的监狱。明明全是些一刻也不想回忆的地狱般的记忆,记忆却自然而然地再生了。我一边恼恨着自己这样的精神状态,一边告诉自己这里起码比恶魔待的白色监狱要安全得多,试图以此维持精神安定。
“夜神先生,您醒着吗?”
一个柔声呼唤我名字的女性声音,让我察觉到自己的意识再次被囚禁于那座白色的监狱。
“啊,我没事,醒着呢。”
我声音沙哑地回答,将视线重新转回现实,以免让她察觉我的意识曾飞走过。
现在我所在的,是一间被古董风格家具环绕的房间,看起来像是什么人的别墅。刚醒来时,身边围满了医生和医疗器具,我还以为是在哪家医院。可这里虽是一等病房,却有太多奢华的家具,而且连接外部的窗户外,除了庭院什么都看不见。我立刻明白,这里不是要人的病房,而是为了隔离而建的别墅。
话虽如此,这里的环境却比监狱好得无法比拟。在L那里,别说是床单了,我连一张裹身的毯子都得不到。对于曾经不得不时常在监控摄像头前,在L面前裸露身体的我来说,这里简直令人错以为是天堂。
支撑着这样虚弱的身体的医疗床周围,那些严阵以待的医疗器材,到昨天为止还围绕在床四周,如今只留下输液的点滴。
看来身体的恢复比我想象中要顺利,但有时我的意识仿佛仍在囚禁之中,会飞回那座白色的牢笼。明明根本不想去回想哪怕一瞬间那样的地狱般的记忆,记忆却不请自来。我一边痛恨自己这般精神状态,一边告诉自己,至少这里比恶魔所在的那座白色监狱安全得多,以此勉强维持精神的安定。
「我帮你把床稍微摇起来一点哦」
向我搭话的这位女性,不,或许说少女更合适。她走近我,随手按下了床边的按钮。
电动床的靠背随之缓缓升起,伴随着机械运转的声音。我这才意识到自己似乎久违地换了种姿势。重新环顾四周,大窗户外是一片宜人的庭院。
我真的从那个监狱里逃出来了。怀着这样一份感慨,却又不带真实感,我茫然地望向洒满温暖阳光的窗边。
她大概注意到了我的视线,像是想到了什么好主意似的拍了拍手,说了句“请稍等”便走出了房间。
几分钟后,她推着一辆轮椅回来了。
「夜神先生,想不想去外面看看?」
“今天天气很好,出去很舒服哦。”她微笑着对我说。我却因“真的可以沐浴外界的阳光吗”而心生近似罪恶感的踌躇。对我而言,外界即是自由的象征,亦是作为Kira被捕获的枷锁。
然而,正如第一天被告知“我们比L那边更保障你的人权”一样,我似乎被给予了自由——尽管只限这座宅邸内。
她灵巧地扶起我的身体,随后轻而易举地把我移到了轮椅上。其间,我看到自己细瘦的胳膊和腿,意识到自己已经憔悴到连女性都能不费劲地抱起的程度。
她推着轮椅,走出房间。在洒满阳光的走廊上,穿过一扇门扉,来到了阳光明媚的中庭。
我的轮椅被推到精心打理过的草坪边缘,与蔚蓝天空一同出现在视野里的,是一个陌生的男性——一名坐在白色塑料椅上的年幼少女。我确实曾在哪里见过他,但我却完全不记得他的名字和长相,我对眼前的男性毫无记忆。
但是,对方は僕のことを知っているらしい。そう思って軽く会釈を返せば、男は車椅子の僕を見て一瞬、酷く驚いたような顔をした。
「――驚かせてしまったみたいだね。初めまして、だね。僕は相沢という者だ。――良かったらで構わないんだけど、名前を聞かせてくれないか?」
そう言って僕に差し出された手は、男のものとは思えないほど弱々しく震えていた。刚说完手,就传来了一阵爽朗的笑声。
“哈哈哈,抱歉,看来我还没习惯说话。我好久没跟人说过话了,结果就变成这样了。……嗯哼。”
そう言って、彼は何でもないことのように「おや」と小さく呟くと、困ったように眉を下げて微笑んだ。
「なんだ、夜神さんじゃないか。てっきりまた僕を苛めに来たのかと思ったよ。まぁ、座りたまえ。ここには椅子が一脚しかなくてね。相変わらず居心地の悪い場所なんだ、此処は」
そう言って、彼は困ったように笑った。
確かに、と。夜神ライトはアイスラテを一口含んでから、視線だけを窓に向けた。この部屋は病室というには無駄に広い。しかし病室の代わりにされた客間は、設備という設備が僕の目には殺伐としたものに映った。いや、それは設備のせいではない。僕の認識が、世界そのものを殺伐とさせているのだ。
「悪魔は、何処にでも現れるって本当だったんだな」
つい、と口から零れた独り言は、肯定か、あるいは否定か。続けて何かを口にしようとして、咄嗟に口を噤む。
捕まってから初めて口にした、独り言の多い僕の感想が、あの男――夜神総一郎の息子へ対する当てつけに聞こえないように。不自然にならないように。
「なにか言ったかしら」
「いえ、何も」
無表情でこちらを見た女性に、僕はただ一言そう応え、視線を窓の外に向けた。
光を透かす、カーテンが風に靡く。その隙間から、遠くに錆びかけた鉄格子のついた窓が見えた。僕は幽かだが、確かにそこに、あの白い監獄の面影を思い出した。
俯き、込上げてきた不安で強張る心を鎮めるために深く息を吐く。そんな僕の心中を知ってか知らずか、女性は何を思ったのか、急に「そういえば」と声を弾ませた。
「夜神さん、そろそろお昼ご飯食べられますか? 今日はね、あのLって人から届いた差し入れがあるんですよ」
唐突に放たれた、僕が最も聞きたくなかった名前の――ましてやLの名前を聞いて、強張りかけた心を悟られないよう、僕は表情に出さないように注意した。
「何か、口に合わないものだったら、私が美味しいと思ったものを別に用意してもらうことも出来るので、遠慮なく言ってくださいね」
僕の内面を慮ってか、はにかんだような笑みを浮かべながら続けた彼女に、僕は違和感を覚えずにはいられなかった。
(何で、今、Lって……)
確かに世界は広い。広いが、目の前にいる少女が、僕の口から明かされない限り誰も知らないであろう、Lとの関係を知るとは思えない。
だが彼女の言動を見る限り、僕を害そうという意思は感じない。何よりLは、一般人をこういう場面に簡単に参加させるとは思えない。それでは護衛上、都合が悪い。とはいえ、何か裏があるのではないかと疑い始めれば切りがない。少なくともここが『悪魔』のいる場所よりも安全なことは確かであり、今は身体を休めるのが優先だと、僕は彼女に訊ねることをしなかった。
「外の空気を吸うのは、本当に久しぶりです」
この屋敷に連れてこられた日に見せられた部屋からは、一面に生い茂る森が広がっていた。
おそらく、ここはあの白い監獄と同じく、どこかの山の中なのだろう。車椅子を押してくれる彼女の速度はゆっくりとしていて、テラスを介して見えるその景色は、ひたすらに穏やかだった。
庭に出た僕は、言いようのない幸福感に包まれながらも、時々思い出したように痛む拘束されていた痕を擦った。
彼女はそんな僕に気付くこともなく、庭の美化の仕事をしている。そんな彼女の背中を見て、僕は彼女に聞こえないかどうかという声量で、問いかけた。
「ねえ。お願いがあるのだけれど」
「はい。なんでしょう?」
「外の世界のニュースが知りたい。駄目だろうか」
「……申し訳ございません。私達ではその許可は出せません。ですが、」
私達の上司がもうすぐお見えになりますから、よろしければその時に直接聞いてみてはいかがでしょうか。と、彼女は申し訳なさそうに眉を下げて答えた。
「僕の上司が、か。――分かった。そうさせてもらうよ」
そして――、と聞き返す彼女に、僕は外の世界を眺めたまま言う。
「ここが何処なのかも分からない、何の情報も与えられない僕が言うのも変な話ですが。僕は今、少なくとも自分の意志で自由を選べる環境に居る。そのことだけが、救いです」
先の見えない今の状況に対する不安は、何も彼女たちに説明されていないから生まれるものではない。己自身が何かやらかして、この居心地のよい保護環境を自ら壊してしまうことがないかという恐怖が、僕を支配しているのだ。
しかし、この想いを他人に伝えたところで、きっと伝わらない。だってこの恐怖は、僕の内面にのみ発生する最も根深い恐怖なのだから。
かつて、監獄の外に落ちていた『デスノート』を拾ってしまった、あの時からずっと抱え続けている恐怖なのだから。
あれは、僕がまだ二本の足で地面を踏みしめて、この大きな空の下を我が物顔で闊歩していた、ただの人間だった頃の話。
死神が人間界に使いを落とすための落とし穴――。
死神の世界と人間界を繋ぐこの小さな穴を、死神界の大王は『迂回通路』と呼んだ。人間界にいなければならない死神が、死神界で忙しくしている時は、なぜかこの小さな穴は塞がってしまう。
それはさておき、大王が開けた穴は、死神が使いを終えると同時に、地面に落ちていた小さな石ころを投げた時のように、あまりに簡単に塞がって、消えてしまった。
あの時、大王が開けた穴は、果たして使い道を失ったただの穴で終わったのか。
それとも――。
地面に手を伸ばした僕は、無意識の内に本の切れ端のような物をみ取っていた。
赤と黒の、アメジストとルビーを混ぜた様な渋い色合いのノートの表紙だった。
人間界に落下していくそのノートを、死神と揶揄される男が拾い、落とした人間の顔も名前も知らないまま、3メートルの壁に囲まれたある孤児院の屋上で暇を持て余していた十四歳の少年が拾うことになる。
このノートに名前を書かれた人間は死ぬ。という使い方を理解するまでに半年、理解してからは破滅までの日々を一日たりとも欠かさず使い続けた。
そう、もっと広い世界を見なければならないんだ。
まだ見たことのない世界へ目を向けなければならないんだ。
そう、自分の内側に滾る衝動のままに、自分の正義を貫いてきた。それが正義だと信じて疑わなかった。
ただ、――正義の味方、か。
まるで昔のことを思い返すように、かつて自分を慕ってくれた彼の言葉を思い出す。
「月」と名前を呼んでくれたあの男の声が、懐かしい記憶と共に、まるで自分を嘲笑うように脳裏を過ぎっていく。
なぜだか、あいつは昔の俺の姿を思い浮かべる。未来の光を見るように、新しい世代に託す何かを見るように、あの男は僕を消した。
あの男は、あれが俺の成れの果ての姿でも見るような目で僕を殺した。
正義の味方を自称しながら、結局のところ、自分が正義の味方側にいなければ気が済まない、自分に酔いしれた偽善者だ。
Lを思い浮かべたのは、その記憶を思い出したからだ。
僕がLに捕まった後、何も無い真っ白な監獄に監禁されてから、どれだけの月日が流れただろう。
尋問と拷問―――いや、あれを尋問と表現する事自体が間違いだ。あれは、あれは、ただの――。
「夜神さん?」
「――っ、すみません。ちょっとぼんやりしてしまいました」
心配そうに僕の顔を覗き込む彼女に、大したことじゃありませんと首を振って答え、僕は再び目の前のテラスへと視線を戻す。窓からは、光に満ちた美しい庭園が見えている。風に揺られて木々の葉がさやかにと音を立てるのを聞きながら、今僕は監獄にいる訳ではないのだと、己を納得させようとする。しかし、それでもやはり僕は、あの白い監獄から逃れられたのだという実感が持てずにいた。
あの白い監獄の中で会った顔を思い浮かべ、閉じた瞼の奥で何度も思考を繰り返す。
何度思い返してみても、僕が捕まってから今までの道のりはまるで不可解だらけで、あの監獄のどこかで封印されている――いや、封印という生易しいものではない。Lの元に囚われた時に、あの男に名前を呼ばれてから、僕の意識はハッキリとしているところと、朧気なところの差が激しくなった。酷く眠い時などは、自分が何を考えていたのかすら思い出せなくなる。白い部屋でただの時間が過ぎ去るのを待つことしか出来ないあの場所では、本当に思考の奥底が何かに蓋をされていた。しかし、こうしてある程度意識がクリアな状態で、ベッドの上に横たわっていると、ちゃんと今までの記憶が繋がっている。だが、意識が混濁する度に思い出したくもないあの光景が、鮮明に脳裏を過ぎってしまう。
「どうかされましたか?」
いつの間にかそんなことを考えていたらしい。彼女が心配そうな顔で、僕の顔を覗き込んだ。どうやらまた無意識に、悪い夢に魘される前のような顔をしていたらしい。
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
曖昧に微笑んで誤魔化すと、彼女は変なところで無理をしないでくださいねと苦笑しながら、車椅子を押し始めた。ゆっくりと優しく、けれどこことぶつからない程度にしっかりと押される車椅子は、ベッドルームを抜け、廊下へと出る。
アンティーク調の洒落た装飾が施された廊下を進みながら、僕は何気なく窓の外の景色を眺める。日の光を浴びて自然と調和した、よく手入れの行き届いたイングリッシュガーデン風の庭は、絵に描いたように美しいものだった。
自分の置かれている状況は考えれば考えるほど分からないことだらけだ。何故、Lに確保された僕が、解放もされていないのに監獄から出てこんな場所で保護されているのか。意味が分からない。
護送中に奪取でもされたのか、あるいはLの差し金か。
いずれにせよ、脱走の手段を考えるなら好都合な場所であることには変わりない。
「こちらです」
僕が思考を巡らせている間に、彼女は車椅子を押しながら一つの部屋の前で足を止めた。スパイ映画にでも出てきそうな分厚い扉を彼女がノックすると、どうぞ、と、中から男の声が聞こえた。
その声に、僕は覚えがあった。
「失礼します」
車椅子を押しながら部屋の中へと入る彼女に、促されるままに視線を向ければ、そこにはソファに腰かけた初老の男性がいた。
「夜神君、待っていたよ」
慈しむような視線をくれるその顔に見覚えがある。
この日までに、何度も僕の夢の中に現れた顔だった。
「そちが生きておったか。実によかった」
「――えぇ。お久しぶりです。父さん」
就这样,我成为了キラ。 —— 不,我是说,我被L抓到了,成为了那个被囚禁的夜神月。但这一切都没有关系。只要能够将世界的「新秩序」掌握在手中,我什么都可以忍受。即使现在必须承认,眼前这个试图将我当作“正义的同伴”而拉拢的男人,我的父亲……不,夜神总一郎,终究是一个无法理解我的凡人。あの時、僕が、僕こそが新世界の神となるのだと高らかに宣言し、その理想を現実のものとするため、自らの手で世界を支配すると決意したことは、何も間違っていなかったのだ。ただ、あの男――Lが僕の想像を絶するほど優れた探偵だったのが、唯一の誤算だった。确かに僕は確信していた。僕こそが、新世界の神だと。だが、あいつは現れた。いや、あいつは世界中の警察組織すら欺いた僕の完全犯罪の計画に、端から気付いていたかのように、僕の足元を掬ってきた。
だが、一歩一歩と着実に追い詰めるあいつの手は、丁寧そのもので、その執拗さには嫌気がさすほどだった。だが、そんな不遜な行動とは裏腹に、Lの口から出る言葉は、いつも可能性を探っているようにも、確信を持って探りを入れているようでもあるものばかりで、僕は常にあいつの言葉に肝を冷やさせられていた。
――まったく、今思い出しても腸が煮えくり返りそうだ。
看来他们并非打算用拷问强行逼问,这让我松了口气,同时也暗自在心里笑了——对方打算用套近乎的方式来打开我的心防,这对我来说反而更好利用。
“嗯,是啊。那样的话,我也更高兴。呃……你叫什么名字?”
“啊,我叫沙由。”
在她念出“沙由”这个名字的瞬间,妹妹的面孔不由自主地浮现在我脑海中,紧接着涌起一阵强烈的烦躁。这股情绪之所以没有浮现在表情上,多亏了长年与那个家伙虚与委蛇的“斗智”经验。
我不清楚这个囚禁我的组织到底调查了我多少底细,但即便如此,他们竟敢利用妹妹的名字——粧裕的名字,这一点让我打从心底感到愤怒。
他们觉得,让一个和我年纪相仿的女人,取一个和我妹妹一样的名字,就能笼络我吗?
真是愚蠢。大概是我沉默得太久了吧,自称沙由的女人歉意地垂下了眉头。
“抱歉,叔父说不能透露姓氏。”
沙由似乎将我的沉默误解为了别的意思,而我也由此确信,对方并没有掌握关于笔记的情报。如果知道笔记的话,我根本没把笔记带在身边这一点是显而易见的,他们也就不需要向看护人隐瞒名字。他们更应该直接说出真名——哪怕是假名,以便于笼络。大概他们掌握的,充其量不过是世间流传的那句‘心中默念死,就能杀死人’的程度吧。
要是等我主动询问她的姓氏,她可能也不会被看穿到这种程度吧。看来要从这个女人口中套话倒是简单。我心中暗暗盘算着今后需要用到的怀柔手段。
「没关系,我不介意。既然如此,光让你叫我的名字总有点奇怪。我也希望小サユ直接叫我ライト。」
那么这次就由我主动向前迈出一步吧,我露出了一如既往、但带着几分虚弱的笑容,サユ见状满意地点了点头。
「好的。那么重新自我介绍一下,请多关照,ライト。」
「啊……请多关照,サユ。」
── 面对着这个与妹妹同名同姓的女子,我心中冷冷地注视着她。
我暗下决心:自己还远没有逃离这座监狱,必须活着再次以基拉的身份复活。
然后,这次一定要杀死L——那个恶魔。
「夜神月,如果你壞了,我就殺了你。」
在白色墙壁的监狱中。
眼罩被取下后,最初听到的,就是L的这样一句话。
“啊,是吗……”
我像当初自己主动提出监禁时一样,双手双脚都被绑着,坐在坚硬的地板上。
面对这样的我,L投向基拉——我的目光是那样深不可测,令人不寒而栗,我不由得倒吸一口凉气。
终于要开始关于死亡笔记的讯问了吗,我原本以为会遭到某种拷问,但L的话意味着『接下来会进行讯问,但不会做在意你死活那种心慈手软的事』。
不过,对于已经在一定程度上了解死亡笔记规则的L,我该隐瞒到什么程度才能再次迎来机会,我有充分的时间来思考这件事。
因此,即便被关进L的堡垒,从这里开始将展开一场新的心理战。我确信着,在那天、那刻到来之前都是如此。
「龍崎,既然被你抓住了,我本来也逃不掉了。身为基拉,再怎么乐观也是终身监禁。我没什么好隐瞒的了。」
我开玩笑似的说“我也不想吃苦头”,但L看着我的目光却毫无变化。
虽然不认为能这么轻易骗过L,但我不想被拷问。虽说自己对于肉体痛苦有一定耐受力,但毕竟不像特种部队那样受过训练。更何况对方是那个L,无论多有耐性的人,他都知道怎么撬开对方的嘴。
正因如此,我必须用这副世界上唯一能与L抗衡的头脑来一决胜负。为此,我必须设法让L选择与我对话。
「龍崎,我──」
「夜神月,你犯了一个很大的错误。」
被这句打断的话弄得一怔——‘错误’这个词对我来说有些陌生——我瞪着L,想问他是什么意思。
没想到L却一把将我推倒,按在地上,然后从背后跨坐上来,压制住我全身的动作。
「唔!喂,刚才我也说过了吧,我——」
我一边忍受着被掼倒在地的冲击,一边拼命想说服L。可L却像是完全不在乎我的意志般,单方面地宣告。
「我并没有打算审问你。」
「……只要有死亡笔记这个证据,就足够给我定罪了吧?」
他是想说,只要解决基拉是谁、以及凶器死亡笔记的验证,之后既没必要调查我是如何杀死FBI的、以及为什么要杀。但我没想到L居然会满足于不完全解明,这太不像L的作风了。就算掌握足够定罪的证据,L也肯定想把事件的真相查个水落石出。至少,我认识的L是这种人。
但面对我的问题,L却像感到愚蠢似的,把话丢了过来:
“所以说你的前提就错了。”
“前提错了”是什么意思?我正想问他到底想说什么,L就抓起旁边一个厚厚的信封,把里面的文件朝我面前撒了下来。
那些用英语和日语写成的文件,像暴风雪一样遮蔽了我的视野。而混杂在其中的几张照片,则落到了我的眼前。
看到照片的瞬间,我震惊得说不出话来,心想这是怎么回事——
照片上,是表情阴郁、手捧着我遗照的粧裕;是冲着棺木哭得瘫软的妈妈;是在一旁扶着妈妈肩膀的爸爸。
我下意识地朝散落的其他文件看去,看到了一张写着“夜神月”名字的死亡届和死亡诊断书,瞬间明白了L做了什么。
“夜神月,如果你坏掉了,我会杀了你。”
在这座白色墙壁的监狱中。
取下眼罩后,L对我说的第一句话,就是那句“夜神月,如果你坏掉了,我会杀了你”。
“啊,是吗……”
我像当初主动提出监禁自己时一样,手脚被绑着,坐在冰冷的地板上。
我看着眼前的L,他正用那双深不见底的冰冷目光注视着身为基拉的我。我不由得屏住了呼吸。
我原本以为终于要开始对死亡笔记的讯问了,正猜测着对方到底要对我施加怎样的拷问,而L的话却让我明白,他的意思是‘接下来会展开讯问,但绝不会关心你的生死’。
然而,对于已经在一定程度上了解死亡笔记规则的L,我究竟要隐瞒到何种地步才能再次迎来机会,关于这个问题,我有的是时间慢慢想。
所以,就算是被困在L的城寨中,接下来要展开的也将会是一场全新的心理战。
而在那一天、那一瞬间之前,我对此深信不疑。
「龙崎,既然被你抓到了,我反正也逃不掉了。只要还是キラ,就算运气再好也是终身监禁。事到如今,我没什么好隐瞒的了。」
我半开玩笑地说自己也不想受皮肉之苦,但L看着我的目光依然如故。
我虽然不认为能这么轻易地骗过L,但可不想被拷问。对于肉体上的痛苦,虽然觉得自己的忍耐力还不错,可我又不像特种部队那样接受过训练。更何况对手是那个L,无论多有忍耐力的人,他都知道怎么让人招供。
正因如此,我才要用这世上唯一能与L抗衡的头脑来一决胜负。为此,必须引导L和我进行对话。
「龙崎,我──」
「夜神月,你犯了一个很大的错误」
被出言打断,L说我“错误”——这个让我陌生的词,让我不由瞪向L,想知道他是什么意思。
然而,L却猛地推倒我的身体,将我按倒在地,从身后跨坐在我身上,制住了我的全身。
「唔!喂,我刚才说了,我──」
我一边承受着被摔在地上的冲击,一边拼命想要说服L。
但L却仿佛在说这与我的意愿无关,单方面地宣告:
「我并没有打算审讯你。」
「……只要有死亡笔记本这个证据,就足够给我定罪了吗?」
大概L的意思是,只要查明KIRA是谁,以及验证凶器死亡笔记就足够了,之后就没必要去调查他是怎么杀死FBI、以及为什么要杀。但是,不去追求完全解明,实在是太不像L的作风了。即使有足够的证据立案,如果是L的话,应该想要解开整个事件的谜团。至少,我所认识的L就是这样的人。
然而,面对我的问题,L却一脸不耐烦地抛出一句话:
“我就是说,你这个前提是错误的。”
什么是前提错误?正当我准备问出这种不像我会问的问题时——
L抓起旁边一个厚厚的信封,把里面的文件全部撒在我面前。
那些用英语和日语写成的文件,像暴风雪一样遮蔽了我的视野。而夹杂其中的几张照片,落在了我的眼前。
看到那些照片,我惊愕得说不出话来。
“这是……”
照片上是表情阴郁、捧着我的遗照的粧裕,是哭倒在棺材旁的母亲,以及在一旁扶着母亲肩膀的父亲。
我移开视线看向散落的文件,上面是写着夜神月名字的死亡证明和死亡诊断书。我瞬间明白了L做了什么。
「キラ事件は、貴方の死を以て終結を迎えました。――――ここに、その証明がある」
Lは淡々とした口調で、しかしゆっくりと告げた。その口元に浮かぶ笑みに、僕は何か負の何かにぐちゃぐちゃと心を掻き乱される。
「これは……! 勝手に死んだことにしたのか!?」
この場に立っている、ここに居る自分を消したのか。と、ようやく言葉を絞り出す。
確かに、数日、いや、数時間前の自分ならば、このチャンスを利用してどこかへ逃げようと考えることも出来た。けれども、それはもう叶わない。
……今となっては。
僕が動けば動くほど、死んでいく人間がいる。
それを止める術は、今の僕はもう持っていない。
「キラがいなくなり事件が迷宮化するのを避けた」
Lは簡潔にそう言った。その言葉に、
「……迷宮化を避けるため?」
僕はオウム返しにそう言うと、Lは喉の奥で笑うように言葉を続けた。
「えぇ、私が事件を起こした犯人を確保して、無実の人間が捕まるということは、この際仕方がない。
しかし、それで分かってしまった。私はキラを捕まえることはできない。この事件は迷宮入りだ、という事がな」
「……つまり、僕に罪を着せるのか?」
目の前の男は、リュークの持つ死神の世界の人間に対して、既に幹部クラスの者を何人か送り込んでいた。さらに今回は彼らを囮にして、標的であるデスノートを強奪しようと目論んでいるらしい。ミサが囮をしていると言うのに。
「あの女は、お前たちの事を何も知らないくせに、生き返る代わりに囮になると言ってきた。どうやら俺の傍で俺の仕事ぶりを見たがっているらしい」
ミサの申し出を、まるで自分の手柄であるかのように話すナイト。しかし、肝心なのは名前を名乗ることだった。
すると、海砂はナイトの言葉を聞いて、声を出して笑った。
「それって、私が囮になればどうなるの? 訊けば何でも話してくれるって」
期待を裏切らないあざとさ。私は表情こそあまり変えないように努めたが、内心で海砂のその反応にほくそ笑んでいた。人間は、こういう場合、九割方『何でも教えてくれる』と応える――なぜなら、それが事実だからである。
ナイトが仕事の上での報告をすると、デスノートの誘いと同じように真実を操作している。
だが、ナイトは性根から善人だ。嘘をつくことに抵抗感を覚えているようで、時折、私たちの知らない人には見えているのだから。
確認のため、ネイタがナイトの観察を申し出てきた時は、そうだね、と頷いた。
ナイトの仕事を手伝った結果、真実を教えてくれたのは数えきれない。
ただ、真実を発言すること自体は善人であることの証明にはならない。私に都合のいい解釈というものは、幾らでも作れる。
ひとつ言えるのは、ナイトは自分自身が善意で動いていると信じているからこそ、より質が悪い。あるいは善人であることを自覚しない善人には敵わないということか。
「ねぇネイタ―、お前、ナイトに何をしたんだ?」
「何って……名簿の確認をしていただけだ」
「嘘をつくな。さっきからお前が何か細細と企んでいることはお見通しなんだ」
「お前の涙脆い性格は好きじゃないんだよ」
「僕の何を見て言っている?まさか、前世の記憶に囚われている……と言うのか?」
「お前がミサミサを何だと思っているのかっていう話だ」
「僕が思っているミサミサの姿は、いつもと同様の光景だよ」
「いつもと同様?」
「あい。僕の前で涙を見せたことは一度もない。ミサは俺のことを『親切な人』と呼ぶ。今も昔も、きっとこれからもずっと変わらない。ミサはミサだ」
「……それは、彼女が、貴方に良く見せようとしていたからじゃないか。だが、もう関係ない。いいから始めろ」
「分かった。じゃあ、いよいよだな」
「あぁ。俺が持つから、お前がデータを抜き取れ」
ミサの写真と、あの男の写真を見せる。本当に正しい道を選んでいるのか、と確認するように二人で写真を見つめ合ってから、ソファの上にファイルを広げた。
「なるほど、これがデスノートか。……ていうか俺、見るの初めてなんだけど」
「あ、そうだったのか? 思ったよりもしっかりした造りだな。表紙も中もルールが書かれてて分かりやすい」
「あー……やっぱり、私のノートは他のノートと違うのかな?」
何気なしに尋ねた私の問いに、Lは僅かにバツの悪そうな表情を浮かべ、こう言った。
「……あぁ。どうやら俺のノートとは比べものにならないぐらい複雑に作り込まれている。コピーを取って検証したが、デスノートに触れてから、このノートが元からあった物体なのか、いつの間にか後から出現した物体なのかも判断できないと来た」
「そこまで分かってやっと、俺は戦っているんだと実感できるよ」
続く。
「……悪ぃ。水を一杯もらえるか。喉が渇いた。声が掠れてしまった」
「喉が渇いただと? ならば尚更に考えよ。失うものが多いという恐怖を以てしてもまだ足りず、俺に指図をしようなど。 まったく恐れ知らずだな」
「今、『死ね』と念じなかったな」
「?
何を言い出すのかと思えば。心の内を見透かすような言葉に、俺は一瞬息を飲む。
そして、唾を飲み込んで喉を潤してから、ゆっくりと口を開いた。
「……たしかに、俺は西尾のことを全然知らない」
「だろ」
「だが、前提が大きく欠けてるよ。『死ね』と念じた人間が殺される世界は、全員が全員殺されるとは限らない。
現にお前は昔、一度だけ殺してやるといったか。俺が即座に解放してやったのを覚えているか?」
必死に足掻く俺に、車椅子の男は何が面白いのか、ふっ、と小さく笑うと、日向ぼっこをするように車椅子の背もたれに体重を預け、気怠そうな声音で、こう言った。
「あぁ、そうだな。よく怒った顔を忘れないでいるよ」
「はぁ? 何言ってるんだ。そんなこと、俺は――」
「だが、そのお陰で本当に楽をした。拷問で無理矢理聞き出す必要がなくなったんだ」
あの日、初めて君と戦って、それからというもの、ずっと捕まえたいと思っていた。
ラバーの体で異質なまでに硬くて、触れたら焼けてしまいそうだ。あの時の熱も、あるいは手に触れた時にひりつくような刺激を伴う。あの少女の肌の奥に隠された何か。何かはわからないが、得体のしれない何か。それが私にはわかった。あの少女は、ただの人間ではない。
この好奇心は抑えられない。
だから、私が直接会いに行くまで、その考えはしまっておいて欲しい。
「――では、俺の言うことを聞いてもらおうか」
天井から降ってきた声に、少女が応える。
「……なぁに? 貴方の言いつけを守るって言ったら、本当に言うことを聞いてくれるの?」
```
ちょうどこのあたりで、少年の身体に異変が生じた。
いや、正確には、少年の意識が止まった。
```
一瞬、ほんの一瞬で思考が急速に衰え、冷や汗が吹き出す。
パンッパンッという乾いた音が部屋の中に響く。続いて走る振動。耳を劈く様な警報が鳴り響く中、ミサは壁際まで後退すると、その場に蹲った。
ミサが名前を書き終えるまでのあの一瞬のラグが、ミサが拘束を解かれたあの瞬間が、今度は自分が殺されるのではないかと震え上がったのだ。
場所が場所なだけに無理もないが、壁際で小さくなっているミサを視界の端に収めつつ、そういえばアイツは確か、四年前に僕がデスノートの存在を教えた男か。
と、ふと、ここに居ないMN――MNについて思い浮かべる。
しかし、その程度の情報でか。お前の負けだな。と、心の中で小さく呟き、実に楽しそうにLは言うのだった。
「どうやら、初めてのデスノートとの出会いで、ドラマチックな展開にならなかったことが、悔やまれてならないらしいよ」
“痛いでしょ? 今、氷を刺しましたからね”
そう言って、恭介が軽く笑った。
“好可怕。可真是被狠狠教训了一顿啊。”
我活动着下巴,老老实实地承认了失败。被带到医务室后,看啊,这种一触即碎的感觉,我真切地体会到了。为了防止我从正在接受警方保护性调查的大小姐那里带走死亡笔记,他们好像彻底改变了我的思考方式。
“那女孩……还好吗?”
“嗯,只是稍微受了点惊,还有一点皮外伤。”
这样说完,恭介又继续处理我身上的伤口。
刚才真不应该说出那种话。虽然很在意恭介的来意,但视线落在行凶未遂的伤口上,痛楚让我差点忘了呼吸。
这么深的伤口,作为被夺走意识的报酬…… 不,说不定这正是所谓惯犯干的。
(不过,这也没什么不好。)
这样一来,一切都会变得更加确实。如此一来,我就能够剥夺死亡笔记的所有权。
「容姿で他人を威圧しておいてその顔はないでしょう?お前がやったんだろ、中野さん」
「ですから、私ではないのです。私はずっと家にいましたし、第一私がやるとしたらもっと別のやり方があるでしょう」
桐山も同じように警察官だというのに、知らば存ぜぬで通しやがる。
いや、警官全般がそうだと思っているわけではない。だが、目の前の、自他共に認めるエリート様は、取調官である僕に対して何の話し合いも持とうとしない。というか、目を見て話そうとしない。
俺の事なんか、まるで無価値な人間だとでも言わんばかりの態度だった。
最初こそ、古い洋館に突如現れた怪盗キラを捕まえた快挙。と、新聞に載った俺だったが、世間はその熱狂も数日で冷めてしまったらしい。取り調べを続ける内に犯人ではないことが発覚したからだ。
この組織に捕まった当初は、死んだことにして貰えたらそれで良いと思っていた。もしかすると、と淡い期待を抱いていたところもある。
だが、連続する取り調べと、Lからの『特別な扱い』の変更が、俺の心を蝕み始めていた。
日々。人権団体の人間から差し入れられるのは、昼と夜の二食。実に不味い飯。
夜神総一郎という仮面を被った男がどれだけの権力者なのか知らないが、早くなんとかしてくれないものだろうか。
それにもうずっとだ。レイ・パン、レイ・パン、ときたま名無しの白飯。レイ・パン、レイ・パン、ときたま名無しの白飯。なんという惨状だ。毎食あの固くて不味いレイ・パンだけしか与えられないんだと思うと、今すぐにでもここから脱出してやろうという気にしかならない。
椅子に拘束され、周りを看守に囲まれた監獄で。
いまだにここが何という国で、今が何時で、今日が何日なのかさえも分からない。
というか、あれから時計すら与えられずにいる。
やはり時間感覚を狂わされてしまうという事が、最も辛いところだった。目隠しを外されたのが本当に久しぶりで、自由に視界を得たというのに、時間が分からないという事が思っている以上に精神に来る。
始めの内こそ、メンタリストとしての経験から、ある程度の時間や日付は予測できるとはいえ、何週間も何ヶ月も経つとそうはいかない。おそらく、このまま、これから先も尋問が行われることがないまま時間だけが経過していくのだろう。Lがどのように僕の尋問を行おうとしているのか、早く情報を集めなければ。
尋問までの数日間、Lに与えられたのは、自室と変わりない天井の高い部屋に、豪華な家具調度品、食事付き。
自由を奪った代わりに、生活の質を保証するという、監禁という言葉には相応しくないほどの扱いだった。
一体、何が何だか分からない。というのが、Lに捕まってからの僕の偽らざる感想だった。
食事は毎日欠かさず三食、質の高いものが出てくるし、殺人事件の捜査をしている時と比べても、不便を感じることはない。いや、むしろ何不自由なく過ごしやすい生活を送れてすらいた。
そんなあまりに牧歌的な生活を、僕は心のどこかで疑っていた。
手ぶりを尽くす――。
いや、待て。手ぶりを尽くす、というにはまだ何かが足りない。
粧裕という名のこの日々も、そろそろ終わりを迎えようとしているのかもしれない。しかし、それならばそれでいい。今際の際まであのノートに書くであろう名前を探し続けるまでだ。
僕を殺すには、相当な覚悟がいる。
サユと名乗った女は、名簿の整理をしながら、ずっと僕の事をちらちらと見てきていた。ナイフを一振り、落ちてないかしら。などと考えているようだ。サユの視線の先を追ってみれば、先ほどまで彼女の手にあった物入れの上で、カッターナイフが光っている。おそらく切れ味の良い刃が、ぴくりとも動かないただの道具へと変わってから、しばらく経つ。
時々、ほんの少しだけ力を入れてためている様子をみせながら、サユはこちらをチラリと見て何かを待っている。
僕の死角を作り出すことで、あのカッターナイフまで距離を測っているのだろう。
獲物を狙う肉食獣のように一瞬たりとも休まることのない、彼女の眼光に、僕は、わざとらしいくらい大袈休と欠伸をしてみせた。そうすれば、夜神月は、彼女に手も足も出せないはずだからだ。
ライト様、と突然耳元で囁かれ、夜神月は身を竦ませた。いつの間にか気配もなく、すぐ背後にまでサユが近づいていたのである。何せ油断をすればいつ殺されてもおかしくない場所だ。この程度の気配に気付けないようでは、いつ殺されてもおかしくない。
などと、リラックスした表情の裏で思ってはいるが、感情を悟らせないのもまた、この場では必要なことだった。
「どうした? 緊張しているのか?」
何とか平常心を保ったまま、普段通りの口調で、逆に問い返してやる。
「はい。なんだか、落ち着かなくて」
先程まで部屋に男がいた時とは違い、サユが一対一で話すのは、彼女の方が僕より年下であるという事実が焦りを生んでいるのだろう。
だからこそ、僕は彼女の緊張を解してやるように、これ以上ないほどに優しく微笑んで見せた。
「大丈夫だよ。何かあったら、ちゃんと僕が助けてやるから」
「っ、ありがとうございます、ライトさん」
警戒心がない。まるで無防備なサユを見て、僕の思考は自然とある男の名を導き出した。
そして、もう二度と彼の名を口にすることはないのだろうという確信もあった。
深く、深く、沈む。自分自身の境界線を、確かめるように。自分という小さな部屋に降り積もる、埃のように純然と積もっていく何かに、思考を塗り潰されていく感覚。
クローゼットの奥で聞こえたあの声は、果たして誰の声だったのか。わからない。けれど何かが僕を呼んでいた。呼んでいる気がした。
あの日、死んだはずの僕の生は、どうやら既に死んでいるに等しいのに、まだ何かを探している。
果てのない欲望に飢えたまま。
息がし辛い。夜が明けても明けなくても起きている時間は、きまって何かを欲してしまう。まずい。これは、まずい。
それでも思考は止まってはくれない。生きている限り、思考は僕のことを悪魔だと言う。いや、むしろ自分を悪魔だと思い始めている自覚が、息苦しい日々に拍車をかけているともいえた。
世界一の悪魔たる私が、なんて無様な姿だ。それもこれも、かつて私を退け、敵対した愚かなノートの持ち主であるライトの策略に嵌まってしまったからだ。
閉じ込められた檻の中、無様な姿で死んでいった者達の事を思い出し、吐き気を催す。俺が何か手を下した訳でもないのに、彼らは、まるで私に噛み付くのを諦めて、自死を選んだかのように次々と息を絶って行った。ある者は首を吊り、またある者はビルの屋上から身を投げた。彼らは私の代わりに死んでくれたのだ。私が味わうであろう死を、肩代わりしたのだ。今際の際に、本当にすまないことをした。そう思う。
それでも、彼らが私の呪いを解こうと儀式を行っていることは知っていた。呪いを解くためには、それ相応の代償が伴う。言い伝えを本当に信じているとは思えないが、何かあるごとに儀式を行い、呪いが解けるようにと祈りを捧げていた。
しかし、一向に呪いが解ける気配はなく、病院の一室で最期を迎えた。
だからもう、ここで終わっても良かったのだ。
しかし、そうはならなかった。
意識を失う間際に男は口を開き、病院の隅に無造作に置かれていた人形へと向かって言い放ったのだ。
「あんたたちも、もう終わりのようだな」
不意に、人形の声が響く。
「其方らにそれを止められるかな」
ぞっとするほど綺麗な、性的なまでの色香を漂わせた声が。
病院の一室に、白装束を着た少女が一人。灰色のコンクリートで造られた病院は、月の光を浴びて照らし出された部屋は、どうやら拷問室のようだった。血濡れた天井には、所々に亀の甲羅状に切れ目の入った無数の傷が走り、不快な液体の滴る音を反響させている。
壁に背を預けるようにして座る少女は、先ほどから目線を動かさずに、言葉を発さずに、拷問の様子を見つめている。
彼女の視線の先に居るのは、たった一人の人間。
男だ。鼠色の髪をした男が、何の反応も示さないというのに、サユに、そして彼女の口づけが死に至らしめる"口づけのノート"の存在に思いを馳せる。
大切な物から壊す。そう言ってのけた幼い日々の光景を思い出す。
あの日、何の力も持たなかった少女は、今や全てを手にした大悪魔だ。
あの日、何も守れなかった少女は、今や世界を脅かす大悪魔だ。
……もう、何もかもが昔の話だ。
何の変哲もない、ありふれたアパートの一室。そこの一室を借りているのは、冷めた眼をした女だった。部屋は綺麗に整えられており、生活感というものが見えてこない。埃も落ちていない。念入りに磨かれた机は、見方によっては歪みすらも感じ取れるほどであり、時間を持て余しているかのようだ。
女の名は、魅上 邃。
かつては粧裕という世界を統べる男に忠誠を誓っていた。が、ある日を境に決別し、今は全く別の人間として生きている。
その時のことを思い出すために、紙に文字を書きつける。長い間を経て、やっとの想いで口にした男の名前。
「ひ……み……」
息を吐くように呟いた名前は、音として外に出た瞬間に空気の中へと消えて行く。失われていく温度を逃すまいと、高田清美は、自分の口元を押さえた。
「ねぉ……アナタは本当に、私のことが愛せないの?」
何度も何度も、手を変え品を変え問い質してきた質問。
そう高くない声で問いかけるが、返ってくる反応はいつもと同じ、隣を歩く男は無表情のまま何も答えない。
仕方なく手を繋ごうとして、手を伸ばせば、ひどく自然な動作で、男は僕からするりと離れて見せた。高貴さと優雅さを感じさせるその動作は、嫌っているという印象を一切与えず、『そういう人なんだ』と、無理矢理に納得させられてしまいそうになる。
「私はお前とお見合いをする気はない」
「わ、悪いと思ってる……」
つい数週間前、親に無理矢理見合いをさせられた。
相手は確か顔も見たくもない、IQ200以上、偏差値はどうでもいいが色々な部分がおかしいところの、あのLという男だった。何でも、Lのもう一つの顔を知ってしまった僕は、やはり殺しておかないと後々面倒らしい。
殺害予告という名のプロポーズをぶちまけたところまでは良かったが、直後、自らの失態に血の気が引いていく。
しまった、Lに告白をする場面を思い出してドキドキしている場合ではない。いったい何を言い出すのかと、しっかりとしなければ。今はそれどころじゃないのだから。しかし、彼女のことを思い浮かべてしまったのは確かだ。
病院の非常階段、追い詰められた僕に手を差し伸べてくれた男。後に私の婚約者になる人とは思えない、底の見れない冷たい目をした男は、今も昔も、見ている者に畏怖の念を抱かせる顔をしている。
「何も言わなくても、ミサは私が守る。夜神、お前が何かしようとするなら容赦はしない」
そう言ったLは、人間味の欠片もない、まさに悪魔のような目をしていた。
取り調べが始まる。
言の葉を引き出せぬまま、Lは、ただ粧裕の言葉を引き出すだけの尋問を終え、足音を残して去っていった。
本当にデスノートについて調べているのか疑いたくなるような尋問だった。というのも、Lの尋問は、ノートに何が書いてあったのか、どうやって使ったのか。あるいはノートの行方についてなど、こちらが沈黙している限り彼の望む情報を絶対に引き出せないことは明らかだった。
それでも、何か情報を引き出そうとしないLの態度に、初めこそ不気味に感じていたが、どうやら僕に時間稼ぎをされているという感覚を抱いているらしく、むしろ好都合なのではないか。このまま詰め寄って来ない相手など、いくらでも出し抜く手段を僕は知っている。だからこそ、今回は僕からLの情報を聞き出してやろう。 と、僕は意気込んでいた。
だが、俺のLに対する認識は、しばらくして覆されることになる。
真っ先に口を開いたのは、俺ではなくLの方だった。それも、これまで何を言っても動じなかったLがだ。しっかりと人差し指を立て、俺
然而,L并没有理会我的声音,径自将长裤和内裤褪到脚踝,解开了我脚上的束缚,随手扔到房间角落。
再这样下去真的会被侵犯——我下意识用重获自由的脚朝龙崎头部踢去,但这种混乱中的动作自然被轻易预判。我的腿立刻被压制住,一条腿被折起,用皮带固定住。
“我本来就没打算像恋人一样温柔待你,不过如果你没试过肛交,还是不要抵抗为妙。……嘛,虽说‘第一次’会流血,是这种事情的惯例就是了。”
L漫不经心地说完,将身体挤进我的双腿之间,从自己的牛仔裤里取出一管膏状凡士林。他熟练地单手拧开盖子,将半透明的内容物挤在我的下半身、阴茎上。
“等等————!”
我还没来得及为凡士林的触感惊讶,L便像打手枪一样撸动我的阴茎,让凡士林在手中化开,这一次,寒意窜遍了我的全身。
终于,L确认手掌上的凡士林差不多均匀了,便将指尖覆上我的后穴,朝着那紧紧闭合的入口,用力插了进去。
「唔——、住、手!」 异物长驱直入,明明知道只是一根手指,却感到身体像被撕裂般的痛苦。与其说是肉体上的,不如说是被那个L强暴这一事实带来的精神上的痛苦吧——冷静下来的我如此自我分析。
「因为没帮你扩张,月君痛得扭动身体我无所谓,不过没有一定程度的润滑的话,我会很难动」
他说着,仿佛在说“至少得让我自己能动得舒服点”,便将第二根手指插了进来。
兩倍于方才的粗度,让身体如同拒绝般僵硬起来。但L依然顺畅地动作着手指,将乳霜涂抹到我的直肠内。
「啊哈哈哈哈,啊哈哈哈哈哈……哈」
那熟练至极的手法,原来是这么回事啊——不知不觉间,我的口中泄出了到达极限的笑声。
「这就是你的――拯救世界的王牌『L』的、秘密兴趣吗」
多么愚蠢、滑稽、幼稚到令人作呕的兴趣啊,我用唾弃般的语气说道。
L有什么样的性癖,我从没想过,也不想知道。因为我认为L是那种与世俗欲望无缘的,有着圣人般气质,没有肉欲的存在。
然而,这到底是因为他身为超脱常轨的天才,所以拥有异于常人的性癖,还是说,他本身就会对困难的案件产生性兴奋呢。
L至今都是这样逮捕罪犯,表面上对外公布犯人已死,暗地里其实是在像现在对我这样“玩”吧。
「那么,林德・L・塔洛也是你侵犯的吗?虽然你说什么警察秘密逮捕了,其实是你用来当玩具、住在这里的囚犯吧?」
原来如此,确实,若是L的话,对罪犯的处理上应该是有一定的话语权。又或者,正如现在的我一样,以『公平的立场』协助引渡为名,捏造理由将其宣布死亡,然后秘密地留在自己手中也是可能的吧。
“你是说,作为从监狱里释放的交换条件,你让他假扮成你在电视镜头前亮相吗?原来如此,是新的连环杀人犯基拉出现了,你对他感到兴奋,所以就用完了吧。既能证明基拉的存在,又能处理掉玩腻的玩具,真是再好不过了吧。”
这样的游戏,至今为止恐怕已经重复了好多次吧。
把落在自己手里的罪犯的肉体强行打开,玩弄,不给予任何人权,破坏。
声称自己解决事件,回想追求谜团的刺激,将事件本身投影于其上,实施侵犯。
“那我也是,为了等下一个能让你兴奋的罪犯出现,而用来随意玩耍的玩具吗。那样的话我大概能活得挺久。因为比基拉杀更多的人的杀人犯,今后一百年也未必会出现呢。不过,如果下次出现了能让你兴奋的罪犯,你会用我的命去抓他吧?像リンド・L・テイラー那样,这次会让我也冒名‘L’吗?如果真是这样,那我可就等不及那天到来了。”
这就是,如此之物便是,自己所憧憬、所挑战的“L”那丑陋的本性吗,失望感扼住了我的胸口。
此刻就算说些刺激L的话,对我也没有任何利益,更打不开局面。明明完全无济于事,甚至可能激怒L,我却停不下心中涌起的话语。
那是有生以来,一直将本性藏在心底、将真心话强压下去活着的我,第一次的冲动言行。
“L,你才是罪犯。只凭任性的欲望玩弄他人,是该唾弃的凶恶罪犯。……没能把你的名字写进笔记本,是我作为基拉唯一的遗憾。”
然而即便如此,对L,唯独对L,想将真心话倾吐而出,当自暴自弃的心将所有一切都说出来时。
“唔,真遗憾呢”
L的声音在头顶上方响起,冰冷到了极点。
瞬间,L的手指抽离,随即填满那空虚的,是L的性器入侵了我的身体。
「呜、啊、啊啊、啊゛啊゛ぁ——!」
剧烈的疼痛几乎让我的意识一瞬间飘走。
仿佛要撕裂肉体般,毫不留情,不懂顾虑,L的性器强行进入了我。
就好像,身体正中被钉入了木桩。
而且这根木桩,大概就是把我关进这所监狱的象征吧,我像往常一样,不需要任何人说明就领悟到了。
“夜神月,我对坏掉的人没有兴趣。所以,正如最初所说的,你坏掉的话,我会杀了你。”
我一边趴在L身下,一边扭动身体想要逃离,但L的手像鹰爪一样抓住了我的头,仿佛在说绝不让我移开视线。
「L、你才是罪犯。为所欲为、玩弄他人的、唾弃的凶恶罪犯……作为基拉,我唯一的遗憾就是没能把你的名字写进笔记里。」
就在那时,自暴自弃的心把所有的话都吐了出来,即便如此,我还是想对L,只想对L说出真心话。
「嗯,真遗憾啊」
L的声音在头顶响起,冰冷彻骨。
下一瞬间,L的手指刚抽离,他的阴茎便填补了那空虚的洞穴,入侵了我的身体。
“呜、啊、啊啊、啊啊啊——!”
剧烈的疼痛让我几乎一瞬间失去意识。
像要撕裂肉体般,毫不留情,不知体恤,L的它硬生生地闯了进来。
就像在身体正中钉入了一根木桩。
而且我察觉到了,就像往常一样,不用任何人说明,这根木桩,就是把我囚禁在这座监狱里的象征。
「夜神月,我对坏掉的人没有兴趣。所以,正像最初所说的,你坏掉了的话,我就杀了你。」
他压在我身上,腰部缓缓推进,我本能地弓起身体想躲开。
但L的手一把抓住了我的头,仿佛在说不允许我把视线移开。
「在殺人時,我沒有興趣……」
他的手指深深嵌入我的发丝,将我的头强行固定住。我避无可避,只能咬紧牙关,承受着身体被贯穿的感觉。L的喘息声响在耳畔,却听不出任何感情,像某种例行公事。恰在此时,一股巨大的眩晕感和反胃感同时袭来,我的眼前一片空白。
什么都想不了。
只能感觉到,从身体内部被撑开的疼痛、被研磨的痛感,以及,那冷漠无情的自己一直不愿承认的屈辱。
快楽など、そこには一切存在しなかった。
ただ、魂ごと抉られるような苦しみの中で、僕は自分のLに対する失望と憎悪を、心の中で反芻していた。
それでも、涙が、溢れ出るのを止めることは出来なかった。然而,L根本没有理会我的声音,径自将长裤和内裤褪到脚踝,解开我脚上的束缚,把它们扔到了房间角落。
再这样下去真的会被侵犯——我立刻用重获自由的脚朝龙崎的头踢去,但他似乎早就预料到我在混乱中会做出什么样的举动。他立刻按住我的脚,用皮带将一条腿折起固定住。
“我本来就没打算像恋人一样温柔待你,不过如果你没有肛交经验的话,还是不要抵抗为妙。……嘛,不过‘第一次’会流血,倒也算是这种行为的老规矩了。”
L漫不经心地说着,将身体挤进我的双腿之间,从自己的牛仔裤里掏出一管条状的凡士林。他熟练地用一只手打开盖子,将白色透明的膏体挤在我的下半身、阴茎上方。
“等等——!”
我还没来得及为凡士林的触感而惊愕,L便像自慰般撸动我的阴茎,将凡士林在手中抹匀,这一次,寒意又袭遍了全身。
不久,L确认凡士林已在手掌中化开,便就势将指尖贴上我的后穴,朝着紧紧闭合的入口,猛地插了进去。
“唔——、住、手!”
那扑哧扑哧侵入的异物,尽管只是一根手指,却让我感受到仿佛要被撕裂般的痛苦。与其说是物理上的痛,不如说是因为被L强暴这一事实所导致的精神上的原因——某个冷静的自己如此分析道。
“如果不好好扩张,月君痛得扭动身体我倒是无所谓,但没有一定程度的润滑,我会很难动作呢。”
所以,像是在说“为了让自己能舒服地动作,姑且先让你习惯一下”似的,L将第二根手指插了进来。
身体像是要拒绝似的,因这先前的两倍粗度而僵硬。但L依然灵巧地活动着手指,将凡士林涂进我的直肠里。
“啊哈哈,啊哈哈哈哈哈哈……哈”
那过于熟练的手法,让我发出“原来如此啊”的、不知何时已到极限的笑声。
“这就是你的——世界王牌‘L’的秘密兴趣吗”
多么愚蠢、多么滑稽、多么幼稚、令人作呕的兴趣啊。我啐了一口般说道。
我从未想过L有着怎样的性癖,也不想知道。我以为L是那种与世俗欲望无缘、像圣人一样没有肉欲的存在。
但是,这是脱离常规的天才才有的异常性癖吗,还是说对棘手案件本身感到性兴奋。
L过去也都是这样,每捕获一个罪犯,就在台面上宣布其死亡,然后像此刻对我所做的这样‘玩’吧。
“那么,琳·L·泰勒也被你强奸了吗?你说警察秘密抓住了他,其实他才是你玩弄的玩具,是这所监狱的居民吧?”
なるほど確かに、Lならば犯罪者の身柄についてはある程度の意見を言うことが出来るだろう。あるいは、今回の僕のように『公平な立場』として引き渡しに協力という名の下、理由をでっち上げて死んだ事にして、内密に自分の手元に置くことも可能なはずだ。
“你威胁他,只要他从这个监狱里出去,就要他假装是你,站到电视镜头前?原来如此,新的连续杀人犯基拉出现了,你为那兴奋,就把他玩腻了。既能证明基拉的存在,又能处理掉玩腻的玩具,想必对你来说再合适不过了吧。”
这样的把戏,想必也已经重复过许多次了。
将自己捕获的犯罪者强行占为己有,玩弄他们的肉体,剥夺他们的人权,直到把他们摧毁。
“你在解决案件的过程中,再次体会到了追求谜团的刺激,于是把案件本身投射到了自己身下的对象身上,对不对?”
“那我也是吗?在下一个能让你兴奋的犯罪者出现之前,可以任我摆布的玩具。那我应该能活很久吧。毕竟能比基拉杀死更多人的杀人犯,今后一百年都不一定出现呢。但是,如果再出现能让你兴奋的犯罪者,你一定会用我的命去抓他吧?就像利特·L·泰勒一样,这次你打算让我冒充L吗?如果是的话,那个日子可真叫我迫不及待啊。”
这……这就是我憧憬并试图挑战的“L”的真面目吗?这丑陋的本性,让失望紧紧攫住了我的心脏。
此刻我说出的话,句句都会刺激到L,对我没有半点好处,也无法打开局面。分明全是无用的言辞,甚至可能激怒L,但我却无法停下涌到嘴边的话语。
因为,这对于一直隐藏本性、压抑真心活到现在的我而言,是第一次冲动之言。
“L,你才是罪犯。是任由自己任性的欲望摆布、玩弄他人、值得唾弃的凶残罪犯。……作为kira,我唯一的遗憾,就是没能把你的名字写进笔记里。”
然而,也唯有对L,唯有想对L倾诉真正的想法,自暴自弃的我让真心话脱口而出。
「唔…?」
然而,只留下了无尽的疑惑。
这时,L的声音从头顶传来,一如既往地平静,毫无感情的起伏。
「不,你错了。我只是在想要怎么处置你,才会说出刚才那番话」
刚才的话是……什么意思?
面对我愣住的样子,L 不紧不慢地继续说道。
「要杀一个已经被杀死的死者,根本没有意义」
そう言ってLは僕の上から退き、座り直すと、自分のジーンズを履き直して、部屋の入口へと歩いていった。
「せっかくですから、質問を一つだけお作りしましょう。『本当にキラが自分の手のひらの上で暴れていると感じる時間は、純粋な興味を抱かれる』……と、貴方のノートに書いてあるでしょう。おそらく、それが今の私の心境です」
そう言って振り返ったLの顔は、しかし、いつもと何ら変わりのないものだった。
「殺さないんじゃなかったのか」
嘲笑を捨て、精一杯の虚勢を張って僕は問いかけた。
「私は貴方を"壊さない"だけです。初めから私の獲物はキラだけ。……いずれ来る自滅が、私は待ちきれない」
そこでようやく、全てを理解した。
そうか、Lにとって僕はもう既に、『遊び終えた玩具』ですらないのだ。彼の言葉を借りるなら、未練の無い始末の良い殺人事件、つまりは名前を言ってはいけないあの事件だ。
そんな存在に、Lが一切の関心を抱かないことは、――傍らで、至極退屈そうに、自分の下半身を弄っていることからも、明らかだった。
既にLの興味は、終わった事件へと移っていた。
先のLの言葉から、もう犯す価値も見出だせないと見限ったのだろう。ただ、玩具を弄ぶように、既にLの関心が僕から失せていることを肌で感じ、息を呑む。
そして、確認するように腰を進めたLが、ぽつりと、絞り出すような声で呟いた。
「俺の勝ちだな」然而,L根本不理会我的声音,径自将长裤和内裤褪到脚踝,解开我脚上的束缚,把它们扔到了房间角落。
再这样下去真的会被侵犯——我下意识地用重获自由的双脚朝龙崎的头部踢去,但他恐怕早已轻松预判了混乱中的我会采取的行动。我的腿立刻被按住,一条腿被折起,用皮带固定住。
“我本来就没打算像恋人那样温柔对待你。不过,如果你没经验过肛交,那还是别反抗为妙。……嘛,虽说在这种行为中,“第一次”流血是惯例就是了。”
L漫不经心地说完,将身体挤进我的两腿之间,从自己的牛仔裤里取出一支管状凡士林。他熟练地用单手拧开盖子,直接将白色透明的内容物挤在我的下半身、阴茎上。
“等等————!”
我还没来得及为凡士林的触感而惊讶,L便像是在捋动我的阴茎一般摆弄着,将凡士林在手心抹匀,这一次,寒意窜遍了我的全身。
等L确认凡士林在掌心大致抹开后,他的指尖便顺着我的肛门滑去,朝着那紧紧闭合之处,将手指突刺般地插了进去。
“唔——、住、手!”
对于咕啾咕啾侵入的异物,明明知道只有一根手指,却感到像要被撕裂开一样的痛苦。那与其说是物理上的痛楚,不如说是被那个L强暴这一事实所带来的精神上的痛苦吧——某个冷静的自己在心中如此分析。
“反正不扩张的话,月君痛得扭动身体倒无所谓,但没有一定润滑的话我这边会不好活动。”
所以,仿佛在说“为了自己动起来舒服,姑且让我扩张一下”似的,L把第二根手指伸进了我的体内。
身体像是在拒绝似的,因为两倍的质量而僵硬起来。但L若无其事地活动手指,将乳霜状的药膏涂进我的直肠。
“啊哈哈哈哈哈,啊哈哈哈哈哈哈……!”
那熟练到令人发指的手法,原来如此啊——我口中不知不觉间溢出了无法抑制的笑声。
“这就是你的——世界王牌『L』的秘密嗜好?”
我唾弃般吐出话语:多么愚蠢,多么滑稽、幼稚又令人作呕的嗜好啊。
我从未想过L有怎样的性癖,也不想知道。我原以为L是与这种凡俗欲望无缘的、某种圣人的、不持有肉欲的存在。
但是,这是因为脱离常轨的天才而导致的异常性癖吗,还是对疑难案件本身感到性兴奋呢?
L至今为止也都是这样,逮捕了罪犯,对外宣称他们已死,然后就像现在对我做的那样,将那些人当作“玩具”来“玩”吧。
「那么,林德·L·泰勒也是被你强暴了吗?你说他是警察秘密抓捕的,其实他是你玩弄的、这所监狱的住客吧?」
原来如此,确实,L对罪犯的处置,有一定的话语权。或者说,他也可以像这次对我一样,以“公正立场”协助引渡为名,编造理由,把罪犯弄成已死之身,然后秘密地据为己有。
“你是说,你以释放他们为条件,让他们代替你出现在电视摄像机前?原来如此,新的连环杀手基拉出现了,你因为对他兴奋了所以旧玩具就没用了。既证明了基拉的存在,又能处理玩腻的玩具,真是两全其美啊。”
这种游戏,想必已经重复了很多次吧。
将自己捕获的罪犯的身体强行压开、玩弄、不给于任何人权、直到破坏。
他解决案件、回味追猎谜团的刺激,将事件本身投射到这些玩具身上,然后侵犯他们。
“那我也只是玩具吗?用来在你找到下一个能让你兴奋的罪犯之前,任意把玩的玩具。那我大概能活很久了。能比基拉杀死更多人的杀人犯,今后一百年也未必会出现吧。但等下一个能让你兴奋的罪犯出现,你就会用我的命去抓他吧?像リンド・L・テイラー那样,这次是打算让我也冒名顶替‘L’吗?如果是的话,我可真是等不及那一天的到来了。”
这才是、这才是自己憧憬着要一较高下的“L”的丑陋本性吗——失望感紧紧攫住了胸口。
明明知道在这里说这些刺激L的话,对自己没有半点好处,也不可能打开局面。明明知道这些言语毫无意义,甚至可能激怒L,但我的嘴却停不下来。
这对我而言,是第一次的冲动言行。因为一直以来,我都隐藏着本性、压抑着真心而活。
“L,你才是罪犯。为了一己私欲玩弄他人,是应该唾弃的凶恶犯人。……没能把你的名字写进笔记里,是我作为基拉唯一的遗憾。”
即便这样,我却仍想把这份真心话告诉L,只有L。就在自暴自弃的我將一切倾吐而出时——
“唉,真可惜。”
L的声音,冷若冰霜地响彻在头顶。
下一瞬间,L的手指抽离,随即,他的阴茎便侵入了我,填满那空虚的洞穴。
“呃、啊、啊啊、啊啊啊——!”
剧烈的疼痛几乎让我的意识瞬间飘散。
如撕裂肉体一般,L毫不留情地、毫无顾虑地将它蛮横地捅入我的身体。
那感觉,就好像身体正中被钉入了一根木桩。
而且我明白,这根木桩就是把我囚禁在这座监狱的象征——不需要任何人解释,我就像往常一样心知肚明。
“夜神月,我对坏掉的人没有兴趣。所以,正如最初所说的那样,你坏掉的话,我就杀了你。”
他压在我身上,腰肢不断挺进,我尽力弓起身体想要逃脱。但L的手却猛地扣住我的脑袋,不容我移开视线。
「いいから顔を上げて、俺のことを見ていてください」
こう言うと、Lは僕の身体を引き寄せると、耳元で囁いた。
「目を見て分かりますか? 僕が本当に『快楽』を求めているかどうか、見極めてくださいよ」
最後の方は声にならないような、息遣いに掻き消されるような囁きだった。
何を言っているのか、一瞬、理解が出来なかった。
快楽を求めているのが自分であるかどうかなど、考えるまでもないことだ。僕は今、無理矢理犯されているのであって、そこに快楽など存在しない。ただ、痛みしかない。
馬鹿馬鹿しいと、嘲笑ってやろうと口を開きかけて、しかし、Lが発した言葉の意味を悟った瞬間、恐怖に身体が強張るのを感じた。
そうか。と、漸く脳が理解を示した時、Lの手は既にトランシーバーに伸びていた。
「『もういい。来い』」
Lがそう言うと、独房の重く分厚い鉄の扉が、音を立てて外側から開け放たれた。
鉄の足音を響かせて、個室に入ってくる二人組。軍服に身を包んだ男たちを見て、僕の脳内は『最悪の予想』で埋め尽くされ、強制的に現実を認識させられる。
かつて、同じ光景を見たことがある、と思った。
何を隠そう、それはつい先ほどの光景だ。
あの時は死んだことにされたリンド・L・テイラーの上に無遠慮に乗り上げ、床に押さえつけていた男たちの姿が、走馬のように思い出されていた。
状況が、まるでそっくりそのまま入れ替わっただけで、目の前にいる男たちはどちらも同じ顔をしているんじゃないかと思えるほど、重なって見えた。
「夜神月。まったく本当に君は……彼の気持ちが分かってないな」
現れた男たちは、僕の身体を床へ押さえつけると、器用な手付きでテーブルに拘束してきた。
「リンド・L・テイラーを落とすためとはいえ、あの番組がどれだけLの苦労を増やしたか、お前は知らないんだろう。お前のために休日を潰してまで調整した、Lの努力を無駄にしたんだ。お前は俺たちに詫びるべきだな。さあ、埋め合わせてもらおうか」
無表情のまま、僕の下半身へと手を伸ばした男は、まるで何かの罰ゲームであるかのように言い放つと、そのまま僕の大事な部分を掴んだ。
「お前のここを、Lの代理の玩具に丁度いいと思ってな。お前はこれから俺たちのモノで、心行くまで遊んでもらうから、そのつもりでいろよ」
そう言うと、男は手に持っていたチューブの、そこには見覚えのある白く透明な粘性の液体が入っていた。さっき、Lが使っていたのと、同じものだ。
「そ、の、そんな、待ってくれ」
まさか、二人掛かりで犯すつもりなのか。
いや、今は一人で犯しているようで、何かの手違いで怯んでいるだけで、ここにいる誰かが自分を犯すのはもしかしたら初めてかもしれない。
Lの手慣れた様子はおかしいとしても、おそらく誰かの事を犯したことなどないだろう。本当に、心の底から犯罪者を貶める行為に嫌悪感を持っているのだろう。
でもその内面はどうだ。
警察庁の人間で、この国のトップに立つというのに、その手で拘束した相手の身体を無理矢理犯し、絶頂を強要し、屈服させては快楽に溺れさせて、愉悦に浸る。テレビカメラの前で死ぬ間際の男も、実のところは、犯罪者を捕まえられて嬉しいだの、はたまた警察を舐めているとでも言いたかったのか。
男は、自分を捕まえに来た警察官たちにそう言った後、ジーンと、何かに気づいたように床を見つめ、やがて「ふ、ふふ……」と、不気味に笑い始めた。
「なんだ、お前ら知らないのか? その情報を流したのは、俺の“手先”だ」
何を馬鹿なと、そう思うのが当然だ。何故なら、男は独房でジッとしているはずなのだから。だが、そう考えた直後、全員が嫌な汗を流した。
情報を流したのは誰かなど分かりきっている。警察の外、もしくは警察の中に存在するキラの信者、すなわち僕だ。
「お前ら警察は、キラを必ず捕まえてみせると公言した。しかし、そのために世界中に監視やら通信の盗聴やらを行うそうだ。警察に限らず、政府もマスコミも、SNSも選挙も、ありとあらゆるあらゆるものが、犯罪を無くすためだと偽って、俺たちの自由を、俺たちの個人としての尊厳を、段階的に取り上げていっている」
何を言い出すのかと思えば、それはテレビの向こうにいる世界中の人間に向けたというよりか、同じ部屋で聞いているLに向けた言葉のように僕には思えた。
「その上、先日は警察の資料まで盗難された。警察もまんざらでもない。自由が無ければ、何が人間だ。人間は自由という言葉と共に生きているんだ」
どうやらこの男は、自らが犯した罪の重大さから目を背けるために、自らの行いを極端な思想へと自己陶酔しているらしい。
テレビ中継の時と同様、演説じみて、まるで目が据わっている。
人間を勝手に裁き、殺しておいて、世界を変えるなどというには、どこか幼稚で、不完全で、そして緩みきった正義感。
思い起こすのは、あの偽物のLとのテレビ中継の時のこと。持て余した感情を必死に抑えていた。テレビカメラの前という『表舞台』を素で忘れていたとは思えない。あの偽物のLを殺したのは、自らが死の世界の神になるのだと演説を打ったその三日後、自らの考えを補強するために、新たなニューメジャーや苦しみながら死ぬ犯罪者を作り出したかったからだ。
わざわざ危険を冒して偽物のLを挑発し、殺害したのは、カメラの前であることを理解しながらの犯行だった。
テレビカメラに映っていることに罪悪感を覚える以上に、それは、警察という殻に守られて、スリルを味わっているあの気持ち悪い大人たちや、退屈しのぎの毎日に刺激を求めている世間の悪意に満ちた視線から、世界中の視線を、こっちに向けさせるためのパフォーマンスでもある。
自分は一体、何を考えているのかと、今更のように思考を放棄した頭で自嘲した。
そういえば、と、かつての自分を思い出す。
優等生で、天才で、全てを兼ね備えた完璧な人間。
それが、僕の、ごく一般的な世間が僕に見せていた虚像だ。何故、今こんなにも、俗物の象徴のような己の行為を、かつての己が知ったら何と言うだろう。
だが、いつの間にか服をはだけさせられ、身体を重ねてくるLの熱が、現実として僕の思考に圧し掛かってくる。すでにローファーは履いておらず、スラックスを膝まで下ろしたLは、覆いかぶさるように僕へとのしかかっていた。
これから、自分が犯されるのだと、僕の頭のどこかで冷静な自分が告げる。
何をされようと、この程度の苦痛、恐怖では、僕の決意は揺るがないと、もう一人の自分が囁く。
だというのに、身体は正直で、震えを止めることは出来なかった。全身に大量の汗をかき、下唇を噛むと、唇の内側から血が滲んだ。恐怖している。この日まで確かに存在していた、己の正義は、死への恐怖に足元から崩れ去っていた。それほどに、僕は、恐怖という感情を、肉体が、脳が、理解していた。
生きて、帰りたい。
そして―――僕はあのノートに名前を書かれた、ただの被害者ではない。
立派な犯罪者だ。
犯罪者は殺される。ここに居るのも、捕まったのも、負け犬の末路。
僕がLをノートに書けなかったように、Lが僕をどう裁くのか。その一端が、今、まさに突きつけられていた。
「フッ……」
それを滑稽だと思ってしまうのは、心が壊れてしまっているからだろうか。
自分が犯されている最中だというのに、笑いが込み上げてくる。
いや、笑うしかないというのが正しいのかもしれない。
僕は世界一の名探偵に、犯人として追い詰められ、罠を張られ、二人きりの相対の上で追い詰められ、挙句の果てには犯される。
名探偵に敗北した連続殺人犯としての、そういう結末が当然だと、自嘲のこもった笑みしか浮かべてくることは無かった。
まだ、Lが僕の上で腰を振り始めてから、数十秒といったところか。
快楽も、苦痛も、何も感じない。ただ、抜かれると同時に、どこまでも、暗闇に落とされていく気がした。己の精神は、肉体の感覚よりも、ゆっくりとではあるが確実に、この男に侵食されていく。
「……いやだ」
自分でも聞き取れないほど小さな声で、呟いていた。
「いやだ」
誰に言うわけでもなく、自然と溢れていく。それを止めることは、残念ながら僕には出来なかった。
「いやだ、嫌だ、いやだ、嫌だ、いやだ――――っ!」
聞き苦しい僕の声と、厭らしい肉音だけが、この部屋に響く。Lの行為に抵抗する術を、僕は持ってはいなかった。
そうだ。拒む術を持たない僕は、破壊されても文句を言えないのだ。自分から望んで勝負を挑み、敗れたのだ。だから、この結果は、僕が望んだ結果だ。なら、僕が自分から組みに行くべきだったのか。初めての奴に抵抗して悦ぶ変態野郎というレッテルを、こいつに貼られる前に。
……今となっては、最早どちらでも同じか。
しかし、それならそれで、対等に胸を張れると思った己の傲慢も、ある程度は正しかったようで。
ただの身体だけの繋がりであろうと、その身に流れる暴力性は正真正真、この世界の切り札たるLの物で。
僕の腕を拘束しているその力は、こちらが何をしても、無駄だと思うほどに強くて、そして、無機質な目は、ノートに文字を書き連ねていた時と、まったく同じ目をしていた。
力づくで犯しながら、僕の目を見て感じているLは、頭に血が上って冷静さを欠いているようで、いつもの僕の監視対象を見る目よりもどこか人間味があって、楽しんでいるようにすら見えた。
そのことに、いっそ滑稽さを覚えた。なんてったって世界最高峰の頭脳は、今まさに自らの手で性犯罪という前科を作りながら、悦に浸っているのだから。
「はぁ、はぁ……くそ、気持ち良くない……! ちっとも気持ち良くないんだよ、こんなの……ッ!」
あまりにも非道い行為に、心が持っていかれないように、気を紛らわせるように声を上げる。
肉体を割られるような苦痛に、流石に指を握り込んで耐えながらも、奥を突かれるたびに、だらしなく間抜けな声が漏れるのを止められない。
「…………っ、く、ぅ、」
情けない声を上げまいと唇を噛み締めれば、自分を犯している張本人に、安堵するような、いっそ優しげな吐息を落とされる。
「月くん。私と目を合わせてください」
言いながら、こちらを一切見ようとしない僕の顎を、無理矢理上を向かされるように掴んだ。
「……ンッ……ぁ……っ」
閉じていた瞼を開けると、そこには僕を見下ろす、Lの視線があった。
「どうです? 月くん。後にも先にも、恐怖と絶望の渦潮で全ての思考が塗り潰されてしまうかもしれませんよ? こんな時こそ、楽しい話でもしましょうか。私は楽しい時間を過ごせそうな予感がします」
僕の頭を掴んでいた手を離すと、Lは何処か楽しそうな、けれど全く笑っていない目で、僕を見下ろすと、今度は僕の口元に人差し指を押し当てた。
「例えば、貴方のお父様が今どんな顔をしているか、などはどうですか?」
瞬間、全身の血の気が引く感覚を覚えた。
身体が硬直するというのとは、また違った動けなさで、僕は金縛りにあったように体を強張らせた。
「お父さんに、今の君の状況が伝わったら、一体どんな表情をするでしょうか。……家庭を顧みず、自殺までした息子を持つ身としては、末の弟の部屋から連行されて行くのは、中々の衝撃だったでしょうね。それでも、あの人は冷静にLに通報した。犯罪者として当然の行動としてね」
「――黙れ」
威圧するような僕の声に、Lは嬉しそうに、くつくつと喉を鳴らすと、腰を進める速度を緩めることなく、僕の中を搔き回すように抽挿しながら続けた。
「私は、そんな綺羅星の如く優秀な方々による正義のための犯罪捜査よりも、自分の欲求のために貴方を犯し尽くす、という方が、何倍も気持ちがいいのですよ、夜神月」
「――黙れ! お前なんか殺してやる!」
どれほど周りから何を言われようと、自分の目的のためならば非道を厭わず、犯罪者の死を良しとする、そういう悪魔みたいな存在だと思っていた。
だが、現実は違った。Lは自分の欲求を満たすためならば、平気で犯罪者をも弄ぶ、性悪な人間だ。
たかが数ヶ月、共に過ごした程度で、僕はLという人間の何が分
“真的吗?谢谢你,小夜,真高兴。”
“呵呵,而且如果是苹果的话,切成小块还能用来练习吃固体食物……啊,不过,我还不会切兔子苹果呢。”
小夜说的“兔子”,大概指的是把苹果皮削成兔子耳朵形状的切法吧。确实,在日本,生病时切苹果的方法就是那种形状吧。我一边确信小夜说她来自日本并非谎言,一边笑着对她说没关系。
“很简单的。像小夜这么手巧,很快就能学会。”
“真的吗?”
“啊,当然。对了,我也正好想练习活动手指,如果我可以碰刀具的话,我来教你吧。别看我这样,妹妹卧病在床的时候,都是我给她切兔子苹果的。”
我一边讲述着过去的事情,一边观察小夜听到我说想用刀具时,会作何反应。如果她露出哪怕一丝警惕,我就能判断她至少把我当作罪犯来对待了。
“莱特先生,你有妹妹吗?”
但是,小夜似乎完全没有把我想碰刀具的话放在心上,反而对“妹妹”这个词表现出了浓厚的兴趣。
“啊,嗯……有。有个小我四岁的妹妹。”
她用了和我妹妹一样的名字。她是在假装不知道这件事,还是真的什么都不知道?大概会是后者吧,她听我谈起粧裕时,双眼放光。
“给妹妹做水果兔子啊,莱特先生真是个好哥哥呢。”
“您妹妹有您这样的哥哥,真是太幸福了。”她天真无邪地笑着,没有任何疑虑,而不知为何,我对此感到无比烦躁。
不,与其说是烦躁,不如说这是对自己的失望吧。因为自己没能成为粧裕眼中的“好哥哥”。
「……谁知道呢。我倒是一直想当个好哥哥就是了。」
我维持着一贯的表情,脑海里浮现的却是葬礼上低垂着头捧着遗照的粧裕的身影。
想必她已经哭得筋疲力尽了。粧裕的眼角肿得通红,在葬礼上大概已经哭干了眼泪,表情就像被抽走了生气的人偶。
我从未见过那样的粧裕。
小时候,虽然屈指可数,但我们也确实吵过架,也曾弄哭过她。兄妹之间,总会有那么一两次,再正常不过了。
可是,让她露出那种表情的,是第一次。
对于单纯善良的粧裕来说,兄长的死一定是那样沉重的打击吧。
总是开朗、有些自大、明明早就理解了数学题却故意装作不懂,撒娇要我教她的,我可爱的妹妹。夜神粧裕。
让我这样的粧裕露出那种表情的我,真的能称得上『好哥哥』吗?
「(不,不是的,那是因为他伪装了我已经死了)」
脑海中浮现出这句话,可是,在我作为基拉被逮捕的那一刻,我就已经无法告诉粧裕和妈妈真相了。最终我以“死亡”的身份被处理,粧裕也和我一样失去了哥哥,最终我——。
「嗯,绝对,ライトさん是个好哥哥哦」
她用力的、仿佛真的对此深信不疑的声音,让我不自觉抬起头,凝视她的身影。
我之所以会如此被动摇,是因为眼前的这个女人,是偶然还是必然,她与我妹妹同名同姓吗?
“我也有哥哥,但他真的是个没办法的人……至少从来没有给我削过苹果。所以,作为有妹妹经验的人,Light你是个好哥哥。是那种值得骄傲的哥哥哦。”
听到佐由的这番话,我想起了粧裕经常开玩笑说我是她的“引以为傲的哥哥”。
是啊,我一直想成为父亲、母亲、还有妹妹的骄傲,但那并不是痛苦。我想守护像正义典范一样的父亲,以及像善良典范一样的母亲和妹妹,所以我才真的想成为基拉,创造一个新世界。尽管如此,我对我最想守护的人们,却做出了那种事。
「(不对,我的选择是正确的)」
面对源源不断的情感与怀旧之情,冷静的自己投来轻蔑的目光——自己到底变得多软弱了。在我快要心生悔意之前,脑中响起反射性的自我暗示:我没有做错。
「(我还活着。还来得及。我要再次成为基拉,杀死恶魔……杀死L,当世界认同基拉之时,就出现在家人面前。这样的话,还……)」
为了弥补让他们露出那样悲伤的神情,我一边对自己如此说道,一边将无味的稀粥与这软弱的言语一同咽下。
比起被肆意凌辱、在痛苦中煎熬,被快感折磨到发狂的痛苦更让人难以承受,这种事我宁肯永远不要知道。
「唔、哈、嗯啊、呜、啊――」
在白色的监狱里,我拼命压抑着支配身体的快感,粗重地喘息着。
墙的另一边会不会根本不存在什么世界——我甚至忍不住这样怀疑。在这座囚笼中,除了我之外,安静得听不到任何声响,我野兽般的喘息声便显得格外响亮。
L凝视着这样的我,又从大碟上拈起一颗鲜红的草莓,送入口中。
“月君,你的动作停下来了。”
「唔……呼……哈……呼……」
我抬起头,看着若无其事地说出这话的L,用像是要杀人的眼神瞪着他。但无论我投去怎样的目光,L都不会有丝毫畏惧。
这是当然的。现在的我,双手被捆住吊在天花板的钩子上。别说杀龙崎了,连像样的抵抗都做不到,所以龙崎根本不会把我的任何言语、杀意或威胁放在眼里。
被吊在这个姿势大概几个小时了,手臂别说是麻痹,就连疼痛感都已经感觉不到了。
但是,手臂的感觉对我来说只是小事一桩,现在最重要的是支配着我下半身的粗壮假阳具。
那有婴儿手臂那么粗吗?……它是支撑着被吊起的我唯一的支撑点。不,支撑点这种东西,实际上并不存在。我只是被吊着,身体被那根异物贯穿,毫无防备地承受着它给予的刺激。每当身体因为快感而颤抖,那东西都会在我体内蠢动,让我清晰地意识到它那骇人的形状。深处就好像被填满一样,在紧致的内壁为了把异物擠出去而不断收缩的同时,乳白色的浑浊液体顺着結合部滴落,滴答滴答地落下。
我几乎快被快感吞噬了,但我仅存的理性告诉我,我之所以要把快感压下去,是因为如果我不这样,就会如他所愿地发出可耻的声音。
「ん……ひっ……ん、ぅ……ッ」
それでも、溢れ出る快楽を逃すまいと必死に耐えれば耐えるほど、体内は熱を帯び、ぬめるような音を立てる。先端部がごつんと最も良くない場所に当たるたび、快楽にも似た刺激が脳を焼いた。
手も足も出ず、快楽に犯され、快楽を拾い上げられて、無様に喘ぐことしか出来ない僕を、Lは愉悦に目を細めながら、見下ろしている。
「いつまで我慢出来るのか楽しみですね。……何、その目は?」
大分乱れ始めてきた口調を挑発するように、竜崎は最初の頃こそ毎日のように会話を仕掛けて来ていたが、僕が応えることをしないのを理解すると、今度は面白いものでも見たかのような笑みを浮かべて何も言わなくなった。
だが、無言になったところで、拷問が終わるわけではない。Lはすぐにイチゴを食べ終えると、何を思ったのか、立ち上がり、ゆっくりと僕に近づいてくる。
畳の上を歩く素足の足音が、やけに近くに聞こえる。顔を上げ、無表情で歩いてくるLを、僕は静かに見上げた。
拘束され身体の自由が利かない。その状況は相変わらずで、視覚以外でLを認識できるのは、Lが僕の目の前に立った時、部屋に充満するイチゴの甘い匂いが香ってきたことと、ふわりと風を切る黒いローブの音くらいのものだった。
恐怖、焦燥、怒り。様々な感情がぐるぐると回る中、それでも理性を保てているのは、死ぬほどLに屈辱を味わわされた末の、どうしようもない痺れのようなものが身体に染み付いているからだ。
「(お前がいつまで私に堕ちていられるのか、と思ってね)」
そう囁いた竜崎の声が脳裏を過ぎり、ぞくりと身体が震える。
好き勝手に弄ばれて快楽に耐え、いつまで経っても与えられる快楽に、この檻の中でおかしくされてしまいそうになる。――そう、本当に、今にも。
絶頂を逃れようと足掻くことすら、快楽を強いるディルドが許してはくれない。動くたびに乳首の裏をぐりりと、最奥を押しつぶす様に圧し潰してくるそれに、少しでも動けば無理矢理に追い上げられる快楽がどうしようもない。
「ひうぁ、あ、ぁ……ッ」
意思とは関係なく口から漏れる艶めかしい吐息に、はっとして口を噤めば、また一際大きくディルドが締め付けてくる。
(――っ、また……!)
本当に、自分が一番わかっている。今、自分の体内に挿れられているディルドは、先端が僅かにカーブしていて、大雑把に言ってしまえば、体内のとある一点を刺激しやすい形に作られている。
当然、Lのことだ。伊達にそこらの道具に詳しい訳ではない。だが、あのディルドは事前に何度も実用テストが繰り返されたようで、Lの好みなのか、時々あのイチゴやらを見繕ってきたりするように、道具に対しても確かなこだわりがあるようだった。
ディルドの先端が、ずぃ、と角度を変える。
「ひぁぁああっ!? ま、ま――っ、ちょ、待っ、待ってくださ――」
急に強く内壁をこすられ、甘い痺れとでも言うべきか。何度も達らされている、敏感になっていたそこを、今度は弱々しい快楽ではなく、これでもかというくらい、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も、ゴリゴリと抉られる。
「あ゛あ゛っ、ああっ、や、あっ、ああっ!」
此処が個室で良かったと心の何処かで思ってしまうほど、僕の口から溢れる声は止めどなく、その度に背筋に快楽が走る。
こんなに身体を弄ばれておきながら、与えられる刺激の一つ一つに感じてしまう己が腹立たしく、何よりも身体の赴くままに悦ぶ己が醜くて仕方ない。だからといって、絶頂したあとに流れる思考だけは何があっても止めるものかと、憎しみで己を支配する。
「はっ……ぁ、あっ、くそ……ッ」
だが、下半身は死んでいるのかと思うほどに止まらない。あの日地下の牢獄でLに施した陵辱を、その百倍は味合わせるという拷問を、どれほど感じているのか。
いや、これは陵辱などという生易しいものではない。Lは、最後の最後まで苦しみ抜く罪人に、この上ないほどの快楽をもって仕返しをしているのだ。かつて僕が誰よりも苦しめていた。『最も残酷な快楽』という刑を僕に味合わせるために。
見たこともない程、何度も何度も達かされた結果、首を絞められた時のような酸っぱい吐き気と、脳髄まで犯されるような快楽で、頭がどうにかなってしまいそうだ。
「本当に、人間は学習しない生き物だ」
ふと、Lが何かを呟く。何を言い出したのかと、快楽に霞む思考の合間、意識をそちらへと向ければ、Lはベッドから立ち上がり、足元に置いてあった鞄から、何やらスイッチのような物を取り出した。
「君は、いや、キラは――人を殺すことによって正義を訴える、月くんのような『欲望に忠実』な人間を、一度も見たことがないと言う人は居ますが」
僕が何を言い出すのかと固唾を呑んで見守る中、Lは手に持った何かのスイッチを、そっと押した。
「月くん。貴方は本物の正義がなんなのか、ここで身を以て知るといい」
「――ッ!? あ゛あ゛あ゛っ……ん、あ――っ!」
ぶるり、と下半身が跳ね、一際大きな声が口から漏れて、ばちりと快楽を塗り潰すような痛みのせいで、うまく焦点の合わない視界の端で、やはりなどと思いながらLの姿を睨みつける。
「ッぅ……あ゛、あっ……ぁ、まだ……何か、仕掛けてくる、つもりか、竜崎……っ」
歯を食いしばり、快楽に理性を犯されないようにしながら、Lに聞こえる程度の声でそう尋ねる。
だが、Lはまたイチゴを一つ口に入れると、咀嚼しながら首を傾げるだけだった。
「月くんは、どう思いますか?」
「……っ、一体てめぇは、何が目的なんだ」
これまで何度か、Lは僕をからかうような言動を見せている。昔の僕であれば、こんな動揺を悟られないように涼しい顔を貫くことが出来たのだが、今はLに下半身を蹂躙されている最中で、動揺を悟られないようにするのは難しい。
「目的、ですか。そうですね。きっと、この拷問を一通り終えた後、あなたは新世界の神というより、私に犯された牝の顔を晒して果てることになるでしょうね」
「っ、ひ、ふ、ぁ……っ、何を、言って……」
「ですから、気が狂うほど気持ちよくしてください、私は月くんにそうしてほしいんですよ、と」
僕は、こんな時まで身体の奥に、確かな快楽を感じてしまっている。
「また……隠したな」
Lの何を言っているか分からないような微妙な反応に、僕は抗う間もなく指を咥え込まれてしまった。もう十分に潤っているというのに、これ以上でもなかろうと溢れ出る前液と分泌液にまみれた性器を、Lの口内に含まれた舌が、子作りの時にしか動かさないぐらいに熱い。
ゾロリという、下品な音を立てて、Lが指を咥えた。しかも満足そうに目を細めて。
竜崎の顔は無骨な印象こそあるものの、Lとしての佇まい、その指の一本すらも様になっていて、さすがは世界的探偵と言うべきか、ほんの僅かな動作すら様になっていた。
「さて――次はどこにしようか」
Lが事も無げにそう言って、俺の両足首を掴んだ。
次の行為に、全身が強張る。
こんな風に、Lに為されるがまま、僕の意思を無視して与えられる快楽に、気を狂わされないようにするので精一杯だった。
「は、ぁ、ぁあっ、あ……ぁ、や、」
ぐちゃ、と、卑猥な音が部屋に響く。
彼の指は前立腺を的確に刺激し、時折鈴口の先を親指の腹で擦る。僕の意思に反して先走りを溢れさせ、濡れてきてしまう自分が酷く情けない。
全ては、吐き出せない悩みを抱えているような、そんなもどかしさで、決して自分が快楽に堕ちているなどではないと言い聞かせながら、しかし、身体は熱いまま、決して存在しない快楽に、もう、思考が上手く回らなくなってくる。
「あ、あ゛、だめ、そこは、だめ……っ」
「月くんは、僕に犯されるまで、男を感じたことはないのですか?」
「っ、き、さま、まさか、これ……っ、は、んぁ……!」
Lの手が、何の脈絡もなく突然、僕の性器を握る。だというのに、下半身を埋めるディルドは動きを緩めてはくれず、むしろLの意図したかのように、一番良くない箇所へ正確に先端を擦り上げた。
「ぁ゛ッ、あ、あぁっ」
「月くんのここ、こんなに握り締めて、それだけ感じている証拠ですよ。……月くんは優しいんですね。不感症の俺を気遣ってか、そんな風に淫らにしゃぶりついてくるんですから」
Lが何を言っているのか分からなかった。だが、そんなどうでもいい言葉にいちいち反応している余裕が無いほどに、僕の快楽中枢は肥大化して、僕の許容量を超えた快楽を身体中に回している。
「な……にを、言って、やがる、この、野郎……っ」
「おや、まだそんなことを言えるんですね。ふふ、月くんの、何て気高いこと」
俺の身体中に快楽を与えてやってもいいと言わんばかりの笑みを浮かべたLが、徐にティーカップに手を伸ばす。その様子に、己を甚振る快楽に耐えながら、Lを許すまいと決意を固めた。
よくLをここまで昂らせたものだと、我ながら感心するほどの痴態を晒している自覚はある。
だがLが触れる箇所、全てが気持ちよくて、知らず知らず腰が揺れてしまい、理性が飛びかねない嬌声が口の端から洩れてしまいそうになる。新世界の神になろうという僕が、この程度の責めに耐えられない訳がないと、奥歯を噛み締めて声が出そうになるのを堪え、Lを睨みつけた。
そんな僕を見て、Lはどこか楽しそうに指先でスープ皿に残っていた苺のジャムを掬うと、僕の腰に触れるだけ触れて、かぷっと食むように、いや、舐めとるように、肌に付けられたそれは、
「…………ッ、あ゛、ぁ――っ」
意思を失った箇所から血が流れ出た時のように、じわりと、絶えず言葉を奪っていく。
「痛い、ですか? 月くん」
考えている事をどう思ったのか、僕の顔をまじまじと見つめながら、Lは何でもないことのように言った。彼の前では、何を言っても、何をしても、何を企んでも意味がない。その事実だけが、やけに焦りを僕に与える。
「つ、ま、らないことを……言うな」
痛みはない。Lの与える刺激すべてが、快楽にしか感じない。生理的なものであろう涙が滯み出るのも、それほどまでに僕の身体が快楽を感じている証拠であるかのように、ただひたすらにディルドは律動を続けていた。
太く、捩じられるように動き、最奥を押し付けられる感覚に、されるがままの僕は、それでも必死に地面に付いている右膝と、宙に浮いた左足に力を入れて、快楽に蕩けそうになる思考を繋ぎとめようとする。
「ん、っ、ぁ、ぁあっ、は、ぁっ」
それでも快楽に耐えながら声を抑えるだけで精いっぱいの僕の様子に、Lは果物ナイフでイチゴのヘタを摘まみながら、口元を緩めた。
「酷い恰好ですね、月くん」
普段のLなら、こんな時間に食べ物を口にすることはない。Lは甘いものが大好きだが、それは幼い子供のように際限なく食べられるという訳ではないらしく、夜はとくに食べる量を調整している。それなのに今、Lの手はイチゴの乗った大皿とは別に、もっとこう、全身で愉悦を表現しているのが分かる。
Lが、微かに口元を綻ばせる。
「自らの立場を忘れてしまっているのですか? 月くん。随分とお楽しみのようですけど」
「――っ、言、葉の、意味が……か、ら、ぁ……っ」
快楽に思考を許さず、言葉にならない吐息が漏れる。
無意味だ。言葉を返せば返すほど、Lは愉しそうに笑うだけで、僕を解放する気は微塵もない。『報復』だと、Lは言う。僕がLにしたことの報いを受けろと。
確かに、僕はLにこんなことをしている。いや、僕がキラに成り代わったとして、同じことをしたかどうかは分からない。けれども、僕がやったことなら僕に責任はあるし、Lが僕を憎むのは当然のことだ。
僕は竜崎に一生の不覚を取らされた。捕まって監禁され、犯される、という屈辱を。死んでいった人間の側からすれば、軽い罰ではあるだろう。
世界を、新世界を作ろうとしておきながら、自分はこんなところで何をやっているのだろう。家族を守ると決めたはずの自分が、今、この何もない白い部屋でLに犯されている。
だけど、それはきっと自業自得なのだろう。この男に勝負を挑み、負けたのは紛れもない僕自身なのだから。しかし、人の心が、そう簡単に折り合いをつけてはくれなかった。
「(違う。私は何も間違っていない。私は間違っていない……)」
そう己に言い聞かせなければ、堪えることも出来なかったのだ。
現に、耐え難い快楽を幾度も与えられ、涙を浮かべながら僕は、決して服の上からではあるが、自ら腰を振ってしまった事がある。
しかし、それが快楽に耐え切れなかったことによる動きであるというよりも、もっと強く突いて欲しいという欲求から起きるものだったという自分自身の浅ましさに、今日一番の吐き気を覚えた。
「(っ……気持ちよくて、たまらない、だと……?)」
快楽を逃れたいのなら、自分を抱きつかせている張本人である彼に噛みつくくらいしてみせよう。思考の外で、ぼんやりとそんな妄言が浮かぶ。でも、実際に噛みついたところで、Lに傷を負わせることなど何一つ出来ないだろう。
「(あれは一体なんだったんだ……)」
と、先ほどまで見ていた光景――数時間前、夜神総一郎によって供えられた机の前に置かれたライトの遺影写真がフラッシュバックする。
どうやら僕は、Lに眼前で『月の最期』というものを再生されているようだ。様々な仕掛けが施された部屋で、Lは僕に絶望と快楽を教え込ませることに特化し、こうして僕に理解させていた。
自分が、どれほど無力で残酷な立場にいるかを。
×
あまりにも長く、終わりの見えない快楽は、人の精神を脆くさせる。
何度も、何度も、果てさせられて、首の皮一枚のところで正気を保っていた。ずっと吊るされたままの腕は感覚がなく、握る力もなく、首から上の、首を除けばきっと自由に動くようになった。
僕を組み伏せていた男は、上半身を起こすと、事もなげに「ん」と、ベッドの脇に置いていた大皿に残っていた、イチゴのヘタを僕の口元へと差し出した。
「……何を」
「イチゴ」
僕が何を言っているのか分からないとでも言うように、Lは首を傾げる。
こいつは、今、自分が何を言ったのかを理解しているのか。いや、理解した上でこんなことを言っているのは明らかで、何度目か分からない怒りが心の内に沸き立つ。
「甘い」
「私の口に合わない」
僕の命と引き換えに奪ったイチゴだと、その味を噛み締めながら言う。目の前のイチゴをてのひらで潰して、Lにぶつけてやろうか。理性の奥で、僕を嘲笑って止まない第二の僕が囁く。あいつの望み通り、こんなものに手を染めてしまえば、僕のプライドが、僕がキラとして生きる自信が崩れていく。
そう思うと、僕は今まで歯を食いしばって耐えてきた。負けるものかと、己の尊厳を守り抜こうと、必死に、本能的に。
Lはそんな僕の様子を見て、けれど何も言わない。手を付けずに残っている朝食のサラダとスープを見て、冷めてしまうと美味しくないのにな、などと常人の思考をしているくせに、僕がわざと不味そうに食べていることには触れず、かといって特に気にした素振りも見せずに、こちらへは何も言わなかった。
丁度、残り物のイチゴを口にほうばったところで、Lは先程と同じ様にイチゴをそのまま残り半分も口の中に放り込む。
「月くん、イチゴ食べますか?」
そう言って、Lは食べかけのイチゴの最後の一欠片を摘まみ、僕の方へ向かってくる。だが、吊るされている場所からは到底届きそうもない場所で、Lはふと足を止めた。
「あぁ、届かないんでしたね。月くんの足、ロープで拘束されていますから」
何を今更。と、吐き捨てたくなりながらも、抵抗のしようがない現状を呪いながら、僕は大人しくLの行動を見守るしか出来なかった。見せしめの意味もあるのだろう。竜崎のやつは、本当に嫌な性格をしている。
Lは、ゆっくりと床に近づいて、そのまま掌を床に付けた。俺の腕を拘束している鎖の根元あたりを探っている。
僅かな衣ずれの音。そして、Lが屈んだせいで、互いの呼吸がかかる距離に。
こんなにも近くで、けれど決して視線を合わせようとはしないLに、僕はこの男を殺してやろう、という思いと、Lは二人を何よりもわかっている。という、ある種の信頼にも似た感情が綯い交ぜになって、強く、心臓が脈打った。
嫌な感覚だ、と僕は思う。こんな自分は僕ではないと、支配されている心をどうにかするため、Lを憎み、目の前の光景に必死に思考を割こうとする。
過去、誰よりも近くでLを見てきたからこそ分かる。この一見温かみを感じさせる光景の裏に隠された、Lのどこまでも外道に徹した性格。Lは僕に死を与えることのできる唯一の人間だ。今の僕に、どうにかして竜崎に『死』を一瞬でも意識させる方法がないかを考えないといけないのに、快楽で霞みがかった思考では上手く言葉も出てこない。
いっそ、このままLに凌辱され続ければ、此処は白い悪魔の――。
「何を、考えているんですか、月くん」
その声は、僕の心の内を見透かしたかのような、不気味なほど静かな響きをしていた。
いいや、考えていることなど、わかりきっているとでも言わんばかりの余裕の声音だ。
「……竜崎の、考えてる事か」
「えぇ、大体は分かります。ですが……月くんの“悪魔が分からない”と悩む姿が目に浮かぶようですね」
心の内を読んだようなLの言葉に、だから僕がLを恐れるのだ。
この男は、白い悪魔。
何もかも見透かすような、全てを掌握しているとでも言うような、底の知れない瞳。
その黒い瞳に見透かされている気持ちに、恐怖心を覚えると同時に、殺意を新たにする。Lを殺すためにここまでやってきたというのに、まさか囚われるとは思わなかった。俺としたことが、想像以上にライトはLに嵌められていたらしい。
この数週間――死んだふりをしてから、ライトはある目的を果たすために、Lの命を執拗に狙い続けていた。そう、俺が殺すと決めた以上、いずれは死んでもらわなければ困る。それなのに、僕の何より上手くいっていた計画を狂わせ、Lを殺す機会を失わせたのは、ライトのミスだった。
「(リンド―・L・ テイラ―の場合もそうだった。あの時、俺は……)」
思考が、過去の己の失態を思い出す。
確か、自分の敗因を省みた時に頭を過ぎったのは――確か『マルロー』という、Lの代役を務めた男の名前だったはずだ。
かつてこの世界に、ライト・ローライトというアメリカ人犯罪者がいた。全米でワイアット捜査官が追う最重要指名手配の男で、部下のロッド・アイールを殺害した容疑で追われていた。
日本には、とあるビルに身を潜める逃亡犯が居るという情報を信じ、日本に一時入国していた。コンビというエージェントから彼の確保と死を依頼されたLは、日本の警察に秘密裏に調査を進めていた。
ライト・ローライト。犯罪が裁判にすらなっていない男。おかしな事に、犯罪者としては最も無実の可能性が高い。その一方で、病死するにはあまりに出来すぎた死をした少年が一人。ロスリ家に訪れる前、かの有名な名門ロスリ家に伝わる『血のシナリオ』と呼ばれる事件があった。
それはLの推理を挑戦状とも取れる猟奇殺人の話で、そのリーダーこそがライト・ローライトではないかとLは睨んでいた。
あまりにも単純な勘違いから始まった、たった一人の人間の人生を狂わせてしまう大事件。だが、今の僕にそんなことを気にする余裕は、一切なかった。
「はぁ、ぁ、ぁっ……そ、そんなに長く抜かせないで……ください、っ」
「何を言っているのですか、わたしは貴方を犯してもいませんよ。まだ一時間も経っていません。それに、君に与えているのは、僕の指だけです。……さぁ、そんなに感ずるなら、果物を食べるみたいに綺麗にむいてやろう」
僕は自身を犯す、一本のディルドに視線を落とした。
それはよく見れば玩具すら持っていないこの空間で、Lがわざわざ用意したものだ。虹色に光る出所不明のこれは、Lがどこからか持ってきたのだろう。
本当に、この『新世界の神』として動き出した自分と、かつて世界の頂点に立っていたこのLという男との、明確な力の差を見せつけられているようだった。
おかしい。僕は、あの日、ノートを使って新世界の神になることを決めたはずだ。それからは一度も、為すべきことを間違えたことはなかったし、策を重ねて、捜査を撹拌し続けてきた。それなのに、何故だ。
意識が薄れていく。
一時間前までは、力が入りすぎて感じていた感覚が、次第にちりつくように痺れ、麻痺していく。身体の内側を引っ掻き回されるような感覚に、何度も飛ばされそうになる意識を、何とか繋ぎ止める。
それもこれも全部、あの日のLの言葉が切っ掛けだ。
「――いや、実に面白い。今日からは俺の娯物にしよう」
思い出す度に、腹の底から醜い熱が沸き上がる。
きっかけは、たった一言。Lによって、僕が捕まり、もはや一介の殺人犯となってしまった僕に、Lが放った一言。
『娯物』。
Lにとって僕は、女ではなく『性処理用の人形』だ。月くんは人間をやめてもなお綺麗だな、と嬉しそうに顔を綻ばせたかと思えば、あろうことか僕に犬のように振る舞えと言ってきたLを、僕は頭から殺してやっても構わないと思った。
新世界の神として、日本初の連続大量殺人犯として、世界中から畏怖されていたキラとしての僕を、まるで愛玩動物のような扱いで――。
「痛っ」
考え込んでいると、今度は乳首を指先で弾かれて、僕は飛び跳ねた。見れば、Lが目の前で器の上に乗ったまま残っていたイチゴのヘタを弄っていた。彼奴め、やりやがったな。
「また他人事みたいな顔をして。俺を退屈させるとどうなるか、思い知ったらどうです」
「――っ、この、外道が……!」
「おや。月くんに歯向かえるほどお元気そうで、何よりです。少しは痛めつけ甲斐があるというものです」
ヒステリックに叫んだ僕に、
胡闹!我分明没有破坏你制定的规则,那药分明是我四 十秒没有动时才会生效的,你为什么要先破坏规则,对吧,龙崎。无法用语言表达的思绪在脑海中翻涌,隐隐作痛。
然而,某个冷静的我低语道,这就是拷问的基本步骤吧。
啊啊,是啊,我知道的。先向我展示规则,等到我开始依赖那个规则时,对方却故意打破规则。
通过破坏我心里的依靠,来施加精神上的负担,这真是既简单又有效的方法。
可是,即便头脑理解这一切,已经被刻下对那种感觉恐惧的我,还是发出了近乎悲鸣的叫喊。
「我还能,动! 不要,那个,不要! 不想射,住手,不想坏掉!」
我还想守护作为人的精神尊严,虽然全身挣扎着抵抗,但已经精疲力竭的我,力气在竜崎眼里根本不值一提。
他没有听取我的主张,注射器的针头刺入了我的皮肤。
「竜崎――――ッ!」
喊出名字的瞬间,手臂上的冰凉让我确信药液已被注入,全身开始颤抖。
啊啊,被注射了。那种药,会让我坏掉的那种药,进到了我的身体里。
被绝望感笼罩、眼前一片漆黑的时间其实只有短短几分钟,但很快,比起绝望,涌上来的热度开始接管我的大脑。
「啊、啊啊啊゛、啊啊、啊——っ」
野兽般的、毫无意义的、仅仅是声音的嘶吼混着唾液从喉咙里涌出。
心脏快得像要炸开一样,身体颤抖着,吊着我的拘束具的锁链发出哐当哐当的金属声响。
「啊啊、啊゛、啊ぁッ、咳、哈、啊啊、啊゛!」
不行了,意识要被夺走了。我正变成只知用快感去处理奔走在全身的兴奋与热度、不再是人的人类。不要,我不想露出那种样子。不想被看到。不想再被竜崎、被L看到我这副模样,绝对不要。
于是带着恳求般的心情抬起头,希望他能移开视线,可竜崎依旧用那暗沉的眼瞳,有些无聊地注视着我。
“夜神月,如果你坏掉了,我会杀了你。”
这是我被囚禁在这座监狱里,竜崎无数次告诉我的,作为执着于生存的我维持精神的威胁。
不知为何,竜崎只有在说出这句话时,会带着一丝仿佛高兴般的微笑。
可是,在我察觉到竜崎那微妙的表情之前,兴奋剂的热度支配了我的头脑,身体——。
「哈……啊!」
我像痉挛一般从床上弹了起来,看到眼前并非白色监狱的景象,才终于明白刚才看到的是一场梦。
心脏仍在剧烈跳动,兴奋剂带来的恐惧折磨着我,但在几次深呼吸后,精神渐渐恢复了平静。
“呼……糟透了。”
好不容易挤出来的话,是针对牢笼的记忆,以及变成了这副凄惨模样的自己。
被噩梦缠身,这已经是第几次了?
明明逃到安全的地方已经快两个月了,却还是痛感自己的精神始终没能找到安息之地。
如今折磨我的痛苦重现,通称PTSD,即创伤后应激障碍——即便没有医生的诊断我也明白。
然而,精神上的痛苦,就算知道原因,也明白不安早已过去,它依然会在做梦时袭来,实在麻烦。人类大脑的结构实在无可奈何,现在的我对此无能为力。
我唯有忍耐,至少作为抵抗,我再次躺回床上,抱紧毛毯,反复确认这里已不是那座监狱。
没事的,这里已经没有折磨我的恶魔了。我已经从那种痛苦中被解放了。我这样一遍又一遍地告诉自己,努力忘记那双注视着我的恶魔视线。
可是,大概是因为看见的梦,是使用了那种药时的内容吧。
为了冷静下来,每当我深呼吸一次,就会察觉到在身体中心翻涌的自身热度,咬紧牙关暗骂一声“糟透了”。
“可恶……!”
我战战兢兢地掀开毛毯,将视线移向身体下方,只见我的阴茎已经硬得发疼,顶起了睡衣。
明明是那样地狱般的梦——不,正因为是像地狱一样真实的梦,才会这样吧。总觉得刚才还用假阳具在折磨着自己,那种热度仍残留在身体里。
「唔……」
我试过翻身、蜷缩身体、数质数,试图分散注意力,但都无济于事。反而只要一闭上眼睛,噩梦就会再次浮现在眼前,更加折磨我。
我知道。要从这股燥热中解放出来,最有效的方法就是释放出来。这是在那恶魔手下被反复教会的应对方法,也是我的日常。
我甚至想过索性咬住自己的手臂,只要有痛感,或许就能忘记体内翻涌的热度。但那样会留下自伤的痕迹。如今几乎每天都要接受全身检查,如果被发现自伤的痕迹,就会被认为精神状态相当不稳定,可能就无法进行正常的交涉了。更甚者,可能会被认定精神已经坏掉了,从而判断可以对我用药来进一步摧毁我的精神。
那么,哪怕必须把那段牢笼记忆拖拽出来,也只能用不会在身体上留下痕迹的方法去解决了——我在反复思量后,下定了决心。
「唔、哈……」
我拖着疼痛的身体勉强坐起身来,扶着墙壁走向浴室。虽说现在即使没有沙由的辅助,我也能在别墅内行走了,但或许是记忆作祟,身体像陷进泥里似得沉重。可是,我想着既然要释放,至少去浴室吧,就强撑着身体走了过去。
手すりに掴まってゆっくりと浴槽に足を踏み入れると、冷えた空気に身が引き締まる思いで蛇口を捻った。浴槽に溜まっていく水の音を聞きながら、僕は服を脱ぐこともせずに狭いバスルームにしゃがみ込んで、小さく息を吐いた。
正直なところ、出してしまえば治まるというのが分かってはいても、この熱を下げることに身体が拒否反応を起こしていた。あの夢が思い出させるのは、あの檻の中でディルドで何度も追い込まれて果てた記憶だ。楽は身体に刻み込まれた記憶は、自分で扱くだけの自慰行為とは結びついてくれない。
あの悪魔の指によって簡単にイかされていた頃のことを思い出し、少し経っただけで息が荒くなる。
自分で触れているのに、どうしても触れてくれる誰かを求めてしまうのは、仕方のないことなのだろうか。
「あ、ぁ……やめろ、こんな、思い出に、負けて、たまるか……」
これまで幾度となく、あの悪魔に嫌というほど叩き込まれた教えが思考を支配する。自ら触れることを覚えた、この熱の処理の仕方。それすらも、あの場所で植え付けられたモノで、素直に従ってしまっては負けのような気がしていた。この身体が勝手に快楽を覚えている。そんな己の身体を、僕は、ちからなく思ってしまう。
「はぁ、……っ」
ここは、あの檻の中じゃない。鎖も、監視の目も、何もかもから自由になったのに。あの悪魔は、はっきりと僕をここに置いていくと言った。
もう、自分を苦しめるものは何もない。なのに、一体、どうして僕はこんなことを思い出しているのだろう。
部屋の鍵が掛かっていることも、チェックしている。実際に誰かが部屋に入って来る気配はなく、何よりサユが入ってくる時はノックをしてから入ってくる。だから、実際はまだ大丈夫のはずだ。
分かっている。分かっているのに、僕は身体に残る薬の熱のせいだと言い聞かせて、自分の手で処理すると決めたのだ。
何度も嫌というほど繰り返された行為、身体の奥に残るあの感覚は、絶対に忘れられないだろうと何となく思っていた。しかし、セックスの相手が竜崎しかいなかったことは、酷な事に自慰にもフラッシュバックの記憶が大きく関わっていて、不快感に苛まれてしまう。
ディルドを咥え込んでいた時の感覚や、無理やり穿かされたローター付きの下着による圧迫感、ベッドに押し付けられてただひたすら振動に耐えていたあの日々。それらを思い出すだけで、身体が疼いて熱を持つ。
我慢しようにも、身体の中に渦巻く熱は最高潮にまで高まっていて、僕の意思とは関係なしに処理を促そうとしている。
「ぁ、あ……ん、やだ……ぁ……」
だが、こんな姿を自分の意思で気持ちよくしてやるなど、どうしても出来なかった。
何故なら、手を伸ばして自分を慰めている最中も、あの監獄にいた時のように竜崎に自分の痴態を見せつけられている気がしてしまうからだ。
あの場所でイかされていた時、竜崎の瞳にはいつだって、何も映っていなかった。気付いたらああいう行為を強いられていて、ただただ耐えることしか出来ず、馬鹿みたいに情けなく、恥ずかしくて、寂しかったあの記憶。
僕は、自由を得る為に、あの場所で本当に多くのことを搾取された。身体を重ねるあんなことだけでは収まらず、本来の意味の身体の関係を強要されたことだってある。しかしあの男は、僕が縋ることを許さないのだ。あの時、僕が助けてと縋ったら、拒絶した。
それなのに、僕が、気が付いたのだ。あの男に縋りたいと思っている、最も悍ましい部分が確かにあると。
恐怖の対象である男に縋りたいなど、誰が思うだろうか。馬鹿げている、狂っているとしか思えないが、しかしこの毎晩のように訪れる悪夢は、それを指し示しているような気がして、己の精神が呉々も歪んでしまっている事に吐気を覚える。
そんな思いを抱えながらも、ここで処理をしなければ朝まで自分を悩ませる熱に、いつまで経っても解放されることがない。こんなことをすればするほどに、僕をあの悪夢の世界に縛り付けてしまうと分かっていても、動き出してしまった熱を抑える術を、僕はあの男に教え込まれてしまっているのだ。
あの場所で過ごして来た間に叩き込まれてしまった言動からは、中々逃れる事ができない。
最低な自分に吐き気を覚えながらも、僕は泣きそうな声を必死に噛み殺して、罪悪感で鈍痛する己の体を慰めるのだった。
どれくらいそうしていただろうか。しばらくして熱を処理し終えた僕は、上がりきった体温がゆっくりと冷えていく感覚を抱きながら、行き場のない感情を吐き出すようなため息を吐いた。
「はぁ……っ、はぁ……ッ」
荒い呼吸のまま、天井を見つめ、張り詰めていた何かがぷつりと切れたように全身から力を抜いて、これから先のことを考える。
なんとか、今日もこれでやり過ごせた。
あの時、手のひらに爪を突き立てる痛みさえあれば、この熱を抑えられると分かっていたなら、わざわざ苦しい記憶を引っ張り出して処理をしなくても良かったかもしれない。
しかし、自傷の跡を医師に見つかってしまえば、俺の精神が不安定であると思われ、ますます拘束を解いてもらえる可能性が低くなる。そうなれば、こちらから戦いを仕掛けられる日も遠のくばかりだと、僕は毎度のように爪を噛みたくなる思いを堪えている。
二ヶ月前、このLの別荘にサユと共に移ってきてからというものの、竜崎は一向に僕の前に姿を現さない。
状況を理解するまでに時間がかかった。思えばあの時、あの薬を打たれてから、部屋に運ばれるまでの間のこと。恐らくは意識を失っている間、ずっと誰かに担がれていたのは分かっていた。現に、顔を覗き込んできたサユにこう言われたのだ。リュウジの部下の人達が、瀬良さんを助けてくれたんです。と。
あの檻の部屋での記憶を辿ってみても、意識が途絶えた時に竜崎が僕を助けたのか、それとも、また新たな嘘を吹き込もうとしているのか、真実を知る術はない。
自分が今この場所に居る事自体が不思議なくらいだ。だが、それもそうだ、僕を動かす何かが、本当はあの檻の中で死にたいと思っていたのに。だから今、誰に頼まれるわけでもなく、こうして朝を迎えている事が、酷く不思議でならない。
自分から終わらせることも出来ず、あの身体を張った交渉に勝ってこの日本に戻って来たというのに、体のどこかでは諦めきれずに燻り続ける感情が、己を確実に蝕んでいた。それほど、あの薬剤を使われている最中の記憶は、僕の精神に深く強烈なインパクトを刻み込んでいた。
「もう、兄さん。朝ごはんができてるよ。……兄さん?」
軽快な足音と共に、待っていてくれたという妹の声が、ドア越しに聞こえてくる。どうやら僕が目を覚ましたのを、隣の部屋に設置してあった何かで感知したらしい。正直なところ、あの悪夢さえ見なければこの監獄は――いや、もう監獄でもなんでもないただの別荘は、生活しやすかった。
そう思えるようになったことこそが、あの場所に居た日々から逃げられていない自分がいる現実を突きつけられるようで、また一層と悔しさが募るのだった。
サユの声に応えるために、僕は何とか気分を切り替えて平静を装い、部屋の鍵を開けに向かう。
「ああ、出るよ」
部屋の鍵を開けてドアを開ければ、そこにはやはり健康的な日焼けをした肌に、白いサマーカットの服を着たサユが立っていて、僕の顔を見ると心底安心した、とでも言うように、へにゃりと力の抜けた笑みを浮かべた。
「おはよう、月くん。具合は大丈夫? 苦しそうにしてたけど」
「ああ、少し嫌な夢を見ただけだ。心配をかけてすまない」
「ううん、いいの。それよりご飯の支度できてるから、降りてくる?」
こういう時、僕のことを、何かあったのかとは詮索せずに、いつも通りに接してくれるサユには、感謝してもしきれない。聞いて欲しい衝動にかられたりもするが、今は余計なことを話して僕を監視する者の心証を悪くさせたくない。それが今の僕にとって最善の選択だと分かっていた。
「ああ、すぐ行くよ」
そう返事をすれば、自分の部屋へ戻っていったサユの足音が聞こえ、その音が聞こえなくなったのを確認してから、僕はゆっくりと布団を抜け出した。
あの夢の後遺症で、下半身には痛いくらいの熱が渦巻いたままだ。
朝の目覚めにバスルームで済ませた処理と行為で、発散しきれなかった熱の残りが、まだ自分の身体の中に残っている。
意味が分からないといった様子の、怪訝そうな顔をしたサユが、別荘の一階の居間で朝食の準備をしていた。
真実の画一性。
朝の支度を整えた僕は、寝室を出て二階のホールから下を見下ろすように、リビングでくつろぐ竜崎の姿を探す。
そこには、マグカップを片手にだらりとソファーに座る竜崎と、和やかな空気を醸し出すサユの姿があった。
「あ、おはよう、月くん」
「おはよう。海砂さん」
「朝ご飯、出来てますよ」
「ありがとう、サユ。すぐ行く」
昨日の夜遅くに目が覚めて、散々昼まで寝込んでしまったからか、思った以上にゆっくり休めたようだ。今朝は怠さも少ない。
あまりポジティブに考えるのは好みではないが、悪夢を見ながらも熟睡は出来ているらしい。今日はこのまま良い調子で過ごせそうだ、と足取りも軽やかに、僕はキッチンへ向かった。
キッチンへ入り、二人の姿を確認して「おはよう」と朝の挨拶を交わすと、目が合ったサユが、少し言いにくそうに切り出してきた。
「夜神君、具合は大丈夫? すごく、うなされてたみたいだけど」
「ああ、うなされるのも何日かぶりだ。心配をかけてすまない」
二人の前で冷静さを保ちたい僕は、昨夜は酷く魘されてなかなか寝付けなかったが、今日は大丈夫だと、平気だという事を伝える為に何時もの笑みを作って答えた。
しかし、サユは僕の意図を汲んでか、それとも元々決めていたことなのか、夕方までにはこの別荘を出るように言われていると伝えてきた。
「……Lから聞きました。夜神さんを保護するにあたって、独断で動かれると困るって」
夜神月がサユの口から出たLの名前を聞いて、表情を硬くした。
その顔は、Lのことをまだ怒っているような、悲しんでいるような、なんとも形容し難いものだった。
手に持っていたジョッキをキッチンカウンターに置くと、カウンターに肘をつき、揺れる苛立ちをそのまま口にする。
「……ルールだ。彼はこう言ったんだ、“お前のことは本当のキラであると断定できない。よって、19日間は監禁する”ってな」
竜崎がルールを提示して、そのルールを守っていたのにルールを破られて、精神的に追い詰められた日々は、まさに地獄の日々だった。
いや、あの檻の日々こそが地獄で、今の生活が日常であると、月は自分に言い聞かせた。
「今はもう、その必要もないと思うけどな」
話題を逸らすように、探偵はそう言った。ぶっきらぼうで、不愉快さを隠しもしない声音で。
「そういう問題ではない、というのが本音だな。だというのに、僕は未だに竜崎の作り出した檻から逃れられていない」
何故ここに竜崎が居るのかと、再認識する。
彼は、こちらの目を伺うようにジッと見つめながら、ふっと口元を綻ばせた。
「だって、お前が一昨日、いきなり家に来たからだろ」
意味の分からない返答に眉を顰めれば、何が可笑しいのか竜崎は小さく笑い声を漏らした。
俺はロスリカの男だ。
かつて俺は海の上に建つ檻に囚われていた。もちろん檻に囚われていただけで、全ての能力を失った訳ではない。今の俺ならば、あの時のことは笑って話せる。喪われた30秒の記憶は戻ることはないけれど、命には変えられない。俺は無事だ。あの監獄から、無事に逃げ出せた。
だが、思考が正気に戻った時、俺の頬には涙が伝っていた。
気が付いたら何度も繰り返してしまっていた夢と、囚われていた頃の記憶に、声を殺して俺はシーツを握りしめた。
違う、もう解放されたんだ。今はもう、自由の身なのだ。あんな白い監獄に居る必要はない。共に生活していた仲間の協力を得て、無事にここまで逃げ延びて来られたのに、こうしていつまでも過去の記憶に苛まれていては、奴らに捕まるきっかけを作ってしまった人々の努力を無駄にすることになる。
記憶が新しい間に、早く。
「考えてもいないことを口にするなよ。あの娘が死ぬんだぜ?」
身体に何かの衝撃が走った、と思えば、耳元で届いた声に、体の芯が氷で満たされたように冷たくなるのを感じた。
いつの間にか起き上がっていた僕は、荒い呼吸と共に、額を流れる汗と涙を拭うことなく、暗闇の世界に浮かぶ影を、しっかりと見据えていた。
「…最悪だ」
またか。そう呟いて、荒くなる呼吸を落ち着かせるために数回の深呼吸を行う。
バスルームに行く目的を忘れかけたが、身体中に残る寝汗の不快感と体温の高さに早く始末してしまいたいと、僕は再びベッドを後にした。
バスルームに入り、念のためと鍵を掛けると、壁に手を付きながら、ゆっくりと床に膝をついた。陶器の冷たさが熱を持った身体には気持ちよかった。
しばらくぼんやりと壁を眺めていたが、いよいよバスタブにお湯を溜め始める。バスルームに木霊する水音がやけに頭に響く中、己の身体に残る熱を忘れる為に、普段よりも丁寧にバスタブを掃除した。
「はぁ……」
大きめのため息をついた後、バスタブに湯を張っている間、待ちきれずに洗い場にあるシャワーへと移動した僕は、まずは熱くなってしまった己の身体を冷まそうと、温度を低めに設定したシャワーを浴びた。
冷たい水が皮膚を伝う感触が、すとすとと身体の中に染み込んでいくかのような錯覚を覚える。
そうして幾度か水を浴びて、乾ききっていく喉を数回唾液を飲み込むことで潤してから、僕は静かに己のものへと手を伸ばした。
「はぁ、……夜神月。大丈夫だ、ちゃんと大丈夫だからな」
自らに言い聞かせるように呟いて、震える指をパジャマのズボンのゴムに掛けた。
しかし、何度も繰り返されてきたあの記憶は、僕の心とは裏腹にそう長くは大人しくしていてはくれないようだ。
あの場所で身体の内側を何度も乱暴に貫かれた経験から、何かを受け入れる時の身体の強張りはいつも以上に酷いものだというのに、何度指を咥えてもきつく、必死に指を咥えたまま中を擦るために動かせば、前立腺に触れる度に溜まっていたせいか少しの刺激でも意識を刈り取られかける。
ああ、いっそこのまま掻き出してしまおうか。
自分を千切れるかのように縦に裂きたくなる衝動をぐっと堪え、そんな考えが頭を過ってしまった自分への怒りと、あの悪魔に捧げてしまった日々を思い出して、つい唇をみしめた。
心身の回復を目的として集まっていたこの別荘に来てもう二ヶ月近くが経つ。
元々はこの別荘を提供したLが、そのまま僕を管理しているLの養育機関の関係者に身体を提供しろだの、情報を売れだのと縋り付いてきたが、相変わらず息を吸って吐くかのように自然と嘘を吐く男だ。
実際、Lは息を吸うように嘘を吐く男で、生きて帰れない可能性が高い仕事だと分かっていても、冷静でいられるような男だった。
その上、某国の麻薬取締局捜査官でさえ彼の嘘を嘘として見破れなかったほどだ。まあそれも、顔を合わせれば“親友”と友好的に接してくれていたのだから、仕事上の付き合い程度で仲良くやっていた夜神総一郎が嘘を見破れなくても当然のことではあっただろう。元々総一郎は息子の僕がLと繋がりがあることを快く思っておらず、それでいてLという世界的な探偵であり続けようとしない素顔の彼に、より警戒心を強めていた。
そんな記憶が夢の悪夢さながらに蘇って、自然と顔が歪む。もうあの男に関わることは一生ないはずだと、そうありたいと願っているのにも関わらずだ。
あれからL――リューズはいとも容易くオセオを乗っ取り、世界の頂点に君臨するに至った。そして、行方不明になっている僕のことも、世界中を駆け回って捜し続けているのだとか。 死んだと諦めてくれればいいものの、あいつにしてみれば、僕は自分の知らない場所で世界を裏から支配しているとでも考えているのだろう。全く、まったくもって不気味な執着心だ。
今の僕はと言えば、Lからの逃亡生活の中で手に入れた足付きの小さな檻である今の生活に、ようやく順応してきたところだ。肩を引き裂かれた傷も治療の甲あって綺麗に塞がっている。
この檻から出る時、あいつに自分から何かされるようなまねはしなければいいと、願うことしか僕に出来ることはない。あの男の思考を読むことは、もう出来ないのだから。
カーテンの隙間から差し込む光に、どうやら朝を迎えたようだ。
だが、たとえ太陽が登って明るい朝を迎えたとしても、この部屋の中だけはまるで薄暗い檻に閉じ込められているかのような、淀んだ空気のままだ。
またあの夢を見てしまった。一日の始まりを悪夢の記憶を思い出させるこの空気に満たされていると、自然と息が重くなり、何もかもが面倒に感じ始める。
無意識に吐いた溜め息で現実をやり過ごすと、毛布の中にいると自分が腐ってしまいそうな気がして、僕はよろめきながらもベッドから足を下ろした。
「っ……痛え」
立ち上がった拍子に全身を襲う鈍痛に、思わず顔を顰める。うなされるように夢を見て、それから自分の身体に触れる事もしなかったせいだ。たっぷりと時間を掛けて眠ったのに、疲れが酷く取れない。
意味のない睡眠時間を過ごすより、自分の部屋から一歩も出られない檻に囚われている時は、夢も見ずに深く眠れた。あの頃の自分に何も考えなくていいという自由は無かったが、それでもどうすればこの檻から出られるかという思考すらも息苦しく、今はあの頃が懐かしいとさえ思える。
しかし、あの頃と今で一番に違うのは、この足枷の無い身体だろうか。あの監獄に居た時は、トイレや風呂に行く時ですらわざわざ拘束具を外さなければならなかったのに、今は気の向いた時に動きたいように動ける。
だが自由を得たことを一番に喜べない理由は、あの檻の記憶がある限り、僕の精神はいつまでも縛られたままだからだ。
僕は諦めにも似た溜息を吐き出すと、そういえば、と今日の予定を思い出した。今日は月に一度の、サユが通院のために別荘を空ける日だ。確か行きつけの美容院を予約しているから、午後はあまり遅くならない内に出ると言っていた。
この生活を始めてから知ったことだが、サユはこの別荘に月に一度だけ完全に鍵をかけるという。そして、三日間だけこの別荘には誰も寄せ付けず、僕を完全に一人にするのだ。
守られなければ死んでしまう。そういう場所に居るようになってから、何の因果かサユの日課に決まっている完全に自由になるこの三日間だけは、今では僕の唯一の楽しみと言ってもよかった。普段の生活では断られている本を読み漁ることが出来るのだ。読書はもともと好きだったものの、こうも目まぐるしく時間が過ぎていく生活を送るようになってからは、すっかりとご無沙汰だった。
最初の頃こそ自由を与えられた事への警戒や、何よりも自分を捕らえている張本人達に監禁されている状態から逃げ出せるかもという期待が頭の中を過り、本を開いても全く内容が頭に入ってこない日々が続いた。しかし、逃げ出したところで何をすればいいというのか。という虚しさと、もう二度とあの監獄に戻りたくないという恐怖が、僕を自由にする気を失わせた。
高田や松田がどうにか出来ないかと試行錯誤してくれたりもしたが、今の僕は正直、それが有難かった。
自由になったところで、何をすればいいというのか。
いや、自由を失ったわけではない。もう既に自由の身なのだから、Lの協力者であるオチデスノートを保持しているという僕の状況を理解した上での言葉なのだが、それにしても毎日のようにLLが経営しているリゾート別荘の一室で、エージェント達に見張られながらの生活は、自分が犯罪者として見られていることに今更ながらに気付かされる。
サユは元Lの後継者候補であり、その彼女の計らいによって、Lの息がかかった施設とは別の場所に匿われているのだが――――。他の部署の邪魔が入らず、面倒なのだろう、監視をラバーの件に集中させたいと言うサユの判断が働いたのは、喜ばしいことだ。
まあ、そのお陰でLの目も薄くなった今の自由を手に入れられたわけだし、結果的には良かったのだろう。
Lは、もう、居ない。
あの、長い前髄に隠された冷たい目をした、僕が最も苦手とする人間が、もう、僕を苦しめることはない。
それなのに、どうして僕はこんなにも悲しいのだろう。
どうして、あの男のことを思い出す度に、心の奥の方に冷たい何かが落ちていくような感覚を覚えるのだろう。
好きでもない男に、身体を壊された挙句、精神まで何もかも思うままにされて、一番辛いことを何度も何度も味合わせられて、たとえ生きてここから出られても、僕の代わりに僕を守ってくれる家族は戻らない。なのに、どうして僕は、あの男のことを、Lのことを憎みきれないのだろう。
ああ、もう、本当に最悪だ。と、思考を打ち切って、僕はまた一つ、深いため息を吐いた。
ベッドから飛び起きてからかなり時間が経った頃、隣で寝ているはずのサユが、何やら目を擦る気配がして僕は隠していた顔を上げる。いつの間にか目を覚ましていたサユは、まん丸と目を見開いて僕を見ていた。まさか、何か声を出してしまっていたのだろうか。
「おはよう、サユ。起こしてしまったか?」
まだ少なくない焦りを抱えながらも、あえて何でもないことのように自然に微笑んで見せれば、サユは首を振って、いえ、と短く返した。
「今、すごく怖い顔をしていましたよ。また、夢を見ました?」
「……ああ、まあね。目が覚めたらもう忘れてたが、どんな夢だったかまでは思い出せない」
夢の内容を聞かれた時のために考えていた、丸めの回答で誤魔化す。よくやっているこの誤魔化し方にも、もうかなり慣れてしまった。
しかし、何故だかサユはそれ以上何も言わずに、ただ黙って僕のことを見つめてくる。その目が少しだけ悲しそうで、いっそ怒られている方が楽なのに、と心の中で毒付いた。
「…夜神さん。辛いなら、吐き出してもいいんですよ」
サユに与えられた温かい優しさに、一瞬、心が揺れる。
否、本音を言えば、今もまだあの夢の続きを、悪魔に見詰められている感触が続いているような気がして、正直に白状したい気持ちもあった。
しかし、過去の苦痛を吐き出したところで、この蟠りが解消されるとは思えなかった。ましてや僕の口から過去の記憶を話したことで、サユに嫌悪感を抱かれてしまうかもしれない。 大好きなサユの顔を、悲しみや侮蔑の色で塗り替えてしまいたくなかった。
「何でもないよ。―――サユは今日も可愛いね」
「もう、兄さん、幾らでも褒めてくれていいんだからね!」
気を使わせてしまったなと少し後悔しつつも、サユの笑顔を見ていると心が軽くなった気がした。
そうだ、もう悪夢は見なくていいんだ。竜崎に捕まらないように逃げ続ける、あの日々を繰り返さないためにも、もう二度と捕まらないと決めたんだ。
今度こそ、俺の生活を守るんだ。
気合を入れ直す
然而,无论内心如何抗拒,肉体却不知停止,仿佛在重现监狱的日常般渴求着刺激。
终于,如同电流贯穿般,伴随着大腿剧烈痉挛的感觉,所渴求的高潮袭来了。
“唔、——! 哈,啊啊,啊!”
伴随着从喉咙深处被强行拖出的声音,阴茎咕嘟咕嘟地吐出精液。幸好,似乎不是那座白色监狱里让我吃尽苦头的、没有精液射出的绝顶。
这个事实让冷静下来的自己感到了些许安心,但很快,刺激嗅觉的精液气味让我意识到这份安心是错误的。
“呕、呃、呃啊、呕!咳、呕、唔!”
我感觉到喉咙被瞬间涌出的胃液灼烧着,那种完全无法用自己意志控制的反应。
或许是因为胃里的东西已经全被消化掉了,涌上嘴里的只有唾液和胃液,但即使吐出来一次,作呕的感觉也没有消失,我忍受不住,把淋浴喷头对准了嘴边。
我用温热的洗澡水冲淡满嘴的粘腻,像要清洗胃部一样把水喝下去,再吐出来。
但愿这些声音和动静不会被更衣室的监控摄像头记录下来——我一边这样祈祷,一边一次又一次地重复着喝水、吐出的动作。
“呼……哈啊……哈……哈啊……唔……嗯……”
呕吐感终于平复下来。因为吐了太多次,体力已经完全耗尽,我瘫倒在浴缸里。淋浴的水压和温度打在皮肤上都让人心烦,可我没有转动水龙头的力气,只能茫然地望着被热气模糊的天花板。
“可恶……可恶,可恶,可恶!”
对着这具完全变了样的、悲惨的肉体,焦躁愈演愈烈,我挥拳砸向瓷砖墙壁。
然而,那股力量连造成伤痕都做不到,反而更让我觉得自己可悲。
“糟透了。”
我轻声说出这个已在脑海中重复了无数遍的词,然后轻轻闭上眼睛。在黑暗中祈祷着,不要看到那个恶魔的身影。
被那个恶魔监禁了半年以上,对我做了许多光是说出口都令人忌讳的事。
持续被侵犯成了日常,尽管如此,依然有无论如何都习惯不了的事。被迫超越身体极限地多次达到高潮也好,被用只能认为是用来折磨人的玩具有乱腹部也好,被用上让人脑袋一片空白的莫名其妙的药物也好,虽然都是日常,却从未习惯过。
而其中,被灌入口中的精液的味道,也是我无论如何都无法习惯的事物之一。
「呜、呃、唔……! 唔咕、呜呜――ッ!」
那一天,被安装在我口中的是名为开口器的金属道具。
它不同于医疗用的器具,显然是用来进行特殊play的道具,其目的就是强迫我张开嘴进行口交和深喉。
事实上,自从那家伙给我戴上这个开口器后,我的嘴里就始终含着那根勃起的阴茎,已经有好几十分钟了。
「夜神月,你不更卖力一点的话,可没完没了哦。」
见我完全不动,那家伙似乎有些不耐烦了,一边百无聊赖地说着,一边按住我的头,将阴茎插到我的喉咙深处。虽然龟头因此像是要撬开喉咙深处一样顶了进来,但我仍然固执地一动不动舌尖,一边干呕着,一边瞪视着那恶魔的身影。
他的目的,并不是把我的嘴当成玩具,随便扭动腰身射出来。当然,最初的时候他也干过这种事,甚至强迫我在喉咙深处射精,但现在那家伙的喜好,似乎是让我凭自己的意志为他服务。
所以,那家伙只是把阴茎插进被开口具撑开的嘴里,自己并不会积极动作。他要求我主动行动,用我的舌头去舔,把他弄射。
既然那么想要我动,我恨不得现在就咬碎这家伙的阴茎,但开口具的坚硬金属部件却阻止了我。因此,我什么也不做,只是忍受着插到喉咙深处的阴茎带来的压迫感,一边干呕一边瞪着那家伙,这种僵持状态持续了下去。
「っ、はぁ……が、あぁ……あ、ぁ」
哪怕只是稍微动一动嘴,都好像会给他送去他所期望的刺激,所以拼命忍住不动。因此,唾液不断滴落,在地板上洇开了一大片。
托他的福,嘴里的味道没有被那家伙的前列腺液支配,但与此同时,我感到身体里的水分在流失,感到了疲劳。我注意到最近饮食中提供的水分变少了,原来是为了这场游戏。因喉咙干渴而皱眉,恶魔脸上浮现出笑容。
「很渴吧。只要你努力一点,很快就能解渴了哦?」
这听起来像是给鞭子与糖果中的糖果,但我很清楚那家伙说的“解渴”是什么意思。
反正他是打算把精液射进我喉咙深处,然后说这就是你所需要的水分吧。真是令人作呕。我瞪着恶魔,心想谁会听你的,于是他又恢复了无聊的表情,叹了口气。
「真是顽固。既然这么讨厌的话,也不是没有别的水分补充方法,不过那个方法我可不推荐。……聪明的月君,应该明白我想说什么吧?」
我不说话。男人用暗示的方式威胁我,我咬紧牙关,几乎要把开口器咬得吱嘎作响。
啊,我明白。这个恶魔在想什么,从搜查基拉事件时起,我和这家伙的思维就很接近。所以我立刻明白了眼前这个男人所说的“不推荐的水分补充法”指的是尿液。
それから数十分の間、僕が何の抵抗もできないのを良い事に、奴は手当たり次第に道具を持ってきては、僕の身体を使って気が済むまで楽しんでいた。ダンスの際に腰を振るだけで精一杯なのに、それを無理に座らされて聞かされる男の話など、何一つとして頭には入ってこない。悪魔の話など聞く価値もない。そう、頭では分かっているのに、身体が言うことを聞かない。
どのくらい時間が経っただろう。口を自由に使えたならば、歯を食いしばるような怒りと屈辱の中、それでも無理矢理に抗う力が抜けた身体から、死んだ魚のような目で天井を仰いだ。
何度も絶頂に追い込まれて、身体は真っ赤に火照って桃色に染まっている。白い体液を吹き出したままの己のペニスは、今は悲しいくらいに萎えて、恥ずかしいくらいに反り返る身体は綺麗サッパリ綺麗になって、何度も注がれた精液が子宮まで届いている。
もう、何も考えられない。
もう、動きたくない。
ただ、楽に――――。
「―――また、現実逃避ですか?」
不意に聞こえた声に、見たくもない悪魔の顔を見る。
そこには、馬鹿にしたような笑みを浮かべた顔があって。
「気付いてます? 私、貴方の中に出すとき、必ず中で出してるじゃないですか」
「ッ、……!」
「でも、あれから全く孕まない。元から不妊の体質だったのか、それとも、貴方の身体の他の機能が破壊されているのか、どちらかですね」
何を言っているのか。コイツは正気か。僕は男だ。人間の男が妊娠するなど、そんな事がある訳がないだろう。
おかしなことを言う悪魔に、非難を込めて睨みつければ、あいつは僕の前で両手を広げて見せると、心底楽しそうに続けた。
「今のアナタは男性であって、女性でもある。だとしたら、可能性はありますよ。ねぇ、そう思いませんか? 今の身体の調子は――」
「二階堂様、お客様です」
僕の上で何かを楽しそうに語りだした悪魔の声は、脱衣室に設置されたインカムから流れてきた機械的な声にかき消され、不機嫌そうな表情を浮かべて言葉を止めた。
その男がインカムの通話を終え、バスルームにいる僕に背を向けて脱衣室へと戻った時だった。僕を拘束していたベルトが簡単に外れたのは。
「――ぁ、れ?」
自分の意思とは思えないほど簡単に外れた拘束に、僕は呆気に取られて声を漏らしてしまう。手首を縛っていたベルトはかなり力を込めなければ外れないというのに、明らかにおかしかった。
隙を突け。そう直感が訴えるがままに、僕は無理矢理口に押し込まれていたペニスを引き抜くと、バスタブを乗り越えて逃げようと身体を起こした。
「ほう。外すか」
しかし、バスタブに足をかけたところで悪魔の声が聞こえ、一瞬だけ動きが止まった。その一瞬が、命取りだった。
「かはッ!?」
頭に衝撃が走り、背後から強く押される。バランスを崩した体は前のめりに倒れ、バスタブの縁に勢いよく額を打ち付けてしまった。
「がッ、あ、ぁ……!? な、に――」
「以前も言ったはずですが、私は、貴方に無断で触られるのが、何よりも一番嫌いなんですよ」
今度は押し倒すようにバスタブの中へと押し込まれて、あっさりと腹を上にして倒れ込んだ体の上に、素っ気なく載せられる体重。ぐっと腹を押さえつける男の生の膝に、内臓が押し込まれるような感覚に息を詰まらせる。
「暴れたくなる気持ちも分かりますが、口を利けないのですから、せめて歯を食いしばらずに咥えていてください。早くイきたいので」
無表情にそう告げられ、目の前の光景が信じられないといった様子の僕の口に、肉棒が押し込まれた。
「ぐ、ぷ、う、うぅ――ッ!」
何度も強請られるまま口に咥えされていたモノよりも、強引に押し込んでくるソレは、喉の奥まで一気に突き上げてきて、その度に吐き気を催す。
喉の奥が狭いのに無理矢理突き込んでくるのが苦しくて、無意識に両手で必死に抵抗してしまった。
何せ、普段は僕の意思で舌を動かして咥えている分、呼吸のタイミングを調整する事が出来た。だが、喉の奥を亀头にグリグリと抉られる度に、吐き気を催し自然と喉が絞まる。
「おや、舌を動かす気になりましたか?」
あいつが愉悦を込めた声を出すが、無論、舌は一切動かしてなどいない。
睨み上げてやれば、あいつは尚も楽しそうに笑みを深めるだけだった。たまらず視線を外せば、あいつに咥えさせられたままの己の体に目が行き、あの硬い金具を付けた時に畜生が何を言ったか思い出した。
――綺麗なお口だね、夜神月。この硬い器具はな、天使のお口を淫らな穴に作り変える為のものだ。
天使だの、綺麗だのと、何度も何度も何度も言われたが、僕の身体がねじ曲げられることはなかった。確か、最初の頃は全く痺れを切らさなかったあいつが、珍しく苛立った様子を見せていたのを覚えている。
「月くん。舌、動いてませんよ」
それまで黙って動きを見ていたのに、急に僕の頭を掴んで、何の感情も篭らない声でそう告げてきた。
怒りにも似たその声音に、僕は動かしていなかった舌が少し動いてしまっていたことに気付いた。この悪魔の言う通り、無意識のうちに舌先を僅かに蠢かせていたらしい。
そうさせてしまっている原因は、紛れもなく口の中に押し込まれたペニスの所為である。あいつの身体に触れることを拒むように舌を後退させているのに、口内をくまなく這い回る亀頭や、時折ペニスから溢れるヌルヌルとした先走りの粘度を肌に感じて、舌が勝手に蠢いてしまうのだ。
最も、こんな理由をこの悪魔が聞き入れてくれる訳もなく、いっそ言われるがままに奉仕をしようかという考えが頭を過る。
(嫌だ。こんな――、身体がいうことを聞かなくなる方が、どれだけマシか)
あの白い部屋にいる時、身体が勝手に快楽を求めて言う事を聞かなくなった末に味わった悪夢のような時間を思い出す。何度も何度も身体の奥を犯され、心の死んだ目をした自分がそこに居た。それは、ここに閉じ込められている時も変わらない。
――己の心が、折れる。
そう感じるまで、あと一歩のところまで追い詰められていた。
喉の乾きは、人体にとっての生理現象。ならば、あいつに奉仕しても喉の渇きは潤せない事を理解している僕としては、精一杯の抵抗を行い、喉の乾きを凌ぐほかになかった。
唾液を飲み込み喉の潤しを試みても、いつまでも咥え込まされているペニスの味で、カラカラに乾いた喉を潤すには至らない。あとどれだけこれに耐えればいいのかと、気が遠くなりながらも、必死に自身の意思を貫き動きを止め続けた。
「――ん、ちゅ……ちゅぷ、ちゅぷ……ちゅぷっ」
唐突に響いた淫らな水音。その音が発せられているのが自分の口からだと気付くのに時間はかからなかった。
「おや、そういう気になったんですか?」
下卑た声を掛けてくる悪魔に、僕は口に咥えたペニス越しに睨み返す。その視線に臆した様子は見せず、あいつは愉悦に顔を歪めた。
長い間この檻の中にいれば、体が餌を求めて動いてしまうことは分かっている。それこそ、人間の体は飢えた性欲を満たそうと強く要求するようできていて、そんなものを制御しろと言うのが、どれほど難しいことかは自分が何度も味わってきた。
実際、先程もこんな形で身体が勝手に反応してしまった。我ながら実に惨めだと思う。それでも、やはりこうして口淫を自ら行う事だけは拒否りたい。
そう思うのだが、どうやらそれは僕の勝手な思い違いなのかもしれない。
「――おや、どうしました?」
それは、まさに油断した瞬間だった。身体がゾクリと震え、背中を冷たい何かが走る。
それと同時に視界が歪んで、あの悪魔の笑っている顔が滲んで見えた。
「目が、回る……?」
全身から力が抜けて、いつの間にか倒れそうになっていた僕を、あいつは何とか支えて座り直らせた。
「何度も何度も、月くんの身体からサインは出ていましたよ。それでも、貴方は身体の正直な反応を必死に抑えていましたが、精液を飲ませたいという欲求には敵わなかったようですね」
光の中、意識を手放す瞬間、それでも僕は人の名を叫んでいた。お前のせいでこうなったと呪いながら。
「ライト、起きてくれ」
まるで焼き切れるような激しい頭痛と吐気の中、聞き覚えのある声に名前を呼ばれて僕はゆっくりと瞼を開いた。
そこはさっきまでの悪臭漂う汚い部屋ではなく、見慣れた我が家のリビング。俺の横顔を、神は慈愛にでもでも満ちた表情の様に、本当に綺麗な顔をしていた。女装した自分が、まるで別人のように。
――――ああ、そうか。これは悪魔の見せる夢か。
一瞬だけ、悪魔に犯されている最中の光景が頭を過った。
「ひッ――――!」
恐怖と共に身体が硬直する。しかし、身体が再びあの悪魔に犯されているわけではないのだと理解して、僕は慌てて視線を落とした。
ああ、最悪だ。折角の夢の中だというのに、目が覚めた後よりもずっと素直になっている己が、腹立たしい。
「……目を覚ましたんだな。一応、起こさないように気をつけてはいたが」
ここが夢の中の光景であることは確かだが、それでも僕は安堵の息を吐く。どうやら俺は相当この悪魔に苛まれていたらしい。
「そうか。まあ、何はともあれおはよう、月」
優しく微笑む顔が僕の視界をいっぱいに埋めて、無意識に、自然と、体の力が抜けていくのを感じる。その力が抜けたところで、ゆっくりと体を起こした僕の手を見たリヴェートは、何事かと小首を傾げた。
「――? どうかしましたか、月くん。まさか、自分のお手てを……」
「自分のことは自分でする。そういうあんたの言葉を、信用してしまいそうだ」
「……それはそれは。それは実に心苦しいな」
僕の言葉に、リヴェートは含み笑いを含んだ声を出した。心苦しいと言うのならそんなことをしなければいいのに、僕は未だにこいつを見ると、体の奥底から何かが込み上げてくる感覚に囚われる。
鼓動が速くなり、呼吸が浅くなっていく。決して恐怖しているからではない。
目の前の悪魔に、心の底から怒りを覚えているからだ。
しかし、その心とは裏腹に、身体はそれを良しとしない。恐怖で硬直して、動かなくなる。悪魔が現れた時は必ずと言って良いほどに、死の呪いと共に身体がこわばっていく。
あんな悪魔、この手で殺してやりたいと頭では理解していても、身体の芯は恐怖で凍り付き、心とは裏腹に弱弱しい悲鳴を上げていた。
強気に相手を睨むことはできても、身体が恐怖で縮こまるのを止めることはできない。自分がこんなになるまで、どうしてあいつを前にして自分を見失っていたのか。脳裏に浮かんだ、悪魔に辱められ続ける己の姿を、僕は必死に頭を振ってかき消す。
「ふっ、何を企んでいるのか知りませんが、そんな格好をいつまでも続けていると、夜も遅いですし流石に風邪を引きますよ?」
金縛りが解けるように、突然あいつが声を出した。意味が分からず、疑問の視線を向ける。言葉の意味を図りかねている僕に、あいつは「さっきから」と前置きし、
「私が何度名前を呼んでも、何も反応してくれないではありませんか。よほどアレが気持ち良かったのでしょう。……実に不愉快です」
怒りを含んだ声で僕にそう言った。白い監獄で何度もされたあの時のアレは、決して気持ちの良い物ではなかったのだが、反論する気力すらも失っている今の僕に、その言葉はどうしようもなく虚しく響いた。然而,无论内心如何抵抗,肉体却不知停止,仿佛在重现监狱的日常一般渴求着刺激。
终于,如同电流奔涌般,伴随着大腿的剧烈痉挛,渴望已久的高潮袭来了。
“唔、————! 呜、啊啊、啊、啊!”
随着从喉咙深处被强行拖出的声音,精液从阴茎中噗嗤噗嗤地吐出。所幸,似乎并不是在白色监狱里让我吃尽苦头的、没有精液的高潮。
对于这个事实,冷静下来的自己感到了些许安心,但紧接着,刺激嗅觉的精液气味让我意识到这份安心是个错误。
“呃、呕、呜、呃!咳、呕、呜、呜!”
不受自己意志控制的胃液瞬间涌上,我感到喉咙像被灼烧一般。
或许是因为胃里的东西早已消化殆尽,口中溢出的只有唾液和胃液,但即使吐出来一次,作呕感也没有消失,我终于忍不住把淋浴喷头凑到嘴边。
用温热的洗澡水灌满口腔,像是要清洗胃部那样咽下去,然后再吐出来。
我一边祈祷着这些声音不要被更衣室的监控摄像头记录下来,一边一次又一次地重复着喝下水再吐出的动作。
“呼……哈……啊……呜……”
呕吐感终于平息下来。因为反复呕吐而耗尽了体力,我躺在浴缸里。淋浴的水压和温度落在皮肤上都令人烦躁,但我连拧紧水龙头的力气也没有,只是茫然地望着被热气模糊的天花板。
“可恶……可恶、可恶、可恶!”
对这副彻底堕落的悲惨肉体,焦躁愈发强烈,我砸向瓷砖墙壁。
但是,那力量连让自己感到疼痛都做不到,反而更显得自己可悲。
“糟糕透了。”
我一边念着这句在脑海中重复了无数次的话,一边轻轻闭上眼帘。
在黑暗中祈祷着,不要看见恶魔的身影。
被那个恶魔监禁了半年多,被迫做了许多难以启齿的事。
被不断侵犯已成为日常,但即便如此,仍有怎么也无法习惯的事。被强迫超越身体极限地迎来无数次高潮也好,被目的只是折磨人的玩物翻搅腹部也好,被用上让人脑袋一片空白的药物也好,这些虽然是日常,却从未习惯过。
而其中,被注入口中的精液味道,也同样是绝对无法习惯的事物之一。
「唔,呜……! 呜咕,呜呜——!」
那天,被安装在我口中的,是被称为开口器的金属制道具。
它与医疗用的不同,明显是为了用于特殊玩法而制造的,是一种强制张开嘴巴,用以进行口交或深喉口交的道具。
事实上,自从被那个混蛋装上开口器以来,我的嘴里就一直没有离开过他那勃起的阴茎,大约几十分钟以来,我一直被迫含着他的那玩意儿。
「夜神月,你不好好努力的话,可没完没了啊。」
见我完全不动,那家伙似乎有点不耐烦,一边百无聊赖地说着,一边按住我的头,把阴茎插进我喉咙深处。龟头随之狠狠地顶弄着喉咙深处,但我固执地不动舌尖,一边干呕一边狠狠瞪着那个恶魔。
那家伙的目的,并不是像对待玩具一样对待我的嘴,然后自顾自地摆动腰部射出来。当然,最初他也确实这么做过,也曾被强迫着在喉咙深处射精,但他现在的癖好似乎是让我凭自己的意志去侍奉他的阴茎。
所以,那家伙只是插进被开口器撑开的我的嘴里,并不主动动。他要求我行动,让我用舌头舔到他射出来。
要是他这么想让我动,我现在就想咬断这个恶魔的阴茎,但开口器的坚硬金属部件阻止了我。所以我什么也不做,只是忍受着被顶到喉咙深处的压迫感,一边干呕着一边瞪着对方,这种僵持一直在持续。
「っ、はぁ……が、あぁ……あ、ぁ」
哪怕稍微动一下嘴,都感觉会给那家伙想要的刺激,所以我拼命忍住不动。因此,唾液不停地从嘴边淌下,在地上洇开一大片。
虽然托此之福,我的口腔没有被他的前列腺液的味道支配,但同时,我也感觉到了水分从身体里流失,开始觉得疲劳。我注意到最近随餐提供的水分变少了,看来就是为了这场游戏。当我因干渴的喉咙的疼痛而皱起眉头时,恶魔的脸上浮现出了一丝笑意。
「很渴吧?只要您肯努力,马上就能解渴哦?」
这像是鞭子和糖果中的“糖果”的意味,但我知道他说的“解渴”是什么意思。
无非是想把精液射进我的喉咙深处,然后说这就是你想要的水分。真是荒唐。我瞪着这个恶魔,仿佛在说“谁会听你的”,他又恢复了无聊的表情,叹了口气。
「真是固执。如果您这么讨厌的话,还有别的补水方法,但那个我不太推荐。……聪明的月君,应该明白我的意思吧?」
没有说出口。那男人用让我想象的威胁方式,我咬紧牙关,几乎要把开口器咬碎。
啊啊,我知道。这个恶魔在想什么,从调查基拉事件的时候起,我和他的想法就一直很接近。所以我立刻就察觉到,眼前这个男人所想的『不太推荐的水分补充方式』指的是排尿。
「唔、呃……啊、啊……」
我的心中刚刚浮现出那个屈辱的想象,那个男人就像看穿了一切似的,露出了笑容。
あいつが次にどんな言葉を紡ぐのか。振り返ればあいつが自分の太ももの間にある、半分勃ちになりかけのペニスをこちらへ突き出してきた。
その光景に一瞬で理解した。口で言うよりも先に行動で示すタイプの男の事だ、あれは、喉の奥に達するくらい、更に深く突き上げろとそういうことなのだろう。
実際、喉の奥に突きつけられている硬い感触に、抗うことを放棄したくなりかける。
あいつに従うまいと、必死に抵抗しているのに、身体のどこかは素直に反応をしてしまっている。相変わらず、本当にどうしようもなく嫌な身体だ。
いっそ、このまま全てを忘れて楽になりたい。そんな弱気な心が顔を出しかけたその時、口の中に感じる生温かい感触と、無理矢理開かされ続けている開口具による痛みが、ふと我に返らせた。
この男だけは、絶対に許してはいけない。
たとえ、この身体が汚され続けても。
たとえ、魂を汚され続けても。
決して、この男を許してはならないのだ。覚悟していただ。あの日、全てを投げ出してこの男に頼ったその時から、自分の中で折り合いをつけると決めたはずだった。
今更、そんなことを思い出して、何を揺らぐことがあるのだろうか。
僕が自ら選択した道ではないか。ならば、最後までこの道を歩き続けるだけだ。
「――ッ、う、あぁ、ぁっ」
喉の奥を、亀頭が強く圧し抉る。舌で抵抗をしようと無意識に動かすが、力の入らない舌では意味を成さなかった。
じわり、と口の端から唾液が溢れて床に落ち、視界の端で水溜りを作る。その光景を見ていたのか、あいつがまた何かを囁こうとして、しかし、急に口を閉じ、何かを考え始めてしまった。
「何をしている。さっさと動け」
急に動きを止められたことに業を煮やしたのか、無理矢理口を突かれた状態のまま、顎を掴まれて上を向かされる。
「ねえ、月くん。久しぶりに私の目の前で、あの日の白い記憶を思い出させるような事をしてみませんか?」
「…………ぅ、ぐ」
耳元で囁かれた悪魔の言葉に、何を言われるのかと嫌な予感が走る。
「エマールの時みたいに、上手に喉を開けてみせてくださいよ」
あの時は確かに向こうから締め付けに来ていただけだと、頭のどこかで考えている己に、喉の奥を直接掻き回される感覚にゾクリと震えが走る。
「アレ以来、あの時以上に喉の奥を開発してあげましたから、楽しみにしていてくださいね」
その言葉を皮切りに、あいつは太いペニスを一気に喉の奥へと突き入れてきた。強い吐き気と共に締め付けるように痙攣する喉を、待っていたとばかりにペニスがこじ開けていく。
喉を食道ごと犯すように、出し入れされるペニスに、精液を搾り取られるような錯覚を覚える。
唾液でたっぷりと濡れたペニスの出し入れによって溢れた唾液が泡立ち、卑猥な音が絶え間なく響き渡り、そして一頻り口の中を犯しつくした後、あいつは必ず僕の口の代わりに奴の右手を使う。何度も何度も繰り返してきた行為なのに、あいつは今日も自分の右手に達した精子を吐き出して、僕の顔へと振りかけた。
「月くん。ご褒美ですよ。このまま咥えていて下さい」
言うが早いか、あいつはぶるりと脈打つ己のペニスを、そのまま僕の口の中へと押し込んだ。口の中に残された白濁の塊を全て絞り出されるように、舌の上に少しずつ放たれる。
喉を鳴らしてそれを飲み込むと、口内にどろりと広がる鉄と生殖器の匂いを感じて、思わず吐き気が込み上げてきた。
「ほら、飲み込んだらおしまいですよ。じっと我慢していれば、いつかは終わります」
あいつにそう言われて、誤魔化すように違和感しか残らない口内に舌を這わし唾液で飲み下す。まだ口の中に残っている精液の味と匂い、粘度に嘔吐きながらも、僕は必死に咽せないよう耐え続けた。
ここであいつを怒らせてしまうと、口を開けて咥えているだけという、この行為すらもしてもらえなくなってしまう。それはつまり、あの白い檻の中での生活に逆戻りしてしまうという事で、そして、地獄を味わう日々に戻ってしまうという事だ。
そう思うと、喉の奥に残る精液の味と匂いが憎たらしく思えてしまうのに、この口淫という行為だけは耐えられてしまうから不思議だった。
「……っ、はぁ、あ、あ」
何度も喉の奥を亀頭にグリグリと抉られながら、思わず溢れてしまった声を噛み殺す。
咥え込んだペニスの太さに喉の奥を塞がれながらも、どうにか呼吸を堪えていれば、あいつはそんな僕の姿が面白いのか、軽く笑って、言葉を吐き出した。
「ふ、中々に哀れな目をしていますよ。まさか、自分から舌を出して私のものを気持ち良くしてやろうだなんて、思っていないでしょうね?」
挑発するようなあいつの言葉。実際、わかっていても睨み返すことしかできないのがもどかしい。
しかし、だからと言って、このまま何の刺激も与えず、ただ咥え続けるだけの行為に意味はない。いくら我慢比べと言えども、喉の奥に突っ込まれているのが辛いのは事実なのだから、何かが変わるわけでもないのに長引かせるのは身体の負担が大きいだけなのも確かだった。
何より、このままだと喉をずっと圧迫されている所為か、息苦しさから涎が止まらなくなってしまう。事実、もう口の端から溢れ出た唾液で床が濡れてしまっている。
唾を飲み込む事すらも許されない僕は、喉の奥に押し込まれる質量に吐き気を覚えながらも、どうするでもなく、この窮屈さにじっと耐え続けることしかできない。
じっと、微動だにせず。
そんな中、俯きながら動かずにいる僕の姿に不満を募らせたのか、あいつは突然、へたり込んだ僕の身体を乱暴に倒して押さえつけると、首に強く爪を突き立ててきた。
「月くぅん、流石にそろそろムカついてきた。――お前、本当にやる気あるのか?」
首を絞めるほどに強く、指を食い込ませるようにして爪を立てながら、あいつは僕の首元に顔を寄せた。そして、これから行うことが何であるのかを教えるかのように、耳の形を舌でなぞりながら、さも楽しそうな声で言うのだ。
「これでも何度も時間を稼いでやっているんだ。それでその態度は、常識としてどうなんだと思うぜ?」
「ぐぅっ、うぁ、あ、あ……っ!」
僕の首を掴んだまま、あいつが力を込める。まるで簡単に骨を砕けてしまいそうな、その圧迫感。
「お前のせいで、俺は随分と面倒を増やされて困ってるんだ。その報いはしっかりと払って貰わないとな」
にたり、と口元を歪めてそう言った男の表情を見て、薄っすりと僕は確信した。
ああ、これはまた、良からぬことの始まりの予感だ。開かれた口を閉じることも叶わないまま、男の次なる言葉に耳を澄ませる。
「良い機会だ。お前の身体で、一度ゆっくりと味わってみたいモノがあってね」
そう言って男がポケットから取り出したのは、飴玉ぐらいのサイズの赤い物体だった。
それは、僕が嫌というほど知っている物。確か、咳止め用の軟膏として売られていたはずの物で、誤って大量に摂取した場合、発熱やめまい、吐き気の症状が出て、最悪死に至るとされる物だ。
吐き気を催す感覚と、過呼吸の様な呼吸の速さに、瞳孔が開いていく。身体の中から襲いかかってくる吐き気や、視界がぐらりと揺れる平衡感覚に、これは現実に起こっていることだと自分の体で必死に教え込ませる。それから、なんとか小さく口を開けて、喉の奥から絞り出すように声を出した。
「そ、んな……物……要る、か。こんな、も、の……っ」
「効きそうなものは何でも使ってみるべきでしょう。これも何かの縁ですし、色々と試してみたかったんです」
あいつが手に持っているものに視線を落とせば、そこにはガラス製の小さな瓶が握られている。
中身は半透明の液体。俺の腕に何度も注射されている、乳白色の液体。
こいつはいつも注射器で直接腕に打ち込んでくるから、中の薬を
“来,月君……马上就好了哦。”
恶魔一边往空掉的玻璃杯里重新倒水,一边像是故意做给我看似的晃动着杯子。
那一定是凉水里还未融化的砂糖混成的甜水吧。可是,对现在的我来说,哪怕是这样的水,我也渴求不已。
于是,如同恶魔所言,我再次将视线移回男人的阴茎上,用舌尖爱抚着那根无数次折磨我的东西。
「唔、啊……啊、っ——啊、ぁ」
这份努力没有白费,男人的身体终于僵硬了起来。
「唔——,月君,就这样」
那家伙这么说着,用力按住我的头,将自己的阴茎插入了我的喉咙深处。作为人体的机能,我的身体抗拒着要将顶在喉咙深处的东西吐出来,然而,或许就连那喉咙的蠕动也挑起了男人的快感。恶魔没有松开压制我的手,就那样颤抖着腰,终于在我的喉咙深处射出了灼热的精液。
「唔、——! 嗯、唔咕、呜呜! 呜呜!」
被吐出的粘稠液体,喉咙被侵犯着。
从未习惯的精液味道在口中蔓延,胃里像要翻涌一般被呕吐感折磨着,然而因为那家伙按着我的头,连吐都吐不出来。
喉咙深处被一下下撞击着,我一边拼命忍耐断断续续射出的精液,一边紧紧咬住开口器。
如此忍耐了一阵如挣扎般的苦痛后,似乎终于全部射完了。那家伙的阴茎在持续跳动了一阵后停止了颤抖,随着一声大口的叹息,恶魔的身体终于从我身上离开。
「唔,哈……啊,啊゛……啊,嘎」
喉头黏附的精液,让胃液翻涌上来,但那家伙要求的是我自愿为他口交,并喝下他的精液。如果在这里吐出来,那家伙一定会命令我把呕在地上的精液舔起来含进嘴里。事实上,至今为止我已经被逼着这么做过了不知多少次,不管是他人的还是自己的。
与其再一次承受那样的屈辱,不如拼命忍着不让精液溢出来。我抬起头,和一脸开心得不得了的恶魔对上了视线。
「如何啊,月君。久违的水分,是不是美味到不行了?」
连一滴都不让它流出来,含在嘴里,想必很美味吧——恶魔的嘲笑让杀意在我全身奔涌。可是,被开口器强行撑开的嘴巴连一句话也说不出来,我的杀意只能化作呻吟,徒劳地震动空气。
他应该是好好享受了一番我这副狼狈的样子吧。露出满足的表情后,他如约往杯子里倒了一杯水。
「唔……呼……嗯、啊」
终于可以喝水了。
精神无法对抗身体的本能需求,我像狗一样等着他卸下那钳制着我嘴巴的开口器。
然而,他的指尖却并没有伸向我的嘴边,而是莫名伸向了我的刘海。
「那么,这是奖励的水。请细细品尝」
他这么说着,却不知为何自己先含了一口杯中的水。
又来了,我本以为他又想用先说要给我、再在最后关头夺走的方式折磨我的精神,但这次不是那样的——我是从恶魔将嘴凑近我这边时意识到的。
「唔、呃、啊啊!」
他将脸凑到我的正上方,居然要从自己的嘴里把水喂进我的口中。
乍一看,这或许像是亲鸟给雏鸟喂食般的慈爱行为,但在这层关系下所做出的行为,显然只是为了凌辱。
为什么非得从这种恶魔嘴里渡水给我喝不可——这种不服与嫌恶感,让我产生了想要立刻把这口水吐回去的冲动。
但是,就算那是被他的口腔温度弄得温热、又因为砂糖而带上了甜味的水,对于刚刚咽下那股黏糊糊地附着在喉咙深处的精液的身体而言,这简直是天降甘霖,根本无法吐出来。
所以,我只好忍受着张着嘴难以吞咽的呛咳感,拼命地接住恶魔渡过来的水,将其咽下。
「唔、咕……啊、啊゛……」
被如此屈辱地喂水,我竟然还会感到幸福,这太不正常了。
脑海中叫嚣着要杀掉我,身体却无比诚实地接受着水。
终于,当一杯水喂完时,他露出满意的微笑,手碰上了我的开口具带子。
“夜神月,如果你坏了,我就杀了你。”
老台词。在这座白色监狱里听到生厌的话。
但最近,我开始想,这个恶魔也许正盼着我崩溃。
你要是那么想杀我,早点杀了我不就好了。
然而,我绝不会从自己口中说出类似自杀愿望的话。那才正是我坏掉的证明。我一边在心底燃着杀意,一边抬头瞪着恶魔。
我绝不会自己寻死。我一定会从这里逃出去,杀了这个恶魔。
俯视着我这样的杀意,那家伙再次将阴茎捅进了我嘴里。
「你状态恢复得不错嘛,月君……就快了哦」
恶魔一边往空杯子里重新倒上水,一边像故意秀给我看似的晃动着玻璃杯。
那肯定是加了砂糖却没能完全化开、甜丝丝的水。但对现在的我而言,哪怕是这样的水,我也渴求得要命。
于是,遵照恶魔的话,我再次将视线移回男人的阴茎上,用舌尖像在爱抚那屡次折磨我的东西一般缠绕上去。
「唔、啊……啊、――啊、啊」
托这番努力的福,男人的身体终于僵硬地紧绷起来。
「唔——,月君,就那样」
那家伙这么说着,用力按住我的头,将他的阴茎插进我的喉咙深处。作为人类的机能,我的身体试图将顶到喉咙深处的东西吐出来,但就连喉咙的蠕动都挑起了男人的快感吧。恶魔丝毫没有松开按住我的手,就那样抖动着腰身,终于在我的喉咙深处射出了滚烫的精液。
「唔、——!嗯,咕,呜呜!呜呜!」
被射出的粘稠液体,侵犯着喉咙。
从未习惯过的精液味道在口中扩散开来,像是胃里翻涌的呕吐感折磨着我,但因为那家伙按着我的头,连吐都吐不出来。
我一边拼命忍耐着不断撞击喉咙深处、断断续续射出的精液,一边紧紧咬住开口器。
就这样忍受了一阵子令人扭动挣扎的痛苦后,那家伙似乎终于射完了。持续脉动的阴茎停止了颤抖,恶魔重重地吐出一口气,总算从我身边离开了。
「呃,哈……啊,啊゛……啊,嘎」
喉头黏着的精液让胃液翻涌上来,但那家伙要求的是我自愿给他口交,并喝下他的精液。如果在这里吐出来的话,那家伙一定会命令我即使是舔食地上吐出的精液也要吃下去。事实上,至今为止我已被迫舔过无数次自己和那家伙的东西。
与其再次遭受那样的屈辱,我拼命地仰起头,不让精液漏出,这时和恶魔对上了视线,他看起来非常愉快。
「如何啊,月君。久违的水分,是不是美味到不行?」
就因为我连一滴都不让它漏出地含在口中,所以想必很美味吧。恶魔的嘲讽让杀意在我全身奔涌。然而,被开口器强行撑开的嘴无法说出任何话语,我的杀意只能化作呻吟声震动空气。
他大概是尽情欣赏够了我这种丢人的样子。在露出满足的表情之后,他信守诺言,往杯子里倒满了水。
「呜,咳……嗯、啊」
终于能喝水了。
肉体本能地渴求着,精神难以抗拒。我像条狗一样,眼巴巴地等着他解开支配我嘴巴的开口器。
但他的指尖并没有伸向我的嘴角,不知为何却伸向了我的刘海。
“来,这是奖励的水。请好好品尝。”
他这么说着,不知为何自己先喝了一口杯中的水。
我还以为他又要像之前那样,嘴上说着要给我,却在临头夺走,借此折磨我的精神。但这次不是这样的。当我看到恶魔把嘴凑过来的时候,我就明白了。
「唔、呜、啊!」
他把脸凑到我的正上方,竟然用嘴对嘴的方式,把他口中的水渡到了我的嘴里。
乍一看,这或许像亲鸟喂食雏鸟,是一种慈爱的行为。但在这段关系里,这样做的目的显然只可能是为了凌辱。
为何非得从这个恶魔口中接受水不可,这种不满与嫌恶让我恨不得立刻把这口水吐出来。
可是,就算那是被恶魔口腔温度弄得温热、因为糖而带着甜味的水,对于刚咽下粘稠地附着在喉咙深处的精液的身体而言,这水简直是天赐的甘露,根本不可能吐出来。
因此,我一边忍耐着张着嘴难以吞咽、几乎要呛住的感觉,一边拼命地接住恶魔渡来的水,咽下去。
“呜,咳……啊,啊啊…………”
居然会对这样屈辱地赐予的水感到无上的幸福,我一定是疯了。
脑中明明在向我诉说着杀意,身体却无比诚实地接受着水。
终于,在将整整一杯水渡完后,他满足地微笑着,触碰了我开口具的皮带。
「夜神月,如果你坏掉了,我就杀了你」
一如既往的台词。在这座白色监狱里早已听厌的话语。
但最近,我想这个恶魔或许正期盼着我坏掉吧。
既然那么想杀我,那就早点杀掉不就好了。
然而,这种近乎于自杀愿望的话语,自己当然不可能说出口。这正是我还没有坏掉的证明——我一边在心底深处燃烧着杀意,一边瞪视着恶魔。
我绝不会,自己选择死亡。我一定要从这里逃出去,然后杀掉这个恶魔。
俯视着我这般杀意,那个恶魔再一次将阴茎捅进了我的口中。
“来,月君……很快的哦。”
恶魔一边往空掉的玻璃杯里重新倒水,一边像故意给我看似的摇晃着杯子。
那一定是凉水里融着未化开的砂糖,一定很甜。可是,此刻的我,就连那样的水,都渴望得不得了。
因此,我按恶魔的话,重新把目光移回男人的阴茎,像爱抚一般用舌尖缠绕上这根屡次让我痛苦的物件。
「呜、啊……啊、――啊、啊」
这努力没有白费,男人的身体终于僵硬起来。
「唔——、月君,就这样」
那家伙说着,用力按住我的头,将阴茎插到了我喉咙深处。作为人类的机能,我的身体试图把压在喉咙深处的东西吐出来,然而就连喉咙的蠕动也挑起了男人的快感吧。恶魔非但没有松开的压制我的手,反而就那样颤抖着腰身,终于在我的喉咙深处射出了滚烫的精液。
「唔、――――! 嗯、唔咕、呜呜! 呜呜!」
被吐出的粘稠液体,侵犯着喉咙。
从未习惯的精液味道在口中扩散开来,反胃感像是要把胃都翻过来一般折磨着我,但因为那家伙按着我的头,我连吐都吐不出来。
我一边拼命忍耐着断断续续射出的精液不断冲撞喉咙深处,一边紧紧咬住开口器。
就这么忍受了一阵子这令身体蜷缩的痛苦之后,对方似乎终于射完了。持续脉动着的那个东西的颤抖终于停止,恶魔吐出一口大息,身体总算离开了我的身体。
「咳、哈……啊、啊゛……啊、嘎」
喉嚨里粘着的精液让胃液直往上涌,但那个恶魔要求的是我自愿为他口交,并喝下他的精液。要是在这里吐出来,他一定会命令我把吐在地上的精液舔起来含进嘴里。事实上,至今为止我已经被逼着这样做过好多次了,不管是他的还是我自己的。
与其再被给予一次那样的屈辱,我宁愿拼死也要忍住不让精液漏出来。我抬起头强忍着,正好与恶魔那双看上去无比愉快的眼睛四目相对。
「感觉如何,月君。久违的水分,是不是美味得难以忍受?」
仿佛在说,你连一滴都不敢漏掉地含在嘴里,想必非常美味吧。恶魔的嘲笑让我浑身都涌起一股想杀了他的冲动。可是,被开口器强行撑开的嘴无法说出任何话语,我的杀意只能化作一阵呻吟,在空气中徒劳地震颤。
他大概已经享受够了我这副狼狈的样子吧。露出满足的表情后,他履行承诺,往杯子里倒了满满一杯水。
“呼……嗯……啊”
终于能喝水了。
本能所渴求之物,精神实在难以抵抗,我像条狗一样等他来摘掉支配我嘴巴的开口具。
然而,他的指尖并没有伸向我的嘴角,不知为何却伸向了我额前的头发。
“来,这是奖励的水。请好好品尝。”
他说着,不知为何自己先含了一口杯中的水。
我以为他又想以“给你”为饵,临门一脚时再夺走,来折磨我的精神。但这次的情况并非如此——我是通过恶魔把嘴凑近我才明白的。
“唔、呃、啊!”
那家伙把脸凑到我的正上方,竟然用自己的嘴,将水渡进了我的嘴里。
乍一看,那或许像是成鸟给雏鸟喂食的慈爱之举,但在这段关系里,他的行为显然只有一个目的:凌辱。
凭什么非得从这个恶魔嘴里,以口对口的方式喝水不可——这种不服与嫌恶感,让我顿时升起一股想把水立刻吐出来的冲动。
然而,哪怕那是被他口中温度弄得温吞、又因砂糖而带甜味的水,对于刚刚咽下黏糊糊地附着在喉咙深处的精液的身体而言,也简直是天赐甘霖,根本不可能吐出来。
所以,我只好张着嘴,忍受着难以吞咽的呛咳感,拼命地接住恶魔渡过来的水,一口一口咽下去。
「呜、咳……啊、啊゛啊…………」
像这样被屈辱地给予的水,竟然会感到幸福,这一定是疯了。
脑中叫嚣着要抱有杀意,身体却无比诚实地接受着水。
当一杯水终于渡完时,他满足地微笑着,碰了碰我口部固定器的皮带。
「夜神月,你要是坏掉了,我就杀了你。」
又是这句。在这座白色牢笼中早已听腻的话语。
但最近,我不禁怀疑这恶魔或许正盼着我坏掉呢。
这么想杀我的话,早点杀掉不就好了。
然而,把这种近乎于自杀愿望的话从自己嘴里说出来,那才正是我坏掉的证明——我在心底燃着杀意,抬头瞪着恶魔。
我绝对不会自己选择死亡。我一定要逃出这里,杀了这个恶魔。
俯瞰着我这样的杀意,那家伙再一次把阴茎捅进了我的嘴里。
「恢复得不错呢,月。」
在被囚禁的别墅房间里,负责照料我的女医生——从我最初醒来时便一直负责我的诊疗——如此微笑着说道。这个女医生似乎负责我的诊疗。
我一边看向她操作的电脑屏幕上显示着的血液检查数值,一边承认正如她所说,那些数据确实好了不少,于是也带着笑意点了点头。
「多亏了这位名医,谢谢您」
看来我的外貌和态度,哪怕在日本以外也被认为是好青年。她听到我的话,脸上明显露出了高兴的表情,回答我说,能被这么说真是太高兴了。
我一边观察她的表情,一边想,在这里博得与外界有联系的医生的好感十分重要。于是我判断,接下来得想好怎么应对。
「那么,开始吧」
但我没有愚蠢到在这种状况下会掉以轻心。我一边露出与平日相同的笑容,一边朝放在床边的椅子示意,请她坐下。
「好,今天也请多关照」
她微笑着将带来的诊疗器具放在床边的台子上,動作も手慣れた様子で準備を整えると、カーテンを閉めるのも、聴診器を僕の胸に当てるのも、いつものことだ。この医者は普段からサディストの傾向があるけれど、それでも大の男を殺すとは思えない。何より、この病室で唯一の癒やしだ。
診察が終わると、医者は手際よく機材を片付けながら、何の気なしに尋ねてきた。
「そういえば、ここのところずっと入れられていませんが……体調はどうですか?」
その問いに、僕はあえてにっこりと、笑顔を向けた。
「大丈夫です。それよりも、もう一本煙草を貰ってもいいですか」
何でもないことのように、僕は煙草をねだった。
この男の顔に傷が付かないか、この程度の煙草の煙が目にかかるとこちらがひどく心配になる。そんな余裕の表情を滲ませながら彼女の前で煙草を吸ってみせれば、診察の時の彼女の第一声はいつもこれだ。“来,月君……马上就好了哦。”
恶魔一边往空了的杯子里重新倒水,一边像故意向我炫耀似的摇晃着玻璃杯。
那一定是因为凉水没能完全溶化的砂糖混在里面,是一杯甜水。然而对现在的我来说,即便是这样的水,我也渴望得不得了。
因此,按照恶魔的话,我再次将视线转回男人的性器,用舌尖爱抚着那根无数次让我痛苦的物体。
「唔、啊……啊、っ――啊、ぁ」
这份努力没有白费,男人的身体终于像绷紧一样僵硬起来。
「唔——,月君,就这样」
他这样说着,用力按住我的头,将自己的性器插到了我的喉咙深处。作为人类的机能,我的身体会抵抗,想要把顶在喉咙深处的东西吐出来,但恐怕连喉咙的动作都挑起了男人的快感。恶魔没有松开压制我的手,就那样颤抖着腰,终于在我的喉咙深处射出了滚烫的精液。
「唔、――――! 嗯、呜咕、呜呜! 呜呜!」
被射出的粘稠液体侵犯着喉咙。
从未习惯的精液味道在口中蔓延,胃里翻江倒海般的恶心感折磨着我,但因为那家伙按着我的头,我连吐都吐不出来。
我一边拼命忍耐着断断续续射出的精液一次次冲击喉咙深处,一边紧紧咬住开口器。
就这样忍耐一阵子痛苦之后,那家伙似乎终于全部射完了。不断脉动着的阴茎停止了震颤,随着一声沉重的吐息,恶魔的身体终于从我身边离开了。
「呃、哈……啊、啊゛……啊、嘎」
喉咙里粘着的精液让胃液翻涌上来,但那个家伙要的是让我自愿为他口交并吞下精液。如果在这里吐出来,他一定会命令我即使舔食地上的精液也要咽下去。事实上,至今为止我已经被迫舔食过自己和那家伙的,不止一次了。
与其再承受一次那样的屈辱,我宁可拼了命地抬头,不让精液漏出来,然后对上了恶魔那无比愉快的表情。
「如何,月君。久违的水分,好喝得不得了吧?」
那一定是——你连一滴都不漏地含在嘴里,所以一定很好喝吧。恶魔的嘲弄,让我全身涌起一股杀了他的冲动。然而,被开口器强制撑开的嘴却无法发出任何话语,我的杀意只能化作一阵呻吟声在空气中震动。
他就那样尽情欣赏够了我丢人的样子吧。露出满意的表情后,一如约定,他往玻璃杯里倒满了一杯水。
「呜……呼……嗯……啊」
终于能喝水了。
身体本能地渴求着,精神难以抵抗,我像只狗一样眼巴巴地等着他卸下支配我口腔的开口器。
但是,他的指尖却没有伸向我的嘴边,不知为何却伸向了我额头前的刘海。
「那么,这是奖励的水。请好好品尝」
他这么说着,不知为何自己先把杯中的水含在了嘴里。
我以为他又想通过说给却又在最后关头夺走,来折磨我的精神。然而,这次的把戏并非如此,我是从恶魔把嘴凑近我才明白过来的。
「唔,呃,啊!」
他把脸凑到我正上方,居然用自己的嘴将水渡入我的口中。
乍一看,这或许像是一只成鸟在喂食雏鸟,充满慈爱的行为,但在这段关系中,这样的行为显然只是出于凌辱的目的。
因为不甘与嫌恶,凭什么要接受这个恶魔用嘴喂水——这种想法让我恨不能立刻把水吐回去。
可是,即便是被恶魔口腔温度捂得温热、又因砂糖带上甜味的水,对于刚刚吞下粘稠地附着在喉咙深处的精液的身体来说,也无疑是救命的甘霖,根本不可能吐出来。
因此,我强忍着张着嘴难以吞咽的呛咳感,拼命地接住恶魔渡来的水,咽了下去。
「呜、咕……啊、啊啊…………」
明明只是屈辱地被喂水,我竟然从中感到了幸福,真是疯了。
脑中虽然在叫嚣着让我产生杀意,身体却无比诚实地接纳着水。
待到将那一杯水喂完时,他露出满足的微笑,伸手触碰了我口部开口器的带子。
「夜神月,你若坏了,我就杀了你」
一如既往的台词。在这座白色监狱里早已听腻的话语。
但最近,我开始觉得这个恶魔或许正期待着我坏掉。
那么想杀我的话,早点杀了我不就好了。
但是,从自己口中说出这种近似自杀愿望的话,那才证明了我已经坏掉了。我在心底燃烧着杀意,抬头瞪着恶魔。
我绝对不会自己寻死。我一定会逃出这里,杀了这个恶魔。
俯视着我这样的杀意,那家伙再次将阴茎捅进了我的嘴里。
「恢复得不错嘛,月」
在我被囚禁的这栋别墅的房间里,从一开始就一直负责为我诊治的女医生,这样微笑着对我说道。
我看向她操作的电脑屏幕上显示的血液检查数值,确实如她所说,数值好转了许多,我也带着笑容点了点头。
“多亏了名医您啊,谢谢。”
看来我的外貌和态度,即便在日本以外的地方,也能算得上是个优秀青年。听到我的话,她显然很高兴,回答说能听到这样的话很开心。
我一边观察着她的表情,一边想着:在这里博取与外界有联系的医生的好感,是很重要的。然后,我继续说了下去。
就这样,那之后过了一晚。
我一边听着电视的声音,一边被囚禁在无聊中时,感觉她今天也差不多该来了,我开始思考接下来该怎么向那个女医生搭话。
「はい、お待たせ致しました」
そう言って、彼女が置いていったココアらしき飲み物を飲み干す。ふわりと香る甘い香りが鼻を抜けていく。
飲み物の温かさに少しだけ安心したところで、改めて部屋に視線を移す。
殺伐とした殺し屋たちの詰め所に、一人だけ場違いに馴染みのない人物がいた。
「お前が、夜神月か」
この別荘で何度か見かけた、暗闇に溶け込むような黒いローブを身に纏った男が、僕に話しかけてくる。
ライト・ローラという、この屋敷のことをそこまで知り尽くした存在。生前の姿のままらしいその男に、僕は逆に胡散臭さを覚えてしまう。
「まあ、座れよ。固いことは言わないから」
従者に促され、ソファに腰掛ける。彼の目は、少しだけ熱を帯びているように見えた。
どうやら彼は僕に用があるというより、興味があるらしい。
「やあ、ライト。俺の名前はライト・ローラ。君と同姓同名で、俺が『光』で君が『月』か」
僕の名前は夜神月。ライトと読む。だが、名前は「月」であって「ライト」ではない。ああ、だが、そうか。この男の「ライト」は名前ではなく苗字なのだ。そしてこの男は僕が偽名を使っていると察して、あえて僕をライトと呼び続けているのだろう。
事実、この男と出会ってから初めて口にした名前で、夜神月という名前を僕は名乗っていた。
ならば、ライトという呼び名は偽名だと知った上で呼んでいるのだろう。
「ライト、何をしている。早く来ないか」
手を伸ばせば届く距離で、男は僕に追い付くように抱き着く。
そんな男の身体を、こちらの感情を殺した目で見つめながら、僕は渡された服を受け取るのだった。
おそらく、隠しきった俺の心情を彼はきちんと理解していて、そしてそれをわかった上でこうして好き勝手に楽しんでいるのだろう。そんなこちらの心情を理解していて尚、嘲笑しているのかと思うと腸が煮えくり返る思いだが、歯を食いしばって耐える。挑発に乗ってしまえば、またどれだけ執拗に虐めてくるか分からないからだ。
ついに、解放の時が訪れた。
「ご主人様、お待たせいたしました。御夕餉の用意が出来ました」
そう言って開いた部屋の扉から、いつの間にかスーツ姿に着替えたデイビットが顔を出した。
「おう、デイビットか。悪いな」
主人はデイビットを見ると、そう言ってにこやかな表情を浮かべた。どうやら主人のご機嫌は悪くないらしい。
その主人の様子にデイビットも笑みを浮かべると、室内にいた奴らに道具を下げるよう指示を出し、続けてペコ嬢にも来るように言い含めると、自分は主人と共に部屋を出て行った。
部屋に残されたペコ嬢は、浮かない表情のまま、積み上げられた工具の乗る机へと歩み寄る。そして机の上に無造作に置かれたままの俺のスマートフォンを見て、何かを堪えるように唇を噛み締めた。
「行くわよ、ペコ」
早く来いと急かす主の声に、ペコ嬢は泣き出してしまいそうな顔をしながらも、精一杯の作り笑顔を見せて足早に執務室へと消えていった。
月の部下が去っていった方角を、夜神総一郎は足を止めて見つめていた。
「どうかなさいましたか?」
「いや、何でもない」
神妙な表情を浮かべながら歩く後輩の背中を見つめていた総一郎は、ルーからそう声をかけられ、慌てた様子で首を振って見せた。
「何か、気になることでも?」
「いや……たまたま、あの子が気になっただけだ。俺の知り合いの娘に、よく似ていたものだからな」
「はあ、そういうことにしておきますよ」
怪しげな笑みを浮かべるルーの言葉を、まさか見透かされているとは思わず、総一郎は笑って誤魔化す。今から明かそうとする事実を、何より先にルーに知られてしまっては困るからだ。
「では社長、約束通り、二人を寝取ったことをマスコミに公表しますね」
「ああ、頼んだ」
しかし、ルーの表情を見る限り、ルーが何かに気付いている事など露知らず、総一郎はあっさりと承諾した。
新世界の神となるためならば、自らの娘の婚約者を無理やり犯した罪までも利用してしまおうというのだ。
まだ夜神総一郎の口から『携帯の事』という言葉が出ていないのを良い事に、俺は残っていたコーヒーを一気に煽りながら、無意識に爪を噛んでいた。
僕の爪は昔からこういう時に無意識に噛んでしまう癖がある。どれだけ爪を切っていても、失敗をした時はいつもこうして爪を噛む自分がいる。
たとえ今はどんなに綺麗に取り繕おうと、所詮はこの器に宿る魂は夜神月という我儘の塊だ。品性も、知性も、何もかもは、所詮作り物に過ぎない。
「そういえば確か、三村って名前だったか?」
「三村と申します」
「三村さん、確か子供が三人いるんだったよな。年は、上が──九つか。下の子も……確か、五つ」
「は、はい、そうです」
マイクが何の脈絡もなくそう言ってくるから、女医が明らかに不自然な返事を返した。
「息子さんは学校で上手くやっているか? いじめられてないか?」
「い、いえ……。それは、どういう意味ですか……?」
不意に、女医の声が震え始めた。
マイクは何の意図もなく、ただ微笑みながら問いかけた。
「いや、ただの世間話だよ。特に他意はない。――だが、言うならば“優しい世界”って奴だな」
「ゆ、優しい……世界、ですか?」
「ああ、そうだ。安心しろ、何もあんたの腕を疑っているわけじゃない。むしろ、あんたは俺に正直なほうが良い」
訳のわからない、この男が何を言っているのか分からない、という表情を浮かべて、医者が一歩後ずさった。
「お、俺は……いったい、何を言っているんですか?」
ああ、あの悪魔が言うにはこの医者も何か隠しているらしい。だからこそ、大々的に僕は攫われたことになっているし、事情聴取の際に僕の話を矛盾させるよう工作されていたのだろう。
「あなたの症状に書いてあった、首の血管が切れる寸前まで締められていた痕も治っている。これだけ長い間目を覚まさない、昏睡状態だったのに、まるで目を覚ました瞬間から嘘みたいに快復しているのは、やはり【夜神君】のいう、寿命が長いからっていう理由だけじゃないんじゃないかな」
そう言いながら、医者はたおやかに微笑む。
思えば、この医者には初診の時から不思議と覚えられてしまっていたらしい。何かと目をかけられて、彼女のお気に入りらしいという情報をくれた協力者の医者も、次第に僕を警戒するようになったらしい。光の天使は本当に駄目だねと言わんばかりの表情で。
そんな彼女に内心で嘲笑を浮かべながら、僕は目を伏せた。
まさか、こんな病院の一室で、死神が突然現れるとは思わなかった。
「へぇ……、随分と気遣いの出来る男なんだな。お前は」
瞬間、世界中に轟く低い声が、鼓膜を震わせた。
その声の方向に思わず視線を向けると、パソコンの前で医者の女が口元に不気味な笑みを浮かべ、こちらを見ていた。
何かに取り憑かれたように、女が身体をガクガクと震わせて、言葉を続ける。
「『どうせ旅の恥はかき捨てだと思って、適当にやってるし』――今、お前はそう思ったな。リューク、そう呼べばよかったか?」
突然の出来事に思考が追いつかず、息が詰まる。
彼女の口調は明らかに、日頃の覇気のない医者としてのものではなく、よく知る感情の読めない不気味な男のそれへと変わり果てていた。
夜神月を欺き続けてきた男。死神と契約し、自らをロスと偽り、何食わぬ顔で近づいてきた、最も憎むべき、そして僕の最期の切り札でもあった男。
だが、いつの日か連絡が来ると言う約束を反故にされたままで、この場所に捕らえられてから、もう三ヶ月が経過している。言うまでもなく、あの男の姿はこの別荘にない。
「人を装うのも、疲れるだろう。ライト」
その男が、何故か医者の口を通して、告げる。
声質も発音も、瞳の色も知っている。
僕を捕らえた張本人。僕が最も殺したい悪魔、Lが、そこにいた。
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```
最终只输出中文译文,不要附加任何注释。保持原有换行与段落。保留 [newpage] 标记。开始。「来,月君……马上就好了哦」
恶魔一边往空了的玻璃杯中重新倒水,一边像是在向我炫耀似的摇晃着杯子。
那一定是被冷水冲得没能完全化开的砂糖混在一起,变甜了的水。可是,对现在的我来说,连那样的水都渴望得不得了。
所以,按照恶魔的话,我再次将视线移回男人的阴茎上,用舌尖爱抚着那根无数次折磨我的东西。
「唔、啊……啊、――啊、啊啊」
托了努力的福,男人的身体终于僵硬起来。
「唔——,月君,就那样」
那家伙这样说着,用力按住我的头,将自己的阴茎插进了我的喉咙深处。作为人类的功能,我的身体试图将喉咙深处被顶住的东西吐出来,但连喉咙的蠕动似乎也挑起了男人的快感。恶魔丝毫没有松开钳制我的手,就那样颤抖着腰身,终于将滚烫的精液射进了我的喉咙深处。
「唔、――――! 嗯、呜咕、呜呜! 呜呜!」
被射出的粘稠液体,侵犯着喉咙。
从未习惯过的精液味道在口中弥漫,胃里翻涌着作呕的冲动,然而那家伙按着我的头,我连吐都吐不出来。
我死死咬住开口器,忍受着一阵又一阵射入的精液反复撞击着我的喉咙深处。
就这样忍受了一阵子那令人扭动挣扎的苦痛后,那家伙似乎终于射完了。持续跳动的阴茎停止了颤动,随着一声大口的吐息,恶魔的身体终于离开了我的身体。
「咳、哈……啊、啊゛……啊、嘎」
喉咙里黏着的精液让胃液上涌,但那个家伙要求的,是要我发自意愿地为他口交并吞下精液。如果我在这里吐出来,那家伙肯定会命令我把吐在地上的精液舔干净也要咽下去。事实上,至今为止,我已经不知多少次被迫做过这种事,无论是那家伙的,还是我自己的。
与其再次遭受那样的屈辱,我宁愿拼命忍住不让精液溢出,抬起头来,便与恶魔那双显得兴致勃勃的眼睛对上了视线。
「如何啊,月君。久违的水分,是不是好喝得不行?」
那种仿佛在说——明明连一滴都不漏地含在嘴里,味道一定很不错吧。面对恶魔的嘲弄,杀意在我全身奔涌。然而,嘴被开口器强行撑开,连一句话也说不出来,我的杀意只能化作呜咽声,在空气中震颤。
他大概已经看够了我这狼狈的模样。露出满足的表情后,他按照约定,在玻璃杯里倒满了一杯水。
「啊……呼……呜……」
终于能喝水了。
本能驱使的身体需求,是精神所难以抗拒的。我像一条狗一样,眼巴巴地等着他解开我的开口器。
但他的指尖没有伸向我的嘴角,反而莫名伸向了我的刘海。
「那么,这是奖励的水。请好好品尝。」
他说着,不知为何自己先含了一口杯中的水。
我原以为他又要故技重施,嘴上说给水却临头拿走,借此折磨我的精神。但这一次的玩法并非如此——当他将脸凑近时,我明白过来了。
「唔、呃、啊!」
他把脸凑到我的正上方,竟然用自己的嘴,把水渡进了我的嘴里。
乍一看或许像是亲鸟在给雏鸟喂食的慈爱行为,但以我们之间的关系,这一举动的目的显然只有凌辱。
凭什么非得从这个恶魔嘴里以口喂水不可——这样的不满与嫌恶
苹果派是不是自己的最爱,这种事根本不重要。此刻,在我内心翻涌的,只有一件事——要如何才能消除那个恶魔的气息。
“我听说今天早上到了应季的苹果。想着莱特先生也恢复得差不多了,就做了这个当庆祝,还奢侈地加了冰淇淋哦。”
她一脸得意地炫耀着这份从未做过的点心,我心中不由生出对沙由的恨意。为什么在我身边明明有和外界有接触的医生在,你却偏要做这种试探我的事?我甚至想认为她是在测试我的精神力,沙由的行为实在令人厌烦。
但我不能在这里拒绝沙由。我绝不能承认自己精神上有什么濒临崩溃的部分,更不能承认自己至今仍无法克服那个恶魔。我现在活着,就是为了重新回到奇拉。可我却总是被那家伙的影子吓得畏首畏尾,甚至因为点心的甜腻气味刺激到创伤就动弹不得,这样的丑态,我绝不能露出来。
所以,我一边思考着自然的应对方式,一边说服自己——至少连沙由做的点心都吃不了,也太不像话了——将叉子插进了苹果派里。
「好好吃啊,沙由。你做菜这么棒,ライト(Light)可真是有了好人照顾呢。」
先吃了苹果派的医生,用仿佛在说我是幸福代名词的眼神看着我。
我一边为那股温暖的气氛感到焦躁,一边终于将一小块苹果派叉到叉子上,把那块还带着温热的一角放入口中。
瞬间,甜味在口中弥漫开来,一阵从喉咙深处涌上来的反胃感,让我差点叫出声。我用力咬住叉子,拼命压住那股悲鸣。明明只要说一句“好吃”、“烤得不错”之类的场面话就行。我明明明白,但身体却始终对苹果派带来的甜味感到恐惧。
恶魔的身影,那个观察着我的恶魔的身影,依稀可见。
那个家伙,像往常一样注视着我,一边贪婪地吃着点心,一边思考着今天该给我怎样的屈辱——。
“嗯,不愧是沙优。平时你做的菜就很好吃,但今天的派特别棒。”
在意识飞向白色的牢笼之前,我拼命编织着并非出自真心的言语。
那是我自出生以来便学会的、像这样一直以优等生自居的、我自身所内化的“被期待的模样”的模仿,不带一丝感情。然而,这深入骨髓的好青年面具确实保护着我,即便我的话语听起来有些平淡,沙优还是将它当作赞美之词接受了。
“太好了!为了让莱特先生高兴,我可是费了心思的,所以很开心!”
听到沙优的话,看来我成功蒙混过去了,我不由安心地深深吐纳起来。这是理所当然的,若只是因为吃了点甜食就让人起疑,那可就妨碍今后的交涉了。
我悄悄把叉子放在盘子上,喝了一口端上来的红茶,想要将口中残留的甜味冲下去,甚至不顾可能烫伤舌头的温度就咽了下去。喉咙像是被灼烧一般,但已被胃液反复灼烧的喉咙早已习惯了疼痛,不足挂齿。
「那,我先失礼了。啊,如果想再来一块的话,请随时告诉我!」
沙优说着,终于从这间兼作诊室的房间走了出去。
我怀着仿佛暴风雨过境般的心情,带着憎恨目送她的背影,而对面那位医生的手机铃声响了起来。
「不好意思,好像来电话了,你稍等一下。正好还有苹果派,请趁热享用。」
医生一边这么说着,一边不知为何有些仓促地离开了房间。
看那样子大概是工作上的事情,恐怕是关着那个组织的联系。这是个收集情报的好机会,我用红茶的涩味冲淡胃里苹果派的甜腻感,然后伸手握向仍显示着病历的电脑。
「那么……」
这个设施原本是别墅这一点,我很快就察觉到了。恐怕是为了把我从那个恶魔手中藏起来,所以才放弃了原本的严密场所,选择这种临时搭建的伪装吧。从他们将与我相关的人数控制在最小范围来看,也能充分看出他们的谨慎。
然而,作为其弊端,这里的系统很容易侵入。虽然几乎是与外部没有连接的独立系统,但监控摄像头的画面只要在这栋建筑的电脑上也能轻易偷看。
事实上,我已经能通过医生使用的电脑查看这栋建筑内所有监控摄像头的画面,就连这个房间的监控画面,现在也已经能通过循环播放进行伪装。这手技术都是我在基拉事件搜查总部学到的,虽然不太想承认,但它确实帮了我大忙,我也无话可说。
'——那、王子殿下的情况怎么样?'
医生因为打电话而走向大厅,我将监控画面切到电脑屏幕上,侧耳倾听电话内容。
多亏了那枚能同时捕捉到电话对方声音的出色麦克风,我听到了对方的话,得知自己竟被用如此戏谑的称呼来指代,不由地一边感到愤怒,一边叹了口气。
“王子殿下恢复得出奇的好。我第一次看诊的时候,还觉得他至少需要近半年才能正常下床。”
“他的外伤有那么严重吗?”
“不,没有什么是致命的……不如说,所有伤势都恰到好处地保持在不会致命的分寸上,这样说才准确。该怎么说呢,那里面能感受到拷问者的执念。绝对不会杀了他,但优先考虑的一定是确切地逼垮他的精神……他的状态只能说是执念了。他真的,那么年轻,到底卷入了什么样的事情?”
我听着医生那苦涩的语气,内心不由嘲笑起他的表情来。
包括医生在内,我周围的人们到底有多了解我,又有多不了解我,虽然我不清楚,但他们显然不晓得真相。 医生以及我身边的人们,他们究竟有多了解我,又有多不了解我,这个我不清楚,但我知道的是―― 他们都不知道,我是冒牌货。
所以,我得以借此机会,将他人的评价抛之脑后,只专注于确认一件事——我自己的安否。
我一边啜饮着杯中的红茶,一边将注意力集中在耳尖上。那个医生的对话对象,恐怕与那个男人有着千丝万缕的关系,这个念头成了我耐心的支柱。
如果没有这个,我可能早就因为承受不住这样无聊的时间而发狂了。不过,想到这是为了再次见到那个人所付出的代价,这点程度的苦劳还是得忍下去。[newpage] 自己是否喜欢苹果派,这样的记忆无关紧要。此刻在我内心翻涌的,唯有如何消除那恶魔的气息,仅此而已。
“我听说今天早上到了应季的苹果。然后,我寻思莱特先生的病情也恢复得差不多了,就想着庆祝一下,试着做了这个。还奢侈地加了冰淇淋哦。”
她说着“看起来很好吃吧”,一副做出从未做过的点心的得意神情,而我却对她涌起一股恨意。为什么,明明有与外部有接触的医生在场,她还要做这种事来试探我?サユ的行为简直像是在测试我的精神力,我甚至宁愿这么想。
但是,我不能在这里拒绝サユ。我不能允许自己精神濒临崩溃,不能允许自己仍然无法战胜那个恶魔。我之所以现在活着,就是为了重新变回基拉。即便如此,我却总是被那家伙的影子所吓倒,因为甜腻的糕点气味就刺激到创伤而无法动弹,这种狼狈的样子绝对不能显露出来。
所以,我一边思考着自然的流程是什么,一边说服自己,至少サユ做的点心都吃不了可太奇怪了,然后将叉子插向苹果派。
“非常好吃,サユ。你的厨艺这么棒,ライト能有你照顾真是太好了。”
先吃苹果派的医生用目光注视着我的幸運。
我烦躁于那温暖的气氛,终于把一小块苹果派放上了叉子,把那块仍然温热的派送入口中。
瞬间,甜味在口中扩散开来,我感觉到一种从喉咙深处涌上胃液的呕吐感,差点叫出声来,但我咬紧叉子,拼命忍住尖叫。只要说一句“好吃”或“烤得真好”之类的场面话就行了。我心里明白,可身体却始终对苹果派带来的甜味感到恐惧。
恶魔的身影、那观察着我的恶魔的身影,清晰可见。
那家伙,像往常一样盯着我,一边大快朵颐着点心,一边思考着今天要怎样羞辱我——
“嗯,不愧是サユ。你平时的菜就做得很好吃,但今天的派特别好吃。”
在意识飞回白色监狱之前,我拼命挤出并非真心的客套话。
那是出于从小养成的、始终扮演优等生的『被期望的姿态』的模仿,并不带任何感情。然而,那长久浸染在身上的好青年面具的确保护了我。即便我的话语听起来有些平淡,サユ也把我的话当作纯粹的赞美来理解了。
「太好了!为了能让莱特先生开心,我可是花了大心思做的,好高兴啊。」
听到サユ的话,我确信自己成功蒙混了过去,安心地深深呼吸。理所当然,不过是吃个甜点而已,要是因此被怀疑,那可会影响今后的交涉。
我一边悄悄把叉子放在盘子上,一边拿起送上来的红茶,想冲淡残留在口中的甜味,不顾那烫得几乎能灼伤舌头的温度,一口饮下。喉咙像是被灼烧一般,但早已被胃液多次灼伤的喉咙早已习惯了疼痛,这点程度根本算不了什么。
“那么,我先告辞了。啊,如果还想再来一块的话,随时告诉我!”
サユ说完,终于從這间充当诊室的房间里消失了。
我仿佛经历了一场暴风雨,用充满憎恨的目光目送她的背影,坐在对面的医生的手机铃声响了起来。
“抱歉,好像有电话来了,请稍等一下。正好还有苹果派,请趁热享用吧。”
医生一边说着,一边有些匆忙地走出了房间。
看情形,应该是工作上的事情,恐怕是关押我的组织打来的联络。我心想这正是收集情报的好机会,一边用红茶的涩味冲淡沉入胃里的苹果派的甜腻,一边伸手去拿仍显示着病历的电脑。
「那么……」
这座设施原本是别墅这件事,我很快就察觉到了。恐怕是为了把我从那个家伙手中藏起来,与其用原本就戒备森严的场所,不如临时搭建并优先伪装。从与我有关的人数被压到最低限度来看,也能看出他们的谨慎。
然而,作为其弊端,这里的系统很简单就能入侵。虽然基本上是几乎不对外连接的独立终端,但监控摄像头的影像即便是从这栋建筑物内的电脑上也可以轻易看到。
实际上,我已经能通过医生使用的电脑看到这栋建筑内所有的监控录像,而且现在这个房间的监控画面也已经可以伪造出循环播放的假象。这项技术是在基拉事件搜查本部学会的,虽然这点让我很不爽,但既然它救了我,也就无话可说了。
「――――、那么,王子殿下的情况怎么样?」
我将医生去接电话的大厅监控画面映在电脑屏幕上,侧耳倾听。
多亏了麦克风性能好,连电话交谈对象的声音也一并收了进来。听到那声音,我才知道对方用了一个相当不正经的外号来称呼我,不由带着烦躁叹了口气。
“王子殿下好得惊人。我第一次看诊的时候,还想着至少需要近半年才能正常下地。”
“伤势有那么严重吗?”
“不,没有致命伤……与其那么说,不如说是全都控制在不足以致命的程度,这才是正解。该怎么说呢,那是来自拷问方的执念。绝对不杀死,但是以确实把精神逼到绝境为最优先……只能称之为执念的状态。他真的,那么年轻,到底卷入了什么样的事情里?”
医生明显一脸苦涩,我心中在嘲笑他的表情。
我虽然知道围绕我的这些医生和人们,到底知道多少我的事情,又不知道多少,但那群人的应对,让我觉得非常愚蠢。
“这不是挺好的吗,医生。反正我啊,从出生起就一直被卷进各种事情里。事到如今,就算再多一桩见不得光的事也没什么好奇怪的吧。要怪,就怪我这种超乎寻常的“体格”吧。”
本心は隠して、部屋の隅っこで見た事の無い無機物を指で弄りながら、こちらの方を見ている女医をあしらうようにして、それらしい言葉を並べたてる。わたし、これでも元情報通なんで、と、ほんの少しだけ雛振りを加えてから、彼女の反応を伺うようにちらりと横目で視線を送る。医者はこれみせたが如く、少し眉を動かして表情を動かすと、何が可笑しかったのか、くつくつと喉を鳴らして笑った。
「あなたって、本当に掴み所が無いわね。……本当に、彼が同姓同名の別人なんじゃないかって疑いたくなってしまう」
「同姓同名の別人、ね……」
医者のその言葉に、僕はかつて偽りの自分を捨てて、新しい名前を手に入れようとした事があったことを思い出す。
本当の自分、という物は、いったいどこにあるのだろう。
何かをきっかけに悪魔と化した狂人ではなく、始めからその役割を与えられていた一人の提唱者でもなく、ただの無個性で善良な、悪魔の生贄に過ぎなかった一人の人間。今の僕がそうであるように、何かを選んでこうなった訳ではなく、そうなった結果が偽りの自分なのなら、初めからこんな事にならなければと自分を取り巻く環境を恨むことくらいは許されてもいいはずだ。
ノートも死神も関係ない。何の因果か、生まれつき僕は“そういう”ものに好かれてしまった。
少なくとも、僕が受けている講義の内容はほぼ全てが身の丈に余る素晴らしいものばかりだった。それを失ってしまうことだけは、何としても避けなければならない。
もし何者かに見咎められたとしても、次の講義までは沈黙を守ればいいだけのこと。クローゼットは薄い板一枚で仕切られただけであり、よしんば音を立てようものなら、時計の針の音にも敏感に反応する魔女が私を構うためにやってくるだろう。
部屋に沈む冷たい空気は、エアコンの設定温度が低いことを除けば、ある程度の静寂は確保されている。しかし、そう、その程度の空間だ。精々が照明が落とされて薄暗い部屋を、カーテンから零れる光が網膜を刺激するだけの場所にしか過ぎない。
もう何十回も見ている光景だ。今更怖気づくようなことはない。僕は自分を落ち着かせるために深呼吸を一つ行うと、悪魔の気配のことは深く考えないようにしながら足を踏み入れた。いざ足を踏み入れてみれば、部屋の中は埃の匂いとほこりにまみれた家具の古めかしい匂いだけが漂う、何の変哲もない――彼女が居なければ何もない部屋だった。
それは、つまり。
あの悪魔が、こんなところで自分が生活していた痕跡が、未だにこの部屋にあり続ける。エージェント時代にタイムズを追っていた部屋、あのワンルームマンションの変わり果てた姿に、酷く安堵している自分が居た。
その安堵が、言いようのない悪寒を伴って心臓の辺りから沸き上がってくる。それに、まるで不快なだけの何かが首元に纏わり付いているような気分にさせられる。僕は冷静を装ってネクタイを緩めながら、改めて部屋の隅へと置かれた『異物』に目を向けた。
まあ、部屋の隅に置かれた監視カメラをこの目で見るまでは、僕の抱いていた安堵は少しはマシなものだったのかもしれない。けれど、やはりマシなものだったのだと僕は確認するように、その部屋の中央へと足を進める。
部屋には小さな監視カメラが、旧態依然とした物とは言え機械的に真っ直ぐにこちらを見つめている。
人間の目ではないそれに、ああ、今日も僕を監視しているんだなと思いながら、どうせ何を見た所で、俺の不幸を喜ぶような悪魔にしか気配りをする存在は居ないんだ、と僕は心の中で悪態を吐いた。これだけ警戒されていたとしても、いまだに”悪魔”がしっかりと機能している事実が、何よりも腹立たしい。どこまでも逃げられないのかと思うと、この部屋の明るい光すら憎らしくなる。
そして、俺が喉に手をかけるのをやめてから、部屋の中の空気が少し変わるのを感じた。それまで張り詰めていた俺の雰囲気は変わり、和やかさを保っていた。
「話は終わったか?」
彼は、馴染みのある、少しくぐもった声で問いかけてきた。俺はそれを肯定し、自然と短くなっていた溜息を吐き出した。
「大分思い詰めた顔をしていたから、何か厄介な悩み事か何かかと」
「……大分、ボロボロな姿だっただろ」
「そういう時もあるさ。それに、お前がロクでもない連中に絡まれていた時は、俺も大分気が立っていた。お前も大概だが、俺も似たようなものさ」
ライトはあの時のことを言っているのだろう。
俺が物陰に隠れてライトの仕事を見守っていた時、うっかり男に見つかって乱暴されかけた。そんな時に助けに入ってくれたのが、ライトという男だった。
俺を助ける際に受けた傷は、顔にこそ出なかったが、かなり深く、何針も縫うような傷だったらしい。それでも、あの時、ライトは何の躊躇いもなく自分を助けてくれた。これまで何度も着せられてきた”優等生”という教科書通りの慰めよりも、一切の躊躇いなく助けてくれた行動が、今も何より胸に響く。
あれがもし私であっても、自分の身体を差し出すようにして助けただろうか。そう考えると、この街に来るまでに友達と呼べる人間が一人も居なかった私には、ライトの考え方のすべてが未知数であり、未だに理解の及ばない。
あの後、私が危険を冒して渡した情報をライトが見つけてくれたのは、偶然だと信じることにした。 現にこうしてライトは生存している。
そっと、ICPOから渡された捜査資料のコピーに目を落とす。主に俺様な見解というかなんというか、少なくとも読んでいて良い心地のする文面ではない。警察組織の論理、事なかれ主義の捜査方法に、良心の呵責だか何だか知らないが、急に死体の解剖結果をありのままに書けと言われたって、いきなり簡単な事ではないだろう。加えて、俺の首を後ろから掴んでくる組織の偉い人達は、マフィアの組織統率をしている上澄みとは到底思えない、全てのやることが雑だ。キラ事件の捜査本部の連中と同程度の煩わしさを感じる。
ちっ、と誰にも聞こえない程度に舌打ちを打って、パソコンのモニターに視線を落とす。俺にしてみれば、ライトにプロファイリングを依頼した事自体がもう軽率で、そんな無鉄砫な事をして事件を起こされてはかないかない。加えて、本来の能力に加えて何か動きがある度に大掛かりな偽装工作を施すものだから、ただでさえ忙しいのにいつも以上に仕事が増えている。名実共に面倒この上ない。
文句の一つでも言ってやろうかという気持ちを押し殺しながら、僕は表示されている画像ファイルのフォルダを開く。そこには、おそらくカメラの映像や行動履歴などが保存されているのであろうデータが、いくつものファイルに分かれて並んでいた。
「……ラバー・スーツはどうする。まだ使うのか?」
突然聞こえた聞きなれない声に、僕は思わず顔を上げる。
気配を殺し、声の主を画面に写しながら思考を巡らせた。
それはロビーの応接ソファーに腰掛けていた医者のものではなく、もう一人の医者――確か、今日このフロアに現れた白衣の男の声だった。手に持っているのは何やら分厚い封筒で、今医者に手渡したらしい。
聞き慣れない単語に、医者の方を向く。
医者は、先ほどまで見せていた表情を一切消して、声色を数オクターブ低くしたような声で、男に問いかけていた。
「……準備は出来ているのか?」
「ああ。何時になってもおかしくないぞ。もう何年も、良く保っているほうだ。それにしても随分と優しく仕上げたんだな。こりゃあ、まるで恋人のようだわ」
二人の会話を聞きながら、僕は監視カメラの映像に映る医者と男の表情を交互に眺めた。
医者と、顔を出している人物の中でも一番偉いのだろう。少なくとも僕の対応に置いて、最終決定権を持っている男は、カバンから出した書類を医者に手渡しながら、何処か感心したような声を出した。
「これを監視カメラに映すことに成功したんだ。此処の警備の弱点を見つけ出してしまうなんて、流石ってところか。しかも、僕らに近い連中が増えてきたから、ここ最近はフロアの開放は取りやめているらしい」
「わざわざ空き家になってる別荘地帯を押さえてきたツワモノか……。どこから連れてきたのか知らないが、捕まえた警備員も前情報が無くて大変だったでしょうね」
「そうそう、ここに連れてくるまでの間も、さすがにエージェントには内通者が居るのかってくらいに敵の待ち伏せに合ってね。色々と無茶をさせられたって、現場が愚痴っていたよ」
医者と、どうやら会話の相手である人物の会話を聞く限り、どうやら医者が私のことを上司から説明されていることにかなりの矛盾があるようだ。少なくとも、相手方から見た僕は、ただの重要事件に巻き込まれた若者ではなく、事件に関する様々な隠蔽工作をしている、組織の上層部の誰かという事にされているらしい。
僕は、彼等が俺に直接接触してこないことがどれほど滑稽か理解しておくべきだった。
だが、それはまたあの悪魔が僕の精神に刻み込んだ恐怖に囚われるのには十分な、あまりにも無防備な時間を生じさせる。
ダメだ。今は余計なことを考えてはダメだ。今は、まず眼前にあるものを確実に行動していくことだけに集中するべきだ。あの悪魔の事は、全てにけりが付いてからでいい。
僕は気を引き締めるために、机の上に置いてある医者のコーヒーを一口飲んで、目の前のパソコンへと視線を戻した。冷め切ったコーヒーは、胃の中に収まっているアップルパイの甘さを流し込んでくれる。
画面に視線を戻した僕は、何の変哲もない、しかし誰よりも確実に近しい手段で、ここに閉じ込められているのかという情報を集めていこうと、まずは監視カメラの映像の一覧が表示されている画面を操作していく。
ビルの周囲の塀には高圧電流を流すためのパワーコードや、ものものしいカメラが敷き詰められており、視覚的にも威圧的だ。牢獄としての完成度は正に本物だが、人の目が少ない分、侵入に掛かる手間はかなり低く済んだ。
中でも問題のない場所から侵入するとなれば、ぐるりと囲まれた壁の裏にある林から侵入するルートが良いだろう。壁の上には監視カメラがあり、看守の目が常に光っているが、しかしその道のものではない素人目には分からなくとも、この監視カメラの電源は都合のいいことにここにある詰め所の分電盤から取られているらしく、壁を乗り越えることさえしてしまえば壁から外の監視カメラに映ることはないらしい。おまけに、監視カメラの死角になる場所も彼女の図面で把握出来ている。なんて言っても、この壁伝いのルートは、俺と遼、そしてこの場所に集まった同じ志を持つ者共で入念に作り上げた計画の一部だ。無様に失敗するわけにはいかない。
グローブをはめた手を鉄の柵にかけ、ぐっと自身を引き上げる。そこには、外壁に取り付けられた細い足場があった。この足場の上を足場を落とさないように渡っていく。万が一にも、この細い足場から足を滑らせてしまえば、どうなるかは分かっている。それでも、今の自分に残された道はこれだけしか残っていないのだ。
一歩、また一歩と進む度に、足場のパイプと壁のブラケットが悲鳴を上げる。
足場が崩れないかという恐怖と、何よりあいつに僕の存在を気づかれると
いう恐怖。心臓は早鐘を打ち、普段は使うことのない神経を掻き集めて精神を研ぎ澄ませる。
「……っ」
ふと、壁の向こうで人の動く気配がする。何かの話し声に耳をそばだてると、途端に全身に緊張が走り、僕は思わず壁から飛び退いていた。
(まずい、ここからじゃ誰の声か聞き分けることが出来ない)
あの女の声なのか、それともあの悪魔の声なのか。それすらも判断できないことにいら立ちを覚えながら、僕は壁に張り付くようにして耳を澄ました。
だが、いつまでも隈なく探索が行き届くという完璧な警戒など出来るはずがない。やはり直接この目で確かめなければ駄目か。そう思った時、突然――。
「緊張しているかい? もしかして、何か僕の部屋に忘れ物でもした?」
「うぉっ!?」
あまりにも不意な声に、間の抜けた声を出してしまった。視線を上げると、そこにはサンドイッチの乗った皿を手にした医者が心配そうな顔で立っている。
「わ、悪い。さっきの電話の相手が、お前を苛立たせる人だったんだ。部屋に戻ってきたら大声を出しそうな顔をしていたから、俺はてっきり、他の患者のことを聞かれたのが気に障ったのかと」
「いや、違うんだ。ただちょっと考え事をしてて……」
「そうか、それならいいんだ。あのパソコン、診断書や書類関係の仕事にしか使ってないから、何か聞きたい事があったら言ってくれ。まあ、隠している奴等が居るから絶対に無理なんだが、一応言っておく」
医者がそう言ってパソコンから手を離す。
医者の言った通り、このパソコンは診療記録の管理等、医療や事務的なものにしか使用されていないらしい。残念ながら、このパソコンから得られる情報は昨日同様、大したものはないだろう。
しかし、こんな情報などなくても、僕が行動を起こすには充分だった。どうやらそろそろ体力も戻ってきたようだし、僕が大人しくベッドで療養していると思っているなら、その考え、利用させてもらうまでだ。
翌日、サユが来る前に僕はペンダントのカメラが昨日も作動していたのかを確かめようとした。あのペンダントは日々の『スケジュール』を把握するのに必要なアイテムである。やはりあの男が手渡した物だから、盗聴機能が付いていてもおかしくはない。監視カメラの撮影範囲を確認し、記録を見て、部屋に盗聴器などが仕掛けられていないかを確認する必要があった。あの悪魔に最も接触しているとされている医者が僕に近い場所にいる以上、今後の行動のためにも注意は怠れない。
しかし、部屋のドアが開く音を聞いた途端、僕はそれまで行っていたパソコンでの作業を素早く閉じ、なんでもないように偽装したパソコンの画面上に表示されたデスクトップに視線を落とす。一瞬だけ、さっきまで行っていた医療用のモニタに映る脈拍と、心電図の波形が瞼に焼き付いていたが、隣に立った医者の気配を感じ取ると、何事も無かったような顔をして。しかし、そうやって壁の鉄板の向こうに居るはずの誰かに向ける勇気は、僕にはなかった。
これが薄氷の上を歩くような日々の始まりとなる――。苹果派是否曾是我的最爱,这种记忆早已无关紧要。如今我内心翻涌的,唯有如何抹去那恶魔的气息这一件事。
“今早听说到了应季的苹果。想着来栖医生也恢复得差不多了,就当庆祝一下,就试着做了。还奢侈地加了冰淇淋哦。”
看着萨由那副用从未做过的点心邀功般的得意神情,我心中涌起一股恨意。为什么在外有医生接触的情况下,还要做这种试探我的事?我甚至宁愿相信她是在测试我的精神力,萨由的行为实在令人厌烦。
但是,我不能在这里拒绝萨由。我绝不能承认自己的精神有摇摇欲坠的部分,绝不能承认自己至今仍无法克服那个恶魔。我是为了重新成为基拉才活着的。即便如此,我不能露出被那个人的阴影所吓倒,因为点心的甜腻气味而触发了创伤导致无法行动,这样狼狈不堪的样子。
因此,我一边思考着怎样做才算自然,一边说服自己说,至少连萨由做的点心都不能吃实在说不过去,然后将叉子刺向苹果派。
“真的很好吃,萨由。你这么擅长料理,ライト可真是有福气啊。”
先吃苹果派的医生用像是看幸福之人代名词一样的目光注视着我。
我一边对那温暖的气氛感到烦躁,一边终于将一小块苹果派放在叉子上,送进嘴里,那仍保有余温的一小块派。
那一瞬间,口中蔓延开的甜味让我感到一阵从喉咙深处泛起的胃液逆流感,差点叫出声来,但我咬紧叉子,拼命忍住不发出悲鸣。我只要说一句台面上的客套话,比如说好吃,或者烤得很好,明明知道的,但身体却始终对苹果派带来的甜味感到恐惧。
我看到了那个恶魔的身影,在观察着我的恶魔的身影。
那家伙像往常一样盯着我,一边贪婪地吃着点心,一边盘算着今天要如何羞辱我——。
“嗯,不愧是佐由。平时的料理也很好吃,但今天的馅饼特别美味。”
在我的意识飞向白色的监狱之前,我拼命地吐出这些言不由衷的话语。
那是我这个向来以优等生示人的人,与生俱来就熟稔的“被期待的模样”的模仿,并未倾注任何感情。然而,早已深深刻入骨髓的好青年模样保护了我,哪怕我的话音听来有些单调,佐由也按字面意思将其当作了夸奖。
“太好了!为了让莱特先生高兴,我特意用了心的,真开心。”
听到佐由的话,我确认自己似乎顺利蒙混过关,于是安下心来,深深呼吸。当然了,要是因为吃了点甜食就让人起疑,那可会影响接下来的交涉的。
我悄悄放下叉子,端起一同送来的红茶,不顾那烫得要命的热度便饮了一口,好冲掉嘴里残留的甜味。喉咙感觉像灼烧似的,但早已被胃酸烧得习惯的喉咙对疼痛已经麻木了,并不觉得有什么。
「那么,我先告辞了。啊,还想再添的话随时叫我!」
佐由说完,终于从这间兼作诊室的房间里消失了。
我在心里仿佛目送着一场暴风雨过境般,带着憎恨目送她的背影离去。这时,坐在对面的医生的手机铃声响了起来。
“不好意思,似乎有电话打来,请稍等一下。正好还有苹果派,趁热吃吧。”
医生一边说着,一边略显慌张地离开了房间。
看这情形应该是工作上的事情,大概是从羁押我的组织那里打来的。这是一个收集情报的好机会。我一边用红茶的涩味冲淡沉在胃里的苹果派的甜腻,一边伸手去拿仍显示着病历的电脑。
“那么……”
我很快就察觉到这个设施原本是座别墅。恐怕是为了把我从那家伙身边藏起来,所以比起原本防备森严的地方,优先选择了这种临时搭建的伪装。从他们尽量减少与我有关联的人数这一点来看,也能看出他们的谨慎。
然而,这种做法的弊端就是,这里的系统很容易被侵入。虽然这里几乎是与外界隔绝的单机环境,但监控摄像头的画面即使是在这栋建筑物内的电脑上也很容易盗看。
实际上,我已经能通过医生使用的电脑看到这栋建筑物内所有监控摄像头的画面了,而且现在这个房间的监控画面也可以用循环播放来伪装。这技术是在奇拉事件搜查本部学来的——虽然这么说实在令人不爽——但既然能救我,我也没什么好抱怨的。
“——那么,王子的状况怎么样?”
我将医生为接电话前往的大厅监控画面映在电脑屏幕上,竖起耳朵认真听。
多亏了优秀的麦克风能够捕捉到电话对话中的声音,我知道自己竟然被起了个相当不靠谱的代号,不由带着火气叹了口氣。
“王子殿下惊人的健康。一开始检查时,我还以为他至少需要半年才能正常起身呢。”
“伤有那么严重吗?”
“不,没有什么是致命的……准确来说,是所有的伤都正好控制在不会致命的范围。该怎么说呢,简直能感受到施刑者的执念。绝对不杀死你,但最优先的是确实地把精神逼入绝境……那种状态除了说是执念以外,再没有其他形容了。他真的,年纪轻轻到底卷入了什么事?”
面对如此苦涩模样的医生,我内心嘲笑他的表情。
我虽然不知道以医生为首、我周围的人对我究竟了解多少、同时又不了解什么,但医生对此毫无所知。
包括我在内,我周围的人们到底知道我多少?又不知道多少?虽然我并不清楚,但医生那苦涩的表情让我内心发笑。
我一边将视线移回电脑屏幕,一边在内心嘲笑着医生那苦涩的表情。虽然我并不清楚医生和我周围的其他人到底知道多少、又不知道多少关于我的事,但这正合我意。
我轻轻吐出一口气,开始对保存的监控视频进行确认。白天里没有出现异样。深夜,护士来到房间的场面,感觉上是例行检查。这种情况还在继续。在昏暗的房间里,窗口附着的监视摄像头虽然将其捕捉到了,但终端那边不是人的话就无法监视。白衣天使が夢も寝てもいないなんてことは無い。
可即便如此,我每天还是没有间断更换监控摄像头朝向的工作。哪怕是一点点的疏忽,都可能让他们注意到我的行动——这种强迫性的不安感支配着我。我一边将现在的恐惧转变为信息收集的原动力,一边继续保持搜索有关可疑人物动向的讯息。
离开治疗室兼用的房间后,我一如既往地回到分配给我的卧室。在完成那项监控摄像头回放
我和妹妹关系很好。大概是因为这样的印象,她才判断我对她没有什么特别的心思吧。小百合似乎对自己感到羞耻这件事本身更加难为情,仿佛要驱散这份难为情似的,她吃了一口我递过去的苹果派。
这简直就像美沙所追求的恋人之间的互动。在失去所有权的那段日子里,我们常以约会为名在同一间房间里吃蛋糕,那时美沙也要求过类似的事,没想到会在这里派上用场。
“怎么样,好吃吗?”
“是、是的。虽然是我自己做的,但能做得这么好吃,努力没有白费。”
“嗯,小百合是做点心的天才。要再来一口吗?这次和香草冰淇淋一起吃。”
我再次把苹果派送到小百合嘴边。
若是美沙看到,她一定会像以前那样闹着说“我要杀了那个女孩”吧,但我可没必要对她讲什么情面。
我确认小百合红着脸颊将苹果派咀嚼完毕后,这次静静地凝视着她的眼睛,一言不发。
“那个……夜斗先生……?”
我知道她无法忍受我的沉默。所以,趁她好奇地集中注意力看向我的时机,说出了这个女孩期待听到的话语。
“抱歉,小百合,我说了谎。其实,我从没对妹妹做过这种事。”
“诶,啊,那个,夜斗先生?”
“其实是因为我想这样喂小百合吃……你讨厌吗?”
我一边说着,一边露出些许困扰的微笑,小百合果然毫不掩饰地露出了动摇与混乱的表情。
“我、我怎么会讨厌……!没、没有那回事!”
“……是吗。那是不是代表,我可以期待一下呢?”
并没有明说期待着什么。
就算我不明说,只要是一个有些喜欢我的女人,就会从我这些微小的言语中擅自联想到各种可能。小百合也不例外,她似乎对我歪着头问出的“期待”二字浮想联翩。毫不掩饰地涨红了脸,一边想着“难道说……”,一边小心翼翼地观察着我的脸色。
好,到这一步就只差临门一脚了。我轻轻握住小百合的手。那一瞬间,她的身体微微颤了一下,但并没有要推开我的意思。
“小百合,谢谢你在我身边。如果不是你,我不可能恢复到这个程度。这是我发自肺腑的真心话……正因如此,你那么尽心、温暖、温柔……我明白那是你的工作,却还是忍不住喜欢你。”
“光,光一君……”
“小百合……你来说,对你而言,我算是什么?仅仅是一个工作对象?还是说,就算这样十指相扣,也不会觉得讨厌的对象?”
看,就是这样,我这样说着。我与她的十指交错,将相握的手举到我们彼此的面前。這是显而易见的情侣相扣方式,是美沙会高兴的握法;是清美在课堂间隙偷偷使用过的握法;而现在,是引出小百合向我表白的话语的握法。
“小百合,我想听你的想法……”
我装出认真的表情,直直地凝视着她的眼眸。
我确信,只要这样一直注视着她,就能引出她向我的告白。
然而,不知为何,一直注视着的她的眼里,竟涌出了泪水,带着颤抖。
“小夜……不,别勉强自己了,不是说过了吗?”
“……小百合?”
和我交往的女孩中,哭出来的也不是没有过,但小百合的样子不像是高兴,反而像是单纯的悲伤,对于我为什么说出那种话感到不解和难过。
难道说,她对我抱有的只是妹妹对哥哥的感情,并不打算和我成为恋人?不,这不可能。无论是刚才喂苹果派时的反应,还是日常生活中她对我展现的态度,都表明她确实喜欢着我。
但小百合却用双手捂住脸,开始哭了起来。我完全没有预料到会是这样的反应,心里不禁咂舌。但既然给了她希望,总得安慰一下,我一边抚摸她的背,一边装出温柔的样子。
“小百合,抱歉。如果你这么讨厌的话……”
“不是,不是的!我……我很喜欢阿巧你。我真的好高兴。但是,但是……!阿巧你明明遭遇了那么可怕的事!”
可怕的事。
光是这句话,我就明白小百合知道我在监禁时遭遇了什么。
而她似乎也察觉到,因为自己刚才的话,我会想起监禁的事。她露出明显糟糕了的表情仰望着我,又颤抖着开始道歉。
“那个,嗯……我,其实,从老师那里,听说了阿巧的事,很多事……”
她似乎在拼命寻找借口,但说实话,她是否知道我监禁的细节,并不让我有多大的震撼。因为负责照顾我的人,本来就是需要在一定程度上了解情况的人。
不过,她似乎正在后悔自己出言轻率,触碰到了我不该碰的伤口。虽然我觉得这样也好,从罪疚感出发,我控制这个女人会更容易。但サユ还在继续说着。
「虽然也有警察或者相关人员的说明,但毕竟我是在场的那个人。只要我想,就能捏造一些符合我当时状况的假话。反正我也没有去医院的记忆,详细的记忆被篡改也是理所当然的。所以サユ的“罪恶感”本身就是错误的。」
——不行,这样下去サユ不会敞开心扉。我绞尽脑汁,立刻改变方针。
「サユ、能跟我聊聊吗?」
“呃,好……”
“不用勉强,你不想说的话也没关系。但是……”
我稍微低下头,注视着她的眼睛。
“你愿意,听我说说话吗?”
嗯,サユ点了点头,像是在给自己打气。
“那你先起来吧。一直低着头,对身体也不好。”
サユ用袖子擦了擦眼睛,抬起了脸。脸上依然残留着不安的神色,看得出她在担心我的反应。我努力摆出柔和的表情,一边用手指梳理着她垂下的刘海。
“那个……对不起,提到了不好的事……”
“没事,你想聊多少都可以。所以……サユ。可以和我聊聊关于你的事吗?”
她一边抽噎着,一边开始断断续续地讲述起过去的经历。内容大致是她在中学时,曾经有过被不明人物囚禁了大约一周的经历。虽然不知道犯人是谁,但可能是被绑架了,对方没有要求赎金,而是将她关在某个建筑物的地下室。
她一直被蒙着眼睛,连自己在哪里都不知道,虽然没有任何殴打或性方面的暴力,但她说,无时不刻不在想着会被杀,想着逃出去,被抓住的话,下一个就是我吧——恐惧让她精神快要崩溃。
“一个人被关在那种地方,叫天天不应叫地地不灵,绝望到无以复加。那时候我在想什么呢——我想的是,如果有人能来救救我就好了。但不管我怎么等,都没有人来。”
サユの言葉は徐々に沈んでいく。手を握るだけだった動作も、彼女は固く握り返してきて、きっとそれを手がかりに、僕は当時のことを思い出しているんだろう。サユは俯きながら、今にも消え入りそうな声でぽつりぽつりと語り始めた。
過去にサユが経験した話。それは彼女曰く、自分自身が悪いという愚かで純粋な女の子の話。
「私、元カレと別れる時、ストーカーみたいになってしまって。終いには『もう、どうなっても知らないから』って、言われてしまいました。その後、言われた通りに何も出来なくなって」
恐らく、別れを拒否してストーカー化してしまった元カレか何かに監禁されてしまったのだろう。
事実、サユの話によると、家の前に来るようになって、その内に家の前で待ち伏せをするようになって、それが逆上して、ある日拉致されて、一週間という時間、暴力と暴言に晒されたという。彼女曰く、相手に罪を償わせるまでに時間はかからなかったそうだが、被害者が明らかに女性の一人暮らしだと知った犯人は、翌日には逃走していた。
しかし、それよりも気になったのは、どうしてサユがその事をここまで私に話せたかだ。この話の何がすごいって、その先の感情の話をしていない。自分はこの時すごく辛かったと、悲しかったという話は一切出てこなかった。僕の怪我や監禁の話を知るために必要な情報を、淡々と話したという風にしか見えず、その事実が何よりも彼女の傷の深さを物語っていた。
……思った以上に面倒なところを抱えてくれやがる。
僕は何とか優しい笑みを維持したまま、彼女の言葉に「辛かったんだね」と返した。だが、サユは被りを振る。
「私のことは、大丈夫です。私のことはいいんです。今はライトさんの心配を」
「――どうして、サユはそこまで僕のことを心配してくれるの?」
違う。僕が聞きたいのは、自分の心配をやめてほしいからじゃない。どうして、心配という感情を持てるのか。それを聞いている。
私の心配をしたところで何か得になることがあるわけでもないだろうに。高田清美、三沢ミサ、アイ・シマダ。これまで僕に恋愛的な好意を抱いてきた女は全員、ある種の打算があって僕に近づいた。ミサにいたっては、あれほど敬愛していたと言っていた父から駆け落ちを持ちかけられ、僕を取るか父を取るかという究極の選択を迫られた結果、二度と父に会わないという条件を飲んだ上で渡りを付けた。元々打算的だったのは僕の方だ。僕はサユのその行動や打算に、ずっと安堵していた。僕を気遣う彼女の言葉も、あの日の行動も、何もかもが愛しい。僕が元々居た場所に戻るための、ただの時間稼ぎに過ぎなかったとしても。
そう、僕はサユのことを決して愛してはいけない。彼女はただの仕事上のパートナーであり、『世界の頂点』に立つに当たって必要なピースでしかない。偽りの自分を気遣い、毎日献身的に尽くしてくれている彼女に感謝こそあれ、恋愛感情を抱く事は決してない。向けられる好意は利用する。だが、その見返りとして、恋愛感情を抱いているように偽ることは、いずれ来る別れをより辛いものにしてしまう。
ふと、思う。
自分の死後、この女がどういう反応をするか。あの扉の向こうで、サユはどのような表情でどういう態度に出るか。
わずかな興味と、どんな反応を見せても動じない強さが、今の僕にはある。 サユの監禁が明けたあと、弱り切っていた僕の護身用に、と用意されていた無骨な護身用スプレーを、不意に思い出す。
あれを使えば、彼女の隙をついて逃げ出すことくらいは出来るだろう。
けれど、それが何か、何になるというのだろう。ドアの向こう側にはミサが居る。そもそも、捕まっていることを自覚された以上、警備が厳しくなっているに違いない。護身用スプレー一つの程度で警備を突破できるとは思えない。
ラバーで弾力性が有りつつも、ぴっちりと確実に指の隙間を埋める手袋が、段々と暑く感じられる。
次第に、頭が現実逃避を始めた。まだサユと恋人同士になれてない。そんな思いに苛まれる。
この女を振り向かせることができるのは、何も金沢たちだけではない。サユもその一人だ。だからこそ、まさに彼女こそが僕が、利用価値があって、悪人にもなれる相手の手助けをする――というのはさすがに嘘になるだろうか。嫌な考えだ。
このままサユと付き合わなければならない。いや、あるいは、付き合うだけではなく、面と向かって、「軽い気持ちで言った」という言葉を、もう聞きたくない。
この想像は確かに、メンバーに元気がなくて、ミサが『僕がルンルンなこと言って、メンバーを元気にさせなさい』と言うから、先日も僕がアパートで遊ぶ時は独りでに自分の話をしていたのとはわけが違う。これは完全に、現実味の帯びた想像として、僕の中に侵食してきている。
僕の理想の口癖は、いつもそれで、理想は理想だ。過去の自分であれば、こんな風に後悔しても、まあ現実的な妥協点は此処ら辺なんだろうなと、考えられていたのだが、モテキの翌日、雨の日にたまたま出会ってしまったあの少女は、僕に妥協を許さなかった。
【全員の幸福を実現するために】
サユの僕への想い、それは尊敬と献身に満ちているが、それは多分に妹への感情、ミサへ向けたものとイコールで結べるほどの純粋なものだ。
大げさに言えば、お兄ちゃん大好きと慕ってくれる、そんな義理の妹のような感情。
だが、二回のチャレンジを経て、サユが僕へと向ける感情は、はっきり言ってそれだけでは済まないだろう。少なくとも、自身を律している彼女の好意に偽りがないことだけは、確かだった。その何よりの証拠に、彼女は僕に好意を向けられて初めて、他人から好かれることの温かさに触れたのか、その余韻に浸っている。
まぁ、気付いていないのは、サユ本人だけだろうが。
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固い決意をしてきた彼女の手を、夜の闇がそっと包み込む。彼女が一歩を踏み出すのと同じだけ、想い人は一歩引いていく。じりじりと迫る彼女に、想い人はたじろいでいた。
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僕は彼女を部屋に誘うと、ファーストキスはセカンドキスは、と自分からねだってきた高校生の女の子を思い出していた。
サユとて、例外ではない。自分が売り出していけば売り出すほど、彼女はこちらに恋愛感情を強めていく。
僕はサユに日々の感謝を述べつつ、洗面所に立つ。未だに何か考えるように時折指を動かしながらサユは見つめていた。
「ん、何でもないよ。サユが居てくれて助かってる。これからも、よろしく」
そして、サユの頭を一撫でして、その場を離れる。
自室に戻った僕は、全力でダッシュし布団にダイブしていた。
最高の身体の動かし心地と、ナイスな気遣い。文句のつけようがない。何度かあったこの一連の流れも、もうすぐ僕は『自分の彼女』としてアピールするために動き出した月の世界を司る程の神を信仰する宗教団体(後で知ったのだが、『ミサリンピック』という名前らしい)の聖女、西行寺サユを味方につけた。まったく、悪くない手だ。
やはり、周りで勝手に自然消滅してくれるのを待つよりかは、手を打ってくれた。僕を妹の世話だけをしてきた長年使い込んだサーヴァントと重ねたサユが僕を女性として見ないと予想してこの作戦を実行したが、いとも簡単に私の魅力に落ちた。自惚れていたわけではないが、ここまでくると逆にやりがいがない。
俺は、掌の上で踊るサユの様子を心の中で苦笑しながら、再度彼女に視線を向ける。
「サユ、確かに君の言う通り、僕は監禁されていた時にたくさんの傷を負った。多分、一生消えない傷も、いくつかある。それは事実だ」
「ライトさん」
僕がそっと、サユの頬に手を伸ばして涙を拭う。
「それでも、傷が癒えないと感じられないことがあるんだ。君の名前を呼ぶこと、君が名前を呼んでくれること、隣で君が笑ってくれること。全部、心から大切だって思える」
実際、心の底から大切に思っている。
ああ、どうして僕は、こんなに天使のように清らかな子を騙さなくてはいけないのだろう。もしミサにバレた時の言い訳を、今のうちに考えておかなければ、将来誰かのせいにするようになってしまう。
いや、サユを騙した事に特に意味はない。僕は近い将来、道の駅の最寄りでバイトしているキミに会いに行き、良き隣人として、親切にしてもらったことへの感謝を直接伝えなければならない。アジトに住み着き、近隣住民に存在を割られるのも防がなければならない。彼女たちも、僕も、そのための時間が欲しい。高田清美に目をつけられないためにも、最低限の準備はしておきたい。
サユをあれだけ丁寧に言い含めたのだ。目的の遂行に、僕は一切の罪悪感を抱いていない。
何が『私のせいで、ライトさんが』だ。知ったことか。
神は全ての人間を等しく救い給す。そういうポリシーで、僕は人を救ってきた。
救うだけならまだいい。本当なら、出会ったこと自体を、その時間すらも踏み潰してやりたいくらいなのだ。月夜の晩に毎回起こる、あの出来事を、思い出してしまうから。
夜の闇から走って現れ、馬乗りになって、石で頭を潰す。多種多様なバリエーションで、あらゆるバリエーションで、僕に殺されていく。その瞬間はいつも笑っているんだ。
高田清美の返り血を浴びたあの笑顔で、そうして何度も何度も繰り返す。
僕の追憶は、そこで途切れる。
頭が痛む。吐き気がする。思考が滅茶苦茶に掻き乱されて、視界が歪んでいく。
「は、ぁ……ッ、ぁ゙ぁ゙……」
いつの間にかサユの顔は視界から消えて、目の前には月夜の浮かぶベランダと、それを背景に神に祈る少女の姿が映る。
視界を歪めるノイズが酷くて、彼女の綺麗な漆黒の髪に手を伸ばす。けれど、その指先は虚しく空を切った。
「――来ないで」
いつの間にか彼女は窓の外へと移動し、月明かりが背中に落ちる形になっていた。逆光気味の所為か、神妙な表情が見えづらく、手元もはっきり見えない。
月明かりに照らされるその髪は、夜の闇に映える、まるで深海に棲む天使のような、神秘的な光沢を帯びていた。ライトは何か神秘的なものを見た時の衝撃に目を見張る。そんな感情を抱いて尚、足の動きは自然と後ろへ下がって行く。この女の言う言葉が、目に見えるものよりもはるかに深刻な事実をもたらすような気がして――その逃げ出したい衝動は心の底からあった。
「ライトさん……ずっと、ずーっと思っていたことが、あるんです」
「何、さ」
「……ライトさんは、わたしを探し続けてくれてましたか?」
「……ああ、もちろんだ。ずっと君を探していた」
想定していたシチュエーションとはまるで異なるこの展開に、想定外すぎて心臓が飛び跳るような心地だったが、彼女は嘘だと分かっていながらも嬉しそうに笑った。
その後、開かれたのは蛍の集いだ。
彼女はメルエン捜索に関する陣営説明、作戦の全てを僕に説明してくれた。僕の逃亡という不手際があった後にも関わらず、蛍のランクを三つも上げるという破格の処遇を受けているのは、よほど評価が高いのだろう。
サユの怪我は、蛍の差し金でオオカミのエサにされたらしい。拒否すれば家ごと破壊すると脅されたらしいが、オオカミ相手に何を言っているんだ。実際に家から持ち出すなどしなかったのが、賢明だと言えた。
後に監禁された事件の容疑者として逮捕されたのは、イエローストーンという名の青年だった。
しかし、時の流れとは残酷なものである。もう二度と記憶にすら出てこないほど強い思い出であるかのように、あれだけ強烈な感情を伴っていた記憶は、この世界に来てからの時間を重ねるにつれて徐々に薄れていき、鮮明な輪郭を失っていった。
海底火山の上に浮かぶ孤島、シルヴェリィア大陸へようこそ。ここは、大陸全体が大自然の造形美に満ち溢れている場所だ。
波は温かく、風は優しく、肌を刺すような日差しも、森を抜ける風は恋人同士の睦言のようにささやく。誰もが、自然と笑みをこぼしてしまうだろう。
青い海、白い砂浜、美しく咲き誇る色とりどりの花々。まるで人工の美しさを排除し、あるがままの姿に美しさを見出す女神がこの島を愛したが如くの自然の楽園は、何もかもを丸ごと総毛立たせる。
まるで『高天原』のように。
目の前に広がる光景は、過去に見てきたどの地よりも綺麗な景色だった。
と、同時に、この場所が異界であることをこれでもかと強く示しているものでもある。絵に描いたような美しさ。その一切が、俺の存在を拒絶しているように感じてしまう。何しろ、あの男はこの場所を“神の住まう場所”と表現していた。そんなものが住処にしてよい、まともな場所なわけがない。
はぁ、と溜め息を吐くと、俺の吐息が汚れた空気を纏ったまま、ある一つの木の前で綺麗さっぱり消えてしまった。
植物が生きている空間に長居すると、何やかんやで毒気が回る。特に異世界の植物は繁殖力が高く、生命力に溢れている。生い茂る草木は俺の身体を飲み込み、いつか俺を綺麗に肥やしへと変えてくれるだろう。
「その内、木にされる?」
ラバー・ブーツを履いていて良かった。自分自身にそう言い聞かせながら、きちんと整備された道の上を歩く。まだまだ先は長い。
アスファルトの上を歩きながら、俺は先ほどまで木々に囲まれていたのが嘘のように、徐々に視界が開けていくのを感じていた。何せここは公園の中央にある。周囲を見渡せば、園内には何組かの親子連れの姿が見えた。
東京都心部にありながら、この庭園はビル群に囲まれていない。休日ともなれば歩くのもままならない人気ぶりだが、平日ともなると、それこそまばらに歩く人影も疎らで、俺が通い詰めていた大都会の大型書店のような落ち着いた空気が流れている。
大きな木の木陰で本を読んでいる人、ベンチに腰を下ろして友人と語らう姿は、何年も前から続いている当たり前の光景で、昼寝している猫は、完全にここが安全な場所だと信じ切っているようだった。
こんな光景が十年以上も前から続いていると思うと、なんだか妙に落ち着く。
何度も来たはずの場所なのに、今のこの静けさは何とも不思議な感覚を抱かせてくれる。あの監禁部屋の静けさとは一線を画した、恐怖を伴わない静けさ。ノートに名前を書くことも、世界を壊すための計画を実行することもなく、たたずむ。
日常の、特別な時間。
サユと目が合い、ふたり、揃って微笑み合う。今の俺に、違和感は一切無かった。
その何気ない一時が、俺にはとても幸せに感じられた。
死と隣り合わせの生活を送っていたのは、何も俺だけではなかったのだろう。世界が間抜けた『悪役』に支配された当初から、確実にサユに付きまとっていた『不幸の芽』。それが、小さなイレギュラーにより、俺を気遣うという複雑な経緯を経て、最終的には、自分から進んで破壊を望むというエピソードが、このリスクに殺到してしまうだろうと懸念していた面もあったが、結果的に思わぬ方向へと向かってくれた。
サユ・ヨシノの恋人という立場を、俺は大義名分なく手に入れてしまったのだ。
彼女の家に着く。
僕の提案で、今夜はこの家に一泊させてもらう事にした。せっかくの長期休暇だ。多少強引な所はあるが、隣で眠る理由は作りやすい。いざとなれば肉体関係を持ってしまえば、もう最愛の妹に操を捧げる未来はない。サユの機嫌を損ねてしまわないよう、細心の注意を払って慎重に距離を詰める。
そして、家に着いてから一時間後。夕食のカレーを食べている間も、サユはさっきのことを気にしているようで、終始目を合わせてくれない。自分の言葉が、僕に監禁のことを思い出させてしまったことを本当に申し訳なく思っているらしく、何度も食べている手を止めては此方の様子を伺ってくる。
「あの、ライトさん……ごめんなさい。やっぱり、つい口滑らせて、言ってはいけないことを、言ってしまったなって」
「謝ることはないよ。事実だし、隠して嫌な思いをするのは私ではなくサユの方だろう。……まあ、普通に考えて、男の僕が酷い目に遭っていたことになるけれどな」
「そ、そうですよね。ごめんなさい」
「謝らなくていいよ。むしろ、サユのそういう所が好きだ」
ただサユに好意を向けると、またすぐに顔を赤らめる。
今はまだ妹という立場があるが、向こうから恋人関係を望んでくる日も遠くないだろう。ライトを記憶している全ての人物の好感度稼ぎに抜かりがない主人公・ライトを考えれば、ストックされているサユの好感度も日々上昇し続けている。長くて一週間、いや、三週間もあれば告白してくるだろう。
そして実際、サユの告白は僕が想定したよりもずっと早く、僕の予想通り……いや、予想以上に形のないモノとして、唐突に訪れた。
ある日、ライトの部屋で他でもないサユの口から出た告白の言葉に、思わず面食らってしまった。どうやら、サユは親の勧めもあって大学病院に就職が決まったそうで、引っ越しをする、という話を聞かされたからだ。
それはライトの妹、香澄の時にも同じことが言えた。
ライトのネクタイの締め方、ワイシャツのアイロンがけ、靴を揃えること。恋人ができたように赤くなったり、ストレートに気持ちを伝えてくることが多くなった気がする。
そしてまた、昔香澄が無邪気にライトとの結婚の約束を言い放った時と同じ場所で、サユは今、何を言われるのだろうか。――いや、香澄の時は逆な。俺は遊ぶ約束をドタキャンした。あの日、俺は――。
意識が、数週間前の学校からの帰り道へとトリップしそうになる。俺は慌てて意識を現実に引き戻した。未来のことを考えてどうする。今やるべきは、過去の記憶の整理整頓ではなく、心の整理整頓のための現実の把握だ。
将来を考えた時、ネトラレはもう現実逃避ではなく、自分の収入を増やす方法の延線上にあるという考え方ができるようになっていた。それだけでも、俺は大きな一歩を踏み出せたと自分を褒めても良いだろう。何せ二年間の引きこもり生活の中で、初めて外の世界に触れた結果なのだ。無理もないことだ。強いて上げるなら、ミサの無事を最初に伝えたあの時に、とっとと家を出ていれば、というくらいだ。
そういう訳でネトラレ先輩が発案し、情報を集めてどういう方法で体験談を小説に書き直しているのか、その方法と経緯を詳しく聞き出して、しっかりと頭に叩き込んでほしいと僕は先輩に依頼した。正確に言うと僕の部屋で話し合った際に、せっかくならその方法を教えてくれないかと僕の方からお願いしたのだが、その結果、気付けば一人で書籍化の話を進めていた。
最初はノリで書籍化に応じたものの、どうやらこの俺、というか俺の推しプロデューサーに気に入られているらしい、実際に著者同士の話し合いというものが行われることになった。
サユたちが何かを企んでいるかどうかはさておき、僕のところに話が来たのをキッカケに、もっと大きな話へと進展を遂げたのだ。
僕は特に断る理由も見当たらなかったし、それに、その事を思いついた際、海に落ちる寸前でナイフを投げられたあの出来事のことが頭をよぎった。今のように僕とサユの関係が良好になる前は、サユもまさか本心を聞かされることになるとは思わず、この場に火サマが居ないことを確かめるように周囲を見回していたという。あの時、松矢が放った言葉も、明子の怒号も、その時は怒りや恐怖心を覚えたが、今から思えば、どれもこれも僕に発破をかけるための演技だったのだろう。身に覚えがありすぎて笑ってしまう。
僕の実家は、掃除が行き届いたマンションの一室で、昔と変わらず、俺を出迎えてくれた。
「ただいま」
玄関に居た僕の帰りを待ってくれていた父は、無事で何より。と言わんばかりに安心した顔を浮かべている。そして、母も居間からひょこりと顔を出して、あらと柔らかく微笑んだ。
僕の両親はサユのことを知らない。ミサですら僕の思考に気がつかなかったくらいだ。それなのに、僕がサユを家に連れて行くと言えば、両親は快く承諾してくれた。
というより、取り成すのが上手かった。両親の反応を伺うために、頭の中で何度も想像した対応を反芻しながら、それでも断られる事を覚悟で尋ねた僕の告白を、両親はあっさりと飲んだのだ。だから今、僕はアパートで時間を潰し、両親との面会を終えたサユを迎えに行く手筈になっている。
自宅の前で待ち合わせをしているのだが、表に出るのが少し遅くなってしまったので、早足で玄関に向かう。すると、そこには既に待ち合わせの時間を五分ほど過ぎているにも関わらず、一切の不満を顔に出すことなく待っているサユの姿があった。
「サユ、ごめん。遅くなった」
「ううん。私も、今来たところだよ」
自分の部屋の時計が進んでいたんだ、という小さな嘘は飲み込むことにした。
駅に向かう道すがら、サユは、昨日の彼女の涙について、あれからずっと思い悩んでいたこと。解放されてから間もない僕には、そういうことはまだ早いと思ったから、『今日はもう帰る』と言おうとさえ思っていたこと。僕から土曜日にまた会って欲しいと連絡した時、正直ほっとしたこと。彼女なりに、もっと僕の事を知りたいと思っていること。そういった話を、どこか落ち着かない様子で聞かされた。
対する僕は、君は悪くない、あの時のことは気にしなくていい、という旨のことを告げた。
「僕こそ、ごめん。あんな風に言ったのは、ちょっと酷かったよ」
「いえ、私こそ、忘れようと思った事だったのに、思い出させてしまって、すみません。その……ライトさん、私」
「……ううん、いいんだ。僕がサユに言われて、心が軽くなった。自分だけが傷を背負っているわけじゃないんだって思えたから」
真実は、彼女の言葉で心が軽くなったのは事実だったが、サユの考えが、世界の不幸を背負う思い込みの激しい姉みたいで面倒だ。というのが本音である。
目の前の相手は自分のことを心配して言ってくれている。それなのに、面倒だという感情が湧き出てくるのは、僕の人間性が疑われるかもしれないが、客観的に見れば、まあ確かに面倒くさい女だ。
それを顔に出さないように気をつけながら、僕は反芻する。どんな人間でも経験というやつは勝手についてくるものだから、僕の経験を元に言うと、恐らくサユは自分の経験から、自分がされて辛かったことを僕にしなかったのだろう。監禁されたような日々を送っていたのは僕の方だって言うのに。さすがに、僕の状況が把握しきれていないサユの言葉には割り引いて聞くしかない。
いや、そもそもコイツは、僕が何をされたのか知らないから、過剰な心配をしているようにも見える。
まあ、サユのその考えはだいたい間違っていないし、こちらとしては都合が良い。このまま誤解
就这样,萨由在我怀中,像个幼小的孩子一样号啕大哭,泪水濡湿了我的胸膛,一遍又一遍地唤我“神明大人”。
“今天,就是我的命运之日。”
我凝视着她那染满感动与恍惚的眼眸,脑海中却浮现出恶魔的面孔。
觉悟吧,恶魔,我很快就能杀了你。
第一次被侵犯的时候,我以为这世上不会有比这更屈辱的事了。
但被囚禁的日子过了半年后,仅仅是毫无花样的侵犯,在我眼里都如同天堂一般。
“呃、啊——、唔、……啊”
那天,我难得地只是单纯被恶魔侵犯着。
只进行插入的性行为已经久违了,我嘴里只能吐出既分不清是喘息还是呻吟的声音,暂且还撑得过去。
平时,每当我醒来,那个家伙就会来到牢狱,要么亲切详细地说明今天要用什么莫名其妙的玩具,要么什么都不告诉我,给我戴上各种拘束具,然后恐吓我说想想看现在给你装上的这东西动起来会是什么感觉。
所以今天,当我醒来时那个恶魔只是把我仰面放在床上便直接插入,在半梦半醒的意识中,我不由得对这家伙也会做如此稀罕之事感到惊讶。
“唔……哈……啊”
当然,恶魔不会在意我的身体。
即便现在插入我体内的动作,也只是粗暴地一次又一次地顶撞,仅仅是为了追求自己快感的自私方式。不管我是否高潮,是否痉挛,他都全然不顾地随心所欲。当然,从我被囚禁在这座监狱里起,我的身体就不曾被体贴过。
但也正因如此,我才觉得恶魔做出了非常罕见的举动。
一直以来,这家伙施加在我身上的凌辱,都是彻底以贬低我的心志为目标的。作为痛苦的快感、作为支配的快感、作为拷问的快感。全都是为了让我明白,我的身体已经被可耻的快感所支配,再也回不去了。
而为了达到这个目的,他也曾多次在凌辱途中,在没有射精的情况下停下行为。甚至,有时连衣服都不曾脱,连勃起的样子都不曾露出来过。
所以,像今天这样,那家伙为了满足自己的快感而侵犯我,是非常罕见的事情。
「咳――、啊、咳……啊、啊」
我被他伴随着律动所给予的,那分不清是快感还是苦痛的感觉折磨得闷哼连连,在模糊的视野中,茫然地抬头望着那罪魁祸首的恶魔的表情。
或许是因为长期不间断的交合带来的疲劳,最近我经常看不清楚东西。就连现在,那个正在侵犯我的恶魔的身影都显得那么模糊,看不清楚他究竟是什么表情。只能看见一个黑色的影子在我身上喘息着,粗重地起伏着。只是,从面对面传来的粗重喘息声,我能预测到,或者说是根据经验判断出,他快要射在里面了。
“唔——”
就在我这么想的瞬间,听到了恶魔咬牙忍耐的声音,在我体内搏动的阴茎射出了精液。
一下一下地,仿佛要将毒素注入我体内一般跳动的恶魔的肉体。像是要一滴不剩似的,深深、深深铭刻般抵住我的腰,被彻底开发过的我的肉体也做出反应,迎来了高潮。
“呜、啊————、啊、哈啊”
但是,我的高潮与恶魔的不同,是不会射出精液的。
是从什么时候开始的呢,因为不想记住所以就忘了,我的身体被改造成了不射精也能体会到高潮。那是比伴随着射精的高潮更加炽热强烈的快感,给我带来苦痛的、可憎的东西,而且还没有尽头。不管高潮多少次,只要被刺激、被顶弄、被侵犯,就会再次高潮。
没有尽头的快感是地狱。
无论经过多久,大脑都无法恢复正常,被摧毁般的感觉持续不断。
我被推入仿佛不再是自己的丧失感深渊。
每一次,都让我明白恶魔就是在这样试图弄垮我。
「……唔」
这一切的元凶,恶魔似乎终于吐完了断续射出的所有精液。随着一声闷响,恶魔的肉刃终于从我的体内拔出。
今天恶魔显得异常兴奋,一次都没有停歇,反复侵犯了我多次。若是我没有记错,这应该是第三次射精。也因此,当那东西抽出的瞬间,我体内积存的精液便立刻涌了出来,顺着臀部在床单上积成水洼——这情形不用看我也知道。
不过,若是在刚被监禁的那段时间,这种状况或许还会让我感到屈辱,但如今却什么感觉也没有了。无论恶魔在我体内留下什么,只要不需要我舔舐啜饮,便都无所谓。更何况,今天没有使用任何道具和药物,简直是天堂一般的感觉。
不管被凌辱多少次,无论是能让人精神错乱的药物,微弱电流刺激的玩具,开发尿道的恐惧,还是直抵喉咙深处的精液苦味,只要经历过这些,眼前这种程度算不了什么。
「夜神月」
恶魔呼唤了我的名字。
虽然看不清呼唤我名字时恶魔的表情,但我还是以反抗的姿态,瞪着那团黑影。像是在展示,不管你有什么企图、要做什么,我都有瞪视你的意志。
我这样的目光会让恶魔作何感想,在这模糊的视线里我不得而知。
是在为我还不肯被彻底玩坏而满意,还是因为怎么都不坏而烦躁,抑或是像个人偶般毫无感情地、面无表情地盯着我呢。
不过,无论恶魔是什么表情,我面前只有一个选项,那就是瞪视。唯有这份意志,唯有展现出这份憎恶与嫌恶,才能证明我还没有被摧毁。
为了不死,为了不被杀,为了有一天杀掉恶魔,我――。
“夜神月”
恶魔再一次呼唤我的名字。
那一瞬间,我又回忆起那个唯一的选项。在我这样的拥抱下,沙由像个幼小的孩子一样嚎啕大哭,泪水打湿了我的胸膛,一遍又一遍地呼唤我为“神明大人”。
“今天,就是我的命运之日。”
我凝视着她那染满感动与恍惚的眼眸,脑海中却浮现出恶魔的脸庞。
觉悟吧,恶魔,我马上就能杀了你。
第一次被侵犯的时候,我以为这世上再没有比这更屈辱的事了。但被囚禁半年之后,那些只是毫不花哨地单纯侵犯的日子,竟显得如同天堂一般。
“唔、啊――、嗯、啊……っ、啊”
那天,我罕见地只是单纯被恶魔侵犯着。
只有插入的性行为已经很久没有过了,我从口中吐出分不清是呼吸还是声音的响动,目前还算撑得住。
平时,每当我醒来时,那家伙就会来到牢狱,或是亲切详细地向我说明“今天要用这个”的莫名其妙的玩具,或是在什么都不告诉我的情况下,给我戴上各种拘束具,然后说想想现在装在你身上的这个动起来是什么感觉,以恐惧来逼迫我。
所以,当今天醒来时来的恶魔只是让我仰面躺在床上然后插入时,我在朦胧的意识中感到很惊讶:原来也有这么稀奇的时候。
“唔……呼……哈啊”
当然,恶魔是不会在意我的身体的。就算是现在这样侵犯着我的插入,也只是粗暴地反复冲击、追求着自己快感的自私行为。无论我是射了还是痉挛了,他都不会放在心上,只管恣意妄动。当然,从我被囚禁在这座监狱里的时候起,我的肉体就从未被体贴过。
但正因如此,我才觉得这对恶魔来说是非常稀奇的行为。
一直以来,这家伙施加给我的凌辱,都是彻底以贬低我心灵为目的。作为痛苦的快乐,作为支配的快乐,作为拷问的快乐。就好像在谆谆教诲我,你这副身体,已经被可悲的快感所支配,再也无法恢复原状。也正因如此,为了达到这个目的,在凌辱我的途中,他也有过多次并未射精就停止行为的时候。甚至有一次,他连衣服都没脱,连勃起的样子都没让我看到。
所以,像今天这样,那家伙为了满足自己的快感而侵犯我,是非常罕见的事。
「呃——,啊——,啊……,啊——,啊」
我一边承受着那家伙随着律动带来的、已经分不清是快感还是痛苦的感触而呻吟,一边在模糊的视野中茫然地抬头望着元凶恶魔的表情。
或许是因为长时间不间断的性事而疲劳,最近,我看东西经常模糊不清。现在也一样,侵犯我的恶魔的身影,也模糊一片,无法看清他是什么表情。只能看见一个黑影,压在我身上喘息着。只是,从正对面传来的粗重喘息,我预测——不,是凭着经验得知,他快要射在里面了。
“呜——”
就在我这么想的瞬间,就听见恶魔咬紧牙关的声音,在我身体里搏动的阴茎射出了精液。
咕嘟咕嘟地,像是往我体内注入毒素一般,恶魔的肉体在颤抖。为了不滴落一滴似的,腰深深地、深深地抵了进来,被彻底调教过的我的肉体也随之产生了反应,迎来了高潮。
“呜、啊————、啊、啊”
然而,我的高潮与恶魔的不同,没有射精。
不知从何时起——因为不想记住,所以忘掉了——我的身体已经被改造成了没有射精也能迎来高潮。那是比伴随射精的高潮更加灼热、更加激烈的快感,为我带来苦痛的、令人憎恶的东西,而且没有尽头。无论高潮多少次,只要被刺激、被顶弄、被侵犯,就还会再次攀上巅峰。
没有尽头的快感即是地狱。
无论过多久,大脑都无法恢复正常,被破坏的感觉持续不断。
我被抛入那种仿佛不再是自己、充满丧失感的深渊之中。
我明白,恶魔每一次都企图这样将我摧毁。
「…………、っ」
精液を吐き出し終えた後、悪魔はそれを抜くと、荒くなった呼吸を整える事もなく、動かなくなった。
ぴくり、と時折痙攣する体は動かせないのに、悪魔の気配だけは不気味なくらいはっきりと伝わってくる。いつも僕に優しくしてくるわけがない悪魔が、何を考えているのか。全くもって知れた話ではない。
ただ、こちらの様子を伺っているのだろうとだけは分かる。
何を言い出すのか、何を仕出かすのかと、こちらが逃げも隠れもできない状況で様子を探っているかのような、そんな気配。
それだけで、いっそ早く殺してくれと何度思ったか分からない。いつもはこのタイミングで何かの新作の玩具の説明だの、己の作った拘束具のデモンストレーションだの、僕が彼の求める反応をするのかどうかが始まる筈なのだ。
それなのに、いつまでたっても何も始まらず、悪魔が動く気配がなかった。
それは、何かいつもとは違うことをしようとしているときの悪魔の前触れではなかったか。こいつはいつも、新しく何かを始める時にわざわざ口にする。お前をじっくりと甚ぶる前に、必ず、何かをする。
「夜神月。俺のことは覚えているか?」
だから、その言葉は酷く不意打ちだった。真っ黒な悪魔が、まるで何かを確認するように、問いかけてくる。この監獄に捕まってから、あいつが僕の名前を呼んだことなどなかった。呼ぶ必要がなかったからだ。僕のことを何と呼ぼうと、ただの檻に囚われた玩具でしかないのだから。
「お前は、いったい……っ」
ここではない何処かで、己の経験則を働かせろと警告している声が聞こえる。
こいつがこのような質問をするのは何か理由があるに違いない。僕を貶めることだけを楽しむ悪魔のことだ。何かしらの新しい罠に違いない。それなのに、僕の口は勝手に、自分の意思とは関係なしに、こんな言葉を吐き出していた。
「何を……お前は、一体、何を言っているんだ」
しかし、普段と異なる状況に頭がついていっていないせいか、僕の口から出てきたのは自分でも驚くほど酷く掠れた弱々しい声だった。
喉を締め付けられでもしたかのような、掠れて上手く空気の通らない声。
久しく喋るという行為から離れていたせいで、酷く喉が枯れてしまっていた。
「お前、まさか」
僕の声を聞いた悪魔が、足を引きずるような音をさせながら近づいてくる。そして、今度はその足音が止まる。と、悪魔のものと思われる影が、震えているのだが、それは一体何故か。
先程までとはまるで違う、何かを必死に耐えるような荒い吐息が聞こえる。恐怖なのか、それとも怒りなのか。まるでそれだけを楽しむような、底冷えのする声音で、悪魔は僕の名前を呼んだ。
「夜神月」
何かが込み上げてきたのか、震えながら吐き出すような声。あいつのものとは思えない声音に、いっそ悪魔もあんな声を出すことが出来るのかと、どうでも良いような感想が浮かんだ。
「もう、やめにしろ」
僕は、霞んだ視界の中、必死に悪魔の姿を捉えようと焦点を合わせて――。
「そんな姿を、俺は見たくないんだ」
そう言って、苦し気に表情を歪める悪魔に、どうやら悪魔は相当参っているらしい、と、僕はぼんやりと考えた。
彼女の名前は夜神サユ。
その実体は、正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正真正
“是啊。那家伙,就是只想着折磨我、并仅仅为此而行的‘恶魔’。”
再次从自己口中说出“恶魔”这个词时,我不禁回想起自己是从何时开始这样看待他的。
起初,我还用竜崎、L,这些曾经与奇拿对峙时的名字来称呼他。
但渐渐地,每次身体疲惫不堪,每次失去意识的次数增多,每次身体被灌输进那骇人的快感与痛苦,我便渐渐不再用名字称呼他。
原因之一当然是我的意识开始模糊,连完整的话都说不出来。但在此之前,在心底,我渐渐地不再将他称作竜崎或L,而是将他看作仅仅为了折磨我而存在的『恶魔』。
“他是……”
那不是我——奇拿曾经交过手的对手。
他是那种轻易抛弃了追踪奇拉案件的侦探身份,仅仅是为了满足自己欲望而存在的骇人存在。
无论被那种人侵犯多少次,被如何凌辱,我的精神都不会受伤。不会破损。不会被摧毁。
对,仿佛在鼓励自己一样,我一直在心中称他为“恶魔”——。
“恶魔……恶魔,什么的”
突然,我察觉到佐由的声音有些异样,抬起了头。佐由像是颤抖般,反复说着从我的话中引出的‘恶魔’这个词。
那也许可以解释为,因为他是折磨我的存在,所以怎么也无法原谅。但她的颤抖方式却有些违和。
但是,为什么呢。明明我的大脑总是能敏锐地察觉他人的语调和其中的含义,此刻却像飘荡在迟缓的梦幻中,无法立刻准确说出佐由的语气里到底包含着什么。
“佐由……?”
我呼唤她的名字。
但直到那时,我才终于察觉自己的语无伦次已经严重到何等地步。
不,不对,这跟当时一样的感觉。
是无数次被凌辱、到达极限时,那种即将失去意识的感觉。
「什么恶魔……!果然,是自以为神的家伙会想的事呢!」
身体崩落、从椅子上滚落下来的瞬间,我听见了佐由的声音,终于明白了她语气中蕴含的意思。
啊啊,对,我想起来了。这颤抖的声音,不是悲伤,是嘲笑。
她,佐由,在嘲笑我。
“――――ッ、啊”
连保护自己都做不到的肉体,发出钝痛的悲鸣,但全身却像是自己不是自己一样使不上力气。
恐怕,一定是从刚才开始吃的东西的原因。啊啊,是啊,如果要杀我的话,她是最适合不过的人选。为什么,我大意了。为什么,觉得这个女人没问题。为什么,为什么,为什么。
在我模糊的意识中,不断重复着这些毫无头绪的悔恨时。
佐由用初次见到的平静眼神注视着我,从口袋里掏出一个小小的手机,开始拨打起来。
「喂喂,是的。现在结束了。请过来吧」
「呃――――啊、啊」
「没事的。嗯,麻烦你了。……对了,这家伙,什么时候死?」
那是极其冰冷的声音。仿佛被佐由之外、另一个人附身一般,冷酷、冷淡、且满含嘲笑的语调。
“这样啊……那么,他死了就告诉我吧。那样的话,我想我终于可以得到救赎了”
佐由像是要将这些话丢弃一般说完后,就这样挂断了电话,缓缓朝我走来。
就在刚才还在考虑该如何利用我的、盲目爱慕着我的女人佐由。
然而,此刻在面前俯视我的她,已经完全没有了那种气息。
即使意识模糊,为什么我对这个女人会抱有这么巨大的恐惧呢,对自己的惊讶与憎恶不断涌起。
但她每向我走近一步,我的心脏就吵闹地跳动着,发出悲鸣。
看到我这副样子,佐由露出满意的笑容,一边将手伸向我的脸颊。
“晚安,自封为神的人。”
住手,别碰我。别靠近我。
“很快,你的‘恶魔’就会来接你了。”
听到这句话的瞬间,我伴随着一切的绝望,失去了意识。
睁开眼睛的瞬间,感受到的是耀眼的感觉。
这并不是像天花板上的照明进入视线,或者朝阳刺眼之类的光。
那究竟是什么耀眼呢?我茫然地环顾四周,发现是一间昏暗的房间里,被几台监视器的光线所照亮。
“……”我渐渐恢复了意识,想按顺序回忆起到底发生了什么事。
但也许是被药物影响,前后的记忆都模糊不清,重要的事情想不起来。
所以,我的意识自然而然地被引向了眼前屏幕上放映的影像。
然后,在看见那个影像的瞬间,我不禁呆然地注视着画面,思考着为什么会看到这段录影。
“这是——”
好几台监视器上映出的是,我的影像。
地点是搜查本部。在大楼里,我为了追捕基拉,总是在主厅进行调查。那里也有爸爸的身影,还有其他搜查员的身影,我和大家交谈、传递文件,完全不知道自己是基拉,只是纯粹地在追捕基拉。
这段影像为何现在就在眼前播放?明明记录里应该只有海砂的房间才对。为什么还留着这段影像记录?
目光转向其他屏幕,那里又出现了另一个我。
那是正在搜查本部大楼的卧室里休息的我,是在唯一能外出的屋顶享受片刻闲暇的我,或是在浴室换衣服的我。
每块屏幕,不论怎么看,里面都是我。只是执拗地只拍摄我的影像。
而且,既然映出了这段时间的我,那必然的,那个人的身影也会被镜头捕捉到。
那个人的身影——
「好久不见了,夜神月」
就在那一瞬间,身后传来的声音让我祈祷,求求你,这只是一场梦。或者,但愿这只是我的幻听。
而在这时,我终于明白サユ的声音里包含着什么了。
啊,这样啊,我想起来了。这颤抖的声音不是悲伤,是嘲笑。
她,小夜,在嘲笑我。
「――――呜、啊」
连受身都做不好的肉体发出悲鸣,仿佛在诉说钝痛,但全身仿佛都不是自己的一样使不上力气。
毫无疑问,一定是刚才吃的食物有问题。啊啊,没错,如果要杀我的话,她是最合适的人选。为什么疏忽了。为什么觉得如果是这个女人就没问题。为什么为什么为什么。
在我模糊的意识中,她一直重复着毫无头绪的后悔。
就在这时,サユ用初次见到的平静目光注视着我,从口袋里掏出手机,开始打电话。
「喂?是的。现在结束了。请过来吧」
「呜————啊、啊」
「没关系。好的,拜托了。……话说,这家伙什么时候死?」
“看起来像是要死了呢……好,如果他死了,请告诉我。这样的话,我想我终于可以得到解脱了。”
サユ丢下这句话,然后挂断了电话,缓缓向我走来。
刚才还在想着要怎么利用我的那个盲从的女人サユ。
但现在,在她俯视我的目光中,我看不到任何这样的迹象。
即使意识快要丧失,我也在惊讶与憎恶中挣扎,为何面对这个女人,我会如此恐惧。
而她每向我走近一步,我的心脏就疯狂地跳动着,像在发出惨叫。
サユ看着这样的我,露出满意的笑容,向我伸出了手。
「晚安,自以为是的家伙」
住手,不要碰我。不要靠近我。
“你的『恶魔』很快就会来接你了。”
听到这句话的瞬间,伴随着所有绝望,我失去了意识。
醒来的瞬间,我感受到的是耀眼的感觉。
那并不是天花板上的灯光映入视野,也不是朝阳刺眼的光。
那么,究竟是什么呢?我用茫然的大脑环顾四周,才发现这间昏暗的屋子里,自己被几个显示器照得明亮。
“……啧,该死”
逐渐清醒过来的意识让我开始逐一回想发生了什么。
但或许是因为被下了药,前后的记忆都变得非常模糊,怎么也想不起重要的事。
正因如此,我的意识自然转向了眼前显示器中的画面。
而当看到那画面的瞬间,我呆呆地看着屏幕,思考着为何这段影像会在此刻被播放。
“——这是”
多个显示器上播放的,是我的影像。
地点应该是搜查本部。在那栋楼里,我为了追捕基拉,总是在主房间进行调查。那里有父亲的身影,还有其他调查员的身影,我在与大家交谈、交换文件的同时,并不知道自己就是基拉,只是纯粹地在追查着基拉。
这段影像,为什么现在会在眼前播放呢。明明记录应该只限于魅上的房间,可这段影像记录为何还留着。
无意间看向其他屏幕,上面又映着另一个我。
有在搜查本部大楼的卧室里休息的我,有在唯一能外出的屋顶上享受片刻闲暇的我,也有在浴室里换衣服的我。
无论看哪个画面,无论看哪里,在那里的人都只有我。只是执拗地只拍下我的影像。
而且,既然能拍到这段时间的我,那么必然地,那个人的身影也一定会出现在镜头的一角。
那个人的身影——。
“好久不见了,夜神月”
瞬间,从背后传来的声音让我祈求上天,希望现在的一切只是一场梦。或者,是幻听。
お前、という声が、喉の奥で絡まって、音にならない。
こいつは、僕の何もかもを奪い、踏みにじり、壊していった『悪魔』だ。
僕を、ここまで貶めていった、悪魔だ。
震える身体に喝を入れ、必死に視線だけで振り返る。
そこに居たのは、穏やかに笑うあいつだった。
僕をあそこまで追い込んだ相手は、こちらを嘲笑っているのかと思いきや、そうではなかった。
まるで久しぶりに顔を合わせる友人に挨拶をするかのような、何てことのない、飄々とした態度。
「元気にしていた?」
憎々しげに睨みつけても、視線を合わせても、相変わらず、薄気味の悪い笑みを浮かべたままだった。
僕はあいつを睨みつけたまま、何も話さない。話せる訳がない。あろうことか、どうして出会って早々に殺されなかった自分に、僕は怒りを覚えていた。
「ふふ、その様子だとなかなか上手くいったようですね。まさか、サユちゃんがあんな事をしようとは思いませんでしたよ。思っていたよりも大物でしたか」
あいつの言葉に、サユが何か動きを見せた。
周りの状況を理解しようと彼女を見れば、今まで僕に従ってくれていた時とはまるで別人のように、目尻にを浮かべて、まっすぐにあいつを見つめている。
「サユ、とにかく、それは置いて」
「えっ? あ、はい」
サユはそう言われると、ばたばたとしながら拘束具のようなものを外しはじめた。
すると、少しだけ強く身体を締め付けられていた感覚が、徐々に解放されていく。どうやら今の僕は、何らかの拘束具で椅子に固定されていたらしかった。
“能够吗?那家伙是只考虑折磨我,并将其付诸实践的‘恶魔’罢了。”
重新从自己嘴里说出“恶魔”这个词,我不禁开始回想自己是从何时起开始那样看待那个人的。
最开始的时候,我还会用龙崎、L这些曾与基拉对峙时用过的名字来称呼那个人。
但随着身体逐渐疲惫,每次失去意识的次数增多,每次被灌输进那令人恐惧的快感与苦痛,我开始渐渐不再用名字来称呼那个人了。
这固然是因为我的意识开始模糊,连说出完整的话语都变得困难。但在此之前,在心里,我渐渐不再把那个人当作龙崎或L,而只是作为一味折磨我的“恶魔”了。
“那个人……”
那个人不是——我,基拉,曾经战斗过的对手。
他不过是轻而易举地舍弃了追查基拉事件的侦探身份,只是为满足自己欲望而存在的、令人毛骨悚然的存在罢了。
被那种人侵犯再多次,被那样凌辱再多次,我的精神也不会受伤。不会损坏。不会被摧毁。
没错,仿佛在鼓励自己一般,我始终将他称为『恶魔』——。
“恶魔……恶魔,什么的”
忽然,我察觉到沙由的声音有些异样,抬起了头。
沙由仿佛颤抖着一般,反复重复着从我口中说出的“恶魔”这个词。
若将其解释为是因为那个存在折磨过我,所以我无论如何都不能原谅他,那她的颤抖方式总觉得有些违和。
但是,为什么呢。平时应该能敏锐察觉他人语气的含义,可脑子却像在梦境中一般迟缓,没法立刻准确分辨出沙由语气中的意味。
「沙由……?」
我唤了她的名字。
然而,到那一刻,我才终于发现自己的舌头已经打结,说不利索了。
不,不对,这是与那时相同的感觉。
是被反复凌辱,迎来极限时,那种失去意识时的感觉。
「恶魔什么的……!果然,是自以为是神明的家伙会想的事呢!」
在我身体瘫软倒下、从椅子上滚落时听到的沙由的声音,让我终于明白了她语气中所蕴含的意味。
啊啊,没错,我想起来了。这颤抖的声音,不是悲伤,是嘲笑。
她,沙由,在嘲笑我。
「――――唔、啊」
连受身都无法好好做的肉体,虽然发出了钝痛的悲鸣,但我全身却仿佛不是自己的似的使不上力。
恐怕,毫无疑问是因为之前吃的食物的关系。啊,是的,如果要杀我的话,她是最合适的人选。我为什么会大意呢。为什么,会以为这个女人没事呢。为什么,为什么,为什么。
在我意识朦胧的时候,一直重复着毫无条理的后悔。
这时,沙由用我从未见过的平静眼神看着我,从口袋里拿出一个小型手机,开始打电话。
「喂喂,是的。现在结束了。请过来吧」
「唔―――啊」
「没事。是的,拜托了。……话说,这家伙什么时候死啊?」
那是极其冰冷的声音。仿佛不是沙由,而是被另一个人附身了一样,冷酷、冷淡,而又充满嘲笑的语调。
“这样啊……那,他死了就告诉我。这样的话,我想我终于可以得救了。”
沙由像要丢弃什么似地说了这句话,就那样挂断了电话,缓缓地朝我走来。
刚才还在想着要怎么利用我,盲目地仰慕我的沙由。
然而,现在在我面前俯视着我的她,身上完全没有那种气息。
即使我快要失去意识了,为什么面对这个女人,我会如此恐惧?我对自己感到惊讶和憎恶。
可是,每每当她朝我走近一步,我的心脏就剧烈地跳动,发出悲鸣。
看到我这样,沙由满足地微笑着,伸手抚上我的脸颊。
「晚安,自以为是神明的家伙」
住手,别碰我。别靠近我。
「很快,您的『恶魔』就会来接您了」
听到这句话的瞬间,我带着所有的绝望,失去了意识。
醒来时,我首先感到的是刺眼的亮光。
那并不是什么天花板上的照明映入眼帘,也不是晨光刺眼之类的东西。
那么,到底是什么东西这么晃眼呢?我茫然地环顾四周,这才发现,是昏暗的房间里,若干台显示器映出的光照亮的。
“……妈的”
意识逐渐恢复,我开始按顺序努力回忆起究竟发生了什么。
可也许是药物的作用,前后记忆都很模糊,重要的事怎么也想不起来。
所以,我的意识自然而然地被引向了眼前显示器上的画面。而当我看到那画面时,却只能愕然地盯着屏幕——为什么这画面现在会在这里播放?
“——这是”
几台显示器上放映着的,是我自己的影像。
地点大概是搜查总部。在楼里,我一直在主控室为了追查基拉而进行搜查。那里有爸爸的身影,还有其他搜查员的影子,我在与大家对话、交换文件的同时,并不知道自己就是基拉,纯粹地在追捕着基拉。
这段影像,为什么现在会在我眼前播放?记录只保留了魅上的房间——据说如此,可为什么这段影像记录还会留下来?
我看向其他屏幕,上面又是不同的我。
那是我在搜查总部的寝室里放松的样子,或是独自在唯一能外出散心的天台上小憩片刻的我,又或是在浴室里更衣的我。
每块屏幕、每个方向,映出的都是我。只是执拗地只映照我的影像。
而且,既然映出了这个时候的我,那么理所当然地,那个人的身影也一定会出现在摄像头的角落里。
那个人的,身影——
「好久不见了,夜神月」
瞬间,身后传来的声音让我祈求一切只是个梦。或者是幻听。
然而,我的身体却僵在原地,无法动弹。
那是绝不该出现在这里的声音。至少,在最后的最后,我应当是亲眼确认了那个身影彻底消失的。
心脏,在狂跳。血液,像是在惨叫。
明明不必回头也知道,身后究竟站着谁。但我却像被什么东西钉住了似的,无论如何也无法回头。
而后,温热的吐息伴随着甘甜而腐烂的气息,轻轻舔舐着我的耳朵。那家伙的指尖,滑过我的颈项。像在确认我的生命一样,缓缓地、慢慢地、不慌不忙地。
那是恶意的化身。那是蹂躏我一切、憎恨我一切、嘲弄我一切、将我从头到脚都涂满苦痛,宛如被塑造出来的、我的……。
その時、かつて海砂から「死のう」と誘われ、屋上にいた僕の足を、あの時確かに掴んだ手の存在を、僕は思い出していた。
あの時、僕は間違いなくあの手を掴み取った。
あれは確かに、あの時僕を必死に助けようとしてくれていた、救いの手だったはずだ。
「お久しぶりです、夜神月」
もう一度、その声が聞こえた。
かつて、僕が何度も何度も確認していた存在。数多くの苦痛を乗り越えて、生きてようやく手にすることができた安堵。それから、夜神月として、いや、キラとして、僕は今も昔も、あの時と変わらない幸福と充足の中にいる。
ずっと、この瞬間を待ち望んでいた。
あの日。ミサに促されて入ったこの部屋で、あいつと再会した、あの日から。
ずっと、ずっと、待ち望んでいた、この瞬間を――。
すべての始まり、この部屋。
あの日、あいつが僕に与えたのは、暴虐と快楽、絶望と陶酔、破壊と再生。反転した形の背徳。決して埋まることのない、深い深い渇望。
僕は己に許された自由の残りが、あとわずかだと理解している。こんなにも欲張りに生きたわけではないのに、まだ足りない、足りないと渇望している。
目の前のモニターには、僕の知らない僕の姿が映っていた。
そして、それは今もなお、見続けられている。
この部屋の、いや、この場所のどこかに、あの悪魔がいる。いつまでも、いつまでも、飽きもせずに僕だけを見つめている。
それを思うと、身体がぞくりと震えた。
その日、僕はあの日から続いているあの感覚の中にいた。あの感覚。 そう、あの日、あいつに犯されるのを待つだけの日々を送っていた、あの感覚。
いつ、何をされるのかという緊張。生きた心地がしない。眠りに落ちたとしても、目を覚ました時に何が起きているのか分からない不安。
まるで、毒を吐き出そうとしていることを自覚しているのに、上手く吐き出せない時のようなもどかしさと焦り。
そんな負の感情が、じわじわと身体を浸食していく。自分の意志で動いているというのに、自分というものを統御できているという実感がない。それだけを自覚するほどに、吐き気だけが込み上げる。
そんな中、無機質な電子音が部屋の中に鳴り響いた。
その音が、ドアをノックする音だと気付くまでに、数秒の時間を要した。返事をする。
「はい」
瞬間、空気を勢いよく切り裂く音が鳴り響き、開いたドアの隙間から、男が一人、この部屋に入ってきた。
その姿を見て、まず、言葉を失った。
知らない男だった。
いや、知らない顔だった。服装は、あいつのままなのに。
「……ん、は?」
現れた男は、スーツに身を包んでいた。だが、どう見ても、サイズの合っていないその服に、僕の足は自然と、じりりと後ずさっていた。その誰かが、すうっと細めた目で僕のことを見下ろしている。
だが、勘違いしないでほしい。僕は今のこの状況で、初めから仲介役の男を敵わないと思っていた。
確かに、キラとして行動し始めた当初は、プロの人間に組み伏せられて拘束されたこともあった。
しかし、今は違う。この手帳を手にした夜神月という男が、いったいどれほどの力を持っているのかを、僕は幾度となく証明してきた。
現に、今もこうして捕まってはいるが、こちらの手の内を全て知っているこの男を、出会った瞬間から倒す方法はいくらでもある。
僕は何とかして身体の自由を取り戻そうと、この時はまだ考えていた。恐らく体に入れられた薬は、未だその効果が失せていないからだ。そして、その薬の効果を何とかしてやり過ごせば、まだ僕に勝ち目はある。
この程度の拘束、幾らでも振り解ける。僕は夜神月だぞ。Lにだって、父にだって、負けたことはないというのに。皆、僕の足元にも及ばないというのに。
力を振り絞って、対して強くもない縛めを解こうとすれば、びくり、と己の体が痙攣した。
何故だ。縛めを解こうとしただけだ。なのに、体が勝手に痙攣して、思うように動かせない。
「あはは、だめですよ、月くん。そんなに力入れちゃあ」
瞬間、耳元で聞こえた声に、恐怖で声も出なかった。
いつから、そこに居たのか。いつの間にか、あいつは僕の後ろに立っていた。
「探してましたよ、月くん」
耳元で囁かれた瞬間、悪寒が走る。
心臓が跳ねた。
僕を探すな。死ぬほど苦しめたこの声は、確かにあいつだ。間違えるはずがない。
「ミサちゃんの部屋に居たことは、知ってましたけどね。まさか君が、自力でここまで来るなんて思いませんでした」
あいつの声が、耳元で反響する。肌が粟立つ。全身にぞくりと悪寒が走った。
「ですが、まあ、良かった。わざわざ来てくれたのであれば、ちゃんと出迎えてあげるのが筋でしょう。たっぷりと愛でてあげますよ、ニコラウ」
無理やりに身体を動かして振り返る。
そこに居たのは、紛れもなく、あいつだった。
あいつの髪を掴み、無理やりに視線をモニターから背けさせ、バスルームへと引きずっていく。あの時、あいつは、こんな風に僕を辱めていた。
モニターの中の僕は、身動きが取れない自分の身体を情けなくも感じながらも、恥ずかしそうに顔を赤らめていた。
「夜神月。あれからあなたは、過去に起こったことを一切覚えていません」
モニターを背に、あいつは聞き取れるか聞き取れないか、という程度の小声で呟いた。
そうして、モニターに映る映像を、あたかも記憶を振り返るかのような目で見つめながら、あいつはこうも言った。
「目が覚めたら、あなたは記憶を失っている。自らの名前を忘れ、自分が誰であるかも分からない」
あの時の台詞を、あいつはロボットか何かのように呟きながら、唐突にビジネスバッグの中身を漁ると、その中から何の変哲もない一丁の拳銃を取り出した。
「我々が何者なのかを教える者も、しかし、私にはこの程度のことはお見通しでした。何せ、『あの男』の……“キラ”の遺伝子を、あらかじめ自分に組み込んでいるんですからね」
愛用の拳銃を取り出して、銃口をゆっくりと上へ向けると、彼女はまだ動くことをしない僕の顔へとそれを向けた。
「キラ……ここで死んでもらいましょう」
どうか、お願いです。目を覚まさないでください、月。あなたの役目はまだ果たされていないのですから。いえ、もしもまた何かを望むと言うのなら、その血塗られた手で奇跡を願い続ければいい。けれど、わたしはあなたの願いを、叶えはしない。
たとえあなたが愛してやまない、その隣で眠る少女と、その瞳に映り込む人たちだけが、幸せに笑っていようとも。
眠れ、夜神月。次の瞬間には、また新たな朝があなたを迎えに行くだろう。」
その口元は、いっそ美しいとすら思えるほどに、爛漫と咲く花のような笑みを浮かべていて。
まるで――慈愛に満ちた、何かであるかのように。
気が付くと、俺はベッドの上にいた。
見覚えのない天井。見覚えのない照明。深く沈み込むソファーベッドの柔らかさに、俺は長距離電車の移動でも終えた後のような疲労感を覚えながらも、ゆっくりと体を起こした。
そして、改めて自身の身体を見下ろして、自分の格好が――いつの間にか入院服に着替えていることに気付いた。
病院の備え付けの、薄い緑色の服。
その服をまじまじと見つめながら、つい数時間前まで、あの男と終わりのない臓物談義を繰り広げていたことの現実味のなさに、思わず小さく息を吐いた。
それから、周囲を見渡せば、ここが病院であることが分かる。少し前まで、青井が……いや、もしかするとこの病院は、彼を演じていた男が眠る病院だ。
病院という言葉が頭に浮かんだ瞬間、つい昨日の記憶が蘇り、自然とあの男の身体に備わっていた内臓の位置や、触れた時の体温を思い出そうとする自分が居た。
いや、しかしこれは、僕がそうしようとして思い出せるという類のものではない。
無理矢理呼び起こされるように、勝手に蘇ってくる記憶。
あの男と過ごした、直接の肉体接触を伴う記憶だ。おぞましくて、吐き気がする。忘れたくて仕方ない。忘れられるものなら、何よりも早く忘れたい。
あれを思い出す度、心臓の奥がギュッと掴まれるように痛んで、息苦しくなる。そのたびに、己の無力さに唇を噛み締めた。
その代わり、ではないが、あの男に犯されてから、彼の周囲にいた取り巻きたちは、ようやく僕がただの『人間』ではなく、『神』だと知ることになった。
神と崇められ、夜神月が崇拝されればされるほど、サユの顔は強張っていった。
ああ、そうか。彼女は本当に、本当に僕のことを――。
彼女の信頼を、僕が裏切ってしまったが故の、当然の報いだ。しかし、何より、この状況が信じられない。
なぜなら、僕のこの計画は、死ぬまでに必ず成し遂げなければならない、絶対に成功させる約束なのだ。それなのに、その計画を支えている最大の理解者であるサユに、このタイミングで裏切られるとは、思っていなかったのだ。
しかし、これで、よい。僕を奈落の底へと突き落としたのは、紛れもないあいつの存在だ。
どうせ自分はあいつに殺される。
ならばせめてもの抵抗に、アイツの思い通りに、僕だけを苦しめられるままに支配されるくらいなら、自分の手で終わらせてやる。
そう、覚悟を決めた、はずだった。
あれから、ぼんやりと焼き付く記憶の片隅を探れば、あの後、どうやって身の回りを騒がせたのか、僕が今、どのような状態にあるのかを思い出せる気がした。
だが、情報は錯綜し、うまく噛み合わない。
それでも、確かなことが一つだけある。
サユに言われたあの言葉が、ずっと頭に張り付いている。
――もうすぐ、貴方の『悪魔』が迎えに来てくれますよ。
そうだ、あいつは、必ずやってくる。
それをまるで確信しているかのように告げるサユの言葉は、僕の意識を、あの最悪な記憶へと誘った。
竜崎たちキラの事件を追っていた探偵や、KIRA特派の関係者、そして、ミサやサユと出会ったあの日までに、またあの日々を思い出してしまいそうだ。
彼女が何を企んで、俺を生かしているのかは知らないが、こんな趣味の悪い悪戯を仕掛けてくるあたり、奴は本当に『悪魔』で。
何より、今の俺を形成しているのは、あの頃のあいつとの記憶と、そして、俺が知りたいと思いながらも、あえて知らない振りを続けてきたあいつの正体、そして彼女たちの正体だ。
あいつらが何者なのか、俺は何も知らない。
暗闇の中、俺は自分の呼吸の音だけを聞きながら、こんな時も冷静に自分の置かれている状況を分析している。
目が覚めてから部屋の中を見渡す限り、ここはどこかの部屋らしく、少し前にまであれだけたくさんあったモニターの類は、どこかへ片づけられてしまっている。
ふと、手錠という言葉が頭に浮かんだが、どうやらそれは間違っていないようだった。体の自由は利かず、指先すらも思うように動かせない。
もう確認するまでもなく、自分の置かれている状況は、どうやら最悪の部類に入るものであるようだ。
そして、何よりも。自分の身体の何よりも気持ち悪い場所に、あれほど人を恨み、憎み、呪い続けた己の体に、再び奴の何かが埋め込まれているという感覚があった。
「ああ、目が覚めたんですね。おはようございます、月くん」
目が覚めたとほぼ同時に、声が聞こえた。
その声は、この薄暗い空間に酷くよく響き、僕の鼓膜を刺激する。
「君を待っていたんですよ」
聞き覚えのある声。聞き覚えのある、声。
背筋が凍る、というのはまさにこういう感覚を言うのだろう。
身体の芯の、骨の奥が、じんわりと冷えていく感覚がした。
一歩、また一歩と、僕に近づいてくる足音。
早まる鼓動を鎮めようと深く息を吸い込む。ダメだ、意識が……。
鼓動が、速くなる。
息が、上手く出来ない。
あの足音が、もう、恐怖でしかない。
「――おい、起きてるんだろ、夜神月」
僕の肩を掴み、乱暴に揺さぶるその感覚に、ぴくりと身体が強張る。
恐怖で、息が上手く出来ない。足が震えて、立つことすらままならない。
ああ、だめだ。あの足音を聞いた瞬間、条件反射的に身体が恐怖を思い出して動かなくなる。
「ほら、起きろ」
背筋を恐怖が凍りつかせる中、声と共に背中を強く押され、仆は背中から床に倒れ込んだ。
痛い。起き上がろうと身体に力を入れるが、薬のせいか思うように力が入らない。やがて弱弱しくも身を起こした僕の視界に、あの足音の主は、いとも容易く姿を現した。
「――お前が、そうか」“是啊。那个家伙,就是一心只想着折磨我、仅仅为此而行动的‘恶魔’。”
重新从自己嘴里说出“恶魔”这个词,我忽然开始回顾自己是从什么时候开始这么想他的。
起初,我仍用龙崎或L——当年与基拉对峙时的名字来称呼他。
但渐渐地,随着身体每况愈下,随着失去意识的次数越来越多,随着自己的躯体被刻入那骇人的快感与痛楚,我渐渐不再直呼他的名字。
这固然也有我意识渐趋模糊、甚至连完整的话都说不出来的原因。但在此之前,在心里,我已渐渐不再用龙崎或L来称呼他,而是觉得那只是为了折磨我而存在的『恶魔』。
“他……”
那不是我――基拉,曾经交过手的对手。
那是轻而易举就抛弃了追查基拉事件的侦探的职责,只是为了满足自己欲望的骇人存在。
就算被这种人侵犯多少次,被凌辱到什么程度,我的精神都不会受伤。不会破损。更不会被摧毁。
对,为了鼓舞自己,我一直将他称作『恶魔』——。
“恶魔……恶魔什么的”
突然,我察觉到佐由的声音里带着一丝异样,于是抬起了头。
佐由仿佛在颤抖般,反复重复着从我口中说出的『恶魔』这个词。
要说她是因为那家伙是折磨我的存在,所以实在无法原谅——,这种解读又总觉得有点不对,她的声音颤抖得很不自然。
但,这是为什么呢。明明平时,总能敏锐地察觉到他人声音里的情绪,可脑子却像在摇晃一样迟缓,一下子无法准确捕捉佐由的声音。
“佐由……?”
我呼唤她的名字。
然而,直到这时,我才终于发现自己的舌头已经打结得不听使唤了。
不,不对,这跟那时候的感觉一样。
这是在被反复凌辱、达到极限时,会迎来的失去意识的感觉。
“恶魔什么的……!您果然就是个自以为是的神啊!”
我的身体垮塌,从椅子上滚落的一瞬间,听到佐由的声音,我终于明白她的声音里含着什么了。
啊,对,我想起来了。这个颤抖的声音,不是悲伤,是嘲笑。
她,佐由,在嘲笑我。
「——啊,啊」
连防护都做不好的身体,因为钝痛而发出悲鸣,但全身却仿佛不是自己的一般使不上力。
恐怕,是从刚才开始吃下的食物的缘故,这没错。啊啊,是啊,要杀我的话,她是最合适的人选。我为什么放松警惕了。为什么觉得这个女人就没问题。为什么、为什么、为什么。
在我意识朦胧之际,不断重复着毫无条理的后悔时。
佐由用第一次见到的平静眼神看着我,从口袋里拿出一个小小的手机,开始打电话。
「喂喂,是的。现在结束了。请过来吧」
「呜——啊、啊」
「没关系。是的,拜托了。……话说,这家伙,什么时候死啊?」
那是非常冰冷的声音。简直就像是被别的什么人附身了似的,冷酷又冷淡,而且充满嘲笑意味的语调。
“是吗……那么,他死了请告诉我。那样的话,我想我终于可以
“……呼——才、不可能,绝、不可能。”
不可能有快感。那种行为对我来说只有痛苦,是绝不想重来第二次的屈辱。开什么玩笑。我怎么可能去追求那种身体像着火一样的快感。明明心中翻涌着对恶魔的咒骂,但当恶魔开口发问时,我却只能反射性地回答。
这是理所当然的。因为只要一想到接下来将要发生的事情,头脑和嘴巴就都不听使唤了。
那家伙把我带回去之后要做的事情,只有一件。
要我在那面前维持毅然的态度,经历过那段凌辱岁月的我,根本做不到。
「「这样啊。」」
恶魔对我回答流露出了不满的语气,他像是觉得无聊似的叹了口气,接着又说“那样的话”继续道。
「那么,我们现在就开始吧」
「——噫、啊」
恶魔如此宣告后,将手指伸向我的下半身,插入了皮带金属扣的缝隙中。
那股触感,令昔日里无数次被侵犯、被凌辱的日子,如同浊流般化作记忆的漩涡向我袭来。
「放开,ッ——!」
明知对这家伙说出拒绝的话只是徒劳,可从我嘴里说出的,也只剩下祈求。
然而,恶魔不可能实现我的愿望,没有半分犹豫、怜悯或慈悲地,将我的下半身暴露在空气之中。
刹那,指尖触碰大腿肌肤的感觉,让胃液从喉咙深处翻涌而出。
「ッ——、咳、哈啊!」
不行了,住手,别碰我。
无法抑制的情感在脑海中盘旋之时,恶魔的动作也未曾停止,执拗地抚摸我的下半身。终于,他的指尖沿着阴茎的茎络抚上,而后触碰到了那个曾无数次被迫承受恶魔的地方。
“虽说隔了三个月,但看来不用怎么扩张就能进去啊。嘛,虽然毕竟是久违了,我想你可能会痛,但月君你的身体已经从疼痛中也能获得快感了,所以应该没问题吧。”
“住、住手……ッ”
“没问题的,月君。你记性很好,多做几次应该马上就能找回以前的感觉了。用不了多久,你就会变回像以前那样,因为快感而什么都无法思考的样子的。”
恶魔说着,用不知涂抹了什么润滑液的手指,侵入了我的体内。
一根、两根,他很快就增加了手指的数量,大概是觉得这样就没问题了,他既没有扩展也没有弄松,很快便抽出了手指,紧接着,将手指无法比拟的滚烫之物的顶端——如木桩般的阴茎抵在了那里。
“唔——,住、住手!”
「……今天的你,尽说些没意义的话呢。夜神月」
仿佛以那句话为信号,恶魔的阴茎插入了我的体内。
“唔——,啊,呃啊!啊啊啊,啊!啊啊,啊!”
久违地感受着,自己的肉体被蹂躏、被侵犯的感觉。
身体仿佛要被撕裂般的疼痛中,我扭动身体想要甩开恶魔,但既然被束缚着,抵抗也只是一场空。
况且,再次被侵犯的失望与绝望,让我的动作变得迟钝,甚至说不出一句完整的话。
“唔,哈啊……,啊”
另一方面,他大概也为将自己的东西挺入最深处而感到了一种久违的支配感吧。恶魔带着有些恍惚的气息,就那样毫不留情地,像以前那样随心所欲地开始摆动腰部。
咕啾咕啾地发出水声不断抽插,腹部深处被顶弄的感觉令人作呕。久违地被迫承受的中穴因疼痛而哀鸣,痛得几乎让人怀疑是不是在流血。
但同时,我也察觉到了。
尽管自己明明感到了如此的疼痛,但自己的身体却可悲地,开始记起那烙印在过去凌辱日子里的、令人作呕的灼热快感。
“不要,不是,不是!啊,呃啊——啊,啊啊!”
每当被抽到穴口边缘,每当肉壁被阴茎擦过,每当小腹深处被顶起,快感都被强行拖拽出来。
为什么,明明如此痛苦、如此难受、如此恶心,我的身体却还会感觉到快感?
我本应舍弃凌辱的过去。本应杀死这个恶魔然后将其遗忘。
然而,没有被允许。我的身体,我的记忆,依然浓密地记得那些日子,三个月的时间对此毫无意义。
“呼……咿、啊、啊啊——啊啊、啊!”
啊啊,不行了,这样下去,又要被推上那绝顶了。
就在我这么感觉到的瞬间,如我所料,如同摧毁大脑般的快感闪电贯穿我的身体,我再次迎来了不伴随射精的高潮。
「――――ッ、啊、啊啊、啊啊!」
痉挛的下半身被快感侵袭,为什么这具身体还会记得那种感觉,生理性的泪水不断溢出。
而那个绝顶成为了扳机。由于迎来了久违的快感,无法忍耐的性器溢出了尿液。
「唔、啊――ぁ、啊」
发着水声在地板上扩散开来的黄金色液体。自己失禁了的事实,毫无现实感地映入眼帘。
另一方面,从背后看到这一幕的恶魔,用故作惊讶的语气在我耳边低语。
「啊,地板被弄脏了呢。没关系,之后把我弄出来的东西也一起,请弄干净就好。」
“和以前一样。”——恶魔继续说着,我的脑海中浮现出从前被凌辱的日子。
啊啊,是吗,我又要被迫做那种事了吗。
被一次又一次地侵犯,被强迫迎来痛苦得令人窒息的高潮,还要被灌下恶魔随意弄出来的精液或是什么,被推倒在地上,然后再次被侵犯——。
当我想到那样的未来时,我心中有什么东西崩断了。
「――ッ! 你就那么想杀了我吗!」
这声几乎撕裂喉咙的呐喊,让恶魔的动作停了下来。
「你就那么恨我吗! 因为这样做,所以就想用这种办法杀掉我吗! 用精液将我的肠管灌满,是想杀了我吗!」
——不对,我说错了。
我是想问,他到底想把我践踏到什么地步才肯罢休。
但说出口的话,已然收不回来。「……唔、哈——不可、能、的、吧」
不可能感到快感的。那种行为对我来说只是纯粹的痛苦,是绝对不想再重复第二次的屈辱。开什么玩笑。怎么可能觉得我会追求那种身体像燃烧般的快感。心中虽然翻涌着对恶魔的咒骂,但面对恶魔的质问,我却只能反射性地做出回答。
这是当然的。因为只要想到接下来会发生的事,就完全无法思考,也无法说话。
那家伙把我抓回来后要做的事,只有一件。
要在那种事情面前保持毅然的态度,对于经历过那些凌辱之日的我来说,根本做不到。
「是吗」
恶魔对我的回答发出了不满的声调,像是觉得无聊似的叹了口气,然后“既然这样”地接续道。
「那么,我们现在就开始吧」
「――ッ、啊」
恶魔这样宣告后,将手指伸向我的下半身,插入了皮带金属扣的缝隙中。
那个感觉,让过去不知多少次被侵犯凌辱的日子,如同浊流般化作记忆的旋涡向我袭来。
「放开我,ッ――!」
明知对这个家伙说拒绝的话毫无意义,可从我口中说出的只有祈求。
然而,恶魔并不会实现我的愿望,不带一丝犹豫、怜悯或慈悲,将我的下半身暴露在空气之中。
那一瞬间,感受到触碰在大腿上肌肤的男人的指尖,胃液从喉咙深处涌了上来。
「ッ――、呃、咳啊!」
不行、住手、别碰我。
无法遏制的感情在脑海中翻涌的同时,恶魔的动作也没有停止,执拗地抚弄着我的下半身。终于,指尖沿着阴茎的脉络向上抚过,随后触上了那只管早已被迫承受了无数次恶魔的那里。
“虽然隔了三个月,但不用怎么扩张也能进去呢。嘛,虽然久违了可能有些疼,但月君的身体已经变成了连疼痛也能转化为快感的体质,所以应该没问题吧。”
“住、住手……ッ”
“没问题的,月君。你记性很好,多来几次很快就能找回以前的感觉。用不了多久,就会像之前那样,被快感弄得什么都不知道了哦。”
恶魔说着,将似乎涂了某种润滑油的手指,侵入了我的体内。
一根、两根,很快地增加着手指,似乎认为这样就可以了。也不做扩张或润滑,他就将手指抽出,然后抵上了与手指完全无法相比的滚烫的――像木桩一样的阴茎前端。
“ッ——、住手、放开我!”
“……今天的你,真是尽说些没用的话呢。夜神月”
那句话仿佛就是信号一般,恶魔的阴茎插入了我的体内。
“ッ——、啊、啊!啊啊啊!啊!啊、啊!”
久违地感受到自己的肉体被蹂躏、被侵犯的感觉。
仿佛身体要被撕裂般的疼痛,我扭动身体想要甩开恶魔,然而既然被束缚着,反抗也是徒劳。
更重要的是,再次被侵犯的失望与绝望,让我的动作变得迟钝,连一句完整的话也说不出口。
“っ、はぁ……、ぁ”
另一方面,大概是久违地将自己的性器顶入最深处而感到了支配感吧。
恶魔发出一声恍然出神的叹息,就那样毫不留情地,像从前一样开始随心所欲地摆动腰部。
咕啾咕啾地发出水声,反复地插入,腹部深处被顶弄的感觉让我作呕。久违地被迫承受的后穴因为疼痛而哀鸣,甚至让人怀疑是不是在流血。
但与此同时,我也察觉到了。
明明感觉到了这样的疼痛,但身体却不知羞耻地,开始回忆起昔日被凌辱的日子里所刻下的,那种令人作呕的炽热快感。
“不要,不对,不对!啊,嘎,——啊,啊啊!”
每当被拔到洞穴最深处时,每当肉壁被阴茎擦过时,每当腹部深处被顶弄时,快感都像被强拽出来一样。
为什么明明这么痛、这么难受、这么恶心,我的身体却还是会感到快感?
我明明应该连那段被凌辱的日子都丢掉。应该杀了这个恶魔,然后忘掉。
但是,不被允许。我的身体、记忆,还浓密地记着那些日子,三个月的时间对那些记忆来说完全没有任何意义。
“啊、咿、啊、啊啊——啊啊、啊!”
啊啊,不行了,这样下去,又要迎来那种绝顶了。
这样想的瞬间,正如我所料,一道仿佛要摧毁大脑的快感闪电穿过我的身体,我再次迎来了没有射精的高潮。
「——啊、啊、啊啊啊!」
下身痉挛着,对快感习以为常的身体让我感到疑惑,为什么这具身体还记得那种感觉,生理性的泪水滴落下来。
然后,那个绝顶大概成了触发器。久违的快感,让无法忍耐的阴茎溢出了尿液。
「呜、啊――、啊、啊」
发出水声在地板上蔓延开的金黄色液体。我失禁了——这个事实不带任何现实感地映入眼帘。
另一方面,从背后看到这一切的恶魔,用刻意夸张的惊讶语气在我耳边低语。
“啊,地板弄脏了呢。没关系,之后包括我射出来的东西,你清理干净就好。”
就像以前那样。听到恶魔接着说出的话,我脑海中浮现出昔日被凌辱的日子。
啊,是吗,我又要被逼着做那些事了吗。
被一次又一次地侵犯,被强迫迎来痛苦到窒息的绝顶,恶魔随心所欲射出的精液也好其他什么也好都要我喝下去,然后被推倒在地又会被侵犯——。
在想象到那个未来的瞬间,我脑中的某根弦断了。
「——ッ! 你就这么想杀了我吗!」
随着这句几乎撕裂喉咙的呐喊,恶魔停下了动作。
「你就这么恨我吗! 就这么想把我像这样……你就这么恨我吗! 你是想用这种方式把我彻底毁掉吗!」
悪魔は、そんな僕の言葉に、いやに愉しそうに口元を歪めると、今度は「ならば」とでも言うように、腰を動かす速度を早め始めた。
「ッ、あ、あ、あっ――! あ゛、あ゛あ゛っ!」
揺さぶられる視界の中で、悪魔の顔だけが鮮明に映る。その口元が、明確な愉悦の形に歪んでいるのを見て、背筋が凍る。
僕はこの悪魔の愉悦の為に存在しているわけではない。そう心の中で叫んだところで、最早己の体はおかまけなしだ。
口からは吐き気を催すような嬌声が零れ、身体は揺さぶられる度に、あの時犯された何度もの陵辱の日々を思い出させる。
いつの間にか、かつて悪魔に何度も強要されたあの形への変形を所々に認め、自ら望んで感じてしまう自分を、僕は何よりも――。
「ッ――あ゛、ぁ」
思考が、快楽に呑まれて飲み込まれる。ああ、駄目だ、またこれだ。意識の奥が塗り替えられていくようで、しかし、それでも快楽から逃れられない。
快楽を与えられる度に、体の中心から芯が焼き切られるような感覚に、思考が蕩け、溶けていく。
そんな中でも、何度も突き上げられる度に、未だ何度も、腹の奥に当たっている悪魔の先端の感覚が、脳裏に直接刻み込まれてくるようで、僕の現実感を無理矢理に引き戻していく。
「月くん……」
耳元に悪魔の声が届く。声に必死に抗いながら顔を背けると、不意にぐり、と最奥を強く突き上げられた。
「――っ、あ゛――ッ!」
びくんっと、身体が大きく跳ねる。
「や、やめ――」
「全部忘れてしまった身体も、三ヶ月前には戻るんですね。嬉しいですよ」
何が嬉しいか。
そう吐き捨てたかった。だが、身体の奥から突き上げられる度、言葉は快楽の吐息に変換されてしまい、非難の言葉はおろか拒絶の言葉すら口にすることが出来ない。ただ、こぼれる吐息と涙だけが、無様に、悲惨に、僕が陵辱されているのだと示すだけだった。
その間も、悪魔が抽送を繰り返す度、生理的な涙で滲んだ視界が揺れる。
そして、月のあまりの反応の薄さに、何かを感じ取ったのだろう。悪魔が、つまらなそうな声を出す。
「……随分、反応が薄いようですね」
その言葉の意味が分からず、悪魔の方を振り返ろうとした。が、その直後、胸の飾りを指で摘ままれる。
「ひぁぁっ!? あ、あっ、な、に――」
「こういう感覚を忘れたわけではないのですね、月くん。何せ、貴方は私に何度も何度も……ですが、やはり久しぶりでは駄目ですね。この程度では、貴方の快楽を誘い出すには足りないか」
そう言って、悪魔は僕の中からペニスを抜き去ると、僕の体を抱え、仰向けになるようにひっくり返した。突然のことに何が起きたのか分からず、ぐらりと傾ぐ視界の中で、拘束され自由が利かなくなった腕を必死に動かして、身体を支えようとする。
「な――」
何を、と口にしようとした時、俯せに倒れた体を無理矢理起こされ、上から覆いかぶさるように乗っかられた。白い肌に赤のワインレッドの瞳。視界いっぱいに映るそれが、ゆっくりと僕の上で、腰を下ろす。ドクン、と。……ああ、やはりこの体は、あの男を思い出して疼いてしまっているらしい。
「では月くん。昔みたいに、貴方の馬鹿な考えを全部吐き出して、淫らに啼いて、おびえていなさい」
……化けの皮が、剥がれる。
ずるり、と何かが抜け落ちる感覚は、夜闇に沈んだ静かな部屋の中で鮮やかに僕を支配した。
剥がれた皮は床に落ちて――そうして、そこに立っていたのは。
見目麗しく、男とも女ともつかぬ美しさを湛えた、亡霊のように儚げで、けれど――吸血鬼の異名に違わぬ、悍ましいまでに禍々しい存在。
僕は知っている。この顔を。何しろ、三ヶ月前までずっと、至近距離で――鏡の中に見ていた顔だ。
女にしか見えない。その美貌。
まるで絹縮の様だ。
絹縮のようにしとやかで、絹縮のように艶めかしく、絹縮のようにしなやかで、絹縮のように……艶めかしい。僕が普段蔑んでいるクソ野郎どもが、こぞって僕の身体を欲しがるだけのことはある。
幼い頃から周りから性別を間違えられることが多かった。これがまだ他人に可愛いと言われることもあるのだと自覚した中学生の頃には、もうこの顔も名前も、とっくに諦めていた。
いや、正確には、持て余していた身体をごまかすためか、僕が男であることを嫌というほど見せつけてくる――僕の中の悪魔が、僕を女のようにして組み敷いた時からだ。
天井から降ってくる照明が、やけに眩しくて目を細めながら、ふと、見上げた天井に、
こいつを殺す。
と、昔の自分ならば口にしていたであろう物騒な台詞が脳裏に浮かぶ。
前は、あんなことを考えている自分すらいて、本当に殺す機会をずっと窺い続けていたというのに、それを今の僕は、何の感情もなく聞き流す。まあ、実際に殺す方法も、仮に殺せたとしてもこの縛めを解く手段も思いつかないというのに、だからこそ、僕はこんなにも現実を受け入れられずにいるのだろうか。
やがて悪魔は行為を終え、恍惚とした笑みを浮かべながら僕の身体から退き、ふうと息を吐くと、これまたいけしゃあして、もう一つの行為を行うべくベッドの上に転がった。
無様に四肢を縄で縛られ、大の字にされた僕の上に馬乗りになり、既に怒張した己のものを、ゆっくりと僕の口元へと近づけてきた。
これから何をしようとしているのかを悟り、ぎゅっと両目を瞑る。しかし、いつまで経っても唇に先端が触れる感覚はやって来ない。
不意に動かなくなった悪魔の気配に、恐る恐るといった様子で目を開けると、じっと、何かを試すような、見定めるような視線を僕に送っている悪魔がそこに居た。
「……月くん。貴方の考えていることが、この程度では読めないとでも?」
「……何を、言ってるんだ」
言っている意味が分からない、とでも言いたげに僕は答えるが、舌が強張っているせいで、言葉は掠れてしまう。
「素直に堕ちたことを認めてしまえばいいのに。貴方の身体は既に陵辱の日々を刻み込まれて、あの頃のことを中々忘れられないようですから、いっそもう、どっぷりと、あの陵辱の日々に浸ってしまえばいいんですよ」
「――黙れ」
「記憶の隅に押しやった筈の快楽を、しっかりと身体に刻み直してあげます。お望み通り、たっぷりと可愛がってあげますよ」
お望み通り。と、悪魔は言う。だが、僕は望んでなんていない。
身体が、記憶が、かつての快楽を求めているというのなら、それは気持ち悪いだけでしかないのに。心の底から吐き気がする。
しかし、悪魔の囁きに、あの陵辱の日々の記憶は否応なしに脳裏を支配する。無理矢理に快楽を刻み込まれた、あの日々を思い出し、全身の毛という毛が逆立つような感覚を覚える。あの悪魔に犯される日々を、すんなりと受け入れてしまいそうな己の身体に嫌悪する。
だが、そんな僕の心配を他所に、悪魔は無遠慮に挿入を再開した。
そして、身体の奥を突き上げられるたびに、ずるずると嫌な記憶が溢れ出てくる。
何度も何度も犯される度に身体に刻み込まれていった快楽。
それを思い出す度に、体の奥が疼いて仕方ない。
「ンっ、ぁっ、やっ――あ、ぁ、あっ!」
いけない、声が出る。必死に口を噤もうと唇に力を入れるけれど、身体を突き上げられる度、唇の隙間から抑えきれない吐息が漏れていく。
三ヶ月ぶりに穿たれるそれは、やはりというべきか、僕が思っていた以上に身体に馴染んでいって、泣きそうなくらい気持ちが良い。
「ッ、あ゛、ぁ――はっ、ぁ……」
何よりいけないのは、この快楽を嫌だと感じられない自分だ。
あの日々が、身体に刻み込まれた快楽が、全部思い出してしまう。
食事をすることすら許されず、ただあの男に犯されるために生かされているような日々。
忘れたいと願っても、焼き付いた記憶は消えてくれやしないのに。それなのに僕の身体は、思考は、あの日々の感覚を覚えている。
いっそ、頭のてっぺんから爪先まで、嫌というほど記憶に刻み込まれた快楽の感覚を、すべて吐き出してしまえたら、どんなに楽だろうか。
体の奥に刻まれた、悪魔の感触を覚えているあの感覚を忘れられるのならば。あの陵辱の日々の記憶を、もう二度と思い出さなくていいのならば。
――そんなことを考えてしまう自分がいる。
そして、たっぷりと感じる悦楽の代わりに、ばら撒かれる苦痛の報酬、ということをしみじみと思い知らされるのだった。「……唔、哈——怎么、可能、会疼」
怎么可能会疼。那种行为对我来说只是纯粹的痛苦,是我不想再次重复的屈辱。开什么玩笑。难道你以为我会追求那种身体像燃烧般的快感吗?心中虽然翻涌着对恶魔的咒骂,然而对于恶魔的提问,我却只能反射性地回答。
理所当然的。因为,只要想到接下来要做的事,我的头脑和嘴巴都无法转动。
毕竟那家伙把我抓回来之后要做的事情,只有一件。
在那种事情面前,要我摆出毅然决然的态度,对于经历过那些凌辱日子的我来说,做不到。
“是吗。”
恶魔用不满的语气回应我的回答,随后像是觉得无聊似的叹了口气,接着又说道:“既然如此,那就现在开始吧。”
“——、啊”
恶魔说完,便将手指伸向我的下半身,插入了皮带金属扣的缝隙里。
那一瞬间,曾经一次又一次被侵犯凌辱的日子,如同浊流般化作记忆的漩涡向我袭来。
“放开,——!”
明知拒绝的话对这个家伙说也是徒劳,但我口中说出的只有愿望。
然而,恶魔并不会实现我的愿望,他没有任何犹豫、怜悯或慈悲,就将我的下半身暴露在外。
瞬间,大腿根部的皮肤触碰到男人的指尖,胃液从喉咙深处涌了上来。
“——、呜、咳……!”
不行,住手,别碰我。
在无法遏止的感情于脑海中翻涌之际,恶魔的动作也没有停下,执拗地玩弄着我的下半身。终于,指尖沿着阴茎的脉络向上抚过,然后触碰到了那处受尽恶魔蹂躏的地方。
“虽说隔了三个月,但看来不用怎么扩张也能进去啊。嘛,毕竟是久违了,可能会痛,但月君的身体早就变成了连痛苦也能从中获得快感的样子,所以没问题吧。”
“住、住手……!”
“没事的,月君。你记性很好,只要多做几次就能立刻找回以前的感觉。用不了多久,你又会像以前一样,沉溺在快感中,什么都想不起来了。”
恶魔说着,用不知涂了什么润滑油的手指,侵入了我的体内。
一根,两根,很快就增加到了数根,大概觉得这样就可以了吧。既没有撑开也没有扩张,就直接抽出了手指,将那根与手指完全不可同日而语的滚烫之物——将如木桩般的性器前端抵了上来。
「っ――、住手,放开我!」
“……今天的你,尽说些没用的话呢。夜神月”
仿佛那句话就是信号一样,恶魔的性器插了进来。
“呜——啊,啊!啊啊啊,啊!啊——,啊!”
久违地感受到的、自己的身体被蹂躏、被侵犯的感觉。
仿佛身体要被撕裂般的疼痛,让我想要挣开恶魔,可是身体被束缚着,再挣扎也只是徒劳。
更重要的是,再次被侵犯的失望与绝望让我的动作迟钝,甚至连句完整的话都说不出口。
「啊……哈……」
另一边,他大概因为将自己的东西顶到最深处而感受到了久违的支配感吧。
恶魔呻吟似地吐出一口恍惚的气息,就那样毫不留情地,像以前一样肆意地动起了腰。
咕啾咕啾地,一边发出水声一边反复抽插,腹部深处被顶上去的感觉让我反胃。久违地再次被填满的身体因疼痛而尖叫,我甚至怀疑自己是不是在流血。
但与此同时,我察觉到了。
尽管感觉到了如此的疼痛,自己这副下作的身体,却开始记起在那段被凌辱的日子里被刻下的、那令人反胃的灼热快感。
「不要、不对、不——! 啊,唔啊,啊——啊啊!」
每次被拔出到穴口边缘,每次肉壁被肉棒擦过,每次被顶到最深处,快感就被强行拖曳而出。
为什么,明明这么痛、这么苦、这么令人作呕,我的身体却会产生快感。
明明应该将那段被凌辱的日子全部舍弃。明明应该杀了这个恶魔然后忘掉的。
然而,不被允许。我的身体、我的记忆,依然浓密地记得那些日子,三个月的空白对这一切来说毫无意义。
「ひぃ、ぎ、あ゛ぁ、ああッ――ああ、あぁ!」
啊啊,不行了,再这样下去,那高潮又要来了。
就在我如此感觉到的瞬间,果然不出所料,我的身体被一道仿佛要摧毁大脑的快感闪电贯穿,再一次迎来了没有射精的高潮。
「――――ッ、あ゛あ、あぁ!」
随着下半身阵阵痉挛,快感袭来,我流下生理性的泪水,心中想着为什么这具身体还記忆着那样的感觉。
然后,那个高潮恐怕成了触发器吧。因久违的快感而无法忍耐的肉棒溢出了尿液。
「っ、あ――ぁ、が」
黄金色的水液伴随着水声在地板上扩散开去。我失禁了——这个事实不带现实感地映入视野。
另一方面,在背后看着这一幕的恶魔,用刻意夸张的惊讶声线在我耳边低语。
「啊呀,地板弄脏了呢。没关系,之后你把我弄出来的东西也一起擦干净就好」
像以前那样。恶魔接着补充道,我的脑海里浮现出过去被凌辱的日子。
啊啊,是吗,我又要被迫做那种事情了吗。
被一次又一次地侵犯,被迫迎来痛苦得难以承受的高潮,被迫喝下恶魔随心所欲弄出来的精液和其他东西,然后被推倒在地又遭受侵犯——。
在想象到那个未来的瞬间,我心中的某样东西崩断了。
「——ッ!你就这么想杀了我吗!」
我声嘶力竭地喊出这句话,恶魔停下了动作。
「你就这么恨我吗!恨到要用这种方式来杀了我!你明明知道,这种行为只会让我痛苦,让我屈辱。我永远不会、永远不会忘记,也不会允许我自己忘记,这些日子以来我是如何被你这家伙——那个──被你这样对待的。所以,别再说什么了。我……我绝对,不会让你如愿以偿的。因为,因为我绝对不会承认,那才是我的真心的!」
「――」
……ああ、まただ。また余計な事を口に出してしまった。
僕のこの無意味な捨て台詞に、あの悪魔がなんの感情も抱かないことを知っていたはずなのに。こちらの言葉など無意味だと知っているはずなのに、それでも、あの時と同じ言葉を発してしまう。
いや、あの時とは違う。
このセリフは、あの時と同じ言葉でありながらも、決定的に違うことばかりだ。あの時も今も、自分が死のうとしていることに変わりはないが、あの時とは僕の周りの状況も、対峙する者の態度も、何もかもが異なっている。
変わったのは、状況だけじゃない。きっと僕の内側にあるものも、あの時とは大分変わってしまった。
同じ轍を踏むまいと、何度も想像してきたのに。いざこうして、同じようなシチュエーションに陥ってみると、僕の口から出るのは昔と変わらない弱々しい言葉ばかりだ。
「やめ、る――やめて、くれ……ッ」
涙と鼻水と唾液で顔を濡らしながら、それでも悪魔に掴み掛かるようにして、僕は己の懇願の言葉を口にした。
三ヶ月前の僕と、何も変わっちゃいない。
あの日と同じように、精も根も尽き果てて、ただ許しを請うことしか出来ない。
「……どうしましたか? やめて欲しいのなら、そう言ってください。止めてあげますよ」
「止めて、くれ、頼む……! それ以外のことを、するから、だから……!」
「それ以外のこと、ね。では、一つだけ良い提案があります。……俺はお前という存在を支配し犯すことが何よりも快楽で、それ以外のことは何もする気はない。だが――その上で、お前が俺に触れることを許すというのなら、一度だけ、この行為を止めてやっても構わない」
悪魔は僕を犯しながら、しかしどこか愉しそうな声で、僕が頼んでもいない選択肢を提示してきた。
僕ができるのは、提示された二つの地獄の選択肢の、どちらを選んでもこの悪魔に蹂躙されることに変わりはない。であれば、まだこの悪魔の趣味に付き合わされる分マシかと思って、迷うことなく僕は言い放った。
「――それを選ぶ。だから、早くしろ」
僕の返答に、悪魔が何を思い浮かべたのか、不意に背中を震わせてから、愛しげに僕の頬に触れてきた。
「いい子ですね、月くん。では、早速ですが、始めましょうか」
────────────────────────────
――だが、そんな悪魔の思惑に素直に従うのは癪蛤蟆に何とやらだ。僕は、あの手この手と悪魔の手から逃れようとするが、その度に、そういうことをするから駄目なんだろうと言われて、折檻される。
最初の内こそ、口では痛いと文句を言いながらも、身体は正直に快楽を拾い、やがて強制射精に持ち込まれて果てる。が、翌朝目が覚めれば腰は砕け、悪魔の痕跡を身体の様々な場所に認めて、最悪の気分になるのだった。
そんな日々が何日か続いたが、ある日いつものように悪魔の朝の稽古で腰を振られ、快楽を拾わされるまいと歯を食いしばり耐えていたときのことだ。
「そうだ、月くん。ずっと黙っていましたが、そろそろ教えましょう」
何の前置きもなく、そう切り出した悪魔に、僕は動きを止める。
今は、悪魔が後ろから覆い被さってくる形で、僕の背後から首元に顔を埋めるようにしている体勢だ。耳元で直接囁くように、悪魔は言葉を続ける。
「今日という日を、貴方が永久に忘れないように、僕からも貴方に、忘れられないような素敵なプレゼントをしたいと思いましてね」
悪魔の言葉に、警戒心が全身を駆け巡る。
こいつは何を言い出すのか。そう思わずにはいられない。
何しろ、こいつが笑うときは、大概碌でもないことばかりなのだ。
「プレゼントというほどのものではありませんが、貴方にとっては、そう思えるのかもしれませんね」
そう言って、僕の耳元で、悪魔が笑う。嗜虐的な、ぞくりとするほど悪意のこもった笑みを。
「よく聞いてください、月くん」
どうせ碌でもないことだ。
そう思いながらも、身体の自由が利かない以上、僕はただ悪魔の言葉に耳を傾けることしか出来なかった。
「月くん。貴方は今、身体を動かしたかと思えば、ずっと頭を撫でられています」
悪魔の口から出たのは、意味の分からない言葉だった。
「……何を言っているんだ」
いきなり脈絡のないことを言われて、僕は不機嫌を隠せないまま問い返す。
「ええ。たとえば、ですね。貴方の――――」
そこで言葉を切ると、悪魔は僕の首筋を舌で舐めた。
「首をこうやって、少しばかり強めに舐め上げる。すると、貴方の首はのけ反って、普段は晒す事のない喉を露わにする。そこに、このように噛み付く」
「ひぁっ!?」
今度は首筋に噛み付いてきた。
ちくりと痛む感覚と、唾液で湿っていく肌の感覚が酷く生々しくて、反射的に身体が跳ねる。
「わ、たしの、首に噛みついたこの瞬間も、あなたの身体はあっさりと反応している。……ほら、おかしくなってきたんだろう? もう分かっているよ」
そう言うと、悪魔は濡れた舌でするりと首筋を舐め上げた。
「ひっ――!」
この身体に刻み込まれているのは、悪魔に愉悦を教え込まれた記憶。身体の隅々まで快楽を刻み込まれた、陵辱の日々の記憶。――それなのに、僕の身体は、あの日々を思い出させられるだけで濡れ始めて、自分から腰を振りたいという欲求すらも溢れ出している。
ああ、やはり。三ヶ月も明いていたというのに、あの男に身体を開発されてしまった反応は、褪せるどころか鮮烈に、今もなお僕の身体に刻み込まれ続けているのだ。
僕は、とっくに理解している。
この身体が、頭が、心が――。いや、魂の最奥
腹被剖开,仿佛开了一个大洞般的冲击,胃液与唾液混合的液体从口中溢出。
但他丝毫不在意我此时的状况,L就那样顶弄着我的身体,同时强硬地用指尖撑开我的眼皮,用那宛如深渊般的黑瞳俯瞰着我。
“看清楚了,给我刻进脑子里,永远别忘记。现在正在侵犯你、凌辱你、要摧毁你的,是我。不是其他任何人,也不是恶魔,而是被称为世界最后一张王牌、把你逼入绝境、让你尝到初败的——L。不是其他任何人。”
「呜、啊、啊……啊啊啊啊——!」
伴随着激烈的顶弄,我察觉到L已极度兴奋,他就要达到高潮了。
这本该是我无数次承受过的东西,可此刻,仅仅因为对方是那个L,我便恐惧到想要恳求他停下。
然而,L却死死盯着我的脸,高喊着,这份恐惧正是我所需要的。
“基拉,夜神月,月君——请看着我。然后,被我破坏吧。”
“唔、啊、啊啊、啊、啊啊啊! 啊啊啊!”
「破坏你的,是我。」
下一瞬间,我感到L的精液在腹部深处迸发。
随着阴茎的搏动感,那白浊的液体被一次又一次,如同深深刻入般注入体内。
那本该被无数次灌入口中、身上,数不清地灌入体内的液体,此刻被注入自己体内,却让他感到无比恐惧。
恐惧到几乎下一秒就要彻底坏掉。
「(只要承认你便是那位L,我就能坏掉了吧)」
脑中浮现的,不知是诱惑还是恐惧的念头,我茫然地凝视着L的身影。
「(若能接受你是L,我终於可以结束了吗?)」
对我来说,比一切都更特别的存在——L。
只要承认自己正被这个男人侵犯,我一定就能坏掉。
至今为止,我一直不肯承认,这家伙不是那个辜负了我期待的L。如果我承认你就是L,我终于能够……
「(我的精神,就能坏掉)」
沉溺在折磨身体的快乐中,眼前是唯一能破坏我的可能性,我再次随着律动闭上眼。
拿着死亡笔记,成为了基拉,成为了神的自己,唯一能被破坏的方法。
面对这个诱惑,我几乎要伸出手,然后——。
说到底,我的工作,只要有一台能连接外部、连上互联网的电脑,几乎所有的事情都能解决。
从各国警方听取案情概要,指示必要的调查,然后推理案件。有时不要求额外调查,只需确认案件的证物,也能解决。
如果把这个风格比作推理小说,大概就是安乐椅侦探吧。
不过,现在的我并非坐在安乐椅上,而基本是在床上进行推理。
“那么,只要从他的房间里找到一只沾了药物的皮鞋就确凿了。请立刻派人过去搜查。”
我对着放在床上的笔记本电脑的麦克风,用德语发出指示,屏幕另一边的德国警察们便传来了开始忙碌行动的声音。
这样一来,闹得德国国内人心惶惶的连环杀手应该也能被捕了吧——我一边这么想着,一边听着搜查负责人的感谢之词,然后早早地说了句“那就拜托你们了”,关掉了电脑画面。
这次又是比最初预想的更轻松解决的事件,果然像基拉事件那样的难案并不是那么容易发生的——我隐约感到有些无聊。
不过,世界原本就是没有我这样的存在才更好。那一定,是与他所期望的『基拉成为神的新世界』相近、却又不可能的世界吧。
「您从表面舞台上消失,明明才过了一年左右,世间就已经是这样一副模样……基拉到底是什么呢,月君」
在安静下来的房间里,我向身旁的他——夜神月如此问道。
但他对我的话语没有做出任何反应。见此情形,我确认着他今天也依然好好地坏着――然后溢出了喜悦的笑容。
「月君」
以从未向他人展露过的、仿佛从心底深爱着什么人的、如梦似幻的声音。
我如此唤他,然后抚上他凝视虚空的脸颊。
夜神月坏掉,是大概两周前的事情。
为了让长期监禁和拷问都无法摧毁心灵的他彻底走投无路,我故意给了他三个月的逃脱机会,待他彻底安心时,再揭露这一切都在我的掌控之中——这个作战计划完美地成功了。
果然要摧毁人心,最有效的方法就是先给予一次救赎,然后再将其夺走。要摧毁人心,绝望必须要有落差。越是幸福、越是看到了希望、越是确信了未来,当得知自己不过是被玩弄于股掌之上时,人心就坏得越快。
回到我身边的他坏得很快,与半年的拷问相比简直天差地别,他以肉眼可见的速度精疲力尽,终于眼里不再有光。
经过几项检查,确认他的反应、脑电波和意识水平都显示他的心确实已经坏掉之后,我终于确信了,于是把他从锁链中放出来,让他躺在柔软的床上,我就在他身边继续做L的工作。
能够一直感受到他的体温,这让我非常幸福。在几乎所有调查都不外出的风格里,觉得这样真好,恐怕是空前绝后了。
他的身体,因为三个月的休养,一定程度上恢复了健康,但果然被带回来之后还是瘦了一些。第一次见面的时候还年轻,身上的肌肉却很柔韧,现在却能看到肋骨的痕迹。不过,他的身体当然还是属于健康水平的。关于这一点,我倾注了无微不至的关心。
夜神月坏掉,大约是在两周前的事。
为了彻底逼垮长期监禁和拷问都无法摧毁他心智的他,我故意给了他三次月左右的时间让他从我手里逃走,等他彻底安心之后再让他知道一切都在我掌中——这个作战,简直是大获成功。
果然要想弄垮一个人的心智,先给他希望再夺走一切才是确实的。让人心崩溃的绝望需要落差。越是被幸福环绕,越是在绝望中寻找救赎,当确信的未来崩塌,意识到自己不过是被玩弄于股掌之间时,人的心垮得最快。
他再次回到我身边后,疯得很快。与半年的拷问相比,他的精神肉眼可见地迅速枯萎,最终眼中再无光芒。
经过几项检查,从他对刺激的反应、脑电波和意识水平来看,我终于确信他的精神确实已经崩溃了。于是,我解开了他的锁链,让他躺在柔软的床上,自己则在他身边继续从事L的工作。
能够时常感受到他的体温生活,这给了我莫大的幸福感。要说我这尽量不外出的调查风格有什么好处的话,恐怕前无古人后无来者,只有现在了。
他的身体经过三个月的休养,某种程度上已经恢复到了健康水平,但果然自从带回来之后还是瘦了一些。初次见面的时候,虽然年轻却也带着柔韧肌肉的身体,现在已经能隐约看到肋骨的轮廓了。话虽如此,他的身体当然还在健康的标准之内。这一点上,我倾注了无微不至的关怀。
「L」
今天,我依然用指尖轻抚他的脸颊,低声呼唤着他的名字。
修长的四肢,肌肉的线条清晰可见,宛如一件精巧的人偶一般,被养在床上的夜神月,那双看不见任何焦点的眼睛,就那样投向虚空。
他有些干裂的唇边,银色的涎水细丝般垂落,失禁的份量早已超过他喝下的水分,而被单上扩散的尿迹无声地诉说着这一点。
那副模样は、首に鎖と革の首輪を嵌められ、全身を黒いラバーシーツの上に預け、虚空を見つめたまま動かない。
それが、あまりにも美しく――そして、淫猥だった。
「L」
昔のように力強く私の名前を呼んでいた日々が嘘のように、今では事あるごとに私の名前を呼ぶ。何も反応を示さない、そこに居るだけの存在になってしまった彼に、それでも生きている温度だけはあることが、酷く愛おしく感じる。
「月くん、食事にしましょう。今日は私が食べさせてあげます」
壊れてしまえば、とても大人しくなると思っていた。
だが、破壊された後も、彼の意思は健在であるようだ。身体から一切の力が抜け落ちた状態で、何の抵抗もせず、ただされるがままにされることは拒否するのか、私の腕に力を込めて、食べろと強制するように身体を捩って抵抗して見せる。
かかか、と喉を鳴らして笑いながら、私はそんな彼をまた三十分ほどかけて無理矢理食べさせる。すると、何が悲しいのか、食べ終えたころには彼の目から涙が溢れてきていた。
「あはは、本当に可愛らしいですね、月くんは」
食後には欠かさず彼を抱きしめて、その身体をさするのが日課になっている。
最初の頃こそ、私に抱きしめられるたびにビクリと震え、恐怖と警戒でいっぱいの顔をしていた彼も、一週間ほど経った今ではもう、私に抱きしめられても無反応で、されるがままになっている。
まるで私の言うことを素直に聞く、良い身体になったものだ。
「月くん、月くん。ああ、月くん」
私は愛しい彼の名前を呼んで、夜神月の身体を抱きしめる。
何も感じていないような、生気のないその瞳が、かえって私を興奮させてしまい、愛おしいと感じさせてしまう。
この表情を見る為に、私は世界の切り札になることを選んだと云っても過言ではない。
「そういえば、月くんが私たちのモノになった時の話、というのを、あなたは覚えていますか?」
無論、彼は答えない。
彼の心は、きっともうとっくに私の知っている彼ではなくなって、果てしなく私の知らない場所まで来てしまったのだろう。
けれど、それこそが私の望んだ光景だ。
かつて世界最強の頭脳と称された、まさに世界の切り札と言える存在、L。そのLに追い詰められたからこそ、事件の発端からLを探り、名乗る前から怪しまれるのは当然の流れだったとしても、己こそが新世界の神だと豪語していた夜神月という一人の男を、ここまで壊すことが出来たのだ。
誇らしいし、何より満足感がある。
「本当に貴方は手のかかる方だ。ここまでしてもまだ、目を離すことが出来ませんよ」
世界最高の名探偵に追い詰められて、ひと月もしない内に敗北した男。
Lに敗北させられ、Lに全てを壊された男は、未だに虚空を見つめたまま、指の一本すら動かさない。
ひたすらに静かな、壊れてしまった人形のようになった彼を見るたび、自分はとてつもない征服感と、幸福感に満たされる。
元を辿れば、デスノートを拾って、キラとして新世界の神になることを夢見た愚かで純真な子供だった、夜神月。
あの場でデスノートを捨てていなければ、誰にもバレなければ、きっと彼は世界で最も恐ろしい犯罪者として歴史に名を刻んだだろう。何しろ私は人生をかけてぶつかった男だ。その器も、覚悟も、頭脳も、本物だった。
もしもあの時、彼がデスノートを拾っていなければ。もしもあの時、彼がキラになっていなければ。もしもあの時、彼が私の前に現れなければ。もしもあの時、二人で殺人を裁く側に――。
数々のifが脳裏を過ぎるが、もうそれを望んでも意味がない。
何故なら、それを乗り越えた先の世界に、この幸福が在るのだから。彼がキラで、私がLだったからこそ、私たちは出会ったのだ。
私の持つあらゆる感情を揺さぶる存在であると同時に、私を最も人間らしくしてくれた存在でもあるキラという少年。
元々私は、キラを捕まえること、その目的のために生まれてきたと言っても過言ではない。作られた人間の私は、何を持って幸福と感じれば良いのか分からなかった。ただ、知能指数が低く、道徳や倫理が欠如した犯罪者を何人も死刑に処してきたノーマルな感性の人間であるキラを、何が何でも捕まえようと思っていた。
きっと、この世界で唯一私を味方してくれた親友にして、私をこの仕事に導いてくれたデス・ネートも、キラを名乗る不届き者を捕まえる為に始まった私の仕事を、喜んでくれているだろう。
いや、違う。デス・ノートなどという代物に頼るキラをただ捕まえるだけでなく、デスノートが使えなくなった後に、あるいは今度こそ心を壊してしまおうというのは、あの優しい親友が望むはずもない事だ。
それでも、私はやはり、彼に壊れていて欲しいのだろう。
何せ、世界最強の犯罪者、いや、世界の切り札と名高いLに追い詰められて敗北した男が、そのショックで心を壊して廃人になってしまった。というのは、他でもない月くん自身の望みであり、Lに敗北したキラの最後としても、これ以上ないほど相応しい形なのだから。
何より、この結果を最も望んだのは私だ。探偵としての矜持をかけてでもいい。彼に私を受け入れさせて、全てを壊したうえで愛でる。その長年の悲願が、ようやく果たされたのだ。
「幸福だなあ……」
思わずそんな言葉が零れる。
ベッドの上に居る彼は、その問いかけに何も答えてはくれないが、それでもふわふわとした銀色の髪を、硝子のように美しいハイライトを乗せた黒髪を、ゆっくりと撫でるように梳いていけば、彼はされるがままに大人しくしている。今にも溶けてなくなってしまいそうな、幸せな充足感に、私は目を細めた。
「私は、貴方に会う為に生まれてきたのでしょう。貴方も、こうして私に会う為に生まれてきた。そう思えるほどに、私たちは出会ってしまった」
あの日、彼がデスノートに名前を書いたから。
だから、私というLという存在は生まれた。
私はキラ事件のために生まれてきて、そして、この男と出会う為に生まれてきたのだ。
私の中に流れている血が、役割が、そう囁いている。
すべてはこの男に出会う為にあったのだと、私が生まれて初めて抱いた恋情は、その確信と同時に、この出会いのすべてが必然だったのだと強く強く確信している。
だが、そんな私の感慨とは裏腹に、当の本人はまったく別のことを考えているのか、もしくはもうなにも考えていないのか。
虚ろな目をしたまま、私の存在に気づく様子もなく、虚空を見つめ続けている。
「我々は正に運命の赤い糸で結ばれているのでしょうね。貴方とこうして添い遂げられることが、とても嬉しいですよ、月くん」
私の言葉に応えることのない彼の頬を、もう片方の手でも包み込むようにして撫でる。
すると彼の唇が、何かを堪えるようにわずかに震えた。
微睡みの中に居るかのように、ゆっくりと瞬きを繰り返すだけで、虚ろな目をしたまま何かを見ているようで、その表情には感情の色が一切ない。
私を直視できるただ一人の人間で、何があっても折れなかったその瞳に、もう私の姿は映っていなかった。
「月くん、ここが分かりますか?」
小さな鏡を彼の前に翳せば、虚ろな瞳をした彼の顔が映る。
「貴方の全てを壊したのは、私です。私というLという存在が、貴方の全てを壊しました」
元々、私の存在意義はキラの捜査だ。
しかし、キラでもあり、神でもある彼と出会い、彼と関わっていくうちに、私は確信してしまったのだ。ああ、この人のためならば、私は何もかも投げ出せる。キラ事件に固執していたのも、もしかしたら貴方の存在を感じ取っていたからなのかもしれないとすら思えた。
元々の私の役割である『世界の切り札』という存在を放り投げてしまえるほど、私は彼に執着している。実に理解に苦しむ話だが、初めて出会ったあの日から、ずっとそうだった。
そして、今こうして手に入れたのだ。世界で一番欲しかったもの――永遠の月くんを。
こんな世界を、そう、たとえこの世界の全てを敵に回すことになっても。
「月くん、起きていますか」
小さく丸まって眠る彼のお腹に手を置きながら、私はそう尋ねる。起きている時の彼は、私に抱きついたり、彼の方から手を繋いできたり、キスをねだってきたりする。初めの頃は、素直に嬉しいと思う反面、何処か面映ゆい心地にもなってしまうのが正直なところだ。
それは、自分がしたことを考えれば、あってはならないことなのに。
彼が起きているかどうか、私は僅かな期待を込めて、その頬に手を伸ばす。
「月くん。私を、見てください」
そう言って、触れた頬は先程まで彼の身体を預けていた分、暖かく、酷く柔らかい。
彼が壊れる前、私は一度だって触れることの出来なかった、彼の温もり。監禁してからも、拷問している間も、その肌に触れたことはある。あるが、暴れて抵抗する力がまだ残っていた頃の接触は、触れたというより格闘のようなものであって、肌と肌を重ね合わせて温もりを感じられるようなものではなかった。
いつか彼に触れたいと、あの日から想い続けてきた願いが、今こうして自由に叶えられている幸福に、私は酔ってしまいそうだった。
「月くん……っ、愛しています」
彼のことは、一目見た時から何もかも知りたいと思っていた。普段は見せないその感情の裏側も、あの時見せてくれた弱い顔も、全てがあまりに美しくて、もはやそれは私の手に負える範囲を超えてしまっていた。
神という力に呑かれた傲慢なエゴイストであることと、心の底から世界の平和を思う正義の塊のような存在。その二つを共存させることの出来る、唯一の存在。
そういうわけで、私は彼を手に入れた。
ようやく手に入れた、私の月。もう誰にも壊させない。
私のトラウマであり、私の呪いであり、私の光であり、私のL。
「ん、……んぅ」
ふと、視線を下ろせば、その彼の視線に気がついたのか、伏せられていた瞼が微かに震える。
それから、宝石のように美しい、澄んだ茶色の瞳が、私の姿を捕らえた。
「気分はどうですか? 月くん。身体に痛みはありませんか? どこか、辛いところはありますか?」
彼の答えが返ってくることはないと分かっていながら、私は構わず問いかける。こうして言葉をかけることも、心をケアすることの一環だと、担当医にも言われていることだ。
返ってくる言葉はなくとも、それでも私は構わない。もう決して壊れることのないようにと、私の腕の中にいることを許された彼の、少しだけ反応のあった瞳に、きっと快の感情が現れていることを確かめながら、私は今日もこうして彼に触れる。
「月くん、ちゃんとこっちを向いて、私を見てください。いいですね?」
私の言葉に、虚ろな瞳のまま、何の反応も示さない彼の頬に、もう片方の手を添えて、無理矢理こちらを向かせる。
月くんは、私の顔を見ても、世界の終わりを見ているような、恐怖に満ちた声を上げはしなかった。自分の中から全ての色を失ったような無機質な瞳で、ただじっと、私の顔を映すだけだった。感情というものが欠落してしまった、光のないその瞳を見るたびに、何度でも私は壊れた月くんの姿に心を躍らせることが出来る。
「月くん、こちらを向いて」
あやすように囁き、鎖で繋がれていない自由な方の手で、彼の頬を包む。
「おやききか、あろまへん」
舌をまないように、丁寧に。月くんは昔、何かの拷問を受けて舌を噛み切ろうとしたことがあったからか、たまに言葉が回らなくなってしまう。
現に、今の彼の「おやききか、あろまへん(御聞き届け、叶いません/申し訳ありません)」という声は、明らかに舌が回っていなかった。だが、その喋るという行為自体がきっと大変だろう。言葉を発することも出来なくなった訳ではないが、やはり長期間の拷問によってか、酷く呂律が回っていない。
私は優しく微笑むと、そのままそっと、落ち窪んだ色素のない瞳に唇を落とした。すると、彼の身体は自分の意志に反するかのように微かに震えた。
「今日もお利口におとなしくしていますね。本当に良い子だ。……痛くしないか、苦しくないか?」
そう言いながら、私はまず彼の唇に口づけ、彼の身体を押し倒して、覆いかぶさるように見下ろす。
「何か欲しいものはありますか? なんでも言ってください。なんでもしますよ」
だが、返事は帰ってこない。いや、帰ってこないという事実が、まだ私に彼を壊しきれていない箇所が残っているのではないかと疑いたくなるほど、彼は成人してからのこの数年、ただボンヤリとベッドの上で時を過ごしていた。
先ほどまでドイツの警察と捜査会議を行っていた時ですら、隣のベッドに居る彼は本当に何も喋らない。元から物静かな男ではあったが、何も話さないだけならまだしも、こちらがこちらに何かして欲しいと命令しない限り、食事も排泄も睡眠すらまともに取ろうとしない。毎回私が食事を口元まで運び、排泄はオムツに介助、睡眠は身体を擦って眠らせている。
他人に依存するだけの存在に堕ちたという事実が、私にはたまらなく嬉しかった。
私という人間を異常だと認識した上で、最も私の手を煩わせている快楽に支配された馬鹿のことを慮り、心配し、何かと世話を焼こうとしていた人々のことを、どうでもいいと言わんばかりに無視する。
そしてその光景を見て、確かに知った。私がどれほど歪んでしまっても、世界は廻り続ける。
この世界に誰よりも巨大な、誰よりも強い能力を与えられながら、あるいはそれ故に歪んでいった『彼』の姿は、誰の目にも恐ろしく映るだろう。事実、世界というものは彼のことを歪み、彼を化け物として扱い、他の誰でもない彼だけをこの世界の外へと追いやってしまった。
確かに彼は化け物なのかもしれない。けれど、私の愛しい月くんは。
キラという肥大した力と、天変地異のような非常さの狭間で、ずっとずっと、寂しい思いをしていたんだろう。彼の努力と苦悩を、簡単に理解した気になることは出来ないけれど、少なくとも、彼の行動原理の全ては『世界をよくしたい』という想いから来ていたことくらいは分かる。
そして何より、私はあの場面で、私にだけはキラを止められると言った、彼のあの挑戦的な瞳が忘れられなかった。
一目見た時から惹かれていた。あの日のデスノートのことがなければ、私と月くんは出会うことすらなかったのかと思うと、世界の切り札と言われるのも悪くない。Lとして生まれて良かったと、初めて思えた。
それから、私の気のせいかもしれないが、最近の月くんは少し柔らかい表情をするようになった気がする。
毎日私が顔を触ったり、キスをしたりすると、たまに微かにだが、彼の顔が綻んでいるように見える。
今はただ一日の大半をベッドの上で過ごし、時折こちらが顔をき込むと、目を合わせてくれるような、そんな風に僕を見つめてくる。
私を憎みながらも、心の底ではきっと――。
「月くん。顔を上げてください」
三食の食事と排泄、あとは最低限の清拭だけの簡素な毎日。そんな機械的な生活のなかで、今日も彼は何をするでもなくただぼんやりと座っている。
そんな彼の頬を、両手で包みながら顔を上に向けさせれば、焦点の合わない瞳が私を映した。
「……月くん、ちゃんとミルクを飲んでくれませんか。身体に触れる回数が減ると、貴方の体温を感じられなくなるので困ります」
最近、食事をほとんど摂らなくなってしまった夜神月に、食事を食べさせるのも私の仕事の一つになってしまった。栄養スティックやサプリメントなど、何かしら口にしてくれているから、生命を繋ぐには問題のない量は摂れているのだが、その行動のすべてが私の世話を焼かせることを目的にしているかのような振る舞いに、正直、少し腹が立っている。
勿論、彼の壊れてしまった心が私の存在を拒否しているのだという事は、頭では理解している。私の作った食事は毒でも入っているかのように口にしようとしないし、強引に口の中へ流し込もうとすれば噎せて吐き出してしまうことだってある。
だが、日によっては素直に彼の方から食べる素振りを見せることもある。そんな時は私も、今日はもう少しいつもより大人しく食事をしてくれているな。などと、ただの世間話を難なくこなす事が出来るのだが、運が悪いとその日は機嫌が悪いらしく、彼はなにも食べてくれない。
朝と夕方の二回、私が握る食事を食べない時は、栄養剤の注射を打つこともある。三ヶ月ぶりに鎖を外された彼が目を覚ました当初は、何も食べようとせず、無理矢理口に含ませようとすると嚙んでしまおうとしたり、はたまた食事を吐き出してしまうこともあった。
さすがに最初の頃は心配もしたが、今はもうすでにかなり大人しく、なにを言っても無反応の、ただこちらの言う事を聞くだけの綺麗な壊れ方をしてくれている。
「月くん、少しだけ口を開けてください」
彼の目の前に運んだ、三人前にして白いスープのスパークリングワイン風味の料理を口元に運べば、彼は何の反応も示さず、ただ機械のように口を開けた。
「……よく噛んで、飲み込んでください」
いくら食事を与えても、そのままでは喉を通らないようだ。彼は、私が促せば大人しく噛み、飲み込み、何事もなく食事を済ませてしまう。
五感を失ったように、本当に機械仕掛けの人形のように。彼の心がここに無いのなら、せめてこの身体だけでもと思い、丁寧に食事の世話を焼く。
「気持ちよくは、ありませんか? おいしいですか、月くん」
何の反応も返ってこないことは分かっているのに、それでも尋ねずにはいられない。
分かってはいても、こうして何度も問いかけてしまう。彼が以前見せてくれた、屈辱に歪めながらも美味しそうに食事をする姿を思い出してしまうから、こちらも料理の皿を割ってしまうほどに怒り狂う代わりに、彼が自分から食事をしたがるようにするべきだったと、つい思い出してしまうからだ。
感情を殺して食事を取る彼の姿は、見ていて実に面白いものだった。
三ヶ月ほど前までの彼の健気なまでの頑固さは、それを見る私の悪意をこれでもかと煽ってくれたものだ。
食事も喉を通らなくなってしまった今となっては、ただ素直に、食事を摂ってほしいと思う。駄々を捏ねて食事を取らなかった日々を、壊れた後は完璧に従順になって、どんな食事も食べてくれるようになった。
それが正しいことなのかは分からないが、こうして私の手で健康的に保たれている彼を見ると、破壊することに、支配することに成功したのだという支配欲が満たされるのだ。
あれほどLとしての姿に固執していたのだから、勿論、Lの居ない部屋で少年がひとり、完全に壊れて虚空を見つめている光景を近くで見られる日が来るとは思っていなかった。
「さあ、月くん。夜ですから、そろそろ休みましょう。明日は久しぶりに外へ散歩に出かけますよ。……勿論、私の目の届かない場所へお出かけになるようなら、またこれまで通り、あの檻の中の生活に戻っていただきますが、ね」
毎日続けたLとしての尋問を止めてから、彼は自由に過ごせるようにしていた。もっとも、自由になったといっても、目を覚まさなくなった彼をあの檻の部屋に放置しておく事は出来ず、こうして鎖を外して、私のベッドの隣で眠れるようにしたのは、私なりの彼への手向けのようなものだ。
それに、もう私の元には最低限の人間しか出入りを許可していないのだから、逃げ出したところでどうにかなる訳でもない。彼がいくら名探偵のLと言えど、情報を出さなければ何もできないだろう。
まあ、何より彼が今は、私の隣で精気の失せた目をした操り人形のように、大人しくしているのだから問題ない。
「月くん、俺は今からドイツの警察署に顔を出す予定です。何か言い残すことはありますか?」
他でもない、この光景の為に、俺は表舞台から消えた甲斐があるというものだ。
壊れてしまったとはいえ、少しも応じることのない目をした彼も、元は大変な美少年だった。――いや、今も美少年だ。
緩んだ顔を引き締める為にも、彼の隣でLとして、今日もマイクを通じて世界の警察機関に指示を送る。それが唯一、Lとして生まれた人間の、Lたる所以なのだから。
だが、幾度となく、こう思うことがある。
私は今、何をしているのだろうか。この手にすでに収めたはずの、世界の頂点に立つ資格を、何故私は再び世界と向き合っているのだろうか。いや、世界に存在しているのはLとしての私であるべきだ。彼はそれを欲し、私にそれを押し付けた。
そして私は、その期待を嘲笑うかのように全てを放棄した。
「……本当に、どうかしてますよね。私は私で、貴方の存在なしではやっていけないんだから」
独り言のように言った私の言葉に、返事はない。けれど、それも当然だろう。
何故なら、今の彼は人の形をした何かをただ置いておくのがやっとの様子で、少し前に掛けられたであろう毛布を身体にかけてもらわなければ、寒さに震えてしまうことすら気付けないのだから。
普段の生活を送る上で支障のない程度の服を着ることや、排泄などの生理的行動は出来ているようだが、他人と会話をすることも出来なくなってしまっている。
そういう意味では、彼がアパートで蹲っていたあの頃に、近しいのかもしれない。
だが、唯一あの時と決定的に違うことは、その場に私がいる、ということだ。
私は、隣に居る愛しい人を見るように、ベッドの上で虚空を見つめるだけの彼の頬を、再び優しく撫でる。
「月くん」
そう、愛しい愛しい、私の、L。
今度こそ、彼の意識は二度と帰ってくることはない。
最初から何もかもを掌握していた、私の、完全勝利だ。
彼を壊すことが出来た事実が、ただただ嬉しくて、私はもう一度、静かに、月くんの身体を抱きしめた。
思えば、あの日――私が死んだ日から、全ては始まっていた。
もう、そんなことがあったのかと思うほどに、あれから時間は経って、今に至るまで、様々な事があった。
ノースリーブウェアの上からでも分かる細い身体を抱きしめれば、柔らかで温かな彼の体温が伝わってくる。こんなに幸せなことがあるだろうか。
私は、思わず顔を綻ばせてしまう。
こんなにも幸せなのに、何故だろう。抱きしめれば抱きしめるほど、無性に腹の底が落ち着かない。
何か決定的なものを、決して乗り越えてはならないものを、越えてしまった感覚が忘れられない。
「月くん、俺は――」
君が望むのなら、この世界だって平和にして見せると、新世界の神になると、そう言った君の言葉を、私は聞き届けることが出来なかった。あの日、君が流した涙も、縋るような目も、私に縋り付くその姿も見ない
至今为止,我都是那种绝不能将这般陈腐的话语告诉他的存在。
我究竟是从何时起,意识到了自己对夜神月的爱意呢?是在认识到“基拉”这个存在的时候吗?还是第一次监视夜神月,触及其头脑蛛丝马迹之时?抑或是将他作为基拉嫌疑人监禁的时候?又或者,是与他手握手铐、共同生活的那段时光?还是得到了他正是基拉的確证,将其拘捕的那个最兴奋的时刻?
虽然候选的瞬间数不胜数,但最终能够确切而言的,是我将夜神月作为基拉捕获之时,便涌起一股强烈的冲动——不想把这个男人交给任何一个国家的司法机构。
「(我说过要将你送上处刑台,但我没能做到)」
一想到夜神月的生命会消逝,我因强烈的厌恶与恐惧而颤抖。当我最初意识到这种情感时,曾怀疑自己是否正常,但无论我如何反复思量,我的感情都没有发生改变。这样的经历,在我作为L——不,作为艾尔·罗莱特这一个人活着的生涯中,是头一遭。
そして、もしも夜神月を私の手元に置いておけるならばと考えた瞬間、今まで感じたことのないほどの幸福感がこの身体を駆け抜けた。駆け抜けてしまった。
被称赞为“世界王牌”的L,爱上了大量杀人狂奇拿的夜神月——得出这个答案并未花费多少时间。而察觉这个事实的瞬间,我对自己感到了莫大的失望。
夜神月,是杀死众多罪犯的杀人犯,是奇拿。若论连续杀人犯,他是人类史上杀人最多的可怕罪犯。这样的人,我怎么可能允许自己不将其交给司法,反而囚禁在自己手中呢。
然而,像我这种无视人权进行搜查也毫无罪恶感的人,又怎么可能因为那点伦理观就停下自己的欲望。非但如此,我甚至认为,正因为只有我能抓住奇拿,所以对奇拿的一切权限都应当归我所有。
「(奇拿再也不会出现了。对世界而言,只要结局相同就好)」
既然如此,我把夜神月监禁起来也没有任何问题——我很快就把这个意志传达给了渡,让他去安排一切。
为了应对夜神月可能在任何地方接受审判的所有情况,我准备了所有能想到的伪装他死亡的方案,并付诸实施。结果出乎意料地简单,连他的家人都相信了夜神月已死。
于是,基拉事件以凶手死亡宣告解决。世界从基拉的威胁中解放,又回到了过去那种罪犯横行的世界。可喜可贺、可喜可贺。表侧的故事就这样以Happy End落下了帷幕。
接下来,只要在暗处活着的我也能和终于到手的夜神月共度蜜月就好。然而事情并没有那么简单。这是当然的,毕竟对方可是数次将他逼到濒死境地的基拉。我也并没有天真到会将自己的恋慕之心向他和盘托出,还傻傻地以为他不会利用这份感情。
对方可是那个基拉,夜神月。
他极其擅长像欺诈师一样控制自身形象,这份能力甚至在我之上。如果弄不好,他或许比协助这次搜查的世界级欺诈师艾伯还要擅长欺骗他人,按自己的意愿行事。
我怎么可能将自己的感情暴露在这种人面前。我第一次体会到恋心这种感情的、尚未成熟的心智,恐怕很快就会败给他的诱惑。虽然我很好胜,但也深知自己在哪些领域不是他的对手。
但是,我不论如何,哪怕用尽任何手段,也想要得到夜神月。
我想支配他的一切。
我想紧紧拥抱那位美丽的青年的一切。
我想将我的所有欲望都倾注在基拉身上,让他尽数承受。
所以,为了达成这个目的,只能将夜神月毁掉——我很快就下定了决心。
“月君,唔、哈啊……”
紧抱着他的身体,反复亲吻他的瞬间,是世上最幸福的事。
我本觉得这便足以填补内心,但大约是因为我为了摧毁夜神月而教会了他各种各样的快感吧。每当我反复亲吻他,便会注意到怀中人的下半身起了反应,那可爱的模样让我忍不住露出笑意。
“月君,有感觉了吗?”
“明明只是这样的接触亲吻就会有感觉,真是相当下流的身体呢。”——明明是自己把他调教成这样的,却故意说出煽动羞耻心的话。然而,他自然没有对我的话做出任何反应。坏掉的他,听不见也理解不了我的声音,只是茫然地凝视着虚空。
一边为那如人偶般的模样感到安心,我一边悄悄将手伸向他的下半身。
“稍微,做一下吧”
掀起长及大腿的衬衫下摆,我触碰上他没有穿着内裤的赤裸肌肤。像这样偶尔与他肌肤相触的如今,我让他穿在身上的只有一件触感舒适的衬衫,其他什么也没让他穿。这是出于我微妙的艺术心——覆盖他美丽四肢的布料越少越好,以及一些私心——稍加遮掩,脱起来才更有乐趣。
一切如我所料,从薄薄衣料缝隙间隐约窥见微微勃起的阴茎,这幅景象实在煽起我的色欲,我立刻感到自己来了兴致。
“月君。”
我一边唤他的名字,一边触碰他的肌肤,隔着衣服的缝隙亲吻他的锁骨。
过去我喜欢的味道只有甜味,但自打得到他以后,我就像舔舐糖果一般舔遍他的肌肤。由于房间内空调恒温,他并未出汗,因此做爱前他身上只有肥皂的清香,和一丝几乎不可察觉的汗味。
正因如此,我想更多地感受夜神月的味道,便将手指伸向那片已被自己开发殆尽的後穴。
“啊……、啊、啊”
我的指尖刚抚上那些褶皱,方才还沉默着仰望虚空的他就仿佛变了个人似的,喉咙轻轻颤动,发出似娇喘又似悲鸣的声音。明明之前无论怎样亵玩都毫无反应,可现在他对我指腹的触碰立刻作出了反应,喉咙里发出似娇喘又似悲鸣的细微声响。我指尖刚抚上那处的褶皱,他便……
有史以来最大の大量殺人鬼。世界に悪夢を見せ続けたキラを捕らえ、その死を偽装して手に入れた夜神月は、こうして今、私の腕の中にいる。この瞬間こそ、私が人生を賭して手に入れたかったものだ。いや、そのためだけに、この七年間を生きてきたとすら言える。
夜神月がキラであると確信した時から、既に私の人生は狂っていたのだ。もしかしたら、私は初めて彼を見た瞬間から、Lという記号を外した一個人として、夜神月というただの一人の人間に恋をしていたのかもしれない。
キラ事件を解決に導き、世界に平和を取り戻したことも、新世界の神を自称する夜神月を捕まえるという目標も、死に目を背けるだけの臆病者となってしまった。最早、私にはどうでもいいことなのだ。夜神月という一つの人間を得ることと比べれば、何もかもが瑣事だ。
私が欲しいのは夜神月という一人の人間。その欲望のためならば、私はこの世界を平和に変えるどころか、世界を争いで埋め尽くすことだって厭わないだろう。エル・ローライトという探偵は、既に、この世から消え去っている。
(私は、エル・ローライトではない。……これを自覚した時、私は既に壊れていたのだろう)
だが、私がこうして自我を失い、夜神月のためのみで動くようになっていたとしても、当の彼は私の思考を読むことが出来ない。
目の前でベッドの上、跪いている彼の虚ろな瞳の奥に、光は宿らない。
「月くん、月くん……」
私は何度も何度も、彼の名前を呼ぶ。すると僅かに眉を動かしたかと思うと、ゆっくりと私のことを見上げて、昔の彼からは考えられないような微笑を浮かべてくれた。───思った通り、俺の声には反応するようだ。
それにしても、仮にも死に物狂りで追いかけた相手が、目の前に置いたところでこの体たら。あまりにも呆気なさすぎて、拍子抜けしてしまう。それだけ、この私が熱を上げたということを自覚してはいるが、それでも、かつては世界を震撼させた大量殺人鬼、キラが、こんなにもあっさりと快楽に堕ちていくのが不思議でならなかった。
けれども、もしかしたら月くんは、自分をこうして閉じ込めて離さない私こそが、最も、恐ろしい人間だと知っているのかもしれない。そんなことを彼の口から聞いたことは一度もないが、その時々の彼の表情を見る限り、それは決して間違ってはいないだろう。
人は誰しも、大事なものが出来れば、それを失うのが怖くなる。
私とて、彼を手に入れるまではそんな考え方を他人事のように思っていたが、今の私ならその言葉を大いに理解することが出来る。たかが趣味に凝る人間を一人と上手く扱うことすらできない凡人が、よくもこんな素晴らしい人を相手取ったものだ。月を手に入れるにあたって幸運だったのは、彼が私に、あの日無理矢理手錠を繋いで犯人を追い詰めるという融通の利かない私の性格を、ずっと嫌悪していたことくらいのものだ。
それにより最初は私のキスすらも拒んでいた月くんは、今では自分から私にキスをしに行くようになった。彼を所有する喜びを噛み締める程に、彼が人間ではなくなっていくのは何とも惜しい気もするが、その不安定さも含めて愛しいと感じるのだから、我ながら手に負えない。
そういう独占欲は、彼に何かを教え込むたびに強くなっていく。例えば今みたいに、彼の体の上に覆いかぶさって、名前を呼びながら肌を重ねる。それだけの行為で、あの世界の頂点に君臨していたキラが、快楽に蕩けながら私の名前を呼ぶようになるだなんて。
世界の犯罪者たちを震撼させた、あの夜神月が。恐怖と絶望に足を踏み入れた犯罪者たちから『死神』と畏怖されたあのキラが、今では私の腕の中にいる。その事実を噛み締めるだけで、私は今までの人生で何よりも幸福な気持ちになれた。
だが、その幸福も一つの些細な事実によって脆く崩れ去る。幸福な日々に浮かれる私が一番見落としていたのは、どうしてキラが捕まる前に忽然と姿を消したのか、という点だ。キラは何の犯罪者であっても絶対に一人の人間を取り逃さない執念の持ち主であり、もし自分の逃亡が不可能であると悟った場合、自己保身のために何をするか分かったものではない。追い詰められたキラが最も嫌う場所はどこか。それは、日本警察の厳重な監視下の中。そう、キラこと夜神月を逮捕した時、彼の足は警察署の敷居をまたいでいた。それなのに、あの時私は何故か、彼を拘束した喜びで有頂天になっており、自分の行動に疑問を抱くことなくそのままワタリの車で日本の警察署へと移動してしまっていた。
今考えるとぞっとしない。彼は本当に手強い相手だ。何せ私は、あの逮捕の直後、少しばかり歓喜に浮かれていたせいで、彼の行動を監視しきれていなかったのである。
私が取るべき対策は幾らでもあったはずだ。彼の持っている隠しポケットや全身検査を何度もすることだって出来た。なのに、何故だか当時の私は、もう、これで全て終わったとばかりに思考が停止してしまっていた。その結果、最悪の方法で私を踏み躙った彼に、逆上して手を上げてしまったというわけだ。
あの男、すなわち夜神月は、そのあまりにも強烈な敗北感に苛まれるほどに、自身の勝利に酔いしれていた。彼の思う通り、その足でLの元に来た。
本物ならどうする、とその手に握るメモ帳を突きつけたあの時の事を、今でもありありと思い出すことが出来る。
あの時、最悪なことに私は、一人の探偵として彼と対峙していた。
否、一番最悪なのは、探偵として対峙していた時、私は物事の真実を知りたいだの、真実を暴きたいだのといった正義感のようなものはおろか、子供の頃から抱いていた『L』としての美学などという感情を、一切捨て去っていたことである。数多くの名も無き刑事たちと共に、テロ組織の武装構成員数十名の検挙に成功した後、計画通り見事に罠に嵌ったキラである夜神月を抑え込んでいたその時、私の中を駆け巡っていたのは、多くの死体を目の当たりにしても尚信じた自分の信念でも、人を殺めることに対する罪悪感でもなく。
終わってしまった。という、一言に尽きた。
ずっと、ずっと考えていた。
夜神月を捕まえた後の事。キラ事件解決後の世界の事を。初めて自分以外に魅了された夜神月という理解し難き初恋の対称のことを。
その夜神月が、キラとして捕まって、裁かれて、私の手元からいなくなる。
そう思った瞬間、私の頭の中はそれだけで埋め尽くされた。それ以外の思考を巡らせることが、許されるはずもなかった。ワタリには申し訳ないとは思うが、キラ事件解決後の世界像などというものに、私は一ミリたりとも思いを馳せていなかった。
夜神月をキラとして死なせず、夜神月という一人の人間として生かしておく。
その手段として、私は彼を捕まえた。彼を無力化し、夜神月を殺す。その上で、死体は焼却し、代わりに用意した遺体を遺族に引き渡す。表向きには、キラ事件はこれにて終結する。そうして表舞台から退場した夜神月を、今度は私の檻に閉じ込めた。
誰にも邪魔されず、誰にも奪われない。紛れもなく私の手の内に全てを収めた。そして私は、ついにこの時を迎えた訳だ。
俺の手中に収めた夜神月は、私の首に手を回し、彼の方から口付けてくる。
心なしか、先日まで無表情だった頃より、色気が増した気がする。初めの内こそ不感症と言う言葉が頭を過るほど感じている様子がなかったが、散々身体を開発され、快楽を覚えていった夜神月は、もう自らの快楽の為に自ら腰を動かしてくれている。
もっと、こうしていれば、もう二度と、その美しい四肢を誰かに触れさせない。
私という存在の前で無防備に陥ちるこの姿を、誰にも見せるものかと、彼のことを心の内で独り占めしながら、私は何度も何度も口付けを繰り返した。
「っ、ん、ちゅ、ぷはっ……」
唇を離すと、唾液が淫らに糸を引いた。先程まで必死に縋り付いていた場所が恋しいと、すり寄るように自身の首へ擦り寄せてくるのが人形のようで酷く扇情的だ。いや、この場合は扇情的と表現しても彼は決して反応を示さないが。何をされても人形のように無反応で、時折、生理的な吐き気や声だけが漏れるのみ。それでも私の気分は高まり、より彼を穢したくなってしまう。
「……っ、ん、ぁ」
乳首の飾りを摘んで軽く引っ張ると、彼の喉から微かな吐息が漏れる。私の指先に素直に反応する彼に大いに興奮し、その息はもう白く濁ってしまいそうなほどに熱く、そして私の気分を高揚させるには十分過ぎる代物だった。
「ん、っ、ぁ……」
触れるか触れないかという弱い刺激しか与えていないのに、彼の息はどんどん熱く、昂っていく。私もぐちゃぐちゃと鳴る音と、少しの抵抗も見せない彼の姿にゆっくりと劣情を高めていき、いつしか、ここから先へ進むためには用意が必要だと考え始めていた。おそらく私の恋人は、私が今夜もまた貪るであろうことを見越して、自らの口でローターを舐めている。それは実に酷く扇情的な光景で、自然と私は満面の笑みを浮かべてしまう。
「月くん。こちらの味はお気に召しましたか?」
呆然と虚空を見つめたままの、無垢な様子で玩具を舐めている彼。私も人に負けず劣らず性悪だなと我ながら呆れるが、彼が本当はどういう人間であるか理解した上でこの行いをしているのだから、私も随分と性悪になってしまったものだ。
「私も楽しみましょう」
私はそう言って、浮かれた足取りで夜神月が寝かされているベッドへと向かうと、彼が着ている肌触りのいいシャツを優しく、丁寧に、そして、はっきりと言葉にすれば束縛から逃れようともがくかのようなゆっくりとした動きでシャツを脱がせていく。壊れた人形のようにされるがままの彼は、まるでこちらの望むままに大人しく振る舞う、いくつかの高級な衣服のようにも思えた。
いや、まるで、というのは語弊があるか。高級な衣服などというものは着る人間のセンスに左右される、俗物的なものだ。常に最高の状態で着用されなければ、その真価は発揮されない。しかし、彼は、夜神月は違う。彼は服を脱がされたとしても、いかなる状態でも、あの美しい世界一の完璧さを誇る夜神月という存在だけで、一つの作品足り得る。
衣服に隠されていた、陶器のような滑らかな素肌が露わになる。肉付きは薄いが、しなやかな曲線を描く彼の肢体は、彫刻のようだと世界中の誰よりも美しいと賛辞を送れるほど完成されていた。白くしなやかな肌は触れればすべるように滑らかで、すがり付きたくなるような魅力を有していた。
ロンTシャツを頭の上で脱がせるように、彼の上着を剥ぐように脱がせていく。淡い桃色の頂に先端が綺麗に育った乳首は、キスをしただけで感じてしまったのであろうか、酷く敏感に勃ち上がっており、実に扇情的だ。
「月くん」
名前を呼んで彼の太腿へ跨り、向かい合う形で腰を下ろす。こうすると、アナルが彼のペニスに当たり、僅かに顔を背けてしまったのが分かる。元はと言えば自分が教え込んだ彼の快楽を、私は今までずっと利用し続けてきた。つまり彼の身体は、今や快楽を感じるためのものとして支配され、嗜まされている。
だから、これからすることを理解しながら何の抵抗もなく、されるがままになっている彼が、実に健気で、愛おしい。
「ん、ふ、ぁ、ん……」
私が腰を動かすたびに、彼の口から甘い声が漏れる。乱暴にするでもなく、優しく揺れるたびに聞こえる吐息混じりの声は、何度聞いても全く飽きることがない。
けれど、私はもう少し彼の声が聞きたかった。もっと必死に縋りついて、私のことを考えて欲しかった。
どうやら最近の私は、夜神月を少し甘やかしすぎてしまっていたらしい。いけない。折角もう二度と逃げられないように壊してやったのに、こんな事では台無しだ。余計なことを教えこむ前に、もっとはっきりと分からせてやらねば、この自分がどれほど無意味な存在か。或いは、もっともっと分からせてやる為の道具を、私は何も持っていないというのに。
ここでようやく、俺の指は先端から彼のナカへと埋まり始める。
「ン、ぁ、……は、ぁ」
私の指を咥えこむように締め付けてくる彼の中は相変わらず中々の締め付けようで、この快感を彼に与えたのが他ならぬ私自身であることに、暗い恍惚を覚える。
挿入した指を、ズルリ、と引けば、赤い肉が妖しく絡みつき、淫らに音を立てる。女などよりもよほど淫猥に私の指を締め付けてくる穴の中を、この欲望の赴くままに壊してしまいたい、と考える。
今の私とて、わざわざ彼を心地よくさせる為に快楽を与えているわけではない。これはあくまで、私が私の欲望を満たす為の前戯だ。
あのキラが与えられる最大の屈辱は、行為の最中にいくら体を重ねても、乱れないことだと思ってきた。しかしそれに飽き飽きしていた。彼の剥き出しの胸板を撫で回し、甘い声を聞かせてやると息巻く彼の表情を思い浮かべただけで、私は何度も勃起させられたのだ。それを思うと、あの時、彼を拘束せずにいたことが、恥ずかしくて堪らない。
けれど、そこで拘束して、自分本位に快楽へと溺れてしまえば、私はいつもの『L』ではなく、本物のエル・ローライトになる。それではいけないと、私は随分前から分かっていた。
「……っと、それじゃあ少しくらいは、お返しをしてもいいですか?」
と、自分の昂りを抑えるために、何とか声を絞り出した。こんな手段は、元々使うつもりはなかったのだが。
ある日を境に、夜神月は私の腕の中だけで息をしている。
私の部屋には出所不明の幼い男の子がいる。かれこれ数ヶ月前から、近所の夫婦に捨てられた子供だ。親が放置した為に飢えていたらしい、その子供を前に、夜神月が初めて「ミサに預ける」と言ったあの日から、私の日常は知らないうちに変わっていた。
「きさまの話を聞くとは思うなよ」
初めて口を利いた彼の第一声は、相変わらず険呑で、ハッキリと私を拒絶する物だった。けれど、その瞳は何かを拒絶してはいるものの、あの何も映していない無機質な瞳とは違っていた。いわば、警戒心を強く持った、野生動物のそれに近い。
私は、その瞳に少しの喜びを感じてしまった。夜神月が与えられた環境に堕とされた末の無反応ぶりと、本来の夜神月が持つ怒りが混ざったあの目を、本当は待っていたのかもしれない。
「月くん。今、何て?」
「……別に」
「まあ、取り合えず座りましょう」
冷めた座学へと誘いながら、私は夜神月の返答に安心し、思わず笑みが零れる。月くんの心の闘争は私に抱いていた感情の分だけ激しいようで、彼が感情を持て余していることが見て取れて実に愉快だった。確かに私の過ちを正すとは、実に見事な人間性をお持ちだ。
まあ、そんなことはいい。
とにかく、自分のこの想いを自覚した後に、夜神月への好意がどのように変化したかということだ。正直なところ、彼への想いは初めから抱き続けていた憧憬と、新たに生まれた劣情がごっちゃ混ぜになって、もはや自分でもどう整理していいのか分からない。もちろん、彼にその事実を悟られてしまわないように、注意深くはあるが。
「L」
ふいに、彼の方から私の名前を呼ぶ声が聞こえ、私は物思いから引き戻された。
相変わらず、その瞳は真っ直ぐに私を見つめている。まるで私の心情が手に取るように分かっていると言わんばかりに、まっすぐに。
「なんですか、月くん」
私は意識して愛しい人を想う、慈しむような声色を作り上げた。少なくとも、私にその気がなくてもそう聞こえるような声を、今の私は確かに出せていた。実際の私は好奇心に煽られ、居ても立ってもいられないというのに。
触れるだけの口付けに終始しようと思ったのに、結局、彼が無防備に見せてくれた隙を逃すはずがなく、私は夜神月の唇を貪っていた。何度しても、何度しても、飽きることのない味。私の身体に染み込ませるためか、ゆっくりと時間をかけ口内を犯す。
「んっ、んぁ……」
鼻腔を抜ける甘い声が、聞く者の何もかもを支配欲に駆り立ててしまう。ああ、全く。私の好きなように鳴いてくれている。
「……っ」
口付けに夢中になっているうちに酸素が足りなくなってきたのだろう。彼の瞳は涙を湛え、今にも零れ落ちそうに揺れていた。先ほどまではあんなに虚ろだったのに、と私は思わず笑みが零れる。涙を浮かべてこちらを見上げる彼は、実に扇情的だ。何もかもを奪い去りたくなる。
言葉を失うほど無感動に私の名を呼ぶ彼の首に、思わず噛み付きたくなってしまうほどだ。陶磁器のごとき白く滑らかなその首筋は、私が付けた所有の証の痕が赤く滲み、後数回、私が口を付ければ痣として残ってしまうだろう。
そんな風に柔らかで、けれど意思を持たない首筋に歯を立てれば、彼は息を呑み、小さく震える。
その反応が堪らなく愛おしく感じられて、もっと壊したい。泣き顔が見たい。と、常ならぬ嗜虐心が私の胸を支配していく。
よくよく考えれば、欲求の赴くままに自分の感情を曝け出すことなど、初めてのことだ。持ち前の自尊心の高さのせいか、幼少の頃から自分から他人を欲するという行動をしたことがなかった私には、こんな衝動は初めてだった。
好きという感情は、人を斯くも変えてしまうのか。
恋を自覚した時にはもう、私は私ではなかった。あるいは、私がただ『ラブという感情』を学ぶのに、とてつもなく時間がかかっただけだったのか。
夜神月を欲し、己の手を離れないようにと望む私のこの感情こそが、他ならぬエル・ローライトという男の愛の形なのだろう。'''
'''
もう、止まれない。止まりたいとは、思わない。
たとえ、これが歪んだ愛の形であろうとも。歪み続けるこの感情のままに、私は私は夜神月を抱き続ける。
手に入れたこの温もりは、二度と放しはしない。
「──月くん、愛しています」
ああ、なんて傲慢なのだろう。自分は愛する者の幸せを望まず、己の欲望のままに夜神月を壊してしまったというのに。
キラとして裁かれることになっていたとしても、元々夜神月は独房の中の檻でいつも通りバスキングでもしながら優雅に過ごしていたに違いない。朝は紅茶で目を覚まし、スーツに身を包み、世間話の一つでもしていれば、あの面妖なくらい美しい顔に笑みを浮かべていたことだろう。
それを私は、あろうことか、ドールと化した彼を文字通り肌身離さず手元に置き、己の欲望のはけ口にしている。
己の所業に嫌悪感を覚える。
だが、その行為を止める気は更々ない。
たとえ、この愛が偽物だと嘲笑われようとも、この愛が思い込みに過ぎないと否定されようとも、私のこの行為は最早止められない。私の行動の意味の全てが、夜神月という青年の存在が私の原動力であり、そしてこの歪んだ正義感が私を動かしている。
私はもう、確実に正常ではなくなっている。狂っている自覚はある。しかし、どれだけ自分が狂おうとも、どれほど非道な方法であろうとも、目の前で無防備に横たわる夜神月を愛しいと思ってしまう己を止める術を、私は知らない。
少し感極まって、私は彼に唇を落とす。
「……月くん」
何度も繰り返した名前。その口元に同じく何度も唇を落とす。触れたかどうかもわからないような、何度も何度も啄むような口付け。甘美で、それでいてどこか泣きたくなるようなこの感覚。
あまりにも自分勝手なこの感情を、果たして恋などと呼んでいいものか。元々、この男は私が愛でるためにあるのだ。罪を償うことも、裁きを受けることもない。その代わりに、私だけを向いていればいい。
夜神月は誰のものにもなってはならない。どんな権力者でも、どの国の司法でも、この私の目に映る夜神月の姿を奪うことは許されない。彼は私だけのものだ。
「月くん。愛しています」
そう言うと、私の言葉を聞き取った彼は、ふわあ、と間抜け面を浮かべて笑った。
虚空を見つめて目が合うことのない、プラスチックのように濁った月並みな輝きを宿した瞳は、けれどもひどく綺麗で。飴細工で作られた宝石のように、簡単に砕けてしまいそうな、そんな儚さを孕んでいた。
「月くん、愛してる」
もう一度、囁く。
私の言葉に反応するように、彼の瞳がわずかに揺らめいた。勿論、私を認識した反応ではない。彼の中に、もう二度と私と視線を合わせようとしない強い意思は残っておらず、もうとっくに思考を放棄したあの目だ。目が合っただけで口元が綻んだりしない。しかし、だからといって私は悲しくなどなかった。
「(お前は、そのままでいろ)」
どんな時も、表情の変わらなかったあの不気味な男よりも、どんな方法で愛しても理解の及ばないあの男よりも、今のこの、何も考えずに私の好きなように出来る、この綺麗な人形のほうが、ずっと愛おしかった。いっそ、生涯このままでいてくれたらどんなにいいだろう。そう思ってしまう。
「ん、ぁ……、く、ぁ、あ」
もっと気持ちよくなって欲しいという下心を込めて、感触を確かめるように動かしていた指をゆっくりと動かし始める。
「っ、ふ……ぁ、ぁ」
夜神月の中は私の指を銜えたように蕩けきって、じゅぷじゅぷと卑猥な音を立てている。此処まで調教し尽くしたのは他ならぬこの私だが、しかし、その開発し尽くされた感覚はいつ感じても素晴らしい。
「月くん、きもち、いい?」
聞いても返事が返ってくるわけではない。けれど、そう言って私は必ず彼に聞く。返事が返ってこないと知っていても。もしかしたら、今夜だけでも良いから、あの挑戦的な光を宿した瞳を見たい。あの希望に満ち溢れた凜々しい顔を見たい。と思うのだ。
月が、私のことをキラの完全勝利を勝ち取った素晴らしい存在だと言ってくれると、いっそ殺意さえ孕んだ目で睨みつけてくれれば、と望まずにはいられない。
しかし、現実はそうならない。いや、ならないのではない、出来ないのだ。私が全てを狂わせて壊したのだ。
そうして私はまた、手に入れたことに満足しながらも、己の手で永遠に失ってしまった夜神月という一個人への愛しさを抱え続ける。
私が望んだのはこういう結末ではなかった。彼が自ら望んで私の腕の中に居続けてくれることを望んでいた。それは、思い上がりもいいところだ。
彼はキラだ。決して、靡くことのない、強い意志を持った男だ。此度の騒動の元凶として世界中から指名手配されても、サマサマ動じることのなかった男の気高さは、あの拘束を解かれても尚、事の重大さに気付かされることのない程に高かった。だからこそ、私のようなどこの馬の骨とも知れない探偵の情など、介在する隙など初めから無かったのだ。
初めて人を愛して、初めて手に入れたものを、私は自分の手で壊した。そう自覚してしまった時には、もう手遅れで、夜神月は意思のない抜け殻と化していた。
だから、どうか、この愛しさを理解して欲しいだなんて、月くんに要求したところで無理な話だ。表情を失い、意思を失い、あらゆる快楽しか感じられない身体にされてしまった夜神月は、私の意のままに動く。
この結果は、ある意味当然の帰結と言える。
かつての私は、夜神月の全てを手に入れる為
像是在安抚他似的,我一边抚摸他的后背,一边小心翼翼地不刺激他,将他那仍然坚硬勃起的阴茎从我体内抽出。仅仅是缓缓抽出的感觉,他似乎也能感受到快感。从他唇边,无法抑制的唾液满溢而出,在他的细滑脸颊上画下一条透明的线。
在以凌辱他、摧毁他精神为目的的那个时期,按照惯例,这才是责难与苦痛的开始,但现在的我们已不需要那些。我的目的已经不再是折磨夜神月了。
话虽如此,我自己也无法达到高潮也确实有些难受。说真的,我想捅进他的身体深处,折腾他的肌肤,在这具美丽的身体上刻下我的印记,然后射入这温暖肉体的最深处。不过,或许是因为我过去曾长期亲手折磨他的缘故吧。
比起那个,我现在的欲望更多是想要深深疼爱他。
所以,既然有因为他的崩溃才能做到的方法——我这么想着,将他的双手拉到身侧,拉到我自己这边。
「月君,请帮我射出来」
我辅助着他那软弱无力、使不上劲的夜神月的双手,让它们包裹住我的阴茎。
那是出于信任他绝不会伤害自己才做得出的行为,同时也是他已经崩溃了的证明。
实际上,夜神月只是任我引导着,机械地上下撸动双手,其间完全不存在任何意志。
「呜、……好舒服,月君」
当然了,这比不上刚才那个充分品尝过的、他温热的、如同将我包裹住般跳动的、绝佳契合度的肉穴。
但是,他的手。曾经作为基拉,为了杀死众多人类而在笔记上写下名字的双手,如今却放弃了那份使命,正抚弄着我的性器——这种认知带来了精神上的满足感。
他已经不会作为基拉来杀我了。
不会对我说谎了。
一直存在于我们之间。不,在名为夜神月的人的人生中占据大部分的“谎言”这层假面,已经不再存在于我们之间了。
那仿佛是,基拉和L彼此全力相向之时——
「……来、人君」
比起物理上的刺激,更是在精神的昂扬中,我在他的手中射了出来。
他接受着我断断续续射出的精液。我一边觉得他那双手也如此乖巧惹人怜爱,一边闭上眼享受着快感。
当一切都射尽之时,他像要榨取一般动了动双手后松开,多得令人咋舌的精液已经弄脏了他白皙的掌心。
「呼……呵呵,你看,月君。托你的福,射了这么多」
“只是被你用手握住就射了这么多。”我一边说,一边将沾满精液的手伸到他的眼前,让他能看到。
于是,他仿佛注意到了那姿态和气味。夜神月像一台被如此设定好的机器一样,把手凑到嘴边,没有丝毫犹豫,便伸出舌尖想要舔去掌心的精液。
「月君,没事的哦。」
我连忙拉开他的手,不让他去舔精液,但他依然把脸凑过来,想将精液送入口中。
这当然不是说我喜欢喝精液。他在被摧毁到极限之前,对喝精液表现出了明确的厌恶。事实上,每当我强迫他喝下精液,高傲的夜神月总会因为受到屈辱而扭曲着脸,痛苦不堪。
然而,在反复调教的最后,他的身体似乎已经学会了:如果不喝,就会遭遇更惨的事。因此在被摧毁的现在,无论那有多么难喝、多么痛苦,他都会试图将那苦味吞入口中。
对我来说,让他喝下我的体液固然有快感和满足感,但我并不想积极去做他如此厌恶的事情。因此,我一边擦拭着他沾满精液的手,一边温柔地抚摸他的脸颊,告诉他不必再这样做了。
“我们吃些更好吃的东西吧。”
看,说着便将巧克力再次送入他口中。
那是与他所厌恶的苦涩、青涩味截然相反的,仅凭嘴唇的温度就能融化的柔软松露巧克力。我将那带来甜味的巧克力再次通过亲吻分与他共享,一次又一次地贪恋着他的嘴唇。
我一边重复着这样的行为,一边想起了几个月前的事情——在我暂时放开他的那段时期,有个被派去照顾他并担任汇报的少女,曾经用他自己的叉子喂过他吃苹果派。
夜神月大概是打算利用那个少女而对她设下圈套吧。但我仍记得,当我在监控摄像头里看到那一幕时,一股令人作呕的嫉妒席卷了全身。明明知道那是有企图的,可他还是在我以外的对象面前装作恋爱的样子去触碰对方,实在让人无法容忍。虽然也有一部分原因是他暂时不在我身边,所以让我烦躁了起来,但当时的我也不禁为自己的冲动感到惊讶:我什么时候也变得这么世俗了。
然而,夜神月现在只存在于我的臂弯之中。
像这样,我能够拥抱他,与他互相亲吻,能够比他仅仅只是吃着苹果派更深入、更甜蜜地交流,能够在他身上留下我的痕迹,能够与他深深交合的人,永永远远都只有我一个。这种满足感,将那份嫉妒彻底地消除了。
「唔、哈……啊」
夜神月。月君。奇樂。
我一边在心中无数次呼唤着那些代表着他的名字,一边贪恋着哪怕片刻的分离而缠绕着彼此的舌尖。说来也怪,自从得到他、能与他相互亲吻后,我便彻底改掉了咬手指的癖好。取而代之的,是他身上不断增加的牙印与淤痕。但那些不过是我在他身上留下所有权的印记增加罢了,并无任何问题。
就这样,在我一次又一次不厌其烦地重复着亲吻的时光中——
忽然,我感觉到脸颊上有一丝濡湿。终于将唇分开,察看发生了什么时,才发现夜神月眼中正溢出泪水。
「唔、啊——、啊、ぁ……啊、啊」
夜神月一边发出微弱的、仿佛马上就要像孩子一样哭泣出来的声音,一边哭着。他那比一般日本人更淡的瞳色中滚落的泪珠,一滴滴地打湿了我的脸颊。
抱きしめ合うだけでは、きっと幸福ではなかった。ただ甘やかすだけでは、この男の孤独は癒やせない。
かつてキラとして多くの命を奪ってきたこの男に、裁きの鉄槌を落とす側の存在でありたいと、プライドの塊のようだった夜神月がこんな姿になるまで、どれほどの事があったのか。私は知らない。
けれども今は、ただこの温かな存在が隣にいて、涙を流している。この涙は、何を意味するのだろうか。
痛みか。悲しみか。はたまた――。
何度も何度も、名前を呼ぶ。
私の声に応えるように、彼は震える指先をただよこにより添わせる。その様があまりにも弱々しくて、愛おしくて、私はまた溢れる涙を、今度はその唇に何度も何度も口付けを繰り返して塞いだ。うん、と気の抜けた声を上げるだけの、まるで生まれたての赤ん坊のようだ。
「……っぁ、ぁ」
俺の、馬鹿。
そんな掠れ声を聞き、ようやく自分が泣いているのだと自覚する。
理屈では分からない。役目を終えた自分が、何をすればいいかなどと考える必要はもしかしたらないのかもしれない。夜神月が"私"を殺すのをやめてくれたように、私もまた、役目を終えた己という存在を捨て、一人の人間として歩みを始めるべきなのだろう。
そう考えた時、私の視界を覆っていた靄がすっと晴れていくようだった。
暗い闇の中にいたはずの心を照らした光は、今、二人を確かに包み込んでいる。
夜神月は、何も言わない。何かを言うことを赦されていないからではなく、何を言えばいいのかわからないだけなのだろう。
代わりに、私の――自分を許すという選択が何よりも大事なことなのだと、彼は背中に回された私の腕に、その手をゆっくりと触れさせた。そうして、無理に涙を飲み込むようにしながら、絞り出すような声でこう言うのだ。
「……ライト」
それだけ言うと、夜神月は何かを堪えるように唇をみ締めて、そのまま何も言わない。その体はまだ小刻みに震えていた。
それを見て、はあ、と一つ息を吐く。私達は大分長い間、この一つのベッドの上で、行為に及んだり、のんびりと過ごしたりしながら、もう随分と夜神月の体を労るということをしていなかった。
いや、そもそも幾度となく身体を重ねてきたが、今まで一度もラバー越しとはいえ、慈しむようにセックスしたことすらない。夜神月にとってのそれが、まさにそうだった様に、私にとってもそれは同様で、月並みな言い方をすれば、愛を確かめ合うような性行為という物をした事がなかったのだ。
それは、この真剣な感情を初めて抱いた相手が相手だっただけに、喪われて、壊れてしまえば、ただ愛おしい人形のようになってしまった今だからこそ、その行為に意味があるのかもしれない。
けれど、それ以上に私は彼が何よりも大事で、彼のためを想えばこそ、己の感情を優先することをここで止める決断を下せた。私がしたかったのは、彼を追い詰めて屈服させる事ではなく、愛しい人の傍にいる事で、愛し愛される事だった。
傷付け合い、偽り合い、貶め合い、縺れ合い、そして結ばれる。
人と違う感性や倫理観を持って生まれた私と、数奇な運命を辿った普通の高校生だった夜神月。物語として見た時に、それは余りにも明快な役割で、真逆の存在として互いを彩りながら、剥離しかけたこともあれば、一心同体に全てを懸けた事もあった。
けれど、巡り巡った先にこうして迎えた結末は、実に幸福なものだった。
血塗られた道の果てに、ようやく掴んだ温もり。彼という人間の、その深いところを暴き立てて、優しい部分を暴き出して、こうして愛おしさに寄り添えるのなら、私はもう充分だ。
もう二度と、この手を離さない。離さないから、ずっと――。
こんな、夜神月しか愛せなかった月の光に、――赦しが訪れる日が来るとするならば。
どうか、この場所で訪れますように。
優しい夜が、溶けていく。
月の光にて肌を彩られながら、それでも愛おしげに彼の髪を撫でながら、私はそっと体を起こす。
ここは私の部屋ではない。私の部屋は先程――いや、さっきでは片付かないほど昔のことのような気もするが――海浜ホテルの一室だ。そこから月くんを連れ出した私は、彼を高級ラブホテルへと連れてきていた。
本当は、監視の目がある。かつてのような思考盗聴の類いは無くなったが、今でもちゃんと私の心配をして、色々な者が目の前までやって来るのだ。月くんを彼の自宅へと送り届け、監視を外れたことを報告して、外出届を提出してから、こうして二人で秘密の逢引に興じているというわけだ。
それは何も私の身の安全を守るためだけに理由があるわけではなく、しっかりと夜神月に私の存在を認識させながら、暗躍をしないための抑止力としての役割も含まれている。流石に警察庁という天下の組織の長ともなれば、プロフィールもバレないように徹底しているため、私もワイドショーやネットの力で身元を割り出されることはないが、それでも何を考えているか分からない独身の男が、多感な年頃の若者を連れ回していると見られてしまえば、風紀の乱れを指摘されかねない。先程名前を挙げた娘などは余計にそう思われてしまいがちだ。
勿論、彼女は無実である。
優等生然とした言動の裏で、明らかに見張りをするかのような行動をしていたために疑われたことはあったが、表向きにはきちんと反抗も出来る女の子だ。なにせ、私がサングラスとデジタル掛け時計だけで室内に上がり込んだ時、金切り声で悲鳴を上げて警備員を呼んだ愚か者がいたほどだ。待てども待てども育ちきらない凡庸で低劣な感情が私を苛むから、早く壊してしまいたいと躍起になっていたのを思い出す。それにしても、あの、トイレの個室で鎖に繋がれた私の首をサスペンダーで吊り上げた所までは大変良かったが、それから先はどうしたのだったか。
そういえば、あの日、高田清美という愛すべきとは言い難い女性に、マインド・リセッターを焚かされたことを思い出した。アイツのせいで、彼女に本来あるべき記憶を取り戻させることを邪魔されたのは、まあそれは良しとしよう。しかし、あれは一体どういう方法で私の記憶を改竄したのか。私の能力にも引けを取らない何かを持っていたらしい。
いや、彼女のことは今はいい。それより目の前の愛しい夜神月の涙だ。涙と言えば、彼に無理矢理、自白をさせていた時にも、何度か見たことがあった。だが今の彼の涙は、痛みや恐怖によって零されたものではあるまい。何か、そう、彼の中の大切な何かがこぼれ落ちるようにして、静かにその目から溢れ出している。
今、この瞬間にも輝く瞳から、止めどなく涙が溢れて止まらない。
「月くん。一体どうしました?」
咎めているわけでもない。責めているわけでもない。ただ純粋に心配する気持ちを込めて、私は彼の頬に触れた。涙が糸を引いて、彼の頬から滴っていく。
「……分かんない、です」
「分からない?」
「え、と……嬉しい、の、かも、しれない、です」
「嬉しい?」
「はい。なんだか、涙が出ます。この理由が、自分でも分かんなくて……」
ぽつぽつと、消え入りそうな声で紡がれる言葉を、ゆっくりと噛みしめるように聞く。
自分の今の状態にすら理解が追い付いていない、という表情を浮かべながらも、それでも溢れる涙を拭う様子は、どこか心地よさそうで。
「嬉しいの……なら、良かったです」
涙を拭うことが出来ない彼に変わり、私がその涙を指先で掬ってやる。すると、彼はそれを皮切りに堰を切ったように泣き出した。
先ほどまでよりも、ずっと大人の泣き方。自分でも制御が効かないという風に、ぽろぽろと涙を溢しながら静かに泣き続ける夜神月の背中を、何度も何度も撫でてやる。
「月くん、私の月くん」
もう二度と、手放したりはしない。
きっとこの涙の意味は、私には一生理解出来ないままだろう。それでいい。彼に味わわされた狂気を少しばかり分け合うように、私は彼の涙を食べるようにキスを落とす。
「大丈夫。もう、何も心配しなくていいんですよ」
ようやく落ち着きを見せ始めた彼を背中からそっと抱きしめ、震える背中を撫でる。
それが何よりも心地いいと言わんばかりに、彼はうっとりと目を細めた。だから私も、その心地いいと言わんばかりの様子に、いっそ小一時間でも抱きしめていたい衝動に駆られるが、男の衝動というものはかくも単純なのか、快楽を求めてか彼の首元に顔を埋める。
こつん、と軽く額を合わせ、鼻先を擦り合わせて、片手でペニスに触れれば反応する場所を探り当てるかのように手を伸ばし、先端から質量のあるおもりを彼に握らせた。
「……っ、月くん、そろそろれても?」
望みは彼女か、子のように、下から彼を見上げてお願いする。
対する夜神月の瞳は、快楽で蕩けきったようなぼんやりとした緑色が、私を映していた。
勿論、これに彼から拒否権等という無粋な物は存在しない。私がそうして欲しいと望む以上、彼がその望みを叶えてくれなくてはいけないのだ。いや、私がそう望んだからこそ、彼はその望みを叶えるのだろう。
だからこそ、私は言うのだ。
「月くん、れても、いいですか?」
仮にも、こちらがどう思っているかなどお構いなしに、一方的に陵辱した時期もあったというのに、今ではなんと傲慢なだろうか。
たかが許可を取るというだけの、普段の私ならば紡いだにしない行為が、不思議と彼に触れることを許される喜びに変わっていた。
「ん、っ……ぁ、あ、」
そう言えば、返事の代わりなのか、夜神月が手を伸ばして私の背中に回し、ぎこぎこしくも慣れない手付きで、私の背中に手を添えた。
それが子犬が何かをねだる時のような仕草だったものだから、私は愛しさが込み上げて、彼を抱きしめると、そのままベッドへと押し倒した。
少しばかり強引なのは、いつもと変わらない。倒れこんだ拍子に手を付いたせいで、カチリと硬い音を立てたのは、ベッドの背面にある壁時計だろうか。……いや、そんな事はどうでもいい。今は、ただ、この夜神月を愛でる事に集中したかった。
彼は何か言おうと口を開く。
しかし、それを遮って、私は何度も何度も口付けを落とす。キスの合間に、はぁ、と息を吐けば、目を蕩けさせた彼に何を思っているのかと聞かれるよりも、今はこのまま名前を呼んで欲しい。そう思いながら、囁くように彼の名前を呼ぶ。
「月くん、月くん……っ」
すると、ひくりと体を震わせた彼が、焦点の合わない瞳のまま、私の名前を口にした。
「りゅ、……ざき」
それは私の名前で、今まで幾度となく聞いてきた、彼の口から紡がれる筈のなかった私の名前。
ろくに会話をしたこともない私が名前で呼ばれる事なんて無かったのに、今この時、確かに彼の口から私の名前が紡がれた。
その事実が堪らなく嬉しくて、胸の奥が焼けるように熱くなる。
「ぁ、――らいと、くん」
あまりの嬉しさに、私は彼の名前を呼ぶ声も震えていた。
それほど私は、夜神月という人間に毒されていた。】
もう何年も前のことを思い出したような、ひどく懐かしい記憶を抱えながら、その名残惜しさに、私は少しだけ彼の口唇を啄んだ。今は亡き。私の最愛の人の、そのすべての記憶が体を巡り、どくどくと鼓動を強めていく。
ふと、落ち着き始めた心臓の鼓動をやり過ごし、改めて部屋を見渡せば、そこには長らく留守にしていた間に積もったほこりが目に入る。どうやら間が開きすぎてしまったようだ。彼との時間はいつもあまりにも早く過ぎる。
閉まったままのカーテンの隙間から差し込む朝日が、部屋の埃が舞うのを視覚的に映し出している。
あの夜、何もかもを終えた後、差し迫った判断を迫られた。とはいえ、全ては計画通りではあったのだが、私の身体は、もう若くない。
性行為を終えた直後、私は出来る限りの手段を講じて防護的な安全装置を作って、そして彼女に全ての情報を託した。勿論、この世界に絶対の安全など無い事は承知している。だが、そうしなければ、また彼は自らの強すぎる力を振るうことに躊躇いを覚え、苦しみ、傷ついてしまうのだから。
少しだけ早い夏の気配が、世界をいっそう色づかせている。
日焼け止けの匂いと、プールの塩素の匂い。
蝉の声はまだ聞こえないのに、頭が痛くなる様な陽射しの中、私は園芸部の先輩とその友人、そして皆のヘルパーを務めることになった。
快く引き受ける先輩を見て、何故、と目で問えば、皆でやると楽しいだろうという理由だけだった。確かにこの部活は4月から始まったばかりで、本格的に本格的に活動する前にある程度の顔合わせをしておきたい、という意図もあるのかもしれない。
確かに、皆で協力し合うことは楽しい。しかし、いつもは知らない人に興味を失い、人と関わることを素っなくこなす夜神月が、こちらから率先して部活に参加しているところを見ると、ずいぶんと他人と合わせることを覚えたものだなと、感慨が湧く。
――そう。ここは、彼が人との繋がりを学んでいっている現場である。彼が友人と協力し合うその光景は微笑ましく映るのだ。
先程まで身体を重ねていた時には考えられないほど、彼は穏やかな表情で、それは至ってフラットな夜神月の友人面だった。
私は日傘を僅かに傾けると、彼と対になるように首に下げていた瞳を開き、コーヒーを口に運ぶ。
カップを傾けて、行き場の無い感傷を飲み込むようにして、私達の未来を考えた。
第7話
新しい週。
朝早くからノックの音が聞こえて、寝ぼけ眼を擦りながら玄関へと向かう。誰か来客だろうか。まさかこんな早くに、と思うが何か忘れ物でもしただろうか。
ドアを開けて訪問者の姿を確認する前に、私は何度も瞬きを繰り返して、自分の見間いでないか確かめた。いや、決して見間いではない。そこにはどう考えても、松田が立っている。松田、刑事の。
「……松田刑事。何か、御用ですか?」
「ん? いや、お前に用があるんだが、と、早速頼まれてくれないか? ここで立ち話もなんだろう」
事も無げにそう言う松田の胸には、スーツの内ポケットから零れる程の資料が収められており、要するにアポイントもなく押しかけてきたということだ。
私は護衛主任、夜神総一郎の息子である。そして父は県警のトップであり、NASを務めている。警視庁の担当者ならばその存在を認知している、Lの後任者で“窃盗”“公務執行妨害”を働けば即、会社や警察に顔が割れてしまう立場。父や妹の尊厳を考えれば、余計な火種を作るべきではないというのに、本当にこの男は、と流石に呆れてしまう。いや、呆れるのは今に始まったことではないのだが。
一つ溜息を吐いて、部屋のドアに手を掛けた。
まさか、日傘を忘れて帰った時にガードの男に会わなかっただろうな、と祈るばかりだ。
第11話 L-side 決意
手持無沙汰に弄んでいた監視カメラをいくつかつぶしてしまってから、どれだけ経っただろう。
彼女、と言うべきか、海辺という響きから懐かしんだのは何時の事だったか。ドアに手を掛けたまま思考に耽っていた私は、手を伸ばせば届く所でじっと止まっている玄関のインターフォンを見下ろす。握り締めていた彼女からの手紙は、先程から何度も読み返しているせいか、紙面全体がしんなりと湿り、所々字が掠れていた。
一度呼吸を整え、私はインターフォンを鳴らす。身動げしない私を代わる代わる見るバスジャック犯を、適当にあしらいながら、少しだけ落ち着かせるように深呼吸を繰り返した。
「……月。いるんだろ」
インターフォンを鳴らしてから何も応答がないことに痺れを切らしたのか、部屋の主が待ちきれないとばかりに玄関の扉を開け放つ。
「……久しぶりだな」
「本当に……本当に、よかった」
もうダメだ。今の私は、自分をちゃんと保てない。そう、何度か抱いた後、ようやく再会を果たした私達は、朝日の中へ溶けてなくなる後ろ姿を、ただただ見送ることしかできなかった。
あの日、別れ際に『また会おう』とだけ言い残して去っていった彼の姿を思い出す。今度こそ、もう二度と会えないものだとばかり思っていたから、この再会は嬉しいけれ、まだどうしても信じられない。
「――よかった、本当に、よかった」
早鐘を打つ心臓を抑えながら、彼の首元に顔を埋めて深く呼吸をする。彼の匂いを感じると、全身の力がふっと抜ける。
「……本当に、よかった。貴方の体温が、私の血を溶かすように巡ってくれます。それほど、私は貴方に飢えていたのだろう」
私は彼の首に顔を埋め、そのまま深く彼の匂いを吸い込んだ。
柔らかで甘い、花のような香り。それは夜神月という人間が持つ清廉な空気感に、私と同化している時を除けば決して纏われる事のない、背徳的な匂いが混じったものだ。
何度もそうして匂いを嗅いでいれば、次第に彼の匂いに混じって、強くなる一方の香りがある。それは夜神月の慣れないながらも果敢に抵抗してくる様に、私の興奮を促すために使っていたルブリカントの匂いと、彼の汗が混ざり合ったもの。
それを嗅ぐたびに、ああ、夜神月を、私の虜にしたのだと、興奮と共に感じさせられる。
「……月くん、気持ちよかったですか?」
私の腕の中、私のものを深く咥え、ひたすら愛玩し続けていたせいで大分汚れてしまった彼の口元を拭ってやる。あの高慢だったキラは、今やすっかりと私のためだけに奉仕する、私のための存在だ。
――が、いくらなんでも、その息子で私のものを咥えさせるとは、正気の沙汰ではないわ。でなければキラの私が、夜神月にこんな事を出来るはずがない。
服の裾を引っ張って、ネクタイを触って、目で、表情で、時には腰を振って、自分の意思を伝えることしか出来ない幼子と成り果てて尚、彼はそれを不自由だとは思っていないように見えた。
いや、それを不自由だと思えるほど、元の精神が健常に戻っているとも言える。勿論、意思疎通を図る術はあるから会話は出来ている。だが、あの夜神月がこの様だ。この世界の誰よりもプライドが高く、賢く、そして打算的だった男が。
そういう思考が出来るのは、よほど恥辱に塗れた日々を送っているからではないだろうか。そういった察しは、自身の心の平衡を保つためにも、深く考えないようにしている。考えるだけ無駄だ。
私はこの瞬間を、ただ噛み締める。
月くんの全てを。胸に刻み込むために。
「ねえ、月くん」
彼の口に、またチョコレートを運びながら呼びかける。
いまだに体の震えが止まらない夜神月は、それでもきちんとその声に反応して、私のことを見つめてくれる。
「今度は、ミルクセーキを作ってみたいです。今度飲みに連れて行ってくれますか?」
これはテストだ。
この質問に、夜神月がどう答えるのか。もしかしたら、また拗ねて目を逸らしてしまうかもしれないが、今の夜神月ならば受け入れてくれるだろう。少なくとも、その可能性は限りなく高いと確信している。
「……い、いや、です。それでは、私の手を汚さないでください」
「ふふ、ありがとうございます。楽しみにしていますね」
やはり私という男は、なんと分不相応な幸せ者なのだろうか。
彼を殺すために名前を書いていた日々が懐かしいとは流石に思わない。だが、この事件に興味を持ち、世界の頂点に立つ二人に話を振らなければ、今の関係は無かった。名前を書かれた夜神月という人間を、私が落とすことは無かっただろう。
そう考えると、たかが一つのノートから始まったここまでの道のりが、これから先もずっと続いていくのだろうと、長い道のりを乗り越えて手に入れた幸福を噛み締めていた。
しかし、その考えは甘かった。次々と訪れる困難に対応するべく、私たちはもっとより強く絆を深めていかねばならないのだ。
そう、例えば―――――次のデートの日取りを、何時よりも早く、また一つ多く交わすために。我轻轻抚摸他的后背,像是在安抚他一般,同时缓缓地、小心翼翼地不刺激到他,从他体内抽离那仍然坚硬勃起的阴茎。即便是抽离时的摩擦,他也从中感受到了快感吧。从他唇间溢出的无法抑制的唾液,在他细腻的脸颊上画出一道透明的线。
若是在以凌辱他、摧毁他精神为目的的那个时期,按照惯例,此刻应责备他这是痛苦的开端,但现在的我们已无此必要。我的目的早已不再是折磨夜神月。
话虽如此,我自己无法达到高潮也颇为难受。说实话,我真想尽情地在他体内冲刺,玩弄他的肌肤,在这具美丽的身体上刻下我的痕迹,然后将精液射入这温暖肉体深处。但这或许是长久以来用这双手折磨他的时期所留下的习惯吧。
相比之下,我现在的渴望更多是想要深深地疼爱他。
因此,正因为他的崩溃,才有了可行的方法,我如此想着,将他的双手拉到自己的身边。
“月君,请帮我弄出来。”
我辅助着夜神月那无力的双手,包住我的阴茎。
这是只有信任他不会伤害我才能做出的行为,也是他坏掉的证明。
事实上,夜神月只是任由我引导着,上下撸动双手,其中并不存在任何意志。
“唔、啊……很好,月君。”
当然,这比不上刚才尽情享受的、他那温暖的、像是要将我包裹住的、跳动着的最为相配的肉穴。
但是,他的手。曾经作为基拉,为了杀死众多人类而在笔记上写下名字的那双手,如今却放弃了它的使命,正在为我套弄——这种认知带来一种精神上的满足感。
他已经不会作为基拉来杀我了。
他不会对我说谎。
长久以来存在于我们之间。不,在名为夜神月的人的人生中占据大部分的“谎言”这面具,已经不复存在于我们之间了。
那简直,就像是基拉与L曾经竭尽全力正面相对的时候一样——。
“嗯——……!”
与其说物理刺激,不如说是精神上的亢奋让我在他手中泄了出来。
断断续续射出的精液,被他摊开的手接住。连这都让人觉得乖巧可爱,我闭目享受了片刻的快感。
终于全部射完之后,他像榨取似的动了动双手,然后我让他把手张开,大量的精液弄脏了他白皙的手掌,让人不禁愕然。
“哼,呵呵……你看,月君。多亏了你,出来了这么多哦。”
只是被你用手包裹住,就这样了。我一边说,一边将沾满精液的手凑到他眼前,让他看清。
察觉到那姿态和气味后,夜神月像被设定好程序的机械一样,把自己的手送到嘴边,毫无犹豫地伸出舌尖,想要舔舐手掌上的精液。
“月君,没关系哦。”
我慌忙想把他的手拉离嘴边,不让他舔到精液,但他仍凑过脸来,想把精液送入口中。
他当然不是有多喜欢喝精液。他曾经对喝精液表现出厌恶,直到被玩坏的前一刻都是如此。事实上,每次强迫他喝下精液时,高傲的夜神月都会痛苦地扭曲着面孔,觉得那是种屈辱。
然而,在反复调教之后,他的身体似乎已经学会——如果不喝,就会遭受更残酷的对待。所以即使在精神崩溃的现在,无论那味道多么糟糕、多么痛苦,他都会试图把那份苦味吞下去。
虽然我也并不否认,让他喝下我的体液能带给我快感和满足感,但我并不想逼迫他做他那么讨厌的事。所以我一边替他擦去沾满精液的手,一边轻轻抚摸他的脸颊,告诉他你已经不用再做这种事了。
“吃点更好吃的东西吧。”
说着,我把巧克力再次喂进他嘴里。
与苦涩青涩的味道截然相反,那是只靠嘴唇的温度就能融化的柔软松露巧克力。我一边用亲吻分享着它带来的甜味,一边不断贪恋地亲吻他的双唇。
我一边重复着这样的举动,一边回想起几个月前——那时候我暂时放开他,用一个小姑娘担任他的看护兼汇报人,他曾经用自己的叉子喂那姑娘吃苹果派。
夜神月恐怕是想利用那姑娘,但在通过摄像头监视的时候,我记得一阵难以言喻的嫉妒
破灭
破壊
这是一个基于奇拉败北路线,由L对月进行监禁的故事。主要内容是对月进行九成凌辱行为的残酷对待。
这部小说包含以下要素:
・L对月进行的性与精神上的凌辱行为。
・监禁、强奸、注射器注射春药、失禁等描写。
・有名字的路人角色。
・虽然只有执念,但满满都是。
只有能接受以上描写的人,才请享受本作。
后日谈已上传至短篇集2→【novel/16676892】